説明

画像形成装置及びロセスカートリッジ

【課題】転写後の像保持体上の転写残トナーをクリーニングする能力を向上させ、画像履歴や環境に関わらず、トナー筋汚れ、ハイライト部のムラなどの画質欠陥が発生しない安定した画像が長期にわたり得られる画像形成装置及びプロセスカートリッジを提供する。
【解決手段】通気流量0ml/minでパウダーレオメーターによって測定したときの基本流動性エネルギー量Aが150〜600mJであり、かつ通気流量80ml/minで流動化して脱気した履歴を与えた後に、通気流量0ml/minでパウダーレオメーターによって測定したときの流動化エネルギーBを基本流動性エネルギー量Aで割った値が、0.3〜0.9であるトナーを含む現像剤を用い、クリーニングブレードと、掻き取られた前記転写残トナーを塞ぎ止める滞留制御部材と、を具備するクリーニング手段を有する画像形成装置及びプロセスカートリッジ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置及びロセスカートリッジに関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真法など静電潜像を経て画像情報を可視化する方法は、現在様々の分野で利用されている。電子写真法においては、帯電、露光工程により感光体上に形成される静電潜像がトナーを含む現像剤により現像されて、転写、定着工程を経て可視化される。
このような画像形成装置としては、従来より、感光体上の転写残トナーを除去するのにブレードクリーニングシステムが用いられている。
【0003】
前記ブレードクリーニングシステムとしては、以下の提案がされている。
クリーニングブレードの感光体との接触部にできるトナー溜りを1mm以下にして、さらにブレードのゴム硬度を70以上に規定するシステムが提案されている(例えば、特許文献1及び2参照)。
トナーをニップ部に一時的に溜め加圧するためにクリーニングブレードにひさしをつけるブレードクリーニングシステムが提案されている(例えば、特許文献3参照)。
【0004】
下向きに設置したブレードと、ブレードと対向する位置にトナーを溜める下側シールとトナーせき止め部材を設置するブレードクリーニングシステムが提案されている(例えば、特許文献4参照)。
クリーナを備えた転写紙搬送ベルトで、転写紙搬送ベルトに未転写のトナー像を形成し、クリーナーにトナーを供給してブレードニップにトナー溜りを形成するブレードクリーニングシステムが提案されている(例えば、特許文献5参照)。
【0005】
トナーを一時せき止める部材を背面に備えたクリーニングブレードと、その上流に磁気ブラシを設置するブレードクリーニングシステムが提案されている(例えば、特許文献6及び7参照)。
トナー溜りを形成するトナー一時せき止め部材を先端に備えたクリーニングブレードを、感光体の回転軸方向に往復運動させるブレードクリーニングシステムが提案されている(例えば、特許文献8参照)。
【0006】
クリーナーの上流にワイパーブレード構造のトナー一時せき止め部材を設置するブレードクリーニングシステムが提案されている(例えば、特許文献9参照)。
中間転写体のクリーナーに、クリーニング除去後のトナーの一部を再度供給するブレードクリーニングシステムが提案されている(例えば、特許文献10参照)。
【0007】
クリーニング助剤を含んだ球形トナーと、引っ張り弾性率0.5〜1.5Gpaの像担持体と、クリーニングブレードを有するブレードクリーニングシステムが提案されている(例えば、特許文献11参照)。
【特許文献1】特開昭61−241777号公報
【特許文献2】特開昭61−239278号公報
【特許文献3】特開2000−147968号公報
【特許文献4】特開平11−161125号公報
【特許文献5】特開平9−258627号公報
【特許文献6】特開2005−258044号公報
【特許文献7】特開2006−10955号公報
【特許文献8】特開2006−10957号公報
【特許文献9】特開2006−227583号公報
【特許文献10】特開2005−43504号公報
【特許文献11】特開2003−140468号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、転写後の像保持体上の転写残トナーをクリーニングする能力を向上させ、画像履歴や環境に関わらず、トナー筋汚れ、ハイライト部のムラなどの画質欠陥が長期間にわたって発生しない安定した画像が得られる画像形成装置及びプロセスカートリッジを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題は、以下の本発明により解決される。
即ち、本発明は、
<1> 像保持体と、像保持体を帯電する帯電手段と、帯電した像保持体表面に静電潜像を形成する潜像形成手段と、トナーを含む現像剤により前記静電潜像を現像しトナー像を前記像保持体上に形成する現像手段と、前記トナー像を記録媒体上に転写して未定着の転写画像を形成する転写手段と、記録媒体上に転写された前記未定着の転写画像を定着する定着手段と、像保持体上の転写残トナーをクリーニングするクリーニング手段と、を具備し、前記クリーニング手段は、一端が剛性体からなる支持体に固定され、他端に、前記像保持体に接触して、像保持体上の転写残トナーを掻き取る掻き取り部を有する、弾性体からなるクリーニングブレードと、前記クリーニングブレードの背面側に取り付けられ、前記掻き取り部で掻き取られた前記転写残トナーを塞ぎ止めて、トナー溜りを形成する滞留制御部材と、を具備し、前記トナーは、通気流量0ml/min、回転翼の先端スピード100mm/sec、回転翼の進入角度−5°の条件でパウダーレオメーターによって測定したときの基本流動性エネルギー量Aが150mJ以上600mJ以下であり、かつ通気流量80ml/min、回転翼の先端スピード100mm/sec、回転翼の進入角度−5°の条件で流動化して脱気した履歴を与えた後に、通気流量0ml/min、回転翼の先端スピード100mm/sec、回転翼の進入角度−5°の条件で測定したときの流動化エネルギーBと、前記基本流動性エネルギー量Aとは、(流動化エネルギーB/基本流動性エネルギー量A)が0.3以上0.9以下となる関係を有することを特徴とする画像形成装置である。
【0010】
<2> クリーニングブレードと、滞留制御部材と、像保持体表面と、に囲まれた領域の断面積は、0.5mm以上5mm以下であることを特徴とする<1>に記載の画像形成装置である。
<3> 前記滞留制御部材は、前記クリーニングブレードの先端と同じ高さから、滞留制御部材の先端までの長さが、0.5mm以上5mm以下であることを特徴とする<1>又は<2>に記載の電子写真画像形成装置である。
【0011】
<4> 前記クリーニングブレードは、前記剛性体からなる支持体の上端と同じ高さから、クリーニングブレードの上端までの長さが、3mm以上15mm以下であることを特徴とする<1>〜<3>の何れか1つに記載の電子写真画像形成装置である。
【0012】
<5> 前記現像剤は、キャリアを含むことを特徴とする<1>〜<4>の何れか1つに記載の電子写真画像形成装置である。
<6> 前記キャリアは、平均円形度が0.98以上1.00以下であり、残留磁化が2emu/g以上10emu/gであることを特徴とする<5>に記載の電子写真画像形成装置である。
【0013】
<7> 画像形成装置本体に脱着可能であり、少なくとも、像保持体と、トナーを含む現像剤により、前記像保持体上に形成された静電潜像を現像し、トナー像を前記像保持体上に形成する現像手段と、転写後の像保持体上の転写残トナーをクリーニングするクリーニング手段と、を具備し、前記クリーニング手段は、一端が剛性体からなる支持体に固定され、他端に、前記像保持体に接触して、像保持体上の転写残トナーを掻き取る掻き取り部を有する、弾性体からなるクリーニングブレードと、前記クリーニングブレードの背面側に取り付けられ、前記掻き取り部で掻き取られた前記転写残トナーを塞ぎ止めて、トナー溜りを形成する滞留制御部材と、を具備し、前記トナーは、通気流量0ml/min、回転翼の先端スピード100mm/sec、回転翼の進入角度−5°の条件でパウダーレオメーターによって測定したときの基本流動性エネルギー量Aが150mJ以上600mJ以下であり、かつ通気流量80ml/min、回転翼の先端スピード100mm/sec、回転翼の進入角度−5°の条件で流動化して脱気した履歴を与えた後に、通気流量0ml/min、回転翼の先端スピード100mm/sec、回転翼の進入角度−5°の条件で測定したときの流動化エネルギーBと、前記基本流動性エネルギー量Aとは、(流動化エネルギーB/基本流動性エネルギー量A)が0.3以上0.9以下となる関係を有することを特徴とするプロセスカートリッジである。
【0014】
<8> クリーニングブレードと、滞留制御部材と、像保持体表面と、に囲まれた領域の断面積は、0.5mm以上5mm以下であることを特徴とする<7>に記載のプロセスカートリッジである。
<9> 前記滞留制御部材は、前記クリーニングブレードの上端と同じ高さから、滞留制御部材の先端までの長さが、0.5mm以上5mm以下であることを特徴とする<7>又は<8>に記載のプロセスカートリッジである。
【0015】
<10> 前記クリーニングブレードは、前記剛性体からなる支持体の先端と同じ高さから、クリーニングブレードの先端までの長さが、3mm以上15mm以下であることを特徴とする<7>〜<9>の何れか1つに記載のプロセスカートリッジである。
【0016】
<11> 前記現像剤は、キャリアを含むことを特徴とする<7>〜<10>の何れか1つに記載のプロセスカートリッジである。
<12> 前記キャリアは、平均円形度が0.98以上1.00以下であり、残留磁化が2emu/g以上10emu/gであることを特徴とする<11>に記載のプロセスカートリッジである。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、転写後の像保持体上の転写残トナーをクリーニングする能力を向上させ、画像履歴や環境に関わらず、トナー筋汚れ、ハイライト部のムラなどの画質欠陥が発生しない安定した画像が長期間にわたって得られる画像形成装置及びプロセスカートリッジを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明について詳細に説明する。
<画像形成装置>
本発明の画像形成装置は、像保持体と、像保持体を帯電する帯電手段と、帯電した像保持体表面に静電潜像を形成する潜像形成手段と、トナーを含む現像剤により前記静電潜像を現像しトナー像を前記像保持体上に形成する現像手段と、前記トナー像を記録媒体上に転写して未定着の転写画像を形成する転写手段と、記録媒体上に転写された前記未定着の転写画像を定着する定着手段と、像保持体上の転写残トナーをクリーニングするクリーニング手段と、を具備し、前記クリーニング手段は、一端が剛性体からなる支持体に固定され、他端に、前記像保持体に接触して、像保持体上の転写残トナーを掻き取る掻き取り部を有する、弾性体からなるクリーニングブレードと、前記クリーニングブレードの背面側に取り付けられ、前記掻き取り部で掻き取られた前記転写残トナーを塞ぎ止めて、トナー溜りを形成する滞留制御部材と、を具備し、前記トナーは、通気流量0ml/min、回転翼の先端スピード100mm/sec、回転翼の進入角度−5°の条件でパウダーレオメーターによって測定したときの基本流動性エネルギー量Aが150mJ以上600mJ以下であり、かつ通気流量80ml/min、回転翼の先端スピード100mm/sec、回転翼の進入角度−5°の条件で流動化して脱気した履歴を与えた後に、通気流量0ml/min、回転翼の先端スピード100mm/sec、回転翼の進入角度−5°の条件で測定したときの流動化エネルギーBと、前記基本流動性エネルギー量Aとは、(流動化エネルギーB/基本流動性エネルギー量A)が0.3以上0.9以下となる関係を有することを特徴とする。
【0019】
従来よりクリーニング性の向上のために、感光体(像保持体)とクリーニングブレードとの接触部に、トナー溜りを形成させることが提案されている。
