説明

画像形成装置およびプログラム

【課題】節電復帰後のユーザの誤操作を防止することが可能な画像形成装置およびプログラムを提供する。
【解決手段】節電解除後にコピーボタンが押されると(時点t2)、画像形成ユニットおよび画像読取ユニットは初期化処理NTを行い、スタートボタンが押されると(時点t3)、コピー中の画像G3に切り替わり、画像読み取り処理SC1を始める。画像形成ユニットでは、ウォームアップ処理WU後に(時点t5)、印字処理PR1を行う。節電解除後の最初のコピー指示を受け付けてから次のコピー指示を受け付けるまでの間に、ユーザが意図しない2度コピーを防止するためのコピー指示受付禁止期間SKが設定される。コピー指示受付禁止期間SKの終了は、画像形成ユニット2にて印字処理PR1が可能になった時(時点t5)である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置およびプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1は、画像記録装置に適切なタイミングでスタンバイ動作を実施させ得る動作モード制御装置等を提案している。この動作モード制御装置等は、スリープモードに設定可能かつスタンバイ動作の実施により設定されたスリープモードを解除可能である画像記録装置からスタンバイ動作に必要な動作時間に関する情報を取得する出力装置情報取得部を備えている。また、動作モード制御装置等は、印刷ジョブに含まれる処理前の画像データを、印刷ジョブを処理して各ページのイメージデータを生成するイメージデータ生成装置と同期して取得し、イメージデータ生成装置が画像データを処理してイメージデータを生成するのに必要な処理時間を演算する時間演算部を備えている。また、動作モード制御装置等は、動作時間と処理時間とに基づいて、イメージデータが画像記録装置へ到達するのと略同時にスタンバイ動作が完了するように画像記録装置にスタンバイ動作の開始を指示するスタンバイ動作指示部を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−258957号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、節電機能を有する場合において、節電復帰後にはユーザの意向に応じた各種の機能を実現可能にする必要がある。節電復帰の間もない時期でのユーザによる誤操作を防止しないと、操作性が低下したり不要な複写を行ったりするおそれがある。
【0005】
本発明は、節電復帰後のユーザの誤操作を防止することが可能な画像形成装置およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、原稿の画像を読み取る画像読み取り機能、画像を形成する画像形成機能、およびユーザに通知する内容を表示する表示機能を含む複数の機能を実現可能に構成される装置本体と、前記複数の機能の中のいずれかの機能を発揮している状態である第1の電力状態と、いずれかの機能を発揮できる状態にある第2の電力状態と、いずれかの機能の消費電力が無いまたは当該第1の電力状態および当該第2の電力状態の場合よりも低い第3の電力状態とを制御する制御部と、ユーザ操作により前記画像読み取り機能および前記画像形成機能が前記第2の電力状態に遷移するための遷移信号を出力する第1の操作部と、ユーザ操作により前記画像読み取り機能および前記画像形成機能による原稿複写を開始するための複写開始信号を出力する第2の操作部と、前記複数の機能のうち前記表示機能以外の機能が前記第3の電力状態の場合に前記第1の操作部により遷移信号が出力された後に前記第2の操作部により複写開始信号が出力されると当該複写開始信号に対応して前記原稿複写の制御を行うと共に、当該原稿複写の制御が開始されてから予め定めた特定の状態であることが検出されるまでの間に当該第2の操作部により次に出力された複写開始信号に対応しないように制御する複写制御手段と、を含む画像形成装置である。
請求項2に記載の発明は、ユーザにより行われる次の原稿の準備に関する操作を検知すると信号を出力する原稿準備検知手段をさらに含み、前記複写制御手段は、前記原稿準備検知手段により信号が出力されると前記特定の状態であるとして制御を行うものであることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置である。
請求項3に記載の発明は、ユーザによって操作されると次の原稿複写の開始指示としての信号を出力する、前記第2の操作部とは別の第3の操作部をさらに含み、前記複写制御手段は、前記第3の操作部により前記信号が出力されると前記特定の状態であるとして制御を行うものであることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置である。
請求項4に記載の発明は、前記複写制御手段は、前記画像形成機能が前記第2の電力状態に遷移すると前記特定の状態であるとして制御を行うものであることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置である。
【0007】
請求項5に記載の発明は、原稿の画像を読み取る画像読み取り機能、画像を形成する画像形成機能、およびユーザに通知する内容を表示する表示機能を含む複数の機能を実現可能に構成される画像形成装置が備えるコンピュータに、前記複数の機能の中のいずれかの機能を発揮している状態である第1の電力状態と、いずれかの機能を発揮できる状態にある第2の電力状態と、いずれかの機能の消費電力が無いまたは当該第1の電力状態および当該第2の電力状態の場合よりも低い第3の電力状態とを制御する電力状態制御機能と、ユーザ操作に起因して前記画像読み取り機能および前記画像形成機能が前記第2の電力状態に遷移するための遷移信号を受け付ける第1の受付機能と、ユーザ操作に起因して前記画像読み取り機能および前記画像形成機能による原稿複写を開始するための複写開始信号を受け付ける第2の受付機能と、前記複数の機能のうち前記表示機能以外の機能が前記第3の電力状態の場合に前記第1の受付機能により遷移信号が受け付けられた後に前記第2の受付機能により複写開始信号が受け付けられると当該複写開始信号に対応して前記原稿複写の制御を行うと共に、当該原稿複写の制御が開始されてから予め定めた特定の状態であることが検出されるまでの間に当該第2の受付機能により次に受け付けられた複写開始信号に対応しないように制御する複写制御機能と、を実現させるプログラムである。
請求項6に記載の発明は、ユーザにより行われる次の原稿の準備に関する操作を検知したことを示す検知信号を受け付ける原稿準備検知機能をさらに含み、前記複写制御機能は、前記原稿準備検知機能により前記検知信号が受け付けられると前記特定の状態であるとして制御を行うものであることを特徴とする請求項5に記載のプログラムである。
請求項7に記載の発明は、ユーザによって操作されると次の原稿複写の開始指示がなされたことを示す信号を受け付ける第3の受付機能をさらに含み、前記複写制御機能は、前記第3の受付機能により前記信号が受け付けられると前記特定の状態であるとして制御を行うものであることを特徴とする請求項5に記載のプログラムである。
請求項8に記載の発明は、前記複写制御機能は、前記画像形成機能が前記第2の電力状態に遷移すると前記特定の状態であるとして制御を行うものであることを特徴とする請求項5に記載のプログラムである。
【発明の効果】
【0008】
請求項1によれば、本発明を採用しない場合に比べて、節電復帰後のユーザの誤操作を防止することが可能になる。
請求項2によれば、本発明を採用しない場合に比べて、簡易な構成で節電復帰後のユーザの誤操作を防止することが可能になる。
請求項3によれば、本発明を採用しない場合に比べて、節電復帰後のユーザの誤操作をより確実に防止することが可能になる。
請求項4によれば、本発明を採用しない場合に比べて、操作性を損なうことなく節電復帰後のユーザの誤操作を防止することが可能になる。
請求項5によれば、本発明を採用しない場合に比べて、節電復帰後のユーザの誤操作を防止することが可能になる。
請求項6によれば、本発明を採用しない場合に比べて、簡易な構成で節電復帰後のユーザの誤操作を防止することが可能になる。
請求項7によれば、本発明を採用しない場合に比べて、節電復帰後のユーザの誤操作をより確実に防止することが可能になる。
請求項8によれば、本発明を採用しない場合に比べて、操作性を損なうことなく節電復帰後のユーザの誤操作を防止することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本実施の形態が適用される画像形成装置の全体構成の一例を示した図である。
【図2】図1に示す画像形成装置の機能構成を説明するための図である。
【図3】画像形成ユニットの機能構成を説明する図である。
【図4】ファクシミリ受信があった場合の電源モード遷移の状態を示した図である。
【図5】印刷ジョブデータが受信された場合の電源モード遷移の状態を示した図である。
【図6】複写処理を行う場合の電源モード遷移の状態を示した図である。
【図7】画像形成機能部や各種制御機能部の制御部のハードウェア構成を示した図である。
