説明

画像形成装置および潜像担持体ユニット

【課題】省スペースおよび低コストで現像部から漏れる液体現像剤を確実に回収して装置内部が汚染されるのを防止する。
【解決手段】ダクト本体323の上面326は現像部5の最下端部56を鉛直上方に望むように設けられるとともに、上面326では全周にわたってフェンス327が上方に立設されて液体現像剤の回収空間を形成している。この実施形態では、感光体ドラム1の回転軸方向Xでのフェンス間隔、つまり上面326の幅W32は帯電器31の幅W31および現像部5の幅W5よりも長くなっている。このため、現像部5の最下端部56はすっぽりと上記回収空間(上面326をフェンス327で取り囲んだ空間)に入り込む。よって、帯電器31全体の周辺雰囲気を確実に換気しながら現像部5から漏れて落下してくる液体現像剤をダクト本体323の上面326で受け止めることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、キャリア液体およびトナー粒子を含む液体現像剤で現像して画像を形成する画像形成装置および潜像担持体ユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、帯電している感光体に静電潜像を形成し、キャリア液体にトナー粒子を分散した液体現像剤により静電潜像を現像してトナー像を形成する液体現像方式の画像形成装置が実用化されている。例えば、特許文献1に記載の画像形成装置では、オイルパンが装置本体に取り付けられ、さらにオイルパン上に上記現像処理を行う現像器が乗せられている。このような構成を採用することで、現像器から液体現像剤が漏れて装置内に拡散するのを防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−15980号公報(図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記したようにオイルパンを独立した構成部品として装置本体に取り付けており、これが装置各部の配置スペースを制限し、設計自由度を低下させる主要因のひとつとなっている。また、現像器から漏れる液体現像剤を受けるという単機能を実現するために、独立した部品を設ける必要があり、装置コストを増大させる要因ともなっている。
【0005】
この発明にかかるいくつかの態様は、省スペースおよび低コストで現像部から漏れる液体現像剤を確実に回収して装置内部が汚染されるのを防止する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明の第1の態様は、画像形成装置であって、潜像が形成される潜像担持体ドラムと、潜像担持体ドラムを帯電するコロナ帯電器、及びコロナ帯電器の潜像担持体ドラムの回転軸方向で長く構成されてコロナ帯電器に気流を流動させる気流ダクトを有する帯電部と、気流ダクトの鉛直方向の上方に配され、潜像担持体ドラムの回転軸方向で気流ダクトよりも短く構成されて、潜像担持体ドラムに形成された潜像をトナー及びキャリア液を含む液体現像剤で現像する現像部と、を備えることを特徴としている。
【0007】
また、この発明の第2の態様は、潜像担持体ユニットであって、潜像が形成される潜像担持体ドラムと、潜像担持体ドラムを帯電するコロナ帯電器、及びコロナ帯電器の潜像担持体ドラムの回転軸方向で長く構成されてコロナ帯電器に気流を流動させる気流ダクトを有する帯電部と、気流ダクトの鉛直方向の上方に配され、潜像担持体ドラムの回転軸方向で気流ダクトよりも短く構成されて、潜像担持体ドラムに形成された潜像をトナー及びキャリア液を含む液体現像剤で現像する現像部と、を備えることを特徴としている。
【0008】
このように構成された発明(画像形成装置および潜像担持体ユニット)では、現像部は液体現像剤を用いて潜像担持体ドラム上の潜像を現像するため、回転軸方向に延設されており、現像部から漏れる液体現像剤は回転軸方向に広がり、鉛直下方に落下する。そして、これが装置内に拡散してしまうと、装置内部が汚染されて種々のトラブルが発生する。しかしながら、現像部が帯電気流部材の上面の鉛直上方に位置するように構成されている、つまり現像部の鉛直下方には帯電気流部材の上面が存在しているような場合において、本発明のように帯電気流部材の上面は潜像担持体ドラムの回転軸方向で帯電部材および現像部より長くすることによって、帯電部材全体の周辺雰囲気が確実に換気されながら、それと同時に現像部から漏れて落下してくる液体現像剤が帯電気流部材の上面で受け止められ、液体現像剤により装置内部が汚染されるのを確実に防止することができる。
【0009】
ここで、気流ダクトの鉛直方向の上方に壁部位を配設してもよい。
【0010】
