説明

画像形成装置、画像形成方法、およびプログラム

【課題】 同一の用紙タイプが設定されている複数の給紙段に格納され、異なる用紙銘柄の特性の差異を検出し、より印刷用途に適した用紙が格納される給紙段を自動で選択することができる手法を提供する。
【解決手段】 本発明の画像形成装置は、同一タイプの用紙を格納する第1と第2の給紙段を有し、前記第1の給紙段を選択し、該第1の給紙段に格納される用紙の用紙特性情報を取得し、予め定められた基準値を用いて該用紙特性情報を評価し、該評価結果を用いて第1の給紙段に格納された用紙を用いるか否か判定する。第1の給紙段に格納された用紙を用いると判定されると、第1の給紙段から用紙を給紙し、該給紙された用紙に印刷ジョブに従い形成された画像を印刷する。第1の給紙段に格納された用紙を用いないと判定されると、前記第2の給紙段から用紙を給紙し、該給紙された用紙に前記印刷ジョブに従い形成された画像を印刷することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像が形成される記録材の特性に関する情報を検出し、その検出結果に基づいて、画像形成に用いる記録材を格納する給紙段が選択される画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、オフセット印刷等で使用する版を不要としたダイレクトイメージングプリンタの需要が高くなってきている。ダイレクトイメージングプリンタは、印刷時間の短縮や大量部数の印刷に対する要望や、印刷不良が発生した紙の廃却という環境問題等に対応すべく広く用いられている。その中でも、価格面で有利であり写真印刷に適したインクジェット方式プリンタや、生産性が高くオフセット印刷の仕上がりに近い電子写真方式プリンタがより広く用いられる。これらのプリンタの中には、様々な種類の印刷用紙、あるいは、大量ページ・大量部数印刷に対応するために、複数の給紙段を有するものがある。そして、これらの給紙段に対して、オペレータにより予め用紙タイプを設定されるのが一般的である。この用紙タイプとは通常、用紙の坪量、表面性などの特性から大きく分類されるものであり、例えば、「普通紙」、「厚紙」、「コート紙」などの情報が用紙タイプとして各給紙段に設定される。そして、給紙段に設定されたタイプの用紙がその給紙段に格納される。
【0003】
このようなプリンタにおいては、プリンタが印刷ジョブに対し指定された用紙タイプを認識し、指定された用紙タイプが設定されている給紙段を自動で選択する。そして、選択された給紙段からジョブを印刷すべく印刷用紙を給紙する「給紙段自動選択」という機能がある。この機能を使うことにより、印刷ジョブの作成者または、印刷オペレータは、どの給紙段に印刷ジョブに対し指定された用紙タイプが設定されているかを気にすることなく、印刷ジョブをプリンタに投入することができる。
【0004】
また、ダイレクトイメージングプリンタに対しては、紙に形成された画像の色味安定性が要求される。この要求を実現するために従来から色安定化技術(キャリブレーション)が提案されている。電子写真方式の画像処理装置における色安定化制御の一例として、プリンタ部でパッチパターンが形成された出力用紙の画像を読み取り、その読み取り結果に基づき画像制御を行う画像形成装置が提案されている。一般的に、キャリブレーションを行う際は推奨紙が定義されている。この推奨紙は、オペレータ、もしくは、プリンタの製造元にてキャリブレーションのターゲット情報を生成する際に測定するパッチパターンの形成に用いられた用紙銘柄が該当する。ユーザがキャリブレーションを実施する際に使用する用紙の特性(紙白、厚みなど)が推奨紙に一致もしくは類似している場合は、キャリブレーションは高い精度でその効果を発揮する。一方、用紙の特性が推奨紙と大きく異なる場合は、キャリブレーションの効果は必ずしも補償されず、画質の低下を招く恐れがある。ここで、同じ用紙タイプに属する高級紙と安価な用紙が、それぞれ、給紙段#1と給紙段#2に格納されており、給紙段自動選択の結果、印刷用紙の給紙先として給紙段#1(高級紙)が選択されたとする。この場合、例えば社内研修資料のような、用紙の高級感がそれほど必要とされないであろう印刷データに対しても高級紙が使用され、不要な用紙コストの増加が発生してしまう。
【0005】
また、給紙段#1にキャリブレーションの推奨紙が格納され、別の給紙段#2に推奨紙と同じ用紙タイプに属するが用紙の特性(紙白の分光反射率等)は大きく異なる用紙が格納されており、給紙段自動選択の結果、給紙段#2が選択されるとする。この場合、キャリブレーションの効果が補償されず、画質の低下を招く恐れがある。製品カタログや写真集など高画質が求められる画像データを印刷する場合は、このような現象は望ましくなく、なるべくキャリブレーションの効果が補償される推奨紙あるいは推奨紙に特性が近い用紙が選択されるのが好ましい。
【0006】
上記の双方の問題を回避するためには、オペレータが給紙段自動選択の動作内容を理解していること、各給紙段に格納されている用紙銘柄を正確に把握することが必要である。よって、オペレータの熟練度への依存、人為的なミスの可能性などの課題が残る。
【0007】
あるいは、給紙段自動選択を使用せずに印刷ジョブ入力の度に給紙段をオペレータが指定するという方法も考えられる。しかし、この場合も、オペレータが印刷ジョブ入力の度に指定された給紙段に所望の用紙が格納されているかを確認しなくてはならない。
【0008】
また、特許文献1では、印刷目的に応じた給紙段選択の制御に関する手法として給紙段に格納されている用紙の用紙タイプ情報を基に、テストプリントに適した用紙か否かを判定する手法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2002−19236
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、特許文献1で提案される手法を用いると、給紙段に設定された用紙タイプに関する情報を基に用紙の使用可否の判定処理が実施される。つまり、判定処理に用いられる情報は、上述したように大きく分類された用紙タイプに関する情報のみである。そのため、同一の用紙タイプに分類される複数の用紙銘柄間で、用紙の紙白の分光反射率等のさら詳細な差分情報は考慮されない。よって、上述したように印刷用途に適した用紙が格納される給紙段を選択することができない。
