画像形成装置、画像形成方法およびプログラム
【課題】少なくとも2種類以上の記録材を用いて複数回走査かつ往復印字で画像を形成する画像形成装においてバンドむらを低減する。
【解決手段】少なくとも2種類以上のインクを吐出するための複数の吐出口を有する記録ヘッドを記録媒体に対して往復走査する動作と前記記録媒体を搬送する動作とを繰り返しながら、前記記録ヘッドから前記記録媒体に向けてインクを吐出して記録を行う画像形成装置であって、前記記録媒体に前記インクを吐出して画像を形成するための吐出データを入力する入力手段と、前記吐出データに基づいて前記記録媒体最表面の前記インク毎の面積率を算出する算出手段と、前記面積率が前記往復走査で略一定となるように、前記吐出データを設定する決定手段とを有することを特徴とする。
【解決手段】少なくとも2種類以上のインクを吐出するための複数の吐出口を有する記録ヘッドを記録媒体に対して往復走査する動作と前記記録媒体を搬送する動作とを繰り返しながら、前記記録ヘッドから前記記録媒体に向けてインクを吐出して記録を行う画像形成装置であって、前記記録媒体に前記インクを吐出して画像を形成するための吐出データを入力する入力手段と、前記吐出データに基づいて前記記録媒体最表面の前記インク毎の面積率を算出する算出手段と、前記面積率が前記往復走査で略一定となるように、前記吐出データを設定する決定手段とを有することを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置、画像形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、文字や画像などを記録紙やフィルムなどの記録媒体に記録する記録方式として、記録媒体に記録剤(色材)であるインクを付着して、記録媒体上に画像を形成するインクジェット方式がある。
【0003】
インクジェット方式を用いるインクジェット記録装置のインクとして、顔料を色材とする顔料インクが広く用いられている。顔料インクは、染料インクに比べ固形分である色材が記録媒体の表面に堆積しやすいという特徴を持つ。記録媒体上に堆積した顔料色材の模式図を図1に示す。
【0004】
また、インクジェット記録装置の記録形式には、シリアル型がある。シリアル型の記録装置では、記録ヘッドからインクを吐出させながら、記録主走査と副走査とを交互に繰り返すことにより、記録媒体上に順次画像を形成していく。ここで、記録主走査とは記録ヘッドを搭載したキャリッジを記録媒体に対して、記録するために移動させる走査であり、副走査とは記録媒体を記録主走査とは直行する方向に所定量ずつ搬送し、記録する位置を変更する走査である。この場合、記録ヘッドが備える複数のインク吐出口のヘッド長によって、1回の記録主走査で記録される領域の幅が決まる。
【0005】
さらに、画像の品質を上げる為に、マルチスキャン方式が採用されている。マルチスキャン方式は、1回の記録主走査で記録可能な画像領域に対し、N回(N≧2)の記録主走査を実行する。マルチスキャン方式を採用することは、各記録主走査において所定量の記録媒体搬送を行うことにより、各記録素子による記録のばらつきや、副走査量のばらつきを分散し、画像全体を滑らかにする等の効果がある。故に、現状、シリアル型のインクジェット記録装置にはマルチスキャン方式を適用することが非常に有効なものとなっている。
【0006】
その効果は、マルチスキャン数を多く設定することで、より大きくすることができるが、記録時間を増大させることにも繋がりうる。近年では、予め複数のマルチスキャン数の記録モードを具備しておき、記録画像の種類やその用途に応じて、ユーザーが複数の記録モードから適切なものを選択できる構成になっているものが多い。
【0007】
また、マルチスキャン方式には、記録主走査を往方向のみで記録する片方向記録と、往方向および復方向の双方で交互に記録する双方向記録がある。双方向記録では、往方向の走査によって形成される画像領域と、復方向の走査によって形成される画像領域とが、1回の記録主走査で記録される領域の幅毎に交互に現れる。当然ながら、印刷速度は双方向記録の方が速い。
【0008】
しかし、双方向記録では片方向記録にはない「バンドむら」が発生することがある。この「バンドむら」は、往方向の走査によって形成された画像領域と、復方向の走査によって形成された画像領域とで、記録するインク色の配置が異なる為に発生する問題である。すなわち、同一のデータに従って記録を行っても、往路で記録した画像の色と復路で記録した画像の色には、目視で確認できるほどの違いが現れてしまう。特に顔料インクを用いた場合、色材が記録媒体の表面に堆積しやすい性質を持つため、記録するインク色の配置が画質に与える影響は大きい。その結果、バンドむらが目立つことがある。
【0009】
以下に記録走査の方向に応じて記録するインク色の配置が異なる理由について、図2を用いて具体的に説明する。なお、ここでは、シアンインクとマゼンタインクの2種類のインクを用いて、記録媒体の所定の位置に両方のインクを一発ずつ着弾させる例について説明する。
【0010】
図2(a)は往路印字を示しており、図2(b)は復路印字を示している。ヘッド201は、シアンインクを印字するのに必要なシアンノズル202と、マゼンタインク印字するのに必要なマゼンタノズル203を備える。記録主走査方向に対して、往路の方向を正とした場合に、前から順に、シアンノズル202、マゼンタノズル203が設置されているとする。図2の(a)に示すように、往路の場合、シアンインクのノズルの方が先に吐出されるので、シアンインクが先に記録媒体に着弾し(シアンドット204)、マゼンタインクがシアンインクの上に着弾する(マゼンダドット205)。一方、往路では、図2の(b)に示すように、マゼンタインクのノズルの方が先に吐出されるので、マゼンタインクから先に着弾し(マゼンダドット205)、シアンインクがマゼンタインクの上に着弾する(シアンドット204)。以上のように往路と復路で記録するインク色の着弾する順番が異なるため、記録するインク色の配置が、記録走査の方向に応じて異なることとなる。
【0011】
バンドむらを低減する為の技術として、マスクパターンを用いる幾つかの対策が開示されている。なお、マスクパターンとは、マルチスキャン印字をする際に、画像データを各記録主走査(パスとも言う)に振り分ける為に用いられるものである。
【0012】
例えば、「互いに異なる色に対応した複数の間引きマスクパターンにおいて、少なくとも一つの間引きマスクパターンの画素配列は、他の間引きマスクパターンの画素配列と異なること」が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。同一記録走査では、各色で互いに異なる位置に記録を行うことで、往路記録と復路記録との色差を低減する。
【0013】
また、「複数ブロックのそれぞれに固定的に対応したマスクパターンを有し、ブロック間で相互補完の関係を持ちながら、この関係が第1記録ヘッドと第2記録ヘッドとで同じであること」が開示されている(例えば、特許文献2参照。)。これによれば、記録ヘッドに対しマスクパターンを固定することで、マスクパターンと画像データとの配列具合によって生じる各記録走査での記録率の偏りに起因するバンドむらを低減することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特許第3200143号公報
【特許文献2】特許第3236034号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
特許文献1や2に記載の方法では、画像に応じて処理を変える仕組みがないため、例えばバンドむらが目立ちやすい入力画像の場合、十分にバンドむらが低減できるとは言い難い。
【0016】
そこで、本発明は、入力画像に因らずにバンドむらを低減させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記課題を解決するために、本発明は、少なくとも2種類以上のインクを吐出するための複数の吐出口を有する記録ヘッドを記録媒体に対して往復走査する動作と前記記録媒体を搬送する動作とを繰り返しながら、前記記録ヘッドから前記記録媒体に向けてインクを吐出して記録を行う画像形成装置であって、前記記録媒体に前記インクを吐出して画像を形成するための吐出データを入力する入力手段と、前記吐出データに基づいて前記記録媒体最表面の前記インク毎の面積率を算出する算出手段と、前記面積率が前記往復走査で略一定となるように、前記吐出データを設定する決定手段とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、入力画像に因らずにバンドむらを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】記録媒体上に堆積する色材の様子を模式的に表わした側面図と上面図である。
【図2】記録走査の方向に応じて記録するインク色の順番が異なる場合に色材が形成される様子を模式的に示す図である。
【図3】本実施例に係るプリントシステムの構成を示すブロック図である。
【図4】実施例1に係るパス分解処理部の処理手順を示すフロー図である。
【図5】吐出データの領域指定を説明するための図である。
【図6】印字解像度とドットの大きさとの関係を表わした模式図である。
【図7】ドットのモデル化を表わした図である。
【図8】本実施例に係る最表面画像の例を表わした図である。
【図9】実施例2に係るパス分解処理部の処理手順を示すフロー図である。
【図10】実施例3に係るパス分解処理部の処理手順を示すフロー図である。
【図11】本実施例で適用されるヘッドカートリッジにインクタンクを装着する状態を示した斜視図である。
【図12】本実施例で適用されるヘッドカートリッジの分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
インクを吐出するための複数の吐出口を有する記録ヘッドを記録媒体に対して走査する動作と記録媒体を搬送する動作とを繰り返しながら、記録ヘッドから前記被記録材に向けてインクを吐出して記録を行う、所謂シリアルプリンタを例に本実施形態を説明する。バンドむらを低減させるためには、往路スキャンから始まり復路スキャンで終わる画像領域と、復路スキャンで始まり復路スキャンで終わる画像領域とで、記録するインク色の配置を一致させることが重要である。しかしながら、この配置を完全に一致させなくても、少なくとも最表面に露出しているインクの比率(以下、色材分布と呼ぶ)を揃えることで、画質の改善が可能となる。ここで、色材分布とは、例えば、インクの面積率やドット数などである。以降、詳細な実施例について説明する。
【0021】
(実施例1)