また、現像部は、液体現像剤を収容する容器、液体現像剤を容器に流動させる管、及び潜像担持体ドラムの回転軸方向で現像部の一方側に配設されて管を着脱するジョイント部材を有し、気流ダクトが、潜像担持体ドラムの回転軸方向でジョイント部材から現像部の一方側と逆の他方側までの距離よりも長くなるように構成してもよい。
【0011】
また、気流ダクトが連続または階段状に傾斜するように構成してもよい。
【0012】
また、気流ダクトはコロナ帯電器から離れる方向で鉛直方向の下方に傾斜し、コロナ帯電器の反対側端部に液体現像剤の液溜り部を配設し、液溜り部に排出ドレンが接続されるように構成してもよい。
【0013】
また、排出ドレンに接続されて液体現像剤を回収する回収容器を配設するように構成してもよい。
【0014】
さらに、帯電部と現像部との間に潜像担持体ドラムに潜像を形成する露光部を配設し、気流ダクトに露光部の鉛直方向の上方を覆うカバー部材を配設するように構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明にかかる画像形成装置の第1実施形態を示す図。
【図2】帯電部と現像部との配置関係を示す斜視図。
【図3】帯電部と現像部との寸法および配置関係を示す断面図。
【図4】本発明にかかる画像形成装置の第2実施形態を示す図。
【図5】本発明にかかる画像形成装置の第3実施形態を示す図。
【図6】本発明にかかる画像形成装置の第4実施形態を示す図。
【図7】本発明にかかる画像形成装置の第5実施形態を示す図。
【図8】本発明にかかる画像形成装置の第6実施形態を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1は本発明にかかる画像形成装置の第1実施形態を示す図であり、図2は帯電部と現像部との配置関係を示す斜視図であり、図3は帯電部と現像部との寸法および配置関係を示す断面図である。この画像形成装置は、感光体ドラム1の回転中心を通る仮想水平線HLの鉛直下方で、感光体ドラム1に担持される像を1次転写部2のブランケットローラー21に転写し、さらにブランケットローラー21に転写された像を転写紙に転写する、いわゆる下部転写構造を有している。なお、図1の画像形成装置は後述するように単色のトナー像を形成して転写紙に転写するものであり、同装置を複数台、例えば4台配列してカラー印刷システムを構成することが可能である。もちろん、図1の装置は単独でモノクロの画像形成装置としても機能する。
【0017】
この画像形成装置では、感光体ドラム1は、アモルファスシリコン感光体などの感光体材料からなる感光層を表面に有している。そして、その回転軸が主走査方向(図1の紙面に対して垂直な方向)に平行もしくは略平行となるように感光体ドラム1は配置されており、図1中矢印D1の方向に所定速度で回転駆動される。
【0018】
感光体ドラム1の周囲には、感光体ドラム1表面を所定の電位に帯電させる帯電部3と、感光体ドラム1表面を画像信号に応じて露光することで静電潜像を形成する露光部4と、該静電潜像を液体現像剤により現像してトナー像として形成する現像部5と、第1スクイーズ部6と、第2スクイーズ部7と、1次転写部2のブランケットローラー21と、一次転写後の感光体ドラム1の表面をクリーニングする感光体クリーニング部8とが、それぞれこれらの順に感光体ドラム1の回転方向D1(図1では、反時計回り)に沿って配設されている。
【0019】
帯電部3は、6個の帯電器31と帯電器気流ダクト32とを有しており、図1紙面において、感光体ドラム1の回転中心を通る仮想鉛直線VLに対して右側で、しかも感光体ドラム1の回転中心を通る仮想水平線HLに対して鉛直下方に配されている。これらの帯電器31は感光体ドラム1の表面に接触しないものであり、感光体ドラム1の回転方向D1に沿って6個配列されている。帯電器31としては、例えば従来周知慣用のコロナ帯電器を用いることができる。コロナ帯電器にスコロトロン帯電器を用いた場合には、スコロトロン帯電器のチャージワイヤにはワイヤ電流が流されるとともに、グリッドには直流(DC)のグリッド帯電バイアスが印加される。このように帯電器31によるコロナ放電で感光体ドラム1が帯電されることで、感光体ドラム1の表面の電位が略均一の電位に設定される。
【0020】
また、帯電器気流ダクト32は帯電器31に向けて外気を導入する外気導入経路321と、帯電器31での放電により発生する帯電器31の周辺雰囲気を排気する排気経路322とを有しており、帯電処理が行われる雰囲気に気流を与えるとともに排気することで帯電器31に気流を流動させて雰囲気管理を行う。なお、帯電器気流ダクト32はこのように帯電器31の周辺雰囲気を換気する機能以外に、現像部5から漏れて落下してくる液体現像剤を受け止めて回収する回収機能を有しているが、その具体的な構成や作用効果については、後で詳述する。
