説明

画像形成方法及び画像形成装置

【課題】照射効率に優れ、中高速で十分な定着性を与えることができ、さらに、定着したトナー画像を擦ったときでもトナーによる汚染を抑制することができる画像形成方法及び画像形成装置を提供する。
【解決手段】少なくとも感光体に静電潜像を形成する露光工程と、露光工程により形成された静電潜像をトナーにより現像する現像工程と、感光体上のトナー像を転写材に転写する転写工程と、トナー像を転写材に加熱定着する定着工程と、を含む画像形成方法であって、トナーは、金属又は金属酸化物の少なくとも一方を含むマイクロ波吸収剤を含有し、定着工程では、転写材にトナー像が転写した面の裏面からマイクロ波を照射する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成方法及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、未定着画像を記録媒体に定着させるためには、加熱と加圧を同時に行うローラ定着方式が多用されている。しかしながら、この方式はローラを加熱するためには時間が必要であり、急速にスタートさせるためには停止時も加熱待機する必要があり、消費電力を下げる大きな障壁となっていた。
そのため、ローラの改良により加熱ローラ部材の必要熱量を低下させて、待機温度を低下させ、待機時に必要以上に加熱しない技術が開発されてはいるが、これら熱伝導を利用した接触方式の欠点として、紙などの記録媒体も同時に加熱するため、大容量の熱が必要となってしまうために消費電力が多くなるという問題がある。
【0003】
一方、フラッシュ定着やレーザー定着、マイクロ波定着、高周波定着といった非接触定着方式ではトナーを選択的に加熱することができ、急速スタートが可能であるという利点がある。しかし、トナーが溶融しても加圧工程がなく、トナーが変形しないため、特に中高速でのトナーの記録媒体に対する密着強度が劣るという欠点がある。
この欠点を改善するために、トナー自身の熱軟化性を高めるため、低分子量の樹脂を用いることが検討されており、非接触定着法で優れた定着性を示したが、画像−画像、画像−媒体の重ね合わせの画像保存性に欠点を有する。これはトナー自体の高温時における粘弾性に起因するものと考えられるが、実用上では画像同士が貼り付いてしまうという問題が生じている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
非接触方式でもトナーと紙のような媒体との密着強度を上げ、しかも十分な画像安定性を得るため、マイクロ波によりトナーを選択的に発熱させ、同じ消費電力でもトナーを高温にすることで密着強度を向上させるものが提案されている。その発熱物質としては水、エチルアルコール、エチレングリコールに代表される液体物質やカーボンブラック、磁性体微粒子、各種金属粉のような固体物質が挙げられている。
マイクロ波発熱物質として液体を使用する場合、加熱され易く、液体の対流によって、発熱体の温度が均一になり、トナー全体を加熱することができる。
しかしながら、液体は蒸発し易いため、蒸発した場合、液体の沸点以上の温度に達しずに、トナーを十分に溶融することができない場合がある。また、蒸気として飛散した場合やトナーより液体が漏れた場合には、周辺の機器や装置や装置に影響を及ぼし、機器外に飛散しオフィス環境にも影響を及ぼす可能性がある。また、その排気のための強制ファン等を設置した場合は、煩雑な装置となってしまう(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
一方、マイクロ波発熱物質として、カーボンブラック、磁性体微粒子、各種金属粉のような固体物質を使用する場合、液体物質による発熱に比べ、蒸気として飛散するものが含まれず、装置汚染や残留液体による画像の可塑化による画像保存性の悪化もなくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−248819号公報
【特許文献2】特開2010−026386号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、マイクロ波照射装置は紙などの媒体上のトナー未定着画像側に配置する構造をとる場合、トナー粒子中の媒体との接触面付近の発熱が遅れるため、マイクロ波は過多の消費エネルギーが必要となり、照射効率が悪いという問題がある。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、照射効率に優れ、中高速で十分な定着性を与えることができ、さらに、定着したトナー画像を擦ったときでもトナーによる汚染を抑制することができる画像形成方法及び画像形成装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の発明によれば、少なくとも感光体に静電潜像を形成する露光工程と、前記露光工程により形成された前記静電潜像をトナーにより現像する現像工程と、前記感光体上のトナー像を転写材に転写する転写工程と、前記トナー像を前記転写材に加熱定着する定着工程と、を含む画像形成方法であって、
前記トナーは、金属又は金属酸化物の少なくとも一方を含むマイクロ波吸収剤を含有し、
前記定着工程では、前記転写材に前記トナー像が転写した面の裏面からマイクロ波を照射することを特徴とする画像形成方法が提供される。
【0009】
請求項2の発明によれば、前記トナーがコアシェル構造を有し、
前記シェル層に前記マイクロ波吸収剤を含有することを特徴とする請求項1に記載の画像形成方法が提供される。
【0010】
請求項3の発明によれば、前記トナーは、水系媒体中で、少なくとも着色剤及び樹脂を含むコアを形成した後、前記マイクロ波吸収剤及び樹脂粒子を凝集・融着させて前記シェル層を形成することによって製造することを特徴とする請求項2に記載の画像形成方法が提供される。
【0011】
請求項4の発明によれば、請求項1〜3のいずれか一項に記載の画像形成方法において使用される画像形成装置であって、
前記転写材に前記トナー像が転写した面の裏面側に、マイクロ波を照射するマイクロ波照射手段を配置した定着装置を有することを特徴とする画像形成装置が提供される。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、トナーはマイクロ波吸収剤を含有し、定着工程では、転写材にトナーが転写した面の裏面からマイクロ波を照射するので、マイクロ波によって未定着トナー像を選択的に加熱して、定着させることができ、照射効率に優れる。
また、クイックスタートも可能であり、中高速で十分な定着性を与えることができる。さらに、定着したトナー画像を擦ったときでもトナーによる汚染を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明で使用するデジタル画像形成装置の内部構成を示す図である。
【図2】定着装置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明について具体的に説明する。
本発明の画像形成方法は、少なくとも感光体に静電潜像を形成する露光工程と、露光工程により形成された静電潜像をトナーにより現像する現像工程と、感光体上のトナー像を転写材に転写する転写工程と、トナーを転写材に加熱定着する定着工程と、を含む画像形成方法である。そして、トナーは、金属又は金属酸化物の少なくとも一方を含むマイクロ波吸収剤を含有し、定着工程では、転写材にトナーが転写した面の裏面からマイクロ波を伝播させる。
【0015】
まず、本発明の画像形成方法で使用するトナーについて説明する。
