説明

画像形成装置、定着制御方法及び定着制御プログラム

【課題】本発明は、複数の相互に独立した制御手段によって定着部の安全管理を行う。
【解決手段】画像形成装置1は、供給電力に応じて発熱して定着ローラを加熱して、トナー画像の転写された用紙に該トナー画像を定着させる定着ヒータへの供給電力を、メインCPU11が、定着ローラの温度を検出する定着サーミスタ32の検出温度に基づいて、定着ヒータ制御回路31を介して行うが、定着サーミスタ32の検出温度が所定の設定温度を超えると、メインCPU11による該供給電力制御とは無関係に、ライトディテクト用CPU21が、定着ヒータ制御回路31による定着ヒータへの電力供給を停止させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置、定着制御方法及び定着制御プログラムに関し、詳細には、複数の制御手段によって定着部の安全管理を行う画像形成装置、定着制御方法及び定着制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式で画像形成を行う画像形成装置は、一様に帯電させた感光体上に画像データにより変調したレーザ光を照射して静電潜像を形成して、感光体上に形成した静電潜像を現像ユニットでトナー(現像剤)を用いて現像し、給紙部からレジストローラでタイミング調整されて感光体と転写ローラとの間に搬送されてくる用紙に、転写電源から転写ローラを介して高圧の転写バイアス(電圧、電流)を印加して感光体上のトナー画像を転写することで、トナー画像を用紙(シート状部材)に形成している。電子写真方式の画像形成装置は、このようにしてトナー画像を転写した用紙を定着部で、加熱・加圧しつつ搬送して、トナー画像を用紙に定着させている。
【0003】
画像形成装置は、定着部でのトナー画像の定着に、定着ローラ等の定着部材を加熱部材(ヒータ等)によって高温に加熱するため、安全性の確保が要望される。
【0004】
そこで、従来、定着制御を行うエンジンCPU(Central Processing Unit )の他に、エンジンCPUとは独立して動作する定着高温検知回路を設け、エンジンCPUと定着高温検知回路とで、定着部を二重に監視することで、エンジンCPUが故障した場合やエンジンCPUの実行するプログラムが暴走した場合においても、定着高温検知回路によって定着部を安全に停止する画像形成装置が存在する。
【0005】
ところが、このような画像形成装置は、エンジンCPU以外に、定着高温検知回路を追加する必要があり、部品点数が増大して、コスト及び実装面積が増大するという問題があった。
【0006】
そして、従来、少なくともプリンタコントローラとプリントエンジンコントローラの2つのコントローラを有し、プリントエンジンコントローラは、プリンタコントローラからの要求により省エネルギーのため、制御部を停止モードにする機能を有し、プリンタコントローラとプリントエンジンコントローラは、互いに独立してゼロクロス検出回路とヒータ制御回路への通電を制御する機能を有する画像形成装置が提案されている(特許文献1参照)。すなわち、この従来技術を用いると、プリンタコントローラと本来画像形成装置が備えているプリントエンジンコントローラが相互に通信して、定着部の異常を検出して制御することで、新たに定着高温検出回路を設けることなく、安価に安全性を向上させることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記公報記載の従来技術にあっては、プリンタコントローラとプリントエンジンコントローラが相互に通信して、定着部の異常を検出して制御するため、いずれかのコントローラのソフトウェアが暴走した場合、他方のコントローラによる定着部の制御を無効にしてしまう恐れがあり、定着部、ひいては、画像形成装置の安全を確保することができないおそれがある。例えば、プリンタコントローラの実行するソフトウェアが暴走することで、プリントエンジンコントローラのレジスタを誤設定すると、プリントエンジンコントローラが定着部を適切に制御することができなくなる可能性がある。また、プリンタコントローラは、その実行するソフトウェアが画像形成装置全体の制御を行うため、非常に複雑な構成となっており、複雑な構成のソフトウェアへ、さらに定着部の制御を実装することとなって、異常発生の確率が高くなるという問題がある。
【0008】
そこで、本発明は、2つの制御手段によって安価にかつ安全に定着制御を行うことを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、請求項1記載の画像形成装置は、供給電力に応じて発熱して定着部材を加熱して、記録材像の転写された被記録媒体に該記録材像を定着させる発熱手段と、前記発熱手段への供給電力を制御する電力制御手段と、前記定着部材の温度を検出する温度検出手段と、前記温度検出手段の検出温度に基づいて前記電力制御手段による前記発熱手段への供給電力制御を行なう制御手段と、前記温度検出手段の検出温度が所定の閾値温度を超えると、前記制御手段による前記供給電力制御とは無関係に、前記電力制御手段による前記発熱手段への電力供給を停止させる非常制御手段と、を備えていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、2つの制御手段によって安価にかつ安全に定着制御を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施例を適用した画像形成装置の要部ブロック構成図。
【図2】定着異常制御処理を示すフローチャート。
【図3】第2実施例の画像形成装置の要部ブロック構成図。
【図4】第2実施例の定着異常制御処理を示すフローチャート。
【図5】第2実施例の他の定着異常制御処理を示すフローチャート。
【図6】第3実施例の画像形成装置の要部ブロック構成図。