【0021】
露光部4は、図1紙面において仮想鉛直線VLに対して右側で、しかも仮想水平線HL上に配されて外部装置から与えられた画像信号に応じて光ビームにより感光体ドラム1表面を露光して画像信号に対応する静電潜像を形成する。本実施形態では、この露光部4として発光素子を主走査方向(図1紙面に垂直な方向)に配列したラインヘッドを用いているが、これ以外に半導体レーザからの光ビームをポリゴンミラーにより主走査方向に走査させるもの等を用いてもよい。なお、本実施形態では、露光部4を仮想水平線HL上に配しているが、露光部4の配設位置はこれに限定されるものではなく、仮想水平線HLの鉛直上方または鉛直下方に配してもよい。
【0022】
こうして形成された静電潜像に対して現像部5から液体現像剤が付与されて、静電潜像がトナーにより現像される。本実施形態では、絶縁性液体を主成分とするキャリア液体内に、着色された樹脂粒子をトナー粒子として概略重量比25%程度に分散させた液体現像剤を用いており、トナー粒子は電界中を電気泳動可能なように電荷を有している。なお、この現像剤濃度については、上記25%に限定されるものではなく、10〜30%であってもよい。また、キャリア液体としては、例えばIsopar(エクソン社商標)、シリコンオイル、ノルマルパラフィンオイルなどが使用される。また、電気抵抗値は1010Ω・cm以上、望ましくは1012Ω・cm以上が好ましい。というのも、抵抗が低い場合には、トナー粒子が電気泳動する過程で余剰な電流が流れ、移動に必要な電界が維持できない可能性があるからである。さらに、こうして調製された液体現像剤の粘度は、トナー粒子を構成する樹脂や分散剤・荷電制御剤で左右されるが、50〜500[Pa・s]の粘度を示す液体現像剤を用いることができ、本実施形態では400[Pa・s]の液体現像剤を用いている。
【0023】
この画像形成装置の現像部5は、図1紙面において仮想鉛直線VLに対して右側で帯電部3の鉛直上方に配されており、現像ローラー51と、中間塗布ローラー52と、アニロックスローラー53と、上記した液体現像剤を貯蔵する現像剤容器54と、液体現像剤に対し帯電・圧縮作用を施すトナー圧縮コロナ発生器55とを主な構成として有している。これらの主要構成のうち現像ローラー51は円筒状の部材であり、鉄等金属製の内芯の外周部に、ポリウレタンゴム、シリコンゴム、NBR、PFAチューブなどの弾性層を設けたものである。この現像ローラー51は現像用モーター(図示省略)に接続され、図1紙面において時計回りD51に回転駆動されて感光体ドラム1に対してウィズ回転する。また、この現像ローラー51は図示を省略する現像バイアス発生部と電気的に接続されており、適当なタイミングで現像バイアスが印加されるように構成されている。
【0024】
また、この現像ローラー51に対して液体現像剤を供給するために中間塗布ローラー52とアニロックスローラー53とが設けられており、アニロックスローラー53から中間塗布ローラー52を介して現像ローラー51へ液体現像剤が供給される。これらのうち中間塗布ローラー52は現像ローラー51と同様に金属製内芯の外周部に弾性層を設けたものであるのに対し、アニロックスローラー53は液体現像剤を担持し易いように表面に微細且つ一様に彫刻された螺旋溝などによる凹部パターンが形成されたローラーである。もちろん、アニロックスローラー53を、現像ローラー51や中間塗布ローラー52と同様に、金属の芯金にウレタン、NBRなどのゴム層を巻き付けたものや、PFAチューブを被せたものなどを用いてもよい。これら中間塗布ローラー52およびアニロックスローラー53は上記現像用モーターに接続され、図1紙面においてそれぞれ時計回りおよび反時計回り回転される。したがって、中間塗布ローラー52は現像ローラー51に対してカウンター方向に回転し、アニロックスローラー53は中間塗布ローラー52に対してウィズ方向に回転する。このように、本実施形態では、いわゆる3ローラー構成により液体現像剤を現像剤容器54から現像ローラー51に供給しているため、液体現像剤がニップを複数回通過することで、液体現像剤を十分に練ることができ、現像ローラー51にて均一な液体現像剤の膜を形成することが可能となる。もちろん、この形態に限らず、アニロックスローラー53から直接現像ローラー51へ液体現像剤を塗布する構成(2ローラー構成)としてもよい。
【0025】
