説明

画像形成装置、印刷制御システム

【課題】携帯デバイスからの印刷ジョブを処理するにあたって、そのプレビュー画像の確認にともなうユーザビリティの低下を抑制することのできる画像形成装置を提供することを目的とする。
【解決手段】画像形成装置は、携帯デバイスを含む外部デバイスからの印刷ジョブを受信する通信部101と、印刷ジョブに基づき印刷用画像を生成するとともに、印刷用画像に基づき印刷前のプレビュー画像を生成する画像生成部103と、印刷部106と、操作表示部20を備える。そして、制御部102は、印刷ジョブの印刷プロトコルに基づいて、当該印刷ジョブが前記携帯デバイスから送信されたか否かを判断し、印刷ジョブが携帯デバイスから送信されたと判断された場合に、レビュー画像を表示させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スマートフォンなどの携帯デバイスからの印刷ジョブに対応した画像形成装置、印刷制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
昨今、スマートフォンやタブレットPCなどの携帯デバイスの普及は目覚しく、テキストデータ、画像データ、および、WEBデータなどをこれらの携帯デバイスからの要求に基づき印刷することのできる画像形成装置が知られている。この画像形成装置は、上述するような携帯デバイスから印刷ジョブの要求があった場合には、Wi−Fiなどのワイヤレスネットワークを通じてその印刷ジョブを受理し、あらかじめ定められた印刷条件に基づいて所定の用紙にデータを印刷する。このように、固定の印刷条件で印刷するのは、携帯デバイスではプリンタドライバがインストールされない場合が多く、細かな印刷条件を端末側で操作するためのインターフェースが提供されていないためである。しかしながら、このような初期設定のままの印刷条件による印刷では、データの配置のずれや、不適切な余白の発生といった問題が発生してしまう場合がある。こうした問題を回避するためには、実際の印刷前にプレビュー画像を表示し、印刷条件が適切かをユーザによって判断させる必要がある。しかしながら、上述の携帯デバイスでは、そのディスプレイサイズの小ささからユーザによる視認性が悪かったり、メモリ容量の問題からプレビュー画像の表示に時間がかかってしまったりといった問題が起こりうる。
【0003】
そのため、特許文献1に記載のように、プレビュー画像表示用のディスプレイが画像形成装置に設けられ、画像形成装置において印刷条件の設定を可能とする技術が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、画像形成装置は、携帯デバイスだけではなく、通常のノートPCやディスクトップ型のPCなどの端末が混在する環境で利用される場合がある。これらの端末ではディスプレイサイズが大きいため、上記のような問題を生じることなくディスプレイ上でプレビュー画像が確認できる。従って、上述のような環境で、ユーザが画像形成装置においてプレビュー画像をチェックし、印刷を開始しなければならないとなると、ユーザ側に重複した手間が発生してしまい、ユーザビリティの観点から好ましいとは言えなかった。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、携帯デバイスからの印刷ジョブを処理するにあたって、プレビュー画像の確認にともなうユーザビリティの低下を抑制することができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、携帯デバイスを含む外部デバイスからの印刷ジョブを受信する通信手段と、前記印刷ジョブに基づき印刷用画像を生成する画像生成手段と、前記印刷用画像に基づき印刷前のプレビュー画像を生成するプレビュー生成手段と、前記印刷用画像を用紙に印刷する印刷手段と、前記印刷用画像を表示する表示手段と、前記印刷ジョブの印刷プロトコルに基づいて、当該印刷ジョブが前記携帯デバイスから送信されたか否かを判断するプロトコル判別手段と、前記印刷ジョブが前記携帯デバイスから送信されたと判断された場合に、前記プレビュー画像を表示する制御手段とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、プレビュー画像の確認にともなうユーザビリティの低下を抑制することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、第1の実施の形態のハードウェア構成図である。
【図2】図2は、第1の実施の形態の画像形成装置の構成を示すブロック図である。
