説明

画像形成装置及びプログラム

【課題】画像形成の動作を補助する補助装置がリセットされたことを容易に知る。
【解決手段】本体装置10とオプション装置20とからなる画像形成装置1である。本体装置10は、オプション装置20にコマンドを送信したり、オプション装置20から応答を受信したりする通信I/F部19と、通信I/F部19が電源オン応答を受信した旨を記憶する記憶部16と、通信I/F部19が電源オン応答を受信した場合に2回目以降の受信であればオプション装置20がリセットされたと判断する制御部11と、その判断の結果を表示するユーザI/F部12とを備える。また、オプション装置20は、電源オンを検出する電力検出部25と、電源オンになったときに電源オン応答を用意する制御部21と、本体装置10からコマンドを受信したり、本体装置10に電源オン応答を送信したりする通信I/F部29とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、プリンタ、複写機等の画像形成装置では、基本的な動作を行う本体装置に対してその動作を補助する補助装置(例えば、オプション機器)を接続することにより、本体装置の基本的な機能を拡張できるようになっている。ここで、補助装置としては、例えば、大容量給紙トレイ(HCF)、シートフィーダ、フィニッシャ等がある。
ところで、本体装置とこれらの補助装置とは、単に機械的に連結されるだけでなく、本体装置からの指示を補助装置に与えたり、補助装置の状態を本体装置へ知らせたりするために、電気的にも接続されている。画像形成の指示が与えられたときに画像形成装置が実行すべき動作は、これらの補助装置の接続状況によって異なってくるので、本体装置側では、予めこれらの補助装置が接続されているかどうかを知っておく必要がある。
【0003】
そこで、従来、オプション機器の接続状態を検知する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この特許文献1では、電源投入時にオプション機器の接続状態を検知し、検知された接続状態が接続無しから接続有りに変化した部分については不揮発性メモリに接続有りのデータを書き込み、検知された接続状態が接続有りから接続無しに変化した部分については通信エラーが発生した旨の信号を操作部に出力している。
【0004】
【特許文献1】特開平8−202207号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、画像形成の動作を補助する補助装置はリセットされることがあるが、そのことを知ることは容易ではなかった。例えば、補助装置の電源を監視するための信号線を新たに設置する方法も考えられるが、このような方法ではコストアップになってしまう。
本発明の目的は、画像形成の動作を補助する補助装置がリセットされたことを容易に知ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、画像形成の動作を補助する補助装置に対して第1の信号を送信する送信手段と、前記補助装置が前記第1の信号に対する応答として送信した第2の信号を受信する受信手段と、前記補助装置の電源がオンになったことを示す電源オン信号を前記受信手段が前記第2の信号として受信した場合に、自装置の電源がオンになった後の当該電源オン信号の受信回数に基づいて、当該補助装置のリセットを検出する検出手段とを備えたことを特徴とする画像形成装置である。
請求項2に記載の発明は、前記検出手段は、自装置の電源がオンになった後の前記電源オン信号の受信回数が2回以上である場合に、前記補助装置のリセットを検出することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置である。
請求項3に記載の発明は、前記検出手段が前記補助装置のリセットを検出した場合に、当該補助装置を用いた動作を制限する制限手段を更に備えたことを特徴とする請求項2記載の画像形成装置である。
請求項4に記載の発明は、前記送信手段は、前記検出手段が前記補助装置のリセットを検出した場合に、当該補助装置の初期化のための初期化信号を送信することを特徴とする請求項2記載の画像形成装置である。
請求項5に記載の発明は、前記送信手段は、自装置の電源がオンになった後の前記電源オン信号の受信回数が1回である場合に、前記補助装置の初期化のための初期化信号を送信することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置である。