また、現像ローラー51に対してクリーニングローラー511が当接されるとともに、このクリーニングローラー511に対してローラークリーニングブレード512が当接されており、現像ローラー51のクリーニング処理を行う。すなわち、現像ローラー51の表面が感光体ドラム1と当接して現像ニップを形成している現像位置に対し、現像ローラー回転方向D51の下流側にクリーニングローラー511が現像ローラー51の表面と当接しながら図1紙面において時計回り回転される。したがって、クリーニングローラー511は現像ローラー51に対してカウンター方向に回転し、現像に寄与せずに現像ローラー51に残存する液体現像剤を除去する。また、このクリーニングローラー511の表面にローラークリーニングブレード512が当接して上記液体現像剤を掻き落として除去する。また、中間塗布ローラー52に対してクリーニングブレード521が当接されており、現像に寄与せずに中間塗布ローラー52に残存する液体現像剤を中間塗布ローラー52の表面から掻き落として除去する。なお、これらのクリーニングブレード512、521により掻き落とされた液体現像剤は現像剤容器54の回収部位541に案内されて回収される。
【0026】
一方、アニロックスローラー53に対して規制部材531が当接されている。この規制部材531として、金属製あるいは表面に弾性体を被覆して構成した弾性を有する部材を用いることができるが、本実施形態にかかる規制部材531は、アニロックスローラー53の表面に当接するウレタンゴム等からなるゴム部と、該ゴム部を支持する金属等の板で構成されている。そして、規制部材531は、アニロックスローラー53によって担持搬送されてきた液体現像剤の膜厚や量などを規制調整し、現像ローラー51に供給する液体現像剤の量を調整する機能を有している。また、規制部材531により掻き取られた液体現像剤は現像剤容器54の貯蔵部位542に戻される。なお、この貯蔵部位542には撹拌部材543が配置されており、図示省略するモーターにより回転し、貯蔵部位542内で液体現像剤を撹拌する。
【0027】
上記のようにして、液体現像剤が供給された現像ローラー51は中間塗布ローラー52の表面とは逆方向に移動するように回転すると共に、感光体ドラム1の表面とは同方向に移動するように回転する。なお、トナー像を形成するため、現像ローラー51の回転方向は、その表面が感光体ドラム1の表面と同方向に移動するようにウィズ回転する必要があるが、中間塗布ローラー52に対しては、逆方向、或いは、同方向、どちらに移動する構成であってもよい。
【0028】
また、現像ローラー51の回転方向に沿ってトナー圧縮コロナ発生器55が配置されている。より詳しくは、現像位置に対し、現像ローラー回転方向D51の上流側にトナー圧縮コロナ発生器55が配置されている。このトナー圧縮コロナ発生器55は、現像ローラー51の表面のバイアスを増加させる電界印加手段であり、現像ローラー51によって搬送される液体現像剤のトナーは、このトナー圧縮コロナ発生器55と近接する位置で電界が印加され、帯電、圧縮が施される。なお、このトナー帯電、圧縮には、電解印加によるコロナ放電に代えて、接触して帯電させるコンパクションローラーを用いてもよい。
【0029】
また、このように構成された現像部5は図示しない現像器離当接機構と接続されており、コントローラー10からの制御指令が現像器離当接機構に伝達されるのに応じて現像部5は感光体ドラム1上の潜像を現像する現像位置(図1の実線位置)と感光体ドラム1から離れた退避位置(図示省略)との間で往復可能となっている。したがって、現像部5が退避位置に移動して位置決めされると、その間、感光体ドラム1への新たな液体現像剤の供給は停止される。
【0030】
感光体ドラム1の回転方向D1において現像位置の下流側に、第1スクイーズ部6が配置されるとともに、さらに第1スクイーズ部6の下流側に第2スクイーズ部7が配置されている。この実施形態では、第1スクイーズ部6のスクイーズローラー61および第2スクイーズ部7のスクイーズローラー71はいずれも図1紙面において仮想鉛直線VLに対して左側で、かつ仮想水平線HLに対して鉛直上方に配されている。
【0031】
この第1スクイーズ部6には、不図示のバネにより感光体ドラム1方向に付勢されたスクイーズローラー61が設けられている。そして、スクイーズローラー61が第1スクイーズ位置で感光体ドラム1の表面と当接しながら図示しないモーターにより回転駆動されてトナー像の余剰現像剤を除去する。また、本実施形態ではスクイーズ効率を高めるために、スクイーズローラー61に対して第1スクイーズバイアス発生部(図示省略)が電気的に接続されており、適当なタイミングで第1スクイーズバイアスが印加されるように構成されている。また、スクイーズローラー61の表面に対してクリーニングブレード62が当接し、ローラー表面に付着する液体現像剤を掻き取る。そして、こうして掻き取られた液体現像剤は回収部材63に回収される。
【0032】