【図7】第3実施例のサブCPUコアによる定着異常制御処理を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の好適な実施例を添付図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下に述べる実施例は、本発明の好適な実施例であるので、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明によって不当に限定されるものではなく、また、本実施の形態で説明される構成の全てが本発明の必須の構成要件ではない。
【実施例1】
【0013】
図1及び図2は、本発明の画像形成装置、定着制御方法及び定着制御プログラムの第1実施例を示す図であり、図1は、本発明の画像形成装置、定着制御方法及び定着制御プログラムの第1実施例を適用した画像形成装置1のブロック構成図である。
【0014】
図1において、画像形成装置1は、その回路ブロック構成が、メイン制御部10、ライトディテクト部20、定着部30及び主電源スイッチ40等を備えており、図示しない電子写真方式の画像形成部で画像データに基づいて用紙に画像形成する。
【0015】
すなわち、電子写真方式の画像形成部は、画像形成装置1がカラー画像形成装置である場合、回転駆動される無端状の転写ベルトに沿って、複数色、例えば、C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)、K(ブラック)用の画像形成ユニットが配設されており、各画像形成ユニットは、転写ベルトに近接して配設されている感光体を中心として、該感光体を一様に帯電させる帯電部、帯電された感光体に画像データに基づいて変調したレーザ光を照射して静電潜像を形成する光書き込み部、静電潜像に形成された感光体にトナーを付与してトナー画像を形成する現像部、感光体上のトナー画像を給紙部から転写ベルト上に搬送されて転写ベルトによって搬送される用紙に順次各色のトナー画像を重ね合わせて転写させる転写部、転写の完了した方を除電クリーニングする除電クリーニング部等を備えている。
【0016】
定着部30は、定着ヒータ制御回路31、定着サーミスタ32、回転駆動される図示しない定着ローラ(定着部材)と該定着ローラに所定圧で圧接されて定着ローラとともに回転する加圧ローラ及び通電によって発熱して定着ローラを加熱する定着ヒータ(発熱手段)等を備えており、画像形成部でトナー画像の転写された用紙が定着ローラと加圧ローラの間に搬送されてくる。
【0017】
定着部30は、定着ヒータ制御回路31からの通電制御によって定着ヒータを発熱させて定着ローラを所定の定着温度に加熱して、トナー画像の転写された用紙を定着ローラと加圧ローラにより加熱・加圧しつつ搬送して、トナー画像を用紙に定着させる。
【0018】
定着サーミスタ(温度検出手段)32は、定着ローラの温度を検出して、検出したアナログの温度信号をメイン制御部10及びライトディテクト部20に出力する。
【0019】
定着ヒータ制御回路(電力制御手段)31は、メイン制御部10からの定着制御信号に基づいて定着ヒータへの通電のON/OFFを制御することで、定着ローラを所定の定着温度等の設定温度に制御する。
【0020】
メイン制御部10は、メインCPU11、プログラムや各種データを格納するメモリ等を備えており、メインCPU11は、A/D変換器12を搭載している。また、ライトディテクト部20は、ライトディテクト用CPU21、照度センサ22及びプログラムや各種データを格納するメモリ等を備えており、ライトディテクト用CPU21は、A/D変換器23を搭載している。
【0021】
ライトディテクト部20は、照度センサ22が、画像形成装置1の設置環境の周囲の照度を計測して、計測結果のアナログの照度信号をライトディテクト用CPU21に出力する。
【0022】
ライトディテクト用CPU(非常制御手段)21のA/D変換器23には、上記定着サーミスタ32からのアナログの検出温度信号及び照度センサ22からのアナログの照度信号が入力される。A/D変換器23は、照度センサ22からのアナログの照度信号をデジタルの照度信号にデジタル変換し、また、定着サーミスタ32からのアナログの検出温度信号をデジタルの検出温度信号にデジタル変換する。
【0023】
ライトディテクト用CPU21は、メモリ内のプログラムに基づいて、該メモリをワークメモリとして利用しつつ、照度検出処理と定着異常制御処理を行う。すなわち、ライトディテクト用CPU21は、A/D変換器23がデジタル変換した照度信号を、ビット数に応じたデジタル照度信号としてメインCPU11に対して出力する。例えば、デジタル照度信号が4ビットの場合、A/D変換器23が低変換した照度信号を、「0000b」〜「1111b」で表現したデジタル照度信号としてメインCPU11に出力する。そして、ライトディテクト用CPU21は、メインCPU11に対して、一方向でのみ接続されており、ライトディテクト用CPU21とメインCPU11のいずれかが故障したり、実行しているソフトウェアが暴走しても、ライトディテクト用CPU21からメインCPU11に正確な照度信号を出力することができなくなるのみであって、メインCPU11の実行する照度信号に基づく処理以外の他の処理、特に、定着部30の制御には、影響をおよぼすことがない。
【0024】
また、ライトディテクト用CPU21は、定着サーミスタ32からの検出温度信号をA/D変換器23がデジタル変換したデジタル検出温度信号を予め設定されている高温異常電圧閾値(閾値温度)と比較して、デジタル検出温度信号が高温異常電圧閾値以上になると、定着ヒータ制御回路31に異常停止信号を出力して定着ヒータへの通電を遮断させる定着異常制御処理を行う。このとき、定着ヒータ制御回路31は、ライトディテクト用CPU21から異常停止信号が入力されると、定着ヒータへの通電を遮断(OFF)する。また、ライトディテクト用CPU21は、定着ヒータ制御回路31に異常停止信号を出力しても、定着サーミスタ32が検出してA/D変換器23がデジタル変換したデジタル検出温度信号が所定の温度に低下しない(所定の高温状態を維持している)ときには、主電源スイッチ40にOFF信号を出力して、主電源スイッチ40をOFFさせる。すなわち、ライトディテクト用CPU21は、デジタル検出温度信号が高温異常電圧閾値以上となったときにのみ、定着ヒータ制御回路31を介して定着ヒータへの電力供給を停止(OFF)し、その他のときには、定着ヒータ制御回路31の駆動制御を行わず、メインCPU11が定着ヒータの通電制御を行う。