請求項6に記載の発明は、前記検出手段は、前記受信手段が前記第1の信号に対する応答として前記第2の信号を受信しない状況が、当該第1の信号の所定回数の送信について連続して生じた場合に、自装置と前記補助装置との間の通信の異常を検出することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置である。
請求項7に記載の発明は、画像を形成する画像形成手段と、前記画像形成手段による画像形成の動作を補助する補助手段とを備え、前記補助手段は、自身の電源がオンになると、当該電源がオンになったことを示す電源オン信号を送信し、前記画像形成手段は、前記補助手段から前記電源オン信号を受信し、自身の電源がオンになった後の当該電源オン信号の受信回数に基づいて、当該補助手段のリセットを検出することを特徴とする画像形成装置である。
請求項8に記載の発明は、前記画像形成手段は、自身の電源がオンになった後の前記電源オン信号の受信回数が2回以上である場合に、前記補助手段のリセットを検出することを特徴とする請求項7記載の画像形成装置である。
請求項9に記載の発明は、コンピュータに、画像形成の動作を補助する補助装置に対して第1の信号を送信する機能と、前記補助装置が前記第1の信号に対する応答として送信した第2の信号を受信する機能と、前記補助装置の電源がオンになったことを示す電源オン信号が前記第2の信号として受信された場合に、自装置の電源がオンになった後の当該電源オン信号の受信回数に基づいて、当該補助装置のリセットを検出する機能とを実現させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0007】
請求項1の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、画像形成の動作を補助する補助装置がリセットされたことを容易に知ることができる。
請求項2の発明によれば、補助装置の電源がオンになった場合にそれが補助装置のリセットによるものであることを知ることできる。
請求項3の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、補助装置のリセット後にその誤動作を回避できる可能性が高まる。
請求項4の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、補助装置のリセット後にその機能を復旧できる可能性が高まる。
請求項5の発明によれば、補助装置の電源がオンになった場合にその機能を正常に保つことができる。
請求項6の発明によれば、補助装置から応答がない状況が続いた場合にそれが通信の異常によるものであることを知ることができる。
請求項7の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、画像形成の動作を補助する補助装置がリセットされたことを容易に知ることができる。
請求項8の発明によれば、補助装置の電源がオンになった場合にそれが補助装置のリセットによるものであることを知ることできる。
請求項9の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、画像形成の動作を補助する補助装置がリセットされたことを容易に知ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための最良の形態(以下、「実施の形態」という)について詳細に説明する。
本実施の形態では、基本的な動作を行う本体装置に対してその動作を補助する補助装置の一例であるオプション装置が接続された画像形成装置を考える。
このような画像形成装置では、オプション装置が電気的な原因により単独でリセットされる場合がある。通常、オプション装置は本体装置から電力を供給されているので、電源オンも本体装置の制御によりなされるのが正常な状態である。リセットとは、このように正常に電源オンがなされるのではなく、オプション装置独自の事情により電源オンがなされることをいう。尚、リセットには、ハードウェアリセットとソフトウェアリセットとがあるが、このうち、ハードウェアリセットについては次のような原因が考えられる。即ち、コンセントプラグやコネクタの接触不良、供給電力不足等の電源事情の悪い環境下で想定以上の電圧降下が発生し、本体装置とオプション装置の駆動電圧の違い等からオプション装置の電源のみが瞬断してしまうといったことである。