また、第2スクイーズ部7では、感光体ドラム1の回転方向D1において第1スクイーズ位置の下流側の第2スクイーズ位置でスクイーズローラー71が感光体ドラム1の表面と当接しながら回転してトナー像の余剰キャリア液体やカブリトナーを除去する。また、本実施形態ではスクイーズ効率を高めるために、第1スクイーズ部6と同様に、スクイーズローラー71に対して第2スクイーズバイアス発生部(図示省略)が電気的に接続されており、適当なタイミングで第2スクイーズバイアスが印加されるように構成されている。また、スクイーズローラー71の表面に対してクリーニングブレード72が当接し、ローラー表面に付着する液体現像剤を掻き取る。そして、こうして掻き取られた液体現像剤はガイド部材73により感光体ドラム1から離れる方向に案内され、ガイド部材73の鉛直下方に配置された回収部材74に回収される。
【0033】
なお、本実施形態では2つのスクイーズ部6、7を設けているが、スクイーズ部の個数や配置などはこれに限定されるものではなく、例えば1個のスクイーズ部を配置してもよい。
【0034】
第1および第2スクイーズ部6、7を通過してきた感光体ドラム1には装置外部から与えられた画像信号に対応するトナー像が形成されており、一次転写位置TR1でブランケットローラー21に転写される。このブランケットローラー21を含む転写部2は、図1紙面において仮想鉛直線VLに対して左側で、かつ仮想水平線HLに対して鉛直下方に配されている。この転写部2は、ブランケットローラー21と、ブランケットローラー21にキャリア液体を塗布するキャリア塗布機構22と、ブランケットローラー21のクリーニング機構23と、二次転写ローラー24と、二次転写ローラー24のクリーニング機構25とを有している。
【0035】
ブランケットローラー21の表面は、鉛直方向での感光体ドラム1の最下位置BPに対し、感光体ドラム1の回転方向D1の上流側で感光体ドラム1の表面と当接して一次転写ニップを形成している。この一次転写ニップの形成位置が一次転写位置TR1となる。また、ブランケットローラー21は図示を省略するモーターと接続されており、図1紙面において時計回りD21に回転駆動されて感光体ドラム1に対してウィズ回転する。こうして感光体ドラム1に担持されるトナー像が一次転写位置TR1でブランケットローラー21に一次転写される。
【0036】
また、ブランケットローラー21の回転方向D21における一次転写位置TR1の下流側でブランケットローラー21に対し、二次転写ローラー24が当接しながらウィズ回転して二次転写ニップを形成する。この二次転写ニップの形成位置が二次転写位置TR2となる。したがって、図示を省略する搬送部により転写紙が二次転写位置TR2に給紙されて二次転写ニップを通過することでブランケットローラー21に転写されたトナー像が転写紙に二次転写される。こうして、上記した液体現像剤を用いた像が転写紙に印刷される。
【0037】
また、ブランケットローラー21の回転方向D21において二次転写位置TR2の下流側に、キャリア塗布機構22が配置されて二次転写後のブランケットローラー21の表面にキャリア液体を塗布する。このキャリア液体の塗布処理を行うために、キャリア塗布機構22は、ブランケットローラー21に対してウィズ回転するキャリア塗布ローラー221と、キャリア液体を貯蔵するキャリア貯蔵部材222と、キャリア貯蔵部材222からキャリア液体を汲み上げてキャリア塗布ローラー221に供給するキャリア汲み上げローラー223とを有している。
【0038】
ブランケットローラー21の回転方向D21においてキャリア塗布機構22の下流側でかつ一次転写位置TR1の上流側にクリーニング機構23が配置されて一次転写直前にブランケットローラー21の表面をクリーニングする。このクリーニング処理を行うために、クリーニング機構23は、ブランケットローラー21に対してカウンター方向に回転するクリーニングローラー231と、クリーニングローラー231に当接してクリーニングローラー231をクリーニングするクリーニングブレード232と、クリーニングブレード232により掻き取られたトナーやキャリア液体を回収する回収部材233とを有している。
【0039】
二次転写ローラー24の回転方向において二次転写位置TR2の上流側でクリーニング機構25が配置されて二次転写直前に二次転写ローラー24の表面をクリーニングする。このクリーニング処理を行うために、クリーニング機構25は、二次転写ローラー24に当接して二次転写ローラー24をクリーニングするクリーニングブレード251と、クリーニングブレード251により掻き取られたトナーやキャリア液体を回収する回収部材252とを有している。
【0040】