【図8】第1の実施の形態に係る制御例を説明するタイムチャートである。
【図9】第2の実施の形態に係る制御例を説明するタイムチャートである。
【図10】第3の実施の形態に係る制御例を説明するタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1は、本実施の形態が適用される画像形成装置1の全体構成の一例を示した図である。同図に示す装置本体の一例としての画像形成装置1は、各色の画像データ(画像情報)に基づき画像形成を行う画像形成ユニット2と、原稿の画像を読み取って画像データを生成し画像形成ユニット2に送る画像読取ユニット3と、を備えている。画像形成ユニット2は、蓄積された画像を印刷し、画像読取ユニット3は、ユーザが指定したカラーモードや解像度に従い読み取りを実施する。画像読取ユニット3は、原稿送り装置(ADF)32および、プラテンガラスを覆う原稿台カバー34を有する。
また、画像形成装置1は、ユーザからの操作入力の受付やユーザに対する各種情報の表示を行うユーザインターフェース(UI)ユニット4と、例えば公衆電話回線を介して画像情報の送受信を行うファクシミリ(FAX)ユニット5と、を備えている。
さらに、画像形成装置1は、画像形成ユニット2の筐体内部、または画像形成ユニット2に外付けで設けられ、画像形成ユニット2に用紙を供給する給紙ユニット6と、外部記憶装置としてのメモリユニット7と、を備えている。またさらに、画像形成装置1は、画像形成装置1全体の動作や通信回線を介した通信等を制御するシステム制御(System Cont.)ユニット8と、各部に電力を供給する電力供給ユニット9と、を備えている。
【0011】
図2は、図1に示す画像形成装置1の機能構成を説明するための図である。本実施の形態では、画像形成ユニット2、画像読取ユニット3、UIユニット4、FAXユニット5、給紙ユニット6、メモリユニット7およびシステム制御ユニット8が、機内通信手段の一例である機内LAN10に接続されている。本実施の形態では、各制御機能部、画像形成機能部で構成されるユニット間を1本のバス(機内LAN10)に接続し、ユニット間の通信を実現している。この点において、各ユニット間の通信を異なる制御バスによって接続していた従来の技術とは異なる。
また、本実施の形態では、外部の機器(外部機器)とは、システム制御ユニット8を介して外部LAN12によって接続されている。
【0012】
各ユニットには、後述するような電源供給・停止状態の判断や電源供給・停止の制御を各々、実行するための制御部が設けられている。この制御部として、図2に示すように、画像形成ユニット2には制御手段の一例としての画像形成制御部92、画像読取ユニット3には制御手段の一例としての画像読取制御部93、UIユニット4には制御手段の一例としてのUI制御部94、FAXユニット5には制御手段の一例としてのFAX制御部95、給紙ユニット6には制御手段の一例としての給紙制御部96、メモリユニット7には制御手段の一例としてのメモリ制御部97、システム制御ユニット8には制御手段の一例としてのシステム制御ユニット制御部98が設けられている。
このような制御部としては、例えばCPU(Central Processing Unit)およびASIC(Application Specific IC。特定用途向け集積回路)により構成することが考えられる。
【0013】
また、画像形成ユニット2には、画像の拡大・縮小や圧縮・非圧縮、画質調整、画像編集等の画像処理に係わる処理を行う画像処理部120が設けられている。
また、画像読取ユニット3は、原稿送り装置(ADF)32(図1参照)への原稿(複写すべき用紙)の設置によりユーザによる原稿の準備を検知する原稿準備検知手段の一例としての原稿検知センサ130が設けられている。また、UIユニット4には、後述する電源モードをユーザが変更するための節電ボタン140が設けられている。節電ボタン140にて節電への遷移・復帰をユーザが明示的に指示することが可能である。また、UIユニット4には、第1の操作部の一例としてのコピーボタン142が設けられ、また、不図示の他のボタン例えばスキャンボタン、ファックス送信ボタン等が設けられている。なお、これらUIユニット4のボタンは、画像を表示する画面に透明のタッチパネルを配置することにより、配置することも考えられる。
なお、原稿検知センサ130は、原稿台カバー34の開閉が行われることによりユーザによる原稿の準備を検知するように構成することも考えられる。この場合には、そのような検知機構が、原稿準備検知手段の一例となる。
【0014】
メモリユニット7には、回転機構を有し、回転機構により回転して画像を記憶する第1の記憶媒体としてのハードディスクドライブ(HDD)170と、回転機構を有しない第2の記憶媒体としての不揮発性メモリ(NVM(Non Volatile Memory))172と、HDD170への転送前や画像処理部120にて処理前の画像ワークエリアとして使用されるRAM(Random Access Memory)174と、が設けられている。ハードディスクドライブ170は、磁性体を塗布した円盤を回転駆動し、この円盤に磁気ヘッドを用いてデータを書き込みまたは読み出しを行う記憶装置である。不揮発性メモリ172は、データの書き換えと電源を切った後のデータ保持が可能であり、例えば、フラッシュメモリ、EEPROM(Electronically Erasable and Programmable Read Only Memory)などを用いることができる。不揮発性メモリ172は、システムにて設定された情報を記憶するためのものであり、また、枠エリアサイズ等を記憶する。
また、システム制御ユニット8には、ユーザによって操作されると画像形成機能を発揮させるための信号を出力する第2の操作部の一例としてのスタートボタン180が設けられている。このスタートボタン180は、システム制御ユニット制御部98とホットラインで接続されている。すなわち、このスタートボタン180は、システム制御に関する実行をシステム制御ユニット制御部98に対して直接的に要求するためのキーであり、そのため、ホットキーと同様であると考えることができる。
【0015】
また、画像形成装置1の画像形成ユニット2および他のユニット(画像読取ユニット3、UIユニット4、FAXユニット5、給紙ユニット6、メモリユニット7およびシステム制御ユニット8)には電力ライン11が接続されており、この電力ライン11に接続されている電力供給ユニット9を介して電力が供給される。電力供給ユニット9は、常夜電源として、予め定めた電圧(24V)の電力を常に供給する。
【0016】
画像形成機能部である画像形成ユニット2、各種制御機能部である画像読取ユニット3、UIユニット4、FAXユニット5、給紙ユニット6、メモリユニット7およびシステム制御ユニット8は、電源モードの制御が可能な単位である。例えば、
(i)システム・スリープ時の電源オフ(OFF)、
(ii)スタンバイ時の電力5V、
(iii)ジョブ実行時の電力24V
などの電源モードをもって制御する。これら電源モードの制御では、画像形成機能部、各種制御機能部自身がシステム状態、もしくは、適切な時間経過を判断して、電源モードを遷移させる。すなわち、画像形成ユニット2の画像形成制御部92、各種制御機能部(画像読取ユニット3、UIユニット4、FAXユニット5、給紙ユニット6、メモリユニット7、システム制御ユニット8)の制御部(画像読取制御部93、UI制御部94、FAX制御部95、給紙制御部96、メモリ制御部97、システム制御ユニット制御部98)は、機内通信手段(機内LAN10)を介して得られる情報から自身の電源供給・停止状態を自ら判断し、電力供給手段である電力供給ユニット9からの電源供給・停止の制御を自ら実施している。したがって、画像形成制御部92および制御部(画像読取制御部93、UI制御部94、FAX制御部95、給紙制御部96、メモリ制御部97、システム制御ユニット制御部98)は、機内通信手段(機内LAN10)を介して送信される情報を取得する情報取得手段としても機能する。
【0017】
なお、このような電源供給・停止の制御は、各ユニットの間で行われる他、この各ユニットを構成するユニット内の各デバイス(各構成要素)の間においても実行される。すなわち、各ユニットを構成する各デバイスは、各デバイス間を接続するユニット内LANに各々、接続されている。そして、各デバイスに設けられた制御部によって、自身の電源供給・停止状態を自ら判断し、電源供給・停止の制御を自ら実施するように構成することが可能である。
【0018】
付言すると、画像形成ユニット2、画像読取ユニット3、FAXユニット5が自らの判断で遷移する状態として、第3の電力状態としての電源オフ状態、第2の電力状態としての5Vのオン状態、第1の電力状態としての24Vのオン状態の3状態がある。また、UIユニット4が自らの判断で遷移する状態として、第3の電力状態としての電源オフ状態、第2の電力状態としてのLEDのオフ状態、第1の電力状態としての24Vのオン状態の3状態がある。
さらに、システム制御ユニット8の電源遷移状態として、第3の電力状態としての電源オフ状態、第3の電力状態としてのCPUオフ状態、第2の電力状態としての5Vのオン状態、第1の電力状態としての24Vのオン状態の4状態がある。このCPUオフ状態とは、待機状態にてCPUをオフする状態をいう。