【0009】
かかる画像形成装置では、本体装置とオプション装置との間で通信が行われているが、このようにオプション装置が単独でリセットされると、その通信が途絶えるため、本体装置は通信フェイル(通信異常)を検知するはずである。しかしながら、本体装置が通信フェイルを検知する前にオプション装置の再起動が完了した場合、通信は再度接続するので、通信フェイルが検知されないこともある。通常は、オプション装置が起動された直後に、本体装置の状態をオプション装置に伝える初期化シーケンスを実行することで、本体装置の状態に合致したオプション装置の動作が保証される。ところが、このように通信フェイルが検知されないと、再起動後も初期化シーケンスが実行されず、オプション装置は、本体装置の状態に合致した正常な動作を行えなくなる。
【0010】
その結果、ジョブの開始時に本体装置とオプション装置との間に状態の不整合が発生し、システムフェイルとなってしまう。
このように、オプション装置のリセットによって初期化シーケンスが実行されなかったことは、ジョブの開始時に始めて分かる場合が多く、検知するタイミングとしては遅い。
【0011】
また、このようなオプション装置のリセットは、本当の意味での通信の異常(通信線の切断や接触不良、通信制御回路の異常、通信制御ソフトウェアの異常等)ではない。それにも関わらず、通信フェイルとして検知してしまうこともあり、非常に紛らわしい。そのため、異常部分を探すのに時間がかかることとなってしまう。例えば、原因がコンセントやコネクタの接触不良である場合は、ユーザに処置を促すことで直ぐに復旧できたかもしれない。しかしながら、ユーザは、異常の原因が分からないので、余計な問い合わせ等を行うことになる。更に、本当の意味での通信の異常ではないため、通信の再開によって復旧可能であるが、ユーザが本体装置の電源をオフ/オンすることで復旧することもあり、極めて不便な状況になっている。
【0012】
そこで、本実施の形態では、オプション装置の電源がオンになった場合に、電源オンが正常な起動によるものかリセットによるものかに関わらず、電源がオンになったことを示す電源オン信号を本体装置に送信するようにした。そして、本体装置は、電源オン信号を1回目に受信したときは、オプション装置が正常に起動されたものと判断し、電源オン信号を2回目以降に受信したときは、オプション装置がリセットされたものと判断するようにした。
【0013】
以下、本実施の形態について具体的に説明する。
まず、本実施の形態における信号の送受信について説明する。尚、ここでは、本体装置を「マスタ」、オプション装置を「スレーブ」と呼ぶことにする。
【0014】
図1は、本当の意味での通信異常を通信フェイルとして検知する際の信号の送受信を示したシーケンス図である。尚、一般には、1つのマスタに複数のスレーブが接続されており、マスタは、複数のスレーブの各々に順次信号を送信する。しかしながら、ここでは説明を簡単にするため、1つのマスタと1つのスレーブとの間の信号の送受信を示している。
【0015】
図示するように、期間30では、マスタが送信したコマンドに対する応答がスレーブから返ってきており、正常に通信が行われている。この場合、マスタは、スレーブに対し、時間間隔Tごとにコマンドを送信している。
その後、期間31では、マスタが送信したコマンドに対する応答が、例えば、通信の障害により、スレーブから返ってこなくなっている。この場合、マスタは同じコマンドをスレーブに再送する。
そして、時点32では、所定回数のコマンドの送信に対してスレーブから応答がないことが検出される。この場合、通信フェイルと判断する。
【0016】
図2は、スレーブのリセットを検知する際の信号の送受信を示したシーケンス図である。尚、既述の通り、一般には、1つのマスタに複数のスレーブが接続されるが、ここでも、説明を簡単にするため、1つのマスタと1つのスレーブとの間の信号の送受信を示している。
【0017】
図において、期間40は、マスタの電源がオンになってからスレーブの電源がオンになるまでの期間である。マスタは、電源がオンになると、スレーブに対して空コマンドを送信する。そして、スレーブの電源がオンになるまではスレーブから応答を受信しないので、所定の時間間隔で空コマンドを再送する。
【0018】
一方、スレーブでは、時点41で電源がオンになったとする。この場合、マスタからのコマンドに最初に応答するときに、電源がオンになったことを示す応答(以下、「電源オン応答」という)を送信する。
