説明

画像形成装置および画像形成装置の制御方法

【課題】用紙詰まりが発生した場合に、インク吐出面に付着した用紙をインク吐出面から剥離させることができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】本発明に係る画像形成装置1は、画像形成部2と、用紙搬送部4と、移動機構7と、用紙保持機構8と、制御部とを備える。画像形成部2は、インクを吐出するインク吐出面22を有し、インク吐出面22からインクを吐出させることによって用紙上に画像を形成する。用紙搬送部4は、インク吐出面22に対向して配置され用紙が載置される搬送面47を有し、インク吐出面22に対向する位置に用紙を搬送する。移動機構7は、インク吐出面22に対して搬送面47を近接・離反する方向に移動させる。用紙保持機構8は、用紙を搬送面47上に保持させる。そして、制御部は、用紙の搬送中に用紙詰まりが発生した場合に、用紙保持機構8を作動させた状態で搬送面47をインク吐出面22から離反するように移動させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置および画像形成装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェットヘッドを採用した画像形成装置では、用紙供給部によって用紙を搬送している途中で用紙詰まりが生じる場合がある。この場合、用紙詰まりを解消する作業のために、使用者が手などをインクジェットヘッド付近に挿入することがある。この場合、手や用紙などがインクジェットヘッドのインク吐出面に接触すると、インク吐出面に開口しているインク吐出用ノズル内のインクのメニスカスが破壊される恐れがある。つまり、手がインクジェットヘッドのノズルに触れることで手に付着しているゴミ等がノズル内に入ってメニスカスが破壊される場合がある。
【0003】
そこで、従来、用紙詰まりが発生したときに、シート状のシャッターによってインク吐出面を覆う技術が提案されている(特許文献1参照)。これにより、使用者の手がインク吐出面に触れることを防止することができ、品質のよい画像形成を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−96187号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記のような画像形成装置では、用紙詰まり時に用紙がインク吐出面に付着していると、シャッターがインク吐出面と対向する位置に移動する際に、用紙がシャッターに巻き込まれてしまう恐れがある。
【0006】
本発明の課題は、用紙詰まりが発生した場合に、インク吐出面に付着した用紙をインク吐出面から剥離させることができる画像形成装置および画像形成装置の制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1発明に係る画像形成装置は、画像形成部と、用紙搬送部と、移動機構と、用紙保持機構と、制御部とを備える。画像形成部は、インクを吐出するインク吐出面を有し、インク吐出面からインクを吐出させることによって用紙上に画像を形成する。用紙搬送部は、インク吐出面に対向して配置され用紙が載置される搬送面を有し、インク吐出面に対向する位置に用紙を搬送する。移動機構は、インク吐出面に対して搬送面を近接・離反する方向に移動させる。用紙保持機構は、用紙を搬送面上に保持させる。そして、制御部は、用紙の搬送中に用紙詰まりが発生した場合に、用紙保持機構を作動させた状態で搬送面をインク吐出面から離反するように移動させる。
【0008】
この画像形成装置では、用紙が搬送面上に保持された状態で搬送面をインク吐出面から離反させることにより、インク吐出面に付着した用紙をインク吐出面から剥離させることができる。
【0009】
第2発明に係る画像形成装置は、第1発明の画像形成装置であって、用紙保持機構は、用紙が搬送面上に保持されるように搬送面を通して用紙を吸引する。
【0010】
この画像形成装置では、用紙保持機構によって、用紙が搬送面を通して吸引されることにより、用紙が搬送面上に保持される。
【0011】
