説明

画像形成装置及びその制御方法

【課題】ユーザが混載された用紙の中から無効紙を取り分ける手間を省くこと。
【解決手段】画像形成後の後処理を実施する後処理仕分け実施機構部105と、後処理実施後の用紙が排出される排出トレイ106と、印刷中の異常を検出する異常検出部101と、検出した異常の要因に基づいて、用紙排出の可否を判定する用紙排出可否判定部102と、検出した異常の要因に基づいて、用紙が無効紙であるか否かを判定する有効紙無効紙判定部103と、異常が検出され、用紙排出が可能と判定され、用紙が無効紙であると判定された場合に、前記無効紙に後処理仕分け実施機構部105による後処理を実施することによって仕分けした上で、前記無効紙を排出トレイ106へ排出する制御を行う後処理機能仕分け実施部104と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置及びその制御方法に関し、特に、印刷中に発生した異常に起因する無効紙を適切に排出する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置では、印刷中に異常が発生した際に、搬送・画質ともに正常な出力が保証されていない用紙を無効扱いとし、異常解消後に再度同様の印刷を実行する。印刷中の異常により無効と判断された用紙に対しての、ユーザによる用紙除去の手間を軽減することを目的として、排出可能な用紙はできうる限り機外へ排出する技術が考えられ、既に知られている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、今までの無効扱いの排出可能な用紙を機外へ排出する技術では、有効扱いの用紙と無効扱いの用紙とが混載してしまい、結果として「ユーザが混載の中から無効紙を取り分ける必要がある」という問題があった。
【0004】
近年では、異常状態からの自動復旧などにより印刷動作が自動継続可能となったことや、プリンタ動作の場合などはユーザが排出トレイの用紙を取り除く前に複数ジョブが連続実施されることなどから、有効紙と無効紙との混載が発生した状態からさらに排出動作が行われる可能性がある。このとき排出トレイに大量スタックされている状態から異常による無効紙を判別するには、かなりの手間を要することが懸念される。
【0005】
ユーザが混載の中から無効紙を取り分ける手間を省くための技術的思想の先行例としては、例えば、特許文献1に記載のものがある。これは、「経路切替手段」を備え、無効紙の排出経路を切り替えて、混載となる際には排出を行おうとしたトレイとは別のトレイに排出をするものである。
【0006】
しかしながら、排出トレイが限られている場合、すなわち別トレイへの排出が不可能な機構であったり、別トレイへの排出が不可能な状況であったりする場合は、結果として同一トレイへ排出するしかない。この場合、「ユーザが混載の中から無効紙を取り分ける必要がある」という課題を解決できない。
【0007】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであって、ユーザが混載された用紙の中から無効紙を取り分ける手間を省くことが可能な画像形成装置及びその制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明は、第1の態様として、画像形成後の後処理を実施する後処理手段と、後処理実施後の用紙が排出される排出トレイと、印刷中の異常を検出する異常検出手段と、検出した異常の要因に基づいて、用紙排出の可否を判定する用紙排出可否判定手段と、検出した異常の要因に基づいて、用紙が無効紙であるか否かを判定する有効紙無効紙判定手段と、前記異常検出手段により異常が検出され、前記用紙排出可否判定手段に用紙排出が可能と判定され、前記有効紙無効紙判定手段により用紙が無効紙であると判定された場合に、前記無効紙に前記後処理手段による後処理を実施することによって仕分けした上で、前記無効紙を前記排出トレイへ排出する制御を行う後処理機能仕分け実施手段と、を有することを特徴とする、画像形成装置を提供する。
【0009】
上記目的を達成するために、本発明は、第2の態様として、画像形成後の後処理を実施する後処理手段と、後処理実施後の用紙が排出される排出トレイと、を有する画像形成装置の制御方法であって、印刷中の異常を検出する異常検出工程と、検出した異常の要因に基づいて、用紙排出の可否を判定する用紙排出可否判定工程と、検出した異常の要因に基づいて、用紙が無効紙であるか否かを判定する有効紙無効紙判定工程と、前記異常検出工程により異常が検出され、前記用紙排出可否判定工程に用紙排出が可能と判定され、前記有効紙無効紙判定工程により用紙が無効紙であると判定された場合に、前記無効紙に前記後処理手段による後処理を実施することによって仕分けした上で、前記無効紙を前記排出トレイへ排出する制御を行う後処理機能仕分け実施工程と、を有することを特徴とする、画像形成装置の制御方法を提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ユーザが混載された用紙の中から無効紙を取り分ける手間を省くことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施形態の機能構成を示すブロック図である。
【図2】本実施形態の仕分け処理について説明するための概念図(その1)である。
【図3】本実施形態の仕分け処理について説明するための概念図(その2)である。
【図4】本実施形態の仕分け処理について説明するための概念図(その3)である。