【0011】
そこで、本発明の目的は、同一の用紙タイプが設定される複数の給紙段に格納されつつも、異なる用紙銘柄を有する用紙の差分情報を検出し、印刷用途に適した用紙が格納される給紙段を自動で選択することができる手法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するため、本発明の画像形成装置は、同一タイプの用紙を格納する第1の給紙段と第2の給紙段を有し、前記第1の給紙段を選択する選択手段と、前記選択手段により選択された第1の給紙段に格納される用紙の用紙特性情報を取得する取得手段と、予め定められた基準値を用いて前記取得手段により取得された用紙の用紙特性情報を評価し、該評価結果を用いて前記選択手段により選択された第1の給紙段に格納された用紙を用いるか否か判定する判定手段と、前記判定手段により前記第1の給紙段に格納された用紙を用いると判定されると、前記第1の給紙段から用紙を給紙し、該給紙された用紙に前記印刷ジョブに従い形成された画像を印刷し、前記第1の給紙段に格納された用紙を用いないと判定されると、前記第2の給紙段から用紙を給紙し、該給紙された用紙に前記印刷ジョブに従い形成された画像を印刷することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、同一の用紙タイプ属性が設定される複数給紙段の中から、印刷用途に適した用紙を格納する給紙段を自動で選択することができる。したがって、例えば重要度の低い印刷物に対し高級紙の使用を避けることが可能となる。また、高画質が要求される印刷物に対して、キャリブレーションの効果を十分に発揮できる用紙を自動で選択することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係る画像形成装置の全体のブロック図である。
【図2】画像形成装置における静電潜像作成に関係する各ブロックの構成を説明する図である。
【図3】画像形成部の断面図である。
【図4】本実施例における給紙段への用紙タイプの設定処理に関するUI画面の一例である。
【図5】本実施例における基準用紙情報の取得、及び登録処理に関するUI画面の一例である。
【図6】本実施例における基準用紙情報の取得、及び登録処理の処理フロー図である。
【図7】本実施例における登録基準用紙の情報を表示するUI画面の一例である。
【図8】本実施例における用紙使用可否の判定属性付与手段における印刷設定画面の一例である。
【図9】本実施例における用紙使用可否の判定手段の処理フロー図である。
【図10】実施例3におけるPDLコマンドの一例である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[実施例1]
図1は、実施例1の電子写真方式の画像形成装置100の全体を示すブロック図である。画像形成装置100は画像形成部203と画像処理部202により構成される。画像処理部202はビットマップ画像情報を生成し、それに基づき画像形成部203が用紙等の記録媒体上への画像形成を行う。
【0016】
コントローラユニット201は画像入力装置である不図示のスキャナや画像出力装置である画像形成部203と接続し、一方では不図示のLAN、公衆回線などのネットワークと接続することで、画像情報やデバイス情報の入出力を行うためのコントローラである。
【0017】
システムバス101は、PCIバスまたはIEEE1394などの高速バスで構成される。図1には、本実施例に関わるデバイスのみを図示する。システムバス101には、ここでは画像形成装置100に必要な不図示のネットワーク接続I/F、スキャナI/Fが接続されることは言うまでもない。
【0018】
CPU102はデジタル複合機である画像形成装置100全体を制御するコントローラとして機能する。
【0019】
RAM104はCPU102が動作するためのシステムワークメモリであり、画像データを一時記憶するための画像メモリとしても利用される。
【0020】
ROM103はブートROMとして利用され、画像形成装置100のブートプログラムが格納されている。
【0021】
外部メモリI/F105はHDDなどの外部メモリI/Fで、外部記憶部106に格納されているデータを読み書きすることが可能である。
【0022】
外部記憶部106は、HDDやDDR3メモリやNAND Flashメモリなどの外部メモリである。システムソフトウェア、画像データ、アドレス帳などの個人データの他に本実施例に必要なパッチパターンを格納する記憶部である。
【0023】
デバイスI/F107は、画像処理部202、画像形成部203と通信しプリント実行コマンドを発行や画像データを転送したり、エンジンステータスを読み込んだりすることが可能である。
【0024】
操作部I/F108は、操作部109とコントローラユニット201を接続する。操作部109は、スイッチやLEDのみのものから、タッチパネル式のLCD表示部を有しているものまで様々である。操作部109で入力した情報が、操作部I/F108を介して、CPU102に伝えられ、所望の処理を行い、それに伴い操作部109に具備された不図示の表示部に表示を行う。
【0025】
次に、画像形成装置100における画像処理部202の処理について、図2を用いて説明する。図2は、画像形成装置100における、静電潜像作成に関係する各ブロックの構成を説明する図である。
【0026】
画像生成部204は、不図示のコンピュータ装置等から受信する印刷データより、印刷処理が可能なラスターイメージデータを生成し、RGBデータおよび各画素のデータ属性を示す属性データとして画素毎に出力する。なお、画像生成部204は、コンピュータ装置等から受信した画像データではなく、画像形成装置100内部にスキャナ等の読取手段を構成し、読取手段からの画像データを扱う構成としても良い。ここでいう読取手段とは、例えばCCD(Charge Coupled Device)あるいはCIS(Contact Image Sensor)を含むものである。読み取った画像データに対して、所定の画像処理を行う処理部をあわせて持たせるように構成しても良い。また、カラー画像装置内部に構成せず、不図示のインターフェースを介して、読取手段からデータを受け取るように構成しても良い。