以下具体的に説明する。
【0019】
〔各ユニット内の説明〕
各ユニット内で行われる電源供給・停止の制御について、画像形成ユニット2を代表例として説明する。
図3は、画像形成ユニット2の機能構成を説明する図である。画像形成機能部である画像形成ユニット2は、各色の画像データに基づき画像形成処理を行っている。図3に示す画像形成ユニット2は、ユニット内LAN21に、各デバイスの制御部として各種制御部22が接続されている。この各種制御部22としては、電子写真方式の画像形成処理を制御する帯電制御部、露光制御部、現像制御部、転写制御部、定着制御部などがある。これらの各種制御部22は、機構部23の各種機構(デバイス)を制御する。より具体的には、各種制御部22は、メカトロニクスI/O(IN/OUT)を介して、機構部23に配置されたモータやソレノイド、クラッチなどのデバイスの動作を制御している。また、機構部23に配置された感光体ドラムを帯電する際の帯電器や、感光体ドラムを露光するレーザ露光器などのデバイスに供給するプロセス設定値を制御している。
【0020】
また、ユニット内LAN21には、画像形成制御部92が接続されている。画像形成制御部92は、画像形成制御部92を制御するCPU921と、機内LAN10に接続され、機内LAN10から得られるコマンドにフィルタリングをかけるコマンドフィルタ922とを有している。例えば機内LAN10にて、画像形成ユニット2が処理すべき内容であることを示すコマンドが付された情報がブロードキャストされた際に、コマンドフィルタ922にてこのコマンドを選別する。電力供給ユニット9から電力ライン11を介して提供される常夜電源(例えば5V)は、このLANコマンドを検知するコマンドフィルタ922だけに供給されるように構成すれば、待機状態にてCPU921をオフすることもでき、更なる省電力化が図られる。
【0021】
また、画像形成ユニット2などの各ユニットには、そのユニット内の電源部を有している。図3に示す画像形成ユニット2には画像形成電源部25が設けられており、画像形成制御部92の制御下で動作する。更に、各ユニットには、ユニット内の電源部から各制御部に電力が供給されており、図3に示す画像形成ユニット2には、この画像形成電源部25からのスタンバイ電力(5V)を各種制御部22に提供する制御用電力ライン26が設けられている。また、画像形成ユニット2には、画像形成電源部25からの稼働電力(24V)を機構部23に提供する稼働電力ライン27が設けられている。
【0022】
〔電源モード遷移の動作説明〕
次に、画像形成機能部および制御機能部、統合制御機能部の動作について説明する。
図4〜図6では、3つの異なるモードについて、画像形成ユニット2、画像読取ユニット3、FAXユニット5、UIユニット4、およびシステム制御ユニット8の電源モード遷移の状態を説明している。各ユニットでは、各ユニットの個別の判断で電源モードを遷移し、各ユニットの機能に応じた節電状態を維持する。この例では、画像形成ユニット2、画像読取ユニット3、FAXユニット5が自らの判断で遷移する状態として、電源オフ状態、5Vのオン状態、24Vのオン状態の3状態が示されている。また、UIユニット4が自らの判断で遷移する状態として、電源オフ状態、LEDのオフ状態、24Vのオン状態の3状態が示されている。更に、システム制御ユニット8の電源遷移状態として、電源オフ状態、CPUオフ状態、5Vのオン状態、24Vのオン状態の4状態が示されている。
【0023】
〔ファクシミリ受信があった場合の電源モード遷移〕
まず、図4は、ファクシミリ受信があった場合の電源モード遷移の状態を示した図である。
図に示す「電源オン(ON)」は、例えば画像形成装置1の全体のスイッチ(メインスイッチ)がオフからオンされた状態であり、各ユニットは電源オンにより初期化処理を開始する。
【0024】
図に示す「レディ(Ready)」状態は、システム全体として、プリントや複写、ファクシミリ、スキャナ等の各種の画像処理動作が実行可能な状態であり、各ユニットの初期化処理が終了した状態である。画像形成ユニット2、画像読取ユニット3、FAXユニット5、UIユニット4の各ユニットは、各々が初期化処理を行い、初期化処理の終了後、機内LAN10を介して、初期化処理を終了してレディ状態になったことを示すコマンドをブロードキャストする。システム制御ユニット8は、各ユニットがレディ状態となったことを認識し、必要に応じて、例えば外部機器に対して「画像形成装置1がレディ状態にある」旨の情報を提供する。尚、「レディ状態」では、初期化が完了した時点で、直ぐに稼働することが必要ではないユニットは、自らの判断で電源レベルを低いレベルに落とし、節電を行う。その後に稼働の必要のないユニットにおいては、自ら積極的に非稼働とすることで、良好な節電状態を維持する。
尚、「ブロードキャスト」とは、機内LAN10を介して機内LAN10に接続されたすべてのユニットにコマンドが付された情報を送信することをいう。
【0025】
図の「節電モード」は、ユーザから認識できる節電状態として、レディ状態になった後に例えば予め定めた時間を経過しても画像情報の入力がない場合に、UIユニット4およびシステム制御ユニット8が節電モードに移行した状態である。UIユニット4のパネルの照明も消えて(LEDオフ(OFF)状態)、システム制御ユニット8のシステム制御ユニット制御部98がオフしている状態(CPUオフ(OFF)状態)である。ただし、システム制御ユニット8では、外部LAN12を介した外部機器からの印刷ジョブデータの受信やUIユニット4でのユーザからの操作入力などを監視する機能部(ASIC)が節電モードにおいてもオンされている。そして、ASICは、印刷ジョブデータの受信やユーザからの操作入力などがあった場合に、システム制御ユニット制御部98をCPUオフ状態から5Vのオン状態に移行させる。
尚、システム制御ユニット8以外の他の各ユニットの電源オフ(OFF)状態は、外部の割込によって起動することが可能である状態である。
【0026】
図2および図4を参照しながら更に詳述する。
まず、電力供給ユニット9から電力ライン11を介して電源がオンされ、画像形成装置1がシステム起動されると、初期化処理が必要なユニットは、自身が初期化するのにユニットの機能に応じた電源モードにより初期化処理を行う。このとき、例えば、初期化処理を行うに際して各ユニット相互を同期させることが必要となる場合には、各ユニットから必要なステータスを取得するために、システム制御ユニット8は各ユニットとの間の通信を行う。しかし、基本的には、本実施の形態の各ユニットは独立して初期化処理を行う。そのため、電源がオンされると、画像形成ユニット2、画像読取ユニット3、UIユニット4、FAXユニット5、およびシステム制御ユニット8は、電源オフの状態から、24V電源オンの状態へ遷移する。図4には示していないが、給紙ユニット6、メモリユニット7も同様である。そして、この電源状態にて、各ユニットは、初期化処理を実行する。より具体的には、各ユニットは、フルパワーで初期化処理を実行し、初期化処理に必要な時間の経過後に初期化処理を完了する行為と、初期化処理の完了後の予め定めた時間の経過後に電源レベルをフルパワー状態よりも低いレベルに落としたモードに移行する行為とを各ユニット自らの判断により行う。
【0027】
すなわち、画像形成ユニット2の画像形成制御部92は、自らの判断により、自らの基準に基づき、初期化処理中に24Vのオン状態から5Vのオン状態へと移行する。画像形成ユニット2では、画像形成ユニット2に設けられたデバイスの初期化処理は比較的短い時間で完了する。そのため、初期化処理中にデバイスでの初期化処理が完了した時点で、画像形成ユニット2のデバイスが全体で稼働するために必要な24Vのオン状態から、画像形成ユニット2をコントロールする部分であるCPU等が稼働していなければならない5Vのオン状態へと移行する。
そして、画像形成制御部92は、初期化処理を完了しレディ状態に移行した後、自らの判断により、自らの基準に基づき、5Vのオン状態から電源オフ状態へと移行する。
【0028】
また、画像読取ユニット3は、初期化処理に際して画像読取ユニット3に設けられたデバイスでの各種設定処理に時間がかかることから、デバイス全体が稼働するために必要な24Vのオン状態で初期化を終了する。そして、初期化処理を完了しレディ状態に移行した後、画像読取ユニット3の画像読取制御部93による自らの判断で、自らの基準に基づき、5Vのオン状態へと移行する。この5Vのオン状態を設けることで、例えば、この間に複写指示や画像読取指示があった場合に通信の初期化に要する時間を削減し、ユーザに対してアウトプットの提供をより迅速に行う。5Vのオン状態の後には、画像読取制御部93による自らの判断で、自らの基準に基づき、電源オフ状態へと移行する。
【0029】
FAXユニット5は、24Vのオン状態で初期化を終了する。そして、FAXユニット5のFAX制御部95は、初期化処理を完了しレディ状態に移行した後、自らの判断で、自らの基準により、特別に5Vのオン状態の期間を設けずに、24Vのオン状態から電源オフ状態へと移行する。
【0030】