このトナー溜りが無い場合はクリーニングブレードのめくれが発生しやすく、トナーが感光体とクリーニングブレードとの接触部をすり抜けてしまうことによる筋汚れや、感光体の駆動トルクの異常上昇による画像形成装置の停止などの問題がある。
一方、トナー溜りがある場合は、このトナー溜りが、感光体上に付着しているトナーを掻き落とし感光体への付着力を低下させるのと同時に、クリーニングブレードの摩擦抵抗を下げ、クリーニングブレードめくれ発生を抑制するために、クリーニング性が向上すると考えられている。
【0020】
しかしながら、このトナー溜りがある場合でも、画像密度が低い画像を連続して出力した場合には、感光体とクリーニングブレードとの接触部をトナーがすり抜けることによる筋汚れが発生し、出力画像の品質低下や画像形成装置内の部材汚染の原因となっている。これは次のような現象が起こっていることが判明した。
すなわち、トナー溜りの最深部であるブレードの角(エッジ)と感光体が接する部分に長期間同一のトナーが滞留し続け、高い機械的圧力とせん断力を受け続け、トナーに用いられている外添剤が遊離したり顕著に埋没したりする。また、トナーが破壊されて微粉が発生したり内部の定着補助成分が露出したりする。そのため、画像密度が低い画像を連続して出力し続けるとトナー溜りの最深部のトナーは流動性が低下し付着性が増大する。
【0021】
その結果、クリーニングブレードのエッジに、トナーやトナー成分の凝集体の固着が生じ、ブレードエッジが均一に感光体に押し当てられなくなるので、トナーのすり抜けが発生する。つまり、画像密度履歴などに影響されずに、高いクリーニング性を長期間安定して得るためには、トナー溜りの維持と、トナー溜りを形成するトナーの入れ替えを適性に行なうことが必要である。
【0022】
(トナー)
先ず、本発明に用いるトナーについて説明する。
本発明に用いるトナー(以下、単にトナーと称する場合がある。)は、通気流量0ml/min、回転翼の先端スピード100mm/sec、回転翼の進入角度−5°の条件でパウダーレオメーターによって測定したときの基本流動性エネルギー量Aが150mJ以上600mJ以下であり、かつ通気流量80ml/min、回転翼の先端スピード100mm/sec、回転翼の進入角度−5°の条件で流動化して脱気した履歴を与えた後に、通気流量0ml/min、回転翼の先端スピード100mm/sec、回転翼の進入角度−5°の条件で測定した流動化エネルギーBと、前記基本流動性エネルギー量Aとは、(流動化エネルギーB/基本流動性エネルギー量A)が0.3以上0.9以下となる関係を有することを特徴とする。
【0023】
発明者らが鋭意検討した結果、トナー溜りを維持し、トナー溜りを形成するトナーの入れ替えを適切に行うためには、クリーニングブレードに設置した、トナー溜りを形成する滞留制御部材を設けると共に、トナーの脱気時の挙動が重要であることが判明した。さらにクリーニングブレードが微小な振動(微小挙動)をしていることが好ましいことも判明した。クリーニングブレードは感光体摺擦時に微小な振動をしており、微小な振動をすることでクリーニングブレードのひずみを逐次開放してめくれを抑制し、クリーニングブレードエッジと感光体の安定した押し当て状態を維持する。
【0024】
一方で、クリーニングブレードの微小な振動は、トナー溜りに滞留しているトナーの挙動にも影響を及ぼす。振動環境にさらされるトナーは振動によって脱気されてしまったり空気を抱き込んで流動化したりする。発明者らの検討でトナー溜りでのトナーの挙動を、以下のパウダーレオメータを用いての脱気試験で表せることが判明した。
ここで、脱気試験とは、ベッセル中のトナー層に気流を与えて流動化したのちに、一定条件の攪拌翼でトナー層中の空気を抜いた後に(脱気作業)、攪拌翼にかかる負荷を測定することで、流動化したトナー層からの空気の抜けやすさ、そのときのトナー層の粉体としての動きやすさを測定するものである。
【0025】
脱気試験では気流を与えたのちに脱気をしており、感光体上に層状に付着したトナーを掻き取り(=流動化させ)、掻き取ったトナー溜りに微小振動を与える(=脱気する)状況を再現していると考えられる。
この脱気性が低すぎる場合、トナーがブレードニップ部のトナー溜まりの中で動きやすく不安定となり、トナー溜りからこぼれやすくなったり舞い上がったりする。トナー溜りからこぼれたり舞い上がったりしたトナーは画像形成装置内部を汚染して故障の原因となったり、直接記録媒体を汚染して出力画像の汚れとして現れたりする。
【0026】
一方、脱気性が高すぎる場合、トナーがブレードニップ部のトナー溜まりの中で容易に締まり動きが低下するため、トナー溜りに同一のトナーが滞留し続け、ストレスを過度に受け続けたトナーがクリーニングブレードのエッジに固着して、トナーを掻き取る、掻き取り性低下の原因となる。ブレードの掻き取り性が低下すると、感光体上の未転写トナーや転写残トナーがクリーニングブレードニップをすり抜け、帯電器を汚染したり、現像機の混色となったり、出力画像を汚染したりして画像品質低下の原因となる。
【0027】
本発明のように、クリーニング手段が滞留制御部材を具備しており、クリーニングブレードの微小振動と、トナーの脱気性が適性領域にあることで、トナー溜りの形成とトナーの入れ替わりが適性に行われる。また、クリーニング手段が、一端が剛性体からなる支持体に固定され、他端に、像保持体に接触して、像保持体上の転写残トナーを掻き取る掻き取り部を有する、弾性体からなるクリーニングブレードであるため、像保持体の駆動時に効率的にクリーニングブレードの先端に微小振動が発生し、めくれの抑制と適切なトナー滞留状態を得ることができる。
【0028】
前記脱気性は、後述するように、基本流動性エネルギー量A、及び流動化エネルギーBを求めることにより評価できる。
ここで、基本流動性エネルギー量A、及び流動化エネルギーBについて説明する。これらはパウダーレオメータによる流動性測定により得られる流動性エネルギー量である。
【0029】
粒子の流動性を測定する場合、液体や固体、或いは気体の流動性を測定する場合よりも、多くの要因から影響を受けるため、粒径や表面粗さ等の従来用いられているパラメータでは、正確な粒子の流動性を特定することが困難である。また、流動性を特定するための測定すべき因子(例えば、粒径等)を決定しても、実際にはその因子は流動性に与える影響が少ない場合や、他の因子との組み合わせによってのみその因子を測定する意義が発生する場合もあり、測定因子を決定することでさえ困難である。
【0030】
更に、粉体の流動性は、外的環境要因によっても著しく異なる。例えば、液体であれば、測定環境が変動しても、流動性の変動幅は然程大きくはないが、粒子の流動性については、湿度や流動させる気体の状態等の外的環境要因によって大きく変動する。このような外的環境要因がいずれの測定因子に影響を与えるかは明確にはされていないため、厳密な測定条件下で測定しても、得られる測定値の再現性に乏しいのが実際である。
【0031】
また、現像剤(トナー)がトナー溜りに滞留したときの流動性については、安息角や嵩密度などを指標としてきたが、これらの物性値は現像剤の流動性に対して間接的なものであり、振動しているブレード上に溜まった現像剤の動的な環境下での流動性を定量化して管理することが困難であった。
【0032】
しかしながら、パウダーレオメーターでは、トナーから測定機の回転翼にかかる流動性エネルギー量を測定できるため、流動性に起因する各要因を合算した値で得ることができる。それゆえ、パウダーレオメーターでは、従来のように、表面の物性値や粒度分布を調整して得られたトナーについて、測定すべき項目を決定し、各項目について最適物性値を見出して測定することなく、流動性を直接的に測定できる。
【0033】
その結果、パウダーレオメーターで上記数値範囲に該当するかの確認を行うことで、静電荷像現像用に用いるトナーとして好適であるかの判断が可能となる。このようなトナーの製造管理は、トナーの流動性を一定に保つことに関して、従来の間接的な値で管理する方法に比べ、極めて実用に適した方法である。また、測定条件を一定とすることも容易であり、測定値の再現性も高い。
【0034】
つまり、パウダーレオメーターによって得られる値で流動性を特定する方法は、従来の方法に比べて、簡便かつ正確で、信頼性も高い。
【0035】
次に、パウダーレオメーターによる流動性測定方法について説明する。
パウダーレオメーターは、充填した粒子中を回転翼が螺旋状に回転することによって得られる回転トルクと垂直荷重とを同時に測定して、流動性を直接的に求める流動性測定装置である。回転トルクと垂直荷重の両方を測定することで、粉体自身の特性や外部環境の影響を含めた流動性について、高感度に検出することができる。また、粒子の充填の状態を一定とした上で測定を行うため、再現性の良好なデータを得ることができる。
【0036】
パウダーレオメーターとしてfreeman technology社製のFT4を用いて測定する。なお、測定前に温湿度の影響をなくすため、トナーは、温度22℃、湿度50%RHの状態で、8時間以上放置したものを用いる。
【0037】
まず、トナーを内径50mmのスプリット容器(高さ89mmの160mL容器の上に高さ51mmの円筒を載せ、上下に分離できるようにしたもの)に、高さ89mmを越える量のトナーを充填する。
【0038】
トナーを充填した後、充填されたトナーを穏やかに攪拌することによりサンプルの均質化を行う操作を実施する。この操作を以下ではコンディショニングと呼ぶことにする。
【0039】
コンディショニングでは、充填した状態でトナーにストレスを与えないようトナーからの抵抗を受けない回転方向で回転翼を緩やかに撹拌して、過剰の空気や部分的ストレスのほとんどを除去し、サンプルを均質な状態にする。具体的なコンディショニング条件は、−5°の進入角で、60mm/secの回転翼の先端スピードで攪拌を行う。
【0040】
このとき、プロペラ型の回転翼が、回転と同時に下方向にも運動するので先端はらせんを描くことになり、このときのプロペラ先端が描くらせん経路の角度を進入角度と呼ぶ。
【0041】
コンディショニング操作を4回繰り返した後、スプリット容器の容器上端部を静かに動かし、高さ89mmの位置において、ベッセル内部のトナーをすり切って、160mL容器を満たすトナーを得る。コンディショニング操作を実施するのは、流動性エネルギー量を安定して求めるためには、常に安定して体積一定の粉体を得ることが重要であるからである。
【0042】
以上のようにして、得られたトナーを内径50mm、高さ140mmの200mL容器に移す。トナーを200mL容器に移した後、更にこのようなコンディショニング操作を5回実施した後、容器内を底面からの高さ110mmから10mmまで、進入角度−5°で移動しながら回転翼の先端スピード100mm/secで回転するときの、回転トルクと垂直荷重を測定する。このときのプロペラの回転方向は、コンディショニングと逆方向(上から見て右回り)であり、この測定が「基本流動性エネルギーA」測定である。
【0043】
底面からの高さHに対する回転トルク又は垂直荷重の関係を図1(A)、図1(B)に示す。回転トルクと垂直荷重から、高さHに対してのエネルギー勾配(mJ/mm)を求めたものが、図2である。図2のエネルギー勾配を積分して得られた面積(図2の斜線部分)が、流動性エネルギー量(mJ)となる。底面からの高さ10mmから100mmの区間を積分して流動性エネルギー量を求める。
また、誤差による影響を少なくするため、このコンディショニングとエネルギー測定操作のサイクルを5回行って得られた平均値を、流動性エネルギー量(mJ)とする。
【0044】
回転翼は、freeman technology社製の図3に示す2枚翼プロペラ型のφ48mm径である。
【0045】
そして、コンディショニング後、上記回転翼の回転トルクと垂直荷重を測定する際、通気流量0ml/min、回転翼の先端スピード100mm/sec、回転翼の進入角度−5°の条件で行なった「基本流動性エネルギーA」測定により、測定した流動性エネルギー量が「基本流動性エネルギー量A」である。
【0046】
