画像形成装置及び排紙積載装置
【課題】画像形成装置による印刷済み用紙のカールを抑制して、充分な量の用紙を積載できるようにし、画像品質も良好な状態にする。
【解決手段】給送される用紙4に水性インクによって画像を形成する画像形成用ヘッドユニット2等の画像形成部と、そこで画像が形成された印刷済み用紙4Pを搬送して排出する排出ローラ対19,20等の搬送排出部と、それによって排出される印刷済み用紙4Pを積載する用紙積載台21と、その用紙積載台21上に積載された用紙の上面を載置面21aに向けて押し付けながら新たに排出される印刷済み用紙4Pを案内するガイド兼押さえ部材30,31とを備えている。そのガイド兼押さえ部材30,31は、印刷済み用紙4Pを押し付ける方向に揺動可能に支持され、印刷済み用紙4Pの上面と接触する部分30b,31bが、該用紙の上面と該用紙の排出方向に沿う線接触又は点接触する形状を有する。
【解決手段】給送される用紙4に水性インクによって画像を形成する画像形成用ヘッドユニット2等の画像形成部と、そこで画像が形成された印刷済み用紙4Pを搬送して排出する排出ローラ対19,20等の搬送排出部と、それによって排出される印刷済み用紙4Pを積載する用紙積載台21と、その用紙積載台21上に積載された用紙の上面を載置面21aに向けて押し付けながら新たに排出される印刷済み用紙4Pを案内するガイド兼押さえ部材30,31とを備えている。そのガイド兼押さえ部材30,31は、印刷済み用紙4Pを押し付ける方向に揺動可能に支持され、印刷済み用紙4Pの上面と接触する部分30b,31bが、該用紙の上面と該用紙の排出方向に沿う線接触又は点接触する形状を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、プリンタ、プロッタ、印刷装置、複写装置、デジタル複合機、ファクシミリ装置等の各種画像形成装置、特にインクジェット式画像形成装置と、その印刷済み用紙を積載する排紙積載装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上述のような各種の画像形成装置には、その画像形成部(手段)における画像形成方法により、電子写真方式、ワイヤドット方式、インクジェット方式、感熱方式、熱転写方式、孔版印刷方式等、各種の方式のものがある。
いずれの場合にも、一般に用紙(記録媒体)を画像形成部へ供給し、そこで文字や写真又は図形等の画像を形成した後、その記録媒体を搬送して機外へ排出する。
【0003】
そのうち、インクジェット式画像形成装置は、インクジェットヘッドを用いて水性インクを用紙の表面に吐出させて画像を形成する。そして、カラー印刷が可能なインクジェット式画像形成装置として、従来低価格な装置では、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、及びブラック(K)の各色のインクを1ドット分ずつ吐出するシリアル型インクジェットヘッドを用紙の搬送方向に直交する方向(主走査方向)に並べて設け、それを主走査方向移動させながら、副走査方向に搬送される用紙に画像を形成するシリアル型インクジェット式画像形成部を備えた、シリアル型インクジェット式画像形成装置が主に使用されていた。
【0004】
しかし、近年では高速化に対応するために、主走査方向の全長に対応する長さを有し、1ライン分の画像を同時に形成できるライン型インクジェットヘッドを色数分だけ用紙の搬送方向(副走査方向)に並べて固定して設けた、ライン型インクジェット式画像形成部を備えた、ライン型インクジェット式画像形成装置が多用されるようになってきた。
このライン型インクジェット式画像形成装置は、シリアル型インクジェット式画像形成装置に比べて印刷速度を圧倒的に高速化できるが、同時にいくつかの重要な課題も有している。
【0005】
その一つが水性インクを用いることにより、画像形成後の印刷物にカールが発生してしまうことである。すなわち、用紙の画像面がインクの水分によって膨張して伸びるためにカールが起こる。
従来のシリアル型インクジェット式画像形成装置の場合には、低速なので画像形成をしながら印刷済み用紙を水平状態に保持して所定時間保持する効果によって、カールの成長をある程度抑えてその後に排出することが可能であった。
しかし、ライン型インクジェット式画像形成装置の場合には、高速搬送・高速排出のために、短時間で次々と排紙トレイ上に印刷済み用紙が排出積載されてしまうので、どんどんカールが進行することになる。
【0006】
水性インクを用いたライン型インクジェット式画像形成装置で、従来の排紙積載装置を用いた場合に、印刷済み用紙がどのような積載状態になるかを、図15と図16に略図で示す。画像面が下の場合が図15であり、画像面が上の場合が図16である。そのいずれの場合も、(a)は搬送方向に直交する側方から見た場合、(b)は搬送方向の上流側から見た場合を示している。
これらの図において、50は排出ローラ対(排紙ローラ対)、60は排紙トレイ、61a,61bは左右のサイドフェンス、62はエンドフェンス、70は印刷済み用紙である。
【0007】
このように画像面によって印刷済み用紙70のカール方向は決まってしまうが、排紙トレイ60上で印刷済み用紙70がカールすることによって、積載された用紙の周辺部又は中央部が異常に高くなってしまい、そこに次の印刷済み用紙70がぶつかってジャムになってしまう。
つまり、排紙トレイ60上に印刷済み用紙70を充分な枚数だけ積載する前に、積載された印刷済み用紙のカールが成長して、次の印刷済み用紙の排出を邪魔するために排紙ジャムになってしまうことになる。
【0008】
インクジェット式画像形成装置において、排紙トレイ上に排出される印刷済み用紙のカールを抑えることに関する従来技術は見当らないが、一般的な画像形成装置において排紙された用紙(シート)を押さえる技術としては、特許文献1〜3に記載されているようなものがある。
【0009】
特許文献1には、カールした排出紙の後端が、画像形成装置のシート排出口を塞がないように、排紙トレイ上に排出された用紙の後端部を後端押さえ部材で押さえると共に、その用紙の上面先端をシート先端ガイドによって案内して、整然と排紙トレイ上に用紙を積載することが開示されている。
【0010】
また、特許文献2には、画像形成されたシートが急勾配に立ち上がったシート載置台に排出される画像形成装置において、排出ローラ対によって排出されたシートの後端部近くを、可撓性を有するシート押さえ部材によってシート載置台に押さえ付けて保持することが開示されている。
【0011】
さらに、特許文献3には、印刷済み用紙が排紙ローラ対によってスタックテーブル上に排出された後、弾性部材によって構成されて用紙幅方向に複数個配置された搬送力伝達部(パドル)によって、ストッパに突き当たるまで搬送されるようにした排紙装置と、その搬送力伝達部の改良構造が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
これらの特許文献に開示されているものは、画像形成装置によって画像が形成された印刷済み用紙(シート)が排紙トレイに相当する部材上に排出された後、その積載された用紙を上から押さえる機能を有するので、用紙の端部あるいは中央部のカール押さえ効果もないとはいえない。
【0013】
しかし、特許文献1に記載のものは、後端押さえ部材が排紙トレイ上に排出された用紙の後端部を押さえるだけであり、積載された用紙の排出方向の中間部や先端部のカールを抑えることはできない。また、シート先端ガイドは排出される用紙の先端をガイドするだけで、積載された用紙を押さえる機能はない。したがって、これらによっては、排紙トレイ上に積載された用紙のカールを抑制する効果は殆ど期待できない。
【0014】
特許文献2に記載されたものは、シート載置台に排出されたシートを一旦取り出した後再び載置台に戻しても、シートの積載順の狂いやジャムが発生しないようにすることを、意図しており、これも排出されたシートの後端部近くをシート押さえ部材によってシート載置台に押さえ付けて保持するだけであるから、シート載置台上に積載されたシートの排出方向の中間部や先端部のカールを抑えることはできない。
【0015】
また、これらの後端押さえ部材やシート押さえ部材は、いずれも用紙(シート)の排出方向に直交する方向にある程度の幅を有する帯状の部材をV字状に折り曲げた折曲部、あるいは曲げずにストレートな帯状部材の先端エッジ部で、排出される用紙の上面を押さえている。
【0016】
ところが、水性インクや油性インク等の液状記録剤(一般に「インク」という)によって画像が形成された用紙が画像面を上向きに排出される場合、図16に示したように用紙が上向きの凸状にカールし、且つ上面の画像のインクが充分乾いていない状態で排出されることになる。
【0017】
したがって、このような印刷済み用紙が排紙トレイ上に積載された場合のカールを抑制するには、用紙の排出方向の中間部を載置面に押し付けることが必要であるが、前述の従来装置ではそれを期待できない。
また、上述したように、排紙トレイ上排出される途中の用紙の上面を、排出方向に直交する方向に幅を有する帯状の押さえ部材が線接触して押さえるため、その用紙の上面の画像が完全に乾いておらず未定着であると、それを擦って紙面を汚してしまい、さらにその押さえ部材に転写したインクが紙面に再転写して、画像品質を損なう恐れがある。
【0018】
特許文献3には、スタックテーブル上に排出された用紙をパドルで抑えるような図が見られるが、そのパドルはゴム等の弾性部材で構成され、用紙を搬送するための搬送力伝達部材であるから、当然その搬送方向に直交する方向に幅を有しており、用紙の上面と摩擦接触して回転するものである。そのため上述と同様に、排出された用紙の上面の画像が完全に乾いておらず未定着であると、それをパドルで擦って紙面を汚してしまい、さらにそのパドルに転写したインクが紙面に再転写して、画像品質を損なうことになる。
【0019】
この発明は、このような現状に鑑みてなされたものであり、画像形成装置における印刷済み用紙が、順次排出されて用紙積載台の載置面上に積載される際に、カールしながら排出される印刷済み用紙を確実に載置面上に案内するとともに、載置面上において印刷済み用紙のカールが進行するのを抑え、且つその用紙の画像面が上向きで画像の記録剤が完全に定着されていなかった場合でも画像品質の劣化が生じないようにし、積載された用紙をユーザが取り出した時に殆どカールが無く、画像品質も良好な状態にすることを目的とする。そのための画像形成装置と排紙積載装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0020】
この発明による画像形成装置は上記の目的を達成するため、順次給送される用紙に液状記録剤によって画像を形成する画像形成部と、その画像形成部で画像が形成された印刷済み用紙を搬送して排出する搬送排出部と、その搬送排出部によって排出される印刷済み用紙を積載する用紙積載台と、その用紙積載台上に積載された用紙の上面を該用紙積載台の載置面に向けて押し付けながら新たに排出される印刷済み用紙を案内するガイド兼押さえ部材とを備えている。
そして、そのガイド兼押さえ部材は、印刷済み用紙を押し付ける方向に揺動可能に支持され、印刷済み用紙の上面と接触する部分が、該用紙の上面と該用紙の排出方向に沿う線接触又は点接触する形状を有する。
【0021】
上記ガイド兼押さえ部材は、基端部が装置本体の固定部に軸支されたアーム状部材であって、そのアーム状部材の下縁が印刷済み用紙の排出方向に平行な直線状エッジに形成されており、そのエッジの先端部が印刷済み用紙の上面と該用紙の排出方向に沿う線接触又は点接触するように構成することができる。
【0022】
あるいは、上記ガイド兼押さえ部材は、基端部が装置本体の固定部に軸支されたアーム状部材と、そのアーム状部材の先端部に印刷済み用紙の排出方向に直交する方向の軸によって回転自在に軸支された円板状部材とからなり、その円板状部材の外周に沿って先端が先鋭な多数の突起が放射状に形成されており、その突起の先端が印刷済み用紙の上面と点接触するように構成するとなおよい。
【0023】
上記搬送排出部は、画像が形成された印刷済み用紙を腰付けしながら上記用紙積載台へ排出する排出ローラ対を備えており、上記ガイド兼押さえ部材は、その排出ローラ対の上側の排出ローラの装置本体に支持された回転軸によって揺動可能に軸支されるようにしてもよい。
【0024】
上記用紙積載台が、その用紙積載台上に積載された印刷済み用紙の枚数の増加に応じて下降するようにするとよい。
これらの画像形成装置において、上記ガイド兼押さえ部材を、上記用紙積載台上に排出されて積載された印刷済み用紙の上面を押し付けない位置に回動させる押し付け解除部材を設けてもよい。
【0025】
この発明による排紙積載装置は、画像形成装置から印刷済み用紙が順次排出されて積載される排紙積載装置であって、上記の目的を達成するため、次のように構成したものである。
上記印刷済み用紙の下面を受ける載置面を有する用紙積載台と、その印刷済み用紙のそれが排出される方向と直交する幅方向の両端部をガイドする一対のサイドフェンスとを備え、その一対のサイドフェンスは用紙サイズに応じて上記幅方向に移動可能であり、その一対のサイドフェンスのそれぞれ対向する内面側に、上記載置面上に排出されて積載された印刷済み用紙の上面を上記載置面に向けて押し付けながら新たに排出される印刷済み用紙を案内するガイド兼押さえ部材を、該用紙を押し付ける方向に揺動可能に軸支して設ける。そのガイド兼押さえ部材は、上記印刷済み用紙の上面と接触する部分が、該用紙の上面と該用紙の排出方向に沿う線接触又は点接触する形状を有する。
【0026】
上記ガイド兼押さえ部材を、上記一対のサイドフェンスのそれぞれ対向する内面側に、上記印刷済み用紙の排出方向に間隔を置いて複数対設けるのが望ましい。
上記ガイド兼押さえ部材は、基端部が上記サイドフェンスに軸支されたアーム状の部材と、その部材の先端部に印刷済み用紙の排出方向に直交する方向の軸によって回転自在に軸支された円板状部材とからなり、その円板状部材の外周に沿って先端が先鋭な多数の突起が放射状に形成されており、その突起の先端が上記印刷済み用紙の上面と点接触するように構成するとよい。
【0027】
この発明による排紙積載装置はまた、上記用紙積載台に排出される印刷済み用紙の先端を当接させて該用紙を停止させるエンドフェンスを備え、そのエンドフェンスは用紙サイズに応じて上記印刷済み用紙の排出方向に移動可能であり、そのエンドフェンスの内面側に、上記用紙積載台の載置面上に排出されて積載された印刷済み用紙の上面を載置面に向けて押し付けながら、新たに排出される印刷済み用紙を案内するガイド兼押さえ部材を、該用紙を押し付ける方向に揺動可能に軸支して設けてもよい。
そのガイド兼押さえ部材は、上記印刷済み用紙の上面と接触する部分が、該用紙の上面と該用紙の排出方向に沿う線接触又は点接触する形状を有する。
【0028】
上記ガイド兼押さえ部材は、上記エンドフェンスから印刷済み用紙の排出方向の上流側へ延設した支持部材に基端部が軸支されていてもよい。
上記ガイド兼押さえ部材は、上記支持部材に基端部が軸支されたアーム状部材と、そのアーム状部材の先端部に印刷済み用紙の排出方向に直交する方向の軸によって回転自在に軸支された円板状部材とからなり、その円板状部材の外周に沿って先端が先鋭な多数の突起が放射状に形成されており、その突起の先端が上記印刷済み用紙の上面と点接触するように構成するとなおよい。
【0029】
これらの排紙積載装置において、上記ガイド兼押さえ部材を、上記用紙積載台上に排出されて積載された印刷済み用紙の上面を押し付けない位置に回動させる押し付け解除部材を設けてもよい。