[トナー]
トナーは、少なくとも結着樹脂、着色剤及びマイクロ波を受けて熱を発生するマイクロ波吸収剤(マイクロ波吸収性化合物)を含有するトナー粒子よりなる。
トナーにおけるマイクロ波吸収剤含有割合は、1〜15質量%、好ましくは2〜10質量%である。
トナーにおけるマイクロ波吸収剤の含有割合を1〜15質量%としたのは、1質量%未満である場合には、十分な量の熱を発生させることができず、従ってトナーを転写材に定着させることができない。また、マイクロ波吸収剤の含有割合が15質量%を超える場合は、過発熱が起きて制御が困難になる等、画像定着性のばらつきの原因となるという不具合が生じるためである。
【0016】
本発明におけるトナー粒子は、結着樹脂及び着色剤を含有するコア粒子と、その外周面を被覆するシェル樹脂よりなるシェル層とよりなるコア−シェル構造のものとされていてもよい。トナー粒子がコア−シェル構造のものとして構成される場合、トナー粒子においては、コア樹脂とシェル樹脂は異なるものであっても同一のものであってもよい。マイクロ化吸収性化合物はコア粒子に含有されていてもよく、シェル層に含有されていてもよく、その両方に含有されていてもよいが、好ましくは、マイクロ波吸収性化合物はシェル層に含有されていることが望ましい。
着色能とマイクロ波吸収能を兼ね備えた化合物の場合にも、コア粒子に含有されていてもよく、シェル層に含有されていてもよく、その両方に含有されていてもよいが、好ましくは、マイクロ波吸収剤はシェル層に含有されていることが望ましい。
コア−シェル構造のトナー粒子とは、シェル層がコア粒子を完全に被覆している形態のみならず、コア粒子の一部を被覆しているものであってもよい。また、シェル層を構成するシェル樹脂の一部がコア粒子中にドメインなどを形成しているものであってもよい。さらに、シェル層は、組成の異なる樹脂よりなる2層以上の多層構造を有するものであってもよい。
【0017】
《マイクロ波吸収剤》
本発明でいうマイクロ波吸収剤は、マイクロ波照射手段を配置した定着装置から伝播されるマイクロ波をトリガーとして熱を発し、結着樹脂の溶融を行う特徴があり、黒色のトナー用の着色剤として一般に用いられる、カーボンブラック、磁性体や酸化金属類を使用することができる。
例えば、カーボンブラックとしてはチャンネルブラック、ファーネスブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ランプブラックなどが挙げられ、また、磁性体としてはマグネタイト、フェライトなどの酸化鉄、及び他の金属酸化物を含む磁性酸化鉄;Fe,Co,Niのような金属、あるいは、これらの金属とAl,Co,Pb,Mg,Ni,Sn,Zn,Sb,Be,Bf,Cd,Ca,Mn,Se,Ti,W,Vのような金属との合金、及びこれらの混合物等が挙げられる。
従来より、四三酸化鉄(Fe34)、三二酸化鉄(Fe23)、酸化鉄亜鉛(ZnFe24)、酸化鉄イットリウム(Y3Fe512)、酸化鉄カドミウム(Cd3Fe24)、酸化鉄ガドリニウム(Gd3Fe512)、酸化鉄鋼(CuFe24)、酸化鉄鉛(PbFe1219)、酸化鉄ニッケル(NiFe24)、酸化鉄ネオジム(NdFe23)、酸化鉄バリウム(BaFe1219)、酸化鉄マグネシウム(MgFe24)、酸化鉄マンガン(MnFe24)、酸化鉄ランタン(LaFeO3)、鉄粉(Fe)、コバルト粉(Co)、ニッケル粉(Ni)等が知られている。酸化金属類としては、例えばSiO2、TiO2、Al23、CuO、ZnO、SnO2、CeO2、MgO、BaO、CaO、K2O、Na2O、ZrO2、CaO・SiO2、K2O・(TiO2)n、Al23・2SiO2が挙げられる。上述した材料は単独で或いは2種以上の組合せで選択し使用することができる。
【0018】
《結着樹脂》
本発明に係るトナー粒子を構成する結着樹脂としては、具体的には、ポリエステル樹脂、スチレン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、スチレン−アクリル系樹脂、オレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリスルフォン系樹脂、ポリウレタン系樹脂などを挙げることができる。これらは1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0019】
結着樹脂としては、例えば、多価アルコールと多価カルボン酸とを用い、これらを重縮合させて得たポリエステル樹脂、または、スチレン系重合性単量体およびアクリル系重合性単量体を共重合することによって得たスチレン−アクリル系樹脂を主成分とするものを用いることが好ましい。
【0020】
ポリエステル樹脂を形成すべき多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−ドデカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,13−トリデカンジオール、1,14−テトラデカンジオール、1,18−オクタデカンジオール、1,20−エイコサンジオールなどの脂肪族ジオール;ビスフェノールA、ビスフェノールFなどのビスフェノール類;およびこれらのエチレンオキサイド付加物、プロピレンオキサイド付加物などのビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物などを挙げることができ、また、3価以上の多価アルコールとしては、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトールなどが挙げられる。さらに、製造コストや環境性から、シクロヘキサンジメタノールやネオペンチルアルコールなどを用いることが好ましい。これらは、1種単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0021】
ポリエステル樹脂を形成すべき多価カルボン酸としては、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼリン酸、セバシン酸、1,9−ノナンジカルボン酸、1,10−デカンジカルボン酸、1,11−ウンデカンジカルボン酸、1,12−ドデカンジカルボン酸、1,13−トリデカンジカルボン酸、1,14−テトラデカンジカルボン酸、1,16−ヘキサデカンジカルボン酸、1,18−オクタデカンジカルボン酸などの脂肪族ジカルボン酸;これらの低級アルキルエステルや酸無水物;フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、t−ブチルイソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸;トリメリット酸、ピロメリット酸などの3価以上の多価カルボン酸などが挙げられる。これらは、1種単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0022】
スチレン−アクリル系樹脂を形成すべきスチレン系重合性単量体としては、例えば、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−フェニルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレンなどのスチレンあるいはスチレンスチレン誘導体などを挙げることができる。これらは、1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0023】
