説明

画像形成装置および画像形成システム

【課題】印刷データに対する加工処理を外部装置が行う場合に,外部装置による加工処理の,実行遅延の回避が期待できる画像形成装置および画像形成システムを提供すること。
【解決手段】プリンタ100は,プリンタの検索要求,プリンタの能力取得要求,プリンタの状態取得要求,印刷データに関連付けられた印刷設定の検査要求,外部記憶装置の装着検知,の各信号の少なくとも1つを受け付ける。そして,これらの印刷を予見させる信号を受信したことを条件として,加工サーバ400に加工処理を実行するためのリソースを確保する。そして,リソースを確保した後,加工サーバ400に印刷データの加工を依頼する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,印刷機能を有する画像形成装置および画像形成システムに関する。さらに詳細には,印刷データに対する加工処理を外部装置である加工サーバが実行する画像形成装置および画像形成システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から,データ変換処理や画像処理等,印刷データに対する加工処理を外部装置に依頼し,その処理後のデータを受信して印刷する画像形成装置が知られている。例えば,高級言語のインタプリタが組み込まれていない画像形成装置では,その高級言語で構成されている印刷データを受信した場合に,高級言語のインタプリタが組み込まれているサーバに画像データの変換を依頼することで,その画像データの印刷を実現している。
【0003】
このように,印刷データを外部装置に転送し,外部装置が画像形成装置に代わって加工処理を行う技術としては,例えば,特許文献1に開示されている印刷システムがある。この印刷システムでは,外部装置としてRIP(Raster image processor)サーバを設け,そのRIPサーバと同一のネットワークに含まれるプリンタが画像データを受け取ると,そのRIPサーバにRIP処理を依頼する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−227927号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら,前記した従来の画像形成装置には,次のような問題があった。すなわち,画像形成装置(本装置)が印刷データを受け取った時点で外部装置に加工処理を依頼するため,外部装置が他装置からの依頼に基づく処理等を行っていると,本装置の加工処理用のリソースを確保できないことがある。その場合,本装置の印刷データに対する加工処理を直ぐには開始できず,本装置の加工処理用のリソースを確保するまで加工処理の実行が待たされてしまう。
【0006】
本発明は,前記した従来の技術が有する問題点を解決するためになされたものである。すなわちその課題とするところは,印刷データに対する加工処理を外部装置が行う場合に,外部装置による加工処理の,実行遅延の回避が期待できる画像形成装置および画像形成システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この課題の解決を目的としてなされた画像形成装置は,印刷データに対する加工処理を実行する加工サーバと通信回線を介して接続する画像形成装置であって,画像形成装置の検索要求,画像形成装置の能力取得要求,画像形成装置の状態取得要求,印刷データに関連付けられた印刷設定の検査要求,外部記憶装置の装着検知,の各信号の少なくとも1つを受信する要求受信部と,前記要求受信部が信号を受信した場合に,前記加工サーバに前記加工処理を実行するためのリソースを確保する確保部と,前記確保部にて前記加工サーバのリソースを確保した後,前記加工サーバに印刷データの加工を依頼する依頼部とを備えることを特徴としている。
【0008】
本発明の画像形成装置は,画像形成装置の検索要求,画像形成装置の能力取得要求,画像形成装置の状態取得要求,印刷データに関連付けられた印刷設定の検査要求,外部記憶装置の装着検知,の各信号の少なくとも1つを受け付ける。これらの信号は,画像形成装置に対する印刷命令に先立って出力されることが多く,印刷を予見させる信号と言える。そして,これらの印刷を予見させる信号を受信したことを条件として,加工サーバに加工処理を実行するためのリソースを確保する。リソースの確保としては,例えば,メモリ領域の確保命令の出力や専用回線の確立が該当する。そして,本発明の画像形成装置は,リソースを確保した後,加工サーバに印刷データの加工を依頼する。
【0009】
すなわち,本発明の画像形成装置では,加工処理を依頼する前に,加工サーバに本発明の画像形成装置用のリソースが確保される。このことから,本発明の画像形成装置が加工サーバに加工処理を依頼した際には,加工サーバが本発明の画像形成装置からの依頼を直ぐに実行することができる。そのため,リソースを確保できないことによる加工処理の,実行遅延の回避が期待できる。なお,加工処理としては,例えばRIP処理,ウォーターマーク処理,透かし処理が該当する。また,PCLからポストスクリプト等,あるPDLを他のPDLに変換する処理であってもよい。
【0010】
また,本発明の画像形成装置は,印刷データの前記加工サーバでの加工処理が必要か否かをデータの種類によって判断するデータ判断部を備え,前記データ判断部にて加工処理が必要と判断された場合には,前記確保部は前記加工サーバのリソースを確保し,前記依頼部は前記加工サーバに印刷データの加工を依頼し,前記データ判断部にて加工処理が不要と判断された場合には,前記確保部は前記加工サーバのリソースを確保せず,前記依頼部は前記加工サーバに印刷データの加工を依頼しないとよい。印刷データが加工サーバでの加工処理が不要なデータであれば,加工サーバにリソースを確保せず,加工サーバに加工処理を依頼しない方が,加工サーバのリソースの有効利用の観点から好ましい。