上記ガイド兼押さえ部材を、上記サイドフェンスとエンドフェンスの少なくとも一方に対して着脱可能に取り付けられた板状部材に設けることもできる。
【0030】
この発明による画像形成装置はまた、用紙に画像を形成する画像形成部と該画像形成部によって画像が形成された印刷済み用紙を搬送して排出する搬送排出部とを有する画像形成装置本体と、上記搬送排出部によって順次排出される印刷済み用紙を積載するための上記いずれかの排紙積載装置とを備えたものでもよい。
上記画像形成部が、1個以上のインクジェットヘッドを備えたインクジェットヘッド方式の画像形成部であることができる。
上記インクジェットヘッドが、ライン型インクジェットヘッドであってもよい。
【0031】
なお、上記「用紙」とは、普通紙、記録紙、記録シート、転写紙などを含んでいる。また、紙に限るものではなく、樹脂等のシートやフィルム、布、皮革など、インク等の液状記録剤によって画像を形成できるシート状のものも含む。
上記「印刷」とは、画像形成、記録、印字、印写、描画等を含み、インク等の液状記録剤による用紙上への文字や写真、図形等の形成をいう。
【発明の効果】
【0032】
この発明による画像形成装置及び排紙積載装置は、画像が形成された印刷済み用紙が順次排紙されて積載される際に、その用紙の上面をガイド兼押さえ部材によって上方から載置面に向けて押圧しながら、新たに排出される印刷済み用紙を案内することができる。しかも、そのガイド兼押さえ部材と用紙の上面との接触は殆ど点接触となる。
それによって、載置面上に載置された印刷済み用紙のカールが抑制され、しかもその用紙の画像面が上向きで画像の記録剤が完全に定着されていなかった場合でも、ガイド兼押さえ部材によってその未定着の記録剤が擦られたり再転写されて画像品質が劣化するようなおそれが殆どない。したがって、積載された用紙をユーザが取り出した時に殆どカールが無く、画像品質も良好な状態にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】この発明による画像形成装置の第1の実施形態の主要部を示す概略図である。
【図2】図1における用紙積載台側の印刷済み用紙排出方向の上流側半部を排出ローラ対と共に拡大して示す図である。
【図3】図2において円Xで囲んだガイド兼押さえ部材の先端部付近の拡大図である。
【図4】図2に示す実施形態において用紙積載台が積載された印刷済み用紙の増加に伴って下降する例を示す概略説明図である。
【図5】この発明による画像形成装置の第2の実施形態の図2と同様な図である。
【図6】同じくその用紙排出方向の下流側からエンドフェンスとそれに設けられたガイド兼押さえ部材を取り外して画像形成装置本体側の排出ローラ対を見た概略図である。
【図7】この発明による画像形成装置の第3の実施形態の図2と同様な図である。
【図8】同じくその排出ローラ対を省略して上方から見た平面図である。
【図9】押し付け解除部材を設けた例を示す要部斜視図である。
【0034】
【図10】この発明による排紙積載装置の第1の実施形態を示す図7と同様な図である。
【図11】同じくその平面図である。
【図12】同じくその印刷済み用紙排出方向の下流側から排紙積載装置のみをエンドフェンスを取り外して見た図である。
【図13】この発明による排紙積載装置の第2の実施形態を印刷済み用紙排出方向の下流側半部を示す図である。
【図14】この発明による排紙積載装置の第3の実施形態を手前側のサイドフェンスを取り外して見た図である。
【図15】従来の排紙積載装置を用いた画像面が下の場合の印刷済み用紙の積載状態を示す略図である。
【図16】従来の排紙積載装置を用いた画像面が上の場合の印刷済み用紙の積載状態を示す略図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、この発明を実施するための形態を図面に基づいて具体的に説明する。
〔画像形成装置の第1の実施形態〕
この発明による画像形成装置の第1の実施形態を図1〜図4によって説明する。図1はその画像形成装置の本体側の主要部と用紙積載台側の概略構成を示す図である。
【0036】
この図1に示す画像形成装置は、用紙に画像を形成する画像形成部とその画像形成部によって画像が形成された印刷済み用紙を搬送して排出する搬送排出部とを有する画像形成装置本体1、およびその搬送排出部によって順次排出される印刷済み用紙を積載する用紙積載台21とそれに関連する部分(後述する排紙積載装置3に相当する)とを備えている。
なお、図1では、画像形成装置本体1は、その内部の以下の説明に必要な部分の構成のみを模式的に示しており、用紙積載台21側は手前側のサイドフェンスを除去した状態で示している。
【0037】
画像形成装置本体1内には、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、及びブラック(K)の4色のライン型インクジェットヘッド13〜16を有する画像形成用ヘッドユニット2が、画像形成部のメインユニットとして設けられている。なお、この図では各インクジェットヘッド13〜16におけるインクの乾燥を防止するための部材等は省略している。
そして、図示しない給紙装置から順次給紙される用紙4が搬送ローラ対5,6によって搬送され、さらに無端広幅ベルト7によって画像形成用ヘッドユニット2と対向する画像形成位置へ搬送される。
【0038】
無端広幅ベルト7は、駆動ローラ8と2本の従動ローラ9、10とテンションローラ11に巻きつけられて所定の張力を与えられて、矢印A方向に回動される。
無端広幅ベルト7には多数の孔が形成されており、その孔を通してエアー吸引ダクト12によって空気が吸引されることにより用紙4の裏面を吸着して搬送する。エアー吸引ダクト12は、図示しない吸引用ブロア装置によってエアー吸引力を発生する。
【0039】
画像形成用ヘッドユニット2は、用紙先端検知センサ33による用紙先端の検出時点からタイミングをとって、図示しないヘッド駆動装置によって各色のインクジェットヘッド13〜16を駆動して、用紙4の矢示方向への搬送に伴って、インクジェットヘッド13〜16の各先端のノズルから、それぞれイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、及びブラック(K)の液状記録剤である水性インクを用紙4の表面に順次吐出させて、フルカラーの画像を形成する。その間、無端広幅ベルト7は速度変動がないように駆動され、用紙4を安定して搬送する。
これらによって、インクジェットヘッド方式の画像形成部を構成している。この実施形態では、フルカラーのライン型インクジェットヘッド方式の画像形成部である。
【0040】
画像形成用ヘッドユニット2によって画像が形成された印刷済み用紙4Pは、搬送ローラ対17,18によって搬送され、画像面が上向き積載の場合には、経路切替爪部材22、27がいずれも搬送ローラ対17,18と排出ローラ対19,20間の水平な搬送路より下方の位置に退避しており、そのままストレートに搬送され、排出ローラ対19,20によって腰付けされて排出力を付与され、用紙積載台21の載置面21a上に向けて排出される。なお、印刷済み用紙4Pの画像面側に接触する搬送ローラ18と排出ローラ20は、インク転写汚れ防止のために砥粒ローラ等の点接触ローラにするとよい。
【0041】
一方、画像面が下向き積載の場合には、経路切替爪部材22を点線で示した位置に、経路切替爪部材27を実線で示す位置にそれぞれ移動させる。それによって、搬送ローラ対17,18によって搬送される印刷済み用紙4Pは、経路切替爪部材22にガイドされて上向き方向に搬送され、第1反転ローラ対23,24によって垂直方向に搬送し、その先端が用紙先端検知センサ35によって検知された後、さらに第2反転ローラ対25,26まで搬送されて一時停止される。
【0042】
その後、第1反転ローラ対23,24と第2反転ローラ対25,26を逆転駆動させることによって、印刷済み用紙4Pは下向きに搬送されるが、経路切替爪部材27にガイドされて排出方向に向きを変え、排出ローラ対19,20で腰付けされて排出力を付与され、用紙積載台21上に向けて排出される。
これらによって、画像形成部によって画像が形成された印刷済み用紙を搬送して排出する搬送排出部を構成している。
【0043】
印刷済み用紙4Pを画像面を下向きに積載するのは、ページ順に印刷される印刷済み用紙4Pを積載時にページ順になるようにする場合に必要な積載方法である。
これ以外に、用紙4の両面に印刷をした後に用紙積載台21に排出する場合もあるが、図1ではそのための両面印刷用搬送経路の図示を省略しているので、その説明も省略する。
【0044】
一方、用紙積載台21は排紙トレイとも称され、その載置面21a上に排出される印刷済み用紙4Pの排出方向(矢示B方向)に直交する幅方向の両側端を案内して該方向の位置決めを行う一対のサイドフェンス28(手前側のサイドフェンス28は図示していない)と、用紙積載台21上に排出される印刷済み用紙4Pの先端を当接させてその用紙を停止させ、その排出方向の位置決めを行うエンドフェンス29とが設けられている。
一対のサイドフェンス28は、その間隔寸法を用紙サイズに応じた最適値に調整できるように上記幅方向(図1で紙面に垂直な方向)にスライド可能になっている。エンドフェンス29も同様に、用紙サイズに応じた最適位置に調整できるように用紙の排出方向にスライド可能になっている。
【0045】
図1に示されている30,31は、用紙積載台21上に積載された印刷済み用紙4Pの上面を用紙積載台21の載置面21aに向けて押し付けながら、新たに排出される印刷済み用紙を案内するガイド兼押さえ部材である。
用紙排出方向の上流側のガイド兼押さえ部材30は、装置本体の固定部である例えば画像形成装置本体1の側面に、矢示B方向に直交する方向(紙面に垂直な方向)に取り付けられた軸32に基端部30aが回動自在に軸支され、印刷済み用紙4Pを押し付ける方向に揺動可能に支持されている。このガイド兼押さえ部材30の印刷済み用紙4Pの上面と接触する部分30bは、その用紙の上面と該用紙の排出方向に沿う線接触又は点接触する形状を有する。
【0046】
用紙排出方向の下流側のガイド兼押さえ部材31は、エンドフェンス29の内面に矢示B方向に直交する方向(紙面に垂直な方向)に取り付けられた軸34に基端部31aが回動自在に軸支され、印刷済み用紙4Pを押し付ける方向に揺動可能に支持されている。このガイド兼押さえ部材31の印刷済み用紙4Pの上面と接触する部分31bも、その用紙の上面と該用紙の排出方向に沿う線接触又は点接触する形状を有する。
【0047】
このガイド兼押さえ部材30,31は、共に自重によって印刷済み用紙4Pを用紙積載台21の載置面21aの方向に所定の押し付け力が付勢されるようになっているが、その重さは用紙の搬送を妨げない程度の軽量になっている。しかし、このガイド兼押さえ部材30,31を樹脂等の極めて軽量な材料で形成し、押し付け力が足りない場合には、スプリング等によって付勢力を増加させるようにしてもよい。
なお、この例では、ガイド兼押さえ部材30,31の基端部30a,31aが軸32,34に直接軸支されるように説明したが、軸32,34にそれぞれ相対回転可能に保持部材を設け、その各保持部材にガイド兼押さえ部材30,31の基端部30a,31aを固着するようにしてもよい。
【0048】
これらの構成について、図2から図4によってさらに詳細に説明する。
図2は、図1における用紙積載台側の印刷済み用紙排出方向の上流側半部を排出ローラ対と共に拡大して示す図である。図3は、図2において円Xで囲んだガイド兼押さえ部材の先端部付近の拡大図である。図4は、用紙積載台が積載された印刷済み用紙の増加に伴って下降する例を示す概略説明図である
【0049】
画像形成装置本体1側の排出ローラ対は排出ローラ19,20からなる。その排出ローラ19は、回転軸191に、下排出コロ192とその軸線方向の両側に間隔を置いてそれより大径の腰付け用コロ194とを複数組固着している。排出ローラ20は、回転軸201にそれぞれ下排出コロ192と転接して従動回転する複数の上排出コロ202を固着している。
【0050】
そして、排出ローラ19が図示していない駆動機構によって回転され、下排出コロ192が矢示E方向に回転駆動されると、上排出コロ202が矢示F方向に従動回転する。印刷済み用紙4Pがその下排出コロ192と上排出コロ202によって挟持されて搬送され、矢示B方向へ排出される。
このとき、上排出コロ202と腰付け用コロ194とによって、印刷済み用紙4Pを幅方向に波状に曲げて腰付けし、剛性を高めながら矢示B方向に排出する。
この排出ローラ19,20については、次の実施形態の図6によって詳述する。
【0051】
ガイド兼押さえ部材30は、前述したように、画像形成装置本体1の側面等の装置固定部に取り付けられた軸32に、基端部30aが相対回転自在に軸支されたアーム状部材である。この例では、そのアーム状部材が図3に示すように横断面が逆三角形の三角柱であって、その下縁が用紙の排出方向(図2の矢示B方向)に平行な直線状エッジ30cに形成されており、その直線状エッジ30cの先端部が印刷済み用紙4Pの上面と用紙の排出方向に沿う線接触又は点接触する部分30bとなる。
【0052】
このガイド兼押さえ部材30は、自重によって矢示C方向に付勢されており、排出される印刷済み用紙4Pの上面と部分30bで排出方向に沿う線接触又は点接触してそれを排紙積載台21の載置面21aの方向に案内する。このとき、印刷済み用紙4Pが排出される搬送力によって軽量なガイド兼押さえ部材30は振り子のように揺動するため、排紙の邪魔にはならない。
【0053】
そして、ガイド兼押さえ部材30と用紙上面とのすべり接触は、直線状エッジ30cの部分30bによる用紙の排出方向に沿う線接触又は点接触となり、印刷済み用紙4Pの上面との接触面積が小さいため、印刷済み用紙4Pが画像面を上向きにして排出された場合でも、ガイド兼押さえ部材30との接触によって未定着のインクが擦られて汚れたり、そのインクがガイド兼押さえ部材30に転写し、それが紙面に再転写されたりして画質が劣化することが大幅に低減する。
このガイド兼押さえ部材30の形状は、他に径の小さい丸棒状や薄板状などにしてもよい。
【0054】
図1に示した用紙排出方向の下流側のガイド兼押さえ部材31も、ガイド兼押さえ部材30と同様に、横断面が逆三角形の三角柱であるアーム状部材であって、その下縁が上方から見て用紙の排出方向(図2の矢示B方向)に平行な直線状エッジに形成されており、排出される印刷済み用紙4Pの搬送を阻害しないように先端部が上方に湾曲している。
したがって、その印刷済み用紙4Pの上面とすべり接触する部分31bは、用紙の排出方向に沿う線接触又は点接触する。その機能はガイド兼押さえ部材30と同様である。
このガイド兼押さえ部材31も、径の小さい丸棒状や薄板状などで構成してもよい。
【0055】
ガイド兼押さえ部材30は軸32に沿って、ガイド兼押さえ部材31は軸34に沿って、それぞれ用紙排出方向に直交する方向(幅方向)にスライド可能であり、それぞれ印刷済み用紙4Pの幅方向の最も有効な位置を押さえられるように、その位置を変更することができる。また、エンドフェンス29は用紙の排出方向にスライド可能であり、用紙サイズに応じてその位置が調整されるので、常に用紙サイズに応じた最適な位置をガイド兼押さえ部材30,31によって押さえることができる。
【0056】
また、ガイド兼押さえ部材30,31の一方又は両方を幅方向に間隔を置いて複数個設けてもよい。ガイド兼押さえ部材30,31が1個ずつの場合は、印刷済み用紙4Pの幅方向の中央部を押さえられるので、図16の(b)に示したような用紙幅の中央部が高くなってしまうカール(画像面が上向きの場合に発生する)を押さえるのに適している。
