説明

画像形成装置および画像形成装置の制御方法

【課題】
ADFを有する画像形成装置において、設定シートを読み込ませて、その内容を画像形成装置に反映する場合は、設定シートを原稿と一緒に読み込ませていた。しかしながら、上記のような設定を行う際には、常に設定シートを原稿束と同じく読み込ませる必要があり、例えば同じ設定シートを繰り返し使う場合に劣化が発生する、または設定シートをクリアファイル等に入れていた場合には手間がかかって使い勝手が悪い、という問題を生じていた。
【解決手段】
設定シートをプラテンガラス10から読み込み、原稿束を読み取り装置3から読み込むことによって設定シートの劣化を防ぎ、使い勝手の良い画像形成装置を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は自動紙送り装置を持つ画像形成装置および画像形成装置の制御方法に関する
【背景技術】
【0002】
画像形成装置の設定を記述した設定シートを読み込ませることによって、画像形成装置の設定を本体に取り込む技術が開発されている。(特許文献1参照)
これは、原稿の1枚目に決められたフォーマットで書き込まれた設定シートを入れておき、画像形成装置が原稿を1枚読みこんで、設定シートであると判断したときには、画像形成装置の設定が、設定シートに記載されているように変更され、続く原稿束の処理を行う、という技術である。
【0003】
しかしながら、上記のような設定を行う際には、常に設定シートを原稿束と同じく読み込ませる必要があり、例えば同じ設定シートを繰り返し使う場合に劣化が発生したり、設定シートをクリアファイル等に入れていた場合には手間がかかって使い勝手が悪い、という問題を生じていた。
【特許文献1】特開2001−282055
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は上記問題を解決するために為されたものであり、設定シートをプラテンから読み込み、原稿束を読み取り装置から読み込むことによって設定シートの劣化を防ぎ、使い勝手の良い画像形成装置および画像形成装置の制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は上記目的を達成するために為されたものであり、プラテンガラス面上に第一の原稿が載置された事を検知する第一の検知部と、原稿を連続して読み取る読み取り装置に第二の原稿が載置された事を検知する第二の検知部と、前記第一の検知部および前記第二の検知部の情報に基づいて、前記第一の原稿を読み取るか、又は前記第二の原稿を読み取るかを決定する決定部と、前記決定部の決定に従って前記第一の原稿を読み込んだ際に、前記第一の原稿が設定シートか否かを判断する判断部と、前記判断部によって前記第一の原稿が前記設定シートであると判断されたときには、前記設定シートの情報に従ってシステム設定を変更する制御部と、を有する事を特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、設定シートの劣化を防ぎ、使い勝手の良い画像形成装置を提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下に本発明の実施例について図を参照しながら説明する。
【実施例1】
【0008】
本発明の実施例1を図面1乃至5を用いて説明する。
図1に本発明の実施例1に係る画像形成装置の外観図を示す。図2に本発明の実施例1に係る第一の検知部の説明図、図3に本発明の実施例1に係る第二の検知部の説明図を示す。
【0009】
図1において、1は画像形成装置、3は読み取り装置、5は操作部、10はプラテンガラスを示している。また、図2において、2は第一の検知部、4は第二の検知部、
画像形成装置1のプラテンガラス10上に第一の原稿が置かれたことを検知する第一の検知部2と、読み取り装置3に第二の原稿が置かれたことを検知する第二の検知部4によって、原稿の有無が監視されている。また、画像形成装置1は各種操作、設定を行うことが可能な操作部5を持ち、画像形成装置1の各種動作の設定はこの操作部5にて行われる。
【0010】
図2に示すように、第一の検知部2は複数の自動原稿検知センサ31から成っている。31aは自動原稿検知センサa、31bは自動原稿検知センサb、31cは自動原稿検知センサc、31dは自動原稿検知センサd、31eは自動原稿検知センサe、31fはホームポジションセンサ、36はSLG基板、38はスキャンモータ、39は露光ランプ、40はランプインバータ基板を示す。
【0011】
原稿をプラテンガラス10に置いて、読み取りを行う際には、ランプインバータ基板40によって制御される露光ランプ39をスキャンモータ38にて駆動しながら原稿を露光する。この際に、原稿を露光した露光ランプ39からの光がCCDにて入力され、光電変換されて画像データとして画像形成装置1に取り込まれる。
【0012】
このプラテンガラス10に原稿を置いた際には、自動原稿検知センサ31によって原稿の有無や原稿の大きさを検知することが可能である。
また、図3に示すように、第二の検知部4も同様に複数のセンサから成っている。53は原稿トレイセンサ、54は原稿トレイ幅センサ、55は原稿レジストセンサ、56は原稿幅検知センサである。原稿を読取装置3に置いた際に、これらの原稿幅検知センサ56の上に原稿が有るか無いかを検知することにより、読取装置3上の原稿の有無や原稿の大きさを検知することが可能である。
【0013】
図4に本発明の実施例1に係る画像形成装置の制御概念図を示す。