また、コンディショニング後、容器底部から通気流量80ml/minの空気を流入させ、回転翼の先端スピード100mm/sec、回転翼の進入角度−5°の条件で流動化した後、脱気した履歴を与えた後に、通気流量0ml/min、回転翼の先端スピード100mm/sec、回転翼の進入角度−5°の条件で測定した流動性エネルギー量が「流動化エネルギー量B」である。ここで、脱気した履歴とは、通気流量0ml/minの条件でコンディショニング操作を4回繰り返すことを指す。気流と攪拌を与えられて流動化したトナー層は、コンディショニング操作を施されることで空気が徐々に抜けて行く。脱気の方法としては振動やタッピングを与えるなどの方法もあるが、脱気の基本的な効果としてはどれも同じである。本発明では安定した脱気条件が得られ再現性に優れている、パウダーレオメーターを用いたコンディショニング操作をすることにより脱気した履歴を与えた。
尚、freeman technology社製のFT4では、通気量の流入状態は制御されている。
【0047】
本発明に用いるトナーは、基本流動性エネルギー量Aが、150mJ以上600mJ以下(好ましくは、150mJ以上400mJ以下、より好ましくは180mJ以上350mJ以下)である。前記基本流動性エネルギー量Aが150mJ未満であると、トナーは流動性が過剰になるためクリーニングブレードのニップ奥まで容易に進入し、クリーニングブレードを通り抜けしやすくなる。そのため、すり抜けたトナーが出力画像を汚したり帯電器を汚染したりする。一方、基本流動性エネルギー量Aが600mJを超えると、トナーの流動性が低下してクリーニングブレードニップの手前で凝集しやすくなるため、トナーやトナーの外添剤成分がクリーニングブレードと感光体が摺擦している部分まで到達しにくくなる。そのため、クリーニングブレードと感光体の摺擦時に発生する摩擦力が高くなりクリーニングブレード先端のかきとり部に過剰なストレスが加わり、クリーニングブレードの先端エッジ欠けが生じて、筋状のトナー漏れが発生する。トナー漏れは画像汚れや帯電器汚れの原因となる。
【0048】
また、本発明に用いるトナーは、流動化エネルギー量Bを基本流動性エネルギー量Aで割った値(流動化エネルギー量B/基本流動性エネルギー量A、以下「B/A」と記載し、脱気指標と称する。)が、0.3以上0.9以下(好ましくは0.5以上0.9以下、より好ましくは0.6以上0.8以下)である。前記(B/A)が0.3未満であると、トナーが動きやすく不安定となり、トナー溜りからこぼれやすくなったり舞い上がったりする。トナー溜りからこぼれやすくなったり舞い上がったりしたトナーは画像形成装置内部を汚染して故障の原因となったり、出力画像の汚れとして現れたりする。一方、脱気指標(B/A)が0.9を超えると、トナーが容易に締まり動きが低下するため、トナー溜りに同一のトナーが滞留し続け、ストレスを過度に受け続けたトナーがクリーニングブレードのエッジに固着して、トナーを掻き取る、掻き取り性低下の原因となる。ブレードの掻き取り性が低下すると、感光体上の未転写トナーや転写残トナーがクリーニングブレードニップをすり抜け、帯電器を汚染したり、現像機の混色となったり、出力画像を汚染したりして画像品質低下の原因となる。
【0049】
本発明に用いるトナーは、例えば、トナー粒子と外添剤を少なくとも含んで構成され、基本流動性エネルギー量A及び流動化エネルギーBは、トナー粒子に外添させる外添剤の種類及びトナー粒子への外添剤の付着構造を制御する、トナー粒子の微粉側の粒度分布を制御する、トナー粒子にクリーニング助剤を添加する、トナー粒子の形状及び粒径を制御する、トナー粒子の非静電的付着性を制御する、等で制御することができ、これらを組み合わせて基本流動性エネルギー量A及び流動化エネルギーBを制御することも好ましい。
【0050】
[外添剤]
本発明に用いることができる外添剤は、基本流動性エネルギー量A及び流動化エネルギーBの制御と共に、転写性、流動性、クリーニング性及び帯電量の制御性を制御するためもものである。外添剤としては、無機粒子、有機粒子のいずれも用いることができる。また滑剤、研磨剤などを併用することもできる。
【0051】
無機粒子としては、例えば、シリカ、酸化アルミニウム、酸化チタン、メタチタン酸、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、ケイ砂、クレー、雲母、ケイ灰石、ケイソウ土、塩化セリウム、ベンガラ、酸化クロム、酸化セリウム、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、酸化ジルコニウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素、炭酸カルシウム、硫酸バリウムなどの金属酸化物やセラミック粒子などを、単独又は併用して用いることができる。
【0052】
有機粒子としては、例えば、スチレン系重合体、(メタ)アクリル系重合体、エチレン系重合体などのビニル系重合体や、エステル系、メラミン系、アミド系、アリルフタレート系などの各種重合体、フッ化ビニリデンなどのフッ素系重合体、ユニリンなどの高級アルコールからなる粒子などを挙げることができる。
【0053】
外添剤としては、特に、無機粒子が好ましく、当該無機粒子のうちでも、少なくともシリカ粒子、酸化アルミニウム、酸化チタン、メタチタン酸、酸化亜鉛から選ばれる1種であることが好ましく、シリカ、酸化チタンであることがより好ましく、シリカであることがさらに好ましい。
【0054】
ここで、外添剤により基本流動性エネルギー量A及び流動化エネルギーBの制御するための手法としては、外添剤に炭素数10以上のシラン処理、シリコーンオイル処理を施す、又は外添剤の粒径を制御する、不定形外添剤、異型の外添剤(シリカや酸化チタン、酸化アルミニウムの無機粒子)を外添する手法が好適に挙げられる。
【0055】
炭素数10以上(好ましくは10〜20、より好ましくは10〜18)のシラン処理としては、具体的には、例えば、デシルシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、ヘキサメチルジシラザンなどを用いた処理である。また、シランの処理量は、不定形外添剤100質量部に対して、5〜50質量部の範囲が適当である。
【0056】
また、シリコーンオイル処理としては、具体的には、例えばジメチルシリコーンオイル、メチルハイドロジェンシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、アルキル変性シリコーンオイル、α−メチルスルホン変性シリコーンオイル、クロルフェニルシリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、エポキシ変性シリコーンオイル、カルボキシル変性シリコーンオイル、カルビーノ変性シリコーンオイル、メタクリル変性シリコーンオイル、メルカプト変性シリコーンオイル、フェノール変性シリコーンオイル、ポリエーテル変性シリコーンオイル、メチルスチリル変性シリコーンオイル、高級脂肪酸エステル変性シリコーンオイル、フッ素変性シリコーンオイルなどを用いた処理である。また、シリコーンオイルの処理量は、不定形外添剤100質量部に対して、5〜50質量部の範囲が適当である。
【0057】
不定形外添剤としては、シリカや酸化チタン、酸化アルミニウムの無機粒子などが挙げられる。これらの中でも、シリカが好適に用いられ、具体的には、例えば、気相法シリカ(ハロゲン化珪素の高温気相加水分解による方法(火炎加水分解法)、電気炉中でケイ砂とコークスとをアークによって加熱還元気化し、これを空気で酸化する方法(アーク法)などの気相法によって得られる無水シリカ)などが用いられる。
【0058】
また、不定形外添剤の個数平均粒径は、15nm〜1μmであることが好ましく、より好ましくは20〜800nmであり、さらに好ましくは30〜500nmである。また、不定形外添剤におけ「不定形」とは、後述する平均円形度で0.830〜0.960であるものを示す。不定形外添剤として好適な形状としては、リンプン状、円盤状、米粒状などが挙げられ、酸化チタンやメタチタン酸の粒子が例示できる。
【0059】
不定形外添剤は、トナー粒子表面積に対し、表面被覆率10cov%以上200cov%以下(好ましくは15cov%以上100cov%以下、より好ましくは25cov%以上70cov%以下)で外添することがよい。
なお、トナー粒子の表面積に対する不定形外添剤の表面被覆率は、以下の式に従い算出することができる。ここで、Dtはトナー粒子の体積平均粒子径を示し、ρtはトナー粒子の比重を示し、Daは外添剤の個数平均粒子径を示し、ρaは外添剤の比重を示す。
【0060】
【数1】

【0061】
以上のような外添剤をトナー粒子に外添することで、好適に規定の前記基本流動性エネルギー量A及び流動化エネルギーBとすることができる。また、トナー粒子の一例としては体積平均粒子径3〜12μm、大粒径側の粒度分布D84V/D50vが1.05〜1.3、小粒径側の粒度分布D50p/D16pが1.1〜1.35の小径でかつ狭い粒度分布を有するトナー粒子を適用することで、より好適に基本流動性エネルギーAおよび脱気指標を達成することができる。
【0062】
ここで、外添剤の個数平均粒径は、走査型電子顕微鏡(日立株式会社製:S−4100)をもちいてトナー粒子上に分散した外添剤を観察し、撮影した画像を用いて、300個の外添剤粒子の直径を測定し、それを元に計算して求めることができる。
【0063】
また、大粒径(例えば体積平均粒径80〜300nm)の外添剤と小粒径(例えば体積平均粒径5〜20nm)の外添剤とを組み合わせる等、粒径が異なる2種類以上の外添剤を用いることにより、トナー粒子表面の微細な凹凸を制御し、トナー粒子間の付着性、トナー粒子の転がりやすさを調整することにより、パウダーレオメーターにおける流動性エネルギー量を好適に制御することができる。また、例えば、大粒径の無機粒子を、小粒径の無機粒子よりも先に外添してトナーを調製することで、小粒径無機粒子がトナー粒子表面を被覆すると同時に大粒径外添剤表面を被覆することにより、トナー最表面の微細な凹凸を制御することができ、それによって所望の流動性を確保できる。
【0064】
外添剤全体としての使用量は、トナー粒子に対して、0.5質量%以上10質量%以下であることが好ましく、0.6質量%以上8質量%以下であることがより好ましく、0.8質量%以上6質量%以下であることが更に好ましい。
【0065】
[クリーニング助剤]
本発明に用いるトナーは、クリーニング助剤を添加することにより、基本流動性エネルギー量A及び流動化エネルギーBを制御することができる。前記クリーニング助剤としては、脂肪酸金属塩粉末、高級アルコール粉末、脂肪酸粉末、ワックス粉末、フッ素化合物粒子、黒鉛粉末、窒化硼素粉末、雲母粉末、エチレンビスステアリル酸アミド、オレイン酸アミド等の脂肪酸アミドなどが挙げられ、とくに脂肪酸金属塩粉末、高級アルコール粉末、脂肪酸粉末が好ましい。
また、クリーニング助剤の添加量は、トナー粒子に対して、0.05質量%以上5質量%以下であることが好ましく、0.1質量%以上3質量%以下であることがより好ましく、0.15質量%以上1質量%以下であることが更に好ましい。
【0066】
本発明に用いるトナー(トナー粒子)は、結着樹脂、着色剤、及び離型剤を含んで構成される。
[結着樹脂]
トナー粒子に含まれる結着樹脂は、トナー粒子に用いうる公知のものを適宜選択することができる。具体的には、例えば、スチレン、クロロスチレンなどのスチレン類、エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレンなどのモノオレフィン類、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニル、酪酸ビニルなどのビニルエステル類、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ドデシル、などのα−メチレン脂肪族モノカルボン酸のエステル類、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルブチルエーテルなどのビニルエーテル類、ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、ビニルイソプロペニルケトンなどのビニルケトン類、などの単独重合体及び共重合体を例示することができ、特に代表的な結着樹脂としてはポリスチレン、スチレン−アクリル酸アルキル共重合体、スチレン−メタクリル酸アルキル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、を挙げることができる。さらに、ポリエステル、ポリウレタン、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリアミド、変性ロジンなどを挙げることができる。