【図3】図3は、第1の実施の形態の画像形成装置のディスプレイの概略図である。
【図4】図4は、第1の実施の形態の画像形成装置のディスプレイの概略図である。
【図5】図5は、第1の実施の形態の画像形成装置の処理の流れを示すアクティビティ図である。
【図6】図6は、第2の実施の形態の画像形成装置の構成を示すブロック図である。
【図7】図7は、第2の実施の形態の画像形成装置の処理の流れを示すアクティビティ図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に添付図面を参照して、画像形成装置、印刷制御システムの実施の形態を詳細に説明する。
【0010】
(第1の実施の形態)
図1は、第1の実施の形態にかかる画像形成装置のハードウェア構成を示すブロック図である。本図に示すように、この画像形成装置1は、コントローラ10とエンジン部(Engine)60とをPCI(Peripheral Component Interface)バスで接続した構成となる。コントローラ10は、画像形成装置1全体の制御と描画、通信、図示しない操作部からの入力を制御するコントローラである。エンジン部60は、PCIバスに接続可能なプリンタエンジンなどであり、たとえば白黒プロッタ、1ドラムカラープロッタ、4ドラムカラープロッタ、スキャナまたはファックスユニットなどである。なお、このエンジン部60には、プロッタなどのいわゆるエンジン部分に加えて、誤差拡散やガンマ変換などの画像処理部分が含まれる。
【0011】
コントローラ10は、CPU11と、ノースブリッジ(NB)13と、システムメモリ(MEM−P)12と、サウスブリッジ(SB)14と、ローカルメモリ(MEM−C)17と、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)16と、ハードディスクドライブ(HDD)18とを有し、ノースブリッジ(NB)13とASIC16との間をAGP(Accelerated Graphics Port)バス15で接続した構成となる。また、MEM−P12は、ROM(Read Only Memory)12aと、RAM(Random Access Memory)12bと、をさらに有する。
【0012】
CPU11は、画像形成装置1の全体制御をおこなうものであり、NB13、MEM−P12およびSB14からなるチップセットを有し、このチップセットを介して他の機器と接続される。
【0013】
NB13は、CPU11とMEM−P12、SB14、AGP15とを接続するためのブリッジであり、MEM−P12に対する読み書きなどを制御するメモリコントローラと、PCIマスタおよびAGPターゲットとを有する。
【0014】
MEM−P12は、プログラムやデータの格納用メモリ、プログラムやデータの展開用メモリ、プリンタの描画用メモリなどとして用いるシステムメモリであり、ROM12aとRAM12bとからなる。ROM12aは、プログラムやデータの格納用メモリとして用いる読み出し専用のメモリであり、RAM12bは、プログラムやデータの展開用メモリ、プリンタの描画用メモリなどとして用いる書き込みおよび読み出し可能なメモリである。
【0015】
SB14は、NB13とPCIデバイス、周辺デバイスとを接続するためのブリッジである。このSB14は、PCIバスを介してNB13と接続されており、このPCIバスには、ネットワークインターフェース(I/F)部なども接続される。
【0016】
ASIC16は、画像処理用のハードウェア要素を有する画像処理用途向けのIC(Integrated Circuit)であり、AGP15、PCIバス、HDD18およびMEM−C17をそれぞれ接続するブリッジの役割を有する。このASIC16は、PCIターゲットおよびAGPマスタと、ASIC16の中核をなすアービタ(ARB)と、MEM−C17を制御するメモリコントローラと、ハードウェアロジックなどにより画像データの回転などをおこなう複数のDMAC(Direct Memory Access Controller)と、エンジン部60との間でPCIバスを介したデータ転送をおこなうPCIユニットとからなる。このASIC16には、PCIバスを介してFCU(Facsimile Control Unit)30、USB(Universal Serial Bus)40、IEEE1394(the Institute of Electrical and Electronics Engineers 1394)インターフェース50が接続される。操作表示部20はASIC16に直接接続されている。
【0017】