【0027】
205は色変換部であり、RGBデータを画像形成部203のトナー色にあわせてCMYKデータに変換し、CMKYデータと属性データをビットマップメモリを含む記憶部206へ格納する。記憶部206は、画像処理部202に構成した第1の記憶部であり、印刷処理を行うラスターイメージデータを一旦格納するものである。なお、記憶部206は、1ページ分のイメージデータを格納するページメモリで構成しても良いし、複数ライン分のデータを記憶するバンドメモリとして構成しても良い。
【0028】
207C,207M,207Y,207Kは、ハーフトーン処理部であり、記憶部206から出力される属性データおよび各色のデータにγ補正とハーフトーン処理を行う。γ補正は理想的な階調特性に合わせるために濃度補正を行う。ハーフトーン処理部の具体的な構成としては、スクリーン処理によるもの、あるいは誤差拡散処理によるものがある。スクリーン処理は、所定の複数のディザマトリクスおよび入力される画像データ用いて、N値化するものである。また、誤差拡散処理は、入力画像データを所定の閾値と比較することにより、N値化を行い、その際の入力画像データと閾値との差分を以降にN値化処理する周囲画素に対して拡散させる処理である。
【0029】
208は、画像形成装置100内部に構成した第2の記憶部であり、ハーフトーン処理部207(207C, 207M, 207Y, 207K)により処理されたN値化データを記憶する。
【0030】
209C,209M,209Y,209Kは、キャリブレーションに使用される各色でのパッチパターン生成部であり、濃度補正が必要なパッチパターンを生成して後述の転送用バッファに転送する。なお、パッチパターンは、予め106の外部記憶部に格納されているスクリーンパターンを読み込んだものから生成される。もしくは内部ロジックで生成されるものとする。
【0031】
210C,210M,210Y,210Kは、記憶部208からのN値化データとパッチパターン生成部209のデータ出力タイミングを画像形成部203の動作と同期をとるために構成したタイミング調整部である。
【0032】
211C,211M,211Y,211Kはタイミング調整部210の出力データを一時的に保持する転送バッファである。
【0033】
212はパルス幅変調(PWM:Pulse Width Modulation)であり、転送用バッファ211が出力する色毎の画像データに対して、スキャナ部214C,214M,214Y,214K の露光時間へ変換される。そして、変換後の画像データは、画像形成部203の印字部215により出力される。
【0034】
なお、本説明においては、外部記憶部106、第1記憶部206、第2記憶部208、転送用バッファ211を別構成として説明したが、これらの構成を画像形成装置100内部もしくは外部に共通の記憶部を構成するようにしても良い。
【0035】
画像形成部203は、画像処理部202が処理した露光時間に応じて露光光を駆動し、静電潜像を形成して、この静電潜像を現像して単色トナー像を形成する。この単色トナー像を重ね合わせて多色トナー像を形成し、この多色トナー像を記録媒体などのメディア11へ転写してその記録媒体上の多色トナー像を定着させる。
【0036】
次に図3を用いて、電子写真方式の画像形成装置100における、画像形成部203の動作を説明する。画像形成部203は、画像処理部202が変換した露光時間に基づいて点灯させる露光光により静電潜像を形成し、この静電潜像を現像して単色トナー像を形成する。そして、この単色トナー像を重ね合わせて多色トナー像を形成し、この多色トナー像をメディア11へ転写し、そのメディア11上の多色トナー像を定着させるものである。給紙部21、感光ドラム22Y〜K、注入帯電器23Y〜K、トナーカートリッジ25Y〜K、現像器26Y〜K、中間転写体27、転写ローラ28、クリーニング手段29、定着部30、及び分光センサ41によって構成されている。
【0037】
感光ドラム(感光体)22Y〜Kは、アルミシリンダの外周に有機光導伝層を塗布して構成し、不図示の駆動モータの駆動力が伝達されて回転するもので、駆動モータは感光ドラム22Y〜Kを画像形成動作に応じて反時計周り方向に回転させる。
【0038】
一時帯電手段として、ステーションごとにイエロー(Y)、マゼンダ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の感光体を帯電させるための4個の注入帯電器23Y〜Kを備える構成で、各注入帯電器にはスリーブ23YS〜KSが備えられている。
【0039】
感光ドラム22Y〜Kへの露光光はスキャナ部24Y〜Kから送られ、感光ドラム22Y〜Kの表面を選択的に露光することにより、静電潜像が形成されるように構成されている。
【0040】
現像手段として、静電潜像を可視化するために、ステーション毎にイエロー(Y)、マゼンダ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の現像を行う4個の現像器26Y〜Kを備える構成で、各現像器には、スリーブ26YS〜KSが設けられている。各々の現像器は脱着可能に取り付けられている。
【0041】
中間転写体27は、感光ドラム22Y〜Kに接触しており、画像形成時に時計周り方向に回転し、感光ドラム22Y〜Kの回転に伴って回転し、単色トナー像が転写される。その後、中間転写体27に後述する転写ローラ28が接触してメディア11を狭持搬送し、メディア11に中間転写体27上の多色トナー像が転写する。
【0042】
転写ローラ28は、メディア11上に多色トナー像を転写している間、28aの位置でメディア11に当接し、印字処理後は28bの位置に離間する。定着部30は、メディア11を搬送させながら、転写された多色トナー像を溶融定着させるものであり、図3に示すようにメディア11を加熱する定着ローラ31とメディア11を定着ローラ31に圧接させるための加圧ローラ32を備えている。定着ローラ31と加圧ローラ32は中空状に形成され、内部にそれぞれヒータ33、34が内蔵されている。すなわち、多色トナー像を保持したメディア11は定着ローラ31と加圧ローラ32により搬送されるとともに、熱および圧力を加えられ、トナーが表面に定着される。