UIユニット4は、初期化処理を完了しレディ状態に移行した後も、画像読取ユニット3やFAXユニット5に比べて更に長い時間の間、UI制御部94による自らの判断で24Vのオン状態を維持する。これは、例えば複写指示などのユーザ入力がなされる場合を考慮し、そのときの立ち上げ時間を短くして、即座に処理動作に移行できるようにするためである。その後、一旦、5Vのオン状態へと移行した後、UI制御部94による自らの判断で、自らの基準に基づき、電源オフ状態へと移行する。
【0031】
システム制御ユニット8においても、上記のUIユニット4の24Vのオン状態と同様に、初期化処理を完了しレディ状態に移行した後も、システム制御ユニット制御部98による自らの判断で、一定時間、24Vのオン状態を維持する。それにより、ユーザによる画像処理指示などの各種指示に対して即座に処理が開始できる状態を維持する。その後、一旦、5Vのオン状態へと移行した後、システム制御ユニット制御部98による自らの判断で、自らの基準に基づき、CPUオフ状態へと移行する。
【0032】
図4に示したように、節電モードへ移行した後にFAXユニット5が着呼を検知した場合、FAXユニット5では、FAX制御部95が電源オフ状態から5Vのオン状態へと移行する。それにより、FAX制御部95は、ファクシミリデータの受信を行うに際しての通信速度やデータ形式等の情報を送信先との間でやり取りする通信ネゴシエーションを行う。FAX制御部95は、通信ネゴシエーションを完了すると、FAXユニット5の電源モードを5Vのオン状態から24Vのオン状態へと移行させ、FAXユニット5の機構部をオンする。それにより、FAXユニット5は、ファクシミリデータの受信を開始する。
【0033】
FAX制御部95は、ファクシミリデータの受信を開始すると、ファクシミリデータによって得られた情報から、ファクシミリデータが例えばメモリユニット7に設けられた親展ボックス等に記憶しておくものであるか、または、画像形成ユニット2にて直ちに画像形成するものであるかを判別する。そして、この判別の結果に対応したコマンドを機内LAN10を介して他の各ユニットにブロードキャストする。具体的には、FAX制御部95は、メモリユニット7に設けられた親展ボックス等に記憶することを指示するコマンドや、画像形成ユニット2にて画像形成することを指示するコマンドを機内LAN10を介して他の各ユニットにブロードキャストする。
尚、図4の例では、FAX制御部95がファクシミリデータに関する画像形成を行うことを指示するコマンド(画像形成コマンド)をブロードキャストした場合を示している。
【0034】
ブロードキャストとして画像形成コマンドを機内LAN10から受信した各ユニットでは、自らの判断で、電源モードを設定する。
具体的には、システム制御ユニット8では、FAXユニット5からの画像形成コマンドを受けると、上記のASICが、システム制御ユニット制御部98をCPUオフ状態から5Vのオン状態に移行させる。そして、システム制御ユニット制御部98は、FAXユニット5からの画像形成コマンドを認識して、システム制御ユニット8の電源モードを24Vのオン状態に移行させる。それにより、システム制御ユニット8は、FAXユニット5が受信したファクシミリデータ(画像データ)を例えばシステム制御ユニット8内のフラッシュメモリに蓄積する処理を開始する。それとともに、システム制御ユニット制御部98は、蓄積したファクシミリデータ(画像データ)の画像形成処理(ジョブ)を開始することを示すコマンド(ジョブ開始コマンド)を機内LAN10を介して他の各ユニットにブロードキャストする。
【0035】
画像形成ユニット2では、システム制御ユニット8からのジョブ開始コマンドを受けると、画像形成制御部92は、画像形成ユニット2の電源モードを電源オフ状態から24Vのオン状態へと移行させる。それにより、画像形成ユニット2の機構部23(図3参照)をオンして、画像形成の準備動作を開始(ジョブ開始)する。具体的には、機構部23に含まれる定着部を定着可能状態に設定するウォームアップ処理を開始する。そして、定着部のウォームアップ処理が完了すると、画像形成制御部92は、ウォームアップ処理が完了したことを通知するコマンド(ウォームアップ完了通知コマンド)を機内LAN10を介して他の各ユニットにブロードキャストする。
システム制御ユニット8では、画像形成ユニット2からのウォームアップ完了通知コマンドを受けると、システム制御ユニット制御部98は、蓄積した画像データを画像形成ユニット2に転送する。
それにより、画像形成ユニット2は、システム制御ユニット8から取得した画像データに基づく画像形成(プリント)を開始する。
図4には示していないが、給紙ユニット6においても同様の経緯を経て、用紙を供給する動作を開始する。
この場合に、画像形成制御部92および給紙ユニット6の給紙制御部96は、画像形成動作を開始したことを通知するコマンド(画像形成開始通知コマンド)を機内LAN10を介して他の各ユニットにブロードキャストする。
【0036】
これに対し、画像読取ユニット3では、FAXユニット5からの画像形成コマンドやシステム制御ユニット8からのジョブ開始コマンドに対応する動作を行う必要がない。そのため、画像読取ユニット3は、電源モードを電源オフ状態のままに維持する。
UIユニット4でも、FAXユニット5からの画像形成コマンドやシステム制御ユニット8からのジョブ開始コマンドに対応する動作を行う必要がない。そのため、UIユニット4は、電源モードを電源オフ状態のままに維持する。
【0037】
ところで、プリントを開始した画像形成ユニット2内および給紙ユニット6内において、画像形成ユニット2に設けられた制御部(各種制御部22)や給紙ユニット6に設けられた制御部が、画像形成ユニット2を構成する各デバイス(機構部23)や給紙ユニット6を構成する各デバイス、および制御部自身の電源供給・停止状態を自ら判断し、各デバイスおよび制御部自身への電源供給・停止の制御を自ら実施するように構成してもよい。
例えば、画像形成ユニット2を例に述べると、画像形成ユニット2は、デバイスとして、各色トナー像が形成される感光体ドラムを帯電する帯電器、感光体ドラムを露光するレーザ露光器、感光体ドラムに形成された潜像を現像する現像器を備えている。さらに画像形成ユニット2は、各感光体ドラムにて形成された各色トナー像を中間転写部材に順次転写(一次転写)する一次転写器、中間転写部材上の各色トナー像を用紙に一括転写(二次転写)する二次転写器、各色トナー像を用紙上に定着する定着器を備えている。ところが、これらのデバイスの中には、画像形成動作中において常時動作状態にある必要がないデバイスも多くある。そこで、各デバイスの制御部としての各種制御部22(帯電制御部、露光制御部、現像制御部、転写制御部、定着制御部など)は、例えばシステム制御ユニット8からジョブ開始コマンドを取得した場合に、自身が制御するデバイスを動作させるべきタイミング(動作タイミング)をデバイス毎に算出する。そして、各種制御部22がそれぞれの動作タイミングに従って、自身の電源供給・停止や自身が制御するデバイスの電源供給・停止を自ら制御する。それにより、各種制御部22および各デバイスには動作すべきタイミングで電源供給が行われるので、デバイス単位での省電力化が図られる。
【0038】
FAXユニット5に戻り、FAXユニット5がファクシミリデータの受信を完了すると、FAX制御部95は、FAXユニット5の電源モードを24Vのオン状態から5Vのオン状態へと移行させる。それにより、FAXユニット5の機構部への電力をオフするが、予め定めた時間の間、FAX制御部95の稼働状態を維持する。その間、次のファクシミリデータの待ち受け状態を維持する。また、FAX制御部95は、ファクシミリデータの受信を完了したことを通知するコマンド(受信完了通知コマンド)を機内LAN10を介して他の各ユニットにブロードキャストする。
システム制御ユニット8は、FAXユニット5からの受信完了通知コマンドを受けると、システム制御ユニット制御部98はFAXユニット5からの受信完了通知コマンドを認識して、FAXユニット5にて受信したファクシミリデータの蓄積処理を完了する。しかし、システム制御ユニット8は、その後において、蓄積したファクシミリデータを画像形成ユニット2に転送する処理を継続する必要がある。また、画像形成ユニット2および給紙ユニット6からの画像形成開始通知コマンドにより画像形成ユニット2や給紙ユニット6にて画像形成動作が行われていることを認識している。そのため、システム制御ユニット制御部98は、ファクシミリデータの転送処理や画像形成装置1全体の動作監視処理等を行うために、24Vのオン状態を維持する。
【0039】
画像形成ユニット2に戻り、画像形成ユニット2がプリントを完了すると、画像形成制御部92は、画像形成ユニット2の電源モードを24Vのオン状態から5Vのオン状態へと移行させる。それにより、画像形成ユニット2の機構部23への電力をオフするが、予め定めた時間の間、画像形成制御部92の稼働状態を維持する。その間、次のファクシミリデータ等を含む各種画像データの入力を待ち受ける状態を維持する。それとともに、画像形成制御部92は、プリントを完了したことを通知するコマンド(画像形成完了通知コマンド)を機内LAN10を介して他の各ユニットにブロードキャストする。そして、予め定めた時間の経過の後も画像データの入力がなければ、画像形成制御部92への電力もオフされ、画像形成ユニット2は、電源オフ状態に移行する。