第3発明に係る画像形成装置の制御方法は、インクを吐出するインク吐出面を有し、インク吐出面からインクを吐出させることによって用紙上に画像を形成する画像形成部と、インク吐出面に対向して配置され用紙が載置される搬送面を有し、インク吐出面に対向する位置に用紙を搬送する用紙搬送部と、インク吐出面に対して搬送面を近接・離反する方向に移動させる移動機構と、用紙を搬送面上に保持させる用紙保持機構と、を備える画像形成装置の制御方法であって、以下のステップを備える。
【0012】
(i)用紙保持機構を作動させるステップ:
(ii)用紙の搬送中に用紙詰まりが発生した場合に、用紙保持機構を作動させた状態で搬送面をインク吐出面から離反するように移動させるステップ:
この画像形成装置の制御方法では、用紙が搬送面上に保持された状態で搬送面をインク吐出面から離反させることにより、インク吐出面に付着した用紙をインク吐出面から剥離させることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る画像形成装置および画像形成装置の制御方法では、用紙詰まりが発生した場合に、インク吐出面に付着した用紙をインク吐出面から剥離させることができる
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】画像形成装置の概略構成を示す図。
【図2】搬送面の拡大図。
【図3】離反状態の搬送ベルトを示す図。
【図4】インク吐出面保護機構の構成を示す上面図。
【図5】図4におけるA−A断面図であり、待機位置のキャップ部材を示す図。
【図6】図4におけるA−A断面図であり、保護位置のキャップ部材を示す図。
【図7】画像形成装置の制御ブロック図。
【図8】通常の画像形成時の制御フローを示す図。
【図9】用紙詰まり発生時の制御フローを示す図。
【図10】インク吐出面保護機構の動作を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
〔全体構成〕
本発明の一実施形態が採用された画像形成装置1の概略構成を図1に示す。この画像形成装置1は、インクジェットプリンタであり、図示しない外部のコンピュータなどに接続されており、このコンピュータから送信された画像情報に基づいて画像形成可能な装置である。画像形成装置1は、画像形成部2と、用紙収納部3と、用紙搬送部4と、移動機構7と、インク吐出面保護機構6(図4〜6参照)と、用紙保持機構8と、排出部5と、制御部9(図7参照)とを備えている。
【0016】
画像形成部2は、画像情報に基づいて画像を形成する部分であって、複数のインクジェットヘッド21を備えている。インクジェットヘッド21は、後述する用紙搬送部4の用紙搬送ベルト42の上側に4つ並べて配置されており、用紙に画像情報に基づいてインクを吐出する部分である。また、各インクジェットヘッド21は、それぞれ異なる色のインクを収納しており、収納しているインクを吐出する複数の孔が設けられたインク吐出面22を有している。さらに、各インクジェットヘッド21は用紙搬送部4の搬送方向に垂直な幅とほぼ同一の幅にインクを吐出して画像を形成することが可能な、所謂ラインタイプのインクジェットヘッドである。なお、図1では、インク吐出面22の1つにのみ符号を付して他は省略している。インク吐出面22は、インクジェットヘッド21の下面に設けられており、前後方向に細長い長方形状を有している。画像形成部2は、インク吐出面22からインクを吐出させることによって、用紙上に画像を形成することができる。なお、ここでいう「前後方向」とは図1において紙面に垂直な方向を意味しており、インク吐出面22の長手方向や、後述するキャップ部材の長手方向と同義である。特に、図1の紙面に垂直な方向において手前側を「前方」、奥側を「後方」とする。また、以下の説明において「左右方向」とは、図1における左右方向を意味しており、インク吐出面22の短手方向と同義である。
【0017】
用紙収納部3は、画像を形成する用紙を収納可能な部分であって、画像形成装置1の下部に配置されている。また、用紙収納部3は、用紙供給側の先端部上方に、用紙搬送部4に用紙を供給するための用紙供給ローラ31を有している。
【0018】
用紙搬送部4は、用紙収納部3の用紙を画像形成部2に搬送し、画像形成部2で表面に画像が形成された用紙を排出部5に搬送する。この用紙搬送部4は、用紙を搬送するための複数のローラ41と、搬送ベルト42とを備えている。搬送ベルト42は、インクジェットヘッド21の下側に配置されており、両端に搬送ベルト42を循環させるためのローラ44,45が配置された無端ベルトである。搬送ベルト42は、ベルト支持部材43にローラ44,45を介して支持されている。また、図2に示すように、搬送ベルト42には、上下方向に空気が通過可能なように搬送ベルト42を貫通する複数の孔46が設けられている。これらの孔46は、例えば直径4mm程度の大きさであり、20mm程度の間隔を隔てて搬送ベルト42上に一様に設けられている。なお、図2では、孔46の1つにのみ符号を付して他は省略している。