【0043】
トナー像定着後のメディア11は、その後不図示の排出ローラによって不図示の排紙トレイに排出して画像形成動作を終了する。クリーニング手段29は、中間転写体27上に残ったトナーをクリーニングするものであり、中間転写体27上に形成された4色の多色トナー像をメディア11に転写した後の廃トナーは、クリーナ容器に蓄えられる。
【0044】
次に、図3を用いて、用紙情報の取得に使用するセンサについて説明する。本実施例ではL*a*b*値や分光反射率等の値を取得可能な分光センサ41を用いて、用紙の「紙白」の情報を取得する。ここでL*a*b*値とはCIE(国際照明委員会)が定めた色空間の1つであり、Lは輝度、a及びbは色相と彩度を表す。Labの場合は3次元のデータであるため少ない情報量で紙白を表すことが可能であるが、その反面、用紙判定の精度は低い。一方、分光反射率の場合は、400〜700nmの各波長に対して反射率を取得するため、高次元のデータとなり計算時間がかかるが用紙判定の精度は向上する。例えば、上記波長範囲の場合、10nm間隔でデータを取得すると31次元データとなる。
【0045】
本実施例では用紙の紙白の分光値を用紙情報として上記L*a*b*値を用いるが、その限りでなく、高次元のデータ処理が可能、あるいは、演算処理の速さを重視しないシステムであれば、分光反射率を用いても良い。また、用紙情報を取得するセンサの種類は分光センサに限られてはおらず、例えば、透過率から算出される用紙の厚みを用紙情報として取得するために公知の透過率センサを用いてもよいし、その他のセンサを使用しても良い。また、これらのセンサを単独で使用するのではなく、複数種のセンサを組み合わせて複数の用紙情報を取得し、取得した結果を組み合わせて後述の用紙使用可否判定に用いてもよい。
【0046】
また、本実施例では、センサの設置箇所は、給紙段21bの内部とし、給紙段に格納される用紙束の一番上に積まれている用紙の用紙情報を取得する。なお、センサの設置位置はこの限りでなく、この用紙情報を取得できればプリンタ内部の用紙パス上や、排紙トレイ、あるいは、プリンタ外部のセンサを用いてもよい。
【0047】
このように、センサで取得した用紙の特性に関する詳細情報を「用紙特性情報」と呼ぶ。
【0048】
次に、本実施例における、給紙段への用紙タイプの設定について、図4を用いて説明する。本実施例における用紙タイプとは、先に述べたように、用紙の坪量、表面性などの特性から大きく分類されるものであり、例えば、「普通紙」、「厚紙」、「コート紙」などが該当する。図4(a)は、各給紙段に対して用紙タイプを設定する用紙タイプ設定画面400のUIの一例である。用紙タイプ設定画面400は、各給紙段に設定されている用紙タイプを表示する用紙タイプ表示領域401と、各給紙段の用紙タイプを変更するための変更ボタン402を備える。ユーザが変更ボタン402を押下すると、UI画面は、例えば図4(b)に示す、用紙タイプ選択画面410に遷移する。用紙タイプ選択画面410には、給紙段に対して設定可能な用紙タイプボタン411が複数表示される。ユーザにより、給紙段に設定する用紙タイプボタン411が押下されると、UI画面は、用紙タイプ設定画面400へと戻り、用紙タイプ表示領域401の表示を押下された用紙タイプボタン411に応じて切り替える。
【0049】
次に、本実施例における、給紙段自動選択処理について説明する。
【0050】
コントローラユニット201は、出力対象である印刷ジョブデータを解析し、印刷ジョブに対し用紙タイプが明示的に指定され、かつ、給紙段が指定されていないことを条件に、給紙段自動選択処理を開始する。コントローラユニット201は、複数の給紙段の中から、出力対象である印刷ジョブに指定された用紙タイプが設定されている給紙段を探索する。同一の用紙タイプを有する給紙段が複数あるために、複数の給紙段が該当した場合は、コントローラユニット201は、予め定められたルールに基づき、その中から1つの給紙段を決定し給紙を開始する。本実施例では、この「予め定められたルール」として、「給紙段に割り振られたナンバーが若い順に優先的に選択される」ものとする。例えば、図4(a)の用紙タイプ設定画面400が示す設定において、「普通紙」が印刷ジョブにて指定された場合、コントローラユニット201は、給紙段#1と給紙段#2から給紙段#1を選択する。なお、予め定められたルールとはこの限りではなく、例えば、給紙パスが最短となる給紙段を選択しても良い。
【0051】
次に、後述する用紙の使用可否判定の際に用いる基準用紙情報の取得、及び登録処理について図5のUI図と図6の処理フロー図を用いて説明する。本フローチャートは、ROM103に格納されたプログラムに従って画像形成装置100のコントローラユニット201が実行することによって実現される。なお、基準用紙とは、例えば、高級紙の使用を制限すべく高級紙として設定された用紙の給紙の回避を目的とする場合は、ユーザが高級紙としてみなす用紙を指す。また、キャリブレーションの効果を高精度で発揮する用紙の選択を目的とする場合は、キャリブレーション実行における推奨紙を指す。
【0052】
図5(a)は、用紙使用可否判定の基準用紙設定のトップ画面500である。この画面は、新規登録ボタン501と登録用紙情報ボタン502を有している。
【0053】
ユーザにより新規登録ボタン501が押下されると、コントローラユニット201は、図5(b)のようなUIに基準用紙選択画面510を表示する。基準用紙選択画面は、各給紙段に設定される用紙タイプを表示する用紙タイプ表示領域511と、各給紙段内の用紙を基準用紙として選択する選択ボタン512を有する。ユーザにより選択ボタン512が押下されると、コントローラユニット201は、図5(c)のようなUIに基準用紙情報取得の実行受付画面520を表示する。基準用紙情報取得の実行受付画面520上には、選択された給紙段の情報と、ユーザから用紙情報の取得の開始を受け付ける開始ボタン521が表示される。
【0054】
