説明

画像形成方法ならびに画像形成装置

【課題】非浸透性記録媒体に限らず浸透性記録媒体を用いた場合でも記録媒体間での画像均一性が高く、インク滲みや、液滴間の混合に起因する線幅の不均一や色ムラ等の発生を抑制できるインクジェット記録方法およびインクジェット記録装置を提供すること。
【解決手段】記録媒体の表面に活性エネルギー線硬化性の材料を含んだ無色または白色の前処理剤(A)を付与し、これに活性エネルギー線を照射して硬化させた後、活性エネルギー線硬化性の材料を含んだ無色または白色の前処理剤(B)を付与し、未硬化の状態で、活性エネルギー線硬化性の材料および色材を含んだインクをインクジェット方式により、吐出して画像を形成後、活性エネルギー線を照射して硬化させることを特徴とする画像形成方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、プリンタ等のインクジェット方式を用いた画像形成装置及び画像形成方法に関し特に、インクジェット方式を用いたファクシミリ・プリンタ等の画像形成装置及び画像形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェット記録技術は、加圧オンデマンド方式や荷電制御方式などを用い、インクを微小ノズルを通して液滴化し、画像情報に応じて紙等の記録媒体に付着させる技術である。このようなインクジェット記録技術は、プリンタ、ファクシミリ及び複写装置のような画像形成装置に好適に用いられている。インクジェット記録技術は、記録媒体に直接インクを付着させ画像を形成できるため、電子写真記録のような感光体を用いた間接記録に比べ、簡便な装置構成で記録ができ、今後記録媒体への画像記録方式として更なる発展が期待されている。
【0003】
このようなインクジェット記録方法は、低騒音のプリント方式であり、画像信号に応じて、インクを、紙、布及びプラスチックシート等の被プリント材(記録媒体)上に直接吐出して文字や画像等をプリントする方式(直接吐出方式とも呼ぶ)が主流である。また、インクジェット記録方法は、プリントの際に版を必要としないので、少部数でも効率的な印刷物が作成できるため、産業用途からも期待されている印刷方式である。産業用途に用いるには、様々な記録媒体に画像形成しなければならないが、現在主流の直接吐出方式ではこれを満足する事ができていない。すなわち、直接吐出方式によるインクジェット記録は記録媒体の制限が大きい画像形成方式となっている。
【0004】
その具体的な制限の1つに記録媒体のインク浸透性の影響が挙げられる。
インクジェット記録方式で用いられるインクは成分のほとんどが液体成分であるために記録媒体のインクに対する吸収浸透性の違いが画像再現性に影響を与える。特に、液体が浸透しない(非インク浸透性)記録媒体を用いると、隣接して印字されたインク滴が混ざりあってしまう(ブリーディング)現象、先に着弾したインク滴が後に着弾したインク滴に引き寄せられてしまう(ビーディング)現象が起こりやすい為、画像形成は非常に困難であり、さらに浸透乾燥が使えず、蒸発乾燥になるので重ね合わせた際の裏移り等の問題を引き起こし、特に高速性に対して乾燥性を確保できなくなる。これに対して、たとえば紫外線硬化型の樹脂を含有したインクを用いて、印字後、紫外線を照射して固めることで非浸透性の記録媒体に印字する方法がある。
【0005】
例えば、特許文献1の特開2004−42548公報では、インクとして紫外線硬化型インクを適用し、記録媒体上に吐出した紫外線硬化型色インクのドットにそれぞれの吐出タイミングに合わせて紫外線を照射し、増粘させて隣接するドットが互いに混合しない程度にプレ硬化させ、その後さらに紫外線を照射して本硬化させるインクジェット記録方法が提案されている。
さらに、特許文献2の特開2004−42525公報及び特許文献3の特開2008−238747号公報、では、透明または半透明な非浸透性記録媒体上に、放射線硬化型白色インクを下塗り層として均一に塗布し、放射線照射により固化あるいは増粘させた後に、放射線硬化型色インクセットを用いたインクジェット記録を行うことにより色インクの視認性、滲み、種々の記録媒体間での画像が異なってしまう問題を改良する技術が提案されている。
しかしながら、前記特許文献1の特開2004−42548公報に記載の方法では、滲みは抑制されるが、種々の記録媒体間での画像が異なってしまう問題は残っており、さらに、前記特許文献2の特開2004−42525公報に記載の方法では液滴間の混合に起因する線幅の不均一や色ムラ等の解消には不十分であり、特許文献3の特開2008−238747公報記載の技術は前処理層を硬化させ、再度、前処理層を形成するものであり、これら従来技術は、選択された好適な前処理層付与モードにより得られた未硬化の層にインクを吐出することにより、樹脂フィルムや樹脂加工紙等、種々の媒体のインクに対する浸透特性にかかわらず、液滴間の混合に起因する線幅の不均一や色ムラ等の解消を目途として画像を形成するものではない。
また、特許文献3の特開2008−238747公報記載の技術はプライマーにインク受容媒体の多孔質を目止めのための粒子を入れるものであり、樹脂フィルムやコート紙、更には上質紙等、種々の媒体のインクに対する浸透特性にかかわらず、液滴間の混合に起因する線幅の不均一や色ムラ等の解消を目途としているものはない。
【0006】
このような問題を解決する手段として、例えば、特許文献4の特開2008−023980公報、特許文献5の特開2008−000961号公報、特許文献6の特開2007−261203号公報に開示されるように、記録媒体上に紫外線硬化型のクリア液を下塗り層として塗布し、これに紫外線を照射して半硬化、又は、粘度制御(粘度上昇)させ、半硬化状態の下塗り層の上に有色のインクを吐出することで滲みや液滴間の混合を防止する技術がある。これらの技術では、有色インクを吐出する前に下塗り層を半硬化させているか又は粘度制御している。半硬化させるか又は粘度制御することで過度なインク滴の広がりを防止するものであるが、この半硬化状態を作り出す硬化の条件、粘度制御の条件は難しく、完全に硬化したり、ほとんど硬化しないなどのムラが発生し、このムラによってインク滴の広がりに差が生じてしまうという問題がある。
さらに付言すれば、特許文献4の特開2008−023980号公報記載の技術は前処理層を硬化させ、再度、前処理層を形成するものであり、特許文献5の特開2008−000961号公報及び特許文献6の特開2007−261203号公報記載の技術は、具体的には、それぞれ、付与された処理液の粘度を高める(半硬化)させる手段を含む発明、及び、硬化させないでインクを吐出させるものであり、これらは、その固有の目的達成のため、インク溶媒の蒸発又は浸透と架橋反応による分子量増加等の複数の粘度変化要因を考慮しつつ粘度制御する等の難かしい目標を満足しなければならない。これらは、未硬化の層にインクを吐出して、樹脂フィルムや樹脂加工紙等、種々の媒体のインクに対する浸透特性にかかわらず、液滴間の混合に起因する線幅の不均一や色ムラ等の解消を目途として画像を形成するものではない。
【0007】
これを防止するために未硬化の層にインクを吐出する技術があり、例えば、我々が先に提案(特許文献7の特願2010−127192号明細書参照。)しているものがある。未硬化の下塗り層の上に吐出されたインク滴は徐々に広がるものの下塗り層の影響で液滴同士が結合したり、滲んだりすることがない。
これらの手段は、液体が浸透しない(非インク浸透性)記録媒体に対しては有効な手段であるが、例えば、印刷用のコート紙のような液体が浸透するが、浸透しにくい(難インク浸透性)記録媒体においては、下塗り層の前処理液が記録媒体に浸透吸収されてしまうという問題がある。すなわち、非浸透性の記録媒体でしか使用できない手段になってしまう恐れがある。
媒体のインクに対する浸透特性にかかわらず、液滴間の混合に起因する線幅の不均一や色ムラ等の解消をしている技術は、本発明者らの知る限り、ない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記問題を解決することを目的とするものであり、より具体的には、非浸透性記録媒体に限らず浸透性記録媒体を用いた場合でも記録媒体間での画像均一性が高く、インク滲みや、液滴間の混合に起因する線幅の不均一や色ムラ等の発生を抑制できるインクジェット記録方法およびインクジェット記録装置を提供することを目的とし、この目的を達成することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題は、つぎの(1)〜(8)記載の画像形成方法および画像形成装置を含む本発明によって、解決される。
(1)「記録媒体の表面に活性エネルギー線硬化性の材料を含んだ無色または白色の前処理剤(A)を付与し、これに活性エネルギー線を照射して硬化させた後、活性エネルギー線硬化性の材料を含んだ無色または白色の前処理剤(B)を付与し、未硬化の状態で、活性エネルギー線硬化性の材料および色材を含んだインクをインクジェット方式により、吐出して画像を形成後、活性エネルギー線を照射して硬化させることを特徴とする画像形成方法」。