【0019】
搬送ベルト42の上面は、複数のインクジェットヘッド21のインク吐出面22に対向する平坦な形状となっており、インク吐出面22に対向するように用紙が載置される搬送面47となっている。搬送面47の下方には、搬送面47上を搬送される用紙の搬送方向に沿ってガイド板48が設けられている。図2に示すように、ガイド板48には、ガイド板48を貫通する複数のスリット49が設けられており、搬送ベルト42の孔46と重なることにより、搬送面47およびガイド板48を空気が通過することができる。なお、図2は、搬送面47の上面図であり、搬送面47の下方にガイド板48が重なって配置されている。
【0020】
移動機構7は、搬送ベルト42を上下に昇降させることにより、搬送面47をインク吐出面22に対して近接・離反させる装置である。移動機構7は、搬送ベルト42の下方に配置されており、一対の偏心カム71,72を有している。一対の偏心カム71,72のうち図1において左側に位置する偏心カム71(以下、「第1偏心カム71」と呼ぶ)は、軸部73を中心に回転可能に設けられており、図示しないモータによって回転駆動される。第1偏心カム71には複数のベアリング74が設けられており、第1偏心カム71は、ベアリング74を介してベルト支持部材43を支持している。なお、図1では、ベアリング74の1つのみに符号を付して他は省略している。図1において右側に位置する偏心カム72(以下、「第2偏心カム72」と呼ぶ)は、第1偏心カム71と同様の構造であり、第1偏心カム71と図1における左右方向に対象な形状を有している。図1は、搬送ベルト42が上昇した状態を示しており、この状態から、一対の偏心カム71,72が内側向きに回転することにより、搬送ベルト42が下降する(図3参照)。移動機構7は、画像形成部2によって用紙上に画像を形成する際には、搬送ベルト42を上昇させて図1に示す近接位置に移動させ、インクジェットヘッド21のインク吐出面22と用紙との間に、印刷に好適な間隙(本実施例では約1mm)を設ける。また、移動機構7は、運転停止状態においてインクジェットヘッド21のインク吐出面22をキャップ部材によって保護する際や、搬送ベルト42上で発生した用紙詰まりの処理を行う際には、搬送ベルト42を下降させて図3に示す離反位置に移動させ、インクジェットヘッド21と用紙との間の間隙を広げる。
【0021】
インク吐出面保護機構6は、図4〜6に示すように、キャップ部材60と、リンク機構61と、駆動装置62とを有する。なお、図4は、インク吐出面保護機構6の上面図であり、図5,6は、図4におけるA−A断面図である。
【0022】
キャップ部材60は、インク吐出面22を覆うことによりインク吐出面22を保護するための部材であり、プレート部63と側壁部64とを有する。プレート部63は、インク吐出面22の形状に対応した長方形状を有し、金属板から形成されている。側壁部64は、プレート部63のインク吐出面22と対向する側の面すなわち上面に立設されており、プレート部63の縁に沿って設けられている。側壁部64は、ゴムなどの弾性材料から形成されており、プレート部63がインク吐出面22のインク吐出用の孔に接触しないようにプレート部63の全周にわたって設けられている。キャップ部材60は、リンク機構61によって、所定の待機位置から、インク吐出面22よりもインク吐出面22に対向する用紙に近接する側、すなわち、インク吐出面22よりも下方に移動したのちに、インク吐出面22を覆う位置に移動するように設けられている。
【0023】
リンク機構61は、キャップ支持部材65と、側板66と、駆動円板67とを有する。
【0024】
キャップ支持部材65は、キャップ部材60の前後方向の端部を支持しており、上下方向に延びた形状を有している。キャップ支持部材65の下端部には、キャップ部材60が接続されており、キャップ支持部材65に対して垂直に取り付けられている。キャップ支持部材65の上端部にはシャフト部材68が設けられている。シャフト部材68は、前後方向に延びた形状を有しており、キャップ支持部材65からキャップ部材60と反対側に突出するように設けられている。