【0025】
メインCPU(制御手段)11は、そのA/D変換器12に、上記定着サーミスタ32からのアナログの検出温度信号が入力され、A/D変換器12は、定着サーミスタ32からのアナログの検出温度信号をデジタルの検出温度信号にデジタル変換する。
【0026】
メインCPU11は、メモリ等内のプログラムに基づいて、該メモリをワークメモリとして利用しつつ、画像形成装置1の各部を制御して画像形成装置1としての基本処理を実行するとともに、デジタル検出温度信号に基づいて定着ヒータ制御回路31に定着制御信号を出力し、定着ヒータ制御回路31による定着ヒータへの通電を制御して所定温度に制御する定着部30の定着制御処理を実行する。また、メインCPU11は、ライトディテクト用CPU21から送られてくるデジタル照度信号を予め設定されているA/D変換器23がデジタル変換した照度信号を予め設定されている電源OFF照度閾値と比較して、照度信号が電源OFF照度閾値以下になると、主電源スイッチ40にOFF信号を出力して、主電源スイッチ40をOFFさせる。
【0027】
主電源スイッチ40は、ユーザの操作によって、画像形成装置1の主電源を、ON/OFFし、また、ライトディテクト用CPU21及びメイン制御部11からのOFF信号に応じて主電源をOFFにする。
【0028】
そして、画像形成装置1は、ROM、EEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory )、EPROM、フラッシュメモリ、フレキシブルディスク、CD−ROM(Compact Disc Read Only Memory )、CD−RW(Compact Disc Rewritable )、DVD(Digital Versatile Disk)、SD(Secure Digital)カード、MO(Magneto-Optical Disc)等のコンピュータが読み取り可能な記録媒体に記録されている本発明の定着制御方法を実行する定着制御プログラムを読み込んでメイン制御部10のメモリやライトディテクト部20のメモリあるいは図示しないハードディスク等に導入することで、後述する異常発生時に該異常状態を解消する定着制御方法を実行する画像形成装置として構築されている。この定着制御プログラムは、アセンブラ、C、C++、C#、Java(登録商標)等のレガシープログラミング言語やオブジェクト指向ブログラミング言語等で記述されたコンピュータ実行可能なプログラムであり、上記記録媒体に格納して頒布することができる。
【0029】
次に、本実施例の作用について説明する。本実施例の画像形成装置1は、2つの相互に独立したCPU11、21によって安価にかつ安全に定着制御を行う。
【0030】
すなわち、画像形成装置1は、画像形成動作において、定着部30の定着サーミスタ32が定着ローラの温度を検出して、メイン制御部10のメインCPU11及びライトディテクト部20のライトディテクト用CPU21にアナログの検出温度信号を出力し、メインCPU11は、定着サーミスタ32からの検出温度信号をA/D変換器12にデジタル変換させて、デジタル検出温度信号として取り込んで、該デジタル検出温度信号に基づいて定着ヒータ制御回路31に定着制御信号を出力して、定着ヒータ制御回路31による定着ヒータへの通電を制御して定着ローラを所定の定着温度に制御する定着制御処理を実行する。
【0031】
このメインCPU11による定着制御処理の実行中に、ライトディテクト部20のライトディテクト用CPU21は、図2に示す定着異常制御処理を実行する。
【0032】
すなわち、ライトディテクト用CPU21は、照度センサ22からのアナログの照度信号をA/D変換器23にデジタルの照度信号へデジタル変換させ(ステップS101)、A/D変換器23がデジタル変換した照度信号を、ビット数に応じたデジタル照度信号としてメインCPU11に対して出力する(ステップS102)。
【0033】
ライトディテクト用CPU21は、定着部30の定着サーミスタ32からのアナログの検出温度信号をA/D変換器23にデジタル変換させ(ステップS103)、A/D変換器23のデジタル変換したデジタル検出温度信号を、予め設定されている高温異常電圧閾値と比較して、デジタル検出温度信号が高温異常電圧閾値以上であるか判断する(ステップS104)。
【0034】
ステップS104で、デジタル検出温度信号が高温異常電圧閾値未満であると(ステップS104で、NOのとき)、ライトディテクト用CPU21は、ステップS101に戻って、照度センサ22からのアナログ照度信号のデジタル照度信号へのデジタル変換処理から上記同様に処理する(ステップS101〜S104)。
【0035】
ステップS104で、デジタル検出温度信号が高温異常電圧閾値以上であると(ステップS104で、YESのとき)、ライトディテクト用CPU21は、定着ヒータ制御回路31に異常停止信号を出力して定着ヒータへの通電を遮断(OFF)させる(ステップS105)。このとき、定着ヒータ制御回路31は、ライトディテクト用CPU21から異常停止信号が入力されると、定着ヒータへの通電を遮断(OFF)する。
【0036】
ライトディテクト用CPU21は、定着ヒータ制御回路31に異常停止信号を出力すると、定着サーミスタ32が検出してA/D変換器23にデジタル変換させたデジタル検出温度信号が所定の温度に低下(降下)しているか、すなわち、定着部30の定着ローラの温度が所定温度に降下しているか判断し(ステップS107)、定着ローラの温度が降下しているとき(ステップS107で、YESのとき)には、異常停止処理が正常に進行していると判断して、そのまま定着異常制御処理を終了する。
【0037】
ステップS107で、定着部30の定着ローラの温度が所定温度に降下していないとき(ステップS107で、NOのとき)には、主電源スイッチ40にOFF信号を出力して、主電源スイッチ40をOFFさせて、定着異常制御処理を終了する(ステップS108)。