スチレン−アクリル系樹脂を形成すべきアクリル系重合性単量体としては、例えば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチルなどのメタクリル酸エステル誘導体;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸フェニルなどのアクリル酸エステル誘導体;エチレン、プロピレン、イソブチレンなどのオレフィン類;フッ化ビニル、フッ化ビニリデンなどのフッ化ビニル類;プロピオン酸ビニル、酢酸ビニル、ベンゾエ酸ビニルなどのビニルエステル類;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテルなどのビニルエーテル類;ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルヘキシルケトンなどのビニルケトン類;N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドンなどのN−ビニル化合物類;ビニルナフタレン、ビニルピリジンなどのビニル化合物類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミドなどのアクリル酸またはメタクリル酸誘導体などを挙げることができる。これらは、1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0024】
また、スチレン−アクリル系樹脂は、スチレン系重合性単量体およびアクリル系重合性単量体に加えて、イオン性解離基を有するものを組み合わせて用いることが好ましい。イオン性解離基を有する重合性単量体は、例えばカルボキシル基、スルフォン酸基、リン酸基などの置換基を構成基として有するものであって、具体的には、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、ケイ皮酸、フマル酸、マレイン酸モノアルキルエステル、イタコン酸モノアルキルエステル、スチレンスルフォン酸、アリルスルフォコハク酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルフォン酸、アシッドホスホオキシエチルメタクリレートなどが挙げられる。
さらに、スチレン系重合性単量体およびアクリル系重合性単量体に加えて、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジメタクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレートなどの多官能性ビニル類を用いて架橋構造の樹脂を得ることもできる。
【0025】
《着色剤》
本発明に係るトナー粒子に含有される着色剤としては、一般に知られている染料および顔料を用いることができる。
例えば、黒色のトナー用の着色剤としては、マイクロ波吸収能を兼ね備えたカーボンブラック、磁性体、鉄・チタン複合酸化物ブラックなどを使用することができ、カーボンブラックとしてはチャンネルブラック、ファーネスブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ランプブラックなどが挙げられ、また、磁性体としてはフェライト、マグネタイトなどが挙げられる。また、マイクロ波吸収能を持ち合わせないものとしてはアジン系のニグロシン染料に代表される着色剤が挙げられる。
【0026】
《トナーの粒径》
本発明において、トナーの平均粒径は、例えば体積基準のメディアン径で4〜10μmであることが好ましく、さらに好ましくは6〜9μmとされる。この平均粒径は、使用する凝集剤(塩析剤)の濃度や有機溶媒の添加量、融着時間、重合体の組成によって制御することができる。
トナーの体積基準のメディアン径は「コールターカウンターマルチサイザー3」(ベックマン・コールター社製)にデータ処理用のコンピューターシステム(ベックマン・コールター社製)を接続した測定装置を用いて測定・算出されるものである。具体的には、トナー0.02gを、界面活性剤溶液20mL(トナーの分散を目的として、例えば界面活性剤成分を含む中性洗剤を純水で10倍希釈した界面活性剤溶液)に添加して馴染ませた後、超音波分散を1分間行い、トナー分散液を調製し、このトナー分散液を、サンプルスタンド内の「ISOTONII」(ベックマン・コールター社製)の入ったビーカーに、測定装置の表示濃度が8%になるまでピペットにて注入する。ここで、この濃度範囲にすることにより、再現性のある測定値を得ることができる。そして、測定装置において、測定粒子カウント数を25000個、アパーチャ径を100μmにし、測定範囲である2〜60μmの範囲を256分割しての頻度値を算出し、体積積算分率の大きい方から50%の粒子径が体積基準のメディアン径とされる。
【0027】
[トナーの製造方法]
以下、トナーの製造方法について、具体例を挙げる。
トナーを製造する方法としては、着色剤担持樹脂粒子およびトナー結着樹脂などの構成成分を加熱溶融させ混練、冷却、粉砕、分級して製造する粉砕法、トナー結着樹脂を得るための重合性単量体、油溶性重合開始剤、および着色剤担持樹脂粒子などを水系媒体中で乳化分散後、加熱して重合させる懸濁重合法、トナー結着樹脂を得るための重合性単量体および着色剤担持樹脂粒子などを水系媒体中で乳化分散させ、これに水溶性重合開始剤を添加し加熱して重合させる乳化重合法、乳化重合法により製造したトナー結着樹脂よりなる微粒子、および着色剤担持樹脂粒子などを水系媒体中で分散後、凝集剤を添加し加熱して微粒子を凝集させる乳化重合凝集法などを挙げることができるが、本発明のトナーを製造する方法としては、懸濁重合法、乳化重合法を用いる場合、着色剤担持樹脂粒子をトナー結着樹脂中に特定の平均一次粒子径で分散させるために、着色剤担持樹脂粒子を構成する染料や着色媒体樹脂を有機溶剤などに溶解しないものであることが好ましい。着色剤担持樹脂粒子と結着樹脂微粒子由来の領域をトナー粒子中に残す観点から、乳化重合凝集法を用いることが好ましい。
トナーの製造方法としては、乳化会合法によるスチレン-ブチルアクリレート共重合体の場合、ミニエマルジョン重合粒子を乳化重合によって多段重合構成とした樹脂粒子を、会合(凝集/融着)したトナー製法が好ましく、また、ポリエステル樹脂の場合にも、乳化分散した樹脂粒子を会合(凝集/融着)したトナー製法がよく用いられる。
【0028】
スチレン-ブチルアクリレート系を代表例として、乳化重合凝集法によるトナーの製造方法の一例について詳細に説明する。このトナーの製造方法では、以下の工程を経て製造される。
(1)着色剤を含有する着色剤微粒子が水系媒体中に分散されてなる着色剤微粒子の分散液を得る着色剤微粒子分散液調製工程
着色剤の分散処理に使用する分散機は特に限定されないが、好ましくは超音波分散機、機械的ホモジナイザー、マントンゴーリンや圧力式ホモジナイザー等の加圧分散機、サンドグラインダー、ゲッツマンミルやダイヤモンドファインミル等の媒体型分散機が挙げられる。
なお、着色剤粒子は表面改質されていてもよい。着色剤の表面改質法は、溶媒中に着色剤を分散させ、その分子量液中に表面改質剤を添加し、この系を昇温することにより反応させる。反応終了後、着色剤を濾別し、同一の溶媒で洗浄濾過を繰り返した後、乾燥することにより、表面改質剤で処理された着色剤(顔料)が得られる。着色剤粒子は、着色剤を水系媒体中に分散することにより調製することができ、界面活性剤濃度を臨界ミセル濃度(CMC)以上にした状態で行われる。