MEM−C17は、コピー用画像バッファ、符号バッファとして用いるローカルメモリであり、HDD(Hard Disk Drive)18は、画像データの蓄積、プログラムの蓄積、フォントデータの蓄積、フォームの蓄積を行うためのストレージである。
【0018】
AGP15は、グラフィック処理を高速化するために提案されたグラフィックスアクセラレーターカード用のバスインターフェースであり、MEM−P12に高スループットで直接アクセスすることにより、グラフィックスアクセラレーターカードを高速にするものである。
【0019】
次に、図2に基づき本実施形態の画像形成装置1の機能の構成について説明する。図2は、画像形成装置1の機能構成例を示すブロック図である。図2に示されるように、画像形成装置1は、通信部101と、制御部102と、画像生成部103と、データ記憶部104と、操作表示部20と、印刷部106とを備えている。通信部101は、外部端末からの印刷ジョブを受信する。制御部102は、通信部101において受信した印刷ジョブに対して処理を行う。画像生成部103は、プレビュー用の画像および印刷用の画像を生成する。データ記憶部104は、印刷用の画像などのデータを記憶する。
【0020】
操作表示部20は、各種画面や画像形成装置100に関する情報を表示するとともに、ユーザが各種の操作入力を行うための手段である。詳細な図示は省略するが、操作表示部20は、各種画面や画像形成装置100に関する情報を表示するとともにユーザからのタッチ入力を受け付ける表示パネルと、キーなどの操作デバイスとを備える。
【0021】
この画像形成装置は、PCなどの端末61のほか、スマートフォン、タブレットPCなどを含む外部デバイスとネットワーク回線を通じて接続されている。端末61や携帯デバイス62は、画像形成装置に対して印刷ジョブを送信する送信ステップを実行する。
【0022】
この印刷ジョブは、端末から送られる印刷データやデバイス毎に設定された設定情報などを含む。これらの印刷データや設定情報は、デバイス毎に定められた印刷プロトコルに基づいて記述されている。画像形成装置1と各デバイスとはこのプロトコルに基づいてデータ交換を行う。印刷プロトコルとしては、LPR(Line Printer Remote)や、IPP(Internet Printing Protocol)などが知られている。なお、設定情報は、外部デバイスがPCなどの端末61の場合は端末側にインストールされたプリンタドライバを通じて、印刷枚数、余白の幅、割付の設定、両面/片面印刷、パンチの有無といった印刷のための諸条件が設定される。なお、外部デバイスが携帯デバイス62の場合は、プリンタドライバがインストールできない場合が多い。その場合は、携帯デバイス62内にデフォルトで印刷のための設定情報が定義されており、この設定情報に基づいて印刷が実行される。
【0023】
通信部101は、外部デバイスとのデータのやり取りを行う。通信部101は、通信手段、およびプロトコル判別手段に相当する。通信部101は、受信した印刷データのプロトコルを識別する。通信部101によって受信された印刷データは制御部102に送られる。
【0024】
制御部102は、データ記憶部104、画像生成部103、操作表示部20、および、印刷部106とそれぞれ接続されており、これら各部への指示を送信するといった印刷ジョブ全体の制御を行う機能である。制御部102は、制御手段に相当する。
【0025】
データ記憶部104は、外部デバイスから送信された印刷データや、画像生成部103で生成された印刷用画像などを記憶する。画像生成部103は、印刷データから印刷の設定情報を加味して印刷用画像やプレビュー画像を生成するエンジンとして機能している。
【0026】
印刷部106は、制御部102からの印刷の指示を受け、トレー内の用紙を給紙し、給紙した用紙に印刷画像を印刷する。
【0027】
図3は、操作表示部20の画面構成の一例を示した概略図である。図3に示されるように、操作表示部20は、プレビュー領域21と、設定情報表示領域22と、印刷開始ボタン23と、設定変更ボタン24と、を有する。
【0028】
プレビュー領域21は、プレビュー画像が表示される領域であり、設定情報表示領域22は現状の印刷の設定情報を表示する領域である。印刷開始ボタン23は印刷部106に対して印刷の開始を指示するためのものであり、設定変更ボタン24は設定情報を変更するためのものである。したがって、操作表示部20はユーザがプレビュー画像を確認した際に、変更を行いたい場合に操作する受付手段に相当する。
【0029】