【0038】
このように、本実施例の画像形成装置1は、供給電力に応じて発熱して定着ローラ(定着部材)を加熱して、トナー画像(記録材像)の転写された用紙(被記録媒体)に該トナー画像を定着させる定着ヒータ(発熱手段)と、該定着ヒータへの供給電力を制御する定着ヒータ制御回路(電力制御手段)31と、定着ローラの温度を検出する定着サーミスタ(温度検出手段)32と、定着サーミスタ32の検出温度に基づいて定着ヒータ制御回路31による定着ヒータへの供給電力制御を行なうメインCPU(制御手段)11と、定着サーミスタ32の検出温度が所定の設定温度(閾値温度)を超えると、メインCPU11による前記供給電力制御とは無関係に、定着ヒータ制御回路31による定着ヒータへの電力供給を停止させるライトディテクト用CPU(非常制御手段)21と、を備えている。
【0039】
したがって、ライトディテクト用CPU21とメインCPU11が相互に独立して動作して、CPU11とCPU21のうち少なくともいずれかの故障やソフトミス等によって、ソフトウェアが正しく実行されないソフト暴走が発生して、画像形成装置1にとって想定される異常のうち、最も不利な動作を実行したとしても、一方のCPU11、21の暴走が他方のCPU11、21の動作に及ぼす影響を禁止することができ、2つのCPU(制御手段)11、21によって安価にかつ安全に定着制御を行うことができる。
【0040】
また、本実施例の画像形成装置1は、供給電力に応じて発熱して定着ローラを加熱して、トナー画像の転写された用紙に該トナー画像を定着させる定着ヒータへの供給電力を制御する電力制御処理ステップと、定着ローラの温度を検出する温度検出処理ステップと、該温度検出処理ステップでの検出温度に基づいて該電力制御処理ステップでの定着ヒータへの供給電力制御を行なう制御処理ステップと、該温度検出処理ステップでの検出温度が所定の設定温度(閾値温度)を超えると、該制御処理ステップでの前記供給電力制御とは無関係に、該電力制御処理ステップによる定着ヒータへの電力供給を停止させる非常制御処理ステップと、を有する定着制御方法を実行している。
【0041】
したがって、ライトディテクト用CPU21とメインCPU11が相互に独立して動作して、CPU11とCPU21のうち少なくともいずれかの故障やソフトミス等によって、ソフトウェアが正しく実行されないソフト暴走が発生して、画像形成装置1にとって想定される異常のうち、最も不利な動作を実行したとしても、一方のCPU11、21の暴走が他方のCPU11、21の動作に及ぼす影響を禁止することができ、2つのCPU(制御手段)11、21によって安価にかつ安全に定着制御を行うことができる。
【0042】
さらに、本実施例の画像形成装置1は、コンピュータに、供給電力に応じて発熱して定着ローラを加熱して、トナー画像の転写された用紙に該トナー画像を定着させる定着ヒータへの供給電力を制御する電力制御処理と、該定着ローラの温度を検出する温度検出処理と、該温度検出処理での検出温度に基づいて該電力制御処理での定着ヒータへの供給電力制御を行なう制御処理と、該温度検出処理での検出温度が所定の設定温度(閾値温度)を超えると、該制御処理での該供給電力制御とは無関係に、該電力制御処理による定着ヒータへの電力供給を停止させる非常制御処理と、を実行させる定着制御プログラムを搭載している。
【0043】
したがって、ライトディテクト用CPU21とメインCPU11が相互に独立して動作して、CPU11とCPU21のうち少なくともいずれかの故障やソフトミス等によって、ソフトウェアが正しく実行されないソフト暴走が発生して、画像形成装置1にとって想定される異常のうち、最も不利な動作を実行したとしても、一方のCPU11、21の暴走が他方のCPU11、21の動作に及ぼす影響を禁止することができ、2つのCPU(制御手段)11、21によって安価にかつ安全に定着制御を行うことができる。
【0044】
また、本実施例の画像形成装置1は、ライトディテクト用CPU21が、定着ヒータ制御回路31を介して定着ヒータへの電力供給を停止させた後においても、定着サーミスタ32の検出温度が所定の高温状態を維持していると、画像形成装置1の主電源の供給をOFF(遮断)している。
【0045】
したがって、定着ヒータ制御回路31以降の部品に異常が発生して定着部30の温度が低下しないときにおいても、確実に定着部30の温度を低下させて安全を確保することができ、安全性をより一層向上させることができる。
【0046】
さらに、本実施例の画像形成装置1は、ライトディテクト用CPU21が、環境光の照度に基づいて少なくとも画像形成装置1の主電源をOFFにするライトディテクト用CPU(照度対応電力制御手段)である。
【0047】
したがって、画像形成装置1が備えている既存のライトディテクト用CPU21を用いてより一層安価にかつ安全に定着制御を行なうことができる。
【0048】
また、本実施例の画像形成装置1は、ライトディテクト用CPU21が、定着ヒータ制御回路31を介して定着ヒータへの電力供給を停止させた後においても、定着サーミスタ32の検出温度が所定の高温状態を維持していると、画像形成装置1の主電源スイッチをOFFにして主電源の供給を遮断している。
【0049】
したがって、定着ヒータ制御回路31以降の部品に異常が発生して定着部30の温度が低下しない場合にも、確実に定着ヒータへの通電を遮断して、安全性をより一層向上させることができる。
【実施例2】
【0050】
図3〜図5は、本発明の画像形成装置、定着制御方法及び定着制御プログラムの第2実施例を示す図であり、図3は、本発明の画像形成装置、定着制御方法及び定着制御プログラムの第2実施例を適用した画像形成装置100のブロック構成図である。
【0051】
なお、本実施例の説明において、第1実施例の画像形成装置1の構成と同様の構成には、同一の符号を付与して、その説明を省略または簡略化する。
【0052】
図1において、画像形成装置100は、その回路ブロック構成が、メイン制御部110、ライトディテクト部120、定着部30及び主電源スイッチ40等を備えており、図示しない電子写真方式の画像形成部で画像データに基づいて用紙に画像形成する。