(2)「記録媒体の表面に活性エネルギー線硬化性の材料を含んだ無色または白色の前処理剤(A)を付与し、これに活性エネルギー線を照射して硬化させた後、活性エネルギー線硬化性の材料を含んだ無色の前処理剤(B)を付与し、未硬化の状態で、活性エネルギー線硬化性の材料および色材を含んだインクをインクジェット方式により、吐出して画像を形成後、活性エネルギー線を照射して硬化させる画像形成方法により、画像を形成する画像形成装置であって、記録媒体の搬送手段および表面に活性エネルギー線硬化性の材料を含んだ無色または白色の前処理剤(A)を付与する第一の前処理剤付与手段、付与された前処理剤(A)に活性エネルギー線を照射する硬化手段(I)、活性エネルギー線硬化性の材料を含んだ無色または白色の前処理剤(B)を付与する第二の前処理剤付与手段、および活性エネルギー線硬化性の材料並びに色材を含んだインクをインクジェット方式により、吐出して画像を形成する画像形成手段、および、画像形成後に活性エネルギー線を照射して硬化させる硬化手段(II)、を備えたことを特徴とする画像形成装置」。
(3)「少なくとも前記第一の前処理剤(A)付与手段としてローラ方式の塗布手段を用いていることを特徴とする前記(2)項に記載の画像形成装置」。
(4)「前記第二の前処理剤(B)付与手段としてインクジェット方式の付与手段を備え、画像データに応じて、有色インクを印射する領域にのみ付与することを特徴とする前記(2)項又は(3)項に記載の画像形成装置」。
(5)「前記第一の前処理剤(A)付与手段には白色の前処理剤(A2)を備え、第二の前処理剤(B)付与手段には無色の前処理剤(B1)を備えていることを特徴とする前記(2)項乃至(4)項のいずれかに記載の画像形成装置」。
(6)「記録媒体の表面に活性エネルギー線硬化性の材料を含んだ無色または白色の前処理剤(A)を付与し、これに活性エネルギー線を照射して硬化させた後、活性エネルギー線硬化性の材料を含んだ無色の前処理剤(B1)を付与し、未硬化の状態で、活性エネルギー線硬化性の材料および色材を含んだインクをインクジェット方式により、吐出して画像を形成後、活性エネルギー線を照射して硬化させる画像形成方法により、画像を形成する画像形成装置であって、記録媒体の搬送手段および表面に活性エネルギー線硬化性の材料を含んだ無色の前処理剤(A1)又は(B1)を付与する前処理剤付与手段と、活性エネルギー線硬化性の材料および色材を含んだインクをインクジェット方式により、吐出して画像を形成する画像形成手段、および、活性エネルギー線を照射して硬化させる硬化手段(I)を備え、硬化手段通過後の記録媒体を前処理付与手段の上流側に搬送する経路を備えていることを特徴とする画像形成装置」。
(7)「前記(6)項に記載の画像形成装置を用いた画像形成方法であって、記録媒体の表面に活性エネルギー線硬化性の材料を含んだ無色の前処理剤(A1)を付与し、画像形成手段による画像形成を行うことなく、これに活性エネルギー線を照射して硬化させた後、記録媒体を前処理剤付与手段の上流側に搬送し、前処理剤付与手段により、再び活性エネルギー線硬化性の材料を含んだ無色の前処理剤(B1)を付与し、未硬化の状態で、活性エネルギー線硬化性の材料および色材を含んだインクをインクジェット方式により、吐出して画像を形成後、活性エネルギー線を照射して硬化させることを特徴とする画像形成方法」。
(8)「前記(2)項乃至(6)項のいずれかに記載の画像形成装置を用い、記録媒体の前処理剤に対する浸透性により異なる処理を行うモードにより、浸透性の記録媒体に対しては、記録媒体の表面に活性エネルギー線硬化性の材料を含んだ無色の前処理剤(A1)を付与し、これに活性エネルギー線を照射して硬化させた後、活性エネルギー線硬化性の材料を含んだ無色の前処理剤(B1)を付与し、未硬化の状態で、活性エネルギー線硬化性の材料および色材を含んだインクをインクジェット方式により、吐出して画像を形成後、活性エネルギー線を照射して硬化させ、非浸透性の記録媒体に対しては、活性エネルギー線硬化性の材料を含んだ無色の前処理剤(A1)又は(B1)を付与し、未硬化の状態で、活性エネルギー線硬化性の材料および色材を含んだインクをインクジェット方式により、吐出して画像を形成後、活性エネルギー線を照射して硬化させることを特徴とする画像形成方法」。
【発明の効果】
【0010】
以下の詳細かつ具体的な説明から理解されるように、本発明によれば、選択された好適な前処理層付与モードにより得られた未硬化の層にインクを吐出することにより、非浸透性記録媒体に限らず浸透性記録媒体を用いた場合でも記録媒体間での画像均一性が高く、インク滲みや、液滴間の混合に起因する線幅の不均一や色ムラ等の発生を抑制できるインクジェット記録方法およびインクジェット記録装置が提供されるという、基分けて優れた効果が発揮される。
具体的な効果の一部を例示すれば、前記(1)項記載の画像形成方法により、未硬化の活性エネルギー線硬化型の前処理剤層に有色インクを印射して画像を形成し、インクのにじみや混色、インク滴の結合によるすじの発生などが起こらない画像形成方法において、浸透性の記録媒体に対しては、前処理剤の浸透によるドット径が不均一になる課題に対して、本発明の画像形成方法では、浸透を防止し、均一な大きさのドットを形成することができる。
前記(2)項記載の画像形成装置は、前記(1)項の画像形成方法を実現することが可能な画像形成装置であり、この装置を使用することで、浸透性の記録媒体でも高品質な画像を得ることができる。
前記(3)項記載の画像形成装置においては、第一の付与手段としてローラ方式の付与手段を用いることで、浸透性の記録媒体全面への均一な前処理剤の付与が可能で、前処理剤の使用量を低減できる。
前記(4)項記載の画像形成装置においては、第二の付与手段としてインクジェット方式の付与手段を用いて、画像データに応じて必要な領域にのみ前処理剤を付与することで、前処理剤(A)の使用量を低減できる。
前記(5)項記載の画像形成装置においては、第一の前処理剤(A)として白色の前処理剤(A2)を使用することで、記録媒体の色にかかわらず、同一の色域の画像を形成することができる。
前記(6)項記載の画像形成装置においては、装置の小型化を行うことができる。
前記(7)項記載の画像形成方法においては、浸透性の記録媒体でも高品質な画像を得ることができる。
前記(8)項記載の画像形成方法においては、浸透性の記録媒体に対しても高画質な画像を形成できる画像形成装置を用い、非浸透性の記録媒体に対しても、無駄なく効率的に高画質の画像を得ることができる画像形成方法であり、記録媒体の浸透性、非浸透性の特性の差によらず高品質な画像を得ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に係る画像形成方法及び画像形成装置の一例を示す図である。
【図2】本発明の処理プロセス、処理手段により形成される前処理層、インクの状態を模式的に説明する図である。
【図3】第1の前処理剤(A)の付与ならびに硬化を行わずに前処理剤(B)を付与した場合に形成される前処理剤層の状態を模式的に説明する図である。
【図4】本発明においる前処理剤層の厚さとそこに印射されたインク滴により形成されるドット径の関係を測定した結果としての本発明におけるドット径の前処理剤の層厚依存性の1例を示す図である。
【図5】本発明における前処理剤の付与手段例としてのローラ方式の付与手段例の拡大図である。
【図6】前記ローラ方式の付与手段の他の1例としての塗布液計量機構を備えた付与手段例を示す図である。
【図7】表面に均一なパターンの溝を形成したローラ、アニロックスローラにドクターブレードを押し当てて溝部の容積により付与量を計量する塗布液計量機構を説明する図である。
【図8】本発明における第一の前処理液(A)の付与手段としてローラ方式の付与手段を備え、第二の前処理液(B)の付与手段としてインクジェット方式の付与手段を備えている装置例を示す図である。
【図9】硬化手段通過後の記録媒体を、再度、前処理剤付与手段の上流側に搬送する経路を備えている画像形成装置例を説明する図である。
【図10】硬化手段通過後の記録媒体を、再度、前処理剤付与手段の上流側に搬送する経路を備えている画像形成装置の他の1例を説明する図である。
【図11】本発明において、記録媒体の特性に応じて処理モードを選択する場合を説明する処理システム例を示すシステムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を詳細に説明する。
[画像形成装置、画像形成方法]
図1を参照し、本発明に係る画像形成装置、画像形成方法の一例について具体的に説明する。
給紙部(給紙装置)から、被記録媒体が給紙され第一の前処理剤の付与部に搬送され、ここで表面に前処理剤(A)が付与される。付与後直ちに硬化手段により紫外線が照射されて硬化する。そして、第二の前処理剤の付与部において前処理剤(B)が付与され、そのまま、インク吐出部に搬送されて画像パターンに応じてインク滴が吐出され、硬化手段により、インク滴および前処理剤(B)は硬化される。