そして、図6のS601にてユーザにより開始ボタン521が押下される。すると、S602へ進み、コントローラユニット201は、選択給紙段に設置の分光センサ41を用いて、給紙段内の用紙の用紙特性情報である紙白の分光値を取得する。そして、取得した値と登録名や用紙タイプなどの情報を紐付けて記憶部106に記憶する。そしてS603へ進むと、コントローラユニット201は、図5(d)の用紙情報取得完了通知画面530をUIに表示し、ユーザに基準用紙の情報取得・登録が終了したことを通知する。なお、ユーザにより用紙情報取得完了通知画面530上の登録名変更ボタン531が押下された場合、コントローラはUI上に不図示のソフトキーボードを表示し、ユーザに基準用紙の登録名の編集をさせてもよい。
【0055】
また、コントローラユニット201は、基準用紙として登録された用紙の情報をUIに表示することができる。ユーザにより基準用紙設定のトップ画面500の登録用紙情報ボタン502が押下されると、コントローラユニット201は、図7に示す登録基準用紙情報画面700をUIに表示する。登録基準用紙情報画面700は、基準用紙情報表示部701と基準用紙選択チェックボックス702、登録名変更ボタン703、そして、登録用紙削除ボタン704にて構成される。基準用紙情報表示部701には、例えば、基準用紙の登録名、用紙タイプ、そして登録日時等の情報が表示される。
【0056】
基準用紙選択チェックボックス702は、登録基準用紙各々に対し設けられている。
【0057】
そして、ユーザは任意の1つの基準用紙に対して基準用紙選択チェックボックス702を押下した後に、後述する登録名変更処理、もしくは、登録削除処理を画像形成装置100に指示することができる。
【0058】
ユーザによって登録名変更ボタン703が押下されると、コントローラユニット201は登録名変更処理を始め、まずUI上に不図示のソフトキーボードを表示し、ユーザに登録名の編集を促す。
【0059】
ユーザによる登録名の編集が終了すると、コントローラユニット201は、記憶部106に記憶されている登録用紙特性情報を更新する。また、ユーザによって登録用紙削除ボタン704が押下されると、コントローラユニット201は選択された基準用紙の用紙特性情報を記憶部106に記憶されている登録用紙特性情報から削除する。
【0060】
また、この基準用紙情報は予め画像形成装置100内の記憶部に記憶されていてもよい。
【0061】
次に、用紙の使用可否判定の要否属性を出力対象である印刷ジョブに付与する、用紙使用可否の判定属性の付与処理について図8を用いて説明する。
【0062】
図8は、出力対象である印刷ジョブに対する印刷用紙設定画面800の一例である。印刷用紙設定画面800は、プリンタドライバ、あるいは、複数の印刷ジョブを一元管理するジョブ管理ツールなどの印刷設定手段の印刷設定画面にて表示される。印刷用紙設定画面800上には、一般的な印刷用紙サイズ設定801や印刷用紙タイプ設定802、給紙段設定803に加えて、基準用紙の判定処理の要否を示す属性を付与する設定が表示される。
【0063】
例えば、高級紙の使用回避手段をユーザに提供する構成では、図8(a)に示すように、印刷用紙設定画面800に高級紙使用回避設定804が設けられる。また、キャリブレーションの効果が高い精度で発揮される用紙を自動選択する手段をユーザに提供する構成では、図8(b)に示すように、印刷用紙設定画面800にキャリブレーション効果重視設定805が設けられる。
【0064】
ユーザが高級紙使用回避設定804、あるいは、キャリブレーション効果重視設定805をONに設定した場合、印刷設定手段は、印刷ジョブに対して上述の登録基準用紙情報を基にした用紙の使用可否判定について「判定要」の属性を印刷ジョブに付与する。一方、同設定が「OFF」の場合は、印刷設定手段は「判定不要」の属性を印刷ジョブに付与する。
【0065】
次に、出力対象である印刷ジョブに付与された判定属性を基に用紙の使用可否の判定を実施する用紙使用可否判定処理について図9の処理フロー図を用いて説明する。本フローチャートは、ROM103に格納されたプログラムに従って画像形成装置100のコントローラユニット201が実行することによって実現される。なお、本実施例では、画像処理部202による画像形成処理は、以下で述べる用紙の使用可否判定と並行して実施されるものとする。形成された画像データは給紙段が決定するまでは、画像形成装置100内部に構成した第2の記憶部208に保持されるものとする。
【0066】
まず、S901にて、コントローラユニット201はユーザからの出力対象である印刷ジョブの入力を受け付ける。
【0067】
次にS902にて、コントローラユニット201は、出力対象である印刷ジョブのコマンドデータを解析する。そして、この印刷ジョブの給紙段設定が自動選択であるか、あるいは、特定の給紙段を指定しているかを判定する。給紙段設定にて特定の給紙段が指定されている場合は、S903に進む。そして画像形成装置100がユーザに指定された給紙段の用紙を用いて、印刷ジョブを出力し、処理フローを完了する。S902にて給紙段設定にて自動選択が指定されていると判定された場合は、コントローラユニット201はS904に進む。そしてS904で予め定められたルールに基づき、1つの給紙段を選択する。
【0068】
次に、コントローラユニット201は、S905にて、出力対象である印刷ジョブのコマンドデータを解析し、上述の用紙使用可否の判定属性が「判定要」、「判定不要」のどちらであるかを判別する。判定属性が「判定不要」と判別された場合は、S912に進む。そして画像形成装置100が、S904で選択された給紙段の用紙を用いて印刷ジョブを出力し、処理フローを完了する。
【0069】
S905にて、判定属性が「判定要」と判別された場合は、コントローラユニット201は、S906に進む。そして、S906にて現在選択されている給紙段が、前回用紙情報取得時から開閉されているかを判別する。この判別処理は給紙段開閉時に用紙タイプが変更されている可能性が高いため実行される。この給紙段開閉判別処理は、例えば、用紙情報取得と給紙段開閉の実施された時刻をコントローラユニット201が逐次記憶部106に記憶しておき、判別処理の際に、記憶してある情報を参照すればよい。あるいは、用紙情報取得後に初めて給紙段が開閉された際に、その給紙段に対する給紙段開閉フラグを記憶部に記憶しておき、判別処理の際に給紙段開閉フラグの有無を検出すればよい。この場合、コントローラユニット201は、用紙情報が取得された後に、その給紙段に対する給紙段開閉フラグは消去する。この給紙段開閉判定処理を実施することにより、分光センサ41による用紙情報取得処理を最小限に抑えることができる。