【0053】
メイン制御部110は、メインCPU111、プログラムや各種データを格納するメモリ等を備えており、メインCPU(制御手段)111は、第1実施例と同様のA/D変換器12を搭載している。また、ライトディテクト部120は、ライトディテクト用CPU121、照度センサ22及びプログラムや各種データを格納するメモリ等を備えており、ライトディテクト用CPU(非常制御手段)121は、第1実施例と同様のA/D変換器23を搭載している。
【0054】
ライトディテクト用CPU121は、メモリ内のプログラムに基づいて、該メモリをワークメモリとして利用しつつ、照度検出処理とメインCPU111による定着制御の監視を伴う定着異常制御処理を行う。
【0055】
すなわち、ライトディテクト用CPU121は、第1実施例の場合と同様に、A/D変換器23がデジタル変換した照度信号を、ビット数に応じたデジタル照度信号としてメインCPU111に対して出力する照度検出処理を行い、また、定着サーミスタ32からの検出温度信号をA/D変換器23がデジタル変換したデジタル検出温度信号を予め設定されている高温異常電圧閾値と比較して、デジタル検出温度信号が高温異常電圧閾値以上になると、定着ヒータ制御回路31に異常停止信号を出力して定着ヒータへの通電を遮断させる定着異常制御処理を行う。また、ライトディテクト用CPU121は、定着ヒータ制御回路31に異常停止信号を出力しても、定着サーミスタ32が検出してA/D変換器23がデジタル変換したデジタル検出温度信号が所定の温度に低下しないときには、主電源スイッチ40にOFF信号を出力して、主電源スイッチ40をOFFさせる。
【0056】
さらに、ライトディテクト用CPU121は、メインCPU111による定着ヒータ制御回路31への定着制御信号を取得し、メインCPU111による定着制御が行われているか否かの判断を行う。そして、ライトディテクト用CPU21は、メインCPU111によって定着制御が行われているにもかかわらず、定着サーミスタ32からの検出温度信号をA/D変換器23がデジタル変換したデジタル検出温度信号の示す温度が所定の定着温度に制御されずに所定の低温状態が維持されているときには、定着ヒータ制御回路31に異常停止信号を出力して定着ヒータへの通電を遮断させる定着異常制御処理を行う。
【0057】
メインCPU111は、第1実施例の場合と同様に、そのA/D変換器12に、上記定着サーミスタ32からのアナログの検出温度信号が入力され、A/D変換器12は、定着サーミスタ32からのアナログの検出温度信号をデジタルの検出温度信号にデジタル変換する。メインCPU111は、メモリ等内のプログラムに基づいて、該メモリをワークメモリとして利用しつつ、画像形成装置100の各部を制御して画像形成装置100としての基本処理を実行するとともに、デジタル検出温度信号に基づいて定着ヒータ制御回路31に定着制御信号を出力し、定着ヒータ制御回路31による定着ヒータへの通電を制御する定着部30の定着制御処理を実行する。また、メインCPU111は、ライトディテクト用CPU121から送られてくるデジタル照度信号を予め設定されているA/D変換器23がデジタル変換した照度信号を予め設定されている電源OFF照度閾値と比較して、照度信号が電源OFF照度閾値以下になると、主電源スイッチ40にOFF信号を出力して、主電源スイッチ40をOFFさせる。
【0058】
また、メインCPU111には、ライトディテクト用CPU121から定着ヒータ制御回路31への異常停止信号が入力され、メインCPU111は、定着サーミスタ32からの検出温度信号をA/D変換器12でデジタル変換したデジタル検出温度信号が高温異常電圧閾値以上であるときに、ライトディテクト用CPU121から定着ヒータ制御回路31に異常停止信号が出力されないときには、ライトディテクト用CPU21が異常であると判断して、主電源スイッチ40にOFF信号を出力して、主電源スイッチ40をOFFさせる。
【0059】
次に、本実施例の作用を説明する。本実施例の画像形成装置100は、メインCPU111とライトディテクト用CPU121が相互に独立しつつ相手の動作を監視して、定着制御を行う。
【0060】
すなわち、画像形成装置100は、画像形成動作において、定着部30の定着サーミスタ32が定着ローラの温度を検出してメイン制御部110のメインCPU111及びライトディテクト部120のライトディテクト用CPU121にアナログの検出温度信号を出力し、メインCPU111は、定着サーミスタ32からの検出温度信号をA/D変換器12にデジタル変換させて、デジタル検出温度信号として取り込んで、該デジタル検出温度信号に基づいて定着ヒータ制御回路31に定着制御信号を出力して、定着ヒータ制御回路31による定着ヒータへの通電を制御して定着ローラを所定の定着温度に制御する定着制御処理を実行するとともに、この定着制御信号をライトディテクト用CPU121にも出力する。
【0061】
ライトディテクト用CPU121は、メモリ内のプログラムに基づいて、該メモリをワークメモリとして利用しつつ、照度検出処理とメインCPU111による定着制御の監視を行い、定着ヒータ制御回路31を介した定着部30の定着ヒータのON/OFFを行なう定着異常制御処理を行うとともに、定着ヒータ制御回路31を介した定着部30の定着ヒータのON/OFF制御信号をメインCPU111に出力する。
【0062】
そして、メインCPU111による定着制御処理の実行中に、ライトディテクト部120のライトディテクト用CPU121は、図4に示す定着異常制御処理を実行する。
【0063】
すなわち、ライトディテクト用CPU121は、照度センサ22からのアナログの照度信号をA/D変換器23にデジタルの照度信号へデジタル変換させ(ステップS201)、A/D変換器23がデジタル変換した照度信号を、ビット数に応じたデジタル照度信号としてメインCPU111に対して出力する(ステップS202)。
【0064】