本発明は、上記のように、(i)記録媒体表面に硬化性材料を含んだ無色または白色の前処理剤(A)を付与し、これを活性エネルギー線照射により硬化させた後、活性エネルギー線硬化性の材料を含んだ無色または白色の前処理剤(B)を付与し、該前処理剤(B)の未硬化の状態で、活性エネルギー線硬化性の材料および色材を含んだインクをインクジェット方式により、吐出して画像を形成後、活性エネルギー線を照射して硬化させる態様の他に、後述の(ii)該前処理剤(A)又は(B)のうちのいずれかの付与を省略して、両前処理液のうち残りの(省略せず付与された)前処理液の未硬化状態で、活性エネルギー線硬化性の材料および色材を含んだインクをインクジェット方式により、吐出して画像を形成後、活性エネルギー線を照射して硬化させる態様を含み、樹脂フィルムやコート紙、上質紙等、記録媒体の種類、性質に応じて、選択可能にするものであるが、第1の前処理剤(A)は、無色の前処理剤(A1)と、白色の前処理剤(A2)の場合があり、第2の前処理剤(B)は、無色の前処理剤(B1)と白色の前処理剤(B2)の場合とがある。
第1の前処理剤(A)は、第2の前処理剤(B)と同じ又は類似のものであっても、異なるものであってもよい。同じ又は類似のものであることが、調製及び取扱いの利便性、付与量制御の容易性等の点から、好ましいことが多いが、被記録媒体の種類や性質(例えば、透明か不透明かや、浸透性の大小等)によっては、第1の前処理剤(A)を白色のものにしたり、比較高粘度(または高濃度)のものにするのが好ましいこともある。
【0013】
図2に示すように、被記録媒体上に最初付与された前処理剤(A)は、記録媒体に浸透するが硬化させることで表面に薄層を形成する。この上に付与される前処理剤(B)は、この硬化後の前処理剤層(A)により浸透することなく、未硬化の状態で被記録媒体の表面に層を形成し、ここに有色のインクで画像データに応じてインクが印射されると、未硬化の前処理剤層(B)の効果により、隣接するインク滴が混合することがなく、均一な大きさのドットを形成することができる。
【0014】
一方、図3のように第一の前処理剤の付与ならびに硬化を行わずに同前処理剤を付与した場合、有色のインクを印射する過程で前処理剤層は記録媒体に浸透している。
浸透にはムラがあり、場所によって前処理剤層の厚さが変化している。ここに印射されたインク滴は、前処理剤層の厚さによって異なった挙動を示す。図4は、前処理剤層の厚さとそこに印射されたインク滴により形成されるドット径の関係を測定した関係であり、薄層であるほどドット径が大きくなる傾向がある。これは、前処理剤層がインク滴が広がる際に抵抗となり、その厚さが厚いほど抵抗も大きくなることによるものと考えられる。このため、浸透性の記録媒体に未硬化の前処理剤層を形成し、そこにインクを印射した場合、前処理剤層の浸透により、前処理剤層の厚さにムラが生じて、結果として印射されたインク滴の広がりに差が生じることになり、ドット径にムラのある画像となり画像品質を低下させてしまうことになる。
浸透によるムラの影響を排除できる程度に前処理剤層を大量に付与し、そこにインクを印射すれば、均一なドット径の画像を形成することが可能となるが、前処理剤を大量に使用することになり、さらに図4に示すようにインク滴の広がりが抑制されるため、同一の濃度の画像を得るために使用するインクの量も増加することになり、コスト面で課題がある。
【0015】
本発明の前記(1)項に示すような画像形成方法とすることにより、浸透性の記録媒体においても前処理剤(B)の未硬化層を安定して保持し、そこに画像を印写し、最後に硬化させることで、インク滲みや、液滴間の混合に起因する線幅の不均一や色ムラ等の発生を抑制できる。
【0016】
前処理剤(A)(B)の付与手段としては、図1に示したようなローラ方式の付与手段が一般的である。図5はその拡大図であり、前処理剤(A)(B)を保持する容器内にその一部が浸漬している供給ローラとこれと適当な圧力で接触する塗布ローラおよび記録媒体への塗布時に記録媒体を塗布ローラへ接触させるための対向ローラから構成されている。
供給ローラによりくみ上げられた前処理剤(A)(B)は、塗布ローラとのニップ部において両ローラの圧力により通過量が規制され、塗布ローラ上に前処理剤(A)(B)の薄層を形成し、対向ローラにより記録媒体を塗布ローラに押し付けて搬送することで前処理剤(A)(B)を記録媒体に付与し、表面に前処理剤(A)(B)の薄層を形成する構成になっている。付与量は、前処理剤(A)(B)の粘度と塗布ローラおよび供給ローラのニップ部での圧力によって決まる。
このような方式は、付与量が塗布液の粘度や塗布装置のローラ間圧力に依存するので塗布量の変動が起こりやすい。これを解決する手段として図6のような計量機構を備えた付与手段がある。計量は、表面に均一なパターンの溝を形成したローラ、アニロックスローラにドクターブレードを押し当てて溝部の容積により付与量を計量する仕組みになっている。一般的に、アニロクスローラあるいはグラビアローラと呼ばれる計量ローラは、表面に図7のような、均一パターンの溝を加工されたローラで、代表的な溝パターンとして格子型、斜線型、ピラミッド型などがあり、そのピッチや深さにより付与量の調節が可能である。
【0017】
これらのローラ方式は、全面へ均一に付与する上では、機構が簡単で安定した付与ができる。また、図6のような計量手段を備えた機構を採用すれば、比較的高粘度の前処理剤であっても薄層での付与が可能となる。
ここで、ローラ方式の塗布手段としての例を2つ示しているが、これに限られるものでなく、ローラにより、記録媒体のほぼ全領域に渡って1度に前処理剤(A)(B)を付与するものであれば、本数や構成は異なっていても構わない。
これに対して、インクジェット方式での付与は、前処理液(A)(B)の粘度が吐出可能なレベル20mPa・s以下であることなどの制約はあるものの必要な箇所に必要な量を付与することができるという利点がある。
【0018】
ところで、第一の付与手段においては、浸透性の記録媒体に直接付与することになるため、インクジェット方式で全面に均一に付与することが難しい。インクジェット方式にて、浸透性の記録媒体の全面を覆うように前処理剤(A)を付与するには、着弾した状態で隣接するインク滴と結合する状態で付与する必要がある。印射された前処理剤(A)は記録媒体の表面に着弾後、浸透の影響でほとんど記録媒体の表面で広がることなく浸透するためであり、薄層で均一な付与を行うには、高密度で微少なインク滴で印射する必要がある。
これに対してローラ方式では、あらかじめ、ローラ上で薄層な状態となっている前処理剤層(A)を転写することになるため、全面への薄層での付与が容易である。
第一の付与手段により、前処理剤(A)を付与され、硬化した後の記録媒体の表面は、非浸透性の状態となっており、上記のような問題がなく、インクジェット方式においても、着弾後のインク滴は表面をぬれ広がることが可能で薄層での付与が容易に行える。
【0019】
そこで、本発明の前記(3)項記載の装置では、図8に示すように、第一の付与手段としてローラ方式の付与手段を備え、第二の付与手段としてインクジェット方式の付与手段を備えている。このような構成とすることで浸透性の記録媒体の表面全面を覆うような前処理剤(A)の付与が容易に行える。
さらに前記(4)項記載のように第一の付与手段では、前処理剤(A)を全面に付与し、第二の付与手段では、その後、有色インクを印射して画像を形成する領域を含みドットの広がりを考慮してややこれより広い領域に前処理液(B)を付与することにより、前処理剤全体の使用量の低減が可能になる。
【0020】
ここまでは、前処理剤として顔料を含まないクリアなものを使用する例について主に説明してきた。第二の前処理剤(B)の付与部においては、未硬化の前処理剤層(B)に有色なインクを印射するため、有色インクの色再現性の観点から、できる限り前処理剤(B)はクリアであることが好ましいが、第一の前処理剤付与部において付与される前処理剤(A)については有色インクが印射される前に硬化するため必ずしもクリアである必要がない。記録媒体がクリアな場合などには、有色インクによる色再現の領域が限定され、裏に白色の印刷を行った上で画像を印刷することが行われており、前記(5)項記載のように第一の前処理剤(A)の付与部において白色の前処理剤(A1)を使用することで同様の効果を得ることができる。すなわち、第一の前処理剤(A)に白色の前処理剤(A1)を使用することで、その上に形成される画像をより鮮やかに見せる効果がある。
【0021】
インク等に使用する白色の顔料としては酸化チタン粉末等を分散して使用することが一般的であるが、分散性が悪く沈降するなどの課題があり、インクジェット方式には向いていない。本発明の前記(3)項記載の装置を使用する場合、白色インクはローラ方式で付与することでヘッドの目詰まりや分散性の悪さに起因する問題を引き起こしにくいという特徴がある。
【0022】
前記(2)記載の装置では、前記(1)項記載の画像形成方法を実現するために第一および第二の前処理剤(A)および(B)の付与手段を備えていた。このように2つの手段を備えることで、前記(3)項、(4)記載の装置のように付与手段の形態を異なるものにしたり、前記(5)項記載のように異なる種類の前処理剤を付与することが可能となるが、装置としては、複雑で大きなものとなり、コストの面でも課題がある。