これらの中でも、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合樹脂とポリエステル樹脂が好ましく用いられる。
【0067】
結着樹脂の分子量は樹脂の種類によって異なるが、おおよそ重量平均分子量Mwは、10,000〜500,000であることが好ましく、15,000〜300,000であることがより好ましく、20,000〜200,000であることが更に好ましい。数平均分子量Mnは、2,000〜30,000であることが好ましく、2,500〜20,000であることがより好ましく、3,000〜15,000であることが更に好ましい。
上記重量平均分子量及び数平均分子量の値は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)を用いて測定したものをいう。GPCは、HLC−8120GPC、SC−8020(東ソー(株)社製)を用い、カラムは、TSKgel、SuperHM−H(東ソー(株)社製、6.0mmID×15cm)を2本用い、溶離液としてTHF(テトラヒドロフラン)を用いる。実験条件としては、試料濃度を0.5質量%、流速を0.6ml/min、サンプル注入量を10μl、測定温度を40℃とし、IR検出器を用いる。
【0068】
結着樹脂のガラス転移温度は、高温環境下における流動性の悪化の防止と、低温定着性の両立の観点から、40℃〜80℃であることが好ましく、45℃〜75℃であることがより好ましい。
【0069】
ガラス転移点(Tg)は、示差走査熱量計(島津製作所社製:DSC−50)を用い、昇温速度10℃/分の条件下で測定することにより求めた値をいう。なお、ガラス転移点は吸熱部におけるベースラインと立ち上がりラインとの延長線の交点の温度とする。
【0070】
[着色剤]
トナー粒子に含まれる着色剤としては、特に制限はなく、それ自体公知の着色剤を挙げることができ、目的に応じて適宜選択することができる。前記着色剤としては、例えば、カーボンブラック、ランプブラックや、デュポンオイルレッド、オリエントオイルレッド、ローズベンガル、C.I.ピグメントレッドの5、112、123、139、144、149、166、177、178、222、48:1、48:2、48:3、53:1、57:1、81:1や、C.I.ピグメントオレンジの31、43や、キノリンイエロー、クロームイエロー、C.I.ピグメントイエローの12、14、17、93、94、97、138、174、180、188や、ウルトラマリンブルー、アニリンブルー、カルコイルブルー、メチレンブルークロライド、銅フタロシアニン、C.I.ピグメントブルーの15、60、15:1、15:2、15:3や、C.I.ピグメントグリーンの7や、マラカイトグリーンオキサレート、ニグロシン染料などが挙げられ、これらを単独又は複数組み合わせて用いることも可能である。これらはあらかじめフラッシング分散処理されたものであってもよい。
【0071】
また、着色剤としては、磁性粉も使用することができる。磁性粉としては、公知の磁性体、例えば、鉄、コバルト、ニッケル等の金属及びこれらの合金、Fe,γ−Fe,コバルト添加酸化鉄等の金属酸化物、MnZnフェライト、NiZnフェライト等の各種フェライト、マグネタイト、ヘマタイト等の粉末が使用でき、更にそれらの表面をシランカップリング剤、チタネートカップリング剤等の表面処理剤で処理したもの、珪素系化合物やアルミニウム系化合物など無機系材料でコーティングしたもの、あるいはポリマーでコーティングしたもの等でも良い。
【0072】
着色剤は、トナー粒子に対して、3質量%〜15質量%の範囲で添加することが好ましく、4質量%〜10質量%の範囲で添加することがより好ましい。但し、着色剤として磁性粉を用いる場合は、トナー粒子に対して、12質量%〜48質量%の範囲内で添加することが好ましく、15質量%〜40質量%の範囲で添加することがより好ましい。前記着色剤の種類を適宜選択することにより、イエロートナー、マゼンタトナー、シアントナー、黒色トナー、緑色トナー等の各色トナーが得られる。
【0073】
(離型剤)
トナー粒子に含まれる離型剤としては、例えば、パラフィンワックス及びその誘導体、モンタンワックス及びその誘導体、マイクロクリスタリンワックス及びその誘導体、フィッシャートロプシュワックス及びその誘導体、ポリオレフィンワックス及びその誘導体等を使用できる。誘導体としては酸化物、ビニルモノマーとの重合体、グラフト変性物などを含む。この他に、アルコール、脂肪酸、植物系ワックス、動物系ワックス、鉱物系ワックス、エステルワックス、酸アミド等も使用できる。
【0074】
具体的には、低分子量ポリプロピレンや低分子量ポリエチレン等の炭化水素系ワックス、マイクロクリスタリンワックス、シリコーン樹脂、ロジン類、エステル系ワックス、ライスワックス、カルナバワックス、フィッシャートロプシュワックス、モンタンワックス、キャンデリラワックスなどが挙げられる。
【0075】
離型剤の割合はトナー粒子に対して0.1〜10質量%の範囲内であることが好ましく、より好ましくは1〜8質量%の範囲内である。離型剤の含有量が、上記下限値より少ないと、トナーの離型性能が低下しオフセットが発生する場合があり、一方、上記上限値を越えると、トナーの帯電性能の低下や熱保管性能の低下が発生する場合がある。
【0076】
[その他添加剤]
本発明のトナーには、上記組成物のほか、現像剤に使われている公知の材料を適宜添加することができる。例えば、例えば、内添剤、帯電制御剤、無機粒体、有機粒体、滑剤、研磨材などが挙げられる。
【0077】
内添剤としては、例えば、フェライト、マグネタイト、還元鉄、コバルト、ニッケル、マンガン等の金属、合金、又はこれら金属を含む化合物などの磁性体などが挙げられる。
帯電制御剤としては、例えば、4級アンモニウム塩化合物、ニグロシン系化合物、アルミ、鉄、クロムなどの錯体からなる染料、トリフェニルメタン系顔料などが挙げられる。なお、本発明における帯電制御剤としては、トナーの製法に懸濁重合法、乳化重合法、乳化重合凝集法、分散重合法など湿式製法を用いる場合は、凝集時や融合時の安定性に影響するイオン強度の制御と廃水汚染減少の点で、水に溶解しにくい素材のものが好ましい。
無機粒体としては、例えば、シリカ、アルミナ、チタニア、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、リン酸三カルシウム、酸化セリウム等の通常トナー表面の外添剤として使用される総ての粒子が挙げられる。前記有機粒体としては、例えば、ビニル系樹脂、ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂等の通常トナー表面の外添剤として使用される総ての粒子が挙げられる。なお、これらの無機粒体や有機粒体は、流動性助剤、クリーニング助剤等として使用することができる。
前記研磨材としては、例えば、前述のシリカ、酸化チタン、アルミナ、酸化セリウムなどが挙げられる。
【0078】
[製法]
本発明のトナーは、トナー粒子と外添剤とをサンプルミルやヘンシェルミキサー、ハイブリタイザやノビルタなどの攪拌装置で機械的衝撃力を加えることで、トナー粒子表面に外添剤を付着又は固着することで得ることができる。このとき、温度や機械的衝撃力、時間を制御することで外添剤の付着状態を制御することができる。
【0079】
トナー粒子は、公知の製造方法に従って製造することができる。前記製造方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜決定することができる。
【0080】
例えば、結着樹脂と着色剤、離型剤、所望により帯電制御剤等を予備混合した後、混練機にて溶融混練し、冷却後粉砕した後、上述のように振動篩分機や風力篩分機等を用いて分級を行う、混練粉砕方式を用いて製造することができる。また、湿式球形化法、懸濁造粒法、懸濁重合法、乳化重合凝集法等によって製造することができる。
【0081】
[物性]
(トナー粒子の体積平均粒径)
トナー粒子の体積平均粒径は、3μm〜12μmが好ましく、より好ましくは3.5μm〜10μmであり、更に好ましくは4μm〜9μmである。トナー粒子の体積平均粒径が4μm未満であると、流動性が著しく低下するため、層規制部材等による現像剤層の形成が不充分となり、画像にカブリやダートが発生する場合がある。一方、12μmを超える場合は、解像度が低下し、高画質の画像が得られない場合が生じたり、現像剤単位重量当たりの帯電量が低下し、現像剤層の層形成維持性が低下し、画像にカブリやダートが発生する場合がある。
【0082】
トナー粒子の体積平均粒径の測定法としては、分散剤として界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムの5質量%水溶液2ml中に、測定試料を0.5〜50mg加え、これを前記電解液100〜150ml中に添加した。この測定試料を懸濁させた電解液を超音波分散器で約1分間分散処理を行い、前記コールターマルチサイザー−II型により、アパーチャー径が50μmのアパーチャーを用いて、粒径が1.0〜30μmの範囲の粒子の粒度分布を測定する。測定する粒子数は50,000とする。
得られた粒度分布を分割された粒度範囲(チャンネル)に対し、小粒径側から体積累積分布を引いて、累積50%となる粒径を体積平均粒径D50vとする。
【0083】
(トナー粒子の粒度分布)
トナー粒子の好ましい粒度分布としては、粒径4μm以下のトナー粒子の占める割合が、45個数%以下の場合であり、40個数%以下の場合がより好ましく、35個数%以下の場合が更に好ましい。
また、上記体積平均粒径D50vを求めるときと同様に、小粒径側から体積累積分布を引いた場合に累積84%となる粒径をD84vとし、小粒径側から個数累積分布を引いた場合に累積16%となる粒径をD16p、50%となる粒径をD50p(個数平均粒径)とすると、D84v/D50vが1.35以下であることが好ましく、1.30以下であることがより好ましい。また、D50p/D16pが1.45以下であることが好ましく、1.40以下であることがより好ましい。
【0084】
このような粒度分布を有するトナー粒子を得るには、風力式の分級機、遠心分離式の分級機、慣性方式の分級機、あるいは、篩による選別により、所望の粒度分布に合わせることができる。
【0085】
トナー粒子の粒度分布が、上記範囲よりも広い場合には、既述のパウダーレオメーターによる流動性エネルギー量が規定の範囲から外れる傾向にある。
【0086】
なお、トナー粒子の粒度分布は、体積平均粒径の測定と同様の方法によって得られた粒度分布を分割された粒度範囲(チャンネル)に対し、小粒径側から体積累積分布を引いて、累積84%となる粒径をD84v、小粒径側から個数累積分布を引いて、累積50%となる粒径をD50p、累積16%となる粒径をD16pとしたとき、粗粉側粒度分布指標を体積平均粒径D84v/体積平均粒径D50vとし、微粉側粒度分布指標を個数平均粒径D50p/個数平均粒径D16pとして求めた値をいう。
【0087】
また、これらを用いて、体積平均粒度分布指標(GSDv)は(D84v/D16v1/2より算出され、数平均粒度分布指標(GSDp)は(D84p/D16p1/2より算出された値を言う。
【0088】
(トナー粒子の平均円形度)
トナー粒子の平均円形度は0.950〜0.998の範囲(好ましくは0.955〜0.980の範囲)であることが好ましい。前記範囲より下回ると形状が不定形側になり、現像性、転写性、耐久性、流動性が悪化し、結果、トナーこぼれによる機内汚染が発生する原因となる。一方、この平均円形度が上記範囲を超える場合、球形粒子の割合が多くなりクリーニング性が困難になることがある。
【0089】