なお、図4には示していないが、給紙ユニット6も同様である。
【0040】
システム制御ユニット8では、画像形成ユニット2からの画像形成完了通知コマンドを受けると、システム制御ユニット制御部98は、予め定めた時間の間、24Vのオン状態を維持した後、システム制御ユニット8の電源モードを24Vのオン状態から5Vのオン状態へと移行させる。それにより、システム制御ユニット8の機構部への電力をオフするが、予め定めた時間の間、システム制御ユニット制御部98の稼働状態を維持する。その間、機内LAN10を介して各ユニットからブロードキャストされるコマンドの入力を待ち受ける状態を維持する。そして、予め定めた時間の経過の後も各ユニットからのコマンドの入力がなければ、画像形成装置1への画像情報(各種画像データ)の入力がないと判定されるので、システム制御ユニット制御部98は、CPUオフ状態へ移行して、節電モードを設定する。
【0041】
〔印刷ジョブデータが受信された場合の電源モード遷移〕
図5は、印刷ジョブデータが受信された場合の電源モード遷移の状態を示した図である。
印刷ジョブデータが受信された場合においても、電力供給ユニット9から電力ライン11を介して電源がオンされ、画像形成装置1がシステム起動されてから、節電モードへ移行するまでの各ユニットの電源モードの遷移は、図4のファクシミリ受信があった場合と同様である。
【0042】
図5に示したように、節電モードへ移行した後に、システム制御ユニット8が外部LAN12を介して外部機器から印刷ジョブデータの送信を受け付けると、システム制御ユニット8に設けられた上記のASICは、システム制御ユニット制御部98をCPUオフ状態から5Vのオン状態に移行させる。そして、システム制御ユニット制御部98は、外部機器との間で通信ネゴシエーションを開始する。
システム制御ユニット制御部98は、外部機器との通信が確立すると、電源モードを5Vのオン状態から24Vのオン状態へと移行させる。それにより、システム制御ユニット8の通信機構部を含む機構部をオンにする。そして、通信機構部は、印刷ジョブデータの受信を開始し、印刷ジョブデータを例えばシステム制御ユニット8内のフラッシュメモリに蓄積する処理を開始する。
通信機構部が印刷ジョブデータの蓄積処理を開始し、その後予め定めたデータ量の印刷ジョブデータを蓄積すると、システム制御ユニット制御部98は、蓄積した印刷ジョブデータ(画像データ)の画像形成処理(ジョブ)を開始することを示すコマンド(ジョブ開始コマンド)を機内LAN10を介して他の各ユニットにブロードキャストする。
【0043】
ブロードキャストされたジョブ開始コマンドを機内LAN10から受信した各ユニットでは、自らの判断で、電源モードを設定する。
具体的には、画像形成ユニット2では、システム制御ユニット8からのジョブ開始コマンドを受けると、画像形成制御部92は、画像形成ユニット2の電源モードを電源オフ状態から24Vのオン状態へと移行させる。それにより、画像形成ユニット2の機構部23(図3参照)をオンして、画像形成の準備動作を開始(ジョブ開始)し、機構部23に含まれる定着部を定着可能状態に設定するウォームアップ処理を開始する。そして、定着部のウォームアップ処理が完了すると、画像形成制御部92は、ウォームアップ処理が完了したことを通知するコマンド(ウォームアップ完了通知コマンド)を機内LAN10を介して他の各ユニットにブロードキャストする。
システム制御ユニット8では、画像形成ユニット2からのウォームアップ完了通知コマンドを受けると、システム制御ユニット制御部98は、蓄積した画像データを画像形成ユニット2に転送する。
それにより、画像形成ユニット2は、システム制御ユニット8から取得した画像データに基づく画像形成(プリント)を開始する。
図4には示していないが、給紙ユニット6においても同様の経緯を経て、用紙を供給する動作を開始する。
この場合に、画像形成制御部92および給紙ユニット6の給紙制御部96は、画像形成動作を開始したことを通知するコマンド(画像形成開始通知コマンド)を機内LAN10を介して他の各ユニットにブロードキャストする。
【0044】
それに対して、画像読取ユニット3では、システム制御ユニット8からのジョブ開始コマンドおよび画像形成ユニット2からのウォームアップ完了通知コマンドに対応する動作を行う必要がない。そのため、画像読取ユニット3は、電源モードを電源オフ状態のままに維持する。
UIユニット4でも、システム制御ユニット8からのジョブ開始コマンドおよび画像形成ユニット2からのウォームアップ完了通知コマンドに対応する動作を行う必要がない。そのため、UIユニット4は、電源モードを電源オフ状態のままに維持する。
さらにFAXユニット5でも、システム制御ユニット8からのジョブ開始コマンドおよび画像形成ユニット2からのウォームアップ完了通知コマンドに対応する動作を行う必要がない。そのため、FAXユニット5は、電源モードを電源オフ状態のままに維持する。
【0045】
ここで、プリントを開始した画像形成ユニット2内および給紙ユニット6内において、画像形成ユニット2に設けられた制御部(各種制御部22)や給紙ユニット6に設けられた制御部が、画像形成ユニット2を構成する各デバイス(機構部23)や給紙ユニット6を構成する各デバイス、および制御部自身の電源供給・停止状態を自ら判断し、各デバイスおよび制御部自身への電源供給・停止の制御を自ら実施するように構成してもよい。
【0046】
画像形成ユニット2がプリントを完了すると、画像形成制御部92は、画像形成ユニット2の電源モードを24Vのオン状態から5Vのオン状態へと移行させる。それにより、画像形成ユニット2の機構部23への電力をオフするが、予め定めた時間の間、画像形成制御部92の稼働状態を維持する。その間、次の印刷ジョブデータ等を含む各種画像データの入力を待ち受ける状態を維持する。それとともに、画像形成制御部92は、プリントを完了したことを通知するコマンド(画像形成完了通知コマンド)を機内LAN10を介して他の各ユニットにブロードキャストする。そして、予め定めた時間の経過の後も画像データの入力がなければ、画像形成制御部92への電力もオフされ、画像形成ユニット2は、電源オフ状態に移行する。
なお、図5には示していないが、給紙ユニット6も同様である。
【0047】
システム制御ユニット8では、画像形成ユニット2からの画像形成完了通知コマンドを受けると、システム制御ユニット制御部98は、予め定めた時間の間、24Vのオン状態を維持した後、システム制御ユニット8の電源モードを24Vのオン状態から5Vのオン状態へと移行させる。それにより、システム制御ユニット8の機構部への電力をオフするが、予め定めた時間の間、システム制御ユニット制御部98の稼働状態を維持する。その間、機内LAN10を介して各ユニットからブロードキャストされるコマンドの入力を待ち受ける状態を維持する。そして、予め定めた時間の経過の後も各ユニットからのコマンドの入力がなければ、画像形成装置1への画像情報(各種画像データ)の入力がないと判定されるので、システム制御ユニット制御部98は、CPUオフ状態へ移行して、節電モードを設定する。
【0048】
〔複写処理を行う場合の電源モード遷移〕
図6は、複写処理を行う場合の電源モード遷移の状態を示した図である。
複写処理を行う場合においても、電力供給ユニット9から電力ライン11を介して電源がオンされ、画像形成装置1がシステム起動されてから、節電モードへ移行するまでの各ユニットの電源モードの遷移は、図4のファクシミリ受信があった場合や図5の印刷ジョブデータが受信された場合と同様である。
【0049】
図6に示したように、節電モードへ移行した後に、画像読取ユニット3に設けられた原稿送り装置(ADF)への原稿の設置またはプラテンガラスを覆う原稿台カバーの開閉が行われると(原稿検知)、画像読取ユニット3は5Vのオン状態に移行する。そして、画像読取ユニット3の画像読取制御部93は、原稿の設置を検出したことを示すコマンド(原稿検出コマンド)を機内LAN10を介して他の各ユニットにブロードキャストする。
【0050】
ブロードキャストとして原稿検出コマンドを機内LAN10から受信した各ユニットでは、自らの判断で、電源モードを設定する。
具体的には、UIユニット4では、画像読取ユニット3からの原稿検出コマンドを受けると、UIユニット4は電源オフ状態から24Vのオン状態へと移行する。それにより、UI制御部94およびUIユニット4の機構部をオンして、ユーザがコピー開始ボタン(スタートボタン)を押下することに備える。
システム制御ユニット8では、画像読取ユニット3からの原稿検出コマンドを受けると、システム制御ユニット8に設けられた上記のASICは、システム制御ユニット制御部98をCPUオフ状態から5Vのオン状態に移行させる。それにより、システム制御ユニット8は、コピー動作の開始に備える。
【0051】
これに対し、FAXユニット5では、画像読取ユニット3からの原稿検出コマンドに対応する動作を行う必要がない。そのため、FAXユニット5は、電源モードを電源オフ状態のままに維持する。