これにより、マスタは、時点42でこの電源オン応答を受信し、スレーブの電源がオンになったことを認識する。尚、このとき、電源オン応答の受信は1回目であるので、マスタは、スレーブの電源がオンになった旨を記憶する。
【0019】
これにより、期間43において、マスタは、スレーブを初期化する初期化シーケンスを実行する。ここで、初期化とは、スレーブがマスタと整合した動作を行うために必要な設定情報を伝えることである。この設定情報には、例えば、印字速度に関する情報や、用紙に対する印字位置を微調整するための情報等がある。
即ち、まず、マスタは、初期化シーケンスの開始を示す初期化コマンドをスレーブに送信する。これに対して、スレーブは、初期化応答をマスタに返信する。次に、マスタは、実際の初期化の指示内容に相当するデータコマンドを送信する。これに対して、スレーブは、データ応答をマスタに返信する。以降、このデータコマンドの送信及びデータ応答の返信を繰り返す。そして、送信すべきデータコマンドがなくなると、マスタは、初期化シーケンスの終了を示す初期化終了コマンドをスレーブに送信する。これに対して、スレーブは、初期化終了応答をマスタに返信する。
【0020】
その後、期間44において、マスタとスレーブは、何らかの状態変化があるまで、空コマンド及び空応答のやり取りを行うことで、通信を維持する。
次に、時点45において、スレーブの電源が瞬断したとする。すると、期間46において、マスタは、何らかのコマンドをスレーブに送信するが、スレーブからの応答がないので、同じコマンドを再送する。
【0021】
一方、スレーブでは、時点47で電源がオンになったとする。この場合、マスタからのコマンドに最初に応答するときに、電源オン応答を送信する。つまり、期間46で再送したコマンドに対する応答として、電源オン応答を送信する。尚、期間46でマスタがスレーブに送信するコマンドは、如何なるものでもよい。例えば、期間44における送信に引き続き送信される空コマンドでもよいし、スレーブに対して実際の動作を指示するコマンドでもよい。例えば、スレーブがシートフィーダであるとすると、後者のコマンドは、用紙のフィードを指示するコマンドであってよい。尚、このことは、図中「XX」で示している。
【0022】
このようにスレーブが電源オン応答を送信すると、マスタは、時点48でこの電源オン応答を受信し、スレーブの電源がオンになったことを認識する。尚、このとき、電源オン応答の受信は2回目であるので、マスタは、スレーブのリセットを検知する。
そして、スレーブのリセットを検知した場合、マスタは、時点49において、次のような動作を行う。
1.待機中は、スレーブを再度初期化し、復帰する。
2.ジョブの実行中は、スレーブのリセットフェイルを表示し、該当スレーブを必要とする動作を制限する。
【0023】
次に、このような検知動作を行う画像形成装置1について説明する。
図3は、画像形成装置1の機能構成例を示したブロック図である。
図示するように、本実施の形態における画像形成装置1は、本体装置10と、オプション装置20とからなる。このうち、本体装置10は、画像形成に関する基本的な動作を行う装置である。また、オプション装置20は、本体装置10の機能を拡張するために接続される装置である。尚、図では、オプション装置20を1台しか示していないが、複数台のオプション装置20が接続されていてもよい。つまり、図のオプション装置20は、複数台のオプション装置のうちの1台を代表として示したものである。
【0024】
まず、本体装置10内の構成を説明する。本体装置10は、制御部11と、ユーザインターフェース(以下、「ユーザI/F」という)部12と、画像読取部13と、画像形成部14と、電力検出部15と、記憶部16と、通信インターフェース(以下、「通信I/F」)部19とを備える。このように、本体装置10は画像形成部14を有しているので、本体装置10のみを画像形成装置と呼ぶ場合もある。即ち、本実施の形態では、画像形成手段の一例として、本体装置10を設けている。
【0025】
制御部11は、本体装置10全体の動作を制御する。本実施の形態では、補助装置のリセットを検出する検出手段の一例として、また、補助装置を用いた動作を制限する制限手段の一例として、制御部11を設けている。
ユーザI/F部12は、画像形成装置1のユーザとの間のインターフェースを実現する。即ち、ユーザに情報を提示したり、ユーザからの操作を受け付けたりする。
【0026】
