説明

画像形成装置の吸排気装置

【課題】 ファンを固定するファンホルダがダクトの一部を兼ねる構成の吸排気装置において、ファンホルダのダクト部の外周面に設けられたファン固定用のスナップ等の構造の周囲に出来た開口部から空気が漏れて給排気の効率が低下するのを防ぐ。また、部品点数の増加することなく上記の目的を達する。
【解決手段】 ダクト部の開口部を外側から覆うように開口部蓋をファンホルダと一体に設ける。また、外装カバーに設けられた外装側ダクトとオーバーラップさせて、ダクト同士の繋ぎ目の間に隙間ができないようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタ・複写機・ファクシミリ等の画像形成装置に関し、画像形成装置内部を冷却するために設けられた吸排気装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
プリンタ・複写機・ファクシミリ等の画像形成装置では、未定着のトナーによって用紙の上に形成されたトナー像を定着器によって加熱・加圧を行い、トナーを用紙に定着させる電子写真方式が一般的である。
【0003】
このような画像形成装置では定着器の他にも電源などの熱源を装置内部に備えている。これらの熱源から発せられる熱によって画像形成装置の筐体内部が高温になることを防止するため、吸排気装置を設けた構成の画像形成装置は数多く存在する。
【0004】
吸排気装置は気流を発生させるファンと、ファンを画像形成装置本体に固定するためのファンホルダと、外装部品に穴を開けて設けられた空気の吸排出口としてのルーバと、ルーバと筐体内の被冷却部を結ぶ風路を形成する筒状のダクトを有する構成のものが一般的である。
【0005】
このような吸排気装置では、ファンホルダにダクト部を設けることでダクトとファンホルダを一体で構成することで部品点数を削減した画像形成装置も多い。
【0006】
従来例としては、例えば特許文献1をあげることが出来る。
【特許文献1】特開平06-314012号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、上記のような構成の取付機構では、以下のような問題点があった。
【0008】
図6のように、ファンホルダにはファンを固定するためのスナップがファンホルダのダクト部の外周面に複数ヶ所設けられている。各スナップはダクト部に切り込みを入れることで片持ち梁の形状に形成されている。
【0009】
この切り込みによって形成される開口部から空気漏れが発生し、ルーバから取り込まれた外気の一部が開口部から漏れて被冷却部に届かなかったり、逆に画像形成装置内部の暖かい空気が開口部から混入したりして、被冷却部を冷却効率が低下するおそれがある。
【0010】
この課題を解決するには、ファンホルダとは別にファンを固定するための部材を新たに追加する、開口部を塞ぐための部材を新たに追加する、スナップを用いずにビス等でファンを固定する等の方法が考えられるが、これらの方法では部品点数が増加してしまい、コスト増大の要因となる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は下記の構成を特徴とする原稿読取部を備えた画像形成装置の吸排気装置である。
【0012】
(1)画像形成装置の内部を冷却するための吸排気装置において、気流を発生させるファンと、ファンを画像形成装置に保持するためのファンホルダと、ファンホルダと一体に設けられ風路の一部を構成する筒状のダクト部と、ファンホルダにファンを保持するための保持手段と、保持手段はダクト部の外周面に切り欠きを加えることでダクト部と一体に設けられ、保持手段の周囲の切り欠きによってできた開口部をダクト部の外側から覆うようにファンホルダと一体に設けられた開口部蓋とを備えることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置の吸排気装置。
【0013】
吸排気装置を少ない部品点数で構成しながら、ダクト部の開口部からの空気漏れによる冷却効率の低下を防ぐことが出来る。
【0014】
(2)画像形成装置の外装カバーの一部を開口することで設けられた空気の出入口としてのルーバと、外装カバーの本体内側に外装カバーと一体に設けられルーバを通過する空気の風路の一部を構成する筒状の外装側ダクト部とをそなえ、ファンホルダ側のダクト部と外装側ダクト部のうち一方がもう一方の外装を覆い、2つのダクトが一体となって風路を形成することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置の吸排気装置。
【0015】
ダクト部とルーバの間の隙間からの空気漏れによる冷却効率の低下を防ぐことが出来る。
【発明の効果】
【0016】
以上説明したように、本発明によれば、画像形成装置の吸排気装置において、ファンホルダのダクト部における開口部を覆うようにファンホルダと一体に設けられた開口部蓋を設けることによって、開口部の面積が減少し、吸排気装置を少ない部品点数で構成しながらダクト部の開口部からの空気漏れによる冷却効率の低下を防ぐことが出来る。
【0017】
また、外装カバー側にも筒状のダクト部を設け、ファンホルダ側のダクト部と一部が重なることによって、ダクト部とルーバの間の隙間からの空気漏れによる冷却効率の低下を防ぐことが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