また、この工程において調整される分散液中の着色剤粒子は、その体積基準のメディアン径が10〜300nmであることが好ましく、より好ましくは100〜200nm、さらに好ましくは100〜150nmである。例えば、上述の分散機を調整することにより、体積基準のメディアン径を上記範囲内に制御することができる。
【0029】
(2)結着樹脂を形成すべき重合性単量体に必要に応じて離型剤などのトナー粒子構成材料を溶解あるいは分散させて重合性単量体溶液を調製し、これを水系媒体中に添加し、重合反応を行うことにより、結着樹脂微粒子を得る結着樹脂微粒子重合工程
尚、前記水系媒体中に、核粒子として樹脂粒子を添加しておいても良い。この重合工程により、離型剤と結着樹脂とを含有する樹脂粒子が得られる。かかる樹脂粒子は、着色された粒子であってもよく、着色されていない粒子であってもよい。着色された樹脂粒子は、着色剤を含有する単量体組成物を重合処理することにより得られる。また、着色されていない樹脂粒子を使用する場合には、後述する凝集工程において、樹脂粒子の分散液に、着色剤粒子の分散液を添加し、樹脂粒子と着色剤粒子とを凝集させることで着色粒子とすることができる。
【0030】
(3)結着樹脂微粒子および着色剤微粒子が存在している水系媒体中に、凝集剤を添加し、温度調節することにより、塩析を進行させると同時に凝集・融着を行い、トナー粒子を形成する塩析、凝集、融着工程、さらに会合粒子を熱エネルギーにより熟成して形状を調整しトナー母体粒子とする熟成工程
トナーコア粒子を合成する凝集工程は、重合工程により得られた樹脂粒子(着色または非着色の樹脂粒子)と着色剤粒子を用いて着色粒子を形成する工程である。また、当該凝集工程においては、樹脂粒子や着色剤粒子とともに、離型剤粒子や荷電制御剤などの内添剤粒子なども凝集させることができる。
シェル化工程は、凝集工程にて作成されたトナーコア粒子に対し、コア―シェル構造をとる様に、その外周面に被覆するシェル樹脂を添加して、シェル樹脂層を形成させる被覆工程である。
熟成工程は、熱エネルギー(加熱)により行う方法が好ましい。具体的には、会合粒子を含む液を、加熱撹拌することにより、会合粒子の形状を所望の円形度になるまで、加熱温度、攪拌速度、加熱時間により調整し、トナー母体粒子とするものである。
【0031】
(4)水系媒体からトナー粒子を濾別し、当該トナー粒子から界面活性剤などを除去する濾過、洗浄工程
この固液分離・洗浄工程では、上記の工程で所定温度まで冷却されたトナー母体の分散液から当該トナー母体を固液分離する固液分離処理と、固液分離されたトナーケーキ(ウエット状態にあるトナー母体をケーキ状に凝集させた集合物)から界面活性剤や塩析剤などの付着物を除去する洗浄処理とが施される。
洗浄処理は、濾液の電気伝導度が10μS/cmになるまで水洗浄する。濾過処理方法としては、遠心分離法、ヌッチェ等を使用して行う減圧濾過法、フィルタープレス等を使用して行う濾過法などがあり、特に限定されるものではない。
【0032】
(5)洗浄処理されたトナー粒子を乾燥する乾燥工程
この工程は、洗浄処理されたトナーケーキを乾燥処理し、乾燥されたトナー母体を得る工程である。この工程で使用される乾燥機としては、スプレードライヤー、真空凍結乾燥機、減圧乾燥機などを挙げることができ、静置棚乾燥機、移動式棚乾燥機、流動層乾燥機、回転式乾燥機、撹拌式乾燥機などを使用することが好ましい。乾燥された着色粒子の水分は、5質量%以下であることが好ましく、更に好ましくは2質量%以下とされる。尚、乾燥処理された着色粒子同士が、弱い粒子間引力で凝集している場合には、当該凝集体を解砕処理してもよい。ここに、解砕処理装置としては、ジェットミル、ヘンシェルミキサー、コーヒーミル、フードプロセッサー等の機械式の解砕装置を使用することができる。
【0033】
(6)乾燥処理されたトナー粒子に外添剤を添加する工程
この工程は、乾燥されたトナー母体に必要に応じ外添剤を混合し、トナーを作製する工程である。外添剤の混合装置としては、ヘンシェルミキサー、コーヒーミル等の機械式の混合装置を使用することができる。
【0034】
このようなトナーの製造方法においてマイクロ波吸収性化合物をトナー粒子中に導入する具体的な方法としては、上記のように熱可塑性樹脂とは別個に、マイクロ波吸収性化合物のみよりなる微粒子を作製し、結着樹脂微粒子および着色剤微粒子と共に塩析、凝集、融着工程に供して導入することができる。さらに、凝集中におけるマイクロ波吸収化合物微粒子の導入するタイミングをもって、導入部位を制御することが出来る。
【0035】
なお、上記トナーの製造方法は、スチレン−アクリル系を例にしたが、ポリエステル系の場合には、(2)の工程において、多価アルコール及び多価カルボン酸が縮合してなるポリエステル樹脂を分散し、ポリエステル樹脂粒子分散液を調整する。具体的には、ポリエステル樹脂を酢酸エチル等の溶剤に溶解し、水系媒体中に分散機を用いて乳化分散させた後、脱溶剤処理をしても良い。若しくは、溶剤を用いずに120℃以上の温度下で分散させても良い。ドデシルベンゼンスルフォン酸などの強酸とともに水系媒体中で多価アルコール及び多価カルボン酸の液滴を形成した後、縮合させてなるポリエステル樹脂分散液を形成しても良い。炭素数5〜20のアルキル基、アルキレン基、又はアルケニル基を有するモノマーが、縮合したポリエステル樹脂に対し、5〜20%となるよう、多価アルコール又は多価カルボン酸のモノマーに配合させる。
また、ポリエステル樹脂とスチレンアクリル系樹脂を混合して用いる場合は、ビニル重合性単量体にポリエステル樹脂を溶解した後、及びラジカル重合開始剤を添加し、ポリエステル樹脂とビニル樹脂からなる樹脂粒子の分散液を調整する工程を行うことが好ましい。他には、ポリエステル樹脂とスチレンアクリル系樹脂、必要に応じて着色剤や離型剤を混練した後、酢酸エチル等の溶剤に溶解し、水系媒体中に分散機を用いて乳化分散させた後、脱溶剤処理をして、樹脂粒子をえても良い。若しくは、ポリエステル樹脂粒子とスチレンアクリル樹脂粒子を着色剤粒子とともに、上記(3)工程で凝集、融着させても良い。
スチレンアクリル重合性モノマーに対し、ポリエステル樹脂は、質量比で3〜20%とすることが定着性を良好にする観点から好ましい。また、この工程において、調整される分散液中の樹脂粒子は、その体積基準メディアン径が50〜300nmであることが好ましい。
【0036】
《界面活性剤》
上述の(1)着色剤微粒子分散液調製工程および/または(2)結着樹脂微粒子重合工程においては、水系媒体中に微粒子を安定に分散させるために、当該水系媒体中に界面活性剤を添加してもよく、このような界面活性剤としては、従来公知の種々のアニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤などを用いることができる。
アニオン系界面活性剤としては、例えば、オレイン酸ナトリウムなどの高級脂肪酸塩類;ドデシルベンゼンスルフォン酸ナトリウムなどのアルキルアリールスルホン酸塩類;ラウリル硫酸ナトリウムなどのアルキル硫酸エステル塩類;ポリエトキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウムなどのポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩類;ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル硫酸ナトリウムなどのポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル硫酸エステル塩類;モノオクチルスルホコハク酸ナトリウム、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルスルホコハク酸ナトリウムなどのアルキルスルホコハク酸エステル塩、およびその誘導体類などを挙げることができる。