また、画像形成ユニット2では、画像読取ユニット3からの原稿検出コマンドを受けた時点にて原稿検出コマンドに対応する動作を行う必要がない。そのため、画像形成ユニット2は、電源モードを電源オフ状態のままに維持する。図6には示していないが、給紙ユニット6も同様である。
【0052】
引き続いて、ユーザがUIユニット4のスタートボタンを押下すると、UIユニット4は、スタートボタンが押下されたことを通知するコマンド(ボタン押下コマンド)を機内LAN10を介して他の各ユニットにブロードキャストする。
システム制御ユニット8では、UIユニット4からのボタン押下コマンドを受けると、システム制御ユニット制御部98は、電源モードを5Vのオン状態から24Vのオン状態へと移行させる。それにより、システム制御ユニット8の機構部をオンにする。そして、複写処理(ジョブ)を開始することを示すコマンド(ジョブ開始コマンド)を機内LAN10を介して他の各ユニットにブロードキャストする。
【0053】
画像形成ユニット2では、システム制御ユニット8からのジョブ開始コマンドを受けると、画像形成ユニット2は、電源モードを電源オフ状態から24Vのオン状態へと移行させる。それにより、画像形成ユニット2の機構部23(図3参照)をオンして、画像形成の準備動作を開始(ジョブ開始)し、機構部23に含まれる定着部を定着可能状態に設定するウォームアップ処理を開始する。そして、定着部のウォームアップ処理が完了すると、画像形成制御部92は、ウォームアップ処理が完了したことを通知するコマンド(ウォームアップ完了通知コマンド)を機内LAN10を介して他の各ユニットにブロードキャストする。
また、画像読取ユニット3では、システム制御ユニット8からのジョブ開始コマンドを受けると、画像読取制御部93は、画像読取ユニット3を5Vのオン状態から24Vのオン状態に移行する。それにより、画像読取ユニット3の機構部をオンする。そして、画像形成ユニット2からのウォームアップ完了通知コマンドを待ち受ける。
そして、画像読取ユニット3では、画像形成ユニット2からのウォームアップ完了通知コマンドを受けると、画像読取制御部93は、原稿の読取を開始する。さらに、画像読取制御部93は、原稿の読取を開始したことを示すコマンド(原稿読取開始コマンド)を機内LAN10を介して他の各ユニットにブロードキャストする。
【0054】
システム制御ユニット8では、画像読取ユニット3からの原稿読取開始コマンドを受けると、システム制御ユニット制御部98は、画像読取ユニット3から送信された画像データの蓄積処理を開始する。そして蓄積処理を開始した後、予め定めたデータ量の画像データを蓄積すると、システム制御ユニット制御部98は、蓄積した画像データを画像形成ユニット2に転送する。
それにより、画像形成ユニット2は、システム制御ユニット8から取得した画像データに基づく画像形成(プリント)を開始する。
図6には示していないが、給紙ユニット6においても同様の経緯を経て、用紙を供給する動作を開始する。
この場合に、画像形成制御部92および給紙ユニット6の給紙制御部96は、画像形成動作を開始したことを通知するコマンド(画像形成開始通知コマンド)を機内LAN10を介して他の各ユニットにブロードキャストする。
【0055】
ここで、プリントを開始した画像形成ユニット2内および給紙ユニット6内において、画像形成ユニット2に設けられた制御部(各種制御部22)や給紙ユニット6に設けられた制御部が、画像形成ユニット2を構成する各デバイス(機構部23)や給紙ユニット6を構成する各デバイス、および制御部自身の電源供給・停止状態を自ら判断し、各デバイスおよび制御部自身への電源供給・停止の制御を自ら実施するように構成してもよい。
【0056】
画像読取ユニット3に戻り、画像読取ユニット3が原稿の読取を完了すると、画像読取制御部93は、画像読取ユニット3の電源モードを24Vのオン状態から5Vのオン状態へと移行させる。それにより、画像読取ユニット3の機構部への電力をオフするが、予め定めた時間の間、画像読取制御部93の稼働状態を維持する。その間、次の原稿の読取を待ち受ける状態を維持する。また、画像読取制御部93は、原稿の読取を完了したことを通知するコマンド(読取完了通知コマンド)を機内LAN10を介して他の各ユニットにブロードキャストする。
システム制御ユニット8は、画像読取ユニット3からの読取完了通知コマンドを受けると、システム制御ユニット制御部98は、画像読取ユニット3からの読取完了通知コマンドを認識して、画像読取ユニット3からの画像データの蓄積処理を完了する。しかし、システム制御ユニット8は、その後において、蓄積した画像データを画像形成ユニット2に転送する処理を継続する必要がある。また、画像形成ユニット2および給紙ユニット6からの画像形成開始通知コマンドにより画像形成ユニット2や給紙ユニット6にて画像形成動作が行われていることを認識している。そのため、システム制御ユニット制御部98は、蓄積した画像データの転送処理や画像形成装置1全体の動作監視処理等を行うために、24Vのオン状態を維持する。
【0057】
画像形成ユニット2がプリントを完了すると、画像形成制御部92は、画像形成ユニット2の電源モードを24Vのオン状態から5Vのオン状態へと移行させる。それにより、画像形成ユニット2の機構部23への電力をオフするが、予め定めた時間の間、画像形成制御部92の稼働状態を維持する。その間、次の画像読取ユニット3からの画像データ等を含む各種画像データの入力を待ち受ける状態を維持する。それとともに、画像形成制御部92は、プリントを完了したことを通知するコマンド(画像形成完了通知コマンド)を機内LAN10を介して他の各ユニットにブロードキャストする。そして、予め定めた時間の経過の後も画像データの入力がなければ、画像形成制御部92への電力もオフされ、画像形成ユニット2は、電源オフ状態に移行する。
なお、図6には示していないが、給紙ユニット6も同様である。
【0058】
システム制御ユニット8では、画像形成ユニット2からの画像形成完了通知コマンドを受けると、システム制御ユニット制御部98は、予め定めた時間の間、24Vのオン状態を維持した後、システム制御ユニット8の電源モードを24Vのオン状態から5Vのオン状態へと移行させる。それにより、システム制御ユニット8の機構部への電力をオフするが、予め定めた時間の間、システム制御ユニット制御部98の稼働状態を維持する。その間、機内LAN10を介して各ユニットからブロードキャストされるコマンドの入力を待ち受ける状態を維持する。そして、予め定めた時間の経過の後も各ユニットからのコマンドの入力がなければ、画像形成装置1への画像情報(各種画像データ)の入力がないと判定されるので、システム制御ユニット制御部98は、CPUオフ状態へ移行し、節電モードを設定する。
【0059】
このように、本実施の形態の画像形成装置1では、例えば、ファクシミリ受信があった場合、印刷ジョブデータが受信された場合、および複写処理を行う場合各々にて、画像形成機能部、各種制御機能部自身がシステム状態、もしくは、予め定めた時間経過を判断して、電源モードを遷移させる。即ち、画像形成ユニット2の画像形成制御部92、各種制御機能部(画像読取ユニット3、UIユニット4、FAXユニット5、給紙ユニット6、メモリユニット7、システム制御ユニット8)の制御部(画像読取制御部93、UI制御部94、FAX制御部95、給紙制御部96、メモリ制御部97、システム制御ユニット制御部98)は、機内LAN10を介して得られるコマンドが付された情報から自身の電源供給・停止状態を自ら判断し、電力供給ユニット9からの電源供給・停止の制御を自ら実施している。それにより、画像形成機能部、各種制御機能部には動作すべきタイミングでの電源供給が行われるので、ユニット単位での省電力化が図られる。
【0060】
またその際に、各ユニット内においても、各ユニットに設けられた各種制御部がそれぞれの動作タイミングに従って、自身の電源供給・停止や自身が制御するデバイスの電源供給・停止を自ら制御するように構成してもよい。その場合には、各種制御部22および各デバイスには動作すべきタイミングでの電源供給が行われるので、デバイス単位での省電力化が図られる。
【0061】
次の図7は、画像形成機能部や各種制御機能部(画像読取ユニット3、UIユニット4、FAXユニット5、給紙ユニット6、メモリユニット7、システム制御ユニット8)の制御部(画像形成制御部92、画像読取制御部93、UI制御部94、FAX制御部95、給紙制御部96、メモリ制御部97、システム制御ユニット制御部98)のハードウェア構成を示した図である。図7に示したように、制御部は、画像形成機能部や各種制御機能部の電源モードの遷移を制御するに際して、予め定められたプログラムに従ってデジタル演算処理を実行する演算手段の一例としてのCPU101、CPU101により実行されるプログラム等が格納されるRAM102、CPU101により実行されるプログラム等にて用いられる設定値等のデータが格納されるROM103、書き換え可能で電源供給が途絶えた場合にもデータを保持できるEEPROMやフラッシュメモリ等の不揮発性メモリ104、制御部に接続される各デバイスとの信号の入出力を制御するインターフェース部105を備えている。
【0062】