ガイド兼押さえ部材30,31を2個ずつ設けた場合は、印刷済み用紙4Pの幅方向の両側部付近を押さえられるので、図15の(b)で示したように用紙幅の両側部が高くなってしまうカール(画像面が下向きの場合に発生する)を押さえるのに適している。
【0057】
また、図4に示すように、用紙積載台21を、その載置面21a上に積載された印刷済み用紙4Pの枚数の増加に応じて下降させるようにすれば、積載された印刷済み用紙4Pの最上面の高さ位置を、一点鎖線で示すように一定にすることができる。それによって、ガイド兼押さえ部材30,31の用紙との接触位置、角度、および押し付け力が一定になり、常に印刷済み用紙4Pの所定位置を最適に押さえることができる。
【0058】
図1に示したガイド兼押さえ部材30をもっと長くして、ガイド兼押さえ部材31を省略することもできる。あるいは、ガイド兼押さえ部材31に代えて、一対のサイドフェンス28の少なくとも一方に揺動可能に支持されるガイド兼押さえ部材を、ガイド兼押さえ部材30より用紙搬送方向下流側に設けるようにしてもよい。
【0059】
〔画像形成装置の第2の実施形態〕
次に、この発明による画像形成装置の第2の実施形態を、図5及び図6によって説明する。図5は、この発明による画像形成装置の第2の実施形態の図2と同様な図である。図6は、同じくその用紙排出方向の下流側からエンドフェンスとそれに設けられたガイド兼押さえ部材を取り外して画像形成装置本体側の排出ローラ対を見た概略図である。これらの図において、図1〜図4と対応する部分には同一の符号を付してあり、それらの説明は省略する。
【0060】
この第2の実施形態は、上述した第1の実施形態と殆ど同じであるが、用紙排出方向の上流側のガイド兼押さえ部材30を、画像形成装置本体1の排出ローラ対のうちの上側の排出ローラ20の回転軸201に揺動可能に軸支させた点だけが相違する。
上述した第1の実施形態においても図2によって簡単に説明したが、排出ローラ対の構成について図6によって詳細に説明する。
【0061】
排出ローラ対は、駆動ローラである下排出ローラ19と従動ローラである上排出ローラ20とからなり、その各回転軸191と201が、画像形成装置本体1内の固定フレームに設けられた一対の支持部材100aと100bに回転可能に支持され、印刷済み用紙4Pの排出方向に直交する幅方向に平行に配設されている。
【0062】
下排出ローラ19の回転軸191には、その軸線方向の中央に対して図6で左右対称な位置に少なくとも2個の下排出コロ192と、その各下排出コロ192を挟んで両側に所定の間隔を置いてそれぞれ一対ずつの腰付け用コロ193,194を設けている。
そして、腰付け用コロ193と194の径は同等であるが、下排出コロ192の径はそれより小さい。これらの各下排出コロ192及び腰付け用コロ193,194は、回転軸191と一体に回転するが、その軸線方向には移動(スライド)及び固定可能に、例えばスプライン嵌合と強めのクリック機構やつまみネジ機構等によって装着されている。
【0063】
一方、上排出ローラ20の回転軸201には、その軸線方向の中央に対して図6で左右対称で下排出コロ192と対応する位置に、少なくとも2個の上排出コロ202が設けられている。そして、この上排出ローラ20の上排出コロ202と下排出ローラ19の下排出コロ192とによって搬送ニップを形成する。
【0064】
上排出コロ202は下排出ローラ19の腰付け用コロ193,194と同等の径を有し、これらの各コロの半径は、一対の回転軸191と201の間隔の1/2より大きく、上排出コロ202と腰付け用コロ193,194とが、回転軸191と201に交互にその軸線方向の位置をずらして、径方向に一部重なり合うように設けられている。
【0065】
そして、下排出コロ192が、図示していない駆動機構によって図5の矢示E方向に回転駆動されると、上排出コロ202が矢示F方向に従動回転する。印刷済み用紙4Pがその下排出コロ192と上排出コロ202によって挟持されて搬送され、矢示B方向へ排出される。
このとき、上排出コロ202と腰付け用コロ193,194とによって、印刷済み用紙4Pを幅方向に波状に曲げて腰付けし、剛性を高めながら排出する。
【0066】
これは印刷済み用紙4Pをガイド兼押さえ部材30の押さえ力に抗して搬送するためには、用紙の搬送方向の剛性を大きくすることが必要になるためである。
このように印刷済み用紙4Pに腰付けをすることによって、印刷済み用紙4Pは垂れ下がりを起こすことなく、用紙積載台21上に確実に排出される。
【0067】
また、上排出コロ202は、回転軸201の軸線方向に移動(スライド)させて用紙サイズに応じて最適な位置に調整して固定でき、排紙積載装置3の各サイドフェンス28の内面からの距離Mを最適に調整することができる。図6においてHは、用紙幅に応じた一対のサイドフェンス28の内面間の距離である。
下排出コロ192及び腰付け用コロ193,194も、前述したように回転軸191の軸線方向にスライドさせて用紙サイズに応じて最適な位置に調整して固定できる。
【0068】
これらの構成及び機能は、図2に示した下排出ローラ19と上排出ローラ20も同じである。
この第2の実施形態においては、その上排出ローラ20の画像形成装置本体1内に固設された一対の支持部材100aと100bに回転可能に支持された回転軸201の軸線方向の中央部に、ガイド兼押さえ部材30の基端部30aを相対回転可能に保持させ、ガイド兼押さえ部材30を揺動可能に軸支させている。したがって、この実施形態では、ガイド兼押さえ部材30を軸支するための軸を別に設ける必要がなくなる。
【0069】
この場合は、下排出ローラ19と上排出ローラ20によって新たに排出される印刷済み用紙4Pの上面が、ガイド兼押さえ部材30の直線状エッジ30cの部分30bと用紙の排出方向に沿う線接触しながらガイドされて、用紙積載台21上に排出される。しかし、その接触面積が極めて小さいため、印刷済み用紙4Pが画像面を上向きにして排出された場合でも、未定着のインクが擦られて汚れたり、そのインクがガイド兼押さえ部材30に転写し、それが紙面に再転写されたりして画質が劣化することが大幅に低減する。
その他の構成及びその変更例等も、前述した第1の実施形態と同じである。
【0070】
〔画像形成装置の第3の実施形態〕
次に、この発明による画像形成装置の第3の実施形態を、図7〜図9によって説明する。図7は、この発明による画像形成装置の第3の実施形態の図2と同様な図であり、図8は、同じくその排出ローラ対を省略して上方から見た平面図である。図9は、押し付け解除部材を設けた一例を示す要部斜視図である。これらの図においても、図1〜図6と対応する部分には同一の符号を付してあり、それらの説明は省略する。
【0071】
この第3の実施形態において前述した第1の実施形態と相違するのは、ガイド兼押さえ部材の構成だけである。
この実施形態におけるガイド兼押さえ部材40は、図7及び図8に示すように、基端部41aが画像形成装置本体1に設けられた軸32に相対回転可能に軸支されたアーム状部材41と、そのアーム状部材41の先端部41bに印刷済み用紙4Pの排出方向に直交する方向の軸43によって回転自在に軸支された円板状部材45とからなる。その円板状部材45は、外周に沿って先端が先鋭な多数の突起45aが放射状に形成されており、その突起45aの先端が印刷済み用紙4Pの上面と点接触するように拍車形状に構成されている。アーム状部材41の基端部41aは別体の保持部材を固着してもよい。
【0072】
このガイド兼押さえ部材40も自重によって図7の矢示C方向に付勢されているが、印刷済み用紙4Pが下排出ローラ19と上排出ローラ20によって腰付けされて剛性を与えられながら図8の矢示G方向に排出されると、その上面と円板状部材45の突起45aとが接触して、幾分押し上げられて図7に矢印Dで示す方向に連れ回りしながら、その印刷済み用紙4Pを用紙積載台21の載置面21a上へ案内する。
【0073】
このとき、印刷済み用紙4Pが画像面を上向きにして排出されその画像のインクが未定着であった場合でも、ガイド兼押さえ部材40と印刷済み用紙4Pの上面との接触は点接触であり、しかも円板状部材45が印刷済み用紙4Pの移動に応じて連れ回りするので、紙面を擦ることがないから、インクが転写するのを大幅に低減でき、こすれ汚れは発生しない。したがって、このガイド兼押さえ部材40は、前述した各実施形態におけるガイド兼押さえ部材30よりも画像品質を保つために有利である。図1に示したガイド兼押さえ部材31に代えて、ガイド兼押さえ部材40と同様なガイド兼押さえ部材をエンドフェンスの内側にも設けるとよい。
【0074】
また、ガイド兼押さえ部材40は軸32の軸線方向(図8の矢示J方向)にスライド可能になっているため、印刷済み用紙4Pの幅方向の最適な位置を押さえられるように、その位置を変更することができる。
さらに、このガイド兼押さえ部材40を用紙幅方向に複数個設けてもよい。複数個設けることによって、第1の実施形態で説明したように、印刷済み用紙4Pのカール形状に応じて適切な位置を押さえることができる。
【0075】
また、図4によって前述したように、用紙積載台21を印刷済み用紙4Pの積載枚数の増加に応じて下降させるようにすれば、ガイド兼押さえ部材40の押さえ位置、角度、および押し付け力を常に一定に維持することができる。
なお、拍車形状の円板状部材45に代えて、外周面に砥粒を付着させた砥粒ローラや、ローレットを形成したローレットローラなどを用いても、印刷済み用紙4Pの上面との接触を点接触に近い状態にすることができる。
【0076】
図9は、ガイド兼押さえ部材40の押し付けを解除する押し付け解除部材の一例を示す。ガイド兼押さえ部材40を揺動可能に軸支する軸32に、その径方向に張り出して軸線方向に平行に延びる押し付け解除部材37を、ガイド兼押さえ部材40のアーム状部材41の下側に固設し、軸32の一端部に解除つまみ38を固着している。
【0077】
このようにすれば、解除つまみ38を図9の矢示K方向に手動で回転させると、軸32とそれに固定されている押し付け解除部材37が一体に矢示K方向に回転する。ガイド兼押さえ部材40は軸32の回転によっては回転しないが、押し付け解除部材37が回転によってアーム状部材41の下面に当接し、その回転方向にガイド兼押さえ部材40を持ち上げる。したがって、ガイド兼押さえ部材40を、用紙積載台21の載置面21a上に排出されて積載された印刷済み用紙4Pの上面を押し付けない位置に回動させることができる。それによって、排紙終了後、用紙積載台21上に積載された用紙を取り出し易くなる。なお、押し付け解除位置で軸32が回転しないように保持するクリックあるいはロック機構を設けるとよい。
【0078】
この解除機構は、手動で軸32を回転させてガイド兼押さえ部材40の解除操作を行う例で説明したが、解除つまみに代えて軸32に歯車又はプーリを固設して、歯車伝動機構又はベルト伝動機構を介してモータによって軸32を回転させて、解除動作を行なえるようにしてもよい。
【0079】
また、図1に示したガイド兼押さえ部材31又はそれに代わるガイド兼押さえ部材40と同様なガイド兼押さえ部材をエンドフェンス29に設けた場合には、エンドフェンス29に支持されてガイド兼押さえ部材を軸支する軸34にも、図9に示したのと同様な押し付け解除部材37と解除つまみ38を設け、用紙積載台21上に排出されて積載された印刷済み用紙4Pの先端側の押し付けも解除できるようにするとよい。
【0080】
〔排紙積載装置の第1の実施形態〕
これまでの各実施形態は、印刷済み用紙の後端側を押さえるガイド兼押さえ部材を画像形成装置本体側の軸によって支持しており、用紙積載台等が画像形成装置の一部として画像形成装置本体に組み付けられていた。
以後は、画像形成装置本体とは独立して構成したこの発明による排紙積載装置の実施形態について説明する。
【0081】
まず、その第1の実施形態を図10〜図12によって説明する。図10はその排紙積載装置の後半部を排出ローラ対と共に示す図7と同様な図である。図11はその平面図、図12はその印刷済み用紙排出方向の下流側から排紙積載装置のみを、エンドフェンスを取り外して見た図である。これらの図においても、図1〜図9と対応する部分には同一の符号を付してあり、それらの説明は省略する。
【0082】
この排紙積載装置3におけるガイド兼押さえ部材40は、図7〜図9によって説明したガイド兼押さえ部材40よりアーム状部材41の長さが幾分短いが、アーム状部材41とその先端部に軸43によって回転自在に軸支された拍車形状の円板状部材45とからなり、実質的に同じ構成であるから、便宜上同じ符号を使用する。但し、この実施形態のガイド兼押さえ部材40は、そのアーム状部材41の基端部41a(保持部材でもよい)が、サイドフェンス28の内面側に用紙排出方向に直交する方向に突設された軸42に相対回転可能に軸支されて、揺動可能に支持されている。
【0083】
この実施形態では、図11に明示するように、一対のサイドフェンス28の内面側の対向する位置に、ガイド兼押さえ部材40を用紙排出方向に間隔を置いて2個づつ、用紙幅方向に対称的に、それぞれ軸42によって揺動可能に支持して設けている。
この排紙積載装置3を使用すれば、画像形成装置本体側の下排出ローラ19と上排出ローラ20とによって、腰付けされて剛性を付与されて排出させる印刷済み用紙4Pを、両側部と先端側及び後端側で案内し、且つ用紙積載台21の載置面の方向に押さえることができる。その各ガイド兼押さえ部材40の機能は、前述の実施形態と同じである。
【0084】
各ガイド兼押さえ部材40はいずれもサイドフェンス28に取り付けられ、その内面から円板状部材45までが所定距離に保持されているので、図11及び図12に示すように、印刷済み用紙4Pの幅方向の両側端から最適な距離Lを保つことができる。
これによって、図12に示すように、印刷済み用紙4Pの幅方向の両側端部付近に発生するカールを押さえるために、用紙の側端から最適の距離Lの位置で用紙を押さえることができ、カール抑制に効果的である。
【0085】
サイドフェンス28は用紙サイズに応じて、図11に両方向矢印で示すように移動させるので、それに伴って各ガイド兼押さえ部材40も移動する。そのため、用紙サイズが異なっても、各ガイド兼押さえ部材40によって常に用紙側端から所定距離Lの位置で、印刷済み用紙4Pの上面を押さえることができる。
【0086】
さらに、各ガイド兼押さえ部材40を軸支する軸42を、サイドフェンス28に対して、その軸線方向にスライド可能に設け、サイドフェンス28の内面から各ガイド兼押さえ部材40の円板状部材45までの距離を可変調整できるようにしてもよい。それによって、用紙の厚さやカール状態に応じて最適な位置を押さえられるように、各ガイド兼押さえ部材40の位置を調整することができる。
【0087】
この実施形態では、各サイドフェンス28に2個ずつガイド兼押さえ部材40を取り付けた例を示したが、最低限いずれか一方のサイドフェンス28に1個の各ガイド兼押さえ部材40を取り付けるか、一対のサイドフェンス28に1個ずつガイド兼押さえ部材40を取り付けてもよい。あるいは3組以上のガイド兼押さえ部材40を設けてもよい。
このように、ガイド兼押さえ部材40を一対のサイドフェンス28の内面側に対称的に複数個設けることによって、ガイド兼押さえ部材40が印刷済み用紙4Pの排出搬送をガイドしながら、カールすることを防止するように上方から押さえる効果がより増すことになる。
【0088】