【図5】本実施形態の処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しながら説明する。
なお、以下では、本発明の一実施形態として、コピー機やファクシミリやプリンターなどの画像形成装置を示すが、これは説明のための一例に過ぎないので種々の変形実施が可能である。
【0013】
図1に、本実施形態に係る画像形成装置1の機能構成を示す。
図1中実線矢印は制御命令の流れやデータの流れを示す。点線矢印は用紙搬送の流れを示す。画像形成装置1において、用紙は、図示しない用紙搬送装置によって搬送路に沿って運ばれ、後処理仕分け実施機構部105によってステープル処理やパンチ処理などの後処理を受けた後、排出トレイ106に排出される。
【0014】
また、後処理仕分け実施機構部105は、用紙について必要ならば排出位置をずらして排出トレイ106に排出する排出処理を実施する。このような排出処理において排出位置をずらす機能のことをシフト機能と呼ぶ。なお、本実施形態では、シフト機能も後処理の一つとして扱う。
【0015】
画像形成装置1は、ハードウェアとして後処理仕分け実施機構部105や排出トレイ106の他に、図示しない中央演算装置、1次記憶装置、2次記憶装置、各種センサや画像形成手段などを備える。中央演算装置や1次記憶装置などを利用したソフトウェア制御により、本実施形態の制御部100が構成される。また、2次記憶装置などに本実施形態のデータ群110が記憶される。また、各種センサを利用して制御部100内の各部が検出や判定を行う。
【0016】
制御部100は、異常発生検出部101、用紙排出可否判定部102、有効紙無効紙判定部103、後処理機能仕分け実施部104を備える。
【0017】
異常発生検出部101は、各種センサの検知結果から異常の発生を検出する機能を備える。異常発生要因としては、例えば、SC(サービスマン・コール)、ジャム(紙詰まり)、ドア開、紙なしなどが挙げられる。
【0018】
用紙排出可否判定部102は、発生した異常の種類により、排出可能であるか排出不可能であるかを判定する機能を備える。この判定としては、例えば、搬送に影響がなく危険性の低い異常が排出可能に該当する、というような判定が行われる。
【0019】
有効紙無効紙判定部103は、無効紙の仕分け処理中の用紙が有効紙とするか無効紙とするかを判定する機能を備える。無効紙となるのは、発生した異常が、異常画像になる可能性が高い異常に該当するような場合である。
【0020】
後処理機能仕分け実施部104は、シフト機能を含む後処理機能を用いて仕分け処理を実施する機能を備える。後処理機能仕分け実施部104は、データ群110にある情報を収集して処理を行うことになる。これらのデータ群110は、後述するようにユーザ毎に調整可能な構成である。なお、後処理機能仕分け実施部104の制御を受けて仕分け処理の実施をするハードウェアが後処理仕分け実施機構部105である。
【0021】
図2、図3、図4に、本実施形態の仕分け処理について説明するための概念図を示す。
図2ないし図4には、本実施形態の仕分け処理を実施した場合の、排出トレイ106に積層される用紙のイメージが示されている。
【0022】
図2は、シフト機能により仕分けを実施した場合である。
シフト機能は、画像形成装置1から排出トレイ106に用紙が排出される方向(排出方向)に対して、例えば、直交する方向にずれた位置に、用紙を排出する機能である。本実施形態では、有効紙と無効紙の仕分けにこのシフト機能を用いる。ユーザは、有効紙と無効紙の排出位置のずれ量から、目視で無効紙の判別が付けやすくなる。
【0023】
図3は、パンチ穴を開ける後処理機能により仕分けを実施した場合である。
パンチを行うと、用紙への穴の有無、穴の位置、穴の大きさ等から、ユーザが目視で無効紙の判別を付けやすくなる。ただし、この場合は、有効紙と無効紙が同じ位置に積層される。
【0024】
図4は、シフト機能による仕分けとパンチ穴を開ける後処理機能による仕分けとを組み合わせて実施した場合である。
この場合、有効紙と無効紙との排出位置のずれ量、及び、用紙への穴の有無、穴の位置、穴の大きさから、ユーザは無効紙の判別が付けやすくなる。
【0025】
図2ないし図4に図示したシフト位置(ずれ位置)やシフト量(ずれ量)、パンチ位置やパンチ穴の大きさなどについては、あくまで一例である。通常使用値の中から有効紙と無効紙の仕分けが区別できるように設定してもよいし、異常時の無効紙専用にこれらの値を設定してもよい。
【0026】
なお、ユーザによって目視による判別付けやすさの基準は異なり、一定範囲でばらつくことが予想される。よって、各種項目の機能量(シフト方向、シフト量、パンチ位置、パンチ穴大きさ)をユーザが目視で判別付けやすい値に調整できると有益である。
【0027】
各種項目の機能量は、図1の画像形成装置1が記憶しているデータ群110である。したがって、画像形成装置1が各ユーザ毎にデータ群110を記憶する構成とする。そして、ユーザ毎のデータ群110を設定する手段を追加で備える構成とする。このような構成によると、各ユーザの嗜好にあった設定ができるという効果が得られる。
【0028】
次に、図1の各機能ブロックによる仕分け処理の流れについて説明する。
図5に、本実施形態の仕分け処理の流れを示す。
【0029】
まず、制御部100の異常発生検出部101が異常及び異常要因を検出する(S101)。ここで検出する異常要因によって、用紙排出可否判定(S102)の結果や無効紙判定(S103)の結果が変動する。異常要因(異常発生要因)としては、例えば、SC(サービスマン・コール)、ジャム(紙詰まり)、ドア開、紙なしなどが挙げられる。
