説明

画像形成装置及び処理液塗布装置

【課題】塗布装置の小型化を図るためには塗布ローラに供給する処理液を保持している処理液保持部の容量を小さくしなければならないために、液室の液量を一定に保つことが困難である。
【解決手段】液室234には処理液201の液面高さが第1高さ位置であることを検知する第1液面センサ261と、第1高さ位置より高い第2高さ位置であることを検知する第2液面センサ262とが設けられ、第1、第2液面センサ261、262の検知結果に基づいてポンプ203を駆動制御して液室234に対する処理液201の供給を制御して、塗布ローラ232の駆動前の液室234の処理液201の液面高さを第2高さ位置にし、塗布ローラ232の駆動時の液室234の処理液201の液面高さを第1高さ位置に制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は画像形成装置及び処理液塗布装置に関し、特に被記録媒体に処理液を塗布する画像形成装置及び処理液塗布装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタ、ファクシミリ、複写装置、プロッタ、これらの複合機等の画像形成装置として、例えばインク液滴を吐出する記録ヘッドを用いた液体吐出記録方式の画像形成装置(インクジェット記録装置)が知られている。この液体吐出記録方式の画像形成装置は、記録ヘッドからインク滴を、搬送される用紙(紙に限定するものではなく、OHPなどを含み、インク滴、その他の液体などが付着可能なものの意味であり、被記録媒体あるいは記録媒体、記録紙、記録用紙などとも称される。)に対して吐出して、画像形成(記録、印字、印写、印刷も同義語で使用する。)を行なうものであり、記録ヘッドが主走査方向に移動しながら液滴を吐出して画像を形成するシリアル型画像形成装置と、記録ヘッドが移動しない状態で液滴を吐出して画像を形成するライン型ヘッドを用いるライン型画像形成装置がある。
【0003】
なお、本願において、液体吐出方式の「画像形成装置」は、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックス等の媒体に液体を吐出して画像形成を行う装置を意味し、また、「画像形成」とは、文字や図形等の意味を持つ画像を媒体に対して付与することだけでなく、パターン等の意味を持たない画像を媒体に付与すること(単に液滴を媒体に着弾させること)をも意味する。また、「インク」とは、インクと称されるものに限るものではなく、吐出されるときに液体となるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、DNA試料、レジスト、パターン材料なども含まれる。また、「画像」とは平面的なものに限らず、立体的に形成されたものに付与された画像、また立体自体を三次元的に造形して形成された像も含まれる。また、「画像形成装置」には液体吐出方式のものに限らず、電子写真方式で画像形成を行なうものなども含まれるが、以下では液体吐出方式の画像形成装置で説明する。
【0004】
このような液体吐出方式の画像形成装置においては、色材を含むインクを液滴化して画像形成を行うために、液滴で形成されるドットがひげ状に乱れるフェザリング、異なる色のインク滴が隣接して用紙に打たれた場合に、各色が相互に混ざり合って色境界が不鮮明になるカラーブリード等の不具合が生じることがあり、更に印字後の紙上の液滴が乾くまでに時間がかかるという問題がある。
【0005】
そこで、従来から被記録媒体に前処理液を塗布ローラで塗布することが知られている。この場合、塗布ローラに対する前処理液の供給不足による塗布ムラ、塗布ローラに対する前処理液の供給過多による前処理液タンクからの液漏れを防止するため、前処理液タンク内の前処理液の液面の高さを検出する液面検出手段を備え、前処理液タンク内での前処理液の量をある一定範囲内に保つようにしたものがある(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−096454号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、塗布装置の小型化を図るためには塗布ローラに供給する処理液を保持している処理液保持部(以下「液室」ともいう。)の容量を小さくしなければならず、液室の液量を一定に保つことが困難となってきている。特に、塗布開始直後は、液室から塗布ローラへと処理液を一気に供給しなければならないために液室の液量が急激に少なくなる。その反面、塗布動作終了時には、塗布ローラへ供給された処理液が液室に戻ってきてしまうことから、液室の処理液が液室で保持できる満杯以上の容積となり、液室から処理液が溢れてしまうという課題がある。