【0011】
また,本発明の画像形成装置は,自装置が前記加工処理を実行する実行機能を有しているか否かを判断する機能判断部を備え,前記機能判断部にて実行機能を有していないと判断された場合には,前記確保部は前記加工サーバのリソースを確保し,前記依頼部は前記加工サーバに印刷データの加工を依頼し,前記機能判断部にて実行機能を有していると判断された場合には,前記確保部は前記加工サーバのリソースを確保せず,前記依頼部は前記加工サーバに印刷データの加工を依頼しないとよい。自装置で加工処理ができるのであれば,加工サーバにリソースを確保せず,自装置で加工処理を行った方が,通信負荷の軽減やデータの安全性の観点から好ましい。
【0012】
また,本発明の画像形成装置は,印刷が不可能なエラーが自装置に発生しているか否かを判断するエラー判断部を備え,前記エラー判断部にてエラーが発生していないと判断された場合には,前記確保部は前記加工サーバのリソースを確保し,前記依頼部は前記加工サーバに印刷データの加工を依頼し,前記エラー判断部にてエラーが発生していると判断された場合には,前記加工サーバのリソースを確保せず,前記依頼部は前記加工サーバに印刷データの加工を依頼しないとよい。自装置でエラーが発生しているのであれば,加工サーバで加工処理を行ったとしても加工後の印刷データを直ぐには印刷できない。そのため,加工サーバにリソースを確保せず,加工サーバに加工処理を依頼しない方が,加工サーバのリソースの有効利用の観点から好ましい。
【0013】
また,本発明の画像形成装置は,前記確保部にて前記加工サーバのリソースを確保した後,所定時間以上前記加工サーバに印刷データの加工を依頼していない場合には,前記加工サーバのリソースの確保状態を解除する解除部を備えるとよい。長期間にわたり特定の装置に加工サーバのリソースを独占させることは好ましくない。そのため,所定時間以上印刷データの加工を依頼しなければ,印刷の意思が無いと見做し,リソースを解放する方が望ましい。
【0014】
また,前記確保部は,前記要求受信部が印刷データに関連付けられた印刷設定の検査要求を受信した場合に,前記加工サーバに前記加工処理を実行するためのリソースを確保し,前記確保部にて前記加工サーバのリソースを確保した後であって印刷データを受信する前に,前記要求受信部がその検査対象の印刷データと同一のユーザから検査要求を受信した場合に,前記加工サーバのリソースの確保状態を解除する第2解除部を備えるとよい。2回続けて同一のユーザから検査要求を受けた場合には,1回目の印刷データをキャンセルした可能性が高い。そのため,2回続けて同一のユーザから検査要求を受けた場合には,1回目の印刷データ用に確保したリソースは不要と見做し,リソースを解放する方が望ましい。
【0015】
また,上記の画像形成装置は,前記確保部にて前記加工サーバのリソースを確保した後であって印刷データを受信する前に,前記要求受信部がその検査対象の印刷データと同一のユーザから検査要求を受信した場合に,その検査対象の印刷データの加工処理が必要か否かを判断する第2データ判断部を備え,前記第2データ判断部にてリソースの確保が必要と判断された場合,前記第2解除部はリソースの確保状態を維持し,前記第2データ判断部にてリソースの確保が不要と判断された場合,前記第2解除部は前記加工サーバのリソースの確保状態を解除するとよい。2回目の印刷データについてもリソースの確保が必要な場合もある。そのため,リソースの確保が必要となった場合に,リソースの確保を維持し,リソースの確保が不要になった場合に,リソースの確保を解除する方が好ましい。
【0016】
また,本発明は,印刷データを印刷する画像形成装置と,前記印刷データに対する加工処理を実行する加工サーバと,を備える画像形成システムであって,前記画像形成装置は,画像形成装置の検索要求,画像形成装置の能力取得要求,画像形成装置の状態取得要求,印刷データに関連付けられた印刷設定の検査要求,外部記憶装置の装着検知,の各信号の少なくとも1つを受信する要求受信部と,前記要求受信部が信号を受信した場合に,前記加工サーバに前記加工処理を実行するためのリソースを確保する確保命令を出力する確保部と,前記確保部にて確保命令を出力した後,前記加工サーバに印刷データの加工を依頼する依頼部とを備え,前記加工サーバは,前記画像形成装置から前記確保命令を受信した場合,前記加工処理を実行するためのリソースを確保する確保実行部とを備えることを特徴とする画像形成システムを含んでいる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば,印刷データに対する加工処理を外部装置が行う場合に,外部装置による加工処理の,実行遅延の回避が期待できる画像形成装置および画像形成システムが実現される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】実施の形態にかかるプリンタの電気的構成を示すブロック図である。
【図2】プリンタとクラウドサーバとのデータの送受信のタイミングを示すタイミングチャートである。
【図3】検査データの構成を示す図である。
【図4】プリンタの検査データ受信処理の動作手順を示すフローチャートである。
【図5】プリンタの印刷データ受信処理の動作手順を示すフローチャート(その1)である。