同一色に対して記録媒体の同一領域に記録ヘッドを複数回走査させて記録を行うマルチスキャン記録を工夫することでバンドむらを低減することが可能である。例えば、マルチスキャン数を増やすことが有効である。一回あたりの記録が少なくなる為、記録するインク色の順番の差が小さくなるからである。そこで、バンドむらが目立ちやすいような入力画像の場合は、複数回の記録走査においてより多くのパス数で印字し、バンドむらが目立ちにくいような入力画像の場合は少ないパス数で印字することが考えられる。実施例1では、入力画像に応じて色材分布差の算出結果に応じたパス数で印字する画像記録装置について説明する。
【0022】
(プリントシステム概要)
図3は、本実施形態に係るプリントシステムを示す。プリントシステムは、情報処理装置としてのホスト装置(PC)とインクジェット方式の画像形成装置(インクジェットプリンタ)とから構成することができる。情報処理装置は、図示しない中央処理装置(CPU)が装置全体の制御を行い、読み出し専用記憶装置(ROM)や、計算処理時にCPUが一時的な読み書きを行う記憶装置(RAM)などを含む。
【0023】
インクジェットプリンタは、基本色であるシアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)と、さらにブラック(K)と、の4色の各々について、色材として顔料を含む有色インクを有している。そして、インクジェットプリンタは、計4色のインクによって印刷を行う。そのために、これら4色のインクを吐出する記録ヘッドを備える。なお、本発明は、少なくとも2種類以上の記録材を用いることにより実施可能である。
【0024】
PCのオペレーティングシステムで動作するプログラムとして、アプリケーションやプリンタドライバがある。アプリケーションはプリンタで印刷する画像データについて各種の処理を実行する。この画像データもしくはその編集等がなされる前の画像データは、種々の媒体を介してPCに取り込むことができる。PCは、デジタルカメラで撮像した例えばJPEG方式の画像データをCFカードから取り込むことができる。また、スキャナで読み取った例えばTIFF形式の画像データやCD−ROMに格納されている画像データも取り込むことができる。さらには、インターネットを介してウェブ上の画像データを取り込むことができる。これらの取り込まれた画像データは、PCのモニタに表示されてアプリケーションを介した編集、加工等をすることができる。例えば、sRGB規格のR、G、B信号で表わされるRGB画像データを作成して、印刷の指示に応じてこのRGB画像データ(入力画像データ)がプリンタドライバ301に渡される。
【0025】
プリンタドライバ301は、カラーマッチング303、色分解部304、ガンマ補正305、ハーフトーニング306、および印刷データ作成部307の各処理を行う。
【0026】
カラーマッチング303は、色域(Gamut)のマッピングを行う。具体的に、カラーマッチング303は、3次元ルックアップテーブル(LUT)と補間演算を併用して8ビットのRGBデータをプリンタの色域内のRGBデータに変換する。
【0027】
色分解部304は、上記色域のマッピングがなされたRGBデータに基づき、このRGBデータが表わす色を再現するインクの組み合わせに対応した色分解データ(CMYKデータ)を求める処理を行う。この処理はカラーマッチングと同様に、3次元LUTと補間演算を併用して行う。出力されるデータは、各色につき8ビットのデータであり、C、M、Y、K各色材の色材量に対応した値となる。
【0028】
ガンマ補正305は、色分解部304によって求められた各色の色分解データに対して、階調値変換を行う。具体的には、インクジェットの各色インクの階調特性に応じた1次元LUTを用いることにより、色分解データがインクジェットの階調特性に線形的に対応づけられるような変換を行う。
【0029】
ハーフトーニング306は、8ビットの色分解データ(CMYKデータ)のC、M、Y、K信号のそれぞれの信号について、4ビットの画像データに変換する量子化を行う。本実施例では、誤差拡散法を用いて8ビットデータを4ビットデータに変換する。この4ビットの画像データは、インクジェットプリンタにおけるドット配置パターン化処理部309における配置パターンを示すためのインデックスデータである。なお、量子化は誤差拡散法に限られるものではなく、例えばディザマトリックスを用いた閾値処理による量子化を行ってもよい。さらに、C、M、Y、Kそれぞれの信号間に、相関関係を持たせて量子化を行ってもよい。
【0030】
最後に、印刷データ作成部307によって、上記4ビットのインデックスデータを含む印刷イメージデータに印刷制御情報を加えた印刷データを作成する。なお、上述したアプリケーションおよびプリンタドライバの処理は、それらのプログラムに従ってCPUにより行われる。その際、プログラムはROMもしくはハードディスクから読み出されて用いられ、また、その処理実行に際してRAMがワークエリアとして用いられる。そして、印刷データは、インクジェットプリンタ308に出力される。
【0031】
インクジェットプリンタ308は、ドット配置パターン化処理部309、パス分解処理部310、ヘッド駆動回路311、記録ヘッド312の構成を備える。
【0032】
ドット配置パターン化処理部309は、実際の印刷画像に対応する画素ごとに、印刷イメージである4ビットのインデックスデータ(階調値情報)に対応したドット配置パターンに従ってドット配置を行う。上述したハーフトーニング306では、256値の多値濃度情報(8ビットデータ)を9値の階調値情報(4ビットデータ)までにレベル数を下げている。しかし、インクジェットプリンタの記録は、インクを記録するか否かという2値の情報である。ドット配置パターン化処理部309では、ハーフトーニング306からの出力値であるレベル0〜8の4ビットデータで表示される各画素に対し、その画素の階調値(レベル0〜8)に対応したドット配置パターンを割り当てる。その結果、1画素内の複数のエリア各々にドットのオン・オフが定義される。つまり画素内の複数のエリア各々にドットを形成するか否かが定義され、1画素内の各エリアに「1」または「0」の2値の吐出データが配置される。
【0033】
パス分解処理部310は、ドット配置パターン化により得られた1ビットの吐出データに基づいて、各走査のパス分解データを作成する。このパス分解データを作成する処理の詳細については後述する。
【0034】
走査ごとのパス分解データは、適切なタイミングでヘッド駆動回路311に送られ、これにより、記録ヘッド312が駆動され、パス分解データに従って各色のインクが吐出される。なお、インクジェットプリンタにおける上述のドット配置パターン化処理部309やパス分解処理部310は、それらに専用のハードウェア回路を用い、不図示の制御部を構成するCPUの制御の下に実行される。なお、これらの処理がプログラムに従ってCPUにより行われてもよく、また、上記処理がPCにおける例えばプリンタドライバによって実行されるものでもよい。
【0035】
なお、本明細書では、記録材であるインクについてシアン、マゼンタ、イエロー、ブラックなど片仮名表記で表わす。また、色もしくはそのデータ、また色相をC、M、Y、Kなど英大文字の1字で表わすものとする。すなわち、Cはシアン色またはそのデータないし色相を表わす。同様に、Mはマゼンタ、Yはイエロー、Kはブラックをそれぞれ表わすものとする。
【0036】
さらに、本明細書において「画素」とは、階調表現できる最少単位のことであり、複数ビットの多値データの画像処理(上記カラーマッチング、色分解、γ補正、ハーフトーニング等の処理)の対象となる最小単位である。なお、ハーフトーニングでは、1つの画素は2×4のマスで構成されるパターンに対応し、この1画素内の各マスはエリアと定義する。この「エリア」はドットのオン・オフが定義される最少単位である。これに関連して、上記カラーマッチング、色分解、γ補正にいう「画像データ」は処理対称である画素の集合を表わしており、各画素が8ビットの階調値を内容とするデータである。また、ハーフトーニングにいう「画素データ」は処理対称である画像データそのものを表わしており、上記の8ビットの階調値を内容とする画素データが4ビットの階調値を内容とする画素データ(インデックスデータ)に変換される。
【0037】
(記録ヘッド構成)
以下に本実施形態で適用するヘッドカートリッジH1000の構成について説明する。
【0038】
図11(a)に示すように、本実施形態におけるヘッドカートリッジH1000は、記録ヘッドH1001と、インクタンクH1900を搭載する手段、およびインクタンクH1900から記録ヘッドにインクを供給するための手段を有している。また、キャリッジに対して着脱可能に搭載される。
【0039】
図11(b)は、本実施形態で適用するヘッドカートリッジH1000に対し、インクタンクH1900が装着される様子を示す図である。本実施形態のインクジェットプリンタは、シアン、マゼンタ、イエロー、及び、ブラックの4色のインクによって画像を形成するため、インクタンクH1900も4色分(H1901〜1904)が独立に用意されている。
【0040】
図12は、記録素子基板H1100を示す。記録素子基板H1100はSi基板であり、その片面にインクを吐出するための複数の記録素子(ノズル)が吐出口として形成されている。各記録素子に電力を供給するAI等の電気配線は、成膜技術により形成されており、個々の記録素子に対応した複数のインク流路もまた、フォトリソグラフィ技術により形成されている。さらに、複数のインク流路にインクを供給するためのインク供給口が裏面に開口するように形成されている。H2000〜H2300は、それぞれ異なるインク色に対応する記録素子の列(以下ノズル列ともいう)である。記録素子基板H1100には4色分のノズル列が構成されている。シアンインクの供給されるノズル列H2000、マゼンタインクの供給されるノズル列H2100、イエローインクの供給されるノズル列H2200、そして、ブラックインクの供給されるノズル列H2300である。
【0041】
(パス分解処理部)
続いて、実施例1に係るパス分解処理部310による処理を詳細に説明する。パス分解処理部310は、入力された吐出データに対し、入力される画像データの内容に応じてバンドむらが低減するようなパス数を判定して、パス分解データを出力する。具体的には、まず、指定されたパス数で印字を行った場合に、バンドむらが発生する可能性を判断する。バンドむらが発生する可能性があると判断した場合は、パス数を増やす変更を行い、同じ処理を行う。バンドむらが発生する可能性がないと判断した場合は、パス数を変更せずにパス分解データを出力する。本実施例のヘッドは、往復印字において、往路走査の場合、同一画素に対し、シアン→マゼンタ→イエロー→ブラックの順に吐出されるようなノズル配置のヘッドを用いるものとする。このヘッドを用いると、復路走査では逆に、同一画素に対し、ブラック→イエロー→マゼンタ→シアンの順に吐出されることとなる。
【0042】
図4は、パス分解処理部310の処理手順を示すフロー図である。