6は制御部、11は決定部、12は判断部、を示している。第一の検知部2によってプラテンガラス10上の原稿の有無が検知され、一方、第二の検知部4によって読取装置3上の原稿の有無が検知される。そして、これらの情報は決定部11へと送られる。
【0014】
決定部11では、上記情報に基づき、第一の原稿と第二の原稿のいずれか、または両方を読み取るか否かを決定する。そして、その結果読み込まれた原稿について、その原稿が画像形成装置1の設定シートであるか否かを判断部12にて判断し、制御部6にて画像形成装置1の設定を設定シートに記されたシステム設定に変更する。
【0015】
図5に本発明の実施例1に係る画像形成装置の動作フローチャートを示す。
まず、利用者が第一の原稿をプラテンガラス10に置くと、第一の検知部2がプラテンガラス10上に第一の原稿が有ることを検知し(S01)、利用者が原稿を読み取り装置3に置くと、第二の検知部4が読み取り装置3上に第二の原稿が有ることを検知する(S02)。
利用者がSTARTボタンを押すと(S03)、決定部11はプラテンガラス10と読み取り装置3に原稿があるという情報を受けてどちらの原稿を読み込むかを決定している。本実施例においてはプラテンガラス10と読取装置3の双方に原稿が有るという情報を受けて、プラテンガラス10上の第一の原稿を読み取る(S04)。
【0016】
続いて、判断部12では、この第一の原稿が設定シートか否かを判断する。(S05)
この判断は、例えば第一の原稿を読み取った画像を、特定のバーコードや、一定のフォーマットによって記載されているか、等を読み取った画像と比較するといった既知の方法を用いている。
【0017】
ここでS05にて設定シートと判断された場合(S05にてY)には、その設定シートに記載の内容を画像形成装置1に反映する(S06)。そして読取装置3に原稿があることを確認し(S07)、原稿があれば(S07にてY)、S06にて反映された設定内容で読取装置3の原稿について画像形成動作を行い(S08)、終了する。S07にて原稿がなければ(S07にてN)、終了する。
【0018】
また、S05にて、第一の原稿が設定シートでは無いと判断された場合(S05にてN)には、そのまま読取り装置3の原稿の画像形成動作を行い(S08)終了する。
【実施例2】
【0019】
続いて図6を用いて第二の実施例について説明する。尚、実施例1と同一部分については説明を省略し、本実施例に特徴的な部分のみを説明する。また、同一の構成物については同一の符号を用いることとし、これ以降の実施例についても同様とする。
【0020】
図6に本発明の実施例2に係る画像形成装置の動作フローチャートを示す。S01からS05までは実施例1と同様のフローとなっている。S05にて第一の原稿設定シートと
判断されると(S05にてY)、設定シート反映可能かどうかが判断される(S100)。これは、S05にて、読み込まれた原稿が設定シートであることが判断された場合であっても、設定シートの破損や汚損、あるいは記載不備等で設定シートの内容を画像形成装置1に反映することができない場合がある為である。
【0021】
ここで設定シート反映可能と判断されると(S100でY)、その設定を画像形成装置1に反映する(S102)。そして読取装置3に原稿があることを確認し(S104)、原稿があれば(S104にてY)、S102にて反映された設定内容で読取装置3の原稿について画像形成動作を行い(S106)、終了する。S104にて原稿がなければ(S104にてN)、終了する。
【0022】
S05にて第一の原稿が設定シートでは無いと判断された場合(S05にてN)、もしくはS100にて設定シートが反映可能でないと判断された場合(S100にてN)、画像形成装置1から警報が発せられる(S108)。この警報は、画像形成装置1の操作部5上に表示されても良いし、画像形成装置1にネットワークで接続されたコンピュータに表示されても良い。
【0023】
この警報が発せられた際、利用者は画像形成動作を終了するか否かを判断する(S110)。利用者が画像形成動作を終了すると(S110にてY)そのまま終了し、利用者が画像形成動作を終了しないと(S110にてN)、画像形成装置1の設定を変更せずに読み取り装置3上の第二の原稿について画像形成動作を行い(S106)、その後終了する。
【0024】
また、第一の原稿が、設定シートであることを認識したものの途中から汚れていた場合や、読み取りが出来なくなったような場合には、利用者に対しその旨の報知を操作部5によって行い、読み取り動作を中止しても良いし、途中読み込めたところまでの設定を画像形成装置1に反映しても良い。
【実施例3】
【0025】
続いて図7を用いて第三の実施例について説明する。
図7に本発明の実施例3に係る画像形成装置の動作フローチャートを示す。S01、S02は実施例1と同様のフローとなっている。第一の原稿の検知、第二の原稿の検知が行われると、操作部5によって画像形成装置1の設定が入力されているかを判断する(S200)。
【0026】
S200による判断とは、例えば画像形成装置1の初期状態と異なる設定を操作部5によって指定されているかどうかの判断となる。
ここで、操作部5による設定が入力されていなかった場合、(S200にてN)には、第一の原稿を読み取る(S202)。S202以降S214までのステップについては実施例2と同様なため説明を省略する。
【0027】
操作部5によって画像形成装置1の設定が入力されている場合には(S200にてY)、
利用者は優先設定を行う(S220)。これは、現在操作部5にて設定されている画像形成装置1の設定を優先的に行うか、設定シートによる画像形成装置1の設定を優先的に行うかの設定である。優先順位の付け方については、例えば操作部5に表示して利用者に確認を促すようにしても良いし、操作部5にてどちらを優先させるかを予め指定しておいても良い。