ライトディテクト用CPU121は、定着部30の定着サーミスタ32からのアナログの検出温度信号をA/D変換器23にデジタル変換させ(ステップS203)、A/D変換器23のデジタル変換したデジタル検出温度信号を、予め設定されている高温異常電圧閾値と比較して、デジタル検出温度信号が高温異常電圧閾値以上であるか判断する(ステップS204)。
【0065】
ステップS204で、デジタル検出温度信号が高温異常電圧閾値未満であると(ステップS204で、NOのとき)、ライトディテクト用CPU121は、ステップS201に戻って、照度センサ22からのアナログの照度信号のデジタルの照度信号へのデジタル変換処理から上記同様に処理する(ステップS201〜S204)。
【0066】
ステップS204で、デジタル検出温度信号が高温異常電圧閾値以上であると(ステップS204で、YESのとき)、ライトディテクト用CPU121は、メインCPU111からの定着制御信号に基づいて、メインCPU111が定着ヒータをONしているか判断し(ステップS205)、メインCPU111が定着ヒータをONしていないとき、すなわち、定着ヒータをOFFしているとき(ステップS205で、NOのとき)には、定着ヒータをOFFする必要がないと判断して、そのまま定着異常制御処理を終了する。
【0067】
ステップS205で、メインCPU111が定着ヒータをONしているとき、すなわち、定着ヒータをONしているとき(ステップS205で、YESのとき)には、ライトディテクト用CPU121は、主電源スイッチ40にOFF信号を出力して、主電源スイッチ40をOFFさせて、定着異常制御処理を終了する(ステップS206)。
【0068】
この場合、ライトディテクト用CPU121は、図5に示すように、定着ヒータの温度とメインCPU111による定着制御処理の有無に基づいてメインCPU111の異常/正常の判断を行なって、定着ヒータへの通電を制御する定着異常制御処理を行なってもよい。
【0069】
すなわち、ライトディテクト用CPU121は、定着ヒータがONされて(ステップS301)、メインCPU111から定着ヒータ制御回路31への定着制御信号を監視して定着ヒータをONすると(ステップS302)、定着サーミスタ32からのアナログの検出温度信号をA/D変換器23でデジタル変換したデジタル検出温度信号の示す温度が、メインCPU111の正常/異常を判定するための温度として予め設定されている所定設定温度以上であるか判定する(ステップS303)。
【0070】
ステップS303で、デジタル検出温度信号が所定設定温度以上であると(ステップS303で、YESであると)、ライトディテクト用CPU121は、メインCPU111が正常に定着ヒータを制御していると判断して、定着異常制御処理を終了する。
【0071】
ステップS303で、デジタル検出温度信号が所定設定温度未満であると(ステップS303、NOであると)、ライトディテクト用CPU121は、メインCPU111が定着ヒータをONしているか否かを、定着制御信号に基づいて判断し(ステップS305)、ステップS305で、メインCPU111が、定着ヒータをOFFしていると(ステップS305で、NOであると)、メインCPU111は正常であると判断して、定着異常制御処理を終了する(ステップS306)。
【0072】
ステップS305で、メインCPU111が定着ヒータをONしていると(ステップS305で、YESであると)、ライトディテクト用CPU121は、メインCPU111が異常であると判断して、定着ヒータ制御回路31に異常停止信号を出力して定着ヒータへの通電を遮断(OFF)させる(ステップS306)。
【0073】
なお、ライトディテクト用CPU121は、この定着ヒータへの通電を遮断させる処理を行った後において、上述のように、定着サーミスタ32からの検出温度に基づいて、定着ヒータの温度を監視し、検出温度が低下しないときには、主電源スイッチ40をOFFしてもよい。
【0074】
このように、本実施例の画像形成装置100は、ライトディテクト用CPU21が、メインCPU111による定着ヒータ制御回路31を介した定着ヒータへの供給電力の制御状態を監視し、定着サーミスタ32の検出温度が所定の設定温度(閾値温度)を超えているにもかかわらず、メインCPU111が定着ヒータ制御回路31に定着ヒータへの電力供給を継続させていると、メインCPU111が異常状態であると判定して、定着ヒータ制御回路31による定着ヒータへの電力供給を停止させている。
【0075】
したがって、ライトディテクト用CPU21が、メインCPU111の正常/異常を判定して、適切に定着ヒータへの通電制御を行なうことができ、定着制御における安全性をより一層向上させることができる。
【0076】
また、本実施例の画像形成装置100は、ライトディテクト用CPU121が、メインCPU111による定着ヒータ制御回路31を介した定着ヒータへの供給電力の制御状態を監視し、供給電力制御状態であるにもかかわらず、定着サーミスタ32の検出温度が所定の低温状態を維持していると、メインCPU111による該供給電力制御とは無関係に、定着ヒータ制御回路31による定着ヒータへの電力供給を停止させている。
【0077】
したがって、メインCPU111による定着ヒータ制御回路31への制御状態が適切に行われているにもかかわらず、定着ローラの温度が上昇しないときには、定着ヒータ制御回路31以降の部品に異常があると判断して、定着ヒータ制御回路31による定着ヒータへの電力供給を停止させことができ、定着制御における安全性をより一層向上させることができる。
【0078】
さらに、本実施例の画像形成装置100は、ライトディテクト用CPU121が、メインCPU111による定着ヒータ制御回路31への供給電力制御の状態を監視し、供給電力制御状態であるにもかかわらず、定着サーミスタ32の検出温度が所定の閾値温度を超えると、画像形成装置100の主電源スイッチをOFFにして、主電源の供給を遮断している。
【0079】
したがって、定着ヒータ制御回路31以降の部品に異常が発生して定着部30の温度が低下しない場合にも、確実に定着ヒータへの通電を遮断して、安全性をより一層向上させることができる。