【0043】
S401〜S406までの処理で、指定されたパス数の、指定された領域における、全インクのパス分解データを作成する。
【0044】
まず、処理が開始すると、パス数を設定する(S401)。最初は、初期値のパス数を設定する。そして、処理内容に応じて、より大きなパス数を設定する。例えば、初期値のパス数を4とすれば、4→6→8→・・・の順にパス数を設定する。
【0045】
次に、吐出データにおいて処理対象となる領域を指定する(S402)。図5は、領域の指定を説明するための図である。領域の指定では、まず、吐出データの左上端の領域を指定する。そしてS403〜S413の処理がされ、再びS402に処理が戻ると、次に、領域の指定では、右方向に指定する領域を切り替える。最上端列の右端まで指定すると、次に1段下の領域列の左端領域を指定する。このような順で、指定する領域を切り替えていき、右下端の領域で完了する(S413;YES)。なお、指定する領域の大きさは、縦方向が192画素で横方向が256画素とする。縦方向の画素の大きさは、ノズル長をパス数で割った数に相当している。横方向の画素の大きさは256画素に限らない。
【0046】
次に、パス分解データ作成を行うインクを指定する(S403)。まず初期値としてシアンを指定し、そして、マゼンタ、イエロー、ブラックの順にインクを指定して、全インクに対して処理がなされる。
【0047】
次に、S402で指定した領域における、S403で指定したインクに関する吐出データを取得する(S404)。
【0048】
次に、取得した吐出データからパス分解データを、マスクパターンを用いて作成する(S405)。ここで、吐出データをA[i,j]、マスクパターンをB[i,j,l]、パス分解データをC[i,j,l]と表わす。iは縦方向の画素位置であり、0〜191の範囲の値をとる。jは横方向の画素位置であり、0〜255をとる。lは走査を表わし、第1走査は1、第2走査は2、第3走査は3、第4走査は4である。色毎画素毎に吐出データとマスクパターンのアンド操作をとることにより、パス分解データが作成される。すなわち、C[i,j,l]= A[i,j]∩B [i,j,l]という処理を行う。なお、B[i,j,l]は画素毎に互いに補間の関係にある。すわなち、B[i,j,1] +B[i,j,2] +B[i,j,3]+B[i,j,4]=1は任意のi,jで必ず成り立つ。互いに補間の関係にあることにより、いずれかの走査でドットが必ず印字される。
【0049】
次に、全インクに対して処理を行ったかを判断する(S406)。全インクに対して処理を行ったと判断した場合はS407にすすみ、処理を行っていないと判断した場合はS403に戻る。
【0050】
続くS407〜S411では、バンドむらが発生する可能性を判断する為に必要となる色材分布データを作成する。色材分布データは2種類作成される。1つは、往路始まりとして算出される最表面の色材分布データである。もう1つは、復路始まりとして算出される最表面の色材分布データである。
【0051】
まず、スタートを指定する(S407)。ここでは、最初に往路始まりを指定する。次に復路始まりを指定する。
【0052】
次に、着弾順序データを作成する(S408)。着弾順序データとは、記録媒体に対しドットが着弾する順序を示すデータである。着弾順序データをD[i,j,k,l]と表わす。ここでiは縦方向の画素位置であり、0〜191をとる。jは横方向の画素位置であり、0〜255をとる。kは色を表わし、シアンは1、マゼンタは2、イエローは3、ブラックは4により特定される。lは走査を表わし、第1走査は1、第2走査は2、第3走査は3、第4走査は4である。着弾順序データは0から192×4=768のいずれかの値を持ち、0は着弾しないこと、0以外の数字は着弾順を表わす。例えば、D[2,3,1,1]=10は、縦方向の画素位置が2で、横方向の画素位置が3に、シアンインクが第一走査で、全ドットの中で10番目に着弾することを意味する。
【0053】
ドットの着弾順については、以下のルールで一意に決定される。まず、第一走査→第二走査→第三走査→第四走査の順でドットは着弾するとする。また同一走査内で、往路走査ならばシアン→マゼンタ→イエロー→ブラックの順で、復路走査ならばブラック→イエロー→マゼンタ→シアンの順でドットは着弾するとする。さらに同一走査で同一色ならば、往路走査ならば横方向の画素位置が小さい順で、復路走査ならば横方向の画素位置が大きい順でドットは着弾するとする。S407で往路始まりが指定されている場合は、第一走査が往路、第二走査が復路、第三走査が往路、第四走査が復路として計算される。一方、S407で復路始まりが指定されている場合は、往路始まりの場合の逆となる。
【0054】
次に、着弾順序データから、最表面画像データを作成する(S409)。最表面画像データとは、最表面にあるインクを示すデータである。最表面画像データをE(i,j)と表わす。ここでiは縦方向の画素位置であり、0〜191をとる。jは横方向の画素位置であり、0〜255をとる。また、最表面画像データは0〜4の値を持つ。この数字は、紙もしくはインクを表わし、紙は0、シアンは1、マゼンタは2、イエローは3、ブラックは4である。例えば、E(2,3)=3なら、縦方向の画素位置が2で、横方向の画素位置が3の最表面にはシアンインクがあることを意味する。
【0055】
また、ドットが有限の大きさを持つことを考慮しつつ、ドットの大きさをモデル化する。記録媒体上ではドットの大きさによって少なからずドット同士が重なりあっている。例えば、画素の解像度が4800dpi×2400dpiで、インクの吐出量が2plであるようなインクジェットプリンタの場合を考える。記録媒体上に着弾したドットは、その大きさが直径30μm程度の円となる。図6に画素とドットの大きさの関係を示す。縦方向には隣とさらにその隣の画素に影響を及ぼし、横方向には隣の画素まで影響を及ぼすことがわかる。そこで、図7に示すようなモデル化を行う。ある画素に着弾するドットが周辺画素に与える影響は10画素であるとする。このモデル化と着弾順序データにより最表面画像データが作成される。具体的には、着弾順序が早いドットから最表面画像データ配置していき、最表面画像データの画素におけるインクの種類を更新する。図8は実際の最表面画像データを示した図である。
【0056】
次に、色材分布データを作成する(S410)。具体的には、最表面画像データに基づいて、色材分布を評価するためにインクの面積比率を算出する。ここでは色材分布データをF(k)と表わす。kは色を表わし、紙は0、シアンは1、マゼンタは2、イエローは3、ブラックは4である。色材分布データは0から192×256のいずれかの整数値を持つ。F(k)はE(i,j)=kとなる画素数である。例えば、F(2)=1000なら、指定された領域において、最表面に露出するマゼンタインクが1000あることを意味する。
【0057】
次に全スタートを処理したかを判断する(S411)。処理したと判断した場合は、次のステップに進み、処理していないと判断した場合はS407に戻る。
【0058】
続いて、往路始まりの色材分布データと復路始まりの色材分布データから色材分布差Eを算出する(S412)。往路始まりの色材分布データをF1(k)とし、復路始まりの色材分布データをF2(k)とする。実施例1におけるEは処理する全領域における和分をとり、
【0059】
【数1】
【0060】
となる。色材分布差がなければEは0になり、色材分布差が大きいほどEは大きな値となる。
【0061】
次に全領域で処理を行ったかを判断する(S413)。全領域で処理を行ったと判断された場合は、S414に進む。行っていないと判断された場合は、S402に進む。
【0062】
それから色材分布差が色材分布差許容値より小さいかどうかを判断する(S414)。色材分布差許容値とは、パス分解処理部310に予め保持されている値である。
【0063】
色材分布差許容値より色材分布差が小さければバンドむらが発生しないと判断され、S415に進む。小さくないと判断されれば、S401戻る。色材分布差許容値の値が大きいと、色材分布差が許容されやすい。設定する品位に応じて変えてもよい。例えば高品位モードではこの値を小さくしたり、高速モードでは、この値を大きくしたりすることが考えられる。
【0064】
最後に、S401により、設定されたパス数に応じたパス分解データが出力され、処理が終了する(S415)。
【0065】
なお、本実施例において、色材分布差の算出方法として、S412の処理で説明した式を用いたが、その式に限らない。色材分布差を定量化できればどんな式でもよい。例えば、以下の式のように最大値を用いた方が、より実際のバンドむらとの相関が高い場合もある。
【0066】
【数2】
【0067】
また、ドットのモデル化は、図6で示した以外のモデル化を用いてもよい。例えば、吐出量に応じてドットのモデル化を変えれば、より高精度に算出することが可能である。さらには、ヘッドの特徴に応じてドットのモデル化を変えてもよい。例えば、3種類の吐出量からなるノズルを有するヘッドに対しては、ドットのモデル化を3種類にわける方法がある。また、本実施例はさまざまな走査方式に対して適応可能である。走査方式には、バンド送り走査や、インターレース走査、分割走査などがある。走査方式が変わってもドットの着弾位置さえ計算できれば、色材分布を計算することは可能となる。
【0068】
なお、本実施例では、最表面画像データの計算サイズをパス分解データの解像度と同じにしたが、異ならせてもよい。例えば、最表面画像データの解像度をパス分解データの解像度より大きくすれば、より色材分布差を高精度に算出することが可能になる。また、逆に最表面画像データの解像度をパス分解データの解像度より小さくすれば、より高速に算出することが可能になる。また、ドットの着弾位置やドットの面積にばらつきを考慮して計算してもよい。例えば、乱数を用いることによってばらつきを与える方法がある。
【0069】
また、本実施例では、色材分布としてインクの面積率を用いる方法を説明したが、ドットの数を用いる方法でもよい。具体的には、ドットが点であるというモデル化を行う。この方法を用いれば高速に処理を行うことが可能である。
【0070】
以上で説明したように、本実施形態によれば、入力画像に応じて十分に色材分布差を低減できるパス数で印字することができるので、バンドむらを低減させることが可能である。
【0071】
(実施例2)
実施例1では、入力される画像データに対して、パス数を変えながら最適なパス数を求めている。実施例2では、色材分布差が低減するように、パス分解データを作成する方法について説明する。なお、上述した実施例と異なる点を中心に簡潔に説明する。
【0072】
(プリントシステム概要)
実施例2におけるプリントシステムは、実施例1におけるプリントシステムと同じ構成とすることができる。
【0073】
(パス分解処理部)
