説明

画像形成装置の画像濃度補正方法

【課題】現像ローラの周速V1を潜像担持体の周速V2よりも遅くしても、現像剤像のエッジで濃度が高くならない画像形成装置の画像濃度補正方法を提供する。
【解決手段】例えば、画像データDiによって示される均一な濃度の画像を記録する場合は、副走査方向の各走査位置の補正係数Cnを画像データDiによって示される各画素の値にそれぞれ掛け合わせ、該各画素の補正値を示す補正画像データDcを導出する。補正画像データDcは、エッジ付近では濃度が低く、該エッジから離れるにつれて濃度が徐々に高くなるという画像を示している。このため、補正画像データDcによって示される濃度の現像剤像を感光体ドラム11上に形成すれば、エッジ付近では濃度Inが高くなり、該エッジから離れるにつれて濃度Inが徐々に戻るという傾向が抑えられ、均一な濃度の画像が形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式あるいは静電記録方式等の画像形成装置の画像濃度補正方法に関する。
【背景技術】
【0002】
周知の様に電子写真方式あるいは静電記録方式等の画像形成装置としては、複写機、プリンタ、ファクシミリ装置等がある。この種の画像形成装置においては、静電潜像を静電潜像担持体である感光体上に形成し、現像剤を現像装置から感光体へと供給し、現像剤により感光体上の静電潜像を現像して、感光体上に現像剤像を形成し、この現像剤像を感光体から記録用紙に転写し、記録用紙を加熱及び加圧して、現像剤像を記録用紙上に定着させている。
【0003】
また、現像装置では、現像ローラを回転させつつ、現像ローラ外周に現像剤を付着させ、現像剤を現像ローラから感光体へと搬送供給して、現像剤により感光体上の静電潜像を現像している。
【0004】
ところで、現像ローラ外周には、ブレードを摺接させており、このブレードにより現像ローラ外周の現像剤層の厚みを規制しつつ、このブレードと現像剤との摩擦により現像剤層を帯電させている。ただし、現像ローラ外周の現像剤層が薄くなり、感光体への現像剤の供給不足が生じて、現像剤像の濃度が低下し易くなる。
【0005】
そこで、一般には、現像ローラの周速をV1とし、感光体の周速をV2とすると、1.2≦V1/V2≦2.5に設定し、つまり現像ローラの周速V1を感光体の周速V2よりも速くして、現像ローラから感光体への現像剤の供給量を増大させている。
【0006】
また、特許文献1では、現像剤像のエッジ付近で濃度が低下し易くなるという傾向に着目し、画像データによって示される画像のエッジを検出し、このエッジで画像の濃度が濃くなる様に画像データを補正し、現像剤像のエッジでの濃度低下を防止するという技術が開示されている。
【特許文献1】特開平10−65918号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来の様に現像ローラの周速V1を感光体の周速V2よりも速くすると、現像ローラ外周の現像剤層とブレード間の摩擦が過大になり、この摩擦の熱により現像剤が現像ローラに融着するという不都合が生じた。特に、近年、カラー化及び省エネのために現像剤の定着温度の低下が図られていることから、現像ローラへの現像剤の融着が大きな問題になっている。
【0008】
その一方で、現像剤は、高画質化のために、小粒子化されたり、その顔料濃度を高くされており、これに伴って現像剤の供給量が減少させられている。この種の現像剤を使用することを前提とした上で、本願発明の出願人等は、0.3≦V1/V2≦0.8に設定し、つまり現像ローラの周速V1を感光体の周速V2よりも遅くし、現像ローラから感光体への現像剤の供給量を減少させても、現像剤の供給不足を招かないことを突き止めた。しかも、この様な現像ローラの周速V1と感光体の周速V2の設定により、現像ローラ外周の現像剤層とブレード間の摩擦が低減して、現像剤層が現像ローラに融着しないことも分かった。
【0009】
ところが、現像ローラの周速V1を感光体の周速V2よりも遅くしたことから、現像剤像のエッジ付近で濃度が高くなるという、これまでにはなかった問題点も発見した。そして、この様な問題点は、例えば特許文献1等の従来技術によっても解消することができなかった。
【0010】