【0028】
ここで、操作部5による設定を優先としたとき(S222にてY)、この操作部5による設定を画像形成装置1に反映し(S224)、続いてS208へと進む。
操作部5による設定を優先としないとき(S222にてN)、プラテンガラス10上の第一の原稿を読み取る(S202)。ここでこの第一の原稿が設定シートであり(S204にてY)、設定シート反映可能であれば(S206にてY)、その設定を画像形成装置1に反映する(S207)。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の実施例1に係る画像形成装置の外観図。
【図2】本発明の実施例1に係る第一の検知部の説明図。
【図3】本発明の実施例1に係る第二の検知部の説明図。
【図4】本発明の実施例1に係る画像形成装置の制御概念図。
【図5】本発明の実施例1に係る画像形成装置の動作フローチャート。
【図6】本発明の実施例2に係る画像形成装置の動作フローチャート
【図7】本発明の実施例3に係る画像形成装置の動作フローチャート
【符号の説明】
【0030】
1:画像形成装置
2:第一の検知部
3:ADF
4:第二の検知部
5:操作部
6:制御部
10:プラテンガラス
11:決定部
12:判断部
31:自動原稿検知センサ
36:SLG基板
37:SLG基板冷却ファン
38:スキャンモータ
39:露光ランプ
40:ランプインバータ基板
53:原稿トレイセンサ
54:原稿トレイ幅センサ
55:原稿レジストセンサ
56:原稿幅検知センサ



【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラテンガラス面上に第一の原稿が載置された事を検知する第一の検知部と、
原稿を連続して読み取る読み取り装置に第二の原稿が載置された事を検知する第二の検知部と、
前記第一の検知部および前記第二の検知部の情報に基づいて、前記第一の原稿を読み取るか、又は前記第二の原稿を読み取るかを決定する決定部と、
前記決定部の決定に従って前記第一の原稿を読み込んだ際に、前記第一の原稿が設定シートか否かを判断する判断部と、
前記判断部によって前記第一の原稿が前記設定シートであると判断されたときには、前記設定シートの情報に従ってシステム設定を変更する制御部と、
を有する画像形成装置。
【請求項2】
前記決定部は、プラテンガラス面上に前期第一の原稿が載置されているときは前記第一の原稿を読み取り、読み取り装置に前記第二の原稿が載置されているときは前記第二の原稿を読み取り、前記第一の原稿がプラテンガラス面上に置かれ、且つ前記第二の原稿が読み取り装置に載置されているときは前記第一の原稿と前記第二の原稿とを読み取る機能を有することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記読み取り装置は、前記プラテンガラス上に前記第一の原稿が載置されていても、前記第二の原稿を読み取る機能を有することを特徴とする請求項1および請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記システム設定の指示および表示可能な操作部をさらに有し、前記制御部は前記操作部からの入力に基づいてシステム設定を行うことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記操作部は、前記設定シートから読み取られたシステム設定と、前記操作部によって指示されたシステム設定との間に優先順位を付ける機能を有することを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
プラテンガラス面上に第一の原稿が載置された事を検知する第一の検知部と、原稿を連続して読み取る読み取り装置に第二の原稿が載置された事を検知する第二の検知部と、を有する画像形成装置の制御方法であって、
前記第一の原稿が載置された事を検知する第一の工程と、
前記第二の原稿が載置された事を検知する第二の工程と、
前記第一の工程および前記第二の工程の結果に基づいて、前記第一の原稿を読み取るか、又は前記第二の原稿を読み取るかを決定する第三の工程と、
前記第一の原稿を読み込んだ際に、前記第一の原稿が設定シートか否かを判断する第四の工程と、
前記第一の原稿が前記設定シートであると判断されたときには、前記設定シートの情報に従ってシステム設定を変更する第五の工程と、
を有する画像形成装置の制御方法。
【請求項7】
前記第三の工程は、プラテンガラス面上に前期第一の原稿が載置されているときは前記第一の原稿を読み取り、読み取り装置に前記第二の原稿が載置されているときは前記第二の原稿を読み取り、前記第一の原稿がプラテンガラス面上に置かれ、且つ前記第二の原稿が読み取り装置に載置されているときは前記第一の原稿と前記第二の原稿とを読み取る工程であることを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置の制御方法。







【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−328084(P2007−328084A)
【公開日】平成19年12月20日(2007.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−158335(P2006−158335)
【出願日】平成18年6月7日(2006.6.7)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】