次に、実施例2に係るパス分解処理部310の動作を詳細に説明する。パス分解処理部310は、入力された吐出データに対し、入力画像に応じてバンドむらが低減するようなパス分解データを出力する。具体的には、まず、マスクパターンを用いてパス分解データを作成する。そのパス分解データの一部を変更し、その変更により色材分布差が減少するようであれば、その変更を採用する。その変更により色材分布差が減少しなければ、その変更は採用しない。このようにパス分解データの更新を繰り返すことによって色材分布差が減少するようなパス分解データを作成する。
【0074】
図9は、実施例2に係るパス分解処理部310の処理手順を示すフロー図である。
【0075】
処理が開始すると、S901からS905までの処理が行われる。この処理は実施例1におけるS402からS406と同様の処理である。
【0076】
次に、色材分布差Eが初期化される(S906)。初期化される値は、このパス分解処理部310に予め保持されており、後述するS916で必ずNOが判断されるような十分に大きな値である。
【0077】
次に、S907からS919まで、繰り返し処理を行うことで、色材分布差が低減されるようなパス分解データが作成される。繰り返し回数は、あらかじめパス分解処理部310が保持しており、例えば、1000が保持されている。具体的な処理は、処理をするドットを選択し、そのドットのパスを変更する。そして、色材分布差を計算し、あらかじめ保持されていた色材分布差より小さければ、パスの変更を採用し、大きければ、パスの変更を採用しない。
【0078】
具体的には、まず、パス分解データを参照して、処理対象となるドットを指定する(S908)。ドットの指定の仕方は任意の方法でよい。例えば、乱数を発生させ、処理するドットを乱数に基づいてランダムに指定することができる。
【0079】
そして、指定されたドットのパスを変更し、パス分解データを変更する(S909)。パス分解データの変更は任意の方法でよい。例えば、乱数を発生させ、その結果よりパスを変更することができる。ただし、最初にこの処理を行う場合はパスを変更しないとする。この際に、元のパス分解データを保持する。
【0080】
次に、S910からS914の処理を行う。この処理は実施例1におけるS407からS411までの処理と同様に処理することができる。あるいは、ドットのパスを変えたことによる色材分布への影響はドットの周辺だけであるので、指定されたドットの周辺だけの処理を用いてよい。その場合は処理の高速化が可能となる。
【0081】
そして、色材分布差を算出する(S915)。往路始まりの色材分布データをF1(k)とし、復路始まりの色材分布データをF2(k)とする。次式より計算する。
【0082】
【数3】
【0083】
次に、あらかじめ保持されている色材分布差と更新後の色材分布差を比較し、更新後の値の方が小さいと判断された場合は、S917に進む(S916)。大きいと判断された場合はS918に進む。
【0084】
そして、S909で変更されたパス分解データを採用する(S917)。
【0085】
また、S909で変更されたパス分解データを採用しない(変更前のパス分解データを採用する(S918)。
【0086】
所定の繰り返し回数の後にループは終了する(S919)。
【0087】
そして、最終的なパス分解データを出力する(S920)。
【0088】
最後に、全領域で処理を行ったかを判断する(S921)。全領域で処理を行ったと判断された場合は終了する。行っていないと判断された場合は、S901に進み処理を行う。
【0089】
本実施例においては、色材分布差が減少するようにパス分解データを変更する方法について説明したが、他にも、色材分布の目標値を設定し、その目標値に近づくようにパス分解データを更新する方法が考えられる。例えば、往路始まりのパス分解データと復路始まりのパス分解データの平均値を、パス分解データの目標値とする方法がある。すなわち、目標のパス分解データをF3とすると、
【0090】
【数4】
【0091】
この目標値はS915の処理の際に追加で計算する必要がある。目標値を元にS909の処理を行えば、色材分布差をより効率的に減らすことが可能となる。例えば、色材分布差を大きくしているインクから処理を行う方法がある。シアンインクの分布を増やしたい場合は、シアンドットをより遅いパスで印字させるようパス分解データを変更すればよい。
【0092】
さらに、本実施例においては、往路始まりの領域と復路始まりの領域とで共通のパス分解データを用いたが、このパス分解データを領域毎に異ならせてもよい。この方法を用いると、F1とF2を独立に処理することが可能となるので、色材分布差をより効率的に減らすことが可能となる。
【0093】
いずれの方法にしても、S916〜S918の処理によって、必ず色材分布差を減少させることが可能である。
【0094】
以上で説明したように、本実施形態によれば、記録材毎の面積率が往復で略一定となるようにして、必ず色材分布差が減少するようにパス分解データが作成されるので、バンドむらを低減させることが可能である。
【0095】
(実施例3)
実施例2では、一度作成したパス分解データを修正することで、色材分布差が少なくなるようなパス分解データを作成した。実施例3では、複数のパス分解データを作成し、複数のパス分解データの中から、最も色材分布差が小さいパス分解データを決定する方法について説明する。なお、上述した実施例と異なる点を中心に簡潔に説明する
【0096】
(プリントシステム概要)
実施例3におけるプリントシステムは、実施例1におけるプリントシステムと同じ構成とすることができる。
【0097】
(パス分解処理部)
実施例3に係るパス分解処理部310による処理を詳細に説明する。パス分解処理部310は、入力された吐出データに対し、入力画像に応じてバンドむらが低減するようなパス分解データを出力する。
【0098】
続いて、本実施形態に係るパス分解処理部310を詳細に説明する。パス分解処理部310は、入力画像に応じてバンドむらが低減するようなパス数のパス分解データを作成する。具体的には、複数のマスクパターンを用いて複数のパス分解データを作成し、各パス分解データから最表面の色材分布差を算出し、最表面の色材分布差が最も小さいパス分解データを選択し、ヘッド駆動回路に出力する。
【0099】
図10は、パス分解処理部310の処理手順を示すフロー図である。
【0100】
処理が開始されると、S1001の処理を行う。この処理は実施例1におけるS402からS406と同様の処理である。
【0101】
次に、S1002からS1013まで繰り返し処理を行うことで、色材分布差が低減されるようなパス分解データが選択される。繰り返し回数は、あらかじめパス分解処理部310が保持している。この繰り返し回数が多いと処理に時間がかかり、少ないと効果が小さくなる。例えば、繰り返し回数として10が保持されている。
【0102】
ループが始まる(S1002)。まず、マスクパターンが指定される(S1003)。複数の種類のマスクパターンはあらかじめパス分解処理部310に保持されている。この処理が実行される度に異なるマスクパターンが指定される。
【0103】
次にS1004からS1013までの処理が行われる。この処理は実施例1のS403からS412までの処理と同一である。
【0104】
所定の回数の処理を行いループが終了する(S1014)。
【0105】
続いてパス分解データを決定する(S1015)。色材分布差が最も小さくなるようなパス分解データを選択する。本実施例においては10種類のパス分解データから一つのパス分解データが選択される。
【0106】
次に、パス分解データを出力する(S1016)。
【0107】
最後に、全領域で処理を行ったかを判断する(S1017)。全領域で処理を行ったと判断された場合は終了する。行っていないと判断された場合は、S1001に進み処理を行う。
【0108】
なお、実施例3においては、往路始まりの領域と復路始まりの領域とで共通のパス分解データを用いた方法について説明したが、このパス分解データは領域毎に異ならせてもよい。この方法を用いると、10種類の往路始まりの色材分布データと10種類の往路始まり復路始まりの色材分布データから最も色材分布差が最小となる組み合わせを選択することができるので、色材分布差がより最小となったパス分解データを選択することができる。
【0109】
また、本発明は、上述した実施例の機能(例えば、上記のフローチャートにより示される工程)を実現するソフトウェアのプログラムコードを記録した記憶媒体を、システム或いは装置に供給することによっても実現できる。この場合、そのシステム或いは装置のコンピュータ(又はCPUやMPU)が、コンピュータが読み取り可能に記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出し実行することにより、上述した実施例の機能を実現する。
【0110】
以上で説明したように、本実施形態によれば、バンドむらを低減させることが可能である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置、画像形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、文字や画像などを記録紙やフィルムなどの記録媒体に記録する記録方式として、記録媒体に記録剤(色材)であるインクを付着して、記録媒体上に画像を形成するインクジェット方式がある。
【0003】
インクジェット方式を用いるインクジェット記録装置のインクとして、顔料を色材とする顔料インクが広く用いられている。顔料インクは、染料インクに比べ固形分である色材が記録媒体の表面に堆積しやすいという特徴を持つ。記録媒体上に堆積した顔料色材の模式図を図1に示す。
【0004】
また、インクジェット記録装置の記録形式には、シリアル型がある。シリアル型の記録装置では、記録ヘッドからインクを吐出させながら、記録主走査と副走査とを交互に繰り返すことにより、記録媒体上に順次画像を形成していく。ここで、記録主走査とは記録ヘッドを搭載したキャリッジを記録媒体に対して、記録するために移動させる走査であり、副走査とは記録媒体を記録主走査とは直行する方向に所定量ずつ搬送し、記録する位置を変更する走査である。この場合、記録ヘッドが備える複数のインク吐出口のヘッド長によって、1回の記録主走査で記録される領域の幅が決まる。
【0005】
さらに、画像の品質を上げる為に、マルチスキャン方式が採用されている。マルチスキャン方式は、1回の記録主走査で記録可能な画像領域に対し、N回(N≧2)の記録主走査を実行する。マルチスキャン方式を採用することは、各記録主走査において所定量の記録媒体搬送を行うことにより、各記録素子による記録のばらつきや、副走査量のばらつきを分散し、画像全体を滑らかにする等の効果がある。故に、現状、シリアル型のインクジェット記録装置にはマルチスキャン方式を適用することが非常に有効なものとなっている。
【0006】