ここで、平均円形度は、(円相当周囲長)/(周囲長)[(粒子像と同じ投影面積をもつ円の周囲長)/(粒子投影像の周囲長)]により求められ、測定対象となるトナーを吸引採取し、非常に扁平な流れを形成させ、瞬時にストロボ発光させることにより静止画像として粒子像を取り込み、その粒子像を画像解析するフロー式粒子像解析装置(例えばシスメックス社製のFPIA−2100)によって求めることができる。なお、平均円形度を求める際のサンプリング数は3500個である。
【0090】
(静電潜像現像剤)
本発明の静電潜像現像用トナーは、そのまま一成分現像剤として、あるいは二成分現像剤として用いられる。二成分現像剤として用いる場合にはキャリアと混合して使用される。
【0091】
二成分現像剤に使用し得るキャリアとしては、特に制限はなく、公知のキャリアを用いることができるが、平均円形度が0.98以上1.00以下(より好ましくは0.98以上0.99以下であり、残留磁化が2emu/g以上10emu/g以下(より好ましくは2emu/g以上8emu/g以下であることが好ましい。
ここで、キャリアの残留磁化の測定は、例えば、振動試料型磁気測定装置VSMP10−15(東英工業社製)を用いる。測定は印加磁場を加え、最大1000エルステッドまで掃引する。次いで、印加磁場を減少させ、記録紙上にヒステリシスカーブを作製する。カーブのデータより、残留磁化を求める。本発明においては、残留磁化は、いったん印加磁場を1000エルステッドまで掃引したのちに、印加磁場を減少させ磁場の印加が終了した時点での磁力をさす。具体的には記録紙上に作成したヒステリシスカーブの測定終了時点でのY切片を読み取って求める。
【0092】
本発明に用いるキャリアの平均円形度の測定には、例えば、FPIA−3000(シスメックス社製)を使用する。本装置では、水などに分散させた粒子をフロー式画像解析法によって測定する方式が採用されており、吸引された粒子懸濁液はフラットシースフローセルに導かれ、シース液によって偏平な試料流に形成される。その試料流にストロボ光を照射することにより、通過中の粒子は対物レンズを通してCCDカメラで、静止画像として撮像し、撮像された粒子像を、2次元画像処理して、投影面積と周囲長から円相当径および円形度を算出した。円相当径は、撮影された各々の粒子に対して、2次元画像の面積から同一の面積を有する円の直径を円相当径として算出する。このように撮影した粒子を、少なくとも5,000個以上各々画像解析を行い、撮影された各々の粒子に対して、下式によって円形度を求める。また、撮影した5,000個以上の粒子について画像解析を行い、統計処理することによって、平均円形度を求める。
・円形度=円相当径周囲長/周囲長=[2×(Aπ)1/2]/PM
上式においてAは投影面積、PMは周囲長を表す。なお、測定には、LPFモードを使用し、10μm未満および50μmを超える粒径の粒子や、キャリア粒子が分散せずに複数合一して撮像されているものをカットして解析して求めることが好ましい。
なお、測定サンプルの調製は、例えば、次のようにして行う。すなわち、キャリア0.03gを25重量%濃度のエチレングリコール水溶液に添加・攪拌して分散させてキャリアの分散液を調製し、このキャリア分散液を測定サンプルとすればよい。
【0093】
二成分現像剤を用いて画像形成する場合、酸化金属などの磁性粒子からなるキャリアが用いられるが、現像時にキャリア粒子も微量ながら感光体に移行している。キャリアの磁性粒子は非常に硬く、感光体に移行したキャリアはクリーニングブレードとの接触部に到達すると、感光体に強くこすり付けられるので、感光体の傷の原因となる場合がある。
また、トナー溜りにもキャリアも滞留するため、感光体傷はより顕著になり、潜像リークによる画像汚れの原因となる場合がある。
【0094】
しかし平均円形度が0.98以上1.00以下、残留磁化が2emu/g以上10emu/g2〜10emu/g以下であるキャリアを用いることでこの問題は改善することができる。これはキャリアによる感光体の傷はキャリアが有している突起が起点となるため、キャリアを球形形状に近付けることで傷の発生を抑制することができる。一方で球形のキャリアは流動性が高いため、ブレードエッジと感光体が接しているニップ部の奥に進入しやすく、トナー溜り内部に滞留し続けて排出されにくい。トナー溜りに大量のキャリアが蓄積されると、キャリアはトナーよりも粒径が大きいためニップ部を押し広げ、トナーをかきとり除去するための適正なニップ形状を維持することができなくなる場合がある。その結果、ブレードのかきとり性が低下してクリーニング不良が発生し、感光体上の未転写トナーや転写残トナーがクリーニングブレードニップをすり抜けて帯電器を汚染したり、現像機の混色となったり、出力画像を汚染したりして画像品質低下の原因となる場合がある。
【0095】
また、キャリアの残留磁化を2emu/g以上10emu/g以下とすることで、感光体上に移行したキャリアも磁性を有し続けキャリア同士が凝集するため、トナー溜りから排出されやすくなりトナー溜りに蓄積し続けることを防止できる。
残留磁化を有するキャリアは現像機の現像剤搬送ロールが有している磁界の影響を受けて、感光体上に移行した後も磁力を保持しつけるため、トナー溜りの中でもキャリア同士が磁力によって凝集する。残留磁化が低すぎるとキャリアの凝集力が低下するために、トナー溜まりからの排出性が低下してトナー溜まりに蓄積しやすくなってしまう。残留磁化が高すぎると現像機内部でのキャリアの凝集性が高くなりすぎ、トナーとの混合性が低下して帯電不良のトナーが発生し、現像機からのトナー噴き出しなどの原因となる場合がある。
【0096】
以上のような残留磁化が2emu/g以上10emu/g以下のキャリアとしては、マグネタイトキャリア、樹脂マトリックス中にマグネタイト微粒子を分散した磁性粉分散型キャリア、これらのマグネタイトや磁性粉分散型キャリアをコアとしてさらに樹脂でコートした樹脂コートキャリアが挙げられ、マグネタイトや磁性粉分散型キャリアをコアとしてさらに樹脂でコートした樹脂コートキャリアが好ましい。
【0097】
前記二成分現像剤における本発明に用いるトナーと前記キャリアとの混合比(質量比)は、トナー:キャリア=1:100〜30:100が好ましく、3:100〜20:100がより好ましい。
【0098】
(クリーニング手段)
本発明におけるクリーニング手段は、一端が剛性体からなる支持体に固定され、他端に、前記像保持体に接触して、像保持体上の転写残トナーを掻き取る掻き取り部を有する、弾性体からなるクリーニングブレードと、前記クリーニングブレードの背面側に取り付けられ、前記掻き取り部で掻き取られた前記転写残トナーを塞ぎ止めて、トナー溜りを形成する滞留制御部材と、を具備する。以下、本発明におけるクリーニング手段について説明する。
【0099】
図4に示すように、本発明におけるクリーニング手段6は、像保持体(感光体)1に近接して配置され、像保持体1に対向する側に開口するクリーナハウジング40を備えている。
また、クリーナハウジング40には、像保持体表面に先端部44が接触した状態で像保持体表面に残留する残トナーTを掻き落とす(掻き取る)クリーニングブレード42が配設されている。このクリーニングブレード42の後端部は、クリーナハウジング40に固定されている。
【0100】
クリーニングブレード42の背面側(像保持体1が配置されている側に対して反対側)には、クリーニングブレード42が掻き落とした残トナーTを滞留させ、クリーニングブレード42の先端と像担持体1とに接するトナー溜り50を形成する板状の滞留制御部材46が設けられている。滞留制御部材46は、下端部がクリーニングブレード42に固定されている。滞留制御部材46の長手方向幅は、クリーニングブレード42の長手方向幅とほぼ同様の寸法とされている。かきとったトナーの滞留性を低下させるためには滞留制御部材46の長手方向幅をクリーニングブレード42の長手方向幅よりも短くして滞留制御部材の端からトナーを排出しやすくしたり、滞留制御部材にスリット上の穴を開けてトナーを排出しやすくしたりするなどの制御が行なえる。
クリーナハウジング40には、トナー溜り50から溢れた廃トナー48が溜められる。また、本発明の構成ではクリーニング前の未転写トナー像、転写残トナーに接触する部材が存在しないため、それらの部材へのトナーの付着・蓄積の懸念は無く、それら部材からのぼた落ち汚れは発生しない。
【0101】
図5に示すように、クリーニングブレード42の先端と、像担持体1と、塞き止め部材46と、で形成されるトナー溜りの断面積Cは、0.5mm以上5mm以下であることが好ましく、1mm以上4.5mm以下であることがより好ましく、2mm以上3mm以下であることが更に好ましい。前記トナー溜りの断面積Cが0.5mm未満であると、トナーを溜める能力が低く、充分なトナー溜りを形成することができない場合があり、5mmを超えると、トナー溜りにトナーが大量に溜まるため、クリーニング手段や感光体の取り外しや交換時に溜まった大量のトナーがこぼれて周辺を汚してしまう場合がある。
【0102】
尚、トナー溜りの断面積Cは、像担持体1の軸方向からみた断面積であり、クリーニングブレード42の先端と、像担持体1と、塞き止め部材46と、塞き止め部材46の先端を伸ばした直線で囲まれる面積をいう。また、トナー溜りの断面積Cは、トナーたまり部にシリコーンゴムを流し込み、放置固化後、取り出して切断し断面を用いてトナーたまりの断面積を測定した。切断はブレードを長手方向に6等分に行い、それぞれの断面を測定して平均値を求め、トナー溜まりの断面積とした(尚、下記クリーニングブレード42の先端と同じ高さから、滞留制御部材46の先端までの長さ、及び、クリーナハウジング40のクリーニングブレード42の取り付け部先端と同じ高さから、クリーニングブレードの先端までの長さも、同様の測定箇所(長手方向に6等分)で測定した測定値の平均値である。)。
【0103】
クリーニングブレード42の先端と同じ高さから、滞留制御部材46の先端までの長さDは、0.5mm以上5mm以下であることが好ましく、1mm以上3mm以下であることがより好ましく、1.5mm以上2.5mm以下であることが更に好ましい。前記長さDが0.5mm未満であると、トナーを溜める能力が低く、充分なトナー溜りを形成することができない場合があり、5mmを超えると、トナー溜りにトナーが大量に溜るため、クリーニング手段や感光体の取り外しや交換時に溜まった大量のトナーがこぼれて周辺を汚してしまう場合がある。ここで、前記長さDは、図5に示すように滞留制御部材46の幅方向中心線における、クリーニングブレード42の先端を伸ばした線と、滞留制御部材46の先端との距離をいう。
【0104】
クリーナハウジング40のクリーニングブレード42の取り付け部先端(剛性体からなる支持体の先端)と同じ高さから、クリーニングブレード42の先端までの長さEは、3mm以上15mm以下であることが好ましく、5mm以上13mm以下であることがより好ましく、6mm以上12mm以下であることが更に好ましい。剛性体からなる支持体の先端と同じ高さから、クリーニングブレードの先端までの長さが3mm未満であると、微小振動が充分に発生せず、感光体駆動トルクが上昇してしまう場合があり、15mmを超えると、クリーニングブレード42のめくれが発生しやすくなる場合がある。これはクリーニングブレード42は像保持体1摺擦時に微小振動しており、微小振動することでクリーニングブレード42のひずみを逐次開放してめくれを抑制し、クリーニングブレード42と像保持体1との安定した押し当て状態を維持するためである。ここで、前記長さEは、図5に示すようにクリーニングブレード42の幅方向中心線における、クリーナ−ハウジング40の先端を伸ばした線と、クリーニングブレード42の先端との距離をいう。
【0105】
クリーニングブレード42は、像保持体1の接触部44が角を有することが好ましく、その材質は、硬質であることが好ましい。具体的には、ヤング率が50Kg/cm以上220Kg/cm以下の硬質ゴムブレードであることが好ましく、100Kg/cm以上160Kg/cm以下であることがより好ましい。前記ヤング率が50Kg/cm未満であると、像保持体1表面を掻き取る作用を有するゴムブレードの角の部分(ブレードエッジ)の耐久性に問題があり、画像形成を繰り返すとブレードエッジが摩滅したり、かけたりする場合があり、220Kg/cmを超えると、ブレードエッジの弾性ひずみが不足し、かきとり状態を安定させるブレードの微小振動が発生しにくくなり、かきとり能力が不足して十分にトナー成分を除去することができなくなり他の部材汚染の原因となったり、画像汚れの原因となったりする場合がある。