画像読取部13は、例えば原稿に印刷された画像を読み取ることにより、画像データを取得する。ここで、画像読取部13は、例えばスキャナであり、光源から原稿に照射した光に対する反射光をレンズで縮小してCCD(Charge Coupled Devices)で受光するCCD方式や、LED光源から原稿に順に照射した光に対する反射光をCIS(Contact Image Sensor)で受光するCIS方式のものを用いるとよい。
画像形成部14は、紙等の記録媒体に画像を形成する。ここで、画像形成部14は、例えばプリンタであり、感光体に付着させたトナーを記録媒体に転写して像を形成する電子写真方式や、インクを記録媒体上に吐出して像を形成するインクジェット方式のものを用いるとよい。尚、記録媒体とは、画像を印刷可能なものであれば、その材質は問わない。代表例は紙であるが、OHPシートや金属板、布等であっても構わない。
【0027】
電力検出部15は、本体装置10に対する商用電源からの電力の供給を検出し、電力が供給されている場合に、その旨を示す信号を制御部11に出力する。
記憶部16は、制御部11における処理に用いる各種情報を記憶する。各種情報としては、例えば、オプション装置20の管理情報や、オプション装置20に送信すべきコマンドがある。前者は、記憶部16中のオプション装置管理テーブルに記憶し、後者は、記憶部16中のコマンドバッファに記憶する。ここで、記憶部16は、揮発性メモリで実現しても不揮発性メモリで実現してもよい。
通信I/F部19は、オプション装置20にコマンドを送信したり、オプション装置20から応答を受信したりする。本実施の形態では、第1の信号を送信する送信手段の一例として、また、第2の信号を受信する受信手段の一例として、通信I/F部19を設けている。
【0028】
次に、オプション装置20内の構成を説明する。オプション装置20は、制御部21と、電力検出部25と、通信I/F部29とを備える。本実施の形態では、補助手段の一例として、オプション装置20を設けている。
【0029】
制御部21は、オプション装置20全体の動作を制御する。
電力検出部25は、オプション装置20に対する商用電源からの電力の供給を検出し、電力が供給されている場合に、その旨を示す信号を制御部21に出力する。尚、本実施の形態において、オプション装置20に対する電力の供給は、本体装置10を介して行われるものとする。
記憶部26は、制御部21における処理に用いる各種情報を記憶する。各種情報としては、例えば、本体装置10に送信すべき応答がある。これは、記憶部26中の応答バッファに記憶する。ここで、記憶部26は、揮発性メモリで実現しても不揮発性メモリで実現してもよい。
通信I/F部29は、本体装置10からコマンドを受信したり、本体装置10に応答を送信したりする。
【0030】
ここで、本体装置10の記憶部16に記憶されるオプション装置管理テーブルについて具体的に説明する。
図4は、オプション装置管理テーブルの具体的な内容を示した図である。
図示するように、オプション装置管理テーブルは、装置IDと、接続フラグと、受信フラグとを対応付けたものとなっている。
装置IDとは、オプション装置20を一意に識別する識別情報である。ここでは、装置IDを2桁の数字で示しているが、装置IDの中にオプション装置20の種別を表す文字列を含めてもよい。この文字列としては、例えば、トレイモジュールであれば「TM」、両面印刷モジュールであれば「DUP」等が考えられる。
【0031】
接続フラグは、オプション装置20が接続されているかどうかを示すフラグである。オプション装置20が接続されていれば、接続フラグを「ON」に設定し、オプション装置20が接続されていなければ、接続フラグを「OFF」に設定するとよい。
受信フラグは、自装置の電源がオンになった後にオプション装置20から電源オン応答を受信したかどうかを示すフラグである。電源オン応答を受信していれば、受信フラグを「ON」に設定し、電源オン応答を受信していなければ、受信フラグを「OFF」に設定するとよい。
【0032】
次いで、画像形成装置1の動作について説明する。ここでは、画像形成装置1を構成する本体装置10とオプション装置20のうち、本体装置10の動作について説明する。