【0008】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、処理液保持部における処理液を一定に保ち、塗布ローラへの処理液の供給を安定させ、安定した塗布を行えるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するため、本発明に係る画像形成装置は、
被記録媒体に画像を形成する画像形成手段と、
前記被記録媒体に処理液を塗布する処理液塗布装置と、を備え、
前記処理液塗布手段は、少なくとも、
前記被記録媒体に前記処理液を塗布する塗布ローラと、
前記処理液を供給し、塗布ローラ上の液膜を薄くするスクイーズローラと、
前記スクイーズローラに供給する前記処理液を保持する処理液保持部と、
前記処理液保持部に前記処理液を供給する供給手段と、
前記供給手段から前記処理液保持部に対する供給を制御する手段と、を有し、
前記処理液保持部には、前記処理液の液面高さが第1高さ位置であることを検知する第1液面検知手段と、前記第1高さ位置より高い第2高さ位置であることを検知する第2液面検知手段とが設けられ、
前記制御する手段は、前記第1、第2液面検知手段の検知結果に基づいて前記供給手段から前記処理液保持部に対する供給を制御して、前記塗布ローラの駆動前の前記処理液保持部の前記処理液の液面高さを前記第2高さ位置にし、前記塗布ローラの駆動時の前記処理液保持部の前記処理液の液面高さを前記第1高さ位置に制御する
構成とした。
【0010】
ここで、前記制御する手段は、前記塗布ローラの駆動開始直後の前記処理液保持部の前記処理液の液面高さを前記第2高さ位置に制御する構成とできる。
【0011】
また、前記制御する手段が前記塗布ローラの駆動開始直後に、前記処理液保持部の前記処理液の液面高さが前記第2高さ位置より低くなったことを検知できないときには異常と判定し、画像形成動作が停止される構成とできる。
【0012】
また、前記制御する手段が前記塗布ローラの駆動開始直後に、前記処理液保持部の前記処理液の液面高さが前記第1高さ位置より低くなったことを検知したときには異常と判定し、画像形成動作が停止される構成とできる。
【0013】
本発明に係る処理液塗布装置は、
被記録媒体に処理液を塗布する処理液塗布装置において、
前記被記録媒体に前記処理液を塗布する塗布ローラと、
前記処理液を供給し、塗布ローラ上の液膜を薄くするスクイーズローラと、
前記スクイーズローラに供給する前記処理液を保持する処理液保持部と、
前記処理液保持部に前記処理液を供給する供給手段と、
前記供給手段から前記処理液保持部に対する供給を制御する手段と、を有し、
前記処理液保持部には、前記処理液の液面高さが第1高さ位置であることを検知する第1液面検知手段と、前記第1高さ位置より高い第2高さ位置であることを検知する第2液面検知手段とが設けられ、
前記制御する手段は、前記第1、第2液面検知手段の検知結果に基づいて前記供給手段から前記処理液保持部に対する供給を制御して、前記塗布ローラの駆動前の前記処理液保持部の前記処理液の液面高さを前記第2高さ位置にし、前記塗布ローラの駆動時の前記処理液保持部の前記処理液の液面高さを前記第1高さ位置に制御する
構成とした。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る画像形成装置及び処理液塗布装置によれば、処理液保持部には、処理液の液面高さが第1高さ位置であることを検知する第1液面検知手段と、第1高さ位置より高い第2高さ位置であることを検知する第2液面検知手段とが設けられ、制御する手段は、第1、第2液面検知手段の検知結果に基づいて供給手段から処理液保持部に対する供給を制御して、塗布ローラの駆動前の処理液保持部の処理液の液面高さを第2高さ位置にし、塗布ローラの駆動時の処理液保持部の処理液の液面高さを第1高さ位置に制御する構成としたので、処理液保持部における処理液を一定に保ち、塗布ローラへの処理液の供給を安定させ、安定した塗布を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の全体構成図である。