【0106】
次に、本発明の画像形成装置の一例を図6を用いて説明する。
図6は、4連タンデム方式のフルカラー画像形成装置を示す概略構成図である。図6に示す画像形成装置は、色分解された画像データに基づくイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色の画像を出力する電子写真方式の第1〜第4の画像形成ユニット10Y、10M、10C、10K(画像形成手段)を備えている。これらの画像形成ユニット(以下、単に「ユニット」と称する)10Y、10M、10C、10Kは、水平方向に互いに所定距離離間して並設されている。なお、これらユニット10Y、10M、10C、10Kは、画像形成装置本体に対して脱着可能なプロセスカートリッジであってもよい。
【0107】
各ユニット10Y、10M、10C、10Kの図面における上方には、各ユニットを通して中間転写体としての中間転写ベルト20が延設されている。中間転写ベルト20は、図における左から右方向に互いに離間して配置された駆動ローラ22および中間転写ベルト20内面に接する支持ローラ24に巻回されて設けられ、第1ユニット10Yから第4ユニット10Kに向う方向に走行されるようになっている。尚、支持ローラ24は、図示しないバネ等により駆動ローラ22から離れる方向に付勢されており、両者に巻回された中間転写ベルト20に所定の張力が与えられている。また、中間転写ベルト20の像保持体側面には、駆動ローラ22と対向して中間転写体クリーニング装置30が備えられている。
また、各ユニット10Y、10M、10C、10Kの現像装置(現像手段)4Y、4M、4C、4Kのそれぞれには、トナーカートリッジ8Y、8M、8C、8Kに収容されたイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色のトナーが供給可能である。
【0108】
上述した第1〜第4ユニット10Y、10M、10C、10Kは、同等の構成を有しているため、ここでは中間転写ベルト走行方向の上流側に配設されたイエロー画像を形成する第1ユニット10Yについて代表して説明する。尚、第1ユニット10Yと同等の部分に、イエロー(Y)の代わりに、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)を付した参照符号を付すことにより、第2〜第4ユニット10M、10C、10Kの説明を省略する。
【0109】
第1ユニット10Yは、潜像保持体として作用する像保持体1Yを有している。像保持体1Yの周囲には、像保持体1Yの表面を所定の電位に帯電させる帯電ローラ(帯電手段)2Y、帯電された表面を色分解された画像信号に基づくレーザ光線3Yよって露光して静電潜像を形成する露光装置(潜像形成手段)3、静電潜像に帯電したトナーを供給して静電潜像を現像する現像装置(現像手段)4Y、現像したトナー像を中間転写ベルト20上に転写する1次転写ローラ5Y(1次転写手段)、および1次転写後に像保持体1Yの表面に残存するトナーを除去する感光体クリーニング装置(クリーニング手段)6Yが順に配設されている。
尚、1次転写ローラ5Yは、中間転写ベルト20の内側に配置され、像保持体1Yに対向した位置に設けられている。更に、各1次転写ローラ5Y、5M、5C、5Kには、1次転写バイアスを印加するバイアス電源(図示せず)がそれぞれ接続されている。各バイアス電源は、図示しない制御部による制御によって、各1次転写ローラに印加する転写バイアスを可変する。
【0110】
以下、第1ユニット10Yにおいてイエロー画像を形成する動作について説明する。まず、動作に先立って、帯電ローラ2Yによって像保持体1Yの表面が−600V〜−800V程度の電位に帯電される。
像保持体1Yは、導電性(20℃における体積抵抗率:1×10−6Ωcm以下)の基体上に感光層を積層して形成されている。この感光層は、通常は高抵抗(一般の樹脂程度の抵抗)であるが、レーザ光線3Yが照射されると、レーザ光線が照射された部分の比抵抗が変化する性質を持っている。そこで、帯電した像保持体1Yの表面に、図示しない制御部から送られてくるイエロー用の画像データに従って、露光装置3を介してレーザ光線3Yを出力する。レーザ光線3Yは、像保持体1Yの表面の感光層に照射され、それにより、イエロー印字パターンの静電潜像が像保持体1Yの表面に形成される。
【0111】
静電潜像とは、帯電によって像保持体1Yの表面に形成される像であり、レーザ光線3Yによって、感光層の被照射部分の比抵抗が低下し、像保持体1Yの表面の帯電した電荷が流れ、一方、レーザ光線3Yが照射されなかった部分の電荷が残留することによって形成される、いわゆるネガ潜像である。
このようにして像保持体1Y上に形成された静電潜像は、像保持体1Yの走行に従って所定の現像位置まで回転される。そして、この現像位置で、像保持体1Y上の静電潜像が、現像装置4Yによって可視像(現像像)化される。
【0112】
現像装置4Y内には、例えば、少なくともイエロー着色剤及び結着樹脂を含む体積平均粒径が7μmのイエロートナーが収容されている。イエロートナーは、現像装置4Yの内部で攪拌されることで摩擦帯電し、像保持体1Y上に帯電した帯電荷と同極性(負極性)の電荷を有して現像剤ロール(現像剤保持体)上に保持されている。そして像保持体1Yの表面が現像装置4Yを通過していくことにより、像保持体1Y表面上の除電された潜像部にイエロートナーが静電的に付着し、潜像がイエロートナーによって現像される。イエローのトナー像が形成された像保持体1Yは、引続き所定速度で走行され、像保持体1Y上に現像されたトナー像が所定の1次転写位置へ搬送される。
【0113】
像保持体1Y上のイエロートナー像が1次転写へ搬送されると、1次転写ローラ5Yに所定の1次転写バイアスが印加され、像保持体1Yから1次転写ローラ5Yに向う静電気力がトナー像に作用され、像保持体1Y上のトナー像が中間転写ベルト20上に転写される。このとき印加される転写バイアスは、トナーの極性(−)と逆極性の(+)極性であり、例えば第1ユニット10Yでは制御部に(図示せず)よって+10μA程度に制御されている。
一方、像保持体1Y上に残留したトナーはクリーニング装置6Yで除去されて回収される。また、感光体上に残留した複合粒子もクリーニング装置6Yで除去されて回収される。このクリーニング装置6Yによるクリーニングにおいて前述の本発明の効果が発揮される。
【0114】
また、第2ユニット10M以降の1次転写ローラ5M、5C、5Kに印加される1次転写バイアスも、第1ユニットに準じて制御されている。
こうして、第1ユニット10Yにてイエロートナー像の転写された中間転写ベルト20は、第2〜第4ユニット10M、10C、10Kを通して順次搬送され、各色のトナー像が重ねられて多重転写される。
【0115】
第1〜第4ユニットを通して4色のトナー像が多重転写された中間転写ベルト20は、中間転写ベルト20と中間転写ベルト20内面に接する支持ローラ24と中間転写ベルト20の像保持面側に配置された2次転写ローラ(2次転写手段)26とから構成された2次転写部へと至る。一方、記録紙(記録媒体)Pが供給機構を介して2次転写ローラ26と中間転写ベルト20とが圧接されている隙間に所定のタイミングで給紙され、所定の2次転写バイアスが支持ローラ24に印加される。このとき印加される転写バイアスは、トナーの極性(−)と逆極性の(+)極性であり、中間転写ベルト20から記録紙Pに向う静電気力がトナー像に作用され、中間転写ベルト20上のトナー像が記録紙P上に転写される。尚、この際の2次転写バイアスは2次転写部の抵抗を検出する抵抗検出手段(図示せず)により検出された抵抗に応じて決定されるものであり、電圧制御されている。
【0116】
この後、記録紙Pは定着装置(定着手段)28へと送り込まれトナー像が加熱され、色重ねしたトナー像が溶融されて、記録紙P上へ定着される。カラー画像の定着が完了した記録紙Pは、排出部へ向けて搬出され、一連のカラー画像形成動作が終了される。一方、トナー像を転写した中間転写ベルト20の表面は、中間転写体クリーニング装置30によりクリーニングされる。中間転写ベルト20上に残留した複合粒子は仲介転写クリーニング装置30により除去されて回収される。この中間転写体クリーニング装置30によるクリーニングにおいても前述の本発明の効果が発揮される。
なお、上記例示した画像形成装置は、中間転写ベルト20を介してトナー像を記録紙Pに転写する構成となっているが、この構成に限定されるものではなく、感光体から直接トナー像が記録紙に転写される構造であってもよい。
【0117】
本発明の画像形成装置は、既述の本発明に用いられるトナーを用い、トナー溜りが形成されるクリーニング手段を具備することにより、画像履歴や環境に関わらず、長期間、トナー筋汚れ、ハイライト部のムラなどの画質欠陥が発生しない安定した画像が得られる。
【0118】
<プロセスカートリッジ>
本発明のプロセスカートリッジは、画像形成装置本体に脱着可能であり、少なくとも、像保持体と、トナーを含む現像剤により、前記像保持体上に形成された静電潜像を現像し、トナー像を前記像保持体上に形成する現像手段と、転写後の像保持体上の転写残トナーをクリーニングするクリーニング手段と、を具備し、前記クリーニング手段は、一端が剛性体からなる支持体に固定され、他端に、前記像保持体に接触して、像保持体上の転写残トナーを掻き取る掻き取り部を有する、弾性体からなるクリーニングブレードと、前記クリーニングブレードの背面側に取り付けられ、前記掻き取り部で掻き取られた前記転写残トナーを滞留させて、トナー溜りを形成する滞留制御部材と、を具備し、前記トナーは、通気流量0ml/min、回転翼の先端スピード100mm/sec、回転翼の進入角度−5°の条件でパウダーレオメーターによって測定したときの基本流動性エネルギー量Aが150mJ以上600mJ以下であり、かつ通気流量80ml/min、回転翼の先端スピード100mm/sec、回転翼の進入角度−5°の条件で流動化して脱気した履歴を与えた後に、通気流量0ml/min、回転翼の先端スピード100mm/sec、回転翼の進入角度−5°の条件で測定したときの流動化エネルギーBと、前記基本流動性エネルギー量Aとは、(流動化エネルギーB/基本流動性エネルギー量A)が0.3以上0.9以下となる関係を有することを特徴とするプロセスカートリッジである。
【0119】
本発明のプロセスカートリッジに用いる現像剤は、既述の本発明の画像形成装置に用いる現像剤と同様であり、本発明のプロセスカートリッジが具備するクリーニング手段は、本発明の画像形成装置が具備するクリーニング手段と同様であり、その他の像保持体及び各手段は、本発明の画像形成装置の像保持体及び各手段と同様のものが好ましく具備される。
本発明のプロセスカートリッジを用いると、既述の本発明に用いられるトナーを用い、トナー溜りが形成されるクリーニング手段を具備しているので、画像履歴や環境に関わらず、長期間、トナー筋汚れ、ハイライト部のムラなどの画質欠陥が発生しない安定した画像が得られる。
【実施例】
【0120】
以下、実施例により本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、文中、「部」は「質量部」を意味する。
【0121】
<各種特性の測定方法>
まず、実施例、比較例で用いた現像剤等の物性測定方法について説明する。
【0122】
−トナーの粒度分布測定−
トナー粒子の体積平均粒径の測定法は次のように行なった。
分散剤として界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムの5質量%水溶液2ml中に、測定試料を0.5〜50mg加え、これを前記電解液100〜150ml中に添加した。この測定試料を懸濁させた電解液を超音波分散器で約1分間分散処理を行い、前記コールターマルチサイザー−II型により、アパーチャー径が50μmのアパーチャーを用いて、粒径が1.0〜30μmの範囲の粒子の粒度分布を測定する。測定する粒子数は50,000とする。得られた粒度分布を分割された粒度範囲(チャンネル)に対し、小粒径側から体積累積分布を引いて、累積50%となる粒径を体積平均粒径D50vとする。また、上記体積平均粒径D50vを求めるときと同様に、小粒径側から体積累積分布を作成した場合に累積84%となる粒径をD84vとし、小粒径側から個数累積分布を作成した場合に累積16%となる粒径をD16p、小粒径側から個数累積分布を作成した場合に累積50%となる粒径をD50p(個数平均粒径)とすると、大粒径側の粒度分布をD84v/D50vで、小粒径側の粒度分布をD50p/D16pで表す。