(実施例1)
本発明の実施例1について図1〜図6を用いて説明する。
【0019】
ただし、以下の実施例に記載されている基本部品の寸法、材質、形状、それらの相対位置などは、本発明が適用される装置の構成や各種条件により適宜変更されるべきものであり、特に特定的な記載がない限りは、本発明の範囲をそれらのみに限定する主旨のものではない。
【0020】
図3は画像形成装置の外観を示す斜視図である。
【0021】
画像形成装置は画像形成部21と、画像形成部21の上部に設置された原稿読取部22から成る。
【0022】
原稿読取部22は内蔵されたイメージスキャナ(不図示)により原稿に印字された画像情報を読み取り、それを信号として画像形成部21へと送信する。
【0023】
画像形成部21は原稿読取部22から送信されてきた画像情報、あるいは画像形成装置に接続されたパーソナルコンピュータ等の情報端末から送信されてきた画像情報に基づいて、給紙トレイ23から給紙された用紙の上にトナーを転写し、トナーが積載された用紙を加熱定着することで用紙に画像を形成することができる。画像を形成された用紙は画像形成部21と原稿読取部22の間に設けられた排紙空間24へと排出・積載される。
【0024】
次に冷却装置としての吸排気装置について図1〜6を用いて説明する。
【0025】
図3に示すように、画像形成装置の外観の側面を構成する外装カバー1にはルーバ2が設けられている。ルーバ2はいくつかの横方向に長細いいくつかの通気孔によって構成されており、画像形成装置外部と内部の空気の出入口としての機能を有している。
【0026】
図4に示すように、画像形成部21から外装カバー1を取り外すと、画像形成部21の筐体を構成する筐体側板3が露出する。定着器や電源などの熱源はこの筐体内部に設置されており、筐体内部の雰囲気温度は高温となる。そのため、筐体内部の空気と筐体外部の空気を交換することで筐体内部を冷却する吸排気装置が必要となる。筐体内部に設置された各部位のうち、特に高温となると不具合が発生しやすく冷却を必要とする部位(画像形成装置の場合はレーザスキャナ、トナーカートリッジなど)を被冷却部(不図示)と呼ぶことにする。
【0027】
図1〜2に示すように、ルーバ2と対向する位置において、ファンホルダ4が筐体側板3に取り付けられている。また、ファンホルダ4の内部にはファン5が取り付けられている。ファンホルダ4は全体的に筒状の形を成しており、その端部はルーバ2の近傍まで伸びている。この筒状部分をダクト部4aと呼ぶ。
【0028】
一方、外装カバー1内側ではルーバ2を囲むような筒状の形を成した外装側ダクト6が外装カバー1と一体に設けられている。図1に示すように、外装側ダクト6はファンホルダ4のダクト部4aよりも一回り大きい。
【0029】
図2に示すように外装カバー1が取り付けられると、ダクト部4aの端部を全周において外装側ダクト6が覆う形状になる。これにより、外装ダクト6とダクト部4aで構成される風路において、両者の接続部に隙間はなくなるため、接続部における空気漏れを防ぐことができる。
【0030】
筐体側板3には側板通気孔3aが備えられており、ダクト部4aをとおった空気は側板通気孔3aを通って筐体内部の被冷却部へと送られる。
【0031】
以上のように、ルーバ2、外装側ダクト6、ダクト部4a、側板通気孔3aによって画像形成装置の外部と被冷却部を結ぶ風路が構成されている。
【0032】
被冷却部が複数あり、ルーバ2から取り込まれた外気を筐体内部の複数の方面へ送風する必要がある場合は、複数の側板通気孔3aを設けることでダクト部4aを通過した気流を分割することができる。例えば本実施例では図1〜2に示す通り、筐体内の上部向けの風路と下部向けの風路の2つの風路を設けるため、2つの側板通気孔3aを設けている。
【0033】
吸排気装置には、画像形成装置の外側の空気を吸引して筐体内部に送り込むことで被冷却部を冷却する吸気方式と、筐体内部の高熱の空気を画像形成装置の外部へと排出する排気方式とがある。本実施例においては吸排気装置は前者の吸気方式とし、ルーバ2から取り込まれた外気はファンホルダ4のダクト部4aおよび側板通気孔3aを通過し、筐体内部の被冷却部へと送られる。
【0034】
ただし、本件における吸排気装置は吸気方式に限るものではなく、設計者は実施の形態にあわせて吸気方式と排気方式を自由に選択することができる。
【0035】
次にファンホルダ4にファン5を固定する方法について図5を用いて説明する。
【0036】
ファンホルダ4にはダクト部4aの一部を切り欠いて形成されたスナップ4cが設けられている。ファン5をファンホルダ4に安定して保持するため、スナップ4cは複数ヶ所に設けることが望ましい。本実施例ではファン5を上下で固定するため、2つのスナップ4cを設けている。
【0037】
スナップ4cは片持ち梁の形状をしており、先端にはファン5を固定する為の爪形状を有している。
【0038】
ファン5をダクト部4aの奥へと押し込むと、ファン5の側面端部がスナップ4cの爪形状を乗り越え、ファン5は所定の位置に固定される。
【0039】