また、既述の通り、1台の本体装置10には複数台のオプション装置20が接続され得るが、このフローチャートも1台のオプション装置20との間の情報の送受信を想定している。複数台のオプション装置20との間の情報の送受信を想定する場合は、コマンドの送信先のオプション装置20と、応答の送信元のオプション装置20との一致をとりながら、以下の動作を行うことになる。その場合、例えば、本体装置10が送信するコマンドにオプション装置20の装置IDを含めておき、各オプション装置20は、自身の装置IDを含むコマンドを受信した場合にのみ、本体装置10に応答を返すようにすればよい。そして、本体装置10は、あるオプション装置20に対してコマンドを送信した後、所定の時間内に受信した応答をそのオプション装置20からの応答として紐付け、次のオプション装置20に対する処理に移るようにすればよい。
【0033】
図5は、本体装置10における制御部11のメインの動作例を示したフローチャートである。制御部11は、オプション装置20に対する何らかのコマンドの送信を通信I/F部19に指示した後、この動作を実行する。
動作を開始すると、本体装置10では、通信I/F部19がコマンドを送信してから所定の時間内にオプション装置20からの応答を受信したかどうかを、制御部11が判定する(ステップ101)。
【0034】
ここで、所定の時間内にオプション装置20からの応答を受信しなかった場合、制御部11は、通信I/F部19がコマンドを所定回数再送したかどうかを判定する(ステップ102)。そして、所定回数再送していなければ、制御部11は、通信I/F部19に同じコマンドの再送を指示する(ステップ103)。その後、ステップ101に戻り、応答を受信したかどうかを判定する。また、所定回数再送していれば、制御部11は、オプション装置20が接続されていないものと判断し、その旨を記憶する(ステップ104)。具体的には、記憶部16内のオプション装置管理テーブルの該当するオプション装置20に対する接続フラグを「OFF」に設定する。
【0035】
一方、ステップ101で所定時間内にオプション装置20からの応答を受信した場合、制御部11は、オプション装置20が接続されているものと判断し、その旨を記憶する(ステップ105)。具体的には、記憶部16内のオプション装置管理テーブルの該当するオプション装置20に対する接続フラグを「ON」に設定する。そして、オプション装置20のリセット検知処理を実行する(ステップ106)。
【0036】
図6は、このリセット検知処理の動作例を示したフローチャートである。
リセット検知処理を開始すると、制御部11は、まず、ステップ101で受信したと判定された応答が有効であるかどうかを判定する(ステップ121)。例えば、図2に示した期間44でやり取りしているような、通信を維持するためだけの空データは、ここでいう有効な応答に該当しないものとして除外する。
【0037】
ここで、応答が有効でないと判定した場合、制御部11は、応答に対する処理は行わずに、次のコマンドの送信に移る(ステップ126)。尚、この場合、記憶部16内のコマンドバッファにコマンドが格納されていれば、そのコマンドが送信されるが、コマンドバッファにコマンドが格納されていなければ、空コマンドが送信される。
【0038】
一方、応答が有効であると判定した場合、制御部11は、その応答が電源オン応答であるかどうかを判定する(ステップ122)。尚、このとき、電源オン応答は、オプション装置20において、次のように用意され送信される。即ち、オプション装置20の電源がオンになると、まず、電力検出部25が、電力の供給の開始を検出し、その旨を制御部21に伝える。すると、制御部21は、電源オン応答を用意し、記憶部26内の応答バッファに電源オン応答を格納する。そして、この電源オン応答が、次の本体装置10からのコマンドに対する応答として送信すべき順番になっていれば、制御部21が通信I/F部29に電源オン応答の送信を指示し、通信I/F部29が電源オン応答を送信することになる。
【0039】
そして、ステップ122で応答が電源オン応答でなければ、応答に対する処理は行わずに、次のコマンドの送信に移る(ステップ126)。尚、この場合も、記憶部16内のコマンドバッファにコマンドが格納されていれば、そのコマンドが送信されるが、コマンドバッファにコマンドが格納されていなければ、空コマンドが送信される。また、ステップ122で応答が電源オン応答であれば、自装置の電源がオンになって以降の電源オン応答の受信が1回目であるかどうかを判定する(ステップ123)。具体的には、記憶部16内のオプション装置管理テーブルの該当するオプション装置20に対する受信フラグが「OFF」に設定されているかどうかを判定する。