その効果は、マルチスキャン数を多く設定することで、より大きくすることができるが、記録時間を増大させることにも繋がりうる。近年では、予め複数のマルチスキャン数の記録モードを具備しておき、記録画像の種類やその用途に応じて、ユーザーが複数の記録モードから適切なものを選択できる構成になっているものが多い。
【0007】
また、マルチスキャン方式には、記録主走査を往方向のみで記録する片方向記録と、往方向および復方向の双方で交互に記録する双方向記録がある。双方向記録では、往方向の走査によって形成される画像領域と、復方向の走査によって形成される画像領域とが、1回の記録主走査で記録される領域の幅毎に交互に現れる。当然ながら、印刷速度は双方向記録の方が速い。
【0008】
しかし、双方向記録では片方向記録にはない「バンドむら」が発生することがある。この「バンドむら」は、往方向の走査によって形成された画像領域と、復方向の走査によって形成された画像領域とで、記録するインク色の配置が異なる為に発生する問題である。すなわち、同一のデータに従って記録を行っても、往路で記録した画像の色と復路で記録した画像の色には、目視で確認できるほどの違いが現れてしまう。特に顔料インクを用いた場合、色材が記録媒体の表面に堆積しやすい性質を持つため、記録するインク色の配置が画質に与える影響は大きい。その結果、バンドむらが目立つことがある。
【0009】
以下に記録走査の方向に応じて記録するインク色の配置が異なる理由について、図2を用いて具体的に説明する。なお、ここでは、シアンインクとマゼンタインクの2種類のインクを用いて、記録媒体の所定の位置に両方のインクを一発ずつ着弾させる例について説明する。
【0010】
図2(a)は往路印字を示しており、図2(b)は復路印字を示している。ヘッド201は、シアンインクを印字するのに必要なシアンノズル202と、マゼンタインク印字するのに必要なマゼンタノズル203を備える。記録主走査方向に対して、往路の方向を正とした場合に、前から順に、シアンノズル202、マゼンタノズル203が設置されているとする。図2の(a)に示すように、往路の場合、シアンインクのノズルの方が先に吐出されるので、シアンインクが先に記録媒体に着弾し(シアンドット204)、マゼンタインクがシアンインクの上に着弾する(マゼンダドット205)。一方、往路では、図2の(b)に示すように、マゼンタインクのノズルの方が先に吐出されるので、マゼンタインクから先に着弾し(マゼンダドット205)、シアンインクがマゼンタインクの上に着弾する(シアンドット204)。以上のように往路と復路で記録するインク色の着弾する順番が異なるため、記録するインク色の配置が、記録走査の方向に応じて異なることとなる。
【0011】
バンドむらを低減する為の技術として、マスクパターンを用いる幾つかの対策が開示されている。なお、マスクパターンとは、マルチスキャン印字をする際に、画像データを各記録主走査(パスとも言う)に振り分ける為に用いられるものである。
【0012】
例えば、「互いに異なる色に対応した複数の間引きマスクパターンにおいて、少なくとも一つの間引きマスクパターンの画素配列は、他の間引きマスクパターンの画素配列と異なること」が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。同一記録走査では、各色で互いに異なる位置に記録を行うことで、往路記録と復路記録との色差を低減する。
【0013】
また、「複数ブロックのそれぞれに固定的に対応したマスクパターンを有し、ブロック間で相互補完の関係を持ちながら、この関係が第1記録ヘッドと第2記録ヘッドとで同じであること」が開示されている(例えば、特許文献2参照。)。これによれば、記録ヘッドに対しマスクパターンを固定することで、マスクパターンと画像データとの配列具合によって生じる各記録走査での記録率の偏りに起因するバンドむらを低減することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特許第3200143号公報
【特許文献2】特許第3236034号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
特許文献1や2に記載の方法では、画像に応じて処理を変える仕組みがないため、例えばバンドむらが目立ちやすい入力画像の場合、十分にバンドむらが低減できるとは言い難い。
【0016】
そこで、本発明は、入力画像に因らずにバンドむらを低減させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記課題を解決するために、本発明は、少なくとも2種類以上のインクを吐出するための複数の吐出口を有する記録ヘッドを記録媒体に対して往復走査する動作と前記記録媒体を搬送する動作とを繰り返しながら、前記記録ヘッドから前記記録媒体に向けてインクを吐出して記録を行う画像形成装置であって、前記記録媒体に前記インクを吐出して画像を形成するための吐出データを入力する入力手段と、前記吐出データに基づいて前記記録媒体最表面の前記インク毎の面積率を算出する算出手段と、前記面積率が前記往復走査で略一定となるように、前記吐出データを設定する決定手段とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、入力画像に因らずにバンドむらを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】記録媒体上に堆積する色材の様子を模式的に表わした側面図と上面図である。
【図2】記録走査の方向に応じて記録するインク色の順番が異なる場合に色材が形成される様子を模式的に示す図である。
【図3】本実施例に係るプリントシステムの構成を示すブロック図である。
【図4】実施例1に係るパス分解処理部の処理手順を示すフロー図である。
【図5】吐出データの領域指定を説明するための図である。
【図6】印字解像度とドットの大きさとの関係を表わした模式図である。
【図7】ドットのモデル化を表わした図である。
【図8】本実施例に係る最表面画像の例を表わした図である。
【図9】実施例2に係るパス分解処理部の処理手順を示すフロー図である。
【図10】実施例3に係るパス分解処理部の処理手順を示すフロー図である。
【図11】本実施例で適用されるヘッドカートリッジにインクタンクを装着する状態を示した斜視図である。
【図12】本実施例で適用されるヘッドカートリッジの分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
インクを吐出するための複数の吐出口を有する記録ヘッドを記録媒体に対して走査する動作と記録媒体を搬送する動作とを繰り返しながら、記録ヘッドから前記被記録材に向けてインクを吐出して記録を行う、所謂シリアルプリンタを例に本実施形態を説明する。バンドむらを低減させるためには、往路スキャンから始まり復路スキャンで終わる画像領域と、復路スキャンで始まり復路スキャンで終わる画像領域とで、記録するインク色の配置を一致させることが重要である。しかしながら、この配置を完全に一致させなくても、少なくとも最表面に露出しているインクの比率(以下、色材分布と呼ぶ)を揃えることで、画質の改善が可能となる。ここで、色材分布とは、例えば、インクの面積率やドット数などである。以降、詳細な実施例について説明する。
【0021】
(実施例1)
同一色に対して記録媒体の同一領域に記録ヘッドを複数回走査させて記録を行うマルチスキャン記録を工夫することでバンドむらを低減することが可能である。例えば、マルチスキャン数を増やすことが有効である。一回あたりの記録が少なくなる為、記録するインク色の順番の差が小さくなるからである。そこで、バンドむらが目立ちやすいような入力画像の場合は、複数回の記録走査においてより多くのパス数で印字し、バンドむらが目立ちにくいような入力画像の場合は少ないパス数で印字することが考えられる。実施例1では、入力画像に応じて色材分布差の算出結果に応じたパス数で印字する画像記録装置について説明する。
【0022】
(プリントシステム概要)
図3は、本実施形態に係るプリントシステムを示す。プリントシステムは、情報処理装置としてのホスト装置(PC)とインクジェット方式の画像形成装置(インクジェットプリンタ)とから構成することができる。情報処理装置は、図示しない中央処理装置(CPU)が装置全体の制御を行い、読み出し専用記憶装置(ROM)や、計算処理時にCPUが一時的な読み書きを行う記憶装置(RAM)などを含む。
【0023】
インクジェットプリンタは、基本色であるシアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)と、さらにブラック(K)と、の4色の各々について、色材として顔料を含む有色インクを有している。そして、インクジェットプリンタは、計4色のインクによって印刷を行う。そのために、これら4色のインクを吐出する記録ヘッドを備える。なお、本発明は、少なくとも2種類以上の記録材を用いることにより実施可能である。
【0024】
PCのオペレーティングシステムで動作するプログラムとして、アプリケーションやプリンタドライバがある。アプリケーションはプリンタで印刷する画像データについて各種の処理を実行する。この画像データもしくはその編集等がなされる前の画像データは、種々の媒体を介してPCに取り込むことができる。PCは、デジタルカメラで撮像した例えばJPEG方式の画像データをCFカードから取り込むことができる。また、スキャナで読み取った例えばTIFF形式の画像データやCD−ROMに格納されている画像データも取り込むことができる。さらには、インターネットを介してウェブ上の画像データを取り込むことができる。これらの取り込まれた画像データは、PCのモニタに表示されてアプリケーションを介した編集、加工等をすることができる。例えば、sRGB規格のR、G、B信号で表わされるRGB画像データを作成して、印刷の指示に応じてこのRGB画像データ(入力画像データ)がプリンタドライバ301に渡される。
【0025】
プリンタドライバ301は、カラーマッチング303、色分解部304、ガンマ補正305、ハーフトーニング306、および印刷データ作成部307の各処理を行う。
【0026】
カラーマッチング303は、色域(Gamut)のマッピングを行う。具体的に、カラーマッチング303は、3次元ルックアップテーブル(LUT)と補間演算を併用して8ビットのRGBデータをプリンタの色域内のRGBデータに変換する。
【0027】
色分解部304は、上記色域のマッピングがなされたRGBデータに基づき、このRGBデータが表わす色を再現するインクの組み合わせに対応した色分解データ(CMYKデータ)を求める処理を行う。この処理はカラーマッチングと同様に、3次元LUTと補間演算を併用して行う。出力されるデータは、各色につき8ビットのデータであり、C、M、Y、K各色材の色材量に対応した値となる。
【0028】