【図6】プリンタの印刷データ受信処理の動作手順を示すフローチャート(その2)である。
【図7】加工サーバの予約処理の動作手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下,本発明にかかる画像形成装置を具体化した実施の形態について,添付図面を参照しつつ詳細に説明する。本形態は,高級言語のインタプリタ機能を有していないプリンタに本発明を適用したものである。
【0020】
[プリンタの構成]
本形態のプリンタ100(画像形成装置の一例)は,図1に示すように,CPU31と,ROM32と,RAM33と,NVRAM(Non Volatile RAM)34とを備えた制御部30を備えている。また,制御部30は,用紙に画像を印刷する画像形成部10と,動作状況の表示やユーザによる入力操作の受付を行う操作パネル40と,ネットワークインターフェース37と,USBインターフェース38とに,電気的に接続されている。
【0021】
ROM32には,プリンタ100を制御するための制御プログラムであるファームウェアや各種設定,初期値等が記憶されている。RAM33およびNVRAM34は,各種制御プログラムが読み出される作業領域として,あるいは印刷データを一時的に記憶する記憶領域として利用される。
【0022】
CPU31(要求受信部,確保部,依頼部,データ判断部,機能判断部,エラー判断部,解除部,第2データ判断部,第2解除部の一例)は,ROM32から読み出した制御プログラムや各種センサから送られる信号に従って,その処理結果をRAM33またはNVRAM34に記憶させながら,プリンタ100の各構成要素を制御する。
【0023】
ネットワークインターフェース37およびUSBインターフェース38は,他の装置との通信を可能にするインターフェースである。プリンタ100は,ネットワークインターフェース37を介して他の装置から送信される印刷データを受信する。また,プリンタ100は,USBインターフェース38を介してプリンタ100に装着された他の装置(例えば,フラッシュメモリ)のデータにアクセスする。
【0024】
また,画像形成部10は,用紙に画像を印刷することができればよく,画像形成方式については電子写真方式であってもインクジェット方式であってもよい。また,カラー印刷が可能であってもよく,モノクロ印刷専用であってもよい。本形態では,電子写真方式であって,カラー印刷が可能なものとする。
【0025】
また,操作パネル40は,ユーザ入力を受け付ける各種のボタンと,文字情報やボタン等を表示するタッチパネル画面とを有している。各種のボタンとしては,例えば,印刷動作の開始を指示するOKボタンや,印刷動作のキャンセルを指示するキャンセルボタンがある。
【0026】
[画像形成システムの構成]
続いて,プリンタ100,クラウドサーバ300および加工サーバ400を有する画像形成システム900について説明する。クラウドサーバとは,クラウドコンピューティングの概念において,クラウドの先にある仮想化サーバであり,クラウドの中にパケットを通過させ,WEBブラウザで操作ができるサーバである。図1は,プリンタ100,スマートフォン200,クラウドサーバ300,および加工サーバ400が,インターネットに接続されている画像形成システム900を示している。スマートフォンとは,個人用の携帯コンピュータの機能を併せ持った携帯電話である。
【0027】
プリンタ100は,印刷データの印刷を実行するものである。プリンタ100は,PCLやポストスクリプト等のPDLデータについてのRIP機能を有しているが,その他の言語のRIP機能は有していない。
【0028】
スマートフォン200は,クラウドサーバ300に対し,印刷データを記憶したり,印刷データの印刷指示を入力したりするものである。クラウドサーバ300は,スマートフォン200等の情報処理装置から出力される印刷ジョブを記憶し,その記憶した印刷ジョブをプリンタ100等の画像形成装置に送信する装置である。なお,クラウドサーバ300は,スマートフォン200に限らず,他装置からも印刷データを受け付けており,クラウドサーバ300には複数の印刷データがアップロードされる。また,クラウドサーバ300は,プリンタ100に限らず,他装置への印刷データの送信が可能である。
【0029】
加工サーバ400は,プリンタ100で加工できない加工処理を,プリンタ100に代わって実行する装置である。例えば,画像形成システム900では,プリンタ100でRIP処理ができない印刷データについては,加工サーバ400がプリンタ100に代わってRIP処理を行う。
【0030】
画像形成システム900では,あらかじめスマートフォン200等によって,印刷データがクラウドサーバ300に記憶される。ユーザは,そのクラウドサーバ300に記憶されている印刷データを印刷する際,スマートフォン200あるいはプリンタ100を操作してクラウドサーバ300にログインし,印刷対象の印刷データを選択して印刷指示を入力する。なお,スマートフォン200から印刷指示を入力する場合,ユーザは印刷を実行するプリンタも選択する(本実施例ではプリンタ100が選択されたものとして説明する)。印刷指示が入力されると,選択された印刷データがプリンタ100で印刷される。
【0031】
[画像形成システムの動作手順]