また、メモリユニット7には各制御部により実行されるプログラムが格納されており、各制御部がこの処理プログラムを読み込むことによって、画像形成機能部や各種制御機能部の電源モードの遷移制御が実行される。すなわち、画像形成機能部や各種制御機能部の電源モードの遷移制御を実行するプログラム等が、例えばメモリユニット7としてのハードディスクやDVD−ROM等から各制御部内のRAM102に読み込まれる。そして、RAM102に読み込まれたプログラムに基づいて、CPU101が各種処理を行う。このプログラムに関するその他の提供形態としては、予めROM103に格納された状態にて提供され、RAM102にロードされる形態がある。さらに、EEPROM等の書き換え可能なROM103を備えている場合には、各制御部がセッティングされた後に、プログラムだけがROM103にインストールされ、RAM102にロードされる形態がある。また、インターネット等の外部LAN12を介して各制御部にプログラムが伝送され、各制御部のROM103にインストールされ、RAM102にロードされる形態がある。
【0063】
以上説明したように、本実施の形態の画像形成装置1においては、各種の画像処理動作を行うに際して、画像形成機能部および各種制御機能部自身がシステム状態、もしくは、予め定めた時間経過を判断して、電源モードを遷移させる。それにより、画像形成機能部および各種制御機能部には動作すべきタイミングで電源供給が行われるので、ユニット単位での省電力化が図られる。
またその際に、各ユニット内においても、各ユニットに設けられた各種制御部がそれぞれの動作タイミングに従って、自身の電源供給・停止や自身が制御するデバイスの電源供給・停止を自ら制御するように構成してもよい。それにより、各種制御部22および各デバイスには動作すべきタイミングでの電源供給が行われるので、デバイス単位での省電力化が図られる。
【0064】
〔第1の実施の形態〕
図8は、第1の実施の形態に係る制御例を説明するタイムチャートである。
画像読取ユニット3、UIユニット4、FAXユニット5、給紙ユニット6、メモリユニット7、システム制御ユニット8はすべて電源オフ状態であり、節電状態であるとする。このような状況下で、図8に示すように、ユーザによりUIユニット4の節電ボタン140(図2参照)が押し下げられると(時点t1)、UIユニット4のUI制御部94は、UIユニット4自身の電力状態をLEDのオフ状態に遷移し、節電を解除する。このとき、他のユニットである画像形成ユニット2、画像読取ユニット3、FAXユニット5およびシステム制御ユニット8については、節電状態から復帰する指示である節電復帰コマンドを各ユニットに対してブロードキャストしないことから、電源オフ状態のままである。したがって、時点t1では、UIユニット4のみが節電を解除することになる。
より具体的に説明すると、UIユニット4では、画面遷移中であることを示す画像G11を表示した後に、メニューを表示する画像G12を表示する。この画像G12では、コピーボタン142(図2参照)のほかに、スキャンボタンやファックス送信ボタン等の画像が含まれる。したがって、ユーザは、UIユニット4のボタンを押す操作が可能である。
【0065】
ユーザによりUIユニット4のコピーボタン142を押す操作が行われると(時点t2)、UIユニット4のUI制御部94は、コピー設定を示す画像(コピーサービス画面)G2に切り替える。この画像G2が表示されているときには、ユーザは、コピーの各種の設定、例えばカラー印刷や印刷部数の入力等を行うことが可能である。
また、コピーボタン142が押されることで、UI制御部94は、機内LAN10を介して画像形成ユニット2および画像読取ユニット3に節電復帰コマンドをブロードキャストする。これにより、画像形成ユニット2および画像読取ユニット3の各々は、電源オフ状態から5Vのオン状態に遷移し、初期化処理NTを開始する。
画像読取ユニット3が行う初期化処理NTは、画像形成ユニット2が行う初期化処理NTよりも早期に終了する。したがって、画像読取ユニット3にて初期化処理NTが終了すれば、画像形成ユニット2にて初期化処理NTが終了する前であっても、原稿の画像読み取りを開始することが可能である。
【0066】
システム制御ユニット8のスタートボタン180がユーザにより押し下げられると(時点t3)、UIユニット4の制御部94は、コピー中であることを示す画像G3に切り替える。また、時点t3では画像読取ユニット3での初期化処理NTがすでに終了しているので、画像読取ユニット3は、原稿の画像を読み取る画像読み取り処理SC1を直ちに開始する。画像読み取り処理SC1により読み取られた画像のデータは、メモリユニット7のRAM174(図2参照)に一時的に蓄積される。付言すると、この画像読み取り処理SC1は、節電復帰後に最初に行われるものである。画像形成ユニット2では、未だ初期化処理NTが終了していないので、用紙出力は行われない。
なお、画像読取ユニット3での初期化処理NTが終了する前にシステム制御ユニット8のスタートボタン180がユーザにより押し下げられたときには、画像読取ユニット3での初期化処理NTの終了を待って原稿の画像読み取りS1が開始される。
【0067】
画像形成ユニット2では、初期化処理NTが終了すると、定着部を定着可能状態に設定するウォームアップ処理WUを行う。画像形成ユニット2は、ウォームアップ処理WUが終了して印字処理PR1が可能になると(時点t5)、画像読み取り処理SC1により読み取られた画像についての印字処理PR1を行う。画像形成ユニット2にて印字処理PR1が開始されると、UIユニット4は、コピー中であることを示す画像G3から、次のコピーを受付可能であることを示す画像G5に切り替える。
画像形成ユニット2による印字処理PR1の実行により、印字された用紙が出力される。
【0068】
ここで、節電復帰後の最初のコピー指示を受け付けてから次のコピー指示を受け付けるまでの間に、コピー指示受付禁止期間SKが設定される。このようなコピー指示受付禁止期間SKの設定により、画像読取ユニット3による画像読み取り処理SC1が終了した後に、再びスタートボタン180が押されても次の画像読み取り処理SC2が開始されない。より詳細には、時点t3から時点t5までの間に、ユーザによりシステム制御ユニット8のスタートボタン180が押された場合には(時点t41参照)、それに対応するコピー動作が行われない。時点t41にてスタートボタン180が押されたことに対応するコピー動作がコピー指示受付禁止期間SKの経過後に行われるものではない。コピー指示受付禁止期間SKが経過した時点t5以降には、次のコピー指示を受け付ける。
なお、時点t4にてスタートボタン180が押された場合には、例えばUIユニット4の画面に、コピー受付をしていないことを通知する画像(不図示)を表示したり警告音を発したりする制御例も考えられる。
【0069】
このようなコピー指示受付禁止期間SKの設定は、以下のような事情によるものである。節電復帰後の最初のボタン操作によってコピー開始の指示を行うと、画像読取ユニット3での画像読み取り処理SC1は比較的早い時期に開始することが可能であるものの、画像形成ユニット2での印字処理PR1については、比較的遅い時期でないと開始されない。ユーザからすると、節電復帰後の最初のボタン操作が受け付けられているのか否かが不明であり、そのために、ユーザが再びのボタン操作を行う場合が考えられる。そのような場合には、最初のボタン操作と次のボタン操作の両方が受け付けられてしまう。その結果、画像形成装置1では、ユーザが意図しない2度のコピー動作が行われてしまい、ミスコピーが生じてしまう。
かかる事情に鑑み、本実施の形態では、次のコピー指示を受け付けない期間としてのコピー指示受付禁止期間SKを設定している。第1の実施の形態では、コピー指示受付禁止期間SKの終了を、画像形成ユニット2にてウォームアップ処理WUが終了して印字処理PR1が可能になった時(時点t5)として設定している。
画像形成ユニット2にて印字処理PR1が可能になった状態は、特定の状態の一例である。
【0070】
そして、コピー指示受付禁止期間SKが経過した後に、ユーザによりシステム制御ユニット8のスタートボタン180を押す操作が行われると(時点t6)、UIユニット4は、コピー中であることを示す画像G3に切り替え、画像読取ユニット3は画像読み取り処理SC2を開始し、画像形成ユニット2は印字処理PR2を開始する。
画像形成ユニット2での印字処理PR2が終了すると(時点t8)、UIユニット4は、コピー中であることを示す画像G3から別の画像例えば、次のコピーを受付可能であることを示す画像G5に切り替える。
【0071】
〔第2の実施の形態〕
図9は、第2の実施の形態に係る制御例を説明するタイムチャートである。なお、第2の実施の形態は、第1の実施の形態と共通する構成・機能を有することから、共通する構成には、同じ符号を用い、また、共通する構成・機能の説明および図示を省略することがある。
図9に示す制御例では、節電復帰後の最初のコピー指示を受け付けたことを契機に画像形成ユニット2にて初期化処理NTが行われた場合において、画像形成ユニット2にてウォームアップ処理WUがなされている間に、画像読取ユニット3の原稿台カバー34(図1参照)が開放された場合に対応するためのものである。
【0072】