ガンマ補正305は、色分解部304によって求められた各色の色分解データに対して、階調値変換を行う。具体的には、インクジェットの各色インクの階調特性に応じた1次元LUTを用いることにより、色分解データがインクジェットの階調特性に線形的に対応づけられるような変換を行う。
【0029】
ハーフトーニング306は、8ビットの色分解データ(CMYKデータ)のC、M、Y、K信号のそれぞれの信号について、4ビットの画像データに変換する量子化を行う。本実施例では、誤差拡散法を用いて8ビットデータを4ビットデータに変換する。この4ビットの画像データは、インクジェットプリンタにおけるドット配置パターン化処理部309における配置パターンを示すためのインデックスデータである。なお、量子化は誤差拡散法に限られるものではなく、例えばディザマトリックスを用いた閾値処理による量子化を行ってもよい。さらに、C、M、Y、Kそれぞれの信号間に、相関関係を持たせて量子化を行ってもよい。
【0030】
最後に、印刷データ作成部307によって、上記4ビットのインデックスデータを含む印刷イメージデータに印刷制御情報を加えた印刷データを作成する。なお、上述したアプリケーションおよびプリンタドライバの処理は、それらのプログラムに従ってCPUにより行われる。その際、プログラムはROMもしくはハードディスクから読み出されて用いられ、また、その処理実行に際してRAMがワークエリアとして用いられる。そして、印刷データは、インクジェットプリンタ308に出力される。
【0031】
インクジェットプリンタ308は、ドット配置パターン化処理部309、パス分解処理部310、ヘッド駆動回路311、記録ヘッド312の構成を備える。
【0032】
ドット配置パターン化処理部309は、実際の印刷画像に対応する画素ごとに、印刷イメージである4ビットのインデックスデータ(階調値情報)に対応したドット配置パターンに従ってドット配置を行う。上述したハーフトーニング306では、256値の多値濃度情報(8ビットデータ)を9値の階調値情報(4ビットデータ)までにレベル数を下げている。しかし、インクジェットプリンタの記録は、インクを記録するか否かという2値の情報である。ドット配置パターン化処理部309では、ハーフトーニング306からの出力値であるレベル0〜8の4ビットデータで表示される各画素に対し、その画素の階調値(レベル0〜8)に対応したドット配置パターンを割り当てる。その結果、1画素内の複数のエリア各々にドットのオン・オフが定義される。つまり画素内の複数のエリア各々にドットを形成するか否かが定義され、1画素内の各エリアに「1」または「0」の2値の吐出データが配置される。
【0033】
パス分解処理部310は、ドット配置パターン化により得られた1ビットの吐出データに基づいて、各走査のパス分解データを作成する。このパス分解データを作成する処理の詳細については後述する。
【0034】
走査ごとのパス分解データは、適切なタイミングでヘッド駆動回路311に送られ、これにより、記録ヘッド312が駆動され、パス分解データに従って各色のインクが吐出される。なお、インクジェットプリンタにおける上述のドット配置パターン化処理部309やパス分解処理部310は、それらに専用のハードウェア回路を用い、不図示の制御部を構成するCPUの制御の下に実行される。なお、これらの処理がプログラムに従ってCPUにより行われてもよく、また、上記処理がPCにおける例えばプリンタドライバによって実行されるものでもよい。
【0035】
なお、本明細書では、記録材であるインクについてシアン、マゼンタ、イエロー、ブラックなど片仮名表記で表わす。また、色もしくはそのデータ、また色相をC、M、Y、Kなど英大文字の1字で表わすものとする。すなわち、Cはシアン色またはそのデータないし色相を表わす。同様に、Mはマゼンタ、Yはイエロー、Kはブラックをそれぞれ表わすものとする。
【0036】
さらに、本明細書において「画素」とは、階調表現できる最少単位のことであり、複数ビットの多値データの画像処理(上記カラーマッチング、色分解、γ補正、ハーフトーニング等の処理)の対象となる最小単位である。なお、ハーフトーニングでは、1つの画素は2×4のマスで構成されるパターンに対応し、この1画素内の各マスはエリアと定義する。この「エリア」はドットのオン・オフが定義される最少単位である。これに関連して、上記カラーマッチング、色分解、γ補正にいう「画像データ」は処理対称である画素の集合を表わしており、各画素が8ビットの階調値を内容とするデータである。また、ハーフトーニングにいう「画素データ」は処理対称である画像データそのものを表わしており、上記の8ビットの階調値を内容とする画素データが4ビットの階調値を内容とする画素データ(インデックスデータ)に変換される。
【0037】
(記録ヘッド構成)
以下に本実施形態で適用するヘッドカートリッジH1000の構成について説明する。
【0038】
図11(a)に示すように、本実施形態におけるヘッドカートリッジH1000は、記録ヘッドH1001と、インクタンクH1900を搭載する手段、およびインクタンクH1900から記録ヘッドにインクを供給するための手段を有している。また、キャリッジに対して着脱可能に搭載される。
【0039】
図11(b)は、本実施形態で適用するヘッドカートリッジH1000に対し、インクタンクH1900が装着される様子を示す図である。本実施形態のインクジェットプリンタは、シアン、マゼンタ、イエロー、及び、ブラックの4色のインクによって画像を形成するため、インクタンクH1900も4色分(H1901〜1904)が独立に用意されている。
【0040】
図12は、記録素子基板H1100を示す。記録素子基板H1100はSi基板であり、その片面にインクを吐出するための複数の記録素子(ノズル)が吐出口として形成されている。各記録素子に電力を供給するAI等の電気配線は、成膜技術により形成されており、個々の記録素子に対応した複数のインク流路もまた、フォトリソグラフィ技術により形成されている。さらに、複数のインク流路にインクを供給するためのインク供給口が裏面に開口するように形成されている。H2000〜H2300は、それぞれ異なるインク色に対応する記録素子の列(以下ノズル列ともいう)である。記録素子基板H1100には4色分のノズル列が構成されている。シアンインクの供給されるノズル列H2000、マゼンタインクの供給されるノズル列H2100、イエローインクの供給されるノズル列H2200、そして、ブラックインクの供給されるノズル列H2300である。
【0041】
(パス分解処理部)
続いて、実施例1に係るパス分解処理部310による処理を詳細に説明する。パス分解処理部310は、入力された吐出データに対し、入力される画像データの内容に応じてバンドむらが低減するようなパス数を判定して、パス分解データを出力する。具体的には、まず、指定されたパス数で印字を行った場合に、バンドむらが発生する可能性を判断する。バンドむらが発生する可能性があると判断した場合は、パス数を増やす変更を行い、同じ処理を行う。バンドむらが発生する可能性がないと判断した場合は、パス数を変更せずにパス分解データを出力する。本実施例のヘッドは、往復印字において、往路走査の場合、同一画素に対し、シアン→マゼンタ→イエロー→ブラックの順に吐出されるようなノズル配置のヘッドを用いるものとする。このヘッドを用いると、復路走査では逆に、同一画素に対し、ブラック→イエロー→マゼンタ→シアンの順に吐出されることとなる。
【0042】
図4は、パス分解処理部310の処理手順を示すフロー図である。
【0043】
S401〜S406までの処理で、指定されたパス数の、指定された領域における、全インクのパス分解データを作成する。
【0044】
まず、処理が開始すると、パス数を設定する(S401)。最初は、初期値のパス数を設定する。そして、処理内容に応じて、より大きなパス数を設定する。例えば、初期値のパス数を4とすれば、4→6→8→・・・の順にパス数を設定する。
【0045】
次に、吐出データにおいて処理対象となる領域を指定する(S402)。図5は、領域の指定を説明するための図である。領域の指定では、まず、吐出データの左上端の領域を指定する。そしてS403〜S413の処理がされ、再びS402に処理が戻ると、次に、領域の指定では、右方向に指定する領域を切り替える。最上端列の右端まで指定すると、次に1段下の領域列の左端領域を指定する。このような順で、指定する領域を切り替えていき、右下端の領域で完了する(S413;YES)。なお、指定する領域の大きさは、縦方向が192画素で横方向が256画素とする。縦方向の画素の大きさは、ノズル長をパス数で割った数に相当している。横方向の画素の大きさは256画素に限らない。
【0046】
次に、パス分解データ作成を行うインクを指定する(S403)。まず初期値としてシアンを指定し、そして、マゼンタ、イエロー、ブラックの順にインクを指定して、全インクに対して処理がなされる。
【0047】
次に、S402で指定した領域における、S403で指定したインクに関する吐出データを取得する(S404)。
【0048】
次に、取得した吐出データからパス分解データを、マスクパターンを用いて作成する(S405)。ここで、吐出データをA[i,j]、マスクパターンをB[i,j,l]、パス分解データをC[i,j,l]と表わす。iは縦方向の画素位置であり、0〜191の範囲の値をとる。jは横方向の画素位置であり、0〜255をとる。lは走査を表わし、第1走査は1、第2走査は2、第3走査は3、第4走査は4である。色毎画素毎に吐出データとマスクパターンのアンド操作をとることにより、パス分解データが作成される。すなわち、C[i,j,l]= A[i,j]∩B [i,j,l]という処理を行う。なお、B[i,j,l]は画素毎に互いに補間の関係にある。すわなち、B[i,j,1] +B[i,j,2] +B[i,j,3]+B[i,j,4]=1は任意のi,jで必ず成り立つ。互いに補間の関係にあることにより、いずれかの走査でドットが必ず印字される。
【0049】
次に、全インクに対して処理を行ったかを判断する(S406)。全インクに対して処理を行ったと判断した場合はS407にすすみ、処理を行っていないと判断した場合はS403に戻る。
【0050】
続くS407〜S411では、バンドむらが発生する可能性を判断する為に必要となる色材分布データを作成する。色材分布データは2種類作成される。1つは、往路始まりとして算出される最表面の色材分布データである。もう1つは、復路始まりとして算出される最表面の色材分布データである。
【0051】
まず、スタートを指定する(S407)。ここでは、最初に往路始まりを指定する。次に復路始まりを指定する。
【0052】