【0040】
その結果、電源オン応答の受信が1回目であると判定された場合、つまり、受信フラグが「OFF」に設定されていた場合、制御部11は、電源オン応答を受信した旨を記憶する(ステップ124)。具体的には、記憶部16内のオプション装置管理テーブルの該当するオプション装置20に対する受信フラグを「ON」に設定する。その後、制御部11は、オプション装置20の初期化シーケンスにおいて送信するコマンドを用意し、記憶部16内のコマンドバッファに格納する(ステップ125)。そして、コマンドバッファに格納されたコマンドをオプション装置20に送信するよう通信I/F部19に指示する(ステップ126)。
【0041】
次に、通信I/F部19がこのコマンドを送信してから所定の時間内にオプション装置20からの応答を受信したかどうかを、制御部11が判定する(ステップ127)。
ここで、所定の時間内にオプション装置20からの応答を受信した場合、ステップ121に戻り、制御部11は、応答が有効かどうかを判定する。
一方、所定の時間内にオプション装置20からの応答を受信しなかった場合、制御部11は、通信I/F部19がコマンドを所定回数再送したかどうかを判定する(ステップ128)。そして、所定回数再送していなければ、制御部11は、通信I/F部19に同じコマンドの再送を指示する(ステップ129)。その後、ステップ127に戻り、応答を受信したかどうかを判定する。また、所定回数再送していれば、制御部11は、通信フェイルと判断してその旨をユーザI/F部12に表示する(ステップ130)。
【0042】
また、ステップ123で電源オン応答の受信が2回目以降であると判定された場合、つまり、受信フラグが「ON」に設定されていた場合、制御部11は、オプション装置20が動作中であるかどうかを判定する(ステップ131)。
その結果、オプション装置20が動作中であれば、リセットフェイルと判断してその旨をユーザI/F部12に表示する(ステップ132)。但し、このようにリセットフェイルを通知しても、ユーザがオプション装置20を使用可能なままでは、ジャム等の異常が発生する可能性がある。従って、このリセットフェイルの場合においては、オプション装置20が使用できない旨を例えばオプション装置管理テーブルの接続フラグを用いて記憶し、オプション装置20を用いた機能を選択できないようにしておくことが望ましい。
【0043】
ところで、これまでは、画像形成装置1を構成する本体装置10とオプション装置20との間の通信を前提に説明してきたが、本実施の形態はこれに限られるものではない。例えば、汎用のコンピュータ間で本実施の形態の動作を行うようにしてもよい。そこで、本実施の形態の動作を行う汎用のコンピュータや画像形成装置1のコンピュータ部分をコンピュータ90として、そのハードウェア構成について説明する。
図7は、コンピュータ90のハードウェア構成を示した図である。
図示するように、コンピュータ90は、演算手段であるCPU(Central Processing Unit)91と、記憶手段であるメインメモリ92及び磁気ディスク装置(HDD:Hard Disk Drive)93とを備える。ここで、CPU91は、OS(Operating System)やアプリケーション等の各種ソフトウェアを実行し、上述した各機能を実現する。また、メインメモリ92は、各種ソフトウェアやその実行に用いるデータ等を記憶する記憶領域であり、磁気ディスク装置93は、各種ソフトウェアに対する入力データや各種ソフトウェアからの出力データ等を記憶する記憶領域である。
更に、コンピュータ90は、外部との通信を行うための通信I/F94と、ビデオメモリやディスプレイ等からなる表示機構95と、キーボードやマウス等の入力デバイス96とを備える。
【0044】
尚、本実施の形態を実現するプログラムは、通信手段により提供することはもちろん、CD−ROM等の記録媒体に格納して提供するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の実施の形態において通信フェイルを検知する際の信号の送受信を示したシーケンス図である。
【図2】本発明の実施の形態においてリセットフェイルを検知する際の信号の送受信を示したシーケンス図である。
【図3】本発明の実施の形態における画像形成装置の機能構成例を示したブロック図である。
【図4】本発明の実施の形態において用いられるオプション装置管理テーブルの具体的な内容を示した図である。