【図2】同じく処理液塗布装置の塗布部の説明に供する塗布動作開始前の模式的側面説明図である。
【図3】同じく処理液塗布装置の塗布部の説明に供する塗布動作時の模式的側面説明図である。
【図4】同装置の制御部の説明に供するブロック説明図である。
【図5】同制御部による液室の液面高さ制御の説明に供するフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して説明する。まず、本発明の一実施形態について図1を参照して説明する。なお、図1は同実施形態に係る画像形成装置の全体構成図である。
この画像形成装置は、被記録媒体である用紙100に液滴を吐出して画像を形成する画像形成手段としての記録ヘッドユニット101と、用紙100を搬送する搬送ベルト102と、用紙100を収容する給紙トレイ103と、記録ヘッドユニット101よりも用紙搬送方向上流側で被塗布部材である用紙100に処理液を塗布する処理液塗布装置(手段)200とを備えている。
【0017】
記録ヘッドユニット101は、液滴を吐出する複数のノズルを用紙幅相当分の長さに配列したノズル列を有するライン型液体吐出ヘッドから構成され、それぞれイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色のインク滴を記録ヘッド101y、101m、101c、101kを備えている。なお、シリアル型画像形成装置として記録ヘッドをキャリッジに搭載する構成とすることもできる。
【0018】
搬送ベルト102は、無端状ベルトであり、搬送ローラ121とテンションローラ122との間に掛け渡されて周回するように構成している。この搬送ベルト102に対する用紙100の保持は、例えば静電吸着、空気の吸引による吸着などを行う構成とすることやその他の公知の搬送手段を用いることができる。また、ローラ対による搬送手段を用いることもできる。
【0019】
給紙トレイ103に収容された用紙100はピックアップローラ131で1枚ずつ分離給紙されて搬送ローラ対132によってレジストローラ対133に送られ、レジストローラ対133から所定のタイミングで搬送ローラ対134によって搬送路135を介して処理液塗布装置200に送られ、処理液塗布装置200で処理液が塗布されて搬送ベルト102上に送り込まれて保持される。
【0020】
そして、搬送ベルト102の周回移動で搬送されてヘッドユニット101から各色の液滴が吐出されて画像が形成され、その後排紙トレイ104に排出される。
【0021】
処理液塗布装置200は、処理液201を収容した容器202と、この容器202から処理液201を圧送するポンプ203と、ポンプ203で供給路204を介して供給された処理液201を被記録媒体である用紙100に塗布する塗布部208とを備えている。
【0022】
ここで、処理液201は、用紙100の表面に塗布することで用紙100の表面を改質する改質材である。例えば、処理液201は、予め用紙100(前述したように材質としての紙に限定されない。)にムラなく塗布しておくことで、インクの水分を速やかに用紙100に浸透させると共に色成分を増粘させ、更には乾燥も早めることによって滲み(フェザリング、ブリーディング等)や裏抜けを防止し、生産性(単位時間当たりの画像出力枚数)をあげることを可能にする定着剤(セット剤)である。
【0023】
この処理液201は、組成的には、例えば界面活性剤(アニオン系、カチオン系、ノニオン系のいずれか、若しくはこれらを2種類以上混合させたもの)に対して、水分の浸透を促進するセルロース類(ヒドロキシプロピルセルロース等)とタルク微粉体の様な基剤を加えた溶液等を挙げることができる。更に微粒子を含有することもできる。
【0024】
次に、処理液塗布装置200の塗布部208について図2及び図3を参照して説明する。なお、図2は塗布動作開始前の同塗布部の模式的側面説明図、図3は同じく塗布動作時の同塗布部の模式的側面説明図である。
塗布部208は、被記録媒体である用紙100を搬送する搬送ローラ235と、用紙100に処理液201を塗布する塗布ローラ232と、処理液201を供給し、塗布ローラ232上の液膜を薄くするスクイーズローラ233と、スクイーズローラ233に供給するための処理液201を保持するための処理液保持部である液室234とを有し、液室234には前述した容器202に収容された処理液201がポンプ203で供給路204を介して供給される。なお、各ローラの回転方向は図2の矢示方向である。