また、カチオン系界面活性剤としては、例えば脂肪族アミン塩、脂肪族4級アンモニウム塩、ベンザルコニウム塩、塩化ベンゼトニウム、ピリジニウム塩、イミダゾリニウム塩などを挙げることができる。
さらに、ノニオン系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテルなどのポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルなどのポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタントリオレエートなどのソルビタン高級脂肪酸エステル類;ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレートなどのポリオキシエチレンソルビタン高級脂肪酸エステル類;ポリオキシエチレンモノラウレート、ポリオキシエチレンモノステアレートなどのポリオキシエチレン高級脂肪酸エステル類;オレイン酸モノグリセライド、ステアリン酸モノグリセライドなどのグリセリン高級脂肪酸エステル類;ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン−ブロックコポリマーなどを挙げることができる。
【0037】
《離型剤》
本発明に係るトナー粒子中に離型剤を含有させる場合に用いる離型剤としては、特に限定されるものではなく、例えば、ポリエチレンワックス、酸化型ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、酸化型ポリプロピレンワックス、カルナウバワックス、サゾールワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス、ホホバ油ワックス、蜜蝋ワックスなどを挙げることができる。
トナー粒子中に離型剤を含有させる方法としては、上述のように結着樹脂微粒子を離型剤を含有するものとして構成する方法や、トナー粒子を形成する塩析、凝集、融着工程において、水系媒体中に離型剤微粒子が分散されてなる分散液を添加し、結着樹脂微粒子と着色剤微粒子と離型剤微粒子とを塩析、凝集、融着させる方法などを挙げることができ、これらの方法を組み合わせてもよい。トナー粒子中における離型剤の含有割合としては、結着樹脂100質量部に対して通常0.5〜30質量部とされ、好ましくは5〜20質量部とされる。離型剤の含有割合が結着樹脂100質量部に対して0.5質量部未満であると、十分なオフセット防止効果が得られず、一方、結着樹脂100質量部に対して30質量部より大きいと、得られるトナーが透光性や色再現性の低いものとなる。
【0038】
《重合開始剤》
結着樹脂微粒子重合工程において使用される重合開始剤としては、水溶性の重合開始剤であって、適宜のものを使用することができる。重合開始剤の具体例としては、例えば過硫酸塩(過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムなど)、アゾ化合物(4,4’−アゾビス4−シアノ吉草酸およびその塩、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)塩など)、有機過酸化物などが挙げられる。
【0039】
《連鎖移動剤》
結着樹脂微粒子重合工程においては、結着樹脂の分子量を調整することを目的として、一般的に用いられる連鎖移動剤を用いることができる。連鎖移動剤としては特に限定されるものではなく、例えば2−クロロエタノール、オクチルメルカプタン、ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタンなどのメルカプタンおよびスチレンダイマーなどを挙げることができる。
【0040】
《凝集剤》
塩析、凝集、融着工程において使用される凝集剤としては、例えばアルカリ金属塩およびアルカリ土類金属塩を挙げることができる。凝集剤を構成するアルカリ金属としては、リチウム、カリウム、ナトリウムなどが挙げられ、凝集剤を構成するアルカリ土類金属としては、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウムなどが挙げられる。これらのうち、カリウム、ナトリウム、マグネシウム、カルシウム、バリウムが好ましい。前記アルカリ金属またはアルカリ土類金属の対イオン(塩を構成する陰イオン)としては、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、炭酸イオン、硫酸イオンなどが挙げられる。
【0041】
《外添剤》
上記のトナー粒子は、そのままで本発明のトナーを構成することができるが、流動性、帯電性、クリーニング性などを改良するために、当該トナー粒子に、いわゆる後処理剤である流動化剤、クリーニング助剤などの外添剤を添加して本発明のトナーを構成してもよい。
外添剤として通常用いられている一般的なものが使用することができるが、特にシリカ粒子、チタニア粒子が好ましい。その表面は、必ずしも予め疎水化処理されている必要はないが、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、高級脂肪酸、シリコーンオイルなどによって疎水化処理されていてもよい。これらの種々の外添剤の添加量は、その合計が、トナー100質量部に対して0.05〜5質量部、好ましくは0.1〜3質量部とされる。また、外添剤としては種々のものを組み合わせて使用してもよい。
【0042】
《現像剤》
本発明において、トナーは、磁性または非磁性の一成分現像剤として使用することもできるが、キャリアと混合して二成分現像剤として使用してもよい。本発明のトナーを二成分現像剤として使用する場合において、キャリアとしては、鉄、フェライト、マグネタイトなどの金属、それらの金属とアルミニウム、鉛などの金属との合金などの従来から公知の材料からなる磁性粒子を用いることができ、特にフェライト粒子が好ましい。また、キャリアとしては、磁性粒子の表面を樹脂などの被覆剤で被覆したコートキャリアや、バインダー樹脂中に磁性体微粉末を分散してなるバインダー型キャリアなど用いてもよい。
コートキャリアを構成する被覆樹脂としては、特に限定はないが、例えばオレフィン系樹脂、スチレン系樹脂、スチレン−アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、エステル樹脂、フッ素樹脂などが挙げられる。また、樹脂分散型キャリアを構成する樹脂としては、特に限定されず公知のものを使用することができ、例えばスチレン−アクリル系樹脂、ポリエステル樹脂、フッ素樹脂、フェノール樹脂などを使用することができる。
キャリアの体積基準のメディアン径としては20〜100μmであることが好ましく、更に好ましくは20〜60μmとされる。キャリアの体積基準のメディアン径は、代表的には湿式分散機を備えたレーザ回折式粒度分布測定装置「ヘロス(HELOS)」(シンパティック(SYMPATEC)社製)により測定することができる。
好ましいキャリアとしては、耐スペント性の観点から、被覆樹脂としてシリコーン系樹脂、オルガノポリシロキサンとビニル系単量体との共重合樹脂(グラフト樹脂)またはポリエステル樹脂を用いたコートキャリアが挙げられ、特に、耐久性、耐環境安定性および耐スペント性の観点から、オルガノポリシロキサンとビニル系単量体との共重合樹脂(グラフト樹脂)に、イソシアネートを反応させて得られた樹脂で被覆したコートキャリアを好ましく挙げられる。