感光体ドラム1の回転方向D1において一次転写位置TR1の下流側で、かつ帯電位置の上流側に、感光体クリーニング部8が配置されている。この感光体クリーニング部8は、クリーニングブレード81と、感光体ドラム1の最下位置BPから垂れ落ちる液体現像剤を受ける現像剤受け部材82と、現像剤受け部材に受け止められた現像剤を回収する回収部材83と、これらクリーニングブレード81、現像剤受け部材82および回収部材83を一体的に支持する支持部材84とを有している。そして、この支持部材84は回動軸85を回動中心として回動自在となっている。
【0041】
また、支持部材84にはバネ部材(図示省略)が接続されて図1紙面において反時計回りに支持部材84を付勢し、クリーニングブレード81を感光体ドラム1から離間する方向に作用している。一方、支持部材84の反感光体ドラム側(図1の右側)の端部には係合部841が突設されており、図示を省略する可動片が係合部841を上記付勢力よりも大きな応力で押し下げると、支持部材84は図1紙面において時計回りに回動させられ、これによりクリーニングブレード81は感光体ドラム側に移動してクリーニングブレード81の先端部が感光体ドラム1の最下位置BPと当接する。これにより感光体ドラム1に残留する液体現像剤がクリーニング除去される。なお、こうしてクリーニングブレード81により掻き取られた液体現像剤は感光体ドラム1の最下位置BPの鉛直下方に配置された現像剤受け部材82により受け止められ、さらに現像剤受け部材82の傾斜面に沿って回収部材83の内部に流れ落ちて貯蔵される。
【0042】
次に、帯電器気流ダクト32の構成および作用効果について図1ないし図3を参照しつつ説明する。帯電器気流ダクト32はダクト本体323を有しており、そのダクト本体323の内部には図1に示すように外気導入経路321および排気経路322が鉛直方向に積層して設けられており、それの経路の間に仕切部材324が配置されている。また、ダクト本体323の帯電器31側の端部は大きく開口している。また、開口の上端側ではダクト本体323から最上部に位置する帯電器31に向けて上端部シール325が延びており、当該シール325の先端部が最上部帯電器31の上面に当接している。一方、開口の下端側においても、ダクト本体323から最下部に位置する帯電器31に向けて下端部シール325が延びており、当該シール325の先端部が最下部帯電器31の下面に当接している。こうして帯電器31の周辺雰囲気を、帯電部3の周囲に配置された露光部4および感光体クリーニング部8から分離している。そして、外気導入経路321が当該開口に連通されて装置外部から取り込まれたエアを案内して上記周辺雰囲気に向けて吹き付ける。また、排気経路322も開口と接続されており、周辺雰囲気を換気可能となっている。このため、帯電器31での放電により発生するオゾンなどを装置外部に排出することが可能となっている。このように、帯電器気流ダクト32は帯電器31の周辺雰囲気を換気する機能を果たす。なお、帯電気流ダクト32の形状や層構成、上端部シールの有無、または気流給排気の方向などは、一例を示したもので、本特許の構成を限定するものではない。
【0043】
また、ダクト本体323の上面326は現像部5の最下端部56を鉛直上方に望むように設けられるとともに、上面326では全周にわたってフェンス327が上方に立設されて液体現像剤の回収空間を形成している。この実施形態では、図2に示すように感光体ドラム1の回転軸方向Xでのフェンス間隔、つまり上面326の幅W32は帯電器31の幅W31および現像部5の幅W5よりも長くなっている。より詳しくは、
W31<W5<W32
の関係式は満足されるように構成されている。このため、現像部5の最下端部56はすっぽりと上記回収空間(上面326をフェンス327で取り囲んだ空間)に入り込む。また、現像部5の現像剤容器54の底面に固定されたジョイント部材57も上記回収空間の鉛直上方に位置する。したがって、現像処理により現像部5から液体現像剤が漏れて落下しても回収空間に回収される。また、現像部5の交換などを行うためには、必要に応じてジョイント部材57から配管を外す必要があり、その際に液体現像剤が漏れる可能性があるが、上記したようにジョイント部材57の鉛直下方には回収空間が存在するため、漏れた液体現像剤を確実に回収することができる。よって、帯電器31全体の周辺雰囲気を確実に換気しながら現像部5から漏れて落下してくる液体現像剤をダクト本体323の上面326で受け止めることができる。しかも、上面326の全周にわたってフェンス327を立設しているため、上面326で受け止められた液体現像剤、つまり廃液が上面326から溢れるのを防止して回収空間に廃液を確実に貯蔵することができる。しかも、廃液を回収するにあたって帯電器気流ダクト32を利用しているため、現像部5からの液体現像剤の漏れを防止するための独立した構成部品を設ける必要がなくなる。その結果、省スペースおよび低コストで、液体現像剤により装置内部が汚染されるのを確実に防止することができる。
