説明

画像形成装置の接地機構

【課題】 電磁シールドされたユニットを電磁シールドされた筐体上に当接させるだけで、両者の電磁シールドを接続して接地電位にできる画像形成装置の接地機構を提供する。
【解決手段】 ドキュメントフィーダ2を筐体10上に当接させたことに応じて、筐体10の電磁シールドに接続された板バネ41の突出部42をドキュメントフィーダ2側に突出させてドキュメントフィーダ2の接触部24に当接させることで、ドキュメントフィーダ2の電磁シールドを筐体10の電磁シールドに接続して接地電位にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は画像形成装置の接地機構に関し、例えば、画像処理部の筐体上にドキュメントフィーダを積層した複合機などの画像形成装置の接地機構に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、複合機などの画像形成装置は、内蔵されているCPUのクロック信号における整数倍の高調波が放射ノイズとして外部に輻射されると外部機器などに電磁障害を引き起こすため、その対策のために電磁シールドが施されている。画像形成装置は、画像処理部が筐体内に収納され、筐体上に画像読取部が搭載されたドキュメントフィーダが積層されて設置される。筐体とドキュメントフィーダは、それぞれ別個に電磁シールドされている。筐体上にドキュメントフィーダを積層したとき、筐体とドキュメントフィーダの電磁シールドする部材同士が同一の接地電位になるようにしなければ、有効に電磁シールドが作用しない。
【0003】
特開平ー118569号公報(特許文献1)には、導電性の筐体の開口部に沿って枠状の導電性の弾性部材を設け、開口部を覆う開閉可能な導電性のカバーの内側に導電性内側部品を取付けておき、カバーを閉じた際に弾性部材と導電性内側部品とが導通することで筐体内部の電磁シールドと、導電性のカバーとを接地電位にすることが記載されている。
【特許文献1】特開平ー118569号公報(段落番号0008〜0010、図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された電磁シールド方法において、導電性内側部品として導電性ゴムが使用されている。しかし、使用するうちに導電性ゴムが外れたり、長年の使用により劣化することもある。導電性ゴムに代えて板バネを筐体上に配置しておき、ドキュメントフィーダを閉じたときに、板バネを介してドキュメントフィーダと筐体の電磁シールド同士を接続する方法もあるが、板バネによって指などを負傷する可能性がある。筐体の電磁シールドとドキュメントフィーダの電磁シールドとを外部配線で接続することも考えられるが、そのための作業が必要になる。
【0005】
そこで、この発明の目的は、電磁シールドされたユニットを電磁シールドされた筐体上に当接させるだけで、両者の電磁シールドを接続して接地電位にできる画像形成装置の接地機構を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、接地電位に接続されて電磁シールドで覆われた筐体と、筐体の上に当接して設けられ、電磁シールドで覆われたユニットとを備えた画像形成装置であって、筐体は、ユニットと当接したとき、突出してユニットに接触する筐体突出部を含み、ユニットは、筐体突出部が突出したとき接触するユニット接触部を含み、筐体突出部は筐体の電磁シールドに接続され、ユニット接触部はユニットの電磁シールドに接続される。
【0007】
一実施形態では、筐体は、ユニットの搭載面に開口部を有し、ユニットは、筐体の開口部を覆うように開閉自在に設けられており、筐体突出部は、ユニットが開口部を覆うように閉じられたことに応じて、突出する。
【0008】
具体的には、筐体突出部は、支点に支持されたテコ部材の一方に設けられており、テコ部材は、筐体上にユニットが当接したときに他方が押し下げられ、一方が押し上げられて筐体突出部を押し上げる。
【0009】
好ましくは、テコ部材は、筐体の電磁シールドに接続された軸により回動可能に支持される。
【0010】
さらに、ユニットが筐体に当接しているとき、テコ部材の他方により押し下げられて収縮し、ユニットが筐体から離れたれたとき、伸張してテコ部材の他方を押し上げる弾性部材を含む。
【0011】
好ましくは、筐体は、テコ部材の他方を押し下げる樹脂で形成された突部を含む。
【発明の効果】
【0012】