また、この排紙積載装置3を画像形成装置本体に装着して使用する際に、図4によって説明したように、排紙積載台21上に積載された印刷済み用紙4Pの枚数の増加に応じて、用紙積載台21を下降させるようにすれば、ガイド兼押さえ部材40による押さえ位置、角度、および押し付け力を、常に一定に維持することができる。
【0089】
用紙積載台21上に積載された印刷済み用紙4Pの取り出しは、エンドフェンス29を倒してエンドフェンス29側から引き出すようにすれば、ガイド兼押さえ部材40が邪魔にならずに容易に取り出しができる。その際、各ガイド兼押さえ部材40は自然に上方に逃げるので、取り出しの邪魔をしない。
なお、各ガイド兼押さえ部材40を支持する軸42を、エンドフェンス29の外側にも突出させて回転可能に設け、図9に示した軸32と同様に押し付け解除部材37と解除つまみ38を固設して、解除機構を備えるようにしてもよい。
【0090】
〔排紙積載装置の第2の実施形態〕
次に、この発明による排紙積載装置の第2の実施形態を図13によって説明する。図13はその排紙積載装置の印刷済み用紙排出方向の下流側半部を示す図である。この図13においても、これまでの各図と対応する部分には同一の符号を付してあり、それらの説明は省略する。
【0091】
この排紙積載装置3′は、エンドフェンス29の内面から印刷済み用紙4Pの排出方向の上流側へ、用紙積載台21の載置面21aに平行に支持部材46を延設している。その支持部材46にガイド兼押さえ部材40のアーム状部材41の基端部41aが、軸47によって揺動可能に軸支されている。そのガイド兼押さえ部材40は、図7によって説明したものと同様に、アーム状部材41の先端部41bに軸43によって拍車状の円板状部材45を回転自在に軸支している。
【0092】
そのガイド兼押さえ部材40は軽量であり、用紙積載台21上に排出されてきた印刷済み用紙4Pは、ガイド兼押さえ部材40の下側に滑り込むように搬送されて、スタックされる。その際、ガイド兼押さえ部材40の円板状部材45と印刷済み用紙4Pの上面とは点接触し、円板状部材45は矢示方向に連れ回りする。そして、ガイド兼押さえ部材40の自重によって、印刷済み用紙4Pの先端部を載置面21a方向に押さえる。
ガイド兼押さえ部材40は揺動可能であるため、用紙積載台21上の印刷済み用紙4Pの枚数の影響を受けずに自重による押し付けが可能である。
【0093】
この排紙積載装置3′は、ガイド兼押さえ部材40をエンドフェンス29によって、その内面から一定距離の位置で支持している。これは搬送方向と直行に発生する縦方向カールを押さえるためには、積載される印刷済み用紙4Pの先端から所定の距離Nの位置で用紙を押さえるのが効果的なためである。エンドフェンス29は印刷済み用紙4Pの排出方向のサイズに応じて、図13に両方向矢印で示すように移動させるが、それに伴ってガイド兼押さえ部材40も移動するので、用紙サイズが異なっても常に用紙先端から所定の距離Nを保って、印刷済み用紙4Pの上面を押さえることができる。
【0094】
また、この排紙積載装置3′を画像形成装置本体に装着して使用する際に、図4によって説明したように、用紙積載台21上に積載された印刷済み用紙4Pの枚数の増加に応じて、用紙積載台21を下降させるようにすれば、ガイド兼押さえ部材40による押さえ位置、角度、および押し付け力を、常に一定に維持することができる。
【0095】
さらに、エンドフェンス29の内面から一対の支持部材46を用紙幅方向に間隔をあけて平行に延設し、その一対の支持部材46の間に軸47を支持し、その軸にガイド兼押さえ部材40のアーム状部材41の基端部41aを軸線方向にスライド可能に軸支させるようにするとよい。そうすれば、ガイド兼押さえ部材40の位置を用紙幅方向に移動させて、印刷済み用紙4Pの最適な位置を押さえられるように位置調整することができる。それにより、用紙サイズや用紙のカール状態に応じた押さえ効果を発揮できる。
【0096】
また、ガイド兼押さえ部材40を用紙幅方向に間隔を置いて複数個設けてもよい。
さらに、図10〜図12によって前述した実施形態のサイドフェンス28の内面側に取り付けたガイド兼押さえ部材40を、用紙排出方向の上流側に設けるとよい。軸47にも、押し付け解除部材と解除つまみを固設してもよい。
【0097】
〔排紙積載装置の第3の実施形態〕
この発明による排紙積載装置の第3の実施形態を図14によって説明する。図14は、この発明による排紙積載装置の第3の実施形態を手前側のサイドフェンスを取り外して見た図である。この図14においても、これまでの各図と対応する部分には同一の符号を付してあり、それらの説明は省略する。
【0098】
この排紙積載装置3″は、一対のサイドフェンス28の上面に複数の突起部281を、エンドフェンス29の上面にも1個以上の突起部291をそれぞれ設けている。一方、板状部材48下面のサイドフェンス28及びエンドフェンス29との接触部には、各突起部281,291を差し込み可能な穴を設けている。そして、各突起部281,291と板状部材48の穴とを嵌合させることによって、板状部材48はサイドフェンス28及びエンドフェンス29上に、用紙積載台21の載置面21aと平行に、着脱可能に取り付けることができる。
【0099】
この板状部材48の下面側に、複数の軸52を印刷済み用紙4Pの排出方向に直交する紙幅方向に平行に支持し、その各軸52に、ガイド兼押さえ部材40のアーム状部材41の基端部41aを相対回転自在に軸支させて、各ガイド兼押さえ部材40を揺動可能に支持している。ガイド兼押さえ部材40の数は2個に限るものではなく、1個でもよいし3個以上でもよい。
【0100】
この実施形態では、各ガイド兼押さえ部材40を支持する板状部材48がサイドフェンス28とエンドフェンス29に保持されているので、用紙先端部側のガイド兼押さえ部材40が用紙の先端から所定の距離Nの位置を押さえるように取り付けられている。また各ガイド兼押さえ部材40は、図12に示したように用紙の側端から最適な距離Lの位置を押さえるように取り付けられている。
【0101】
板状部材48を一方のサイドフェンス28のみによって保持させるか、あるは一対のサイドフェンス28に個別の板状部材48を保持させるようにすれば、用紙の幅方向のサイズに応じてサイドフェンス28を移動させることができ、それに伴って板状部材48に支持されたガイド兼押さえ部材40も移動するので、用紙サイズが変わっても、常に用紙の側端から最適な距離Lの位置を押さえることができる。
【0102】
また、板状部材48をエンドフェンス29のみによって保持させるようにすれば、用紙の排出方向のサイズに応じてエンドフェンス29を移動させることができ、それに伴って板状部材48に支持されたガイド兼押さえ部材40も移動するので、用紙サイズが変わっても、常に用紙の先端から所定の距離Nの位置を押さえることができる。
【0103】
板状部材48は、サイドフェンス28及びエンドフェンス29又はその一方に着脱可能に装着されるので、排紙積載終了後に、板状部材48を取り外すことができ、それによって全てのガイド兼押さえ部材40が用紙積載台21上から除去されるので、用紙積載台21上に積載された印刷済み用紙の取り出しが容易になる。
【0104】
〔画像形成装置の実施形態〕
図1に示した画像形成装置本体1のように、用紙に画像を形成する画像形成部とその画像形成部によって画像が形成された印刷済み用紙を搬送して排出する搬送排出部とを有する画像形成装置本体と、その搬送排出部によって順次排出される印刷済み用紙を積載するための排紙積載装置として、上述した第1〜第3の実施形態のいずれかの排紙積載装置とを備えた画像形成装置を構成することができる。
【0105】
その排紙積載装置は、各実施形態の構成や、画像形成装置の第1〜第3の実施形態で説明した構成を組合せたり、変更して構成することもできる。
画像形成装置本体も、図1に示したものに限るものではなく、インクジェット式画像形成装置の場合でも、画像形成部に4色のライン型インクジェットヘッドを設けたフルカラーの画像形成用ヘッドユニットに限らず、シリアル型インクジェットヘッドを設けたフルカラーの画像形成部を備えてもよいし、ライン型又はシリアル型の2色あるいは単色のインクジェットヘッドを設けた画像形成部を備えてもよい。
さらに、他の液状記録剤を使用して画像を形成する画像形成装置、例えば孔版印刷などに適用しても有効である。
【産業上の利用可能性】
【0106】
この発明は、インク等の液状記録剤を用いて用紙に画像を形成する画像形成装置に該当する、プリンタ、プロッタ、印刷装置、複写装置、デジタル複合機、ファクシミリ装置等の各種画像形成装置に適用でき、特にインクジェット式画像形成装置や孔版印刷装置に好適であり、高速印刷が可能なライン型インクジェット式画像形成装置にも適用することができる。
【符号の説明】
【0107】
1:画像形成装置本体 2:画像形成用ヘッドユニット
3,3′,3″:排紙積載装置 4:用紙 4P:印刷済み用紙
5,6:搬送ローラ対 7:無端広幅ベルト 12:エアー吸引ダクト
17,18:搬送ローラ対 19:排出ローラ対の下排出ローラ
20:排出ローラ対の上排出ローラ 21:用紙積載台 21a:載置面
22,27:経路切替爪部材 23,24:第1反転ローラ対
25,26:第2反転ローラ対 28:サイドフェンス 29:エンドフェンス
30,31:ガイド兼押さえ部材 30a,31a:基端部
30b,31b:印刷済み用紙の上面と接触する部分 30c:直線状エッジ
32,34:軸 33,35:用紙先端検知センサ 37:押し付け解除部材
38:解除つまみ 40:ガイド兼押さえ部材 41:アーム状部材
41a:基端部 41b:先端部 42,43:軸 45:円板状部材
45a:突起 46:支持部材 47:軸 48:板状部材
100a,100b:支持部材 191:下排出ローラの回転軸
192:下排出コロ 193,194:腰付け用コロ
201:上排出ローラの回転軸 202:上排出コロ
281,291:突起部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0108】
【特許文献1】特開2005−350182号公報
【特許文献2】特開平11−79519号公報
【特許文献3】特開2002−20024号公報
【技術分野】
【0001】
この発明は、プリンタ、プロッタ、印刷装置、複写装置、デジタル複合機、ファクシミリ装置等の各種画像形成装置、特にインクジェット式画像形成装置と、その印刷済み用紙を積載する排紙積載装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上述のような各種の画像形成装置には、その画像形成部(手段)における画像形成方法により、電子写真方式、ワイヤドット方式、インクジェット方式、感熱方式、熱転写方式、孔版印刷方式等、各種の方式のものがある。
いずれの場合にも、一般に用紙(記録媒体)を画像形成部へ供給し、そこで文字や写真又は図形等の画像を形成した後、その記録媒体を搬送して機外へ排出する。
【0003】
そのうち、インクジェット式画像形成装置は、インクジェットヘッドを用いて水性インクを用紙の表面に吐出させて画像を形成する。そして、カラー印刷が可能なインクジェット式画像形成装置として、従来低価格な装置では、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、及びブラック(K)の各色のインクを1ドット分ずつ吐出するシリアル型インクジェットヘッドを用紙の搬送方向に直交する方向(主走査方向)に並べて設け、それを主走査方向移動させながら、副走査方向に搬送される用紙に画像を形成するシリアル型インクジェット式画像形成部を備えた、シリアル型インクジェット式画像形成装置が主に使用されていた。
【0004】
しかし、近年では高速化に対応するために、主走査方向の全長に対応する長さを有し、1ライン分の画像を同時に形成できるライン型インクジェットヘッドを色数分だけ用紙の搬送方向(副走査方向)に並べて固定して設けた、ライン型インクジェット式画像形成部を備えた、ライン型インクジェット式画像形成装置が多用されるようになってきた。
このライン型インクジェット式画像形成装置は、シリアル型インクジェット式画像形成装置に比べて印刷速度を圧倒的に高速化できるが、同時にいくつかの重要な課題も有している。
【0005】
その一つが水性インクを用いることにより、画像形成後の印刷物にカールが発生してしまうことである。すなわち、用紙の画像面がインクの水分によって膨張して伸びるためにカールが起こる。
従来のシリアル型インクジェット式画像形成装置の場合には、低速なので画像形成をしながら印刷済み用紙を水平状態に保持して所定時間保持する効果によって、カールの成長をある程度抑えてその後に排出することが可能であった。
しかし、ライン型インクジェット式画像形成装置の場合には、高速搬送・高速排出のために、短時間で次々と排紙トレイ上に印刷済み用紙が排出積載されてしまうので、どんどんカールが進行することになる。
【0006】
水性インクを用いたライン型インクジェット式画像形成装置で、従来の排紙積載装置を用いた場合に、印刷済み用紙がどのような積載状態になるかを、図15と図16に略図で示す。画像面が下の場合が図15であり、画像面が上の場合が図16である。そのいずれの場合も、(a)は搬送方向に直交する側方から見た場合、(b)は搬送方向の上流側から見た場合を示している。
これらの図において、50は排出ローラ対(排紙ローラ対)、60は排紙トレイ、61a,61bは左右のサイドフェンス、62はエンドフェンス、70は印刷済み用紙である。
【0007】
このように画像面によって印刷済み用紙70のカール方向は決まってしまうが、排紙トレイ60上で印刷済み用紙70がカールすることによって、積載された用紙の周辺部又は中央部が異常に高くなってしまい、そこに次の印刷済み用紙70がぶつかってジャムになってしまう。
つまり、排紙トレイ60上に印刷済み用紙70を充分な枚数だけ積載する前に、積載された印刷済み用紙のカールが成長して、次の印刷済み用紙の排出を邪魔するために排紙ジャムになってしまうことになる。
【0008】
インクジェット式画像形成装置において、排紙トレイ上に排出される印刷済み用紙のカールを抑えることに関する従来技術は見当らないが、一般的な画像形成装置において排紙された用紙(シート)を押さえる技術としては、特許文献1〜3に記載されているようなものがある。
【0009】
特許文献1には、カールした排出紙の後端が、画像形成装置のシート排出口を塞がないように、排紙トレイ上に排出された用紙の後端部を後端押さえ部材で押さえると共に、その用紙の上面先端をシート先端ガイドによって案内して、整然と排紙トレイ上に用紙を積載することが開示されている。
【0010】
また、特許文献2には、画像形成されたシートが急勾配に立ち上がったシート載置台に排出される画像形成装置において、排出ローラ対によって排出されたシートの後端部近くを、可撓性を有するシート押さえ部材によってシート載置台に押さえ付けて保持することが開示されている。
【0011】
さらに、特許文献3には、印刷済み用紙が排紙ローラ対によってスタックテーブル上に排出された後、弾性部材によって構成されて用紙幅方向に複数個配置された搬送力伝達部(パドル)によって、ストッパに突き当たるまで搬送されるようにした排紙装置と、その搬送力伝達部の改良構造が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
これらの特許文献に開示されているものは、画像形成装置によって画像が形成された印刷済み用紙(シート)が排紙トレイに相当する部材上に排出された後、その積載された用紙を上から押さえる機能を有するので、用紙の端部あるいは中央部のカール押さえ効果もないとはいえない。