そこで、本発明は、上記従来の問題に鑑みてなされたものであり、現像ローラの周速V1を潜像担持体の周速V2よりも遅くしても、現像剤像のエッジで濃度が高くならない画像形成装置の画像濃度補正方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明は、潜像担持体上に画像データによって示される画像の潜像を形成し、現像剤を現像ローラから潜像担持体へと搬送供給して、潜像担持体上の潜像を現像してなる現像剤像を形成しており、現像ローラの周速をV1とし、潜像担持体の周速をV2とすると、0.3≦V1/V2≦0.8に設定した画像形成装置の画像濃度補正方法において、画像データによって示される画像のエッジを検出し、このエッジで画像の濃度が薄くなり、かつ該エッジから離れるにつれて画像の濃度が徐々に戻る様に画像データを補正している。
【0012】
また、本発明においては、画像データの補正は、副走査方向に行われている。
【0013】
更に、本発明においては、画像データに基づいて、副走査方向に1画素分ずれた2つの画素の濃度を論理演算することにより、画像のエッジを検出している。
【0014】
また、本発明においては、潜像担持体上にテストパターンの現像剤像を形成し、この現像剤像のエッジからの濃度変化を検出し、この濃度変化に基づいて、画像データの補正量を求めている。
更に、本発明においては、補正された画像データに基づいて、現像剤像の形成条件を制御している。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、現像ローラの周速V1を潜像担持体の周速V2よりも遅くしていることから、現像剤像のエッジ付近で濃度が高くなるという傾向にあるものの、画像データによって示される画像のエッジを検出し、このエッジで画像の濃度が薄くなり、かつ該エッジから離れるにつれて画像の濃度が徐々に戻る様に画像データを補正しているので、現像剤像のエッジ付近で濃度が高くなるという傾向を抑えることができる。
【0016】
この様な画像データの補正は、副走査方向に行われる。
【0017】
また、画像データに基づいて、副走査方向に1画素分ずれた2つの画素の濃度を論理演算することにより、画像のエッジを検出しているので、この検出を容易に行うことができる。
【0018】
更に、潜像担持体上にテストパターンの現像剤像を形成し、この現像剤像のエッジからの濃度変化を検出し、この濃度変化に基づいて、画像データの補正量を求めている。この場合は、何時でも、画像データの補正量を求めることができ、現像剤像のエッジの濃度誤差を確実に補正することが可能になる。
【0019】
また、補正された画像データに基づいて、現像剤像の形成条件を制御している。この現像剤像の形成条件は、現像ローラのバイアス電圧や潜像担持体上に照射される光ビームの出力等を調整することにより設定される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施例を添付図面を参照しつつ詳細に説明する。
【実施例1】
【0021】
図1は、本発明の画像濃度補正方法の実施例1が適用された画像形成装置を示す側面図である。この画像形成装置は、電子写真方式により画像を形成するものであり、静電潜像担持体である感光体ドラム11の周辺に、現像装置12、転写装置13、帯電装置14、及び露光装置15等を感光体ドラム11の回転方向の上流側から順に配置している。また、記録用紙Pの搬送方向下流側には、定着装置(図示せず)を配置している。
【0022】
ここでは、感光体ドラム11を矢印Aの方向に回転させつつ、感光体ドラム11の表面を帯電装置14により均一に帯電させ、画像を示す画像データに基づいて露光装置15から感光体ドラム11へと出射されるレーザービームを変調しつつ、このレーザービームにより感光体ドラム11の表面を走査して、感光体ドラム11上に静電潜像を形成し、更にトナーを現像装置12により静電潜像に付着させて、感光体ドラム11上にトナー像を形成し、このトナー像を転写装置13により感光体ドラム11からPPC用紙等の記録用紙(図示せず)へと転写し、記録用紙上のトナー像を定着装置により加熱及び加圧して定着させる。また、転写装置13の下流側で、感光体ドラム11表面の残留トナーをクリーニング装置(図示せず)により除去する。
