説明

画像形成装置およびその制御方法

【課題】 画像処理回路に接続されるデータバスの本数を減らすことができる画像形成装置およびその制御方法を提供する。
【解決手段】 画像処理用の複数の機能ブロックを選択的に設定可能に有するとともに、その機能ブロック用のデータバスを選択的に設定可能に有する画像処理回路を備え、この画像処理回路における機能ブロックの設定を指示するとともに、その機能ブロックの設定に対応するデータバスの設定を少なくとも1つのデータバスについては複数の機能ブロックに兼用として指示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、複合型の画像形成装置およびその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
複合型の画像形成装置いわゆるMFPにおいては、高画質化・高機能化の実現のため、特定の用途に最適設計されたASICにより画像処理回路が構成される。しかし、ASICの機能は固定で、開発後に変更あるいは追加することができない。再開発するとしても、開発期間が必要となり、開発費も高騰する。
【0003】
一方、処理の流れに沿って機能を動的に書き換えることが可能なリコンフィギュラブル回路技術が知られている(例えば特許文献1)。このリコンフィギュラブル回路技術を画像処理に採用することにより、画像処理に必要な機能を処理の進行に応じて臨機応変的に切換および増減することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−303276号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
画像処理回路にはデータ入力用のデータバスおよびデータ出力用のデータバスが接続される。これらデータバスの本数は、画像処理回路において同時に設定される機能ブロックの数に対応する。同時に設定される機能ブロックの数が多いと、データバスの本数も多くなり、構成の複雑化やコストの上昇を招いてしまう。
【0006】
本発明の実施形態の目的は、画像処理回路に接続されるデータバスの本数を減らすことができる画像形成装置およびその制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の実施形態の画像形成装置は、画像処理用の複数の機能ブロックを選択的に設定可能に有するとともに、その機能ブロック用のデータバスを選択的に設定可能に有する画像処理回路と、前記画像処理回路における機能ブロックの設定を指示するとともに、その機能ブロックの設定に対応するデータバスの設定を少なくとも1つのデータバスについては複数の機能ブロックに兼用として指示する制御手段と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】一実施形態の全体的な構成を示すブロック図。
【図2】一実施形態の画像処理部の具体的な構成を示すブロック図。
【図3】一実施形態の設定部における情報テーブルを示す図。
【図4】図3の情報テーブルに基づいて設定される機能ブロックおよびデータバスを示す図。
【図5】図4の機能ブロックの動作を示すタイムチャート。
【図6】一実施形態の設定部における情報テーブルの変更を示す図。
【図7】図6の情報テーブルに基づいて設定される機能ブロックおよびデータバスを示す図。
【図8】図7の機能ブロックの動作を示すタイムチャート。
【図9】設定される機能ブロックおよびデータバスの変形例を示す図。
【図10】図9の機能ブロックの動作を示すタイムチャート。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、一実施形態について図面を参照して説明する。
【0010】
図1において、1は画像形成装置たとえばデジタル複合機(MFP)で、コピー機能、スキャン機能、プリント機能など複数の機能を併せ持つ。このMFP1は、主制御部であるCPU10にバス11を接続し、そのバス11に外部インタフェース13、ハードディスクドライブ(HDD)14、ローカルメモリ15、スキャナ16、プリンタ(プリンタエンジンともいう)17、コントロールパネル20、および画像処理部(画像処理プロセッサともいう)30を接続している。
【0011】
ローカルメモリ15は、画像処理部30で処理される画像データの一時記憶用である。スキャナ16は、MFP1にセットされる原稿の画像を光学的に読取る。プリンタ17は、画像データを用紙にプリントする。コントロールパネル20は、ユーザによる動作条件設定を行うためのもので、表示部21および操作部22を有する。
【0012】
そして、上記外部インタフェース13に、ネットワークケーブル40を介して複数のクライアント端末たとえばパーソナルコンピュータ41を接続する。これらパーソナルコンピュータ41は、内蔵の各種アプリケーションプログラム(ワープロ、表計算、プレゼンテーション、DTPソフトウェアなど)により画像データを生成し、生成した画像データをMFP1に送る。
【0013】
上記画像処理部30は、図2に示すように、画像データを取込む前段処理部51、この前段処理部51で取込んだ画像データを処理する画像処理回路50、この画像処理回路50で処理した画像データを出力する後段処理部52、CPU10からの指示に基づいて画像処理回路50における機能ブロックおよびデータバスを設定する設定部53、動作用のクロック信号を生成するクロック生成部54などを備える。
【0014】
上記画像処理回路50は、ダイナミック・リコンフィギュラブル・プロセッサ(Dynamic Reconfigurable Processor)であり、画像処理用の複数の機能ブロックA1,A2,…Anを選択的に設定可能に有するとともに、その機能ブロック用のデータバスB1,B2,…Bnを選択的に設定可能に有する。上記設定部53は、CPU10からの指示として送られる例えば図3の情報テーブルを保持し、その情報テーブルに従って画像処理回路50における機能ブロックおよびデータバスを設定する。