図4は、図3における設定変更ボタン24を押下した際に操作表示部20に表示される設定情報変更画面の一例を示した概略図である。図4に示されるように、設定情報変更画面では、用紙サイズ、余白の幅、スプールの有無、カラー、および、拡大/縮小などの各種設定情報を変更することができる。設定情報変更画面において、決定ボタンが押下されると、図3において示されたプレビュー画像を含む画面へと遷移する。その際に、プレビュー画像は新しい設定情報を反映したものに変更される。
【0030】
以上の構成を備えた画像形成装置において、その処理の流れを図5に基づいて用いて説明する。図5は、処理の流れを示したアクティビティ図である。図5では、各処理が、左から通信部101、制御部102、画像生成部103、データ記憶部104、操作表示部20、および、印刷部106のいずれかに区分されており、各処理がどこの部位によって行われているかが示されている。外部デバイスから印刷ジョブが送られると、通信部101が印刷ジョブを受信する(ステップS201)。通信部101は受信した印刷ジョブの印刷プロトコルを参照し、印刷ジョブが携帯デバイスから送信されたか否かを判断する(ステップS202)。例えば、通信部101は、印刷プロトコルがIPP(Internet Printing Protocol)の場合には、印刷ジョブが携帯デバイス62から送信されたと判断する。一方、その他のプロトコルの場合、通信部101は、印刷ジョブが携帯デバイス62以外の外部デバイスから送信されたと判断する。その他のプロトコルとしては、たとえばBSD印刷プロトコルや、RFC−1179プロトコル、LPRなどが知られている。
【0031】
ここでは、判断結果は、例えばフラグの形式でRAM12b等に一時的に保管される。例えば判断結果がYesの場合にはPRID=1、Noの場合にはPRID=0となるフラグPRIDを用いることができる。この判断結果は、後にプレビュー画像を生成するか否かの判断に使用される。
【0032】
続いて、制御部102は、受信した印刷データに基づき印刷用画像の生成を行うための指示を画像生成部103に送信する(ステップS203)。印刷データを受け取った画像生成部103は、印刷データに含まれる印刷の設定情報に基づき印刷用画像を生成し、生成した印刷用画像を制御部102へと返信する(ステップS204)。印刷用画像を受け取った制御部102は印刷用画像を保存すべく、データ記憶部104に指示を送る(ステップS206)。データ記憶部104は印刷用画像を保存する(ステップS207)。また、印刷用画像を生成する際には、画像の再生成の場合に備え、データ記憶部104は、印刷用に加工が加えられる前のデータも保存する。この保存の処理は、例えば制御部102が画像生成部103へと印刷用画像の生成を指示するステップS204と同時に行われる。データ記憶部104は印刷ジョブで送られてきた印刷データに含まれる加工前の未加工画像を記憶する(ステップS205)。
【0033】
ステップS207において、印刷用画像が記憶されると、制御部102は、上述した印刷プロトコルの判断結果である、PRIDの値をチェックし、この値によって処理が分岐する。制御部102は、PRIDの値が0の場合、印刷ジョブが携帯デバイスからのものではなく、プレビュー機能が端末側に備わっているPCからのものであると判別し、装置側でのプレビューは不要として、そのままステップS218に移行し、印刷部106による印刷を開始する。
【0034】
一方で、印刷プロトコルの判断結果である、PRIDの値が1の場合、制御部102は、印刷ジョブが携帯デバイスからのものであると判断して、プレビュー画像の描画を画像生成部103に指示する(ステップS208)。指示を受け取った画像生成部103は、プレビュー画像を生成する(ステップS209)。画像生成部103は、上述したステップS207で保存された印刷用画像のデータの解像度を変換してプレビュー画像を生成する。プレビュー画像が生成されると、制御部102は操作表示部20に画像を表示させるべく指示を送信する(ステップS210)。この指示を受け取った操作表示部20はプレビュー画像を前述した図3に示される態様にて表示する(ステップS211)。
【0035】
操作表示部20は、表示した画面からユーザの印刷指示を受け付けると、その旨を制御部102に伝達する(ステップS212)。制御部102は印刷用画像取得のための処理を開始する(ステップS216)。制御部102からの指令を受けたデータ記憶部104は保存済みの印刷用画像(ステップS207にて保存)を出力して、制御部102へと送る(ステップS217)。この印刷用画像を受け取った制御部102は続けて印刷を開始する旨の指示を印刷部106に送信する(ステップS218)。印刷部106は印刷画像に基づき印刷を開始する(ステップS219)。
【0036】