【0070】
S906にて、前回の用紙情報取得後に給紙段の開閉が無いと判定された場合、用紙タイプが変更された可能性が低いので、給紙段中の用紙情報をセンシングで取得しなくてもよいと判断し、コントローラユニット201は後述のS909へと処理フローを進める。
【0071】
一方、前回の用紙情報取得後に、給紙段の開閉が有ったと判定された場合は、用紙タイプが変更された可能性が高いため、S907に進む。そして、S907にてコントローラユニット201は分光センサ41を用いて、選択された給紙段の用紙特性情報を取得する。
【0072】
そして、コントローラユニット201は、S908にて、選択された給紙段に対して記憶される用紙特性情報を、S907で取得した用紙特性情報に更新する。記憶部106は各給紙段に対して用紙特性情報を記憶しており、S908で用紙特性情報を取得するたびに、対象の給紙段の用紙特性情報を更新する。
【0073】
S909では、コントローラユニット201が、選択中の給紙段の用紙特性情報と、登録済みの基準用紙情報とから差分値を取得する。本実施例では、この差分値として、両者のL*a*b*値から、色差を表す公知の値であるΔEを取得する。下記の式(1)はΔEの取得方法である。
【0074】
【数1】

【0075】
なお差分値として取得されるのはΔEに限られてはおらず、用紙特性情報として分光反射率が用いられる場合は、コントローラユニット201は、基準用紙と選択中給紙段の用紙との分光反射率の差分値を取得する。この場合、コントローラユニット201は10nmごとに31次元分の差分データを求め、それらの合計値を差分値として取得する。下記の式(2)は分光反射率を用紙特性情報として用いた場合の、差分値の取得方法を示す。
【0076】
【数2】

【0077】
また、複数種のセンサを併用する場合は、コントローラユニット201は、各用紙特性情報の差分値を取得した後に、それらを所定の割合で重み付けしたものの総和を最終的な差分値として用いてもよい。
【0078】
このように、予め基準用紙として登録されている用紙の基準用紙情報(基準値)を用いて、S907で取得した用紙特性情報を評価する。
【0079】
S910では、S909で取得した差分値(評価値)が所定の条件を満たしているかを判定する。
【0080】
この所定の条件とは、システムの目的によって異なる。例えば、高級紙回避を目的とする場合は、差分値が所定の閾値以上であることを条件とする。つまり、基準用紙として登録されている高級紙とは類似していないことが条件として適用される。また、キャリブレーションの効果を高精度で発揮する用紙の選択を目的とする場合は、差分値が所定の閾値以下であることを条件とする。つまり、基準用紙として登録されているキャリブレーション推奨紙と類似していることが条件として適用される。S910にて、S909で取得した差分値が条件を満たしていないと判定された場合は、コントローラユニット201はS911にて、S904と同様の所定のルールに基づき、次の候補の給紙段を選択した後に、S906へと処理フローを進める。一方、S909で取得した差分値が条件を満たしていると判定された場合は、画像形成装置100は選択された給紙段の用紙を用いて、印刷ジョブを出力し、処理フローを完了する。この候補の給紙段とは、同一タイプの用紙が格納されている給紙段である。
【0081】
なお、自動給紙段選択の候補となる全ての給紙段内の用紙がS910の条件を満たさない場合に備えて、コントローラユニット201はS909で取得した差分値をRAM104に一時的に記憶する手段を有しても良い。コントローラユニット201は、給紙段を最終的に決定するまで、S909で取得する各給紙段に対応する差分値をRAM104に記憶する。そして、S911で選択対象となる給紙段が無い場合は、コントローラユニット201は記憶していた各給紙段に対応する差分値を参照して、最も条件の良い給紙段を決定し、S912へ処理を移行する。例えば、キャリブレーションの効果を高精度で発揮する用紙の選択を目的とする場合は、コントローラユニット201は、RAM104に記憶された複数の差分値の中で最小値が算出された給紙段を選択する。また高級紙の使用を回避する用紙の選択を目的とする場合は、コントローラユニット201は、RAM104に記憶された複数の差分値の中で最大値が算出された給紙段を選択する。そして、給紙段選択後に、コントローラユニット201はRAM104に一時的に記憶されていた差分値を消去する。以上のように、本実施例により、同一の用紙タイプが設定される複数の給紙段から、印刷用途に適した用紙を格納する給紙段を自動で選択することができる。よって、重要度の低い印刷物に対して高級紙の使用を避けることが可能となる。また、高画質が要求される印刷物に対してキャリブレーションの効果を十分に発揮できる用紙を自動で選択することが可能となる。
【0082】
[実施例2]
実施例1では、用紙の使用可否の判定を行う際、選択された給紙段内の用紙の用紙特性情報をセンサ41で取得する前に、図9のS906にてその給紙段にて前回用紙情報取得以降に給紙段開閉があったかを判定した。しかし、本実施例ではこの判定処理を実施しない。
【0083】
コントローラユニット201は、S906の給紙段開閉判定をスキップし、毎ジョブ開始時にセンサ41による用紙特性情報取得を実施する。つまり、S905にて、用紙使用可否判定属性が「判定有り」と判別された場合、コントローラユニット201は、直接S907へと処理フローを進める。以降の処理は、実施例1と同じであるため、説明は省略する。
【0084】
以上のように、毎ジョブ開始時に分光センサ41による用紙特性情報取得を実施することにより、1つの給紙段に複数種の用紙が混在して積載されている状態でも、適切な用紙使用可否判定を実施することが可能となる。
【0085】
[実施例3]
実施例1,2では、用紙使用可否の判定属性付与手段において、印刷設定手段からユーザに属性の付与を実施させた。しかし、本実施例ではこの処理を実施しない。すなわちコントローラユニット201は、出力対象である印刷ジョブデータのPDLコマンドの解析結果を基に自ら判定属性を決定、付与する。この場合、ユーザにより画像形成装置100に印刷ジョブが投入された時点では、用紙使用可否の判定属性は付与されていないものとする。