【0013】
しかし、特許文献1に記載のものは、後端押さえ部材が排紙トレイ上に排出された用紙の後端部を押さえるだけであり、積載された用紙の排出方向の中間部や先端部のカールを抑えることはできない。また、シート先端ガイドは排出される用紙の先端をガイドするだけで、積載された用紙を押さえる機能はない。したがって、これらによっては、排紙トレイ上に積載された用紙のカールを抑制する効果は殆ど期待できない。
【0014】
特許文献2に記載されたものは、シート載置台に排出されたシートを一旦取り出した後再び載置台に戻しても、シートの積載順の狂いやジャムが発生しないようにすることを、意図しており、これも排出されたシートの後端部近くをシート押さえ部材によってシート載置台に押さえ付けて保持するだけであるから、シート載置台上に積載されたシートの排出方向の中間部や先端部のカールを抑えることはできない。
【0015】
また、これらの後端押さえ部材やシート押さえ部材は、いずれも用紙(シート)の排出方向に直交する方向にある程度の幅を有する帯状の部材をV字状に折り曲げた折曲部、あるいは曲げずにストレートな帯状部材の先端エッジ部で、排出される用紙の上面を押さえている。
【0016】
ところが、水性インクや油性インク等の液状記録剤(一般に「インク」という)によって画像が形成された用紙が画像面を上向きに排出される場合、図16に示したように用紙が上向きの凸状にカールし、且つ上面の画像のインクが充分乾いていない状態で排出されることになる。
【0017】
したがって、このような印刷済み用紙が排紙トレイ上に積載された場合のカールを抑制するには、用紙の排出方向の中間部を載置面に押し付けることが必要であるが、前述の従来装置ではそれを期待できない。
また、上述したように、排紙トレイ上排出される途中の用紙の上面を、排出方向に直交する方向に幅を有する帯状の押さえ部材が線接触して押さえるため、その用紙の上面の画像が完全に乾いておらず未定着であると、それを擦って紙面を汚してしまい、さらにその押さえ部材に転写したインクが紙面に再転写して、画像品質を損なう恐れがある。
【0018】
特許文献3には、スタックテーブル上に排出された用紙をパドルで抑えるような図が見られるが、そのパドルはゴム等の弾性部材で構成され、用紙を搬送するための搬送力伝達部材であるから、当然その搬送方向に直交する方向に幅を有しており、用紙の上面と摩擦接触して回転するものである。そのため上述と同様に、排出された用紙の上面の画像が完全に乾いておらず未定着であると、それをパドルで擦って紙面を汚してしまい、さらにそのパドルに転写したインクが紙面に再転写して、画像品質を損なうことになる。
【0019】
この発明は、このような現状に鑑みてなされたものであり、画像形成装置における印刷済み用紙が、順次排出されて用紙積載台の載置面上に積載される際に、カールしながら排出される印刷済み用紙を確実に載置面上に案内するとともに、載置面上において印刷済み用紙のカールが進行するのを抑え、且つその用紙の画像面が上向きで画像の記録剤が完全に定着されていなかった場合でも画像品質の劣化が生じないようにし、積載された用紙をユーザが取り出した時に殆どカールが無く、画像品質も良好な状態にすることを目的とする。そのための画像形成装置と排紙積載装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0020】
この発明による画像形成装置は上記の目的を達成するため、順次給送される用紙に液状記録剤によって画像を形成する画像形成部と、その画像形成部で画像が形成された印刷済み用紙を搬送して排出する搬送排出部と、その搬送排出部によって排出される印刷済み用紙を積載する用紙積載台と、その用紙積載台上に積載された用紙の上面を該用紙積載台の載置面に向けて押し付けながら新たに排出される印刷済み用紙を案内するガイド兼押さえ部材とを備えている。
そして、そのガイド兼押さえ部材は、印刷済み用紙を押し付ける方向に揺動可能に支持され、印刷済み用紙の上面と接触する部分が、該用紙の上面と該用紙の排出方向に沿う線接触又は点接触する形状を有する。
【0021】
上記ガイド兼押さえ部材は、基端部が装置本体の固定部に軸支されたアーム状部材であって、そのアーム状部材の下縁が印刷済み用紙の排出方向に平行な直線状エッジに形成されており、そのエッジの先端部が印刷済み用紙の上面と該用紙の排出方向に沿う線接触又は点接触するように構成することができる。
【0022】
あるいは、上記ガイド兼押さえ部材は、基端部が装置本体の固定部に軸支されたアーム状部材と、そのアーム状部材の先端部に印刷済み用紙の排出方向に直交する方向の軸によって回転自在に軸支された円板状部材とからなり、その円板状部材の外周に沿って先端が先鋭な多数の突起が放射状に形成されており、その突起の先端が印刷済み用紙の上面と点接触するように構成するとなおよい。
【0023】
上記搬送排出部は、画像が形成された印刷済み用紙を腰付けしながら上記用紙積載台へ排出する排出ローラ対を備えており、上記ガイド兼押さえ部材は、その排出ローラ対の上側の排出ローラの装置本体に支持された回転軸によって揺動可能に軸支されるようにしてもよい。
【0024】
上記用紙積載台が、その用紙積載台上に積載された印刷済み用紙の枚数の増加に応じて下降するようにするとよい。
これらの画像形成装置において、上記ガイド兼押さえ部材を、上記用紙積載台上に排出されて積載された印刷済み用紙の上面を押し付けない位置に回動させる押し付け解除部材を設けてもよい。
【0025】
この発明による排紙積載装置は、画像形成装置から印刷済み用紙が順次排出されて積載される排紙積載装置であって、上記の目的を達成するため、次のように構成したものである。
上記印刷済み用紙の下面を受ける載置面を有する用紙積載台と、その印刷済み用紙のそれが排出される方向と直交する幅方向の両端部をガイドする一対のサイドフェンスとを備え、その一対のサイドフェンスは用紙サイズに応じて上記幅方向に移動可能であり、その一対のサイドフェンスのそれぞれ対向する内面側に、上記載置面上に排出されて積載された印刷済み用紙の上面を上記載置面に向けて押し付けながら新たに排出される印刷済み用紙を案内するガイド兼押さえ部材を、該用紙を押し付ける方向に揺動可能に軸支して設ける。そのガイド兼押さえ部材は、上記印刷済み用紙の上面と接触する部分が、該用紙の上面と該用紙の排出方向に沿う線接触又は点接触する形状を有する。
【0026】
上記ガイド兼押さえ部材を、上記一対のサイドフェンスのそれぞれ対向する内面側に、上記印刷済み用紙の排出方向に間隔を置いて複数対設けるのが望ましい。
上記ガイド兼押さえ部材は、基端部が上記サイドフェンスに軸支されたアーム状の部材と、その部材の先端部に印刷済み用紙の排出方向に直交する方向の軸によって回転自在に軸支された円板状部材とからなり、その円板状部材の外周に沿って先端が先鋭な多数の突起が放射状に形成されており、その突起の先端が上記印刷済み用紙の上面と点接触するように構成するとよい。
【0027】
この発明による排紙積載装置はまた、上記用紙積載台に排出される印刷済み用紙の先端を当接させて該用紙を停止させるエンドフェンスを備え、そのエンドフェンスは用紙サイズに応じて上記印刷済み用紙の排出方向に移動可能であり、そのエンドフェンスの内面側に、上記用紙積載台の載置面上に排出されて積載された印刷済み用紙の上面を載置面に向けて押し付けながら、新たに排出される印刷済み用紙を案内するガイド兼押さえ部材を、該用紙を押し付ける方向に揺動可能に軸支して設けてもよい。
そのガイド兼押さえ部材は、上記印刷済み用紙の上面と接触する部分が、該用紙の上面と該用紙の排出方向に沿う線接触又は点接触する形状を有する。
【0028】
上記ガイド兼押さえ部材は、上記エンドフェンスから印刷済み用紙の排出方向の上流側へ延設した支持部材に基端部が軸支されていてもよい。
上記ガイド兼押さえ部材は、上記支持部材に基端部が軸支されたアーム状部材と、そのアーム状部材の先端部に印刷済み用紙の排出方向に直交する方向の軸によって回転自在に軸支された円板状部材とからなり、その円板状部材の外周に沿って先端が先鋭な多数の突起が放射状に形成されており、その突起の先端が上記印刷済み用紙の上面と点接触するように構成するとなおよい。
【0029】
これらの排紙積載装置において、上記ガイド兼押さえ部材を、上記用紙積載台上に排出されて積載された印刷済み用紙の上面を押し付けない位置に回動させる押し付け解除部材を設けてもよい。
上記ガイド兼押さえ部材を、上記サイドフェンスとエンドフェンスの少なくとも一方に対して着脱可能に取り付けられた板状部材に設けることもできる。
【0030】
この発明による画像形成装置はまた、用紙に画像を形成する画像形成部と該画像形成部によって画像が形成された印刷済み用紙を搬送して排出する搬送排出部とを有する画像形成装置本体と、上記搬送排出部によって順次排出される印刷済み用紙を積載するための上記いずれかの排紙積載装置とを備えたものでもよい。
上記画像形成部が、1個以上のインクジェットヘッドを備えたインクジェットヘッド方式の画像形成部であることができる。
上記インクジェットヘッドが、ライン型インクジェットヘッドであってもよい。
【0031】
なお、上記「用紙」とは、普通紙、記録紙、記録シート、転写紙などを含んでいる。また、紙に限るものではなく、樹脂等のシートやフィルム、布、皮革など、インク等の液状記録剤によって画像を形成できるシート状のものも含む。
上記「印刷」とは、画像形成、記録、印字、印写、描画等を含み、インク等の液状記録剤による用紙上への文字や写真、図形等の形成をいう。
【発明の効果】
【0032】
この発明による画像形成装置及び排紙積載装置は、画像が形成された印刷済み用紙が順次排紙されて積載される際に、その用紙の上面をガイド兼押さえ部材によって上方から載置面に向けて押圧しながら、新たに排出される印刷済み用紙を案内することができる。しかも、そのガイド兼押さえ部材と用紙の上面との接触は殆ど点接触となる。
それによって、載置面上に載置された印刷済み用紙のカールが抑制され、しかもその用紙の画像面が上向きで画像の記録剤が完全に定着されていなかった場合でも、ガイド兼押さえ部材によってその未定着の記録剤が擦られたり再転写されて画像品質が劣化するようなおそれが殆どない。したがって、積載された用紙をユーザが取り出した時に殆どカールが無く、画像品質も良好な状態にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】この発明による画像形成装置の第1の実施形態の主要部を示す概略図である。
【図2】図1における用紙積載台側の印刷済み用紙排出方向の上流側半部を排出ローラ対と共に拡大して示す図である。
【図3】図2において円Xで囲んだガイド兼押さえ部材の先端部付近の拡大図である。
【図4】図2に示す実施形態において用紙積載台が積載された印刷済み用紙の増加に伴って下降する例を示す概略説明図である。
【図5】この発明による画像形成装置の第2の実施形態の図2と同様な図である。
【図6】同じくその用紙排出方向の下流側からエンドフェンスとそれに設けられたガイド兼押さえ部材を取り外して画像形成装置本体側の排出ローラ対を見た概略図である。
【図7】この発明による画像形成装置の第3の実施形態の図2と同様な図である。
【図8】同じくその排出ローラ対を省略して上方から見た平面図である。
【図9】押し付け解除部材を設けた例を示す要部斜視図である。
【0034】
【図10】この発明による排紙積載装置の第1の実施形態を示す図7と同様な図である。
【図11】同じくその平面図である。
【図12】同じくその印刷済み用紙排出方向の下流側から排紙積載装置のみをエンドフェンスを取り外して見た図である。
【図13】この発明による排紙積載装置の第2の実施形態を印刷済み用紙排出方向の下流側半部を示す図である。
【図14】この発明による排紙積載装置の第3の実施形態を手前側のサイドフェンスを取り外して見た図である。
【図15】従来の排紙積載装置を用いた画像面が下の場合の印刷済み用紙の積載状態を示す略図である。
【図16】従来の排紙積載装置を用いた画像面が上の場合の印刷済み用紙の積載状態を示す略図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、この発明を実施するための形態を図面に基づいて具体的に説明する。
〔画像形成装置の第1の実施形態〕
この発明による画像形成装置の第1の実施形態を図1〜図4によって説明する。図1はその画像形成装置の本体側の主要部と用紙積載台側の概略構成を示す図である。
【0036】
この図1に示す画像形成装置は、用紙に画像を形成する画像形成部とその画像形成部によって画像が形成された印刷済み用紙を搬送して排出する搬送排出部とを有する画像形成装置本体1、およびその搬送排出部によって順次排出される印刷済み用紙を積載する用紙積載台21とそれに関連する部分(後述する排紙積載装置3に相当する)とを備えている。
なお、図1では、画像形成装置本体1は、その内部の以下の説明に必要な部分の構成のみを模式的に示しており、用紙積載台21側は手前側のサイドフェンスを除去した状態で示している。
【0037】
画像形成装置本体1内には、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、及びブラック(K)の4色のライン型インクジェットヘッド13〜16を有する画像形成用ヘッドユニット2が、画像形成部のメインユニットとして設けられている。なお、この図では各インクジェットヘッド13〜16におけるインクの乾燥を防止するための部材等は省略している。
そして、図示しない給紙装置から順次給紙される用紙4が搬送ローラ対5,6によって搬送され、さらに無端広幅ベルト7によって画像形成用ヘッドユニット2と対向する画像形成位置へ搬送される。
【0038】
無端広幅ベルト7は、駆動ローラ8と2本の従動ローラ9、10とテンションローラ11に巻きつけられて所定の張力を与えられて、矢印A方向に回動される。
無端広幅ベルト7には多数の孔が形成されており、その孔を通してエアー吸引ダクト12によって空気が吸引されることにより用紙4の裏面を吸着して搬送する。エアー吸引ダクト12は、図示しない吸引用ブロア装置によってエアー吸引力を発生する。
【0039】
画像形成用ヘッドユニット2は、用紙先端検知センサ33による用紙先端の検出時点からタイミングをとって、図示しないヘッド駆動装置によって各色のインクジェットヘッド13〜16を駆動して、用紙4の矢示方向への搬送に伴って、インクジェットヘッド13〜16の各先端のノズルから、それぞれイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、及びブラック(K)の液状記録剤である水性インクを用紙4の表面に順次吐出させて、フルカラーの画像を形成する。その間、無端広幅ベルト7は速度変動がないように駆動され、用紙4を安定して搬送する。
これらによって、インクジェットヘッド方式の画像形成部を構成している。この実施形態では、フルカラーのライン型インクジェットヘッド方式の画像形成部である。
【0040】
画像形成用ヘッドユニット2によって画像が形成された印刷済み用紙4Pは、搬送ローラ対17,18によって搬送され、画像面が上向き積載の場合には、経路切替爪部材22、27がいずれも搬送ローラ対17,18と排出ローラ対19,20間の水平な搬送路より下方の位置に退避しており、そのままストレートに搬送され、排出ローラ対19,20によって腰付けされて排出力を付与され、用紙積載台21の載置面21a上に向けて排出される。なお、印刷済み用紙4Pの画像面側に接触する搬送ローラ18と排出ローラ20は、インク転写汚れ防止のために砥粒ローラ等の点接触ローラにするとよい。