一方、操作表示部20は、印刷の設定情報を変更する旨の指示をユーザから受け付けると、その旨を制御部102へと伝達する(ステップS213)。プレビュー画面で、印刷の設定情報の変更を受け付けた場合、画像生成部103は、印刷用画像、およびプレビュー画像に対する変更を行う。この変更は印刷ジョブに含まれる未加工画像に基づいて行われる。
【0037】
制御部102はデータ記憶部104に保存された未加工画像を取得するための指示を送る(ステップS221)。指示を受け取ったデータ記憶部104は保存済みの未加工画像を制御部102に対して出力する(ステップS222)。制御部102は、この受理した未加工画像を、操作表示部20から受け取って設定情報の変更を反映して画像生成部103へと送信する(ステップS223)。
【0038】
未加工画像を受理した画像生成部103は、まず変更された設定情報に基づき未加工画像から印刷用画像を再生成し、制御部102へと返信する(S224)。画像を受け取った制御部102は印刷用画像を保存すべく、データ記憶部104に指示を送る(ステップS225)。データ記憶部104は印刷用画像を保存する(ステップS226)。この際、データ記憶部104では保存のための新たな領域を確保するのではなく、以前の保存された印刷用画像に上書きする形で保存が行われる。ここで、保存が上書きによって行われるのは、データ記憶部104の容量を節約するためである。
【0039】
続いて、制御部102は再生成された印刷画像に基づいてプレビュー画像を更新すべく処理を開始する。制御部102はプレビュー画像の生成を画像生成部103に指示する(ステップS227)。指示を受け取った画像生成部103は、プレビュー画像を生成する(ステップS228)。プレビュー画像の生成にあたっては、上述したステップS226で保存された印刷用画像のデータが用いられ、画像生成部103は、この印刷用画像の解像度を変換してプレビュー画像を作成する。プレビュー画像が生成されると、制御部102は操作表示部20に画像を表示させるべく指示を送信し(ステップS229)、ステップS211からの処理が繰り返し行われる。
【0040】
以上のように、第1の実施形態の画像形成装置1においては、携帯デバイス62からの印刷ジョブであるかを判断し、携帯デバイス62からの印刷ジョブである場合にはプレビュー画像を画像形成装置上のディスプレイに表示する。また、その他の端末61上でプレビューが可能な端末からの印刷ジョブである場合には画像形成装置上のディスプレイにはプレビュー画像を表示しないようにする。これにより、プレビューによって印刷状態の確認が必要な携帯デバイス62に集中してユーザへの確認を促すことができ、重複した確認によるユーザの利便性の低下を抑制することができるようになる。また、プレビューを通じてユーザが印刷の状態を確認し、操作表示部20から調整が可能になるため、ユーザの求める態様での印刷を行うことができるようになる。
【0041】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態にかかる画像形成装置1Aについて説明する。第2の実施形態においては、図6に示されるように、時間管理部107が新たに加えられている。その他の構成については、第1の実施形態と同様の符号のものにあっては、同様のものとし、説明を省略する。
【0042】
時間管理部107は、制御部102Aと接続されている。時間管理部107は、プレビュー画像が表示された後の時間を管理するものである。例えば、時間管理部107は、操作表示部20においてプレビュー画像が表示されたときからの経過時間を、タイマー(図示せず)などを用いてカウントする。
【0043】
この時間管理部107が動作するプロセスを図7に示したアクティビティ図を用いて説明する。図7においては、図5と共通するステップにおいては説明を省略する。時間管理部107は、ステップS210の後にプレビュー画像が操作表示部20において表示された際に動作を開始し、プレビュー画面が表示されると、時間管理部107は時間のカウントを開始する(ステップS214)。本実施形態の画像形成装置1Aにおいては、プレビュー画像が表示された状態において、ユーザからの操作がなかった場合にでも印刷がとどまらず実行されるように、所定時間経過後に印刷が実施されるようになっている。そのための、処理の流れを以下に示す。
【0044】
時間管理部107は、カウントした時間が所定の時間経過したかをチェックし(ステップS215)、所定の時間が経過した場合は制御部102Aに所定の時間が経過したことを報告する。制御部102Aは、この報告を受けた場合に印刷の処理を開始し(ステップS216)、時間管理部107はカウントの計測を停止する(ステップS220)。なお、時間管理部107は、所定の時間が経過する場合、操作表示部20において印刷開始ボタン23が押下された場合、および、設定変更ボタン24が押下された場合に、カウントをリセットする。