次に、着弾順序データを作成する(S408)。着弾順序データとは、記録媒体に対しドットが着弾する順序を示すデータである。着弾順序データをD[i,j,k,l]と表わす。ここでiは縦方向の画素位置であり、0〜191をとる。jは横方向の画素位置であり、0〜255をとる。kは色を表わし、シアンは1、マゼンタは2、イエローは3、ブラックは4により特定される。lは走査を表わし、第1走査は1、第2走査は2、第3走査は3、第4走査は4である。着弾順序データは0から192×4=768のいずれかの値を持ち、0は着弾しないこと、0以外の数字は着弾順を表わす。例えば、D[2,3,1,1]=10は、縦方向の画素位置が2で、横方向の画素位置が3に、シアンインクが第一走査で、全ドットの中で10番目に着弾することを意味する。
【0053】
ドットの着弾順については、以下のルールで一意に決定される。まず、第一走査→第二走査→第三走査→第四走査の順でドットは着弾するとする。また同一走査内で、往路走査ならばシアン→マゼンタ→イエロー→ブラックの順で、復路走査ならばブラック→イエロー→マゼンタ→シアンの順でドットは着弾するとする。さらに同一走査で同一色ならば、往路走査ならば横方向の画素位置が小さい順で、復路走査ならば横方向の画素位置が大きい順でドットは着弾するとする。S407で往路始まりが指定されている場合は、第一走査が往路、第二走査が復路、第三走査が往路、第四走査が復路として計算される。一方、S407で復路始まりが指定されている場合は、往路始まりの場合の逆となる。
【0054】
次に、着弾順序データから、最表面画像データを作成する(S409)。最表面画像データとは、最表面にあるインクを示すデータである。最表面画像データをE(i,j)と表わす。ここでiは縦方向の画素位置であり、0〜191をとる。jは横方向の画素位置であり、0〜255をとる。また、最表面画像データは0〜4の値を持つ。この数字は、紙もしくはインクを表わし、紙は0、シアンは1、マゼンタは2、イエローは3、ブラックは4である。例えば、E(2,3)=3なら、縦方向の画素位置が2で、横方向の画素位置が3の最表面にはシアンインクがあることを意味する。
【0055】
また、ドットが有限の大きさを持つことを考慮しつつ、ドットの大きさをモデル化する。記録媒体上ではドットの大きさによって少なからずドット同士が重なりあっている。例えば、画素の解像度が4800dpi×2400dpiで、インクの吐出量が2plであるようなインクジェットプリンタの場合を考える。記録媒体上に着弾したドットは、その大きさが直径30μm程度の円となる。図6に画素とドットの大きさの関係を示す。縦方向には隣とさらにその隣の画素に影響を及ぼし、横方向には隣の画素まで影響を及ぼすことがわかる。そこで、図7に示すようなモデル化を行う。ある画素に着弾するドットが周辺画素に与える影響は10画素であるとする。このモデル化と着弾順序データにより最表面画像データが作成される。具体的には、着弾順序が早いドットから最表面画像データ配置していき、最表面画像データの画素におけるインクの種類を更新する。図8は実際の最表面画像データを示した図である。
【0056】
次に、色材分布データを作成する(S410)。具体的には、最表面画像データに基づいて、色材分布を評価するためにインクの面積比率を算出する。ここでは色材分布データをF(k)と表わす。kは色を表わし、紙は0、シアンは1、マゼンタは2、イエローは3、ブラックは4である。色材分布データは0から192×256のいずれかの整数値を持つ。F(k)はE(i,j)=kとなる画素数である。例えば、F(2)=1000なら、指定された領域において、最表面に露出するマゼンタインクが1000あることを意味する。
【0057】
次に全スタートを処理したかを判断する(S411)。処理したと判断した場合は、次のステップに進み、処理していないと判断した場合はS407に戻る。
【0058】
続いて、往路始まりの色材分布データと復路始まりの色材分布データから色材分布差Eを算出する(S412)。往路始まりの色材分布データをF1(k)とし、復路始まりの色材分布データをF2(k)とする。実施例1におけるEは処理する全領域における和分をとり、
【0059】
【数1】
【0060】
となる。色材分布差がなければEは0になり、色材分布差が大きいほどEは大きな値となる。
【0061】
次に全領域で処理を行ったかを判断する(S413)。全領域で処理を行ったと判断された場合は、S414に進む。行っていないと判断された場合は、S402に進む。
【0062】
それから色材分布差が色材分布差許容値より小さいかどうかを判断する(S414)。色材分布差許容値とは、パス分解処理部310に予め保持されている値である。
【0063】
色材分布差許容値より色材分布差が小さければバンドむらが発生しないと判断され、S415に進む。小さくないと判断されれば、S401戻る。色材分布差許容値の値が大きいと、色材分布差が許容されやすい。設定する品位に応じて変えてもよい。例えば高品位モードではこの値を小さくしたり、高速モードでは、この値を大きくしたりすることが考えられる。
【0064】
最後に、S401により、設定されたパス数に応じたパス分解データが出力され、処理が終了する(S415)。
【0065】
なお、本実施例において、色材分布差の算出方法として、S412の処理で説明した式を用いたが、その式に限らない。色材分布差を定量化できればどんな式でもよい。例えば、以下の式のように最大値を用いた方が、より実際のバンドむらとの相関が高い場合もある。
【0066】
【数2】
【0067】
また、ドットのモデル化は、図6で示した以外のモデル化を用いてもよい。例えば、吐出量に応じてドットのモデル化を変えれば、より高精度に算出することが可能である。さらには、ヘッドの特徴に応じてドットのモデル化を変えてもよい。例えば、3種類の吐出量からなるノズルを有するヘッドに対しては、ドットのモデル化を3種類にわける方法がある。また、本実施例はさまざまな走査方式に対して適応可能である。走査方式には、バンド送り走査や、インターレース走査、分割走査などがある。走査方式が変わってもドットの着弾位置さえ計算できれば、色材分布を計算することは可能となる。
【0068】
なお、本実施例では、最表面画像データの計算サイズをパス分解データの解像度と同じにしたが、異ならせてもよい。例えば、最表面画像データの解像度をパス分解データの解像度より大きくすれば、より色材分布差を高精度に算出することが可能になる。また、逆に最表面画像データの解像度をパス分解データの解像度より小さくすれば、より高速に算出することが可能になる。また、ドットの着弾位置やドットの面積にばらつきを考慮して計算してもよい。例えば、乱数を用いることによってばらつきを与える方法がある。
【0069】
また、本実施例では、色材分布としてインクの面積率を用いる方法を説明したが、ドットの数を用いる方法でもよい。具体的には、ドットが点であるというモデル化を行う。この方法を用いれば高速に処理を行うことが可能である。
【0070】
以上で説明したように、本実施形態によれば、入力画像に応じて十分に色材分布差を低減できるパス数で印字することができるので、バンドむらを低減させることが可能である。
【0071】
(実施例2)
実施例1では、入力される画像データに対して、パス数を変えながら最適なパス数を求めている。実施例2では、色材分布差が低減するように、パス分解データを作成する方法について説明する。なお、上述した実施例と異なる点を中心に簡潔に説明する。
【0072】
(プリントシステム概要)
実施例2におけるプリントシステムは、実施例1におけるプリントシステムと同じ構成とすることができる。
【0073】
(パス分解処理部)
次に、実施例2に係るパス分解処理部310の動作を詳細に説明する。パス分解処理部310は、入力された吐出データに対し、入力画像に応じてバンドむらが低減するようなパス分解データを出力する。具体的には、まず、マスクパターンを用いてパス分解データを作成する。そのパス分解データの一部を変更し、その変更により色材分布差が減少するようであれば、その変更を採用する。その変更により色材分布差が減少しなければ、その変更は採用しない。このようにパス分解データの更新を繰り返すことによって色材分布差が減少するようなパス分解データを作成する。
【0074】
図9は、実施例2に係るパス分解処理部310の処理手順を示すフロー図である。
【0075】
処理が開始すると、S901からS905までの処理が行われる。この処理は実施例1におけるS402からS406と同様の処理である。
【0076】
次に、色材分布差Eが初期化される(S906)。初期化される値は、このパス分解処理部310に予め保持されており、後述するS916で必ずNOが判断されるような十分に大きな値である。
【0077】
次に、S907からS919まで、繰り返し処理を行うことで、色材分布差が低減されるようなパス分解データが作成される。繰り返し回数は、あらかじめパス分解処理部310が保持しており、例えば、1000が保持されている。具体的な処理は、処理をするドットを選択し、そのドットのパスを変更する。そして、色材分布差を計算し、あらかじめ保持されていた色材分布差より小さければ、パスの変更を採用し、大きければ、パスの変更を採用しない。
【0078】
具体的には、まず、パス分解データを参照して、処理対象となるドットを指定する(S908)。ドットの指定の仕方は任意の方法でよい。例えば、乱数を発生させ、処理するドットを乱数に基づいてランダムに指定することができる。
【0079】
そして、指定されたドットのパスを変更し、パス分解データを変更する(S909)。パス分解データの変更は任意の方法でよい。例えば、乱数を発生させ、その結果よりパスを変更することができる。ただし、最初にこの処理を行う場合はパスを変更しないとする。この際に、元のパス分解データを保持する。
【0080】
次に、S910からS914の処理を行う。この処理は実施例1におけるS407からS411までの処理と同様に処理することができる。あるいは、ドットのパスを変えたことによる色材分布への影響はドットの周辺だけであるので、指定されたドットの周辺だけの処理を用いてよい。その場合は処理の高速化が可能となる。
【0081】
そして、色材分布差を算出する(S915)。往路始まりの色材分布データをF1(k)とし、復路始まりの色材分布データをF2(k)とする。次式より計算する。
【0082】
【数3】
【0083】
次に、あらかじめ保持されている色材分布差と更新後の色材分布差を比較し、更新後の値の方が小さいと判断された場合は、S917に進む(S916)。大きいと判断された場合はS918に進む。
【0084】
そして、S909で変更されたパス分解データを採用する(S917)。
【0085】
また、S909で変更されたパス分解データを採用しない(変更前のパス分解データを採用する(S918)。
【0086】
所定の繰り返し回数の後にループは終了する(S919)。
【0087】
そして、最終的なパス分解データを出力する(S920)。
【0088】
最後に、全領域で処理を行ったかを判断する(S921)。全領域で処理を行ったと判断された場合は終了する。行っていないと判断された場合は、S901に進み処理を行う。