【0025】
これらのローラは、搬送ローラ235に塗布ローラ232が接し、塗布ローラ232にスクイーズローラ233が接して配置されている。また、スクイーズローラ233は液室234内の処理液201に浸されるように配置されている。
【0026】
そして、液室234には、液室234内の処理液201の高さを検知する第1、第2液面検知手段である液面センサ261、262を備えている。第1液面センサ261は、処理液201の液面高さが第1高さ位置以上であることを検知し、第2液面センサ262は、第1高さ位置より高い第2高さ位置以上であることを検知する。
【0027】
次に、この画像形成装置の制御部の概要について図4のブロック説明図を参照して説明する。
主制御部501は、この画像形成装置全体の制御を司るCPU、ROM、RAM、I/O等からなるマイクロコンピュータなどによって構成される。この主制御部501は受領した画像データを処理して印刷制御部502に転送し、印刷制御部502は画像データに応じてヘッドドライバ503を介して記録ヘッド101を駆動制御し、画像データに応じて液滴を吐出させる。また、主制御部501は、モータ駆動部504を介して搬送ベルト102を周回移動させる搬送モータ505を駆動制御して、用紙100を搬送させる。
【0028】
塗布制御部510は、本発明における制御する手段を兼ね、処理液塗布装置200の各部の制御を司る。この塗布制御部510は、主制御部501からの塗布要求を受けて処理液塗布動作を制御するため、ポンプ駆動部511を介してポンプ203を駆動し、ローラ駆動部512を介して塗布ローラ232、スクイーズローラ233を回転させるモータ513を駆動制御する。また、第1、第2液面センサ261、262の検知結果に応じて、ポンプ203を駆動して液室234に対する処理液201の送液を制御する。
【0029】
次に、塗布制御部による液室の液面高さ制御について図5のフロー図を参照して説明する。
まず、塗布動作開始信号が主制御部501から与えられると、第2液面センサ162が液室234内の処理液201の液面を検知している(第2液面センサON)か否かを判別し、第2液面センサ262がONでなければ、第2液面センサ262がONになるまで、つまり、図2に示すように、液室234内の処理液201の液面が第2高さ位置になるまで、ポンプ203を駆動して液室234に処理液201を供給する。
【0030】
そして、第2液面センサ262がONしたときには、塗布ローラ232とスクイーズローラ233の回転を開始する。ここで、スクイーズローラ233が回転することにより、液室234の処理液201が塗布ローラ232とスクイーズローラ235の間の液だまり部260まで供給される。
【0031】
このように、第2液面センサ262の位置(第2高さ位置)まで液室234内の液面を高くすることにより、塗布ローラ232の駆動開始直後に、スクイーズローラ233により、液室234から液だまり部260に供給される処理液201の液量分を事前に供給することができ、スクイーズローラ233が駆動を開始することにより、液室234内の処理液201が瞬時になくなることを防止できる。また、この作用により、液室234内の処理液201の容量を比較的小さくすることができるので、液室234での処理液201の乾燥を防止することができる。
【0032】
上述したように液だまり260に供給された処理液201は、塗布ローラ232とスクイーズローラ233の当接によって延展され、塗布ローラ232の表層に液膜層が形成されて、塗布ローラ232の回転によって搬送ローラ235側の図示しない被記録媒体(用紙100)に液膜層が移送され、塗布される。
【0033】
その後、塗布が開始されると、第1液面センサ261が処理液201の液面を検知した(第1液面センサ261ON)か否かを判別し、第1液面センサ261がONであれば、塗布動作終了信号を受領した(塗布動作終了信号ON)か否かを判別して、塗布動作終了信号を受領していなければ、第1液面センサONか否かの判別処理に戻る。また、塗布動作終了信号を受領する前に、第1液面センサONでなければ(液面が第1高さ位置より低くなったときには)、ポンプ203を駆動して、液室234に処理液201を供給する。そして、塗布動作終了信号がONになったときには、塗布ローラ232とスクイーズローラ233を停止する。
【0034】
つまり、塗布動作中は、図3に示すように、液室234内の処理液201の液面が第1液面センサ261で検知する高さ(第1高さ位置)になるように処理液201の供給動作が行われる。