【0123】
−外添粒子の個数平均粒径の測定−
外添剤の個数平均粒径は、走査型電子顕微鏡(日立株式会社製:S−4100)をもちいてトナー母粒子状に分散した外添剤を観察し、撮影した画像を用いて、300個の外添剤粒子の直径を測定し、それを元に計算して求めた。
【0124】
(トナー粒子(1)の作製)
−樹脂微粒子分散液(1)の調製−
・スチレン:330部
・n−ブチルアクリレート:30部
・アクリル酸:10部
・イオン交換水:550部
・アニオン性界面活性剤(ダウケミカル社製 ダウファックス):1.4部
上記組成を窒素雰囲気下で攪拌混合しながら、過硫酸アンモニウム4.5部を溶解したイオン交換水50部を投入し、72度、10時間乳化重合を行って、重量平均分子量Mw=28200の樹脂粒子が分散された樹脂微粒子分散液(1)を調製した。
【0125】
−樹脂微粒子分散液(2)の調製−
・スチレン:300部
・n−ブチルアクリレート:100部
・アクリル酸:20部
・1,10−デカンジオール:7部
・アニオン性界面活性剤(ダウケミカル社製 ダウファックス):4.5部
上記組成を窒素雰囲気下で攪拌混合しながら、過硫酸アンモニウム6部を溶解したイオン交換水50部を投入し、72度、10時間乳化重合を行って、重量平均分子量Mw=26800の樹脂粒子が分散された樹脂微粒子分散液(2)を調製した。
【0126】
−着色剤分散液の調製−
・カーボンブラック(モーガルL:キャボット製):60部
・ノニオン性界面活性剤(ノニポール400:三洋化成(株)製):10部
・イオン交換水:250部
以上の成分を混合して、溶解、ホモジナイザー(ウルトラタラックスT50:IKA社製)を用いて10分間攪拌し、その後アルティマイザーにて分散処理して平均粒子径が220nmである着色剤(カーボンブラック)粒子が分散された着色剤分散剤を調製した。
【0127】
−離型剤分散液の調製−
・パラフィンワックス(HNP0190:日本精蝋(株)製、融点85℃):100部
・カチオン性界面活性剤 (サニゾールB50:花王(株)製):8部
・イオン交換水 :250部
以上の成分を、丸型ステンレス鋼製フラスコ中でホモジナイザー(ウルトラタラックスT50:IKA社製)を用いて10分間分散した後、圧力吐出型ホモジナイザーで分散処理し、平均粒径が498nmである離型剤粒子が分散された離型剤分散液を調製した。
【0128】
−トナー粒子(1)の作製−
樹脂微粒子分散液(1)及び樹脂微粒子分散液(2)を2:1の割合(質量比)で混合し、この混合樹脂粒子分散液:300部と、着色剤分散液:70部、離型剤分散液:120部と、ポリ水酸化アルミニウム(浅田化学社製、Paho2S):0.4部と、イオン交換水:60部とを、丸型ステンレス鋼鉄フラスコ中でホモジナイザー(ウルトラタラックスT50:IKA社製)を用いて混合し、分散した後、加熱用オイルバス中でフラスコ内を攪拌しながら50℃まで加熱した。50℃で30分保持した後、更に加熱用オイルバスの温度を上げて60℃で1時間保持し、D50vが6.1μmの凝集体粒子を含む分散液を調製した。その後、この凝集体粒子を含む分散液にさらに100部の樹脂微粒子分散液1を追加した後、加熱用オイルバスの温度を55℃まで上げて30分間保持した。この凝集体粒子を含む分散液、1N水酸化ナトリウムを追加して、系のpHを7.0に調整した後ステンレス製フラスコを密閉し、磁気シールを用いて攪拌を継続しながら80℃まで加熱し、4時間保持した。冷却後、このトナー粒子を濾別し、イオン交換水で4回洗浄した後、凍結乾燥して乾燥粉体を得た。
【0129】
この乾燥粉体を分級機(EJ30、日鉄鉱業社製)を使用して分級を実施した。分級の条件は、エジェクターの圧力を0.1MPa、原料の供給量を50Kg/H、分級エッジの位置を、コアンダブロックとFエッジ先端との距離が15mm、Mエッジ先端とコアンダブロックとの距離が22mmになるように設定し、微粉・粗粉・中粉のブロア風量を、それぞれ5.1、3.0、9.0Nm3 /minで行いトナー粒子(1)を得た。得られたトナー粒子(1)は、体積平均粒径D50vが6.8μm、D84v/D50vが1.15、D50p/D16pが1.19であった。
【0130】
−外添粒子(1)の作製−
数平均粒径が135nmのゾルゲル法シリカ粒子に、粘度が65csのジメチルシリコーンオイルを気相中で浮遊させ、ゾルゲル法シリカ粒子100部に対してジメチルシリコーンオイルを含む溶液を噴霧するスプレードライ法により10部処理し、外添粒子(1)を得た。
【0131】
−外添粒子(2)の作製−
数平均粒子径22nmのメタチタン酸100部に対してn−デシルトリメトキシシランを液中で3部処理し、外添剤粒子(2)を得た。
【0132】
(トナー(1)の作製)
トナー粒子(1)を100部に、外添粒子(1) 5部を、粉体処理装置(ノビルタNOB130、ホソカワミクロン社製)でクリアランス3mm、周速1000rpm、ジャケットに冷却水を流しながら20分間ブレンドを行った後、45μmの目開きの篩を用いて粗大粒子を除去し、複合粒子(1)を得た。この複合粒子(1)を100部に、外添粒子(2)を2部加え、ヘンシェルミキサに投入し、ジャケットに冷却水を流しながら、周速15m/sec条件で10分間処理し、45μmのシーブにより粗大粒子を除去してトナー(1)を得た。
【0133】
(トナー粒子(2)の作製)
樹脂微粒子分散液(1)及び樹脂微粒子分散液(2)を2:2の割合(質量比)で混合し、この混合樹脂粒子分散液:300部と、着色剤分散液:70部、離型剤分散液:120部と、ポリ水酸化アルミニウム(浅田化学社製、Paho2S):0.4部と、イオン交換水:60部とを、丸型ステンレス鋼鉄フラスコ中でホモジナイザー(ウルトラタラックスT50:IKA社製)を用いて混合し、分散した後、加熱用オイルバス中でフラスコ内を攪拌しながら50℃まで加熱した。50℃で30分保持した後、更に加熱用オイルバスの温度を上げて60℃で1時間保持した。冷却後、このトナー粒子を濾別し、イオン交換水で4回洗浄した後、凍結乾燥してトナー粒子(2)を得た。得られたトナー粒子(2)は、体積平均粒径D50vが6.6μm、D84v/D50vが1.21、D50p/D16pが1.27であった。
【0134】
(トナー(2)の作製)
トナー粒子(2)を100部に、外添粒子(2)を2部加え、ヘンシェルミキサに投入し、ジャケットに冷却水を流しながら、周速15m/sec条件で10分間処理し、45μmのシーブにより粗大粒子を除去してトナー(2)を得た。
【0135】
(トナー(3)の作製)
トナー粒子(1)を100部に、外添粒子(2)を3部加え、ヘンシェルミキサに投入し、ジャケットに冷却水を流しながら、周速15m/sec条件で10分間処理し、45μmのシーブにより粗大粒子を除去してトナー(3)を得た。
【0136】
(トナー(4)の作製)
トナー粒子(2)を100部に、外添粒子(1) 8部を、粉体処理装置(ノビルタNOB130、ホソカワミクロン社製)でクリアランス3mm、周速1000rpm、ジャケットに冷却水を流しながら20分間ブレンドを行った後、45μmの目開きの篩を用いて粗大粒子を除去し、複合粒子Bを得た。この複合粒子Bを100部に、外添粒子(2)を1部加え、ヘンシェルミキサに投入し、ジャケットに冷却水を流しながら、周速15m/sec条件で10分間処理し、45μmのシーブにより粗大粒子を除去してトナー(4)を得た。
【0137】
−トナー粒子(3)の作製−
テレフタル酸、ビスフェノールA、グリセリンから得られた線状ポリエステル(数平均分子量M=3,000、重量平均分子量M=10,500)90部、カーボンブラック(モーガルL:キャボット製):3部、パラフィンワックス7部を予備混合した後、エクストリューダで混練し、得られたスラブを圧延、冷却、破砕後、ジェットミルで粉砕した。さらに、分級機(EJ30、日鉄鉱業社製)で分級し粗粉および微粉を除去し、トナー母粒子Cを得た。得られたトナー母粒子1は、体積平均粒径D50vが5.3μm、D84v/D50vが1.35、D50p/D16pが1.42であった。
【0138】
(トナー(5)の作製)
トナー粒子(3)を100部に、外添粒子(1)を10部と外添粒子(2)を4部加え、ヘンシェルミキサに投入し、ジャケットに冷却水を流しながら、周速15m/sec条件で10分間処理し、45μmのシーブにより粗大粒子を除去してトナー(5)を得た。
【0139】
(トナー(6)の作製)
トナー粒子(3)を100部に、外添粒子(1) 5部を、粉体処理装置(ノビルタNOB130、ホソカワミクロン社製)でクリアランス3mm、周速1000rpm、ジャケットに冷却水を流しながら20分間ブレンドを行った後、45μmの目開きの篩を用いて粗大粒子を除去し、複合粒子Bを得た。この複合粒子Bを100部に、外添粒子(2)を2部加え、ヘンシェルミキサに投入し、ジャケットに冷却水を流しながら、周速15m/sec条件で10分間処理し、45μmのシーブにより粗大粒子を除去してトナー(6)を得た。
【0140】
キャリア(1)の作製
[キャリアの作製]
(磁性粉分散樹脂粒子(1)の調製)
フェノール50部、ホルマリン75部、マグネタイト(戸田工業社製、体積平均粒径0.3μm,球形を1.0質量%シランカップリング剤:KBM403:信越化学社製で処理したもの)550部、アンモニア水13部、イオン交換水100部を加え、混合攪拌しながら、90℃まで徐々に昇温させ、4時間反応、硬化させた後、冷却、ろ過、洗浄、乾燥し、磁性粉分散樹脂粒子(1)を得た。
【0141】
(キャリア(1)の作製)
以下の成分を用いた。
「磁性粉分散樹脂粒子(1)」:100部に、
・「コート層形成用溶液(1)」として、
・トルエン:150部
・スチレン−メチルメタクリレート共重合体(スチレン:メチルメタクリレート質量比70:30、重量平均分子量6万):5部
・カーボンブラック(Regal330;キャボット社製):0.3部
【0142】
磁性粉分散樹脂粒子(1)を除く上記成分を60分間スターラーにて撹拌/分散し、さらに10分間超音波分散をほどこして被覆層形成用溶液(1)を調製した。次に、この被覆層形成用溶液(1)と磁性粉分散樹脂粒子(1)を流動床(パウレック社製、商品名:MP−01SFP)に入れ、羽根回転数1000rpm、風量1.2m/min,溶液突出速度10g/min,70℃で被覆し、目開き75μmのメッシュを通すことによりキャリア(1)を作製した。キャリア(1)の平均粒径は40.5μm、平均円形度は0.987、残留磁化は5.2emu/gであった。
【0143】
(キャリア(2)の作製)
−金属酸化物粒子(2)の調製−
Feを80部、MnOを20部、Mg(OH)を7部、を混合し、湿式ボールミルで25時間混合/粉砕してスプレードライヤーにより造粒、乾燥した後ロータリーキルンを用いて750℃、10時間の仮焼成1を行い、仮焼成物2を得た。
得られた仮焼成物2を、湿式ボールミルで10時間粉砕し、平均粒径を5.9μmとした後、更にスプレードライヤーにより造粒、乾燥し、その後ロータリーキルンを用いて1100℃、4時間の本焼成を行った。本焼成の後、解砕工程、分級工程を経てMn−Mgフェライト粒子(金属酸化物粒子(2))を得た。
【0144】
(キャリア(2)の作製)
キャリア(1)と同様に、金属酸化物粒子(2)にコート層を形成し、キャリア(2)を得た。キャリア(2)の平均粒径は39.2μm、平均円形度は0.969、残留磁化は0.6emu/gであった。
【0145】
(現像剤の作製)
表1の組み合わせのトナーとキャリアを、キャリア:トナーが91:9(質量比)となるように混合して、現像剤をそれぞれ得た。
【0146】
(クリーニング部材の作製)
−クリーニング部材(1)の作製−