【0041】
一方、画像面が下向き積載の場合には、経路切替爪部材22を点線で示した位置に、経路切替爪部材27を実線で示す位置にそれぞれ移動させる。それによって、搬送ローラ対17,18によって搬送される印刷済み用紙4Pは、経路切替爪部材22にガイドされて上向き方向に搬送され、第1反転ローラ対23,24によって垂直方向に搬送し、その先端が用紙先端検知センサ35によって検知された後、さらに第2反転ローラ対25,26まで搬送されて一時停止される。
【0042】
その後、第1反転ローラ対23,24と第2反転ローラ対25,26を逆転駆動させることによって、印刷済み用紙4Pは下向きに搬送されるが、経路切替爪部材27にガイドされて排出方向に向きを変え、排出ローラ対19,20で腰付けされて排出力を付与され、用紙積載台21上に向けて排出される。
これらによって、画像形成部によって画像が形成された印刷済み用紙を搬送して排出する搬送排出部を構成している。
【0043】
印刷済み用紙4Pを画像面を下向きに積載するのは、ページ順に印刷される印刷済み用紙4Pを積載時にページ順になるようにする場合に必要な積載方法である。
これ以外に、用紙4の両面に印刷をした後に用紙積載台21に排出する場合もあるが、図1ではそのための両面印刷用搬送経路の図示を省略しているので、その説明も省略する。
【0044】
一方、用紙積載台21は排紙トレイとも称され、その載置面21a上に排出される印刷済み用紙4Pの排出方向(矢示B方向)に直交する幅方向の両側端を案内して該方向の位置決めを行う一対のサイドフェンス28(手前側のサイドフェンス28は図示していない)と、用紙積載台21上に排出される印刷済み用紙4Pの先端を当接させてその用紙を停止させ、その排出方向の位置決めを行うエンドフェンス29とが設けられている。
一対のサイドフェンス28は、その間隔寸法を用紙サイズに応じた最適値に調整できるように上記幅方向(図1で紙面に垂直な方向)にスライド可能になっている。エンドフェンス29も同様に、用紙サイズに応じた最適位置に調整できるように用紙の排出方向にスライド可能になっている。
【0045】
図1に示されている30,31は、用紙積載台21上に積載された印刷済み用紙4Pの上面を用紙積載台21の載置面21aに向けて押し付けながら、新たに排出される印刷済み用紙を案内するガイド兼押さえ部材である。
用紙排出方向の上流側のガイド兼押さえ部材30は、装置本体の固定部である例えば画像形成装置本体1の側面に、矢示B方向に直交する方向(紙面に垂直な方向)に取り付けられた軸32に基端部30aが回動自在に軸支され、印刷済み用紙4Pを押し付ける方向に揺動可能に支持されている。このガイド兼押さえ部材30の印刷済み用紙4Pの上面と接触する部分30bは、その用紙の上面と該用紙の排出方向に沿う線接触又は点接触する形状を有する。
【0046】
用紙排出方向の下流側のガイド兼押さえ部材31は、エンドフェンス29の内面に矢示B方向に直交する方向(紙面に垂直な方向)に取り付けられた軸34に基端部31aが回動自在に軸支され、印刷済み用紙4Pを押し付ける方向に揺動可能に支持されている。このガイド兼押さえ部材31の印刷済み用紙4Pの上面と接触する部分31bも、その用紙の上面と該用紙の排出方向に沿う線接触又は点接触する形状を有する。
【0047】
このガイド兼押さえ部材30,31は、共に自重によって印刷済み用紙4Pを用紙積載台21の載置面21aの方向に所定の押し付け力が付勢されるようになっているが、その重さは用紙の搬送を妨げない程度の軽量になっている。しかし、このガイド兼押さえ部材30,31を樹脂等の極めて軽量な材料で形成し、押し付け力が足りない場合には、スプリング等によって付勢力を増加させるようにしてもよい。
なお、この例では、ガイド兼押さえ部材30,31の基端部30a,31aが軸32,34に直接軸支されるように説明したが、軸32,34にそれぞれ相対回転可能に保持部材を設け、その各保持部材にガイド兼押さえ部材30,31の基端部30a,31aを固着するようにしてもよい。
【0048】
これらの構成について、図2から図4によってさらに詳細に説明する。
図2は、図1における用紙積載台側の印刷済み用紙排出方向の上流側半部を排出ローラ対と共に拡大して示す図である。図3は、図2において円Xで囲んだガイド兼押さえ部材の先端部付近の拡大図である。図4は、用紙積載台が積載された印刷済み用紙の増加に伴って下降する例を示す概略説明図である
【0049】
画像形成装置本体1側の排出ローラ対は排出ローラ19,20からなる。その排出ローラ19は、回転軸191に、下排出コロ192とその軸線方向の両側に間隔を置いてそれより大径の腰付け用コロ194とを複数組固着している。排出ローラ20は、回転軸201にそれぞれ下排出コロ192と転接して従動回転する複数の上排出コロ202を固着している。
【0050】
そして、排出ローラ19が図示していない駆動機構によって回転され、下排出コロ192が矢示E方向に回転駆動されると、上排出コロ202が矢示F方向に従動回転する。印刷済み用紙4Pがその下排出コロ192と上排出コロ202によって挟持されて搬送され、矢示B方向へ排出される。
このとき、上排出コロ202と腰付け用コロ194とによって、印刷済み用紙4Pを幅方向に波状に曲げて腰付けし、剛性を高めながら矢示B方向に排出する。
この排出ローラ19,20については、次の実施形態の図6によって詳述する。
【0051】
ガイド兼押さえ部材30は、前述したように、画像形成装置本体1の側面等の装置固定部に取り付けられた軸32に、基端部30aが相対回転自在に軸支されたアーム状部材である。この例では、そのアーム状部材が図3に示すように横断面が逆三角形の三角柱であって、その下縁が用紙の排出方向(図2の矢示B方向)に平行な直線状エッジ30cに形成されており、その直線状エッジ30cの先端部が印刷済み用紙4Pの上面と用紙の排出方向に沿う線接触又は点接触する部分30bとなる。
【0052】
このガイド兼押さえ部材30は、自重によって矢示C方向に付勢されており、排出される印刷済み用紙4Pの上面と部分30bで排出方向に沿う線接触又は点接触してそれを排紙積載台21の載置面21aの方向に案内する。このとき、印刷済み用紙4Pが排出される搬送力によって軽量なガイド兼押さえ部材30は振り子のように揺動するため、排紙の邪魔にはならない。
【0053】
そして、ガイド兼押さえ部材30と用紙上面とのすべり接触は、直線状エッジ30cの部分30bによる用紙の排出方向に沿う線接触又は点接触となり、印刷済み用紙4Pの上面との接触面積が小さいため、印刷済み用紙4Pが画像面を上向きにして排出された場合でも、ガイド兼押さえ部材30との接触によって未定着のインクが擦られて汚れたり、そのインクがガイド兼押さえ部材30に転写し、それが紙面に再転写されたりして画質が劣化することが大幅に低減する。
このガイド兼押さえ部材30の形状は、他に径の小さい丸棒状や薄板状などにしてもよい。
【0054】
図1に示した用紙排出方向の下流側のガイド兼押さえ部材31も、ガイド兼押さえ部材30と同様に、横断面が逆三角形の三角柱であるアーム状部材であって、その下縁が上方から見て用紙の排出方向(図2の矢示B方向)に平行な直線状エッジに形成されており、排出される印刷済み用紙4Pの搬送を阻害しないように先端部が上方に湾曲している。
したがって、その印刷済み用紙4Pの上面とすべり接触する部分31bは、用紙の排出方向に沿う線接触又は点接触する。その機能はガイド兼押さえ部材30と同様である。
このガイド兼押さえ部材31も、径の小さい丸棒状や薄板状などで構成してもよい。
【0055】
ガイド兼押さえ部材30は軸32に沿って、ガイド兼押さえ部材31は軸34に沿って、それぞれ用紙排出方向に直交する方向(幅方向)にスライド可能であり、それぞれ印刷済み用紙4Pの幅方向の最も有効な位置を押さえられるように、その位置を変更することができる。また、エンドフェンス29は用紙の排出方向にスライド可能であり、用紙サイズに応じてその位置が調整されるので、常に用紙サイズに応じた最適な位置をガイド兼押さえ部材30,31によって押さえることができる。
【0056】
また、ガイド兼押さえ部材30,31の一方又は両方を幅方向に間隔を置いて複数個設けてもよい。ガイド兼押さえ部材30,31が1個ずつの場合は、印刷済み用紙4Pの幅方向の中央部を押さえられるので、図16の(b)に示したような用紙幅の中央部が高くなってしまうカール(画像面が上向きの場合に発生する)を押さえるのに適している。
ガイド兼押さえ部材30,31を2個ずつ設けた場合は、印刷済み用紙4Pの幅方向の両側部付近を押さえられるので、図15の(b)で示したように用紙幅の両側部が高くなってしまうカール(画像面が下向きの場合に発生する)を押さえるのに適している。
【0057】
また、図4に示すように、用紙積載台21を、その載置面21a上に積載された印刷済み用紙4Pの枚数の増加に応じて下降させるようにすれば、積載された印刷済み用紙4Pの最上面の高さ位置を、一点鎖線で示すように一定にすることができる。それによって、ガイド兼押さえ部材30,31の用紙との接触位置、角度、および押し付け力が一定になり、常に印刷済み用紙4Pの所定位置を最適に押さえることができる。
【0058】
図1に示したガイド兼押さえ部材30をもっと長くして、ガイド兼押さえ部材31を省略することもできる。あるいは、ガイド兼押さえ部材31に代えて、一対のサイドフェンス28の少なくとも一方に揺動可能に支持されるガイド兼押さえ部材を、ガイド兼押さえ部材30より用紙搬送方向下流側に設けるようにしてもよい。
【0059】
〔画像形成装置の第2の実施形態〕
次に、この発明による画像形成装置の第2の実施形態を、図5及び図6によって説明する。図5は、この発明による画像形成装置の第2の実施形態の図2と同様な図である。図6は、同じくその用紙排出方向の下流側からエンドフェンスとそれに設けられたガイド兼押さえ部材を取り外して画像形成装置本体側の排出ローラ対を見た概略図である。これらの図において、図1〜図4と対応する部分には同一の符号を付してあり、それらの説明は省略する。
【0060】
この第2の実施形態は、上述した第1の実施形態と殆ど同じであるが、用紙排出方向の上流側のガイド兼押さえ部材30を、画像形成装置本体1の排出ローラ対のうちの上側の排出ローラ20の回転軸201に揺動可能に軸支させた点だけが相違する。
上述した第1の実施形態においても図2によって簡単に説明したが、排出ローラ対の構成について図6によって詳細に説明する。
【0061】
排出ローラ対は、駆動ローラである下排出ローラ19と従動ローラである上排出ローラ20とからなり、その各回転軸191と201が、画像形成装置本体1内の固定フレームに設けられた一対の支持部材100aと100bに回転可能に支持され、印刷済み用紙4Pの排出方向に直交する幅方向に平行に配設されている。
【0062】
下排出ローラ19の回転軸191には、その軸線方向の中央に対して図6で左右対称な位置に少なくとも2個の下排出コロ192と、その各下排出コロ192を挟んで両側に所定の間隔を置いてそれぞれ一対ずつの腰付け用コロ193,194を設けている。
そして、腰付け用コロ193と194の径は同等であるが、下排出コロ192の径はそれより小さい。これらの各下排出コロ192及び腰付け用コロ193,194は、回転軸191と一体に回転するが、その軸線方向には移動(スライド)及び固定可能に、例えばスプライン嵌合と強めのクリック機構やつまみネジ機構等によって装着されている。
【0063】
一方、上排出ローラ20の回転軸201には、その軸線方向の中央に対して図6で左右対称で下排出コロ192と対応する位置に、少なくとも2個の上排出コロ202が設けられている。そして、この上排出ローラ20の上排出コロ202と下排出ローラ19の下排出コロ192とによって搬送ニップを形成する。
【0064】
上排出コロ202は下排出ローラ19の腰付け用コロ193,194と同等の径を有し、これらの各コロの半径は、一対の回転軸191と201の間隔の1/2より大きく、上排出コロ202と腰付け用コロ193,194とが、回転軸191と201に交互にその軸線方向の位置をずらして、径方向に一部重なり合うように設けられている。
【0065】
そして、下排出コロ192が、図示していない駆動機構によって図5の矢示E方向に回転駆動されると、上排出コロ202が矢示F方向に従動回転する。印刷済み用紙4Pがその下排出コロ192と上排出コロ202によって挟持されて搬送され、矢示B方向へ排出される。
このとき、上排出コロ202と腰付け用コロ193,194とによって、印刷済み用紙4Pを幅方向に波状に曲げて腰付けし、剛性を高めながら排出する。
【0066】
これは印刷済み用紙4Pをガイド兼押さえ部材30の押さえ力に抗して搬送するためには、用紙の搬送方向の剛性を大きくすることが必要になるためである。
このように印刷済み用紙4Pに腰付けをすることによって、印刷済み用紙4Pは垂れ下がりを起こすことなく、用紙積載台21上に確実に排出される。
【0067】
また、上排出コロ202は、回転軸201の軸線方向に移動(スライド)させて用紙サイズに応じて最適な位置に調整して固定でき、排紙積載装置3の各サイドフェンス28の内面からの距離Mを最適に調整することができる。図6においてHは、用紙幅に応じた一対のサイドフェンス28の内面間の距離である。
下排出コロ192及び腰付け用コロ193,194も、前述したように回転軸191の軸線方向にスライドさせて用紙サイズに応じて最適な位置に調整して固定できる。
【0068】
これらの構成及び機能は、図2に示した下排出ローラ19と上排出ローラ20も同じである。
この第2の実施形態においては、その上排出ローラ20の画像形成装置本体1内に固設された一対の支持部材100aと100bに回転可能に支持された回転軸201の軸線方向の中央部に、ガイド兼押さえ部材30の基端部30aを相対回転可能に保持させ、ガイド兼押さえ部材30を揺動可能に軸支させている。したがって、この実施形態では、ガイド兼押さえ部材30を軸支するための軸を別に設ける必要がなくなる。
【0069】
この場合は、下排出ローラ19と上排出ローラ20によって新たに排出される印刷済み用紙4Pの上面が、ガイド兼押さえ部材30の直線状エッジ30cの部分30bと用紙の排出方向に沿う線接触しながらガイドされて、用紙積載台21上に排出される。しかし、その接触面積が極めて小さいため、印刷済み用紙4Pが画像面を上向きにして排出された場合でも、未定着のインクが擦られて汚れたり、そのインクがガイド兼押さえ部材30に転写し、それが紙面に再転写されたりして画質が劣化することが大幅に低減する。
その他の構成及びその変更例等も、前述した第1の実施形態と同じである。
【0070】
〔画像形成装置の第3の実施形態〕
次に、この発明による画像形成装置の第3の実施形態を、図7〜図9によって説明する。図7は、この発明による画像形成装置の第3の実施形態の図2と同様な図であり、図8は、同じくその排出ローラ対を省略して上方から見た平面図である。図9は、押し付け解除部材を設けた一例を示す要部斜視図である。これらの図においても、図1〜図6と対応する部分には同一の符号を付してあり、それらの説明は省略する。
【0071】
この第3の実施形態において前述した第1の実施形態と相違するのは、ガイド兼押さえ部材の構成だけである。