【0035】
これにより、塗布動作中は、第2高さ位置より低い第1高さ位置に液面が維持されるので、塗布動作終了時に、スクイーズローラ233周辺の処理液201と液だまり260の処理液201が液室234に戻ってきても、液室234が満杯になることがなく、液室234からの処理液201の漏れ(溢れ出し)を防止できる。また、この作用により液室234の処理液201の容量を比較的小さくすることができるので、液室234での処理液201の乾燥を防止することができる。
【0036】
すなわち、第1液面センサ261によって検知する第1高さ位置は、スクイーズローラ233周辺の処理液201と液だまり260の処理液201が戻ってきても処理液201が液室234から溢れない位置に設定する。また、この作用により液室206の処理液の容量を比較的小さくすることができるので液室206での処理液の乾燥を防止することができる。
【0037】
また、同時に塗布開始直後は、少なくとも塗布動作時の処理液201の液面高さを所定の位置にするための第1液面センサ261による検知位置より高い液面位置を検知するように第2液面センサ262の検知位置(高さ)を設定している。これにより、装置本体の都合により、塗布が中断された場合でも、処理液201が液室234に供給されることがないので、液室234の処理液201が増えることを防止できる。液室234内の処理液201が駆動毎(稼動毎)に増加していくと、いずれ液室234が満杯状態となり処理液201が液室234から溢れてしまうことになる。
【0038】
このように、処理液保持部には、処理液の液面高さが第1高さ位置であることを検知する第1液面検知手段と、第1高さ位置より高い第2高さ位置であることを検知する第2液面検知手段とが設けられ、第1、第2液面検知手段の検知結果に基づいて供給手段から処理液保持部に対する供給を制御して、塗布ローラの駆動前の処理液保持部の処理液の液面高さを第2高さ位置にし、塗布ローラの駆動時の処理液保持部の処理液の液面高さを第1高さ位置に制御する構成とすることで、処理液保持部における処理液を一定に保ち、塗布ローラへの処理液の供給を安定させ、安定した塗布を行うことができる。
【0039】
次に、本発明の他の実施形態について説明する。
まず、塗布動作開始直後において、液室234内の処理液201の液面高さが第2高さ位置より低くならないとき、すなわち、第2液面センサ262がONしたままであるときには、塗布動作停止時にスクイーズローラ233周辺の処理液201と液だまり260の処理液201が液室234に戻ってきて、液室234から処理液201が溢れてしまう可能性がある。
【0040】
そこで、塗布動作開始直後において、第2液面センサ262がONしたままである(液面を検知している)ときには異常であると判定し、塗布動作或いは画像形成動作を停止させ、第2液面センサ262がONでなくなる(OFFになる)まで、例えばポンプ203が可逆型ポンプであれば液室234から処理液201を処理液容器202に逆送させ、あるいは、図示しない廃液部に処理液201を廃液させる。
【0041】
これにより、液室234からの処理液201の溢れを防止できる。
【0042】
次に、塗布動作開始直後において、第1、第2液面センサ261、262がOFF状態になったとき、すなわち、処理液201の液面が第1高さ位置より低いままである状態が継続している場合、処理液201の乾燥により、液室234内の処理液201の粘度が上昇したと判断して異常と判定し、塗布動作或いは画像形成動作を停止させて、図示していない廃液部に処理液201を排出させる。つまり、処理液201が増粘した場合、塗布動作開始直後にスクイーズローラ233により比較的多くの処理液201が汲み上げられ、液室234の処理液201が通常の場合より少なくなってしまう。
【0043】
これにより、増粘した処理液201が用紙に塗布されることにより発生する、塗布量の増加や、用紙が塗布ローラ232に巻き付き、ジャムが発生することを防止できる。
【0044】
上記他の実施形態における「塗布動作開始直後」とは、塗布動作開始から予め定めた所定時間が経過するまでの間、あるいは、塗布ローラを駆動する駆動モータの駆動開始からの回転数が所定回転数に達するまでの間とすることができる。
【0045】
なお、上記実施形態では処理液塗布装置が画像形成前の用紙に対して処理液を塗布する構成で説明しているが、記録ヘッドユニットの下流側で画像形成が行われた用紙上に処理液を塗布する構成とすることもできる。