【0015】
上記情報テーブルには、画像処理回路50において設定すべき機能ブロックの接続情報が含まれる。この接続情報がA1→A2→A3であれば、図4に示すように、画像処理回路50において、機能ブロックA1,A2,A3、これら機能ブロックA1,A2,A3の入力端にそれぞれ接続される選択スイッチ61、機能ブロックA1,A2,A3の出力端にそれぞれ接続される選択スイッチ62、これら選択スイッチ61,62を介して機能ブロックA1,A2,A3の入力端および出力端に接続されるデータバスB1,B2,B3,B4が設定される。設定されるデータバスB1,B2,B3,B4は、入力用データバスX1,X2,X3,X4を介して前段処理部51に接続されるとともに、出力用データバスY1,Y2,Y3,Y4を介して後段処理部52に接続される。
【0016】
機能ブロックA1,A2,A3は、入力用データバスX1から入力される画像データを順に処理する。
すなわち、図5のタイムチャートに示すように、機能ブロックA1は、画像処理回路50の外の入力用データバスX1からデータバスB1を介して入力される画像データを付属の選択スイッチ61を介して取込み、取込んだ画像データを処理しながら、処理した画像データを付属の選択スイッチ62を介してデータバスB2へと逐次に出力する。この機能ブロックA1の処理開始は、当該機能ブロックA1への画像データの入力開始から所定時間t1遅れである。
【0017】
機能ブロックA2は、データバスB2に出力される画像データを付属の選択スイッチ61を介して取込み、取込んだ画像データを処理しながら、処理した画像データを付属の選択スイッチ62を介してデータバスB3へと逐次に出力する。この機能ブロックA2の処理開始は、機能ブロックA1の処理開始から所定時間t2遅れである。
【0018】
機能ブロックA3は、データバスB3に出力される画像データを付属の選択スイッチ61を介して取込み、取込んだ画像データを処理しながら、処理した画像データを付属の選択スイッチ62およびデータバスB4を介して画像処理回路50の外の出力用データバスY4へと逐次に出力する。この機能ブロックA3の処理開始は、機能ブロックA2の処理開始から所定時間t3遅れである。
【0019】
一方、上記情報テーブルに含まれる接続情報が図6のようにA1→A2→A3からA1→A2→A3→A4へ変更されると、図7に示すように、画像処理回路50において機能ブロックA4(=An)が追加設定される。この追加設定に伴い、機能ブロックA4の入力端とデータバスB1,B2,B3,B4とを接続する選択スイッチ61、機能ブロックA4の出力端とデータバスB1,B2,B3,B4とを接続する選択スイッチ62が設定される。データバスB1,B2,B3,B4の設定に変更はない。
【0020】
この場合、機能ブロックA1,A2,A3,A4は、入力用データバスX1から入力される画像データを順に処理する。
【0021】
すなわち、図8のタイムチャートに示すように、機能ブロックA1は、画像処理回路50の外の入力用データバスX1からデータバスB1を介して入力される画像データを付属の選択スイッチ61を介して取込み、取込んだ画像データを処理しながら、処理した画像データを付属の選択スイッチ62を介してデータバスB2へと逐次に出力する。この機能ブロックA1の処理開始は、当該機能ブロックA1への画像データの入力開始から所定時間t1遅れである。
【0022】
機能ブロックA2は、データバスB2に出力される画像データを付属の選択スイッチ61を介して取込み、取込んだ画像データを処理しながら、処理した画像データを付属の選択スイッチ62を介してデータバスB3へと逐次に出力する。この機能ブロックA2の処理開始は、機能ブロックA1の処理開始から所定時間t2遅れである。
【0023】
機能ブロックA3は、データバスB3に出力される画像データを付属の選択スイッチ61を介して取込み、取込んだ画像データを処理しながら、処理した画像データを付属の選択スイッチ62を介してデータバスB4へと逐次に出力する。この機能ブロックA3の処理開始は、機能ブロックA2の処理開始から所定時間t3遅れである。
【0024】
最終段の機能ブロックA4(=An)は、機能ブロックA1への画像データ入力が終了した後、データバスB4(=Bn)に出力される画像データを付属の選択スイッチ61を介して取込み、取込んだ画像データを処理しながら、処理した画像データを付属の選択スイッチ62および上記データバスB1を介して画像処理回路50の外の出力用データバスY1へと逐次に出力する。この機能ブロックA4の処理開始は、機能ブロックA3の処理開始から所定時間t4遅れである。
【0025】
このように、最初の機能ブロックA1への画像データ入力に用いたデータバスB1を最後段の機能ブロックA4で処理した画像データの外部出力用として兼用することにより、機能ブロックA4の出力のために専用のデータバスを用意する必要がない。結果として、画像処理回路50に接続される入力用データバスおよび出力用データバスの本数を削減できる。この削減により、構成の簡略化およびコストの低減が図れる。
【0026】
使用する入力用データバスおよび出力用データバスがそれぞれ1本であることを考慮すれば、入力用データバスおよび出力用データバスとしてそれぞれ1本を設ける構成としてもよい。
【0027】
なお、図9に示すように、画像処理回路50における機能ブロックA1,A2,A3,A4(=An)の設定に伴い、1本のデータバスB1のみ設定する構成としてもよい。
【0028】