【0023】
そこで前記(6)項記載の装置では、図9に示すように、硬化手段通過後の記録媒体を前処理剤(A)又は(B)の付与手段の上流側に搬送する経路を備えている。すなわち、該(6)項に記載のように、前処理剤付与手段により、記録媒体の表面に活性エネルギー線硬化性の材料を含んだ無色の前処理剤(A1)又は(B1)を付与し、画像形成部では画像形成手段による画像形成を行うことなく、硬化手段により、活性エネルギー線を照射して硬化させた後、記録媒体を前処理剤付与手段の上流側に搬送する手段(この例では無端ベルト)により搬送し、前処理剤付与手段により、再び活性エネルギー線硬化性の材料を含んだ無色の前処理剤(A1)又は(B1)を付与し、未硬化の状態で、活性エネルギー線硬化性の材料および色材を含んだインクをインクジェット方式により吐出して画像を形成後に活性エネルギー線を照射して硬化させるものである。
このような構成とすることにより、1つの前処理剤付与手段ならびに硬化手段を利用して同様の画像形成方法を行うことができるので装置の小型化、低コスト化に有利である。
【0024】
このような構成はこれに限られるものではなく、例えば図10のように搬送用の回転可能なドラムと被記録材料クランプ部材を備えた構成であっても構わない。すなわち、給紙部から給紙された記録媒体は、搬送ドラムにクランプされ搬送される。最初、前処理剤付与手段により前処理剤を付与され、画像形成部でが印射を行うことなく、硬化手段である紫外線照射装置にて硬化される。そのまま、ドラム上にクランプされた状態で、再び、前処理剤付与部にて前処理剤が付与され、未硬化の状態で画像形成用のインクジェットヘッドにて画像データに応じて印射が行われ、硬化手段である紫外線照射装置にて硬化させられ、クランプを外れて、排紙部へ搬送されて画像を完成させるものである。
【0025】
本発明の画像形成方法は、浸透性の記録媒体に対しても非浸透性の記録媒体と同様に未硬化の活性エネルギー線硬化型の前処理剤(A)又は(B)を付与してその薄層中に有色インクを印射して、有色インクのにじみ(フェザリング)や混色やインク滴間の結合によるビーディングなどの不具合を解消するためのものであり、非浸透性の媒体においては、付与された前処理剤が記録媒体に浸透することがないので、本発明の第一の前処理剤(A)の付与ならびにその後の硬化を行うことなく、直接第二の前処理剤(B)の付与ならびに画像形成過程を行って構わない。そこで、前記(8)項記載の本発明の画像形成方法では、記録媒体の前処理剤の浸透特性により、異なる画像形成方法としている。すなわち、浸透性の記録媒体においては、前記(1)項に示すように、2回の前処理剤の付与を行い、非浸透性の記録媒体においては前処理剤の付与を1回しか行わないようにしている。
【0026】
記録媒体の浸透性の判定を自動的に装置内で行うことも考えられるが、判定を行うことは難しいので、予め、使用する記録媒体の特性に応じて作業者が、処理の方法を選択できるようにしておくと良い。(図11)
【0027】
ここで、紫外線を吸収することにより硬化するインクは、主成分として、重合性化合物、光開始剤及び色材を少なくとも含むものである。このほか、レベリング剤や反応促進剤、反応禁止剤、増感剤などの添加剤を含んでもよい。紫外線硬化型インクは、重合性化合物として、ラジカル重合性化合物を含むラジカル重合系インクとカチオン重合性化合物を含むカチオン重合系インクとに大別されるが、その両系のインクがそれぞれ適用可能であり、その混合系を用いても良い。
【0028】
本発明の装置では、前処理剤として色材を含まないクリアインクならびに白色の顔料を含んだものを使用し、有色インクとして黒、シアン、マゼンタ、イエローなどの色材を含んだものを主に使用するが、ホワイトなどの他、諧調表現を豊かにする薄色インクを併用することも適用可能である。
【0029】
本発明のカチオン重合型インクに用いるエポキシ化合物としては、例えばビスフェノールA型エポキシ、ビスフェノールBA型エポキシ、ビスフェノールF型エポキシ、ビスフェノールAD型エポキシ、フェノールノボラック型エポキシ、クレゾールノボラック型エポキシ、脂環式エポキシ、フルオレン系エポキシ、ナフタレン系エポキシ、グリシジルエステル化合物、グリシジルアミン化合物、複素環式エポキシ、αオレフィンエポキシ等を挙げることができる。
【0030】
特に脂環式エポキシ化合物は、粘度が低く且つ硬化速度が速く本発明のカチオン重合型インク組成物に好適に適用できる。例えば、3,4−エポキシシクロヘキセニルメチル−3’、4’−エポキシシクロヘキセンカルボキシレート及びこのε−カプロラクトン変成物、ビス−(3,4エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、1,2:8,9ジエポキシリモネン、ビニルシクロヘキセンモノオキサイド1,2−エポキシ−4−ビニルシクロヘキサンが好適に使用できる。
【0031】
本発明のカチオン重合型インクに用いるオキセタン化合物としては、インクに要求される特性に応じて適宜選択すれば良く、特に基材への密着性が特に重要となる場合は3−エチル−3−(フェノキシメチル)オキタセンが好適に使用できる。
本発明のカチオン重合型インクは、必要に応じてビニルエーテル化合物を混合することができる。好適に添加できるビニルエーテルとして例えば、2−エチルヘキシルビニルエーテル、ブタンジオール−1,4−ジビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、ジプロピレングリコールジビニルエーテル、ドデシルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、ヘキサンジオールジビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、メチルビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、ビニル4−ヒドロキシブチルエーテル、ビニルシクロヘキシルエーテル、ビニルプロピオネート、ビニルカルバゾール、ビニルビロリドン等が挙げられる。
【0032】
本発明のカチオン重合型インクの反応性成分として、必要に応じてプロペニルエーテル及びブテニルエーテルを配合できる。例えば1−ドデシル−1−プロペニルエーテル、1−ドデシル−1−ブテニルエーテル、1−ブテノキシメチル−2−ノルボネン、1−4−ジ(1−ブテノキシ)ブタン、1,10−ジ(1−ブテノキシ)デカン、1,4−ジ(1−ブテノキシメチル)シクロヘキサン、ジエチレングリコールジ(1−ブテニル)エーテル、1,2,3−トリ(1−ブテノキシ)プロパン、プロペニルエーテルプロピレンカーボネート等が好適に適用できる。
【0033】
本発明のカチオン重合型インクに適用できるカチオン重合開始剤は、紫外線等のエネルギー線を受けることにより重合を開始させる物質を生成する化合物であれば良く、オニウム塩であるアリールスルフォニウム塩やアリールヨウドニウム塩が好適に使用できる。さらに必要に応じて、N−ビニルカルバゾール、チオキサントン化合物、9,10−ジブトキシアントラセン等のアントラセン化合物等の光増感剤を併用できる。
【0034】
本発明におけるラジカル重合型インクの成分は、ラジカル重合開始剤から発生する開始種により重合反応を起こさせる各種公知のラジカル重合性のモノマーが好ましい。ラジカル重合性モノマーとしては、(メタ)アクリレート類、(メタ)アクリルアミド類、芳香族ビニル類、ビニルエーテル類及び内部二重結合を有する化合物(マレイン酸など)等が挙げられる。以下、単官能の重合性化合物、及び多官能の重合性化合物を詳細に例示する。
【0035】
単官能の(メタ)アクリレート類の具体例として、ヘキシル(メタ)アクリレート、2‐エチルヘキシル(メタ)アクリレート、tert−オクチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、4−n−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ボルニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシルジグリコール(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、2−クロロエチル(メタ)アクリレート、4−ブロモブチル(メタ)アクリレート、シアノエチル(メタ)アクリレート、ブトシキメチル(メタ)アクリレート、3−メトキシブチル(メタ)アクリレート、アルコキシメチル(メタ)アクリレート、アルコキシエチル(メタ)アクリレート、2−(2−メトキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、2−(2−ブトキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、1H,1H,2H,2H−パーフルオロデシル(メタ)アクリレート、4−ブチルフェニル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、2,4,5