この発明によれば、ユニットを筐体上に当接させたことに応じて、筐体の電磁シールドに接続された筐体突出部を突出させてユニット接触部に当接させることで、ユニットの電磁シールドを筐体の電磁シールドに接続して接地電位にすることができるので、2つのユニットの電磁シールドを別の配線や他の手段を介することなく接続して接地電位にできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
図1はこの発明の一実施形態の接地機構が適用される画像形成装置の一例のコピー機の外観斜視図であり、図2は図1の矢印IIーII方向から見た正面図である。
【0014】
コピー機本体1は、図示しないが筐体10内に画像読取部や画像処理部や印刷部などを内蔵しており、筐体10上には開口部が形成されており、そこにコンタクトグラス3が嵌め込まれている。コンタクトグラス3上に原稿を下向きに載置することで、コンタクトグラス3の下部に配置された画像読取部による原稿の画像読取が可能になる。
【0015】
コピー機本体1上には、ユニットとしてのドキュメントフィーダ2が、筐体10の開口部に設けられているコンタクトグラス3を覆うように開閉自在に配置される。ドキュメントフィーダ2は、原稿載置台22に載置された読み取り原稿を原稿給送部21によりコンタクトグラス3上に給送するものである。コピー機本体1の筐体10の外部表面は、樹脂で形成されているが、内部は板金などの導電性材料により電磁シールドで覆われている。ドキュメントフィーダ2も同様にして、外部表面は樹脂で形成されているが、内部は板金などの導電性材料により電磁シールドで覆われている。
【0016】
図3は筐体の平面図であり、図4は図3の線IVーIVに沿う接地機構の断面を示し、(A)はドキュメントフィーダを開いた状態を示し、(B)はドキュメントフィーダを閉じた状態を示す。
【0017】
図3に示すように、筐体10のコンタクトグラス3の手前側には接地機構4が収納されている。接地機構4は、図4(A),(B)に示すように、導電性の主軸43を支点として揺動するテコ部材としての板バネ41および力点部材44を含む。主軸43は図示しない板金などにより保持されていて接地電位になっており、力点部材44側を支持している。力点部材44は樹脂で形成されており、板バネ41の一端にドキュメントフィーダ2側に向くように設けられている。
【0018】
板バネ41の他端には突出部42がドキュメントフィーダ2側に向くように設けられている。板バネ41と突出部42はともに導電性材料で形成されている。板バネ41は力点部材44側を主軸43で支持されているので、力点部材44側を少し押し込むだけで突出部42の突出量を大きくできる。また、主軸43を板金などにより保持することで、突出部42を別途板金などに接続する必要がなくなる。
【0019】
筐体10の外壁を構成する樹脂11には、突出部42の先端部側が挿入される貫通孔12と、力点部材44の先端部側が挿入される貫通孔13とが形成されている。一方、ドキュメントフィーダ2の筐体10側の外壁を構成する樹脂25の内面側には電磁シールドの一部を構成する板金23が設けられている。
【0020】
樹脂25には、筐体10の突出孔12に対応した位置に貫通孔27が形成されており、貫通孔27には板金23に接続されたユニット接触部としての導電部24が埋め込まれている。この導電部24はドキュメントフィーダ2を閉じたときに突出部42の先端と電気的に接触する。また、樹脂25には、筐体10の貫通孔13に対応して、筐体10側に突出する突起部26が形成されている。突起部26は、ドキュメントフィーダ2を閉じたときに力点部材44の先端を押し下げる。この突起部26は、先端部が丸みを帯びていて、指で触れても負傷しないように、高さが例えば4mm程度に形成されている。
【0021】
力点部材44の下側には、ドキュメントフィーダ2を開いたときに、力点部材44が元の位置に復帰できるように、力点部材44の下部と筐体10内の図示しない所定の位置との間に、弾性部材としてのバネ45が配置されている。
【0022】
図4(A)に示すように、ドキュメントフィーダ2が開かれているときには、力点部材44はバネ45の伸張力により押し上げられており、その先端面は筐体10の樹脂11の外壁面とほぼ同じ面になっている。一方、バネ45の伸張力により、板バネ41には主軸43を中心として時計方向に回動する力が作用しているので、先端に設けられている突出部42は、引下げられており、その先端面が樹脂11の外壁面より貫通孔12内に位置している。
【0023】
図4(B)に示すように、ドキュメントフィーダ2が閉じられると、突起部26が力点部材44の先端面を貫通孔13内へ押圧するので、バネ45が収縮して板バネ41は反時計方向に回動し、突出部42が押し上げられて、その先端部がドキュメントフィーダ2の導電部24に電気的に接触する。