【0089】
本実施例においては、色材分布差が減少するようにパス分解データを変更する方法について説明したが、他にも、色材分布の目標値を設定し、その目標値に近づくようにパス分解データを更新する方法が考えられる。例えば、往路始まりのパス分解データと復路始まりのパス分解データの平均値を、パス分解データの目標値とする方法がある。すなわち、目標のパス分解データをF3とすると、
【0090】
【数4】
【0091】
この目標値はS915の処理の際に追加で計算する必要がある。目標値を元にS909の処理を行えば、色材分布差をより効率的に減らすことが可能となる。例えば、色材分布差を大きくしているインクから処理を行う方法がある。シアンインクの分布を増やしたい場合は、シアンドットをより遅いパスで印字させるようパス分解データを変更すればよい。
【0092】
さらに、本実施例においては、往路始まりの領域と復路始まりの領域とで共通のパス分解データを用いたが、このパス分解データを領域毎に異ならせてもよい。この方法を用いると、F1とF2を独立に処理することが可能となるので、色材分布差をより効率的に減らすことが可能となる。
【0093】
いずれの方法にしても、S916〜S918の処理によって、必ず色材分布差を減少させることが可能である。
【0094】
以上で説明したように、本実施形態によれば、記録材毎の面積率が往復で略一定となるようにして、必ず色材分布差が減少するようにパス分解データが作成されるので、バンドむらを低減させることが可能である。
【0095】
(実施例3)
実施例2では、一度作成したパス分解データを修正することで、色材分布差が少なくなるようなパス分解データを作成した。実施例3では、複数のパス分解データを作成し、複数のパス分解データの中から、最も色材分布差が小さいパス分解データを決定する方法について説明する。なお、上述した実施例と異なる点を中心に簡潔に説明する
【0096】
(プリントシステム概要)
実施例3におけるプリントシステムは、実施例1におけるプリントシステムと同じ構成とすることができる。
【0097】
(パス分解処理部)
実施例3に係るパス分解処理部310による処理を詳細に説明する。パス分解処理部310は、入力された吐出データに対し、入力画像に応じてバンドむらが低減するようなパス分解データを出力する。
【0098】
続いて、本実施形態に係るパス分解処理部310を詳細に説明する。パス分解処理部310は、入力画像に応じてバンドむらが低減するようなパス数のパス分解データを作成する。具体的には、複数のマスクパターンを用いて複数のパス分解データを作成し、各パス分解データから最表面の色材分布差を算出し、最表面の色材分布差が最も小さいパス分解データを選択し、ヘッド駆動回路に出力する。
【0099】
図10は、パス分解処理部310の処理手順を示すフロー図である。
【0100】
処理が開始されると、S1001の処理を行う。この処理は実施例1におけるS402からS406と同様の処理である。
【0101】
次に、S1002からS1013まで繰り返し処理を行うことで、色材分布差が低減されるようなパス分解データが選択される。繰り返し回数は、あらかじめパス分解処理部310が保持している。この繰り返し回数が多いと処理に時間がかかり、少ないと効果が小さくなる。例えば、繰り返し回数として10が保持されている。
【0102】
ループが始まる(S1002)。まず、マスクパターンが指定される(S1003)。複数の種類のマスクパターンはあらかじめパス分解処理部310に保持されている。この処理が実行される度に異なるマスクパターンが指定される。
【0103】
次にS1004からS1013までの処理が行われる。この処理は実施例1のS403からS412までの処理と同一である。
【0104】
所定の回数の処理を行いループが終了する(S1014)。
【0105】
続いてパス分解データを決定する(S1015)。色材分布差が最も小さくなるようなパス分解データを選択する。本実施例においては10種類のパス分解データから一つのパス分解データが選択される。
【0106】
次に、パス分解データを出力する(S1016)。
【0107】
最後に、全領域で処理を行ったかを判断する(S1017)。全領域で処理を行ったと判断された場合は終了する。行っていないと判断された場合は、S1001に進み処理を行う。
【0108】
なお、実施例3においては、往路始まりの領域と復路始まりの領域とで共通のパス分解データを用いた方法について説明したが、このパス分解データは領域毎に異ならせてもよい。この方法を用いると、10種類の往路始まりの色材分布データと10種類の往路始まり復路始まりの色材分布データから最も色材分布差が最小となる組み合わせを選択することができるので、色材分布差がより最小となったパス分解データを選択することができる。
【0109】
また、本発明は、上述した実施例の機能(例えば、上記のフローチャートにより示される工程)を実現するソフトウェアのプログラムコードを記録した記憶媒体を、システム或いは装置に供給することによっても実現できる。この場合、そのシステム或いは装置のコンピュータ(又はCPUやMPU)が、コンピュータが読み取り可能に記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出し実行することにより、上述した実施例の機能を実現する。
【0110】
以上で説明したように、本実施形態によれば、バンドむらを低減させることが可能である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2種類以上のインクを吐出するための複数の吐出口を有する記録ヘッドを記録媒体に対して往復走査する動作と前記記録媒体を搬送する動作とを繰り返しながら、前記記録ヘッドから前記記録媒体に向けてインクを吐出して記録を行う画像形成装置であって、
前記記録媒体に前記インクを吐出して画像を形成するための吐出データを入力する入力手段と、
前記吐出データに基づいて前記記録媒体最表面の前記インク毎の面積率を算出する算出手段と、
前記面積率が前記往復走査で略一定となるように、前記吐出データを設定する決定手段と
を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記設定手段は、前記面積率が前記往復走査で略一定となるように、前記往復走査の走査回数を設定することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記設定手段は、前記面積率が前記往復走査で略一定となるように、前記往復走査の各々における吐出データを更新することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記設定手段は、
異なるマスクパターンを用いて複数の前記吐出データを作成する作成手段と、
前記作成手段により作成された吐出データごとに前記面積率を算出する手段と
を有することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項5】
少なくとも2種類以上のインクを吐出するための複数の吐出口を有する記録ヘッドを記録媒体に対して往復走査する動作と前記記録媒体を搬送する動作とを繰り返しながら、前記記録ヘッドから前記記録媒体に向けてインクを吐出して記録を行う画像形成装置における画像形成方法であって、
前記記録媒体に前記インクを吐出して画像を形成するための吐出データを入力する入力ステップと、
前記吐出データに基づいて前記記録媒体最表面の前記インク毎の面積率を算出する算出ステップと、
前記面積率が前記往復走査で略一定となるように、前記吐出データを設定する決定ステップと
を有することを特徴とする画像形成方法。
【請求項6】
請求項5に記載の画像形成方法を画像形成装置に実行させるためのプログラム。
【請求項1】
少なくとも2種類以上のインクを吐出するための複数の吐出口を有する記録ヘッドを記録媒体に対して往復走査する動作と前記記録媒体を搬送する動作とを繰り返しながら、前記記録ヘッドから前記記録媒体に向けてインクを吐出して記録を行う画像形成装置であって、
前記記録媒体に前記インクを吐出して画像を形成するための吐出データを入力する入力手段と、
前記吐出データに基づいて前記記録媒体最表面の前記インク毎の面積率を算出する算出手段と、
前記面積率が前記往復走査で略一定となるように、前記吐出データを設定する決定手段と
を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記設定手段は、前記面積率が前記往復走査で略一定となるように、前記往復走査の走査回数を設定することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記設定手段は、前記面積率が前記往復走査で略一定となるように、前記往復走査の各々における吐出データを更新することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記設定手段は、
異なるマスクパターンを用いて複数の前記吐出データを作成する作成手段と、
前記作成手段により作成された吐出データごとに前記面積率を算出する手段と
を有することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項5】
少なくとも2種類以上のインクを吐出するための複数の吐出口を有する記録ヘッドを記録媒体に対して往復走査する動作と前記記録媒体を搬送する動作とを繰り返しながら、前記記録ヘッドから前記記録媒体に向けてインクを吐出して記録を行う画像形成装置における画像形成方法であって、
前記記録媒体に前記インクを吐出して画像を形成するための吐出データを入力する入力ステップと、
前記吐出データに基づいて前記記録媒体最表面の前記インク毎の面積率を算出する算出ステップと、
前記面積率が前記往復走査で略一定となるように、前記吐出データを設定する決定ステップと
を有することを特徴とする画像形成方法。
【請求項6】
請求項5に記載の画像形成方法を画像形成装置に実行させるためのプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−10218(P2013−10218A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−143425(P2011−143425)
【出願日】平成23年6月28日(2011.6.28)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月28日(2011.6.28)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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