続いて,画像形成システム900の具体的な動作手順について,図2のタイミングチャートを参照しつつ説明する。以下の説明では,印刷データがクラウドサーバ300に記憶されているものとする。なお,クラウドサーバ300がユーザから指示を受け付ける前提として,ユーザがクラウドサーバ300にログインしているものとする。また,クラウドサーバ300への指示は,実際にはクラウドサーバ300にログインした装置(例えばスマートフォン200やプリンタ100)から行うが,以下の説明では,そのログインした装置とクラウドサーバ300とのデータのやりとりは省略する。
【0032】
画像形成システム900では,先ず,ユーザが印刷を実行するプリンタを選択する。本形態では,プリンタ100が選択されたものとする。プリンタ100が選択されると,クラウドサーバ300は,その選択されたプリンタ100に対して,そのプリンタの能力を応答することを要求する能力情報通知要求を送信する。
【0033】
プリンタ100は,クラウドサーバ300からの能力情報通知要求を受信すると,自身のスペックをクラウドサーバ300に通知する。この能力通知では,少なくともプリンタのスペック情報を応答する。ステータス情報(トナー不足や用紙切れ等の印刷可能状態であるか否かを決定する情報)は,含まれていなくてもよい。
【0034】
能力通知を受信したクラウドサーバ300では,ユーザが,クラウドサーバ300に登録されている印刷データのうち,印刷対象となる印刷データを選択する。そして,印刷設定を行う。ユーザによる印刷設定が完了すると,クラウドサーバ300にその印刷設定に従った印刷実行命令が入力される。
【0035】
クラウドサーバ300は,印刷実行命令を受け付けると,印刷データの送信に先立って,選択されたプリンタ(本形態ではプリンタ100とする)に対して,印刷設定に従った検査要求を送信する。
【0036】
検査要求には,図3に示すように,用紙サイズ等の印刷設定が含まれる検査データ90が付加される。検査データ90には,印刷設定の内容(本形態では,少なくとも用紙サイズ,両面印刷設定,カラー設定,解像度,用紙種類,部数を含むものとする)と,印刷データのファイル名と,印刷データの種類と,ユーザ名とが記憶される。なお,図3に示したデータ構造は,印刷設定の代表的な項目を列挙した一例であってこれに限るものではない。例えば,より詳細な印刷設定を記憶してもよい。あるいは,図3に示した項目より少ない項目から構成されるものであってもよい。検査データ90には,印刷ジョブに関する印刷設定は含まれるが,印刷データそのものは含まれない。なお,本形態では,能力情報通知要求および検査要求は,クラウドプリントのプロトコルであるIPP2.0に準拠しているものとする。
【0037】
プリンタ100は,検査要求を受信すると,その検査要求に付加されている検査データ90の,印刷設定の各項目について,印刷可能か否かを解析する。この解析では,プリンタ自身のスペックの他,ステータスも考慮される。そのため,スペックとしては印刷可能であってもステータスとして印刷不可であれば,印刷不可と判断する。例えば,カラー印刷が可能なプリンタであって,何れかの色でトナー不足が検出されている場合には,スペックとしてはカラー印刷可能であるが,カラー印刷が可能な状態にはならない。そのため,印刷不可となる。この他,プリンタ100に,特定のユーザの印刷を禁止する設定がある場合には,その特定のユーザからの検査要求は,印刷不可と判断する。プリンタ100は,解析結果を,検査結果通知としてクラウドサーバ300に送信する。
【0038】
また,プリンタ100は,検査要求を受信すると,必要に応じて加工サーバ400に予約要求を送信する。加工サーバ400は,予約要求を受信すると,所定サイズのメモリ領域をそのプリンタ100用に確保する予約処理を行う。予約処理の詳細については後述する。
【0039】
クラウドサーバ300は,検査結果通知を受信した後,印刷可能であれば,その検査結果に対応する印刷ジョブをプリンタ100に送信する。印刷不可であれば,印刷設定に不備があることをユーザに通知する。その後,クラウドサーバ300は,印刷設定のやり直しをユーザに求めてもよい。あるいは,印刷設定に従った印刷が不可であるがそれでも印刷を継続するか否かをユーザに問い合わせてもよい。
【0040】
プリンタ100は,印刷ジョブを受信すると,その印刷ジョブに含まれる印刷設定に従って,その印刷ジョブに含まれる印刷データを印刷する。この印刷の際,プリンタ100がその印刷データのRIP処理を実行できない場合,その印刷データに対するRIP処理を依頼する加工要求を加工サーバ400に送信する。加工サーバ400は,加工要求を受け付けると,その印刷データの加工処理を行い,加工後の印刷データをプリンタ100に返送する。プリンタ100は,加工サーバ400から加工後の印刷データを受け取り,その加工後の印刷データを印刷する。印刷完了後は,印刷完了通知をクラウドサーバ300に送信する。なお,印刷中にエラーが生じた場合には,エラー通知をクラウドサーバ300に送信する。
【0041】
[プリンタの制御]
[検査データ受信処理]
続いて,上述の画像形成システム900の印刷動作を実現するプリンタ100の検査データ受信処理(要求受信部,確保部,データ判断部,機能判断部,エラー判断部の一例)について,図4のフローチャートを参照しつつ説明する。検査データ受信処理は,プリンタ100が検査要求を受信したことを契機に,プリンタ100の制御部30によって実行される。
【0042】
検査データ受信処理では,先ず,受信した検査データ90に記憶されている印刷設定の各項目について,印刷可能か否かを解析する(S101)。次に,検査データ90に対応する印刷データについて,加工サーバ400での加工処理が必要か否かを判断する(S102,データ判断部,機能判断部の一例)。
【0043】