【0024】
このように、ドキュメントフィーダ2を閉じることで、ドキュメントフィーダ2の電磁シールドを構成する板金23の電位を筐体10の接地電位にすることができるので、ドキュメントフィーダ2で放射ノイズが外部に輻射されるのを有効に阻止することができる。また、ドキュメントフィーダ2が開かれているときは、突出部42は貫通孔12内に収納され、力点部44も貫通孔13内に収納されており、筐体10の表面には、一切突起物がないので指を引っ掛けたり負傷したりするおそれがない。
【0025】
なお、上述の説明では、この発明を筐体10に対して開閉可能に設けられたドキュメントフィーダ2の電磁シールドを筐体10の電磁シールドに接続するために接地機構4設けたが、これに限ることなく、筐体10上に他のユニットを載置するときに、そのユニットの電磁シールドを筐体の電磁シールドに接続するために接地機構4を設けてもよい。また、多数のユニットを筐体10上に積層する場合に、各ユニットの電磁シールドを筐体10の電磁シールドに接続する場合にも、この発明を適用できる。
【0026】
以上、図面を参照してこの発明の実施形態を説明したが、この発明は、図示した実施形態のものに限定されない。図示された実施形態に対して、この発明と同一の範囲内において、あるいは均等の範囲内において、種々の修正や変形を加えることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】この発明の一実施形態の接地機構が適用される画像形成装置の一例のコピー機の外観斜視図である。
【図2】図1の矢印AーA方向から見た正面図である。
【図3】筐体の平面図である。
【図4】図3のBーBに沿う接地機構を示す要部断面図である
【符号の説明】
【0028】
1 コピー機本体、2 ドキュメントフィーダ、3 コンタクトグラス、4 接地機構、10 筐体、11,25 樹脂、12,13,27 貫通孔、23 板金、24 導電部、26 突起部、41 板バネ、42 突出部、43 主軸、44 力点部材、45 バネ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
接地電位に接続されて電磁シールドで覆われた筐体と、前記筐体の上に当接して設けられ、電磁シールドで覆われたユニットとを備えた画像形成装置であって、
前記筐体は、前記ユニットと当接したとき、突出して前記ユニットに接触する筐体突出部を含み、
前記ユニットは、前記筐体突出部が突出したとき接触するユニット接触部を含み、
前記筐体突出部は前記筐体の電磁シールドに接続され、前記ユニット接触部は前記ユニットの電磁シールドに接続される、画像形成装置の接地機構。
【請求項2】
前記筐体は、前記ユニットの搭載面に開口部を有し、
前記ユニットは、前記筐体の開口部を覆うように開閉自在に設けられており、
前記筐体突出部は、前記ユニットが前記開口部を覆うように閉じられたことに応じて、突出する、請求項1に記載の画像形成装置の接地機構。
【請求項3】
前記筐体突出部は、支点に支持されたテコ部材の一方に設けられており、
前記テコ部材は、前記筐体上に前記ユニットが当接したときに他方が押し下げられ、一方が押し上げられて前記筐体突出部を押し上げる、請求項1または2に記載の画像形成装置の接地機構。
【請求項4】
前記テコ部材は、前記筐体の電磁シールドに接続された軸により回動可能に支持される、請求項3に記載の画像形成装置の接地機構。
【請求項5】
さらに、前記ユニットが前記筐体に当接しているとき、前記テコ部材の他方により押し下げられて収縮し、前記ユニットが前記筐体から離れたれたとき、伸張して前記テコ部材の他方を押し上げる弾性部材を含む、請求項3または4に記載の画像形成装置の接地機構。
【請求項6】
前記筐体は、前記テコ部材の一端を押し下げる樹脂で形成された突部を含む、請求項3から5のいずれかに記載の画像形成装置の接地機構。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−327153(P2006−327153A)
【公開日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−157577(P2005−157577)
【出願日】平成17年5月30日(2005.5.30)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】