【0043】
[画像形成方法]
本発明の画像形成方法は、上述のようなトナーによって転写材上にトナー像を転写して未定着トナー像を得、その後、当該未定着トナー像にマイクロ波加熱定着方式の定着処理によって、転写材のトナーが転写した面の裏面からマイクロ波を照射することによって、未定着トナー像を転写材に定着させることにより、定着画像を得る方法である。
【0044】
ここで、本発明の画像形成方法で使用する画像形成装置について説明する。
図1は、本発明で使用するデジタル画像形成装置の内部構成を示す図である。
デジタル画像形成装置(以下、単位「画像形成装置」と言う)1は、下部に複数の転写材収納部20を有している。転写材収納部20の上方には画像形成部40と中間転写ベルト50が設置されており、装置本体の上部には原稿読取部30が設置されている。
【0045】
転写材収納部20は、装置前面側(図1における紙面手前側)に引き出し可能となっている。
画像形成部40は、Y、M、C、Kの各色毎のトナー像を形成するための4組の画像形成手段400Y、400M、400C、400Kを有している、画像形成手段400Y、400M、400C、400Kは、この順で上から下方向に直線状に配列されており、各々同じ構成となっている。画像形成手段400Yを例にとって構成を説明すると、画像形成手段400Yは反時計方向に回転する感光体410、スコロトロン帯電手段420、露光手段430及び現像手段440を有する。
クリーニング手段450は、感光体410の最下部に対向した領域を含んで配置されている。
【0046】
装置本体の中央部に位置する中間転写ベルト50は、無端状であり、適宜の体積抵抗率を有する。また、中間転写ベルト50は、例えば、編成ポリイミド、熱硬化ポリイミド、エチレンテトラフルオロエチレン共重合体、ポリフッ化ビニリデン、ナイロンアロイ等のエンジニアリングプラスチックに導電材料を分散した半導電性フィルム基体の外側に、フッ素コーティングを行った2層から構成されている。また、シリコンゴムあるいはウレタンゴム等に導電材料を分散したものもあり得る。
一次転写電極510は、中間転写ベルト50を挟んで感光体410と対向する位置に設置されている。
【0047】
次に、カラー画像を形成するプロセスについて説明する。
感光体410がメインモータ(図示せず)により駆動され、感光体410の表面が電源(図示せず)により電圧供給され、スコロトロン帯電手段420の放電により正極性に帯電される(本実施例では+800V)。次に、露光手段430により画像情報に応じた光書込がなされ、感光体410上に静電潜像が形成される。形成された静電潜像が現像手段440を通過すると、現像手段内で正極性に帯電されたトナーが正極性現像バイアスの印加により潜像画像の部分に付着し、感光体410上にトナー像が形成される。形成されたトナー像は感光体410と圧着する中間転写ベルト50に転写される。転写後に残留した感光体410上のトナーはクリーニング手段450により清掃される。画像形成手段400Y、400M、400C及び400K各々で形成されたトナー像が中間転写ベルト50に重複して転写されることにより、中間転写ベルト50上にカラー画像が形成される。転写材Pは転写材収納部20により1枚ずつ排出され、レジストローラ60の位置まで搬送される。レジストローラ60により転写材Pの先端が整列された後、中間転写ベルト50上のトナー像と画像位置が一致するタイミングで転写材Pがレジストローラ60より給送される。レジストローラ60により給送された転写材Pは、ガイド板より案内され、中間転写ベルト50と転写部70により形成された転写ニップ部へ送り込まれる。ローラにより構成される転写部70は転写材Pを中間転写ベルト50側へ押圧している。トナーと逆極性のバイアス(−500V)が転写部70に印可されることにより、静電気力の作用で、中間転写ベルト50上のトナー像を転写材Pへ転写させる。転写材Pは、除電針からなる分離手段(図示せず)により除電されて中間転写ベルト50から分離され、マイクロ波照射装置104を備えた定着装置100へ送られる。その結果、トナー像が転写材Pへ定着され、画像形成された転写材Pが装置外へ排出される。
【0048】
図2は、定着装置の概略図である。
定着装置100は、定着容器101、一対の搬入ローラ102、一対の搬出ローラ103、マイクロ波照射装置104を備えている。
定着容器101は、マイクロ波シールドによって形成されている。定着容器101には、マイクロ波照射装置104が設けられている。マイクロ波照射装置104は、定着容器101内に搬送された転写材Pの裏面にマイクロ波を照射できる位置に配置されている。
一対の搬入ローラ102は、当該搬入ローラ102間に未定着トナー像Tが転写された転写材Pを挿入し、定着容器101内に搬送する。一対の搬出ローラ103は、当該搬出ローラ103間に、トナー像を定着した転写材Pを挿入し、定着容器101外に搬送する。
したがって、一対の搬入ローラ102によって搬送された転写材Pは、マイクロ波照射装置104によるマイクロ波が、裏面側から照射されて、未定着トナー像Tが転写材Pに定着する。その後、一対の搬出ローラ103によってトナー像が定着した転写材Pが定着容器101外に搬送される。
【0049】
《マイクロ波照射装置》
本発明で使用するマイクロ波照射装置としては、周波数2450MHz、出力100〜1000Wのマグネトロンが好適に用いられる。比較的、入手の容易な家庭用電子レンジに使用される低価格品のマグネトロンが用いられる。
【0050】
《転写材》
本発明の画像形成方法に使用される転写材としては、薄紙から厚紙までの普通紙、上質紙、アート紙あるいはコート紙などの塗工された印刷用紙、市販されている和紙やはがき用紙、OHP用のプラスチックフィルム、布などの各種を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0051】
以上、本発明のトナーの実施形態について説明したが、上記実施形態に限定されるものではなく、種々の変更を加えることができる。
【実施例】
【0052】
1.マイクロ波吸収剤分散液の作製
<マイクロ波吸収剤分散液(1)の作製>
n−ドデシル硫酸ナトリウム23質量部をイオン交換水320質量部に攪拌、溶解し、カーボンブラック(「リーガル330R」 キャボット社製)50質量部を徐々に添加し、次いで、「クレアミックスCLM−0.8S」(エムテクニック社製)を用いて分散して体積基準のメディアン径が158nmであるマイクロ波吸収剤(1)を含有するマイクロ波吸収剤分散液(1)を得た。
なお、体積基準のメディアン径は「MICROTRAC UPA 150」(日機装社製)により測定したものである。
【0053】
<マイクロ波吸収剤分散液(2)の作製>
鉄酸化物(Fe)粒子(平均粒子径320nm)200質量部を、凝集を解きほぐすために、純水1500質量部に撹拌機を用いて さらに「TKパイプラインホモミキサー」(特殊機化工業社製)を用い、鉄酸化物粒子粉末を含むスラリーを得た。次いで、この鉄酸化物粒子を含むスラリーを横型サンドグラインダー「マイティーミルMHG−1.5L」(井上製作所社製)を用いて、鉄チタン複合酸化物粒子を含む分散スラリーを得た。さらに120℃で乾燥しマグネタイト粒子を得た。
n−ドデシル硫酸ナトリウム23質量部をイオン交換水320質量部に攪拌、溶解し、上述マグネタイト粒子50質量部を徐々に添加し、次いで、「クレアミックスCLM−0.8S」(エムテクニック社製)を用いて分散して体積基準のメディアン径が210nmであるマイクロ波吸収剤(2)を含有するマイクロ波吸収剤分散液(2)を得た。