S102では,例えば,検査データ90に含まれるデータ種類の情報を基に,加工処理が必要なデータか否かを判断する。例えば,PCLやポストスクリプト等のPDLデータに対応するRIP機能を有し,高級言語のデータに対応するRIP機能を有しないプリンタでは,PDL以外のデータタイプのデータはビットマップデータに変換できない。そのため,データタイプがPDLデータであることを示す情報でなければ,加工処理が必要と判断する。また,データタイプがビットマップデータであれば,加工処理が不要と判断する。
【0044】
この他,S102では,プリンタ100自身が有する機能に基づいて判断してもよい。例えば,プリンタ100がRIP機能を有しているか否かを判断し,RIP機能を有していなければ,どのようなデータであっても加工処理が必要と判断してもよい。
【0045】
加工サーバ400での加工処理が不要な場合,すなわちプリンタ100自身で印刷データの加工が可能な場合(S102:NO),さらにプリンタ100自身が別の印刷ジョブの処理を実行中であるか否かを判断する(S103)。
【0046】
プリンタ100が別の印刷ジョブの処理を実行している場合,すなわちプリンタ100がRIP処理を直ぐには実行できない場合(S103:YES),加工サーバ400にてRIP処理を行った方が加工後の印刷データを早期に取得できることがある。また,加工サーバ400での加工処理が必要な場合,すなわちプリンタ100自身で印刷データの加工が不可能な場合(S102:YES),加工サーバ400によるRIP処理が必要になる。そこで,S102あるいはS103の条件を満たす場合,プリンタ100は,加工サーバ400にてRIP処理を行うこと,すなわち外部処理を決定する(S121)。
【0047】
ただし,加工サーバ400のリソースを確保してもプリンタ100自身が印刷可能でなければ,印刷物が得られない。そこで,予約要求に先立って,プリンタ100自身に印刷が不可能なエラーが発生しているか否かを判断する(S122,エラー判断部の一例)。印刷が不可能なエラーとしては,例えば,用紙無しやトナー切れが該当する。
【0048】
エラーが発生している場合には(S122:YES),印刷不可に決定する(S123)。この印刷不可の決定は,後述のS106で送信される検査結果に反映される。S123の後は,S106に移行する。
【0049】
エラーが発生していない場合には(S122:NO),加工サーバ400に対して,加工サーバ400のリソースを確保するための予約要求を出力する(S131,確保部の一例)。加工サーバ400は,この予約要求を受信すると,予約要求を出力したプリンタ100用にリソースを確保する。より具体的には,加工サーバ400は,予約要求を出力したプリンタ100用に,自身のメモリ領域のうち,所定量の領域を確保する。プリンタ100用にメモリ領域が確保されると,プリンタ100からの依頼以外の処理ではそのメモリ領域の使用ができなくなる。すなわち,プリンタ100は,その確保されたメモリ領域を優先的に使用することができる。加工サーバ400の動作の詳細については後述する。S131の後は,S106に移行する。
【0050】
一方,プリンタ100が別の印刷ジョブの処理を実行していない場合には(S103:NO),プリンタ100自身でRIP処理を行うこと,すなわち内部処理を決定する(S104)。なお,S104の時点では,印刷データを取得していないため,内部処理の決定のみを行い,RIP処理は行わない。
【0051】
S104の後,加工サーバ400が自装置用に予約済みであるか否かを確認する(S105)。確認方法としては,加工サーバ400に直接問い合わせてもよいし,予約したことをプリンタ100自身が記憶していてもよい。予約済みの場合(S105:YES),S104にてプリンタ自身でRIP処理を行うことが決定していることから,不要な予約を行っていることになる。そこで,加工サーバ400に対して予約の取消要求を出力する(S141)。加工サーバ400は,この取消要求を受信すると,プリンタ100用に確保したリソースを解放する。
【0052】
予約されていない場合(S105:NO),あるいはS123,S131,S141のいずれかを行った後,S101での検査結果をクラウドサーバ300に送信する(S106)。その後,印刷データ受信処理を起動し(S107),検査データ受信処理を終了する。これにより,加工サーバ400に予約要求を出力した場合には,加工サーバ400に所定量のメモリ領域を確保した状態で,印刷データを待つことになる。
【0053】
[印刷データ受信処理]
続いて,S107にて起動された印刷データ受信処理(依頼部,解除部,第2解除部,第2データ判断部の一例)について,図5のフローチャートを参照しつつ説明する。印刷データ受信処理も,検査データ受信処理と同様に,プリンタ100の制御部30によって実行される。
【0054】
印刷データ受信処理では,先ず,タイムアウトを検知するためのタイマーをセットする(S151)。その後,クラウドサーバ300からデータを受信したか否かを判断する(S152)。データを受信していない場合には(S152:NO),タイマーの計時時間が所定時間を超えてタイムアウトになったか否かを判断する(S161)。タイムアウトでなければ(S161:NO),S152に移行してデータの受信を待つ。タイムアウトであれば(S161:YES),加工サーバ400に対して予約の取消要求を出力する(S162,解除部の一例)。そして,タイマーをリセットし(S163),印刷データ受信処理を終了する。
【0055】