【0044】
このように、第1実施形態では、感光体ドラム1が本発明の「潜像担持体ドラム」に相当している。また、現像剤容器54が本発明の「液体現像剤を収容する容器」に相当している。また、フェンス327が本発明の「壁部位」に相当しているが、フェンス327の形成方法は特に限定されるものではなく、ダクト本体323の上面326に溶接などにより接合してもよいし、あるいはダクト本体323と一体成形してフェンス327を形成してもよい。
【0045】
図4は本発明にかかる画像形成装置の第2実施形態を示す図である。この第2実施形態が第1実施形態と大きく相違する点は、ジョイント部材57の固定位置を相違させている点と、それに対応してダクト本体323の上面326のサイズを相違させている点とであり、その他の構成は基本的に第1実施形態と同一である。したがって、以下においては、相違点を中心に説明し、同一構成については同一符号を付して説明を省略する。
【0046】
第1実施形態ではジョイント部材57は現像部5の現像剤容器54の底面に固定されているのに対し、第2実施形態では図4に示すように、回転軸方向Xでの現像剤容器の一方側面(同図の右手側面)にジョイント部材57が設けられている。このように回転軸方向Xから液体現像剤を流通させる配管58のジョイント部材57への挿脱を行うことができるため、現像部5の交換作業などを簡単に行うことができ、メンテナンス性を高めることができる。
【0047】
そして、第2実施形態では、ジョイント部材57が回転軸方向Xでの現像部5の側面に配置したことに対応し、ダクト本体323の上面326は回転軸方向Xに拡張されている。つまり、ダクト本体323の上面326は、回転軸方向Xでジョイント部材57から現像部5の他方側面まで距離W5よりも長く、ジョイント部材57の鉛直下方にも上面326とフェンス327で囲まれた回収空間が存在する。したがって、現像部5の最下端部56から漏れて落ちる液体現像剤はもちろんのこと、ジョイント部材57に対して配管58を挿脱した際に漏れて落ちる液体現像剤についても確実に回収することができる。その結果、第1実施形態と同様に、省スペースおよび低コストで、液体現像剤により装置内部が汚染されるのを確実に防止することができる。
【0048】
図5は本発明にかかる画像形成装置の第3実施形態を示す図である。この第3実施形態が第1実施形態と大きく相違する点は上面構造であり、その他の構成は基本的に第1実施形態と同一である。したがって、以下においては、相違点を中心に説明し、同一構成については同一符号を付して説明を省略する。
【0049】
この第3実施形態では、ダクト本体323の上面326は帯電器31側から離れるにしたがって連続的に下る傾斜面となっており、さらに帯電器31の反対側(同図中の右手側)の端部に段差部が形成されて液体現像剤の液溜り部326aとなっている。このため、現像部5から漏れて上面326に受け止められた液体現像剤、つまり廃液は上面326に沿って流れて液溜り部326aに貯蔵される。このように本実施形態によれば、漏れた液体現像剤の回収が容易なものとなる。
【0050】
なお、第3実施形態では、ダクト本体323の上面326を連続的に下る傾斜面に仕上げているが、階段状に傾斜するように仕上げてもよい。
【0051】
また、上記のように液溜り部326aに貯蔵した廃液を画像形成装置から分離(回収、廃棄)するために、例えば図6に示すように、液溜り部326aの底面に対して排出ドレン328を設けてもよい(第4実施形態)。また、例えば図7に示すように、液溜り部326aの底面に対して廃液回収容器329を着脱自在に設けてもよい(第5実施形態)。なお、このように排出ドレン328や廃液回収容器329を設ける場合、それらの設置位置としては、反感光体ドラム1側で、かつ図6や図7に示すように回転軸方向Xの端部位置が望ましく、当該位置に設けることで帯電器31への廃液流入を防止することができる。
【0052】
図8は本発明にかかる画像形成装置の第6実施形態を示す図である。この第6実施形態が第1実施形態と大きく相違する点は、ダクト本体323の上面326が露光部4と現像部5との間に延長されて露光部4を鉛直上方より覆っている点であり、その他の構成は基本的に第1実施形態と同一である。このように、上面326を露光部4まで延長され、その延長部分がカバー部材326bとして存在することで、露光部4の鉛直上方位置で現像部5から漏れる、例えば現像ローラー51から液体現像剤が落下したとしても、当該液体現像剤は帯電器気流ダクト32に配設されたカバー部材326bで受け止められて露光部4に液体現像剤が侵入するのを防止することができ、露光処理を良好に行うことができる。