【0030】
次に、用紙排出可否判定部102が用紙の排出が可能か不可能かを判定する(S102)。排出可能となるのは、異常要因が搬送に影響なく、危険性の低い異常が該当する。
【0031】
次に、有効紙無効紙判定部103が印刷中の異常が発生した用紙が無効紙であるか否かを判定する(S103)。無効紙となるのは、異常要因が、異常画像になる可能性の高い異常に該当する場合である。
【0032】
次に、後処理機能仕分け実施部104が後処理機能による仕分け処理を実施する(S104)。この本実施形態の後処理機能による仕分け処理が実施されるケース、すなわち異常発生時に排出可かつ無効紙(S101でYes、S102でYes、S103でYes)となるのは、主として異常要因が画像系や読取系のユニット故障などに起因するものが多い。このときは排出可能だが異常画像になる可能性が高いので無効紙として判定され、再度印刷を行う必要がある。
【0033】
他の異常要因、例えば搬送系の異常(紙詰まり、紙なしなど)の場合は、停止用紙と駆動に無関係な場合は排出可となるが、画像自体は正常な場合がほとんどのため基本的には有効紙扱いとなる。これに対して、定着系の異常の場合は、ヒータなど危険部位の異常のため基本的には機械を即停止させる必要があるため排出否となる。
【0034】
また、後処理機能を用いた仕分け処理においては、ユーザ毎に無効紙の判別しやすさの基準が異なるため、図2、図3、図4に示したシフトのみ、パンチのみ、シフト+パンチのうち、どの機能を使用するかをユーザ毎に任意に変更できた方がより望ましい。
【0035】
上述のように、本実施形態によれば、無効紙と判定された用紙をある一つの排出トレイに排出する際に、後処理を施すことによって仕分けして排出するため、ユーザが混載された用紙の中から無効紙を取り分けるという手間が省けるという効果がある。
この後処理がシフト機能であれば、ユーザにとって、より無効紙の判別が容易になる。
また、パンチ機能であっても、ユーザにとって、より無効紙の判別が容易になる。シフト機能とパンチ機能の両方であってもよい。
【符号の説明】
【0036】
1 画像形成装置
100 制御部
101 異常発生検出部
102 用紙排出可否判定部
103 有効紙無効紙判定部
104 後処理機能仕分け実施部
105 後処理仕分け実施機構部
106 排出トレイ
110 データ群
【先行技術文献】
【特許文献】
【0037】
【特許文献1】特許第3050417号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成後の後処理を実施する後処理手段と、
後処理実施後の用紙が排出される排出トレイと、
印刷中の異常を検出する異常検出手段と、
検出した異常の要因に基づいて、用紙排出の可否を判定する用紙排出可否判定手段と、
検出した異常の要因に基づいて、用紙が無効紙であるか否かを判定する有効紙無効紙判定手段と、
前記異常検出手段により異常が検出され、前記用紙排出可否判定手段に用紙排出が可能と判定され、前記有効紙無効紙判定手段により用紙が無効紙であると判定された場合に、前記無効紙に前記後処理手段による後処理を実施することによって仕分けした上で、前記無効紙を前記排出トレイへ排出する制御を行う後処理機能仕分け実施手段と、
を有することを特徴とする、画像形成装置。
【請求項2】
前記後処理機能仕分け実施手段が前記無効紙を仕分けする際の後処理が、用紙を前記排出トレイに排出する位置を所定の位置にずらすシフト機能であることを特徴とする、請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記後処理機能仕分け実施手段が前記無効紙を仕分けする際の後処理が、用紙にパンチ穴を開けるパンチ機能であることを特徴とする、請求項1又は2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記後処理機能仕分け実施手段が前記無効紙を仕分けする際の後処理に用いる機能量が、ユーザ毎に記憶され、前記機能量をユーザ毎に設定する設定手段を有することを特徴とする、請求項1から3のいずれか1項記載の画像形成装置。
【請求項5】
画像形成後の後処理を実施する後処理手段と、
後処理実施後の用紙が排出される排出トレイと、
を有する画像形成装置の制御方法であって、
印刷中の異常を検出する異常検出工程と、
検出した異常の要因に基づいて、用紙排出の可否を判定する用紙排出可否判定工程と、
検出した異常の要因に基づいて、用紙が無効紙であるか否かを判定する有効紙無効紙判定工程と、
前記異常検出工程により異常が検出され、前記用紙排出可否判定工程に用紙排出が可能と判定され、前記有効紙無効紙判定工程により用紙が無効紙であると判定された場合に、前記無効紙に前記後処理手段による後処理を実施することによって仕分けした上で、前記無効紙を前記排出トレイへ排出する制御を行う後処理機能仕分け実施工程と、
を有することを特徴とする、画像形成装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−252101(P2012−252101A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−123669(P2011−123669)
【出願日】平成23年6月1日(2011.6.1)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】