この実施形態におけるガイド兼押さえ部材40は、図7及び図8に示すように、基端部41aが画像形成装置本体1に設けられた軸32に相対回転可能に軸支されたアーム状部材41と、そのアーム状部材41の先端部41bに印刷済み用紙4Pの排出方向に直交する方向の軸43によって回転自在に軸支された円板状部材45とからなる。その円板状部材45は、外周に沿って先端が先鋭な多数の突起45aが放射状に形成されており、その突起45aの先端が印刷済み用紙4Pの上面と点接触するように拍車形状に構成されている。アーム状部材41の基端部41aは別体の保持部材を固着してもよい。
【0072】
このガイド兼押さえ部材40も自重によって図7の矢示C方向に付勢されているが、印刷済み用紙4Pが下排出ローラ19と上排出ローラ20によって腰付けされて剛性を与えられながら図8の矢示G方向に排出されると、その上面と円板状部材45の突起45aとが接触して、幾分押し上げられて図7に矢印Dで示す方向に連れ回りしながら、その印刷済み用紙4Pを用紙積載台21の載置面21a上へ案内する。
【0073】
このとき、印刷済み用紙4Pが画像面を上向きにして排出されその画像のインクが未定着であった場合でも、ガイド兼押さえ部材40と印刷済み用紙4Pの上面との接触は点接触であり、しかも円板状部材45が印刷済み用紙4Pの移動に応じて連れ回りするので、紙面を擦ることがないから、インクが転写するのを大幅に低減でき、こすれ汚れは発生しない。したがって、このガイド兼押さえ部材40は、前述した各実施形態におけるガイド兼押さえ部材30よりも画像品質を保つために有利である。図1に示したガイド兼押さえ部材31に代えて、ガイド兼押さえ部材40と同様なガイド兼押さえ部材をエンドフェンスの内側にも設けるとよい。
【0074】
また、ガイド兼押さえ部材40は軸32の軸線方向(図8の矢示J方向)にスライド可能になっているため、印刷済み用紙4Pの幅方向の最適な位置を押さえられるように、その位置を変更することができる。
さらに、このガイド兼押さえ部材40を用紙幅方向に複数個設けてもよい。複数個設けることによって、第1の実施形態で説明したように、印刷済み用紙4Pのカール形状に応じて適切な位置を押さえることができる。
【0075】
また、図4によって前述したように、用紙積載台21を印刷済み用紙4Pの積載枚数の増加に応じて下降させるようにすれば、ガイド兼押さえ部材40の押さえ位置、角度、および押し付け力を常に一定に維持することができる。
なお、拍車形状の円板状部材45に代えて、外周面に砥粒を付着させた砥粒ローラや、ローレットを形成したローレットローラなどを用いても、印刷済み用紙4Pの上面との接触を点接触に近い状態にすることができる。
【0076】
図9は、ガイド兼押さえ部材40の押し付けを解除する押し付け解除部材の一例を示す。ガイド兼押さえ部材40を揺動可能に軸支する軸32に、その径方向に張り出して軸線方向に平行に延びる押し付け解除部材37を、ガイド兼押さえ部材40のアーム状部材41の下側に固設し、軸32の一端部に解除つまみ38を固着している。
【0077】
このようにすれば、解除つまみ38を図9の矢示K方向に手動で回転させると、軸32とそれに固定されている押し付け解除部材37が一体に矢示K方向に回転する。ガイド兼押さえ部材40は軸32の回転によっては回転しないが、押し付け解除部材37が回転によってアーム状部材41の下面に当接し、その回転方向にガイド兼押さえ部材40を持ち上げる。したがって、ガイド兼押さえ部材40を、用紙積載台21の載置面21a上に排出されて積載された印刷済み用紙4Pの上面を押し付けない位置に回動させることができる。それによって、排紙終了後、用紙積載台21上に積載された用紙を取り出し易くなる。なお、押し付け解除位置で軸32が回転しないように保持するクリックあるいはロック機構を設けるとよい。
【0078】
この解除機構は、手動で軸32を回転させてガイド兼押さえ部材40の解除操作を行う例で説明したが、解除つまみに代えて軸32に歯車又はプーリを固設して、歯車伝動機構又はベルト伝動機構を介してモータによって軸32を回転させて、解除動作を行なえるようにしてもよい。
【0079】
また、図1に示したガイド兼押さえ部材31又はそれに代わるガイド兼押さえ部材40と同様なガイド兼押さえ部材をエンドフェンス29に設けた場合には、エンドフェンス29に支持されてガイド兼押さえ部材を軸支する軸34にも、図9に示したのと同様な押し付け解除部材37と解除つまみ38を設け、用紙積載台21上に排出されて積載された印刷済み用紙4Pの先端側の押し付けも解除できるようにするとよい。
【0080】
〔排紙積載装置の第1の実施形態〕
これまでの各実施形態は、印刷済み用紙の後端側を押さえるガイド兼押さえ部材を画像形成装置本体側の軸によって支持しており、用紙積載台等が画像形成装置の一部として画像形成装置本体に組み付けられていた。
以後は、画像形成装置本体とは独立して構成したこの発明による排紙積載装置の実施形態について説明する。
【0081】
まず、その第1の実施形態を図10〜図12によって説明する。図10はその排紙積載装置の後半部を排出ローラ対と共に示す図7と同様な図である。図11はその平面図、図12はその印刷済み用紙排出方向の下流側から排紙積載装置のみを、エンドフェンスを取り外して見た図である。これらの図においても、図1〜図9と対応する部分には同一の符号を付してあり、それらの説明は省略する。
【0082】
この排紙積載装置3におけるガイド兼押さえ部材40は、図7〜図9によって説明したガイド兼押さえ部材40よりアーム状部材41の長さが幾分短いが、アーム状部材41とその先端部に軸43によって回転自在に軸支された拍車形状の円板状部材45とからなり、実質的に同じ構成であるから、便宜上同じ符号を使用する。但し、この実施形態のガイド兼押さえ部材40は、そのアーム状部材41の基端部41a(保持部材でもよい)が、サイドフェンス28の内面側に用紙排出方向に直交する方向に突設された軸42に相対回転可能に軸支されて、揺動可能に支持されている。
【0083】
この実施形態では、図11に明示するように、一対のサイドフェンス28の内面側の対向する位置に、ガイド兼押さえ部材40を用紙排出方向に間隔を置いて2個づつ、用紙幅方向に対称的に、それぞれ軸42によって揺動可能に支持して設けている。
この排紙積載装置3を使用すれば、画像形成装置本体側の下排出ローラ19と上排出ローラ20とによって、腰付けされて剛性を付与されて排出させる印刷済み用紙4Pを、両側部と先端側及び後端側で案内し、且つ用紙積載台21の載置面の方向に押さえることができる。その各ガイド兼押さえ部材40の機能は、前述の実施形態と同じである。
【0084】
各ガイド兼押さえ部材40はいずれもサイドフェンス28に取り付けられ、その内面から円板状部材45までが所定距離に保持されているので、図11及び図12に示すように、印刷済み用紙4Pの幅方向の両側端から最適な距離Lを保つことができる。
これによって、図12に示すように、印刷済み用紙4Pの幅方向の両側端部付近に発生するカールを押さえるために、用紙の側端から最適の距離Lの位置で用紙を押さえることができ、カール抑制に効果的である。
【0085】
サイドフェンス28は用紙サイズに応じて、図11に両方向矢印で示すように移動させるので、それに伴って各ガイド兼押さえ部材40も移動する。そのため、用紙サイズが異なっても、各ガイド兼押さえ部材40によって常に用紙側端から所定距離Lの位置で、印刷済み用紙4Pの上面を押さえることができる。
【0086】
さらに、各ガイド兼押さえ部材40を軸支する軸42を、サイドフェンス28に対して、その軸線方向にスライド可能に設け、サイドフェンス28の内面から各ガイド兼押さえ部材40の円板状部材45までの距離を可変調整できるようにしてもよい。それによって、用紙の厚さやカール状態に応じて最適な位置を押さえられるように、各ガイド兼押さえ部材40の位置を調整することができる。
【0087】
この実施形態では、各サイドフェンス28に2個ずつガイド兼押さえ部材40を取り付けた例を示したが、最低限いずれか一方のサイドフェンス28に1個の各ガイド兼押さえ部材40を取り付けるか、一対のサイドフェンス28に1個ずつガイド兼押さえ部材40を取り付けてもよい。あるいは3組以上のガイド兼押さえ部材40を設けてもよい。
このように、ガイド兼押さえ部材40を一対のサイドフェンス28の内面側に対称的に複数個設けることによって、ガイド兼押さえ部材40が印刷済み用紙4Pの排出搬送をガイドしながら、カールすることを防止するように上方から押さえる効果がより増すことになる。
【0088】
また、この排紙積載装置3を画像形成装置本体に装着して使用する際に、図4によって説明したように、排紙積載台21上に積載された印刷済み用紙4Pの枚数の増加に応じて、用紙積載台21を下降させるようにすれば、ガイド兼押さえ部材40による押さえ位置、角度、および押し付け力を、常に一定に維持することができる。
【0089】
用紙積載台21上に積載された印刷済み用紙4Pの取り出しは、エンドフェンス29を倒してエンドフェンス29側から引き出すようにすれば、ガイド兼押さえ部材40が邪魔にならずに容易に取り出しができる。その際、各ガイド兼押さえ部材40は自然に上方に逃げるので、取り出しの邪魔をしない。
なお、各ガイド兼押さえ部材40を支持する軸42を、エンドフェンス29の外側にも突出させて回転可能に設け、図9に示した軸32と同様に押し付け解除部材37と解除つまみ38を固設して、解除機構を備えるようにしてもよい。
【0090】
〔排紙積載装置の第2の実施形態〕
次に、この発明による排紙積載装置の第2の実施形態を図13によって説明する。図13はその排紙積載装置の印刷済み用紙排出方向の下流側半部を示す図である。この図13においても、これまでの各図と対応する部分には同一の符号を付してあり、それらの説明は省略する。
【0091】
この排紙積載装置3′は、エンドフェンス29の内面から印刷済み用紙4Pの排出方向の上流側へ、用紙積載台21の載置面21aに平行に支持部材46を延設している。その支持部材46にガイド兼押さえ部材40のアーム状部材41の基端部41aが、軸47によって揺動可能に軸支されている。そのガイド兼押さえ部材40は、図7によって説明したものと同様に、アーム状部材41の先端部41bに軸43によって拍車状の円板状部材45を回転自在に軸支している。
【0092】
そのガイド兼押さえ部材40は軽量であり、用紙積載台21上に排出されてきた印刷済み用紙4Pは、ガイド兼押さえ部材40の下側に滑り込むように搬送されて、スタックされる。その際、ガイド兼押さえ部材40の円板状部材45と印刷済み用紙4Pの上面とは点接触し、円板状部材45は矢示方向に連れ回りする。そして、ガイド兼押さえ部材40の自重によって、印刷済み用紙4Pの先端部を載置面21a方向に押さえる。
ガイド兼押さえ部材40は揺動可能であるため、用紙積載台21上の印刷済み用紙4Pの枚数の影響を受けずに自重による押し付けが可能である。
【0093】
この排紙積載装置3′は、ガイド兼押さえ部材40をエンドフェンス29によって、その内面から一定距離の位置で支持している。これは搬送方向と直行に発生する縦方向カールを押さえるためには、積載される印刷済み用紙4Pの先端から所定の距離Nの位置で用紙を押さえるのが効果的なためである。エンドフェンス29は印刷済み用紙4Pの排出方向のサイズに応じて、図13に両方向矢印で示すように移動させるが、それに伴ってガイド兼押さえ部材40も移動するので、用紙サイズが異なっても常に用紙先端から所定の距離Nを保って、印刷済み用紙4Pの上面を押さえることができる。
【0094】
また、この排紙積載装置3′を画像形成装置本体に装着して使用する際に、図4によって説明したように、用紙積載台21上に積載された印刷済み用紙4Pの枚数の増加に応じて、用紙積載台21を下降させるようにすれば、ガイド兼押さえ部材40による押さえ位置、角度、および押し付け力を、常に一定に維持することができる。
【0095】
さらに、エンドフェンス29の内面から一対の支持部材46を用紙幅方向に間隔をあけて平行に延設し、その一対の支持部材46の間に軸47を支持し、その軸にガイド兼押さえ部材40のアーム状部材41の基端部41aを軸線方向にスライド可能に軸支させるようにするとよい。そうすれば、ガイド兼押さえ部材40の位置を用紙幅方向に移動させて、印刷済み用紙4Pの最適な位置を押さえられるように位置調整することができる。それにより、用紙サイズや用紙のカール状態に応じた押さえ効果を発揮できる。
【0096】
また、ガイド兼押さえ部材40を用紙幅方向に間隔を置いて複数個設けてもよい。
さらに、図10〜図12によって前述した実施形態のサイドフェンス28の内面側に取り付けたガイド兼押さえ部材40を、用紙排出方向の上流側に設けるとよい。軸47にも、押し付け解除部材と解除つまみを固設してもよい。
【0097】
〔排紙積載装置の第3の実施形態〕
この発明による排紙積載装置の第3の実施形態を図14によって説明する。図14は、この発明による排紙積載装置の第3の実施形態を手前側のサイドフェンスを取り外して見た図である。この図14においても、これまでの各図と対応する部分には同一の符号を付してあり、それらの説明は省略する。
【0098】
この排紙積載装置3″は、一対のサイドフェンス28の上面に複数の突起部281を、エンドフェンス29の上面にも1個以上の突起部291をそれぞれ設けている。一方、板状部材48下面のサイドフェンス28及びエンドフェンス29との接触部には、各突起部281,291を差し込み可能な穴を設けている。そして、各突起部281,291と板状部材48の穴とを嵌合させることによって、板状部材48はサイドフェンス28及びエンドフェンス29上に、用紙積載台21の載置面21aと平行に、着脱可能に取り付けることができる。
【0099】
この板状部材48の下面側に、複数の軸52を印刷済み用紙4Pの排出方向に直交する紙幅方向に平行に支持し、その各軸52に、ガイド兼押さえ部材40のアーム状部材41の基端部41aを相対回転自在に軸支させて、各ガイド兼押さえ部材40を揺動可能に支持している。ガイド兼押さえ部材40の数は2個に限るものではなく、1個でもよいし3個以上でもよい。
【0100】
この実施形態では、各ガイド兼押さえ部材40を支持する板状部材48がサイドフェンス28とエンドフェンス29に保持されているので、用紙先端部側のガイド兼押さえ部材40が用紙の先端から所定の距離Nの位置を押さえるように取り付けられている。また各ガイド兼押さえ部材40は、図12に示したように用紙の側端から最適な距離Lの位置を押さえるように取り付けられている。
【0101】
板状部材48を一方のサイドフェンス28のみによって保持させるか、あるは一対のサイドフェンス28に個別の板状部材48を保持させるようにすれば、用紙の幅方向のサイズに応じてサイドフェンス28を移動させることができ、それに伴って板状部材48に支持されたガイド兼押さえ部材40も移動するので、用紙サイズが変わっても、常に用紙の側端から最適な距離Lの位置を押さえることができる。
【0102】
また、板状部材48をエンドフェンス29のみによって保持させるようにすれば、用紙の排出方向のサイズに応じてエンドフェンス29を移動させることができ、それに伴って板状部材48に支持されたガイド兼押さえ部材40も移動するので、用紙サイズが変わっても、常に用紙の先端から所定の距離Nの位置を押さえることができる。
【0103】
板状部材48は、サイドフェンス28及びエンドフェンス29又はその一方に着脱可能に装着されるので、排紙積載終了後に、板状部材48を取り外すことができ、それによって全てのガイド兼押さえ部材40が用紙積載台21上から除去されるので、用紙積載台21上に積載された印刷済み用紙の取り出しが容易になる。