【0053】
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。例えば上記実施形態では、いわゆる下部転写構造を有する画像形成装置に対して本発明を適用した場合について説明した。しかしながら、感光体ドラム1の回転中心を通る仮想水平線HLの鉛直上方で、感光体ドラム1に担持される像を転写する、いわゆる上部転写構造を有する画像形成装置に対しても本発明を適用することができる。また、本発明の適用対象は画像形成装置に限られず、感光体ドラム1、帯電器31、帯電器気流ダクト32および現像部5を有する像担持体ユニットに対して適用しても良い。
【0054】
また、上記実施形態では、中間転写媒体としてブランケットローラー21を用いているが、これ以外に例えばベルト状の中間転写体を用いてもよい。
【符号の説明】
【0055】
1…感光体ドラム(像担持体ドラム)、 3…帯電部、 4…露光部、 5…現像部、 31…コロナ帯電器、 32…帯電器気流ダクト、 54…現像剤容器、 56…(現像部の)最下端部、 57…ジョイント部材、 321…外気導入経路、 322…排気経路、 323…ダクト本体、 326…(帯電器気流ダクトの)上面、 326a…液溜り部、 326b…カバー部材、 327…フェンス(壁部位)、 328…排出ドレン、 329…廃液回収容器、 X…回転軸方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
潜像が形成される潜像担持体ドラムと、
前記潜像担持体ドラムを帯電するコロナ帯電器、及び前記コロナ帯電器の前記潜像担持体ドラムの回転軸方向で長く構成されて前記コロナ帯電器に気流を流動させる気流ダクトを有する帯電部と、
前記気流ダクトの鉛直方向の上方に配され、前記潜像担持体ドラムの回転軸方向で前記気流ダクトよりも短く構成されて、前記潜像担持体ドラムに形成された潜像をトナー及びキャリア液を含む液体現像剤で現像する現像部と、を備える
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記気流ダクトの鉛直方向の上方に壁部位を配設する請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記現像部は、液体現像剤を収容する容器、液体現像剤を前記容器に流動させる管、及び前記潜像担持体ドラムの回転軸方向で前記現像部の一方側に配設されて前記管を着脱するジョイント部材を有し、
前記気流ダクトは、前記潜像担持体ドラムの回転軸方向で前記ジョイント部材から前記現像部の前記一方側と逆の他方側までの距離よりも長い請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記気流ダクトは、連続または階段状に傾斜している請求項1ないし3のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記気流ダクトは前記コロナ帯電器から離れる方向で鉛直方向の下方に傾斜し、
前記コロナ帯電器の反対側端部に前記液体現像剤の液溜り部を配設し、
前記液溜り部に排出ドレンが接続される請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記排出ドレンに接続されて液体現像剤を回収する回収容器を配設する請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記帯電部と前記現像部との間に前記潜像担持体ドラムに潜像を形成する露光部を配設し、
前記気流ダクトに前記露光部の鉛直方向の上方を覆うカバー部材を配設する
請求項1ないし6のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
潜像が形成される潜像担持体ドラムと、
前記潜像担持体ドラムを帯電するコロナ帯電器、及び前記コロナ帯電器の前記潜像担持体ドラムの回転軸方向で長く構成されて前記コロナ帯電器に気流を流動させる気流ダクトを有する帯電部と、
前記気流ダクトの鉛直方向の上方に配され、前記潜像担持体ドラムの回転軸方向で前記気流ダクトよりも短く構成されて、前記潜像担持体ドラムに形成された潜像をトナー及びキャリア液を含む液体現像剤で現像する現像部と、
を備えることを特徴とする潜像担持体ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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