−テトラメチルフェニル(メタ)アクリレート、4−クロロフェニル(メタ)アクリレート、フェノキシメチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、グリシジロキシブチル(メタ)アクリレート、グリシジロキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジロキシプロピル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、トリメトキシシリルプロピル(メタ)アクリレート、トリメチルシリルプロピル(メタ)アクリレート、ポリエチレンオキシドモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、オリゴエチレンオキシドモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、ポリエチレンオキシド(メタ)アクリレート、オリゴエチレンオキシド(メタ)アクリレート、オリゴエチレンオキシドモノアルキルエーテル(メタ)アクリレート、ポリエチレンオキシドモノアルキルエーテル(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレンオキシドモノアルキルエーテル(メタ)アクリレート、オリゴプロピレンオキシドモノアルキルエーテル(メタ)アクリレート、2−メタクリロイロキシエチルコハク酸、2−メタクリロイロキシヘキサヒドロフタル酸、2−メタクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシプロピルフタレート、ブトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、トリフロロエチル(メタ)アクリレート、パーフロロオクチルエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、EO変性フェノール(メタ)アクリレート、EO変性クレゾール(メタ)アクリレート、EO変性ノニルフェノール(メタ)アクリレート、PO変性ノニルフェノール(メタ)アクリレート、EO変性−2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0036】
本発明に用いるラジカル重合型インクに使用できる単官能の(メタ)アクリルアミド類の例としては、(メタ)アクリルアミド、N‐メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−n−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−t−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロイルモルフォリン等が挙げられる。
【0037】
本発明に用いるラジカル重合型インクに使用できる単官能の前記芳香族ビニル類の具体例としては、スチレン、メチルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチルスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、クロルメチルスチレン、メトキシスチレン、アセトキシスチレン、クロルスチレン、ジクロルスチレン、ブロムスチレン、ビニル安息香酸メチルエステル、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、3−エチルスチレン、4−エチルスチレン、3−プロピルスチレン、4−プロピルスチレン、3−ブチルスチレン、4−ブチルスチレン、3−ヘキシルスチレン、4−ヘキシルスチレン、3−オクチルスチレン、4−オクチルスチレン、3−(2−エチルヘキシル)スチレン、4−(2−エチルヘキシル)スチレン、アリルスチレン、イソプロペニルスチレン、ブテニルスチレン、オクテニルスチレン、4−t−ブトキシカルボニルスチレン、4−メトキシスチレン、4−t−ブトキシスチレン等が挙げられる。
【0038】
本発明に用いるラジカル重合型インクに使用できる単官能ビニルエーテルの例として、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、t−ブチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、n−ノニルビニルエーテル、ラウリルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、シクロヘキシルメチルビニルエーテル、4−メチルシクロヘキシルメチルビニルエーテル、ベンジルビニルエーテル、ジシクロペンテニルビニルエーテル、2−ジシクロペンテノキシエチルビニルエーテル、メトキシエチルビニルエーテル、エトキシエチルビニルエーテル、ブトキシエチルビニルエーテル、メトキシエトキシエチルビニルエーテル、エトキシエトキシエチルビニルエーテル、メトキシポリエチレングリコールビニルエーテル、テトラヒドロフルフリルビニルエーテル、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、2−ヒドロキシプロピルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、4−ヒドロキシメチルシクロヘキシルメチルビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、ポリエチレングリコールビニルエーテル、クロルエチルビニルエーテル、クロルブチルビニルエーテル、クロルエトキシエチルビニルエーテル、フェニルエチルビニルエーテル、フェノキシポリエチレングリコールビニルエーテル等が挙げられる。
【0039】
二官能の(メタ)アクリレートの具体例として、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、2,4−ジメチル−1,5−ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、ブチルエチルプロパンジオール(メタ)アクリレート、エトキシ化シクロヘキサンメタノールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングルコールジ(メタ)アクリレート、オリゴエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、2−エチル−2−ブチル−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、EO変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールFポリエトキシジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、オリゴプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、2−エチル−2−ブチルプロパンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0040】
三官能の(メタ)アクリレートの具体例として、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンのアルキレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリス((メタ)アクリロイルオキシプロピル)エーテル、イソシアヌル酸アルキレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、プロピオン酸ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリス((メタ)アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ヒドロキシピバルアルデヒド変性ジメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ソルビトールトリ(メタ)アクリレート、プロポキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エトキシ化グリセリントリ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
【0041】