【0023】
次に、現像装置12について、更に詳しく述べる。
【0024】
現像装置12は、現像ローラ1、トナー供給ローラ2、及び現像ローラ1用のブレード3を備える。現像ローラ1、トナー供給ローラ2、及びブレード3は、トナー4とともに、図示しない現像槽内に収容される。この実施形態では、一成分現像剤(トナー)が使用される。
【0025】
現像ローラ1は、感光体ドラム11に近接して対向配置され、感光体ドラム11とは反対方向に回転駆動される。現像ローラ1は、アルミニウム等の金属材料の表面をスポンジ等の多孔質の弾性体でコーティングされた構成とされる。弾性体として、ウレタン、シリコーン、EPDM(エチレンプロピレン)等のゴム材料、および、このゴム材料にカーボンブラック、イオン等の導電剤を添加したものが用いられ、弾性体の表面には、数μm〜10数μmの凹凸が形成されている。現像ローラ1には、現像バイアス電源回路から現像バイアス電圧が供給され、そのバイアス電圧Vdは、感光体ドラム11に形成された静電潜像にトナー4を付着させ、それ以外の領域すなわち非画像領域にトナー4を付着させないような極性および電圧値に設定される。
【0026】
トナー供給ローラ2は、周面の一部を現像ローラ1に接触して配置され、現像ローラ1と同一方向に回転駆動される。トナー供給ローラ2は、現像ローラ1と同様の素材を用いて構成される。尚、トナー供給ローラ2の素材として、トナー供給ローラ2の弾性を現像ローラ1の弾性よりも大きくするために、現像ローラ1よりも多量の発泡剤を用いてもよい。トナー供給ローラ2には、トナー4を現像ローラ1側に移動させる方向のバイアス電圧がバイアス電源回路から印加される。
【0027】
ブレード3は、現像ローラ1の周面に近接して配置され、現像ローラ1外周のトナー層に摺接して、トナー層の厚みを均一にしつつ、トナー層を摩擦帯電させる。
【0028】
この様な構成の画像形成装置においては、現像ローラ1の周速をV1とし、感光体ドラム11の周速をV2とすると、0.3≦V1/V2≦0.8に設定している。つまり、現像ローラ1の周速V1を感光体ドラム11の周速V2よりも十分に遅くしている。これにより、現像ローラ1外周のトナー層とブレード3間の摩擦が低減し、トナー層が現像ローラ1に融着せずに済む。
【0029】
ところが、この様に現像ローラの周速V1を感光体ドラム11の周速V2よりも遅くすると、感光体ドラム11上に形成される現像剤像のエッジ付近で濃度が高くなるという傾向を生じる。
【0030】
そこで、本実施例では、画像データによって示される画像のエッジを検出し、このエッジで画像の濃度が薄くなり、かつ該エッジから離れるにつれて画像の濃度が徐々に戻る様に画像データを補正している。これにより、現像剤像のエッジ付近で濃度が高くなるという傾向を相殺することができる。
【0031】
尚、現像剤像並びに画像のエッジとは、副走査方向の上流側にあるエッジであり、先端側の箇所である。
【0032】
次に、図2のフローチャート等を参照しつつ、画像のエッジ付近での濃度を補正するための補正データの作成処理を説明する。尚、この補正データの作成処理は、画像形成装置に内蔵のCPU等により該作成処理のためのプログラムを実行してなされる。
【0033】
まず、変数nを1に初期設定し(ステップS101)、露光装置15のレーザービームを最高出力に設定し(ステップS102)、帯電装置14による帯電電圧VgをVg1に設定し(ステップS103)、現像装置12の現像ローラ1のバイアス電圧VdをVd1に設定する(ステップS104)。そして、所定のテストパターンとして、例えば均一な濃度の矩形パターンを選択し、このテストパターンを感光体ドラム11上に形成する(各ステップS105、S106)。これにより、図3(a)に示す様な現像ローラ1のバイアス電圧Vd=Vd1での最初のテストパターンT1が感光体ドラム11上に形成される。
【0034】
引き続いて、現像ローラ1のバイアス電圧VdをVd2(=Vd1+ΔVd)に更新し(ステップS107)、変数nを2(=n+1)に更新し(ステップS108)、変数nが一定値N(=4)に達していないことを確認してから(ステップS109で「No」)、各ステップS105、S106に戻って、テストパターンを感光体ドラム11上に再度形成する。これにより、図3(b)に示す様な現像ローラ1のバイアス電圧Vd=Vd2での2番目のテストパターンT2が感光体ドラム11上に形成される。