【0025】
側板66は、キャップ部材60を案内するための案内部材であり、キャップ部材60およびインクジェットヘッド21の前方に配置された板状の部材である。側板66には、キャップ部材60を案内するためのスリット69が設けられている。このスリット69は、左右方向に延びた水平部分69aと、水平部分69aの一端部に繋がっており上下方向に延びた第1鉛直部分69bと、水平部分69aの他端部に繋がっており上下方向に延びた第2鉛直部分69cとを有する。
【0026】
駆動円板67は、側板66のスリット69に沿ってキャップ部材60が移動するように駆動装置62からの駆動力をキャップ部材60に伝達する駆動力伝達部材である。駆動円板67は、回転可能に設けられており、駆動円板67の回転中心は、側板66のスリット69の第1鉛直部分69bと第2鉛直部分69cとの間に位置している。また、駆動円板67には、回転中心から半径方向に延びるスリット67aが設けられている。この駆動円板67のスリット67aは、駆動円板67が回転することによって、側板66のスリット69と重なる位置を移動することができる。上述したキャップ部材60のシャフト部材68は、側板66のスリット69および駆動円板67のスリット67aに通されており、各スリット67a,69に沿って移動することができる。なお、図5に示すように、駆動円板67のスリット67aが側板66のスリット69の第1鉛直部分69bと重なっており、シャフト部材68が第1鉛直部分69bに位置する場合は、キャップ部材60は、インクジェットヘッド21の側方であり且つインク吐出面22よりも高い位置である待機位置に位置している。また、図6に示すように、駆動円板67のスリット67aが側板66のスリット69の第2鉛直部分69cと重なっており、シャフト部材68が第2鉛直部分69cに位置する場合は、キャップ部材60は、インク吐出面22を覆う保護位置に位置している。なお、駆動円板67のスリット67aが側板66のスリット69の水平部分69aと重なっており、シャフト部材68が水平部分69aに位置する場合は、キャップ部材60は、インク吐出面22より下方に位置している(図6において二点鎖線で示したキャップ部材60’参照)。なお、図4では、インク吐出面保護機構6の前端側のみを図示しているが、後端側も同様の構造である。
【0027】
図4に示す駆動装置62は、駆動円板67を回転させるためのステッピングモータであり、駆動装置62の回転軸X1は駆動円板67の中心に固定されている。駆動装置62は、駆動円板67を回転させることにより、シャフト部材68を移動させ、これにより、キャップ部材60を移動させることができる。なお、駆動装置62は、駆動装置支持板59に固定されている。
【0028】
用紙保持機構8は、用紙を搬送面47上に保持させるための機構である。用紙保持機構8は、図1に示すように、複数の送風ファン81と、これらの送風ファン81を回転駆動するモータ(図示せず)を有しており、送風ファン81によって搬送面47およびガイド板48を通過する空気の対流を生じさせる。これにより、用紙保持機構8は、用紙が搬送面47上に保持されるように搬送面47を通して用紙を吸引することができる。なお、図1では、送風ファン81の1つにのみ符号を付して他は省略している。
【0029】
排出部5は、画像形成部2で画像が形成された用紙を排出するための部分であって、画像形成装置1の上部に配置されている。排出部5は、複数のローラ51を備えており、画像形成部2で画像が形成された用紙は、用紙搬送部4の搬送ベルト42および排出部5のローラ51によって搬送され、排出口52から機外へ排出される。
【0030】
制御部9は、図7に示すように、使用者が操作するための操作部11や、図示しない外部のパソコンと通信を行う通信部12からの入力に応じて、画像形成部2、用紙搬送部4、排出部5、移動機構7、用紙保持機構8、インク吐出面保護機構6などを制御することにより、画像形成などの各種の処理を行うことができる。
【0031】
〔画像形成装置の制御〕
以下、制御部9によって行われる画像形成装置1の制御について説明する。まず、通常の画像形成時の制御フローを図8に基づいて説明する
まず、第1ステップS1において、搬送ベルト42の移動が行われる。ここでは、移動機構7が作動することによって、インク吐出面22から離反した離反位置に待機していた搬送ベルト42がインク吐出面22に近接する近接位置に移動する(図1参照)。