【0086】
コントローラユニット201は図9のS905の用紙使用可否の判定属性の判別処理にて、まず出力対象である印刷ジョブデータのPDLコマンドを解析する。
【0087】
次に、コントローラユニット201は、コマンドに記述される印刷設定の値を参照し、自ら判定の要・不要の属性を決定する。
【0088】
例えば、高級紙回避を目的とする場合は、コントローラユニット201は、例えば、公知である「省トナー設定」や「省エネ設定」の値を参照する。これらの設定がONの場合は、すなわち、画質が劣化しても構わない重要でない印刷物である可能性が高いため、コントローラユニット201は用紙使用可否の判定属性として「判定要」を付与する。
【0089】
あるいは、キャリブレーションの効果を高精度で発揮する用紙の選択を目的とする場合は、例えば、公知である「印刷目的」設定の値を参照する。「印刷目的」設定とは、原稿の内容に合わせて適切な印刷目的を選択することで、内容に合った最適な印刷設定をするものである。印刷目的の選択肢としては、テキスト、グラフィックス、写真、CADなどが用意される。この印刷目的の設定値が「写真」である場合は、高画質が期待されている可能性が高いため、コントローラユニット201は、用紙使用可否の判定属性として「判定要」を付与する。又は、印刷目的の設定値が「テキスト」である場合は、原稿はテキスト主体であり濃度や色味の精度への要求は比較的高くはないと判断されるため、「判定不要」の属性がコントローラユニット201によって付与される。
【0090】
また、「画質優先」設定がされている際には、用紙使用可否の判定属性として「判定要」を付与がコントローラユニット201によって付与される。
【0091】
また、コントローラユニット201は、コマンドに記述される印刷データ作成元アプリケーションの情報を参照し、自ら判定の要・不要の属性を決定することもできる。なお、この場合、アプリケーションからプリンタドライバを用いて印刷データを生成する際に、プリンタドライバがPDLコマンドにアプリケーション情報を記載するものとする。
【0092】
ここで、Windows(登録商標)のメモ帳アプリケーションにて印刷データが生成される場合を例に説明する。この場合、図10のPDLコマンドの一例1000が示すように、プリンタドライバにより、印刷データ作成元アプリケーション情報1001として「%%Application: メモ帳」がPDLコマンド内に挿入される。コントローラユニット201は、用紙使用可否の判定処理の対象として予め記憶部106に記憶された少なくとも1つの判定処理対象アプリケーション情報と、取得した印刷データ作成元アプリケーション情報1001を比較する。コントローラユニット201は、両者が一致した場合には、用紙使用可否の判定属性として「判定要」を、それ以外の場合には「判定不要」の属性を付与する。
【0093】
例えば、高級紙回避を目的とする場合は、判定処理対象アプリケーション情報として、Windows(登録商標)のワードパッドやメモ帳など、生成されるデータに対して高級紙の使用は必要ないと推測できるアプリケーションの情報が予め設定される。そして、この設定に関して記憶部106に記憶される。ここで、メモ帳アプリケーションで作成された印刷データが、画像形成装置100に投入されたとする。コントローラユニット201は、印刷データPDLコマンドを解析し、印刷データ作成元アプリケーション情報1001である「%%Application: メモ帳」を検出する。そして、記憶部106に予め記憶された判定処理対象アプリケーション情報と照合し、両者が一致したと判定すると、コントローラユニット201は、用紙使用可否の判定属性として「判定要」を印刷データに付与する。以降の処理は、実施例1と同じであるため、説明は省略する。
【0094】
以上のように、画像形成装置100が印刷設定を用いて判定属性を自動で決定することで、ユーザが判定属性を付与する手間を省略しつつ、より精度の高い給紙段自動選択を実現できる。
【0095】
(その他の実施例)
本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施例の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
センサを用いて基準用紙の用紙特性情報を取得する第1の取得手段と、
出力対象である印刷ジョブに指定された用紙タイプにより、該用紙タイプである用紙が格納される給紙段を選択する選択手段と、
センサを用いて前記選択手段により選択された給紙段に格納される用紙の用紙特性情報を取得する第2の取得手段と、
前記第2の取得手段により取得された用紙の用紙特性情報および前記第1の取得手段により取得された基準用紙の用紙特性情報を比較して、前記選択手段にて選択された給紙段に格納される用紙を前記印刷ジョブの出力に用いるか否か判定する判定手段と、
前記判定手段により、前記選択手段にて選択された給紙段に格納される用紙を用いると判定されると、前記選択された給紙段から用紙を給紙し、該給紙された用紙に前記印刷ジョブに従い形成された画像を印刷し、
前記選択手段にて選択された給紙段に格納される用紙を用いないと判定されると、前記選択手段にて選択された給紙段とは別の給紙段で前記給紙段と同じ用紙タイプの用紙を格納する給紙段を選択し、該選択された給紙段から用紙を給紙し、該給紙された用紙に前記印刷ジョブに従い形成された画像を印刷することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記基準用紙を用いて前記印刷ジョブを出力することが制限されている際、
前記判定手段は、
前記第1の取得手段により取得された基準用紙の用紙特性情報と、前記第2の取得手段にて取得された前記選択された給紙段に格納される用紙の用紙特性情報を比較し、
前記比較される前記基準用紙の用紙特性情報と前記給紙段に格納される用紙の用紙特性情報との差分が閾値以上であれば、前記選択手段により選択された給紙段に格納される用紙を用いて前記出力対象である印刷ジョブを出力することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記基準用紙を用いて前記印刷ジョブを出力することが推奨されている際、