【0035】
更に、現像ローラ1のバイアス電圧VdをVd3(=Vd2+ΔVd)に更新し(ステップS107)、変数nを3(=n+1)に更新し(ステップS108)、変数nが一定値N(=4)に達していないことを確認してから(ステップS109で「No」)、各ステップS105、S106に戻って、テストパターンを感光体ドラム11上に再度形成する。これにより、図3(c)に示す様な現像ローラ1のバイアス電圧Vd=Vd3での3番目のテストパターンT3が感光体ドラム11上に形成される。
【0036】
更に、現像ローラ1のバイアス電圧VdをVg4(=Vd3+ΔVd)に更新し(ステップS107)、変数nを4(=n+1)に更新し(ステップS108)、変数nが一定値N(=4)に達したことを確認すると(ステップS109で「Yes」)、ステップS110へと移る。
【0037】
こうして現像ローラ1のバイアス電圧VdをVd1、Vd2、Vd3と段階的に上昇させて行くと、図3(a)、(b)、(c)に示す様に濃度が段階的に高くなる各テストパターンT1、T2、T3が感光体ドラム11上に形成される。
【0038】
次に、各テストパターンT1、T2、T3の形成を終了すると、露光装置15のレーザービーム出力を停止させ(ステップS111)、感光体ドラム11に近接配置された濃度センサ6により各テストパターンT1、T2、T3の濃度を順次検出する(ステップS112)。このテストパターンの濃度検出のときには、濃度センサ6の検出出力を平均化して、テストパターンの平均濃度を求める(ステップS113)。そして、各テストパターンT1、T2、T3の平均濃度を求めると、各バイアス電圧Vd1、Vd2、Vd3と各テストパターンT1、T2、T3の平均濃度とに基づいて、基準濃度Ioが得られる最適バイアス電圧Vdoを求める(ステップ各S114、S115)。ここでは、図4のグラフに示す様に横軸をバイアス電圧Vdとし、縦軸をテストパターンの平均濃度Iとすると、基準濃度Ioに対応する最適バイアス電圧Vdoを線形補間により求める。
【0039】
そして、最適バイアス電圧Vdoを現像ローラ1のバイアス電圧Vdとして固定設定し(ステップS116)、その上で、均一な濃度の矩形のテストパターンを再度感光体ドラム11上に形成し、濃度センサ6により該テストパターンの濃度を検出しつつ、画像のエッジ付近での濃度を補正するための補正データを作成し(各ステップS117、118)、補正準備の終了となる(ステップS119)。
【0040】
例えば、均一な濃度のテストパターンを感光体ドラム11上に形成し、その上で、図5に示す様に濃度センサ6による副走査方向の走査位置Y及び濃度センサ6により検出されたテストパターンの濃度Inに基づいて、補正データCnを作成する。
【0041】
ここでは、濃度センサ6による副走査方向の走査位置ピッチを画素ピッチに合わせており、この走査位置Yを−2、−1、0、+1、+2、…とすると、走査位置「−1」まで濃度センサ6によりテストパターンが検出されず、走査位置「0」以降で濃度センサ6によりテストパターンが検出されている。この場合は、走査位置「−1」までは濃度センサ6により検出された濃度Inが白に対応する「255」であり、走査位置「0」以降で濃度センサ6により検出された濃度Inが黒もしくはグレイに対応する「0〜254」になる。
【0042】
テストパターンのエッジを検出するには、濃度センサ6により検出された濃度Inを2値化して、つまり白に対応する「255」を「0」に置き換えると共に、黒もしくはグレイに対応する「0〜254」を「1」に置き換え、その上で、各走査位置での検出が行われる度に、現走査位置での2値化濃度と1つ以前の走査位置での2値化濃度との排他的論理和を求め、この排他的論理和が「1」になった現走査位置をテストパターンのエッジとして検出する。
【0043】
そして、このテストパターンのエッジ以降で、各走査位置での検出が行われる度に、次式(1)に基づいて補正係数Cnを求める。
【0044】