本発明に用いるラジカル重合型インクに使用できる多官能ビニルエーテルの例として、エチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、ポリエチレングリコールジビニルエーテル、プロピレングリコールジビニルエーテル、ブチレングリコールジビニルエーテル、ヘキサンジオールジビニルエーテル、ビスフェノールAアルキレンオキサイドジビニルエーテル、ビスフェノールFアルキレンオキサイドジビニルエーテルなどのジビニルエーテル類;トリメチロールエタントリビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル、ジトリメチロールプロパンテトラビニルエーテル、グリセリントリビニルエーテル、ペンタエリスリトールテトラビニルエーテル、ジペンタエリスリトールペンタビニルエーテル、ジペンタエリスリトールヘキサビニルエーテル、エチレンオキサイド付加トリメチロールプロパントリビニルエーテル、プロピレンオキサイド付加トリメチロールプロパントリビニルエーテル、エチレンオキサイド付加ジトリメチロールプロパンテトラビニルエーテル、プロピレンオキサイド付加ジトリメチロールプロパンテトラビニルエーテル、エチレンオキサイド付加ペンタエリスリトールテトラビニルエーテル、プロピレンオキサイド付加ペンタエリスリトールテトラビニルエーテル、エチレンオキサイド付加ジペンタエリスリトールヘキサビニルエーテル、プロピレンオキサイド付加ジペンタエリスリトールヘキサビニルエーテルなどの多官能ビニルエーテル類等が挙げられる。
【0042】
ビニルエーテル化合物としては、ジ又はトリビニルエーテル化合物が、硬化性、記録媒体との密着性、形成された画像の表面硬度などの観点から好ましく、特にジビニルエーテル化合物が好ましい。
【0043】
本発明に用いることができる着色剤は特に制限はなく、公知の水溶性染料、油溶性染料及び顔料等から適宜選択して用いることができる。その中でも非水溶性媒体に均一に分散、溶解しやすい油溶性染料、顔料が好ましい。
【0044】
具体的にはインク組成物中、光硬化性樹脂モノマーは10〜70重量パーセントを占めるが、有効なものとしては、分子構造中にラジカル重合可能な不飽和二重結合を有する比較的低粘度の樹脂モノマーで、例えば、単官能基の2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート(EHA)、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート(HEA)、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート(HPA)、カプロラクトン変性テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレート、3−メトキシブチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、2−フェノキシエチル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、カプロラクトン(メタ)アクリレート、エトキシ化ノニルフェノール(メタ)アクリレート、二官能基のトリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールヒドロキシピバリン酸エステルジ(メタ)アクリレート(MANDA)およびヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールエステルジ(メタ)アクリレート(HPNDA)、1.3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート(BGDA)、1.4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート(BUDA)、1.6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート(HDDA)、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート(DEGDA)、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート(NPGDA)、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート(TPGDA)、カプロラクトン変性ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールエステルジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化オペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、エトキシ変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール200ジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール400ジ(メタ)アクリレート、多官能基のトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート(TMPTA)、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート(PETA)、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート(DPHA)、トリアリルイソシアネート、ε−カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールの(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロポキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロポキシ化グリセリルトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタ(メタ)アクリレートエステル等が好ましい。
【0045】
具体的には、KAYARAD TC−110S、KAYARAD R−128H、KAYARAD R−526、KAYARAD NPGDA、KAYARAD PEG400DA、KAYARAD MANDA、KAYARAD R−167、KAYARAD HX−220、KAYARAD HX−620、KAYARAD R−551、KAYARAD R−712、KAYARAD R−604、KAYARAD R−684、KAYARAD GPO、KAYARAD TMPTA、KAYARAD THE−330、KAYARAD TPA−320、KAYARAD TPA−330、KAYARAD PET−30、KAYARAD RP−1040、KAYARAD T−1420、KAYARAD DPHA、KAYARAD DPHA−2C、KAYARAD D−310、KAYARAD D−330、KAYARAD DPCA−20、KAYARAD DPCA−30、KAYARAD DPCA−60、KAYARAD DPCA−120、KAYARAD DN−0075、KAYARAD DN−2475、KAYAMER PM−2、KAYAMER PM−21、KSシリーズHDDA、TPGDA、TMPTA、SRシリーズ256、257、285、335、339A、395、440、495、504、111、212、213、230、259、268、272、344、349、601、602、610、9003、368、415、444、454、492、499、502、9020、9035、295、355、399E494、9041203、208、242、313、604、205、206、209、210、214、231E239、248、252、297、348、365C、480、9036、350(日本化薬社製)、ビームセット770(荒川化学社製)等が使用できる。
【0046】
ビヒクルはこれらの中から選ばれる少なくとも1種、または2種以上を混合して用いることができる。これらはいずれも記録媒体へのぬれ性が良好で広範囲の各種被着体物質に対し密着性に優れる。
【0047】
更に、低粘度化および高速化のために水および溶剤を添加しても良い。インク組成物の構成成分をいずれも良く溶解させ、印字後は速やかに蒸発するものであればいずれの溶剤でも良い。このために使用する溶剤は、ケトンおよび/またはアルコールを主溶剤とするのが好ましく、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メタノール、エタノール、イソプロパノール等を単独又は混合さらに水との混合溶剤として使用するのが好ましい。
【0048】
光開始剤としては、ビヒクル総量中0.01重量パーセントから10重量パーセント含まれる。例えば、ベンゾインエーテル系、アセトフェノン系,ベンゾフェノン系、ベンゾフェノン、チオキサントン系、その他アシルホスフィンオキサイド、メチルフェニルグリオキシレート等の特殊グループがあり、ベンゾインアルキルエーテル、ベンジルメチルケタール、ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、p−イソプロピル−α−ヒドロキシイソブチルフェノン、1,1−ジクロロアセトフェノン、2−クロロチオキサントン等が選ばれる。
【0049】
光開始助剤としては、トリエタノールアミン、2−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、重合性3級アミン等が挙げられる。