一方,データを受信した場合には(S152:YES),その受信したデータに印刷データが含まれているか否かを判断する(S153)。印刷データが含まれている場合には(S153:YES),タイマーをリセットする(S154)。
【0056】
S154の後,RIP処理について内部処理を行うか否かを判断する(S155)。内部処理を行う場合には(S155:YES),受信した印刷データのRIP処理をプリンタ100自身で行う(S156)。一方,内部処理を行わない場合には(S155:NO),加工サーバ400に対してRIP処理を依頼する加工要求を出力する(S171,依頼部の一例)。加工サーバ400は,この加工要求を受信すると,加工要求に添付される印刷データについてRIP処理を実行する。加工サーバ400では,事前の予約要求によって所定量のメモリ領域が確保されていることから,概ね遅延することなくRIP処理を開始できる。そして,RIP処理後の印刷データをプリンタ100に返送する。
【0057】
プリンタ100は,S156のRIP処理の後,あるいはS171の後にRIP処理後の印刷データを受信した後,そのRIP処理後の印刷データについて印刷を開始する(S157)。なお,印刷完了後は,クラウドサーバ300に対して印刷完了通知を送信する。S157の後,印刷データ受信処理を終了する。
【0058】
また一方で,受信したデータに印刷データが含まれていない場合には(S153:NO),図6のS181に移行し,受信したデータに検査データが含まれているか否かを判断する(S181)。検査データも含まれていない場合には(S181:NO),図5のS152に移行して次のデータの受信を待つ。
【0059】
検査データが含まれている場合には(S181:YES),その検査データの所有ユーザが,加工サーバ400に対して予約要求を出力したユーザと,同一か否かを判断する(S182)。同一のユーザでない場合(S182:NO),図5のS152に移行して次のデータの受信を待つ。
【0060】
同一のユーザであれば(S182:YES),リソース確保の必要性を再判断する(S183,第2データ判断部の一例)。すなわち,同一のユーザから続けて検査データを受け付けた場合には,先に予約要求を行った印刷ジョブをキャンセルした可能性が高い。そのため,2回続けて同一のユーザから検査要求を受けた場合には,予約の必要性の判断をやり直す。判断方法は,例えば検査データ受信処理のS102と同じ判断処理を行えばよい。
【0061】
予約が不要な場合,すなわちリソースの確保が不要な場合は(S183:NO),予約済みであるか否かを確認する(S184)。確認方法は,例えば検査データ受信処理のS105と同じ確認を行えばよい。予約済みであった場合には(S184:YES),不要な予約を行っていることになる。そこで,加工サーバ400に対して予約の取消要求を出力する(S185,第2解除部の一例)。その後,タイマーをリセットし(S186),印刷データ受信処理を終了する。
【0062】
一方,予約が必要な場合,すなわちリソースの確保が必要な場合は(S183:YES),予約した状態を維持した方が好ましい。また,予約されていなければ(S184:NO),予約を取り消す必要がない。そこで,予約が必要な場合(S183:YES),あるいは予約されていない場合(S184:NO),S185の取消要求を出力することなく,タイマーをリセットし(S186),印刷データ受信処理を終了する。
【0063】
なお,2回目に受信した検査データについては,その検査データを受信したことによって起動される検査データ受信処理によって検査データの解析が行われ,その結果がクラウドサーバ300に送信される。そして,その検査データ受信処理によって起動される印刷データ受信処理によって印刷が実行される。
【0064】
[加工サーバの制御]
[予約処理]
続いて,画像形成システム900の印刷動作を実現する加工サーバ400の予約処理(確保実行部の一例)について,図7のフローチャートを参照しつつ説明する。予約処理は,加工サーバ400が予約要求を受信したことを契機に,加工サーバ400によって実行される。
【0065】
予約処理では,先ず,予約要求を行ったユーザと同一のユーザに対するメモリ領域が既に確保されているか否かを判断する(S201)。メモリ領域が確保されている場合,すなわち既に予約済みの場合には(S201:YES),特定のユーザによるメモリ領域の大量独占を回避するため,メモリ領域を確保することなく,予約処理を終了する。
【0066】
メモリ領域が確保されていない場合には(S201:NO),加工サーバ400自身のメモリ領域のうち,所定の領域分を確保する(S202,確保実行部の一例)。その後,RIP処理の対象である印刷データを受信したか否かを判断する(S203)。印刷データを受信していない場合には(S203:NO),取消要求を受信したか否かを判断する(S221)。取消要求も受信していない場合には(S221:NO),S203に移行し,どちらかを受信するまで待機する。
【0067】
印刷データを受信した場合には(S203:YES),その印刷データに対応するRIP処理を実行する(S204)。その後,RIP処理後の印刷データを,予約要求の出力元に送信する(S205)。その後は,S202で確保したメモリ領域を解放し(S206),予約処理を終了する。
【0068】
取消要求を受信した場合には(S221:YES),RIP処理を行う必要が無くなるため,RIP処理を行うことなく,S202で確保したメモリ領域を解放し(S206),予約処理を終了する。
【0069】