【図5】本発明の実施の形態の本体装置における制御部の動作例を示したフローチャートである。
【図6】本発明の実施の形態の本体装置における制御部の動作例を示したフローチャートである。
【図7】本発明の実施の形態を適用可能なコンピュータのハードウェア構成図である。
【符号の説明】
【0046】
1…画像形成装置、10…本体装置、11…制御部、12…ユーザI/F部、13…画像読取部、14…画像形成部、15…電力検出部、16…記憶部、19…通信I/F部、20…オプション装置、21…制御部、25…電力検出部、26…記憶部、29…通信I/F部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成の動作を補助する補助装置に対して第1の信号を送信する送信手段と、
前記補助装置が前記第1の信号に対する応答として送信した第2の信号を受信する受信手段と、
前記補助装置の電源がオンになったことを示す電源オン信号を前記受信手段が前記第2の信号として受信した場合に、自装置の電源がオンになった後の当該電源オン信号の受信回数に基づいて、当該補助装置のリセットを検出する検出手段と
を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記検出手段は、自装置の電源がオンになった後の前記電源オン信号の受信回数が2回以上である場合に、前記補助装置のリセットを検出することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記検出手段が前記補助装置のリセットを検出した場合に、当該補助装置を用いた動作を制限する制限手段を更に備えたことを特徴とする請求項2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記送信手段は、前記検出手段が前記補助装置のリセットを検出した場合に、当該補助装置の初期化のための初期化信号を送信することを特徴とする請求項2記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記送信手段は、自装置の電源がオンになった後の前記電源オン信号の受信回数が1回である場合に、前記補助装置の初期化のための初期化信号を送信することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記検出手段は、前記受信手段が前記第1の信号に対する応答として前記第2の信号を受信しない状況が、当該第1の信号の所定回数の送信について連続して生じた場合に、自装置と前記補助装置との間の通信の異常を検出することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項7】
画像を形成する画像形成手段と、
前記画像形成手段による画像形成の動作を補助する補助手段と
を備え、
前記補助手段は、自身の電源がオンになると、当該電源がオンになったことを示す電源オン信号を送信し、
前記画像形成手段は、前記補助手段から前記電源オン信号を受信し、自身の電源がオンになった後の当該電源オン信号の受信回数に基づいて、当該補助手段のリセットを検出することを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
前記画像形成手段は、自身の電源がオンになった後の前記電源オン信号の受信回数が2回以上である場合に、前記補助手段のリセットを検出することを特徴とする請求項7記載の画像形成装置。
【請求項9】
コンピュータに、
画像形成の動作を補助する補助装置に対して第1の信号を送信する機能と、
前記補助装置が前記第1の信号に対する応答として送信した第2の信号を受信する機能と、
前記補助装置の電源がオンになったことを示す電源オン信号が前記第2の信号として受信された場合に、自装置の電源がオンになった後の当該電源オン信号の受信回数に基づいて、当該補助装置のリセットを検出する機能と
を実現させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−119689(P2009−119689A)
【公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−295333(P2007−295333)
【出願日】平成19年11月14日(2007.11.14)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】