Cn=1−0.5*(128−In)/128 …(1)
これにより、図5に示す様にエッジを基点とする副走査方向の各走査位置の補正係数Cnが求めらて記録される。
【0045】
図6のグラフは、濃度センサ6により検出された濃度Inの変化を示している。このグラフから明らかな様にテストパターンが検出されなかったときには、濃度センサ6により検出された濃度Inが白に対応する「255」であり、テストパターンが検出されたときには、濃度センサ6により検出された濃度Inが黒もしくはグレイに対応する「0〜254」になる。また、均一な濃度のテストパターンであるにもかかわらず、テストパターンのエッジ付近では濃度センサ6により検出された濃度Inが高くなり、該エッジから離れるにつれて画像の濃度Inが徐々に戻っている。
【0046】
例えば、図5に示す様な画像データDiによって示される均一な濃度の画像を記録する場合は、副走査方向の各走査位置の補正係数Cnを画像データDiによって示される各画素の値にそれぞれ掛け合わせ、該各画素の補正値を示す補正画像データDcを導出する。補正画像データDcは、エッジ付近では濃度が低く、該エッジから離れるにつれて濃度が徐々に高くなるという画像を示している。このため、補正画像データDcによって示される濃度の現像剤像を感光体ドラム11上に形成すれば、エッジ付近では濃度Inが高くなり、該エッジから離れるにつれて濃度Inが徐々に戻るという傾向が抑えられ、均一な濃度の画像が形成される。
【0047】
尚、感光体ドラム11上の現像剤像の濃度の調節は、現像ローラ1のバイアス電圧や感光体ドラム11上に照射されるレーザビームの出力等を調整することにより行なうことができる。
【0048】
次に、図7のフローチャート等を参照しつつ、補正データを用いて、任意の画像データを補正し、現像剤像のエッジ付近で濃度が高くなるという傾向を抑えるための補正処理を説明する。尚、この補正処理も、画像形成装置に内蔵のCPU等により該作成処理のためのプログラムを実行してなされる。
【0049】
ここでは、任意の画像の各副走査ライン別に、各ステップS201〜S214の処理が行われるものとする。まず、画像データDiを入力すると(ステップS201)、画像データDiに含まれる画素の値を2値化して、つまり白に対応する画素の値「0」を「0」に置き換えると共に、黒もしくはグレイに対応する画素の値「1〜255」を「1」に置き換えて、2値化データDjを形成し、この2値化データDjを記憶する(各ステップS202、S203)。
【0050】
尚、画像データDiにおいて、白に対応する画素の値と黒もしくはグレイに対応する画素の値が濃度センサ6により検出されたテストパターンの濃度Inの値とは逆になっている。
【0051】
次に、副走査ライン上の選択画素の2値化データDjの値と1つ以前に選択された画素の2値化データDjの値との排他的論理和を求める(各ステップS204、S205、S206)。
【0052】
そして、この排他的論理和が「1」であるか否かを判定し(ステップS207)、「1」であれば(ステップS207で「Yes」)、選択画素を該副走査ライン上での画像のエッジとみなし、副走査方向の走査位置を示す変数mを「0」に初期設定し(ステップS208)、図4に示す走査位置「0」の補正係数Cnを読み出す(ステップS210、S211)。
【0053】
更に、この補正係数Cnを該選択画素の画像データDiの値に掛け合わせて、該選択画素の補正値を求め(ステップS212)、該選択画素の補正値に対応する濃度の画素を感光体ドラム11上に形成する(各ステップS213)。
【0054】
この後、画像データDiの処理が終了していなければ(ステップS214で「No」)、ステップS201に戻る。
【0055】
先に述べた様に排他的論理和が「1」となってからは、選択画素の2値化データDjの値と1つ以前に選択された画素の2値化データDjの値との排他的論理和が「0」となるので(ステップS207で「No」)、副走査方向の走査位置を示す変数mを(m+1)に更新して(ステップS209)、この更新された走査位置mの補正係数Cnを読み出し(ステップS210、S211)、この補正係数Cnを該選択画素の画像データDiの値に掛け合わせて、該選択画素の補正値を求め(ステップS212)、該選択画素の補正値に対応する濃度の画素を感光体ドラム11上に形成する(各ステップS213)。