この場合、図10のタイムチャートに示すように、機能ブロックA1は、画像処理回路50の外の入力用データバスX1からデータバスB1を介して入力される画像データを付属の選択スイッチ61を介して取込み、この取込みが終了した後、取込んだ画像データを処理しながら、処理した画像データを付属の選択スイッチ62を介してデータバスB1へと逐次に出力する。この機能ブロックA1の処理開始は、当該機能ブロックA1への画像データの入力開始から所定時間t1遅れである。
【0029】
機能ブロックA2は、データバスB1に出力される画像データを付属の選択スイッチ61を介して取込み、その取込みが終了した後、取込んだ画像データを処理しながら、処理した画像データを付属の選択スイッチ62を介してデータバスB1へと逐次に出力する。この機能ブロックA2の処理開始は、機能ブロックA1の処理開始から所定時間t2遅れである。
【0030】
機能ブロックA3は、データバスB1に出力される画像データを付属の選択スイッチ61を介して取込み、この取込みが終了した後、取込んだ画像データを処理しながら、処理した画像データを付属の選択スイッチ62を介してデータバスB1へと逐次に出力する。この機能ブロックA3の処理開始は、機能ブロックA2の処理開始から所定時間t3遅れである。
【0031】
最後段の機能ブロックA4(=An)は、データバスB1に出力される画像データを付属の選択スイッチ61を介して取込み、この取込みが終了した後、取込んだ画像データを処理しながら、処理した画像データを付属の選択スイッチ62およびデータバスB1を介して当該画像処理回路50の外の出力用データバスY1へと逐次に出力する。この機能ブロックA4の処理開始は、機能ブロックA3の処理開始から所定時間t4遅れである。
【0032】
その他、上記実施形態および各変形例は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態および変形例は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、書き換え、変更を行うことができる。これら実施形態や変形は、発明の範囲は要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0033】
1…MFP(画像形成装置)、10…CPU、11…バス、12…メインメモリ、13…外部インタフェース、14…ハードディスクドライブ、15…ローカルメモリ、16…スキャナ、17…プリンタ、30…画像処理部、50…画像処理回路、A1,A2,…An……機能ブロック、B1,B2,…Bn……データバス、X1,X2,X3,X4……入力用データバス、Y1,Y2,Y3,Y4……出力用データバス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像処理用の複数の機能ブロックを選択的に設定可能に有するとともに、その機能ブロック用のデータバスを選択的に設定可能に有する画像処理回路と、
前記画像処理回路における機能ブロックの設定を指示するとともに、その機能ブロックの設定に対応するデータバスの設定を少なくとも1つのデータバスについては複数の機能ブロックに兼用として指示する制御手段と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記機能ブロックは、前記入力用データバスから入力される画像データを順に処理する機能ブロックA1,A2,…Anであり、
前記データバスは、各機能ブロックの入力端および出力端が接続されるデータバスB1,B2,…Bnである、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記機能ブロックA1は、当該画像処理回路の外から前記データバスB1を介して入力される画像データを処理しながら、処理した画像データを次のデータバスB2へと逐次に出力する、
前記機能ブロックA2は、前記データバスB2に出力される画像データを取込んで処理しながら、処理した画像データを前記データバスB3により次のデータバスB3へと逐次に出力する、
前記機能ブロックAnは、前記機能ブロックA1への画像データ入力が終了した後、前記データバスBnに出力される画像データを取込んで処理しながら、処理した画像データを前記データバスB1を介して当該画像処理回路の外へと逐次に出力する、
ことを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記データバスB1,B2,…Bnにそれぞれ接続される入力用データバスX1,X2,…Xnおよび出力用データバスY1,Y2,…Yn、
をさらに備えることを特徴とする請求項2または請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記画像処理回路は、ダイナミック・リコンフィギュラブル・プロセッサである、
ことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項6】
画像処理用の複数の機能ブロックを選択的に設定可能に有するとともに、その機能ブロック用のデータバスを選択的に設定可能に有する画像処理回路を備えた画像形成装置において、
前記画像処理回路における機能ブロックの設定を指示するとともに、その機能ブロックの設定に対応するデータバスの設定を少なくとも1つのデータバスについては複数の機能ブロックに兼用として指示する、
ことを特徴とする画像形成装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−159286(P2011−159286A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−13145(P2011−13145)
【出願日】平成23年1月25日(2011.1.25)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】