固定されたファン5とファンホルダ4の間にガタがあると、ファン5が回転して振動した時にガタガタ音が発生する場合がある。そこで、ダクト部4aにはスナップ4cの他にもファン5を付勢するための付勢部4dが設けられている。付勢部4dもスナップ4cと同様に、ダクト部4aの側面に切り込みを入れることで片持ち梁形状を形成している。付勢部4dによって、ファン5は付勢部4dと対向する側の面に設けられた突き当てリブ4eに常時突き当てられる。これにより、ファン5とファンホルダ4の間のガタが無くなり、ガタガタ音の発生を防ぐことが出来る。
【0040】
図6は従来例におけるファンホルダ4の拡大図である。スナップ4cや付勢部4dの周囲には切り欠きによって開口部4bが形成される。ルーバ2から吸気された空気がダクト部4aを通過する際、開口部4bから空気漏れが発生する。この場合、ルーバ2から取り込まれた外気の一部が開口部4bから漏れて被冷却部に届かなかったり、逆に画像形成装置の筐体と外装カバー1の間に溜まっている暖かい空気が開口部から混入したりして、被冷却部を冷却効率が低下するおそれがある。
【0041】
そこで本実施例では、図6で示すように、スナップ4cおよび付勢部4dの周囲の開口部4bを覆うような形状の開口部蓋4fをダクト部4aの外側に備えている。
【0042】
従来例(図5)と本実施例(図6)を比較して分かる通り、開口部蓋4fが無い場合に比べて開口部4bの面積が大幅に減っている。これにより、空気漏れによる外気吸引の効率低下を防ぐことが出来る。
【0043】
また、開口部蓋4fはファンホルダ4と一体であるため、部品点数の増加やコストアップが発生することは無い。
【0044】
(実施例2)
次に、本発明の第2の実施例について図7〜8を用いて説明する。
【0045】
第1の実施例ではダクト部4aよりも外装側ダクト6の方が一回り大きく、外装側ダクト6がダクト部4aを外側から覆っていた。
【0046】
一方、本実施例では図7〜8に示すように、逆に外装側ダクト6よりもダクト部4aの方が一回り大きく、ダクト部4aが外装側ダクト6を外側から覆っている。このような構成でも実施例1と同様にダクト部4aと外装側ダクト6の間の隙間を無くして空気漏れを防ぐことができる。外装カバー1やファンホルダ4の組み立て方、吸排気装置以外の部品との位置関係、あるいは外観上のデザインなどの諸条件を考慮して、設計者はダクト部4aと外装側ダクト6のどちらを外側にするか自由に選択することができる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】第1の実施例における吸排気装置(組立前)の斜視図
【図2】第1の実施例における吸排気装置(組立後)の斜視図
【図3】第1の実施例における画像形成装置全体の斜視図
【図4】第1の実施例における外装カバーを除いた画像形成装置全体の斜視図
【図5】第1の実施例におけるファンホルダおよびファンの斜視図
【図6】従来例におけるファンホルダおよびファンの斜視図
【図7】第2の実施例における吸排気装置(組立前)の斜視図
【図8】第2の実施例における吸排気装置(組立後)の斜視図
【符号の説明】
【0048】
1 外装カバー
2 ルーバ
3 筐体側板
3a 側板通気孔
4 ファンホルダ
4a ダクト部
4b 開口部
4c スナップ
4d 付勢部
4e 突き当てリブ
4f 開口部蓋
5 ファン
6 外装側ダクト
21 画像形成部
22 原稿読取部
23 給紙トレイ
24 排紙空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置の内部を冷却するための吸排気装置において、
気流を発生させるファンと、ファンを画像形成装置に保持するためのファンホルダと、ファンホルダと一体に設けられ風路の一部を構成する筒状のダクト部と、ファンホルダにファンを保持するための保持手段と、保持手段はダクト部の外周面に切り欠きを加えることでダクト部と一体に設けられ、保持手段の周囲の切り欠きによってできた開口部をダクト部の外側から覆うようにファンホルダと一体に設けられた開口部蓋とを備えることを特徴とする画像形成装置の吸排気装置。
【請求項2】
画像形成装置の外装カバーの一部を開口することで設けられた空気の出入口としてのルーバと、外装カバーの本体内側に外装カバーと一体に設けられルーバを通過する空気の風路の一部を構成する筒状の外装側ダクト部とをそなえ、ファンホルダ側のダクト部と外装側ダクト部のうち一方がもう一方の外装を覆い、2つのダクトが一体となって風路を形成することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置の吸排気装置。
【請求項3】
給排気装置が画像形成装置の外部から吸引した空気を画像形成装置の内部へ送り込む吸気方式であることを特徴とする請求項1〜2に記載の画像形成装置の吸排気装置。
【請求項4】
給排気装置が画像形成装置の内部の空気を画像形成装置の外部へ排出する排気方式であることを特徴とする請求項1〜2に記載の画像形成装置の吸排気装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−281632(P2008−281632A)
【公開日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−123559(P2007−123559)
【出願日】平成19年5月8日(2007.5.8)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】