【実施例3】
【0080】
図6及び図7は、本発明の画像形成装置、定着制御方法及び定着制御プログラムの第3実施例を示す図であり、図6は、本発明の画像形成装置、定着制御方法及び定着制御プログラムの第3実施例を適用した画像形成装置200のブロック構成図である。
【0081】
なお、本実施例の説明において、第1実施例の画像形成装置1の構成と同様の構成には、同一の符号を付与して、その説明を省略または簡略化する。
【0082】
図6において、画像形成装置200は、その回路ブロック構成が、メイン制御部210、定着部30及び図示しないが第1実施例と同様の主電源スイッチ等を備えており、図示しない電子写真方式の画像形成部で画像データに基づいて用紙に画像形成する。
【0083】
定着部30は、第1実施例と同様の定着ヒータ制御回路31、定着サーミスタ32、定着ローラ、加圧ローラ及び定着ローラを加熱する定着ヒータ等を備えている。
【0084】
メイン制御部210は、SOC(System On a Chip)220及びプログラムや各種データを格納するメモリ等を搭載しており、1つの部品であるSOC220は、メインCPUコア221とサブCPUコア222を搭載している。
【0085】
メインCPUコア221及びサブCPUコア222は、それぞれ第1実施例と同様のA/D変換器221a及びA/D変換器222aを搭載している。
【0086】
メインCPUコア221のA/D変換器221a及びサブCPUコア222のA/D変換器222aには、定着サーミスタ32からアナログの検出温度信号が入力され、A/D変換器221a及びA/D変換器222aは、それぞれ定着サーミスタ32からのアナログの検出温度信号をデジタルの検出温度信号にデジタル変換する。
【0087】
メインCPU(制御手段)221は、第1実施例の場合と同様に、そのA/D変換器221aに、上記定着サーミスタ32からのアナログの検出温度信号が入力され、A/D変換器221aは、定着サーミスタ32からのアナログの検出温度信号をデジタルの検出温度信号にデジタル変換する。メインCPU221は、メモリ等内のプログラムに基づいて、該メモリをワークメモリとして利用しつつ、画像形成装置200の各部を制御して画像形成装置200としての基本処理を実行するとともに、デジタル検出温度信号に基づいて定着ヒータ制御回路31に定着制御信号を出力し、定着ヒータ制御回路31による定着ヒータへの通電を制御する定着部30の定着制御処理を実行する。
【0088】
サブCPUコア(非常制御手段)222は、上記A/D変換器222a等を備えており、上記メモリ内のプログラムに基づいて、該メモリをワークメモリとして利用しつつ、所定のサブ動作、例えば、省電力モードからの復帰処理等を行なうとともに、定着サーミスタ32からの検出温度信号をA/D変換器222aがデジタル変換したデジタル検出温度信号を予め設定されている高温異常電圧閾値と比較して、デジタル検出温度信号が高温異常電圧閾値以上になると、定着ヒータ制御回路31に異常停止信号を出力して定着ヒータへの通電を遮断させる定着異常制御処理を行う。このとき、定着ヒータ制御回路31は、上記同様に、サブCPUコア222から異常停止信号が入力されると、定着ヒータへの通電を遮断(OFF)する。なお、サブCPUコア222は、定着ヒータ制御回路31に異常停止信号を出力しても、定着サーミスタ32が検出してA/D変換器222aがデジタル変換したデジタル検出温度信号が所定の温度に低下しないときには、図示しない主電源スイッチにOFF信号を出力して、主電源スイッチをOFFさせてもよい。すなわち、サブCPUコア222は、デジタル検出温度信号が高温異常電圧閾値以上となったときにのみ、定着ヒータ制御回路31を介して定着ヒータへの電力供給を停止(OFF)し、その他のときには、定着ヒータ制御回路31の駆動制御を行わず、メインCPUコア221が定着ヒータの通電制御を行う。
【0089】
定着ヒータ制御回路31は、メインCPUコア221とサブCPUコア222のいずれかからOFFの定着制御信号が入力されると、定着ヒータへの通電をOFFにする。
【0090】
次に、本実施例の作用を説明する。本実施例の画像形成装置200は、メインCPU111とライトディテクト用CPU121がSOC220に組み込まれて相互に独立しつつ定着制御を行う。
【0091】
すなわち、画像形成装置200は、画像形成動作において、定着部30の定着サーミスタ32が定着ローラの温度を検出してSOC220のメインCPUコア221及びサブCPUコア222にアナログの検出温度信号を出力する。メインCPUコア221は、定着サーミスタ32からの検出温度信号をA/D変換器221aにデジタル変換させて、デジタル検出温度信号として取り込んで、該デジタル検出温度信号に基づいて定着ヒータ制御回路31に定着制御信号を出力し、定着ヒータ制御回路31による定着ヒータへの通電を制御して定着ローラを所定の定着温度に制御する定着制御処理を実行する。
【0092】
サブCPUコア222は、メインCPUコア221による定着制御処理を監視して、図7に示す定着異常制御処理を行なう。すなわち、サブCPUコア222は、図7に示すように、定着部30の定着サーミスタ32からのアナログの検出温度信号をA/D変換器222aにデジタル変換させ(ステップS401)、A/D変換器23のデジタル変換したデジタル検出温度信号を、予め設定されている高温異常電圧閾値と比較して、デジタル検出温度信号が高温異常電圧閾値以上であるか判断する(ステップS402)。
【0093】
ステップS402で、デジタル検出温度信号が高温異常電圧閾値未満であると(ステップS402で、NOのとき)、サブCPUコア222は、ステップS401に戻って、定着ヒータ32からのアナログの検出温度信号のデジタル検出温度信号へのデジタル変換処理から上記同様に処理する(ステップS401、S402)。
【0094】
ステップS402で、デジタル検出温度信号が高温異常電圧閾値以上であると(ステップS402で、YESのとき)、サブCPUコア222は、定着ヒータ制御回路31に異常停止信号を出力して定着ヒータへの通電を遮断(OFF)させる(ステップS403)。