1,9−ノナンジオール/2−メチル−1,8−オクタンジオール(モル比68/32)とアジピン酸から分子量2800のポリエステルポリオールを得た。このポリエステルポリオールのエステル濃度は、6.8mmol/gである。このポリエステルポリオールと、鎖延長剤として、1,3−プロパンジオールとトリメチロールエタンとの混合物を反応させ、クリーニングブレード用のゴムを作製した。このゴムのヤング率は142Kg/cmであった。このゴムの板を厚さ1.2mm、幅15mm、長さ325mmに成型し、クリーニングブレード(1)'とした。
【0147】
厚さ30μm、幅5mm、長さ325mmのポリウレタン樹脂シートを、クリーニングブレード(1)'の一端の片側に、クリーニングブレード(1)'の先端から2mm突き出すようにして貼り付け、クリーニングブレード(1)を得た。
図4に示すクリーニング手段と同様の構成となるように、クリーニングブレード(1)のウレタン樹脂シートを貼り付けた面と同じ側かつウレタン樹脂シートを貼り付けた端部とは逆の端部を、剛性体として用意した、1cm×34cm×0.3cmの板状のステンレス板1の板面(1cm×34cm)上に貼り付けてクリーニング部材(1)とした。ステンレス板からクリーニングブレード(1)の先端が8mm突き出すようにし、クリーニング部材(手段)(1)を得た。
【0148】
−クリーニング部材(2)の作製−
クリーニングブレード(1)の作製において、ポリウレタン樹脂シートをクリーニングブレード(1)の先端から1mm突き出すようにして貼り付けた以外はクリーニング部材(1)と同様にして、クリーニング部材(2)を得た。
【0149】
−クリーニング部材(3)の作製−
クリーニングブレード(1)の作製において、ポリウレタン樹脂シートをクリーニングブレード1の先端から0.4mm突き出すようにした以外はクリーニング部材(1)の作製と同様にして、クリーニング部材(3)を得た。
【0150】
−クリーニング部材(4)の作製−
クリーニングブレード(1)の作製において、ポリウレタン樹脂シートをクリーニングブレード(1)の先端から5.5mm突き出すようにした以外はクリーニング部材(1)の作製と同様にして、クリーニング部材(4)を得た。
【0151】
−クリーニング部材(5)の作製−
クリーニングブレード(1)の作製において、ポリウレタン樹脂シートを貼り付けない以外はクリーニング部材(1)の作製と同様にして、クリーニング部材(5)を得た。
【0152】
−クリーニング部材(6)の作製−
クリーニング部材(1)の作製において、ステンレス板1からクリーニングブレード1の先端が5mm突き出すようにした以外はクリーニング部材(1)の作製と同様にして、クリーニング部材(6)を得た。
【0153】
−クリーニング部材(7)の作製−
クリーニング部材(1)の作製において、ステンレス板1からクリーニングブレード1の先端が14mm突き出すようにした以外はクリーニング部材1の作製と同様にして、クリーニング部材(7)を得た。
【0154】
<実施例1〜9、比較例1〜6>
富士ゼロックス社製複写機:Docu Centre Color400に、表1に示すクリーニング部材を組み込み、さらに、テストの現像装置には、表1に示すトナーとキャリアとの組み合わせて混合した現像剤を、補給現像剤容器に収めた。更に、Docu Centre Color 400を単色でも画像出力が行なえる用に改造し、Yellow位置に上記テスト用の現像装置を設置し、残りのMagenta位置、Cyan位置、Kuro位置には空の現像装置を設置した。さらに画像形成を制御するためのコンピュータをDocu Centre Color400に接続し、改造型のDocu Centre Color400を作製した。
それぞれのクリーニング部材は、図4と同様の構成となるように取り付けた。具体的には、クリーニング部材のステンレス板1をクリーナーハウジングに固定し、ウレタン樹脂シートが貼り付けて無い方を感光体(像保持体)に接触させ、図4と同様の構成となるように取り付けた。
【0155】
<評価方法>
前記Docu Centre Color 400改造型を温度7℃、湿度12%RHの環境下に設置し画像形成を行った。適宜トナー補給容器に、現像剤を補充しながら画像エリアカバレッジ35%のハイライト画像を顕著な画像劣化がみられるまで最大10万枚出力し、画質欠陥の発生枚数を観察した。具体的にはトナー筋汚れ、ハイライト部のムラなどの画質欠陥が発生し始める枚数を確認した。また、テスト後の画像形成装置内部のトナー汚れの有無、感光体に顕著な傷の発生の有無を確認した。更に、テスト中は、画像形成装置のモーター音や用紙搬送音など通常発生する音以外の異音の有無を確認してテストを行なった。その結果を表1に示す。尚、表1中、「(A)」は基本流動性エネルギー量Aを示し、「(B)/(A)」は流動化エネルギーB/基本流動性エネルギー量Aを示し、「(C)」はクリーニングブレードと、滞留制御部材と、像保持体表面と、に囲まれた領域の断面積を示す。
【0156】
【表1】

【0157】
表1より、実施例では、長期間画質欠陥が発生しないことがわかる。
【図面の簡単な説明】
【0158】
【図1】パウダーレオメーターでの流動性エネルギー量の測定方法を説明するための図である。
【図2】パウダーレオメーターで得られた、垂直荷重とエネルギー勾配との関係を示す図である。
【図3】パウダーレオメーターで用いる回転翼の形状を説明するための図である。
【図4】本発明の画像形成装置の一例を示す概略構成図である。
【図5】図4に示す画像形成装置の要部を拡大した概略構成図である。
【図6】本発明の画像形成装置の一例を示す概略構成図である。
【符号の説明】
【0159】
1Y、1M、1C、1K 感光体(像保持体)
2Y、2M、2C、2K 帯電ローラ
3Y、3M、3C、3K レーザ光線
3 露光装置
4Y、4M、4C、4K 現像装置(現像手段)
5Y、5M、5C、5K 1次転写ローラ
6 クリーニング手段
6Y、6M、6C、6K 感光体クリーニング装置(クリーニング手段)
8Y、8M、8C、8K トナーカートリッジ
10Y、10M、10C、10K ユニット
20 中間転写ベルト
22 駆動ローラ
24 支持ローラ
26 2次転写ローラ(転写手段)
28 定着装置(定着手段)
30 中間転写体クリーニング装置
40 クリーナハウジング
42 クリーニングブレード
44 先端部
46 滞留制御部材
48 廃トナー
50 トナー溜り

【特許請求の範囲】
【請求項1】
像保持体と、像保持体を帯電する帯電手段と、帯電した像保持体表面に静電潜像を形成する潜像形成手段と、トナーを含む現像剤により前記静電潜像を現像しトナー像を前記像保持体上に形成する現像手段と、前記トナー像を記録媒体上に転写して未定着の転写画像を形成する転写手段と、記録媒体上に転写された前記未定着の転写画像を定着する定着手段と、像保持体上の転写残トナーをクリーニングするクリーニング手段と、を具備し、
前記クリーニング手段は、一端が剛性体からなる支持体に固定され、他端に、前記像保持体に接触して、像保持体上の転写残トナーを掻き取る掻き取り部を有する、弾性体からなるクリーニングブレードと、前記クリーニングブレードの背面側に取り付けられ、前記掻き取り部で掻き取られた前記転写残トナーを塞ぎ止めて、トナー溜りを形成する滞留制御部材と、を具備し、
前記トナーは、通気流量0ml/min、回転翼の先端スピード100mm/sec、回転翼の進入角度−5°の条件でパウダーレオメーターによって測定したときの基本流動性エネルギー量Aが150mJ以上600mJ以下であり、かつ通気流量80ml/min、回転翼の先端スピード100mm/sec、回転翼の進入角度−5°の条件で流動化して脱気した履歴を与えた後に、通気流量0ml/min、回転翼の先端スピード100mm/sec、回転翼の進入角度−5°の条件で測定したときの流動化エネルギーBと、前記基本流動性エネルギー量Aとは、(流動化エネルギーB/基本流動性エネルギー量A)が0.3以上0.9以下となる関係を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
クリーニングブレードと、滞留制御部材と、像保持体表面と、に囲まれた領域の断面積は、0.5mm以上5mm以下であることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記滞留制御部材は、前記クリーニングブレードの先端と同じ高さから、滞留制御部材の先端までの長さが、0.5mm以上5mm以下であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の電子写真画像形成装置。
【請求項4】
前記クリーニングブレードは、前記剛性体からなる支持体の先端と同じ高さから、クリーニングブレードの先端までの長さが、3mm以上15mm以下であることを特徴とする請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の電子写真画像形成装置。
【請求項5】
前記現像剤は、キャリアを含むことを特徴とする請求項1〜請求項4の何れか1項に記載の電子写真画像形成装置。
【請求項6】
前記キャリアは、平均円形度が0.98以上1.00以下であり、残留磁化が2emu/g以上10emu/gであることを特徴とする請求項5に記載の電子写真画像形成装置。
【請求項7】
画像形成装置本体に脱着可能であり、少なくとも、像保持体と、トナーを含む現像剤により、前記像保持体上に形成された静電潜像を現像し、トナー像を前記像保持体上に形成する現像手段と、転写後の像保持体上の転写残トナーをクリーニングするクリーニング手段と、を具備し、
前記クリーニング手段は、一端が剛性体からなる支持体に固定され、他端に、前記像保持体に接触して、像保持体上の転写残トナーを掻き取る掻き取り部を有する、弾性体からなるクリーニングブレードと、前記クリーニングブレードの背面側に取り付けられ、前記掻き取り部で掻き取られた前記転写残トナーを塞ぎ止めて、トナー溜りを形成する滞留制御部材と、を具備し、
前記トナーは、通気流量0ml/min、回転翼の先端スピード100mm/sec、回転翼の進入角度−5°の条件でパウダーレオメーターによって測定したときの基本流動性エネルギー量Aが150mJ以上600mJ以下であり、かつ通気流量80ml/min、回転翼の先端スピード100mm/sec、回転翼の進入角度−5°の条件で流動化して脱気した履歴を与えた後に、通気流量0ml/min、回転翼の先端スピード100mm/sec、回転翼の進入角度−5°の条件で測定したときの流動化エネルギーBと、前記基本流動性エネルギー量Aとは、(流動化エネルギーB/基本流動性エネルギー量A)が0.3以上0.9以下となる関係を有することを特徴とするプロセスカートリッジ。
【請求項8】
クリーニングブレードと、滞留制御部材と、像保持体表面と、に囲まれた領域の断面積は、0.5mm以上5mm以下であることを特徴とする請求項7に記載のプロセスカートリッジ。
【請求項9】
前記滞留制御部材は、前記クリーニングブレードの先端と同じ高さから、滞留制御部材の先端までの長さが、0.5mm以上5mm以下であることを特徴とする請求項7又は請求項8に記載のプロセスカートリッジ。
【請求項10】
前記クリーニングブレードは、前記剛性体からなる支持体の先端と同じ高さから、クリーニングブレードの先端までの長さが、3mm以上15mm以下であることを特徴とする請求項7〜請求項9の何れか1項に記載のプロセスカートリッジ。
【請求項11】
前記現像剤は、キャリアを含むことを特徴とする請求項7〜請求項10の何れか1項に記載のプロセスカートリッジ。
【請求項12】
前記キャリアは、平均円形度が0.98以上1.00以下であり、残留磁化が2emu/g以上10emu/gであることを特徴とする請求項11に記載のプロセスカートリッジ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−276005(P2008−276005A)
【公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−121083(P2007−121083)
【出願日】平成19年5月1日(2007.5.1)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】