【0056】
こうして画像データDiに含まれる副走査ライン上の全て画素の値を補正して、全ての画素の印刷を終了すると(ステップS214で「Yes」)、この副走査ラインの補正処理を終了する。
【0057】
先に述べた様に任意の画像の各副走査ライン別に、各ステップS201〜S214の処理が行われるので、各副走査ラインのいずれにおいても、エッジ付近では濃度が低く、該エッジから離れるにつれて濃度が徐々に高くなるという補正がなされることになり、感光体ドラム11上でのエッジ付近では濃度が高くなり、該エッジから離れるにつれて濃度が徐々に戻るという傾向が抑えられ、画像データDiによって示される任意の画像が本来の濃度で形成される。
【0058】
尚、本発明は、上記実施例に限定されるものではなく、多様に変形することができる。例えば、補正係数Cnを求めるために、他の計算式を用いても良い。また、補正係数Cnの導出は、任意の画像の形成に支障がなければ、何時行なっても構わない。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の画像濃度補正方法の実施例1が適用される画像形成装置を示す側面図である。
【図2】本実施例における画像のエッジ付近での濃度を補正するための補正データの作成処理を示すフローチャートである。
【図3】(a)、(b)、(c)は、本実施例における各テストパターンを例示する図である。
【図4】最適バイアス電圧を求めるための線形補間を説明するために用いたグラフである。
【図5】副走査方向の走査位置Y、検出されたテストパターンの濃度Inに基づいて、補正データCn、画像データDi、及び補正画像データDcを示す図表である。
【図6】濃度センサの検出出力の変化を示すグラフである。
【図7】本実施例における画像データの補正処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0060】
1 現像ローラ
2 トナー供給ローラ
3 ブレード
4 トナー
11 感光体ドラム
12 現像装置
13 転写装置
14 帯電装置
15 露光装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
潜像担持体上に画像データによって示される画像の潜像を形成し、現像剤を現像ローラから潜像担持体へと搬送供給して、潜像担持体上の潜像を現像してなる現像剤像を形成しており、現像ローラの周速をV1とし、潜像担持体の周速をV2とすると、0.3≦V1/V2≦0.8に設定した画像形成装置の画像濃度補正方法において、
画像データによって示される画像のエッジを検出し、このエッジで画像の濃度が薄くなり、かつ該エッジから離れるにつれて画像の濃度が徐々に戻る様に画像データを補正することを特徴とする画像形成装置の画像濃度補正方法。
【請求項2】
画像データの補正は、副走査方向に行われることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置の画像濃度補正方法。
【請求項3】
画像データに基づいて、副走査方向に1画素分ずれた2つの画素の濃度を論理演算することにより、画像のエッジを検出することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置の画像濃度補正方法。
【請求項4】
潜像担持体上にテストパターンの現像剤像を形成し、この現像剤像のエッジからの濃度変化を検出し、この濃度変化に基づいて、画像データの補正量を求めることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置の画像濃度補正方法。
【請求項5】
補正された画像データに基づいて、現像剤像の形成条件を制御することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置の画像濃度補正方法。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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