【0045】
本実施形態における画像形成装置1Aによれば、時間管理部107を設けることで、携帯デバイスからの印刷ジョブがあったにもかかわらず、ユーザによって確認がされない状態のまま放置されることがなくなり、印刷ジョブが放置されることによる印刷の作業効率の低下を抑制することができるようになる。
【0046】
なお、上記実施の形態では、本発明の画像形成装置を、コピー機能、プリンタ機能、スキャナ機能およびファクシミリ機能のうち少なくとも2つの機能を有する画像形成装置1に適用した例を挙げて説明するが、複写機、プリンタ、スキャナ装置、ファクシミリ装置等の画像形成装置であればいずれにも適用することができる。
【0047】
また、携帯デバイスからの印刷ジョブであることを判別するために印刷プロトコルとしてIPPを用いることとしたが、これは他のプロトコルとしてもよく、スマートフォンなどの携帯デバイスに利用され、PCなどの端末と区別しやすいプロトコルを適宜利用するようにすればよい。
【0048】
また、変形例としては、印刷プロトコルだけで判断するのではなく、携帯デバイスの特定のアプリケーションによるものであり、かつ印刷プロトコルがIPPである場合にのみプレビュー画像を生成して表示するような構成を採用することもできる。この構成では、携帯デバイスであっても確認を経てなくとも正常に印刷されることの多いデータ、たとえば写真をそのままプリントする場合などにはプレビューを行わないようにする。また、メールテキストやWEBページなどフォーマットが統一されておらず印刷が所要の状態で得られにくいものに利用されるアプリケーションからの印刷ジョブのみをプレビュー画像表示の対象とする。この場合、どのアプリケーションを対象とするかを画像形成装置においてユーザが操作表示部20から選択できるようにしてもよい。
【0049】
なお、第1、および第2の実施形態の画像形成装置で実行される印刷処理プログラムは、ROM等に予め組み込まれて提供されるようにしてもよい。
【0050】
本実施形態の画像形成装置で実行される印刷処理プログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD−ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD−R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録してコンピュータ・プログラム・プロダクトとして提供するように構成してもよい。
【0051】
さらに、本実施形態の画像形成装置で実行される印刷処理プログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成しても良い。また、本実施形態の画像形成装置で実行される印刷処理プログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成しても良い。
【0052】
本実施形態の画像形成装置で実行される印刷処理プログラムは、上述した各部(制御部、画像生成部、通信部、時間管理部)を含むモジュール構成となっており、実際のハードウェアとしてはCPU(プロセッサ)が上記ROMから印刷処理プログラムを読み出して実行することにより上記各部が主記憶装置上にロードされ、制御部、画像生成部、通信部、時間管理部が主記憶装置上に生成されるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0053】
1 画像形成装置
1A 画像形成装置
10 コントローラ
15 バス
20 操作表示部
21 プレビュー領域
22 設定情報表示領域
23 印刷開始ボタン
24 設定変更ボタン
50 インターフェース
60 エンジン部
61 端末
62 携帯デバイス
101 通信部
102 制御部
102A 制御部
103 画像生成部
104 データ記憶部
106 印刷部
107 時間管理部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0054】
【特許文献1】特開2011−171860号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯デバイスを含む外部デバイスからの印刷ジョブを受信する通信手段と、
前記印刷ジョブに基づき印刷用画像を生成する画像生成手段と、
前記印刷用画像に基づきプレビュー画像を生成するプレビュー生成手段と、
前記印刷用画像を記録媒体に印刷する印刷手段と、