より詳細に説明すると、画像形成ユニット2においてウォームアップ処理WUが完了していないためにウォームアップ処理WUに続けて行われる印字処理PR1が未だ行われていない状態で、ユーザにより原稿台カバー34(図1参照)が開けられると(時点t42)、UIユニット4は、コピー中であることを示す画像G3から、次のコピーを受付可能であることを示す画像G5に切り替える。すなわち、原稿台カバー34(図1参照)の開放操作を契機に、画像読み取りが可能である表示をUIユニット4にて行われる。
さらに説明すると、未だコピー指示受付禁止期間SK1であることから、スタートボタン180を押しただけでは次のコピー指示が受け付けられない。しかしながら、原稿台カバー34(図1参照)の開放操作が行われたことから、ユーザは別の原稿についてのコピー指示を行おうとしているという意図であることを推定できる。したがって、原稿台カバー34(図1参照)の開放操作が行われると(時点t42)、コピー指示受付禁止期間SK1を終了し、UIユニット4は、次のコピーを受付可能であることを示す画像G5を表示する。
なお、第2の実施の形態では、原稿台カバー34(図1参照)が開けられることを契機にしてコピー指示受付禁止期間SK1を終了しているが、これ以外のユーザの操作、例えば、画像読取ユニット3の原稿検知センサ130(図1参照)により原稿が設置されたことが検知されたことを契機とする変形例も考えられる。このような原稿台カバー34(図1参照)が開けられることや、原稿検知センサ130(図1参照)により原稿の設置が検知されたことは、特定の状態の一例である。
【0073】
ユーザによりシステム制御ユニット8のスタートボタン180を押す操作が行われると(時点t6)、再びコピー指示受付禁止期間SK2に設定される。この時点では、画像形成ユニット2での印字処理PR1が未だ終了しておらず、したがって、ユーザの意図しない2度のコピー動作が行われてしまうおそれがあるからである。このように設定されたコピー指示受付禁止期間SK2は、画像形成ユニット2での印字処理PR1が開始された時点t5以降に解除される。より具体的には、コピー指示受付禁止期間SK2の終了は、画像読取ユニット3での画像読み取り処理SC2が終了した時(時点t7)として設定される。
【0074】
〔第3の実施の形態〕
図10は、第3の実施の形態に係る制御例を説明するタイムチャートである。なお、第3の実施の形態は、第1の実施の形態および第2の実施の形態と共通する構成・機能を有することから、共通する構成には、同じ符号を用い、また、共通する構成・機能の説明および図示を省略することがある。
図10に示す制御例では、節電復帰後の最初のコピー指示を受け付けたことを契機に画像形成ユニット2にて初期化処理NTが行われた場合において、画像形成ユニット2にてウォームアップ処理WUがなされている間に、UIユニット4のコピーボタン142とは別のボタン(第3の操作部の一例)が押された場合に対応するためのものである。
【0075】
より詳細に説明すると、第3の実施の形態では、第2の実施の形態における時点t42での原稿台カバー34(図1参照)の開放操作の代わりに、別のユーザの操作をコピー指示受付禁止期間SK1が終了する契機として設定している。すなわち、画像形成ユニット2においてウォームアップ処理WUが完了していないためにウォームアップ処理WUに続けて行われる印字処理PR1が未だ行われていない状態で、UIユニット4の「閉じるボタン(不図示)」または「次スキャンボタン(不図示)」が押されると(時点t43)、コピー指示受付禁止期間SK1を終了し、UIユニット4は、コピー設定を示す画像G2を表示する。このような「閉じるボタン(不図示)」または「次スキャンボタン(不図示)」が押されたことは、特定の状態の一例である。
【符号の説明】
【0076】
1…画像形成装置、2…画像形成ユニット、3…画像読取ユニット、4…ユーザインターフェースユニット、5…FAXユニット、6…給紙ユニット、7…メモリユニット、8…システム制御ユニット、9…電力供給ユニット、10…機内LAN、93…画像読取制御部、94…UI制御部、95…FAX制御部、96…給紙制御部、97…メモリ制御部、98…システム制御ユニット制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿の画像を読み取る画像読み取り機能、画像を形成する画像形成機能、およびユーザに通知する内容を表示する表示機能を含む複数の機能を実現可能に構成される装置本体と、
前記複数の機能の中のいずれかの機能を発揮している状態である第1の電力状態と、いずれかの機能を発揮できる状態にある第2の電力状態と、いずれかの機能の消費電力が無いまたは当該第1の電力状態および当該第2の電力状態の場合よりも低い第3の電力状態とを制御する制御部と、
ユーザ操作により前記画像読み取り機能および前記画像形成機能が前記第2の電力状態に遷移するための遷移信号を出力する第1の操作部と、
ユーザ操作により前記画像読み取り機能および前記画像形成機能による原稿複写を開始するための複写開始信号を出力する第2の操作部と、
前記複数の機能のうち前記表示機能以外の機能が前記第3の電力状態の場合に前記第1の操作部により遷移信号が出力された後に前記第2の操作部により複写開始信号が出力されると当該複写開始信号に対応して前記原稿複写の制御を行うと共に、当該原稿複写の制御が開始されてから予め定めた特定の状態であることが検出されるまでの間に当該第2の操作部により次に出力された複写開始信号に対応しないように制御する複写制御手段と、
を含む画像形成装置。
【請求項2】
ユーザにより行われる次の原稿の準備に関する操作を検知すると信号を出力する原稿準備検知手段をさらに含み、
前記複写制御手段は、前記原稿準備検知手段により信号が出力されると前記特定の状態であるとして制御を行うものであることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
ユーザによって操作されると次の原稿複写の開始指示としての信号を出力する、前記第2の操作部とは別の第3の操作部をさらに含み、
前記複写制御手段は、前記第3の操作部により前記信号が出力されると前記特定の状態であるとして制御を行うものであることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記複写制御手段は、前記画像形成機能が前記第2の電力状態に遷移すると前記特定の状態であるとして制御を行うものであることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項5】
原稿の画像を読み取る画像読み取り機能、画像を形成する画像形成機能、およびユーザに通知する内容を表示する表示機能を含む複数の機能を実現可能に構成される画像形成装置が備えるコンピュータに、
前記複数の機能の中のいずれかの機能を発揮している状態である第1の電力状態と、いずれかの機能を発揮できる状態にある第2の電力状態と、いずれかの機能の消費電力が無いまたは当該第1の電力状態および当該第2の電力状態の場合よりも低い第3の電力状態とを制御する電力状態制御機能と、
ユーザ操作に起因して前記画像読み取り機能および前記画像形成機能が前記第2の電力状態に遷移するための遷移信号を受け付ける第1の受付機能と、
ユーザ操作に起因して前記画像読み取り機能および前記画像形成機能による原稿複写を開始するための複写開始信号を受け付ける第2の受付機能と、
前記複数の機能のうち前記表示機能以外の機能が前記第3の電力状態の場合に前記第1の受付機能により遷移信号が受け付けられた後に前記第2の受付機能により複写開始信号が受け付けられると当該複写開始信号に対応して前記原稿複写の制御を行うと共に、当該原稿複写の制御が開始されてから予め定めた特定の状態であることが検出されるまでの間に当該第2の受付機能により次に受け付けられた複写開始信号に対応しないように制御する複写制御機能と、
を実現させるプログラム。
【請求項6】
ユーザにより行われる次の原稿の準備に関する操作を検知したことを示す検知信号を受け付ける原稿準備検知機能をさらに含み、
前記複写制御機能は、前記原稿準備検知機能により前記検知信号が受け付けられると前記特定の状態であるとして制御を行うものであることを特徴とする請求項5に記載のプログラム。
【請求項7】
ユーザによって操作されると次の原稿複写の開始指示がなされたことを示す信号を受け付ける第3の受付機能をさらに含み、
前記複写制御機能は、前記第3の受付機能により前記信号が受け付けられると前記特定の状態であるとして制御を行うものであることを特徴とする請求項5に記載のプログラム。
【請求項8】
前記複写制御機能は、前記画像形成機能が前記第2の電力状態に遷移すると前記特定の状態であるとして制御を行うものであることを特徴とする請求項5に記載のプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−145805(P2012−145805A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−4757(P2011−4757)
【出願日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】