以上詳細に説明したように本形態のプリンタ100では,RIP処理(加工処理の一例)を依頼する前に,加工サーバ400に予約要求を行い,加工サーバ400にプリンタ100用のリソースを確保する。このことから,印刷データを受信した後に,加工サーバ400にRIP処理を依頼する際には,加工サーバ400がプリンタ100からの依頼を直ぐに実行することができる。そのため,リソースを確保できないことによるRIP処理の,実行遅延の回避が期待できる。
【0070】
なお,本実施の形態は単なる例示にすぎず,本発明を何ら限定するものではない。したがって本発明は当然に,その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良,変形が可能である。例えば,プリンタは,印刷機能を備えるものであればよく,複合機や複写機であっても適用可能である。また,プリンタに印刷ジョブを投入する装置は,スマートフォン等のモバイル装置に限るものではなく,例えば,デスクトップPCやノートPC等の情報処理装置であってもよい。
【0071】
また,実施の形態では,スマートフォン200からクラウドサーバ300を介してプリンタ100にジョブが送信されるが,これに限るものではない。例えば,スマートフォン200からプリンタ100に直接印刷ジョブが送信されてもよい。この場合,スマートフォン200が,クラウドサーバ300が行っている検査要求の送信を行う。
【0072】
また,実施の形態では,プリンタ100は検査要求を受信したことを契機に加工サーバ400に予約要求を送信しているが,予約を行う条件はこれに限るものではない。すなわち,印刷を予見させる要求を受信したタイミングであればよく,例えば能力情報通知要求を受信したタイミングであってもよい。能力情報通知要求であっても,プリンタ100に対して印刷データが送信される可能性が高まるため,加工サーバ400に対して予約を行ってもよい。なお,能力情報通知要求は,検査要求よりも早期に受信することから,より早期に加工サーバ400のリソースを確保できる。一方で,能力情報通知要求を出力するタイミングは,まだプリンタを検索している段階であり,ユーザがどのプリンタを利用するか不明である。そのため,検査要求を出力するタイミングと比較して,印刷データが送信されない可能性も高い。そのため,リソース確保の無駄を低減するためには,検査要求の受信を契機に予約を行う方が好ましい。また,検査データを受信する際には,その検査データの内容から印刷データのサイズを推測できる。そのため,確保するメモリ量をそのデータサイズに合わせて変更することもでき,無駄に多くのメモリ領域を確保する必要がない。
【0073】
また,予約を行うための印刷を予見させる要求としては,検査要求(印刷設定の検査要求の一例)や,能力情報通知要求(能力取得要求の一例)の他,例えばプリンタの検索要求や,プリンタの状態取得要求であってもよい。プリンタの検索要求は,プリンタか否かを問い合わせる要求であり,例えばクラウドサーバ300がプリンタの一覧を提供する際に出力される。また,プリンタの状態取得要求は,プリンタのステータスを問い合わせる要求であり,例えばクラウドサーバ300がプリンタ個々の状態を提供する際に出力される。
【0074】
この他,予約を行うための印刷を予見させる要求としては,例えばUSBインターフェース38がフラッシュメモリの装着を検知したタイミングであってもよい。フラッシュメモリが装着された場合も,そのフラッシュメモリに記憶されているデータの印刷指示が入力される可能性が高まる。そのため,加工サーバ400に対して予約を行ってもよい。
【0075】
また,実施の形態では,RIP処理を外部装置である加工サーバ400で行っているが,外部装置で行う加工処理はRIP処理に限るものではない。例えば,ウォーターマーク処理,透かし処理であってもよい。また,PCLからポストスクリプト等,あるPDLを他のPDLに変換する処理であってもよい。
【0076】
また,実施の形態では,加工サーバ400のリソースの確保として,メモリ領域の確保を行っているが,これに限るものではない。例えば,プリンタ100との専用回線を確立し,他装置との通信を制限してもよい。これにより,加工サーバ400は,プリンタ100とのデータの送受信を,他の装置との通信よりも優先して行うことになる。よって,加工サーバ400によるRIP処理の,実行遅延の回避が期待できる。
【0077】
また,実施の形態では,S102,S103,S121あるいはS183において,予約要求を出力する条件を判断しているが,これらの要件は必須ではない。例えば,これらの条件を判断せず,検査データを受信する度に予約要求を出力する構成であってもよい。
【0078】
また,実施の形態では,印刷データ受信処理において,S181以降の処理として検査データを再度受信した場合に取消要求を出力するか否かを決定しているが,これらの処理は必須ではない。例えば,受信したデータが印刷データでなければ(S153:NO),S152に移行して印刷データを待つように構成してもよい。
【0079】
また,実施の形態では,予約後のタイムアウトの管理をプリンタ100が行っているが,加工サーバ400で行っても良い。すなわち,加工サーバ400が予約要求を受けたことを条件にタイマーを起動し,その計時時間が所定時間を経過した場合に加工サーバ400が予約を取り消してもよい。
【符号の説明】
【0080】
10 画像形成部
30 制御部
100 プリンタ
200 スマートフォン
300 クラウドサーバ
400 加工サーバ
900 画像形成システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷データに対する加工処理を実行する加工サーバと通信回線を介して接続する画像形成装置において,