前記判定手段は、
前記第1の取得手段により取得された基準用紙の用紙特性情報と、前記第2の取得手段にて取得された前記選択された給紙段に格納される用紙の用紙特性情報を比較し、
前記比較される前記基準用紙の用紙特性情報と前記給紙段に格納される用紙の用紙特性情報との差分が閾値以下であれば、前記選択手段により選択された給紙段に格納される用紙を用いて前記出力対象である印刷ジョブを出力することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記センサにより取得する用紙の用紙特性情報および基準用紙の用紙特性情報は、用紙の紙白の分光値から取得されることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記第1の取得手段にて取得された基準用紙の用紙特性情報を表示する表示手段を有し、該表示手段に表示された基準用紙の用紙特性情報は、編集、削除が可能であることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記印刷ジョブに、前記選択手段にて選択された給紙段に格納される用紙の使用を判定することを指示する情報が付与されている場合に、前記判定手段による判定を行うことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記印刷ジョブを解析して得られる前記印刷ジョブに設定された印刷設定を用いて、前記選択手段にて選択された給紙段に格納される用紙の使用の判定が必要であると判定された場合に、前記判定手段による判定を行うことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記判定手段による判定の対象として予め設定されるアプリケーション情報を保持し、
前記印刷ジョブを解析することで得られる印刷データ作成元アプリケーション情報と、前記保持されたアプリケーション情報を用いて、前記選択手段にて選択された給紙段に格納される用紙の使用の判定が必要であると判定された場合に、前記判定手段による判定を行うことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記取得手段を、前回の前記取得手段の実行より後に開閉された給紙段に対してのみ実施することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記センサは給紙段内に設置されていることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項11】
同一タイプの用紙を格納する第1の給紙段と第2の給紙段を有し、
前記第1の給紙段を選択する選択手段と、
前記選択手段により選択された第1の給紙段に格納される用紙の用紙特性情報を取得する取得手段と、
予め定められた基準値を用いて前記取得手段により取得された用紙の用紙特性情報を評価し、該評価の結果を用いて前記選択手段により選択された第1の給紙段に格納された用紙を用いるか否か判定する判定手段と、
前記判定手段により前記第1の給紙段に格納された用紙を用いると判定されると、前記第1の給紙段から用紙を給紙し、該給紙された用紙に印刷ジョブに従い形成された画像を印刷し、
前記第1の給紙段に格納された用紙を用いないと判定されると、前記第2の給紙段から用紙を給紙し、該給紙された用紙に前記印刷ジョブに従い形成された画像を印刷することを特徴とする画像形成装置。
【請求項12】
センサを用いて基準用紙の用紙特性情報を取得する第1の取得ステップと、
出力対象である印刷ジョブに指定された用紙タイプにより、該用紙タイプである用紙が格納される給紙段を選択する選択ステップと、
センサを用いて前記選択ステップにより選択された給紙段に格納される用紙の用紙特性情報を取得する第2の取得ステップと、
前記第2の取得ステップにより取得された用紙の用紙特性情報および前記第1の取得ステップにより取得された基準用紙の用紙特性情報を比較して、前記選択ステップにて選択された給紙段に格納される用紙を前記印刷ジョブの出力に用いるか否か判定する判定ステップと、
前記判定ステップにより、前記選択ステップにて選択された給紙段に格納される用紙を用いると判定されると、前記選択された給紙段から用紙を給紙し、該給紙された用紙に前記印刷ジョブに従い形成された画像を印刷し、
前記選択ステップにて選択された給紙段に格納される用紙を用いないと判定されると、前記選択ステップにて選択された給紙段とは別の給紙段で前記給紙段と同じ用紙タイプの用紙を格納する給紙段を選択し、該選択された給紙段から用紙を給紙し、該給紙された用紙に前記印刷ジョブに従い形成された画像を印刷することを特徴とする画像形成方法。
【請求項13】
同一タイプの用紙を格納する第1の給紙段と第2の給紙段を有し、
前記第1の給紙段を選択する選択ステップと、
前記選択ステップにより選択された第1の給紙段に格納される用紙の用紙特性情報を取得する取得ステップと、
予め定められた基準値を用いて前記取得ステップにより取得された用紙の用紙特性情報を評価し、該評価の結果を用いて前記選択ステップにより選択された第1の給紙段に格納された用紙を用いるか否か判定する判定ステップと、
前記判定ステップにより前記第1の給紙段に格納された用紙を用いると判定されると、前記第1の給紙段から用紙を給紙し、該給紙された用紙に印刷ジョブに従い形成された画像を印刷し、
前記第1の給紙段に格納された用紙を用いないと判定されると、前記第2の給紙段から用紙を給紙し、該給紙された用紙に前記印刷ジョブに従い形成された画像を印刷することを特徴とする画像形成方法。
【請求項14】
請求項12又は13に記載の画像形成方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−86330(P2013−86330A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−228163(P2011−228163)
【出願日】平成23年10月17日(2011.10.17)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】