前記印刷用画像を表示する表示手段と、
前記印刷ジョブの印刷プロトコルに基づいて、当該印刷ジョブが前記携帯デバイスから送信されたか否かを判断するプロトコル判別手段と、
前記印刷ジョブが前記携帯デバイスから送信されたと判断された場合に、前記プレビュー画像を前記表示手段において表示させる制御手段と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記印刷ジョブが前記携帯デバイスから送信されていないと判断された場合に、前記表示手段に前記プレビュー画像を表示せず、前記印刷手段により前記印刷用画像を印刷する
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記プロトコル判別手段は、前記印刷プロトコルがIPP(Internet Printing Protocol)であるときに、前記携帯デバイスからの印刷ジョブであると判断する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記印刷ジョブの印刷設定の設定情報の入力を受け付ける受付手段と、
前記印刷ジョブに含まれ、前記画像生成手段による加工が行われる以前の状態の未加工画像を記憶する記憶手段と、
をさらに備え、
前記プレビュー生成手段は前記設定情報に基づき前記未加工画像を加工して前記プレビュー画像を生成する
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記表示手段において前記プレビュー画像の表示が行われた際に時間のカウントを開始する時間管理手段をさらに備え、
前記制御手段は、当該カウントが所定値に達したときに前記印刷用画像を前記印刷手段による用紙への印刷を実施する
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記印刷ジョブが特定のアプリケーションから送信されたか否かを判断するアプリケーション判別手段をさらに備え、
前記プレビュー生成手段は、前記印刷ジョブが前記携帯デバイスから送信されたと判断され、かつ、前記印刷ジョブが前記特定のアプリケーションから送信されたと判断された場合に、前記プレビュー画像を生成する
ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
携帯デバイスを含む外部デバイスと画像形成装置とが通信ネットワークを介して接続された印刷制御システムであって、
前記外部デバイスは、
印刷ジョブを送信する送信手段を備え、
前記画像形成装置は、
前記外部デバイスから前記印刷ジョブを受信する通信手段と、
前記印刷ジョブに基づき印刷用画像を生成する画像生成手段と、
前記印刷用画像に基づきプレビュー画像を生成するプレビュー生成手段と、
前記印刷用画像を記録媒体に印刷する印刷手段と、
前記印刷用画像を表示する表示手段と、
前記印刷ジョブの印刷プロトコルに基づいて、当該印刷ジョブが前記携帯デバイスから送信されたか否かを判断するプロトコル判別手段と、
前記印刷ジョブが前記携帯デバイスから送信されたと判断された場合に、前記プレビュー画像を前記表示手段において表示させる制御手段と、
を備えることを特徴とする印刷制御システム。
【請求項8】
携帯デバイスを含む外部デバイスにより実行可能なプログラムと、画像形成装置と、を含む印刷制御システムであって、
前記プログラムは、
印刷ジョブを送信する送信ステップを前記外部デバイスに実行させ、前記画像形成装置は、
前記外部デバイスから前記印刷ジョブを受信する通信手段と、
前記印刷ジョブに基づき印刷用画像を生成する画像生成手段と、
前記印刷用画像に基づきプレビュー画像を生成するプレビュー生成手段と、
前記印刷用画像を記録媒体に印刷する印刷手段と、
前記印刷用画像を表示する表示手段と、
前記印刷ジョブの印刷プロトコルに基づいて、当該印刷ジョブが前記携帯デバイスから送信されたか否かを判断するプロトコル判別手段と、
前記印刷ジョブが前記携帯デバイスから送信されたと判断された場合に、前記プレビュー画像を前記表示手段において表示させる制御手段と、
を備えることを特徴とする印刷制御システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−63620(P2013−63620A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−204741(P2011−204741)
【出願日】平成23年9月20日(2011.9.20)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】