【0054】
<マイクロ波吸収剤分散液(3)の作製>
マイクロ波吸収剤分散液(1)の作製のカーボンブラックを酸化アルミニウム(Al)に変更した以外はマイクロ波吸収剤分散液(1)の作製と同様に作製し、マイクロ波吸収剤(3)を含有するマイクロ波吸収剤分散液(3)を得た。
【0055】
2.着色剤分散液の作製
<着色剤分散液(1)の作製>
n−ドデシル硫酸ナトリウム23質量部をイオン交換水320質量部に攪拌、溶解し、ニグロシン染料「オイルブラックEX」(オリエント化学工業社製)50質量部を徐々に添加し、次いで、「クレアミックスCLM−0.8S」(エムテクニック社製)を用いて分散して体積基準のメディアン径が142nmである着色剤(1)を含有する着色剤分散液(1)を得た。
【0056】
3.ポリエステル樹脂の作製
<ポリエステル樹脂(1)の作製>
(多価カルボン酸単量体)
テレフタル酸:37質量部
イソフタル酸:6質量部
(多価アルコール単量体)
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンプロピレンオキサイド2モル付加物 :76質量部
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンエチレンオキサイド2モル付加物 :24質量部
攪拌装置、窒素導入管、温度センサー、精留塔を備えた反応容器に、上記多価カルボン酸単量体及び多価アルコール成分を仕込み、1時間を要して190℃まで上げ、反応系内が均一に攪拌されていることを確認した後、触媒Ti(OBu)4(多価カルボン酸単量体全量に対し、0.003質量%)を投入した。
更に、生成する水を留去しながら同温度から6時間を要して240℃まで温度を上げ、240℃でさらに6時間脱水縮合反応を継続し重合を行い、ポリエステル樹脂(1)を得た。得られたポリエステル樹脂(1)の樹脂の分子量をGPCにて測定したところ、数平均分子量3000(東ソー社製HLC−8120GPC、スチレン標準物質で換算)であった。また、示差走査熱量計(パーキンエルマー社製Diamond DSC:昇温速度10℃/min)にて得られた樹脂の熱特性を測定した結果、Tgは50℃であった。
【0057】
4.ポリエステル樹脂分散液の作製
<ポリエステル樹脂分散液(1)の作製>
「ポリエステル樹脂(1)」328.4重量部、ペンタエリスリトールテトラベヘン酸エステル50重量部をトルエン1700重量部に投入し70℃まで昇温し溶解、混合し、「樹脂溶液1」を得た。別途、イオン交換水 2000重量部、ドデシル硫酸ナトリウム 4.8重量部、を攪拌分散し連続相となる「水相1」を調製した後70℃まで昇温した。この「水相1」中に「TKホモミキサーMarkII2.5型」(プライミクス株式会社製)で攪拌しながら「油相1」を投入し、攪拌回転数を調整することにより「油滴1」を調製した。その後、50℃で減圧溜去してトルエンを除去し、体積基準のメディアン径260nmのポリエステル樹脂分散液(1)を得た。
【0058】
5.コア形成用樹脂粒子の作製
<ラテックス(1)の作製>
1)第1段重合
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入装置を取り付けた5Lの反応容器に下記式1で表されるアニオン系界面活性剤4質量部をイオン交換水2800質量部に溶解させた界面活性剤溶液を仕込み、窒素気流下230rpmの撹拌速度で撹拌しながら、内温を80℃に昇温させた。
この界面活性剤(下記、式1)溶液に、重合開始剤(過硫酸カリウム;KPS)10質量部をイオン交換水400質量部に溶解させた開始剤溶液を添加し、温度を75℃とした後、スチレン532質量部、n−ブチルアクリレート200質量部、メタクリル酸68質量部、n−オクチルメルカプタン16.4質量部からなる単量体混合液を1時間かけて滴下し、この系を75℃にて2時間にわたって加熱、撹拌することによって重合(第1段重合)を行い、核粒子の分散液であるラテックス〔A1〕を調製した。このラテックス〔A1〕中の核粒子の重量平均分子量(Mw)は16,500であった。
式1:C1021(OCHCHSONa
【0059】
2)第2段重合
撹拌装置を取り付けたフラスコ内において、スチレン215.6質量部、n−ブチルアクリレート114.7質量部、メタクリル酸22.6質量部、n−オクチルメルカプタン3.48質量部からなる単量体混合液に、下記化合物1で表される離型剤(ペンタエリスリトールテトラベヘン酸エステル)94.5質量部を添加し、80℃に加温して溶解させて単量体溶液を調製した。
一方、アニオン系界面活性剤(上記、式1)3質量部をイオン交換水2473質量部に溶解させた界面活性剤溶液、を添加し80℃に加熱し、この界面活性剤溶液に、上記のラテックス〔A1〕を固形分換算で30.4質量部添加した後、循環経路を有する機械式分散機「クレアミックス」(エムテクニック社製)により、前記離型剤の単量体溶液を30分混合分散させ、分散液(乳化液)を調製した。
次いで、この分散液に、重合開始剤(KPS)11.9質量部をイオン交換水290質量部に溶解させた開始剤溶液を添加し、この系を80℃にて3時間にわたって加熱、撹拌することにより重合(第2段重合)を行い、ラテックス〔A2〕を調製した。
【0060】
3)第3段重合
上記のようにして得られたラテックス〔A2〕に、重合開始剤(KPS)3.19質量部をイオン交換水130質量部に溶解させた開始剤溶液を添加し、80℃の温度条件下に、重合開始剤(KPS)3.2質量部をイオン交換水80質量部に溶解させた開始剤溶液を添加した後、スチレン166.2質量部、n−ブチルアクリレート71.2質量部、n−オクチルメルカプタン4.16質量部からなる単量体混合液を1時間かけて滴下した。滴下終了後、2時間にわたって加熱、撹拌することにより重合(第3段重合)を行った後、28℃まで冷却し、多層構造を有する複合樹脂粒子よりなるコア形成用樹脂粒子の分散液であるラテックス(1)を得た。
【0061】
6.シェル形成用樹脂粒子の作製
上記の「コア形成用樹脂粒子 ラテックス(1)」の第1段重合において、スチレンを548部、2−エチヘキシルアクリレートを156部、メタクリル酸を96部、n−オクチルメルカプタンを16.5部に変更した単量体混合液を用いた以外は同様にして、重合反応及び反応後の処理を行い、「シェル形成用樹脂粒子」を調製した。
シェル層用樹脂粒子のTgは53℃であった。
【0062】
7.トナーの作製
<トナー(1)の作製>
ポリエステル分散液(1)400質量部(固形分換算)、イオン交換水1500質量部、マイクロ波吸収剤分散液(1)を、温度計、冷却管、窒素導入装置及び攪拌装置を設けたセパラブルフラスコに投入した。さらに、系内の温度を30℃に保った状態で水酸化ナトリウム水溶液(25質量%)を添加したpHを10に調整した。
次に、塩化マグネシウム・6水和物54.3質量部をイオン交換水54.3質量部に溶解させた水溶液を添加し、その後、系内の温度を60℃に昇温させて、樹脂粒子とマイクロ波吸収剤粒子の凝集反応を開始した。
凝集反応開始後、定期的にサンプリングを行って、粒度分布測定装置「コールターマルチサイザー3」(ベックマン・コールター社製)を用いて、粒子の体積基準におけるメディアン径(D50)が6.2μmになった時に、塩化ナトリウム40.2部を溶解した水溶液を添加して粒径成長を停止させ、更に、熟成処理として1時間にわたり加熱撹拌することにより融着を継続させた。