【0046】
また、本発明に係る画像形成装置は、例えば電子写真方式の画像形成装置にも適用することができる。例えば、紙等の媒体上のトナー等の樹脂を含有する微粒子を乱すことなく、かつ当該樹脂微粒子を付着した媒体に定着液を塗布後は素早く樹脂微粒子の媒体への定着が行われ、更に媒体に残油感が発生しない程度の微量塗布が可能な樹脂微粒子の定着液を用いた、定着方法及び定着装置、並びに画像形成方法及び画像形成装置にも適用できる。
【符号の説明】
【0047】
100 被記録媒体(用紙)
101 記録ヘッドユニット
102 搬送ベルト
103 給紙トレイ
200 処理液塗布装置
201 処理液
203 ポンプ
208 塗布部
232 塗布ローラ
233 スクイーズローラ
234 液室(処理液保持部)
235 搬送ローラ
261 第1液面センサ
262 第2液面センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被記録媒体に画像を形成する画像形成手段と、
前記被記録媒体に処理液を塗布する処理液塗布装置と、を備え、
前記処理液塗布手段は、少なくとも、
前記被記録媒体に前記処理液を塗布する塗布ローラと、
前記処理液を供給し、塗布ローラ上の液膜を薄くするスクイーズローラと、
前記スクイーズローラに供給する前記処理液を保持する処理液保持部と、
前記処理液保持部に前記処理液を供給する供給手段と、
前記供給手段から前記処理液保持部に対する供給を制御する手段と、を有し、
前記処理液保持部には、前記処理液の液面高さが第1高さ位置であることを検知する第1液面検知手段と、前記第1高さ位置より高い第2高さ位置であることを検知する第2液面検知手段とが設けられ、
前記制御する手段は、前記第1、第2液面検知手段の検知結果に基づいて前記供給手段から前記処理液保持部に対する供給を制御して、前記塗布ローラの駆動前の前記処理液保持部の前記処理液の液面高さを前記第2高さ位置にし、前記塗布ローラの駆動時の前記処理液保持部の前記処理液の液面高さを前記第1高さ位置に制御する
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記制御する手段は、前記塗布ローラの駆動開始直後の前記処理液保持部の前記処理液の液面高さを前記第2高さ位置に制御することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御する手段が前記塗布ローラの駆動開始直後に、前記処理液保持部の前記処理液の液面高さが前記第2高さ位置より低くなったことを検知できないときには異常と判定し、画像形成動作が停止されることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記制御する手段が前記塗布ローラの駆動開始直後に、前記処理液保持部の前記処理液の液面高さが前記第1高さ位置より低くなったことを検知したときには異常と判定し、画像形成動作が停止されることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項5】
被記録媒体に処理液を塗布する処理液塗布装置において、
前記被記録媒体に前記処理液を塗布する塗布ローラと、
前記処理液を供給し、塗布ローラ上の液膜を薄くするスクイーズローラと、
前記スクイーズローラに供給する前記処理液を保持する処理液保持部と、
前記処理液保持部に前記処理液を供給する供給手段と、
前記供給手段から前記処理液保持部に対する供給を制御する手段と、を有し、
前記処理液保持部には、前記処理液の液面高さが第1高さ位置であることを検知する第1液面検知手段と、前記第1高さ位置より高い第2高さ位置であることを検知する第2液面検知手段とが設けられ、
前記制御する手段は、前記第1、第2液面検知手段の検知結果に基づいて前記供給手段から前記処理液保持部に対する供給を制御して、前記塗布ローラの駆動前の前記処理液保持部の前記処理液の液面高さを前記第2高さ位置にし、前記塗布ローラの駆動時の前記処理液保持部の前記処理液の液面高さを前記第1高さ位置に制御する
ことを特徴とする処理液塗布装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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