【0032】
また、第2ステップS2において、用紙保持機構8が作動することによって、用紙が吸引されて搬送面47上に保持される。なお、第2ステップS2と第1ステップS1との順序は逆になってもよく、また、同時に実行されてもよい。
【0033】
第2ステップS2において用紙保持機構8が作動した後に、第3ステップS3において、用紙搬送部4が作動して、用紙の搬送が開始される。
【0034】
そして、第4ステップS4において、インク吐出面22からインクが吐出されることにより、用紙上に画像が形成される。そして、第5ステップS5において、画像が形成された用紙が装置外に排出される。
【0035】
用紙への画像形成が完了すると、第6ステップS6において、用紙搬送部4が停止され、第7ステップS7において、用紙保持機構8が停止される。
【0036】
その後、第8ステップS8において、搬送ベルト42の移動が行われる。ここでは、移動機構7が作動することによって、搬送ベルト42が、インク吐出面22に近接する近接位置から離反位置(図3参照)に移動する。
【0037】
次に、用紙詰まりが生じた場合の制御フローを図9に基づいて説明する。
【0038】
まず、第4ステップS4における画像形成動作中に実行される第11ステップS11において、用紙詰まりの発生が検知されると、第12ステップS12において、用紙搬送部4が停止される。なお、用紙詰まりの発生は以下のように検知される。すなわち、用紙が搬送される経路の最上流側のインクジェットヘッド21の上流側に設置された用紙先端通過検知センサ29で用紙の先端を検知した後に規定時間経過後、搬送ベルト42の下流に配置されたローラ51の直上流に配置された用紙後端検知センサで用紙の後端が検知できない場合には用紙が搬送ベルト42近辺の搬送経路で用紙詰まりを起こしていると判断される。
【0039】
そして、第13ステップS13において、搬送ベルト42の移動が行われる。ここでは、移動機構7が作動することによって、インク吐出面22に近接していた搬送ベルト42が近接位置から離反位置に移動する。なお、搬送ベルト42の移動が行われている間は、用紙保持機構8は作動状態となっており、用紙を搬送面47上に保持する吸引力が用紙に作用している状態が維持されている。このため、インク吐出面22に用紙が付着している場合には、用紙保持機構8による吸引力および搬送ベルト42が移動する力によって用紙をインク吐出面22から引き離すことができる。或いは、用紙をインク吐出面22に付着し難くすることができる。
【0040】
第13ステップS13において搬送ベルト42の移動が行われることにより、インク吐出面22と搬送面47との間の距離が拡大されると、第14ステップS14において、インク吐出面保護機構6が作動する。ここでは、キャップ部材60が待機位置(図10(a)参照)から保護位置(図10(c)参照)に移動することにより、インク吐出面22にキャップ部材60によって保護される。この際、キャップ部材60は、待機位置から保護位置へ移動する際にインク吐出面22より低い位置を通るため、用紙保持機構8の作動によっても用紙100がインク吐出面22から引き剥がせずにインク吐出面22に用紙が付着している場合には、キャップ部材60がインク吐出面22より低い位置へ移動しようとする力によって、用紙100がインク吐出面22から引き離される(図10(b)参照)。特に、キャップ部材60がインク吐出面22より低い位置を水平に移動してインク吐出面22に近づくことによって、インク吐出面22に付着した用紙100を確実に引き離すことができる。このため、上記の第13ステップS13においてインク吐出面22から用紙100を引き離すことができなかった場合であっても、第14ステップS14において、用紙100をインク吐出面22から用紙を引き離すことができる。そして、用紙100がインク吐出面22から引き離された後に、インク吐出面22をキャップ部材60によって保護することができる(図10(c)参照)。
【0041】
そして、第15ステップS15において、用紙保持機構8が停止される。
【0042】
〔特徴〕
この画像形成装置1では、用紙がインク吐出面22に付着した場合でも、インク吐出面22から用紙を容易に引き離すことができる。また、用紙をインク吐出面22から引き離した後にインク吐出面22をキャップ部材60で覆って保護することができる。