次いで、70℃において「シェル形成用樹脂粒子」を46.8部(固形分換算)を添加し、さらに塩化マグネシウム・6水和物2部を溶解した水溶液を、10分間かけて添加した後、75℃まで昇温し、1時間にわたり撹拌を継続し、「トナーコア部」の表面に、「シェル形成用樹脂粒子」の粒子を融着させた後、所定の円形度まで熟成処理を行い、シェル層を形成させた。トナー粒子の円形度が0.96に達したところで6℃/分の条件で30℃まで冷却し反応を完結させた。
次いで、生成したトナー粒子分散液をバスケット型遠心分離機「MARK III型」(型式番号60×40)(松本機械製作所社製)で固液分離して、トナーのウェットケーキを形成した。以後、ろ液の電気伝導度の値が15μS/cm以下になるまでトナーの洗浄と固液分離を繰り返した。
次いで、ウェットケーキを気流式乾燥機「フラッシュジェットドライヤー」(セイシン企業社製)に移し、水分量が0.5質量%になるまで乾燥処理をした。なお、乾燥処理は40℃、20%RHの気流を吹き付けて行った。乾燥したトナーを24℃に放冷し、トナー100質量部に対し、疎水性シリカ1.0質量部をヘンシェルミキサーで混合した。回転翼の周速24m/sとし、20分間混合した後、400MESHの篩いを通過させた。得られたトナーをトナー粒子1とする。
得られたトナー粒子1に対して、疎水性シリカ粒子1質量%を添加し、ヘンシェルミキサーを用い、回転翼の周速24m/sの条件で20分間かけて混合し、さらに400メッシュの篩を通過させることによって外添剤を添加し、トナー(1)を得た。
【0063】
<トナー(2)の作製>
トナー(1)にて作製のマイクロ波吸収剤分散液(1)の導入をポリエステル分散液(1)と共に導入する方法からシェル形成用樹脂粒子と共に導入する方法に変更した以外はトナー(1)の作製と同様にトナー(2)を得た。
【0064】
<トナー(3)の作製>
トナー(2)にて作製のマイクロ波吸収剤分散液(1)をマイクロ波吸収剤分散液(2)に変更した以外はトナー(2)の作製と同様にトナー(3)を得た。
【0065】
<トナー(4)の作製>
トナー(1)にて作製のマイクロ波吸収剤分散液(1)を着色剤分散液(1)に変更して、さらにシェル形成用樹脂粒子と共にマイクロ波吸収剤分散液(3)を導入した以外はトナー(1)の作製と同様にトナー(4)を得た。
【0066】
<トナー(5)の作製>
トナー(1)の作製のポリエステル分散液(1)をラテックス(1)に変更した以外はトナー(1)の作製と同様にトナー(5)を得た。
【0067】
<トナー(6)の作製>
トナー(2)の作製のポリエステル分散液(1)をラテックス(1)に変更した以外はトナー(2)の作製と同様にトナー(6)を得た。
【0068】
<比較トナー(1)の作製>
トナー(1)の作製のマイクロ波吸収剤分散液(1)を着色剤分散液(1)に変更した以外はトナー(1)の作製と同様に比較トナー(1)を得た。
【0069】
<比較トナー(2)の作製>
トナー(5)の作製のマイクロ波吸収剤分散液(1)を着色剤分散液(1)に変更した以外はトナー(5)の作製と同様に比較トナー(2)を得た。
【0070】
8.現像剤の作製
得られたトナー(1)〜(6)並びに比較用トナー(1)〜(2)の各々と、シリコーン樹脂を被覆した体積基準のメディアン径60μmのフェライトキャリアを、トナーの濃度が6質量%になるようにV型混合機を用いて混合することにより、現像剤(1)〜(6)並びに比較用現像剤(1)〜(2)を作製した。
【0071】
9.評価
(1)セロテープ(登録商標)剥離性定着温度
画像形成装置として、市販の複合機「bizhub C6500」(コニカミノルタビジネステクノロジーズ社製)を熱ロール定着の機能を止め、未定着画像の紙の裏面からマイクロ波照射できるように改造したものを用い、この装置に現像剤として、それぞれ作製した現像剤を搭載し、紙の温度を非接触温度計にて測定し、その定着温度として、順次温度が80〜150℃の範囲において5℃刻みでなるように、マイクロ出力を調整し、常温常湿(温度20℃、湿度50%RH)の環境下において、転写材として秤量64gの紙を用いて画像形成を行い、画像濃度が1.0のベタ画像を可視画像として得た。各温度で定着させた画像にセロハンテープを貼り付け、500gの荷重がかかるようにローラでテープに圧力をかけた後、テープを剥離し、剥離前画像濃度(D0)と剥離後画像濃度(D)とを測定した。下記式(D)に基づいて定着率を算出する。
式(D):定着強度(%)=D1 /D0 ×100
定着強度が90%以上得られたときの定着加熱部材の温度を定着可能温度として、その最低温度をセロテープ剥離性最低定着温度とし、その結果を下記表1に示した。
【0072】
(2)擦り性定着温度
各温度で定着させたベタ画像上で、底面が20mm×20mmの重りに、白紙を装着し、紙同士が擦れる様に設置し、重りを往復させた。その後、重りから画像上から外し、擦れた部分の画像濃度と擦れていない部分の画像濃度の差を算出し、紙擦り性を評価した。差が小さい程、擦り性は良好であることを示す。擦れていない部分―擦れた部分の差が0.100を下回る最も低い温度を擦り性最低定着温度とした。その結果を下記表1に示した。
【0073】
【表1】

【0074】
表1の結果より、実施例1〜6は、比較例1〜2に比べて剥離性最低定着温度及び擦り性最低定着温度が低く、定着性が良好であることがわかる。
【符号の説明】
【0075】
1 画像形成装置
20 転写材収納部
30 原稿読取部
40 画像形成部
50 中間転写ベルト
60 レジストローラ
70 転写部
100 定着装置
101 定着容器
102 搬入ローラ
103 搬出ローラ
104 マイクロ波照射装置(マイクロ波照射手段)
400Y、400M、400C、400K 画像形成手段
410 感光体
420 スコロトロン帯電手段
430 露光手段
440 現像手段
450 クリーニング手段
P 転写材
T 未定着トナー像

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも感光体に静電潜像を形成する露光工程と、前記露光工程により形成された前記静電潜像をトナーにより現像する現像工程と、前記感光体上のトナー像を転写材に転写する転写工程と、前記トナー像を前記転写材に加熱定着する定着工程と、を含む画像形成方法であって、
前記トナーは、金属又は金属酸化物の少なくとも一方を含むマイクロ波吸収剤を含有し、
前記定着工程では、前記転写材に前記トナー像が転写した面の裏面からマイクロ波を照射することを特徴とする画像形成方法。
【請求項2】
前記トナーがコアシェル構造を有し、
前記シェル層に前記マイクロ波吸収剤を含有することを特徴とする請求項1に記載の画像形成方法。
【請求項3】
前記トナーは、水系媒体中で、少なくとも着色剤及び樹脂を含むコアを形成した後、前記マイクロ波吸収剤及び樹脂粒子を凝集・融着させて前記シェル層を形成することによって製造することを特徴とする請求項2に記載の画像形成方法。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の画像形成方法において使用される画像形成装置であって、
前記転写材に前記トナー像が転写した面の裏面側に、マイクロ波を照射するマイクロ波照射手段を配置した定着装置を有することを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−173444(P2012−173444A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−34164(P2011−34164)
【出願日】平成23年2月21日(2011.2.21)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】