具体的には、バイキュア10、30、55(ストウファー社製)、KAYACURE BP−100、KAYACURE BMS、KAYACURE DETX−S、KAYACURE CTX、KAYACURE 2−EAQ、KAYACURE DMBI、KAYACURE EPA(日本化薬社製)、イルガキュア651、184、907、369(チバガイギ)、ダロキュア1173、1116、953、2959、2273、1664(メルク)、サンドレ1000(サンド)、カウンタキュアCTX、カウンタキュアBMS、カウンタキュアITX、カウンタキュアPDO、カウンタキュアBEA、DMB(ワードブレンキンソップ)、サンキュアーIP、BTTP(日本油脂社製)等が望ましい。その他、光開始剤含有タイプの光硬化型樹脂を使用しても良い。
【0050】
着色剤としては上記ビヒクルに良分散して耐候性に優れた顔料が望ましい。特に限定されるわけではないが、本発明には例えばカラーインデックスに記載される下記の番号の有機又は無機顔料が使用できる。
赤あるいはマゼンタ顔料としては、Pigment Red 3、5、19、22、31、38、43、48:1、48:2、48:3、48:4、48:5、49:1、53:1、57:1、57:2、58:4、63:1、81、81:1、81:2、81:3、81:4、88、104、108、112、122、123、144、146、149、166、168、169、170、177、178、179、184、185、208、216、226、257、Pigment Violet 3、19、23、29、30、37、50、88、Pigment Orange 13、16、20、36、青またはシアン顔料としては、pigment Blue 1、15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、17−1、22、27、28、29、36、60、緑顔料としては、Pigment Green 7、26、36、50、黄顔料としては、Pigment Yellow 1、3、12、13、14、17、34、35、37、55、74、81、83、93、94,95、97、108、109、110、137、138、139、153、154、155、157、166、167、168、180、185、193、黒顔料としては、Pigment Black 7、28、26などが目的に応じて使用できる。
【0051】
具体的に商品名を示すと、例えば、クロモファインイエロー2080、5900、5930、AF−1300、2700L、クロモファインオレンジ3700L、6730、クロモファインスカーレット6750、クロモファインマゼンタ6880、6886、6891N、6790、6887、クロモファインバイオレットRE、クロモファインレッド6820、6830、クロモファインブルーHS−3、5187、5108、5197、5085N、SR−5020、5026、5050、4920、4927、4937、4824、4933GN−EP、4940、4973、5205、5208、5214、5221、5000P、クロモファイングリーン2GN、2GO、2G−550D、5310、5370、6830、クロモファインブラックA−1103、セイカファストエロー10GH、A−3、2035、2054、2200、2270、2300、2400(B)、2500、2600、ZAY−260、2700(B)、2770、セイカファストレッド8040、C405(F)、CA120、LR−116、1531B、8060R、1547、ZAW−262、1537B、GY、4R−4016、3820、3891、ZA−215、セイカファストカーミン6B1476T−7、1483LT、3840、3870、セイカファストボルドー10B−430、セイカライトローズR40、セイカライトバイオレットB800、7805、セイカファストマルーン460N、セイカファストオレンジ900、2900、セイカライトブルーC718、A612、シアニンブルー4933M、4933GN−EP、4940、4973(大日精化工業社製)、KET Yellow 401、402、403、404、405、406、416、424、KET Orange 501、KET Red 301、302、303、304、305、306、307、308、309、310、336、337、338、346、KET Blue 101、102、103、104、105、106、111、118、124、KET Green 201(大日本インキ化学社製)、Colortex Yellow 301、314、315、316、P−624、314、U10GN、U3GN、UNN、UA−414、U263、Finecol Yellow T−13、T−05、Pigment Yellow1705、Colortex Orange 202、Colortex Red101、103、115、116、D3B、P−625、102、H−1024、105C、UFN、UCN、UBN、U3BN、URN、UGN、UG276、U456、U457、105C、USN、Colortex Maroon601、Colortex BrownB610N、Colortex Violet600、Pigment Red 122、Colortex Blue516、517、518、519、A818、P−908、510、Colortex Green402、403、Colortex Black 702、U905(山陽色素社製)、Lionol Yellow1405G、Lionol Blue FG7330、FG7350、FG7400G、FG7405G、ES、ESP−S(東洋インキ社製)、Toner Magenta E02、Permanent RubinF6B、Toner Yellow HG、Permanent Yellow GG−02、Hostapeam BlueB2G(ヘキストインダストリ社製)、カーボンブラック#2600、#2400、#2350、#2200、#1000、#990、#980、#970、#960、#950、#850、MCF88、#750、#650、MA600、MA7、MA8、MA11、MA100、MA100R、MA77、#52、#50、#47、#45、#45L、#40、#33、#32、#30、#25、#20、#10、#5、#44、CF9、(三菱化学社製)などが挙げられる。
顔料の添加量は1〜20重量部が適量である。0.1重量部未満では画像品質が低下し、20重量部より多いとインク粘度特性に悪影響を与える。また、色の調整等で2種類以上の着色剤を適時混合して使用できる。
【0052】
本発明のインク組成物に更に機能性を発現するため、各種の増感剤、光安定化剤、表面処理剤、界面活性剤、粘度低下剤、酸化防止剤、老化防止剤、架橋促進剤、重合禁止剤、可塑剤、防腐剤、pH調整剤、消泡剤、保湿剤、分散剤、染料等を混合することができる。
【0053】
上記したビヒクル、着色剤及びその他の成分の混合、分散にはビーズミル、ホモジナイザが最適であるが周知の各種の粉砕又は分散装置が特に制限無く使用できる。
【0054】
硬化手段として用いる光源としては、紫外線を照射するものとして、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、熱陰極管、冷陰極管、LED等が適用可能である。UV照射ランプにおいては熱が発生し、被記録体が変形してしまう可能性があるため、冷却機構、例えば、コールドミラー、コールドフィルター、ワーク冷却等が具備されていると望ましい。
【0055】
本発明に適用することができる光源の例としては、メタルハライドは、波長領域が広いため前処理剤を硬化させる光源として有効である。メタルハライドはPb、Sn、Feなどの金属のハロゲン化物が用いられ、光開始剤の吸収スペクトルに合わせて選択できる。
硬化に有効であるランプであれば、特に制限無く使用できる。
【0056】
インク吐出手段はその下面に列上に並んだ複数のノズルと各々のノズル位置に対応したインク室を備え、アクチュエータによって各インク室の体積を変化させることによって、任意のノズルから任意のタイミングでノズルからインクの滴を吐出することができる。
吐出ヘッドは、主走査方向に必要な数配置して幅方向を一度に画像形成するいわゆるライン型のヘッドであっても、記録媒体を停止させた状態でヘッドを主走査方向へ移動させることで記録媒体の幅方向への吐出を行うシリアル型であっても構わない。
【実施例】
【0057】
本発明の効果を確認するために下記の条件でインクドット画像を形成し、そのドット径のムラを測定して評価した。
浸透性の記録媒体として、王子製紙製のコート紙、(a)OKトップコート+および(b)ミラーコートプラチナを使用し、
(I).前処理剤の付与手段として図5のような構成のローラ塗布装置により、厚さ換算で2μm相当の付与量となるように条件を決めて付与した。
付与後、Integration Technology社Sub Zero 085(Aバルブ)を使用して硬化させた。搬送速度500mm/sで距離3mmで照射した。
(II).再度、図5の装置で前処理剤を付与した。