【0095】
なお、本実施例の定着異常制御処理としては、図7に示した処理に限るものではなく、例えば、第1実施例の定着異常制御処理や第2実施例の定着異常制御処理を行なってもよい。
【0096】
このように、本実施例の画像形成装置200は、制御手段であるメインCPU221と非常制御手段であるサブCPUコア222が、同じ部品であるSOC220内に搭載されている。
【0097】
したがって、小型で安価にかつ安全に定着制御を行なうことができる。
【0098】
以上、本発明者によってなされた発明を好適な実施例に基づき具体的に説明したが、本発明は上記実施例で説明したものに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0099】
1 画像形成装置
10 メイン制御部
11 メインCPU
12 A/D変換器
20 ライトディテクト部
21 ライトディテクト用CPU
22 照度センサ
23 A/D変換器
30 定着部
31 定着ヒータ制御回路
32 定着サーミスタ
40 主電源スイッチ
100 画像形成装置
110 メイン制御部
111 メインCPU
120 ライトディテクト部
121 ライトディテクト用CPU
200 画像形成装置
210 メイン制御部
220 SOC
221 メインCPUコア
221a A/D変換器
222 サブCPUコア
222a A/D変換器
【先行技術文献】
【特許文献】
【0100】
【特許文献1】特開2003−177640号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
供給電力に応じて発熱して定着部材を加熱して、記録材像の転写された被記録媒体に該記録材像を定着させる発熱手段と、
前記発熱手段への供給電力を制御する電力制御手段と、
前記定着部材の温度を検出する温度検出手段と、
前記温度検出手段の検出温度に基づいて前記電力制御手段による前記発熱手段への供給電力制御を行なう制御手段と、
前記温度検出手段の検出温度が所定の閾値温度を超えると、前記制御手段による前記供給電力制御とは無関係に、前記電力制御手段による前記発熱手段への電力供給を停止させる非常制御手段と、
を備えていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記非常制御手段は、
前記制御手段による前記電力制御手段を介した前記発熱手段への供給電力の制御状態を監視し、前記温度検出手段の検出温度が所定の閾値温度を超えているにもかかわらず、該制御手段が該電力制御手段に該発熱手段への電力供給を継続させていると、該制御手段が異常状態であると判定して、該電力制御手段による該発電手段への電力供給を停止させることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記非常制御手段は、
前記制御手段による前記電力制御手段を介した前記発熱手段への供給電力の制御状態を監視し、供給電力制御状態であるにもかかわらず、前記温度検出手段の検出温度が所定の低温状態を維持していると、該制御手段による該供給電力制御とは無関係に、該電力制御手段による前記発熱手段への電力供給を停止させることを特徴とする請求項1または請求項2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記非常制御手段は、
前記電力制御手段を介して前記発熱手段への電力供給を停止させた後においても、前記温度検出手段の検出温度が所定の高温状態を維持していると、前記画像形成装置の主電源の供給を遮断することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記非常制御手段は、
前記制御手段による前記電力制御手段への供給電力制御の状態を監視し、供給電力制御状態であるにもかかわらず、前記温度検出手段の検出温度が所定の閾値温度を超えると、前記画像形成装置の主電源の供給を遮断することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記非常制御手段は、
環境光の照度に基づいて少なくとも前記画像形成装置の主電源をオフにする照度対応電力制御手段であることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記制御手段と前記非常制御手段は、
同じ部品内に搭載されていることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項8】
供給電力に応じて発熱して定着部材を加熱して、記録材像の転写された被記録媒体に該記録材像を定着させる発熱手段への供給電力を制御する電力制御処理ステップと、
前記定着部材の温度を検出する温度検出処理ステップと、
前記温度検出処理ステップでの検出温度に基づいて前記電力制御処理ステップでの前記発熱手段への供給電力制御を行なう制御処理ステップと、
前記温度検出処理ステップでの検出温度が所定の閾値温度を超えると、前記制御処理ステップでの前記供給電力制御とは無関係に、前記電力制御処理ステップによる前記発熱手段への電力供給を停止させる非常制御処理ステップと、
を有していることを特徴とする定着制御方法。
【請求項9】
コンピュータに、
供給電力に応じて発熱して定着部材を加熱して、記録材像の転写された被記録媒体に該記録材像を定着させる発熱手段への供給電力を制御する電力制御処理と、
前記定着部材の温度を検出する温度検出処理と、
前記温度検出処理での検出温度に基づいて前記電力制御処理での前記発熱手段への供給電力制御を行なう制御処理と、
前記温度検出処理での検出温度が所定の閾値温度を超えると、前記制御処理での前記供給電力制御とは無関係に、前記電力制御処理による前記発熱手段への電力供給を停止させる非常制御処理と、
を実行させることを特徴とする定着制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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