【0043】
〔他の実施形態〕
(a)上記の実施形態では、搬送面47の用紙側から反対側へと向かう空気の流れを生成して用紙を吸引することによって、用紙を搬送面47上に保持させる力を発生させている。しかし、上記とは異なる機構によって、用紙を搬送面47上に保持させる力を発生させてもよい。
【0044】
(b)上記の実施形態では、搬送面47をインク吐出面22から離反させた(第13ステップS13)後に、キャップ部材60を保護位置に移動させている(第14ステップS14)。しかし、第13ステップS13において搬送面47を離反位置まで移動させるのではなく、キャップ部材60が挿入可能な程度の間隙を確保するために僅かに搬送面47を移動させ、キャップ部材60を保護位置に移動させた後に、用紙保持機構8が作動した状態のまま再び搬送面47を移動させて離反位置まで移動させてもよい。これにより、インク吐出面22に付着した用紙をより確実に引き離すことができる。
【0045】
(c)上記の実施形態では、画像形成装置1として、カラープリンターが例示されているが、本発明はこれに限定されるものではなく、コピー機、ファクシミリ機としての機能を有する複合機やコピー機能のみを備えたものでもよい。また、カラー画像を形成可能なものに限らずモノクロ画像のみを形成可能な画像処理装置であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明は、用紙詰まりが発生した場合に、インク吐出面に付着した用紙をインク吐出面から剥離させることができる効果を有し、画像形成装置および画像形成装置の制御方法として有用である。
【符号の説明】
【0047】
1 画像形成装置
2 画像形成部
4 用紙搬送部
6 インク吐出面保護機構
7 移動機構
8 用紙保持機構
9 制御部
22 インク吐出面
47 搬送面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクを吐出するインク吐出面を有し、前記インク吐出面からインクを吐出させることによって用紙上に画像を形成する画像形成部と、
前記インク吐出面に対向して配置され用紙が載置される搬送面を有し、前記インク吐出面に対向する位置に用紙を搬送する用紙搬送部と、
前記インク吐出面に対して前記搬送面を近接・離反する方向に移動させる移動機構と、
用紙を前記搬送面上に保持させる用紙保持機構と、
前記用紙の搬送中に用紙詰まりが発生した場合に、前記用紙保持機構を作動させた状態で前記搬送面を前記インク吐出面から離反するように移動させる制御部と、
を備える画像形成装置。
【請求項2】
前記用紙保持機構は、用紙が前記搬送面上に保持されるように前記搬送面を通して用紙を吸引する、
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
インクを吐出するインク吐出面を有し、前記インク吐出面からインクを吐出させることによって用紙上に画像を形成する画像形成部と、前記インク吐出面に対向して配置され用紙が載置される搬送面を有し、前記インク吐出面に対向する位置に用紙を搬送する用紙搬送部と、前記インク吐出面に対して前記搬送面を近接・離反する方向に移動させる移動機構と、用紙を前記搬送面上に保持させる用紙保持機構と、を備える画像形成装置の制御方法であって、
前記用紙保持機構を作動させるステップと、
前記用紙の搬送中に用紙詰まりが発生した場合に、前記用紙保持機構を作動させた状態で前記搬送面を前記インク吐出面から離反するように移動させるステップと、
を備える画像形成装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−32024(P2013−32024A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−250990(P2012−250990)
【出願日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【分割の表示】特願2007−276278(P2007−276278)の分割
【原出願日】平成19年10月24日(2007.10.24)
【出願人】(000006150)京セラドキュメントソリューションズ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】