(III).リコープリンティングシステム社製Gen4ヘッドを使用した吐出装置により、黒インク(吐出液体)を150dpiの孤立ドットパターンを印写し、Integration Technology社Sub Zero 085(Aバルブ)を使用して硬化させた。
キーエンス社製 マイクロスコープ VHX−200で任意に10箇所のドット径の測定を行い、全てが75±5μmであった場合を○とし、これ以外を×と判定した。
比較のために非浸透性の媒体としてペットフィルム(東レ社製 ルミラー E20 厚さ100μm)を使用した結果ならびに(I)の工程なしで(II)(III)の工程を行った結果を示している。
【0058】
[前処理剤およびインク]
<前処理剤>
下記組成の光硬化性材料液を常法により調製した。
・(2−メチル−2−エチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メチルアクリレート(MEDOL−10、大阪有機化学工業株式会社製) ・・・70質量部
・ハイパーブランチポリマー(大阪有機化学工業株式会社製、ビスコート#1000)
・・・30質量部
・光開始剤(Ciba社製、イルガキュア379) ・・・10質量部
【0059】
<吐出液体>
下記組成の吐出液体B−1を常法により調製した。
・低分子モノマーアクリレート プロポキシ化(2)ネオペンチルグリコールジアクリレート(Sartomer SR9003)
トリプロピレングリコールジアクリレート(日本化薬社製 カヤラッド TPGDA)
その他の添加剤 少量 の混合液 ・・・100質量部
・光開始剤(Ciba社製、イルガキュア379) ・・・・10質量部
・着色剤 カーボンブラック(三菱化学社製 MA−7) ・・・・・5質量部
【0060】
【表1】

【0061】
浸透性の記録媒体においては、いずれの紙でも工程(I)を行わないで(II)(III)で画像を形成した場合、前処理剤が部分的に記録媒体に浸透されてしまい、記録媒体の表面に残留している前処理剤層の厚さにムラができてドットの大きさのばらつきが大きくなった。これに対して、工程(I)を実施後に(II)(III)を行う本発明の画像形成方法では、浸透性の媒体でも未硬化の前処理剤層を安定して維持できるためドットの大きさが均一になっており、本発明の画像形成方法の効果を確認できた。
一方、非浸透性の媒体に対しては、(I)の工程の有無にかかわらず、均一な径のドットを形成することができている。この結果から、(I)の工程を行う必要性はなく、実施することは前処理剤を無駄に使用することになる。このことから、前記(7)項記載の本発明の画像形成方法の効果を確認できた。
以上の結果から、本発明の画像形成装置および方法を用いて画像を形成することにより、浸透性の記録媒体に対しても均一な画素径を得ることができることを確認できた。
【符号の説明】
【0062】
1 前処理液(A)の付与手段
2 活性エネルギー(紫外線)照射手段(I)
3 前処理液(B)の付与手段
4 インク吐出ヘッド
5 活性エネルギー(紫外線)照射手段(II)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0063】
【特許文献1】特開2004−42548号公報
【特許文献2】特開2004−42525号公報
【特許文献3】特開2008−238747号公報
【特許文献4】特開2008−023980号公報
【特許文献5】特開2008−000961号公報
【特許文献6】特開2007−261203号公報
【特許文献7】特願2010−127192号明細書

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体の表面に活性エネルギー線硬化性の材料を含んだ無色または白色の前処理剤(A)を付与し、これに活性エネルギー線を照射して硬化させた後、活性エネルギー線硬化性の材料を含んだ無色または白色の前処理剤(B)を付与し、未硬化の状態で、活性エネルギー線硬化性の材料および色材を含んだインクをインクジェット方式により、吐出して画像を形成後、活性エネルギー線を照射して硬化させることを特徴とする画像形成方法。
【請求項2】
記録媒体の表面に活性エネルギー線硬化性の材料を含んだ無色または白色の前処理剤(A)を付与し、これに活性エネルギー線を照射して硬化させた後、活性エネルギー線硬化性の材料を含んだ無色の前処理剤(B)を付与し、未硬化の状態で、活性エネルギー線硬化性の材料および色材を含んだインクをインクジェット方式により、吐出して画像を形成後、活性エネルギー線を照射して硬化させる画像形成方法により、画像を形成する画像形成装置であって、記録媒体の搬送手段および表面に活性エネルギー線硬化性の材料を含んだ無色または白色の前処理剤(A)を付与する第一の前処理剤付与手段、付与された前処理剤(A)に活性エネルギー線を照射する硬化手段(I)、活性エネルギー線硬化性の材料を含んだ無色または白色の前処理剤(B)を付与する第二の前処理剤付与手段、および活性エネルギー線硬化性の材料並びに色材を含んだインクをインクジェット方式により、吐出して画像を形成する画像形成手段、および、画像形成後に活性エネルギー線を照射して硬化させる硬化手段(II)、を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
すくなくとも前記第一の前処理剤(A)付与手段としてローラ方式の塗布手段を用いていることを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記第二の前処理剤(B)付与手段としてインクジェット方式の付与手段を備え、画像データに応じて、有色インクを印射する領域にのみ付与することを特徴とする請求項2又は3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記第一の前処理剤(A)付与手段には白色の前処理剤(A2)を備え、第二の前処理剤(B)付与手段には無色の前処理剤(B1)を備えていることを特徴とする請求項2乃至4のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項6】
記録媒体の表面に活性エネルギー線硬化性の材料を含んだ無色または白色の前処理剤(A)を付与し、これに活性エネルギー線を照射して硬化させた後、活性エネルギー線硬化性の材料を含んだ無色の前処理剤(B1)を付与し、未硬化の状態で、活性エネルギー線硬化性の材料および色材を含んだインクをインクジェット方式により、吐出して画像を形成後、活性エネルギー線を照射して硬化させる画像形成方法により、画像を形成する画像形成装置であって、記録媒体の搬送手段および表面に活性エネルギー線硬化性の材料を含んだ無色の前処理剤(A1)又は(B1)を付与する前処理剤付与手段と、活性エネルギー線硬化性の材料および色材を含んだインクをインクジェット方式により、吐出して画像を形成する画像形成手段、および、活性エネルギー線を照射して硬化させる硬化手段(I)を備え、硬化手段通過後の記録媒体を前処理付与手段の上流側に搬送する経路を備えていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
請求項6記載の画像形成装置を用いた画像形成方法であって、記録媒体の表面に活性エネルギー線硬化性の材料を含んだ無色の前処理剤(A1)を付与し、画像形成手段による画像形成を行うことなく、これに活性エネルギー線を照射して硬化させた後、記録媒体を前処理剤付与手段の上流側に搬送し、前処理剤付与手段により、再び活性エネルギー線硬化性の材料を含んだ無色の前処理剤(B1)を付与し、未硬化の状態で、活性エネルギー線硬化性の材料および色材を含んだインクをインクジェット方式により、吐出して画像を形成後、活性エネルギー線を照射して硬化させることを特徴とする画像形成方法。
【請求項8】
請求項2乃至6のいずれかに記載の画像形成装置を用い、記録媒体の前処理剤に対する浸透性により異なる処理を行うモードにより、浸透性の記録媒体に対しては、記録媒体の表面に活性エネルギー線硬化性の材料を含んだ無色の前処理剤(A1)を付与し、これに活性エネルギー線を照射して硬化させた後、活性エネルギー線硬化性の材料を含んだ無色の前処理剤(B1)を付与し、未硬化の状態で、活性エネルギー線硬化性の材料および色材を含んだインクをインクジェット方式により、吐出して画像を形成後、活性エネルギー線を照射して硬化させ、非浸透性の記録媒体に対しては、活性エネルギー線硬化性の材料を含んだ無色の前処理剤(A1)又は(B1)を付与し、未硬化の状態で、活性エネルギー線硬化性の材料および色材を含んだインクをインクジェット方式により、吐出して画像を形成後、活性エネルギー線を照射して硬化させることを特徴とする画像形成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−106350(P2012−106350A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−254948(P2010−254948)
【出願日】平成22年11月15日(2010.11.15)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】