画像形成装置の検索要求,画像形成装置の能力取得要求,画像形成装置の状態取得要求,印刷データに関連付けられた印刷設定の検査要求,外部記憶装置の装着検知,の各信号の少なくとも1つを受信する要求受信部と,
前記要求受信部が信号を受信した場合に,前記加工サーバに前記加工処理を実行するためのリソースを確保する確保部と,
前記確保部にて前記加工サーバのリソースを確保した後,前記加工サーバに印刷データの加工を依頼する依頼部と,
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1に記載する画像形成装置において,
印刷データの前記加工サーバでの加工処理が必要か否かをデータの種類によって判断するデータ判断部を備え,
前記データ判断部にて加工処理が必要と判断された場合には,前記確保部は前記加工サーバのリソースを確保し,前記依頼部は前記加工サーバに印刷データの加工を依頼し,前記データ判断部にて加工処理が不要と判断された場合には,前記確保部は前記加工サーバのリソースを確保せず,前記依頼部は前記加工サーバに印刷データの加工を依頼しないことを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載する画像形成装置において,
自装置が前記加工処理を実行する実行機能を有しているか否かを判断する機能判断部を備え,
前記機能判断部にて実行機能を有していないと判断された場合には,前記確保部は前記加工サーバのリソースを確保し,前記依頼部は前記加工サーバに印刷データの加工を依頼し,前記機能判断部にて実行機能を有していると判断された場合には,前記確保部は前記加工サーバのリソースを確保せず,前記依頼部は前記加工サーバに印刷データの加工を依頼しないことを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1つに記載する画像形成装置において,
印刷が不可能なエラーが自装置に発生しているか否かを判断するエラー判断部を備え,
前記エラー判断部にてエラーが発生していないと判断された場合には,前記確保部は前記加工サーバのリソースを確保し,前記依頼部は前記加工サーバに印刷データの加工を依頼し,前記エラー判断部にてエラーが発生していると判断された場合には,前記加工サーバのリソースを確保せず,前記依頼部は前記加工サーバに印刷データの加工を依頼しないことを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1つに記載する画像形成装置において,
前記確保部にて前記加工サーバのリソースを確保した後,所定時間以上前記加工サーバに印刷データの加工を依頼していない場合には,前記加工サーバのリソースの確保状態を解除する解除部を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか1つに記載する画像形成装置において,
前記確保部は,前記要求受信部が印刷データに関連付けられた印刷設定の検査要求を受信した場合に,前記加工サーバに前記加工処理を実行するためのリソースを確保し,
前記確保部にて前記加工サーバのリソースを確保した後であって印刷データを受信する前に,前記要求受信部がその検査対象の印刷データと同一のユーザから検査要求を受信した場合に,前記加工サーバのリソースの確保状態を解除する第2解除部を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
請求項6に記載する画像形成装置において,
前記確保部にて前記加工サーバのリソースを確保した後であって印刷データを受信する前に,前記要求受信部がその検査対象の印刷データと同一のユーザから検査要求を受信した場合に,その検査対象の印刷データの加工処理が必要か否かを判断する第2データ判断部を備え,
前記第2データ判断部にてリソースの確保が必要と判断された場合,前記第2解除部はリソースの確保状態を維持し,前記第2データ判断部にてリソースの確保が不要と判断された場合,前記第2解除部は前記加工サーバのリソースの確保状態を解除することを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
印刷データを印刷する画像形成装置と,前記印刷データに対する加工処理を実行する加工サーバと,を備える画像形成システムにおいて,
前記画像形成装置は,
画像形成装置の検索要求,画像形成装置の能力取得要求,画像形成装置の状態取得要求,印刷データに関連付けられた印刷設定の検査要求,外部記憶装置の装着検知,の各信号の少なくとも1つを受信する要求受信部と,
前記要求受信部が信号を受信した場合に,前記加工サーバに前記加工処理を実行するためのリソースを確保する確保命令を出力する確保部と,
前記確保部にて確保命令を出力した後,前記加工サーバに印刷データの加工を依頼する依頼部と,
を備え,
前記加工サーバは,
前記画像形成装置から前記確保命令を受信した場合,前記加工処理を実行するためのリソースを確保する確保実行部と,
を備えることを特徴とする画像形成システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−75365(P2013−75365A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−215003(P2011−215003)
【出願日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】