【0104】
〔画像形成装置の実施形態〕
図1に示した画像形成装置本体1のように、用紙に画像を形成する画像形成部とその画像形成部によって画像が形成された印刷済み用紙を搬送して排出する搬送排出部とを有する画像形成装置本体と、その搬送排出部によって順次排出される印刷済み用紙を積載するための排紙積載装置として、上述した第1〜第3の実施形態のいずれかの排紙積載装置とを備えた画像形成装置を構成することができる。
【0105】
その排紙積載装置は、各実施形態の構成や、画像形成装置の第1〜第3の実施形態で説明した構成を組合せたり、変更して構成することもできる。
画像形成装置本体も、図1に示したものに限るものではなく、インクジェット式画像形成装置の場合でも、画像形成部に4色のライン型インクジェットヘッドを設けたフルカラーの画像形成用ヘッドユニットに限らず、シリアル型インクジェットヘッドを設けたフルカラーの画像形成部を備えてもよいし、ライン型又はシリアル型の2色あるいは単色のインクジェットヘッドを設けた画像形成部を備えてもよい。
さらに、他の液状記録剤を使用して画像を形成する画像形成装置、例えば孔版印刷などに適用しても有効である。
【産業上の利用可能性】
【0106】
この発明は、インク等の液状記録剤を用いて用紙に画像を形成する画像形成装置に該当する、プリンタ、プロッタ、印刷装置、複写装置、デジタル複合機、ファクシミリ装置等の各種画像形成装置に適用でき、特にインクジェット式画像形成装置や孔版印刷装置に好適であり、高速印刷が可能なライン型インクジェット式画像形成装置にも適用することができる。
【符号の説明】
【0107】
1:画像形成装置本体 2:画像形成用ヘッドユニット
3,3′,3″:排紙積載装置 4:用紙 4P:印刷済み用紙
5,6:搬送ローラ対 7:無端広幅ベルト 12:エアー吸引ダクト
17,18:搬送ローラ対 19:排出ローラ対の下排出ローラ
20:排出ローラ対の上排出ローラ 21:用紙積載台 21a:載置面
22,27:経路切替爪部材 23,24:第1反転ローラ対
25,26:第2反転ローラ対 28:サイドフェンス 29:エンドフェンス
30,31:ガイド兼押さえ部材 30a,31a:基端部
30b,31b:印刷済み用紙の上面と接触する部分 30c:直線状エッジ
32,34:軸 33,35:用紙先端検知センサ 37:押し付け解除部材
38:解除つまみ 40:ガイド兼押さえ部材 41:アーム状部材
41a:基端部 41b:先端部 42,43:軸 45:円板状部材
45a:突起 46:支持部材 47:軸 48:板状部材
100a,100b:支持部材 191:下排出ローラの回転軸
192:下排出コロ 193,194:腰付け用コロ
201:上排出ローラの回転軸 202:上排出コロ
281,291:突起部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0108】
【特許文献1】特開2005−350182号公報
【特許文献2】特開平11−79519号公報
【特許文献3】特開2002−20024号公報
【特許請求の範囲】
【請求項1】
順次給送される用紙に液状記録剤によって画像を形成する画像形成部と、該画像形成部で画像が形成された印刷済み用紙を搬送して排出する搬送排出部と、該搬送排出部によって排出される印刷済み用紙を積載する用紙積載台と、該用紙積載台上に積載された用紙の上面を該用紙積載台の載置面に向けて押し付けながら新たに排出される印刷済み用紙を案内するガイド兼押さえ部材とを備え、
該ガイド兼押さえ部材は、前記印刷済み用紙を押し付ける方向に揺動可能に支持され、前記印刷済み用紙の上面と接触する部分が、該用紙の上面と該用紙の排出方向に沿う線接触又は点接触する形状を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記ガイド兼押さえ部材は、基端部が装置本体の固定部に軸支されたアーム状部材であって、該アーム状部材の下縁が前記印刷済み用紙の排出方向に平行な直線状エッジに形成されており、該エッジの先端部が前記印刷済み用紙の上面と該用紙の排出方向に沿う線接触又は点接触することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記ガイド兼押さえ部材は、基端部が装置本体の固定部に軸支されたアーム状部材と、該アーム状部材の先端部に前記印刷済み用紙の排出方向に直交する方向の軸によって回転自在に軸支された円板状部材とからなり、該円板状部材の外周に沿って先端が先鋭な多数の突起が放射状に形成されており、該突起の先端が前記印刷済み用紙の上面と点接触することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記搬送排出部は、前記画像が形成された印刷済み用紙を腰付けしながら前記用紙積載台へ排出する排出ローラ対を備えており、
前記ガイド兼押さえ部材は、前記排出ローラ対の上側の排出ローラの装置本体に支持された回転軸によって揺動可能に軸支されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記用紙積載台が、該用紙積載台上に積載された前記印刷済み用紙の枚数の増加に応じて下降することを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載の画像形成装置において、
前記ガイド兼押さえ部材を、前記用紙積載台上に排出されて積載された印刷済み用紙の上面を押し付けない位置に回動させる押し付け解除部材を設けたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
画像形成装置から印刷済み用紙が順次排出されて積載される排紙積載装置であって、
前記印刷済み用紙の下面を受ける載置面を有する用紙積載台と、前記印刷済み用紙のそれが排出される方向と直交する幅方向の両端部をガイドする一対のサイドフェンスとを備え、
該一対のサイドフェンスは用紙サイズに応じて前記幅方向に移動可能であり、
該一対のサイドフェンスのそれぞれ対向する内面側に、前記載置面上に排出されて積載された印刷済み用紙の上面を前記載置面に向けて押し付けながら新たに排出される印刷済み用紙を案内するガイド兼押さえ部材を、該用紙を押し付ける方向に揺動可能に軸支して設け、
該ガイド兼押さえ部材は、前記印刷済み用紙の上面と接触する部分が、該用紙の上面と該用紙の排出方向に沿う線接触又は点接触する形状を有することを特徴とする排紙積載装置。
【請求項8】
前記ガイド兼押さえ部材を、前記一対のサイドフェンスのそれぞれ対向する内面側に、前記印刷済み用紙の排出方向に間隔を置いて複数対設けたことを特徴とする請求項7に記載の排紙積載装置。
【請求項9】
前記ガイド兼押さえ部材は、基端部が前記サイドフェンスに軸支されたアーム状の部材と、該部材の先端部に前記印刷済み用紙の排出方向に直交する方向の軸によって回転自在に軸支された円板状部材とからなり、該円板状部材の外周に沿って先端が先鋭な多数の突起が放射状に形成されており、該突起の先端が前記印刷済み用紙の上面と点接触することを特徴とする請求項7又は8に記載の排紙積載装置。
【請求項10】
画像形成装置から印刷済み用紙が順次排紙されて積載される排紙積載装置であって、
前記印刷済み用紙の下面を受ける載置面を有する用紙積載台と、該用紙積載台に排出される前記印刷済み用紙の先端を当接させて該用紙を停止させるエンドフェンスとを備え、
該エンドフェンスは用紙サイズに応じて前記印刷済み用紙の排出方向に移動可能であり、
該エンドフェンスの内面側に、前記載置面上に排出されて積載された印刷済み用紙の上面を前記載置面に向けて押し付けながら新たに排出される印刷済み用紙を案内するガイド兼押さえ部材を、該用紙を押し付ける方向に揺動可能に軸支して設け、
該ガイド兼押さえ部材は、前記印刷済み用紙の上面と接触する部分が、該用紙の上面と該用紙の排出方向に沿う線接触又は点接触する形状を有することを特徴とする排紙積載装置。
【請求項11】
前記ガイド兼押さえ部材は、前記エンドフェンスから前記印刷済み用紙の排出方向の上流側へ延設した支持部材に基端部が軸支されていることを特徴とする請求項10に記載の排紙積載装置。
【請求項12】
前記ガイド兼押さえ部材は、前記支持部材に基端部が軸支されたアーム状部材と、該アーム状部材の先端部に前記印刷済み用紙の排出方向に直交する方向の軸によって回転自在に軸支された円板状部材とからなり、該円板状部材の外周に沿って先端が先鋭な多数の突起が放射状に形成されており、該突起の先端が前記印刷済み用紙の上面と点接触することを特徴とする請求項11に記載の排紙積載装置。
【請求項13】
請求項7から12のいずれか一項に記載の排紙積載装置において、
前記ガイド兼押さえ部材を、前記用紙積載台上に排出されて積載された印刷済み用紙の上面を押し付けない位置に回動させる押し付け解除部材を設けたことを特徴とする排紙積載装置。
【請求項14】
前記ガイド兼押さえ部材を、前記サイドフェンス及び前記エンドフェンスの少なくとも一方に対して着脱可能に取り付けられた板状部材に設けたことを特徴とする、請求項7から12のいずれか一項に記載の排紙積載装置。
【請求項15】
用紙に画像を形成する画像形成部と該画像形成部によって画像が形成された印刷済み用紙を搬送して排出する搬送排出部とを有する画像形成装置本体と、前記搬送排出部によって順次排出される印刷済み用紙を積載するための請求項7から14のいずれか一項に記載の排紙積載装置とを備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項16】
前記画像形成部が、1個以上のインクジェットヘッドを備えたインクジェットヘッド方式の画像形成部であることを特徴とする請求項1から6及び15のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項17】
前記インクジェットヘッドが、ライン型インクジェットヘッドであることを特徴とする請求項16に記載の画像形成装置。
【請求項1】
順次給送される用紙に液状記録剤によって画像を形成する画像形成部と、該画像形成部で画像が形成された印刷済み用紙を搬送して排出する搬送排出部と、該搬送排出部によって排出される印刷済み用紙を積載する用紙積載台と、該用紙積載台上に積載された用紙の上面を該用紙積載台の載置面に向けて押し付けながら新たに排出される印刷済み用紙を案内するガイド兼押さえ部材とを備え、
該ガイド兼押さえ部材は、前記印刷済み用紙を押し付ける方向に揺動可能に支持され、前記印刷済み用紙の上面と接触する部分が、該用紙の上面と該用紙の排出方向に沿う線接触又は点接触する形状を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記ガイド兼押さえ部材は、基端部が装置本体の固定部に軸支されたアーム状部材であって、該アーム状部材の下縁が前記印刷済み用紙の排出方向に平行な直線状エッジに形成されており、該エッジの先端部が前記印刷済み用紙の上面と該用紙の排出方向に沿う線接触又は点接触することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記ガイド兼押さえ部材は、基端部が装置本体の固定部に軸支されたアーム状部材と、該アーム状部材の先端部に前記印刷済み用紙の排出方向に直交する方向の軸によって回転自在に軸支された円板状部材とからなり、該円板状部材の外周に沿って先端が先鋭な多数の突起が放射状に形成されており、該突起の先端が前記印刷済み用紙の上面と点接触することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記搬送排出部は、前記画像が形成された印刷済み用紙を腰付けしながら前記用紙積載台へ排出する排出ローラ対を備えており、
前記ガイド兼押さえ部材は、前記排出ローラ対の上側の排出ローラの装置本体に支持された回転軸によって揺動可能に軸支されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記用紙積載台が、該用紙積載台上に積載された前記印刷済み用紙の枚数の増加に応じて下降することを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載の画像形成装置において、
前記ガイド兼押さえ部材を、前記用紙積載台上に排出されて積載された印刷済み用紙の上面を押し付けない位置に回動させる押し付け解除部材を設けたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
画像形成装置から印刷済み用紙が順次排出されて積載される排紙積載装置であって、
前記印刷済み用紙の下面を受ける載置面を有する用紙積載台と、前記印刷済み用紙のそれが排出される方向と直交する幅方向の両端部をガイドする一対のサイドフェンスとを備え、
該一対のサイドフェンスは用紙サイズに応じて前記幅方向に移動可能であり、
該一対のサイドフェンスのそれぞれ対向する内面側に、前記載置面上に排出されて積載された印刷済み用紙の上面を前記載置面に向けて押し付けながら新たに排出される印刷済み用紙を案内するガイド兼押さえ部材を、該用紙を押し付ける方向に揺動可能に軸支して設け、
該ガイド兼押さえ部材は、前記印刷済み用紙の上面と接触する部分が、該用紙の上面と該用紙の排出方向に沿う線接触又は点接触する形状を有することを特徴とする排紙積載装置。
【請求項8】
前記ガイド兼押さえ部材を、前記一対のサイドフェンスのそれぞれ対向する内面側に、前記印刷済み用紙の排出方向に間隔を置いて複数対設けたことを特徴とする請求項7に記載の排紙積載装置。
【請求項9】
前記ガイド兼押さえ部材は、基端部が前記サイドフェンスに軸支されたアーム状の部材と、該部材の先端部に前記印刷済み用紙の排出方向に直交する方向の軸によって回転自在に軸支された円板状部材とからなり、該円板状部材の外周に沿って先端が先鋭な多数の突起が放射状に形成されており、該突起の先端が前記印刷済み用紙の上面と点接触することを特徴とする請求項7又は8に記載の排紙積載装置。
【請求項10】
画像形成装置から印刷済み用紙が順次排紙されて積載される排紙積載装置であって、
前記印刷済み用紙の下面を受ける載置面を有する用紙積載台と、該用紙積載台に排出される前記印刷済み用紙の先端を当接させて該用紙を停止させるエンドフェンスとを備え、
該エンドフェンスは用紙サイズに応じて前記印刷済み用紙の排出方向に移動可能であり、
該エンドフェンスの内面側に、前記載置面上に排出されて積載された印刷済み用紙の上面を前記載置面に向けて押し付けながら新たに排出される印刷済み用紙を案内するガイド兼押さえ部材を、該用紙を押し付ける方向に揺動可能に軸支して設け、
該ガイド兼押さえ部材は、前記印刷済み用紙の上面と接触する部分が、該用紙の上面と該用紙の排出方向に沿う線接触又は点接触する形状を有することを特徴とする排紙積載装置。
【請求項11】
前記ガイド兼押さえ部材は、前記エンドフェンスから前記印刷済み用紙の排出方向の上流側へ延設した支持部材に基端部が軸支されていることを特徴とする請求項10に記載の排紙積載装置。
【請求項12】
前記ガイド兼押さえ部材は、前記支持部材に基端部が軸支されたアーム状部材と、該アーム状部材の先端部に前記印刷済み用紙の排出方向に直交する方向の軸によって回転自在に軸支された円板状部材とからなり、該円板状部材の外周に沿って先端が先鋭な多数の突起が放射状に形成されており、該突起の先端が前記印刷済み用紙の上面と点接触することを特徴とする請求項11に記載の排紙積載装置。
【請求項13】
請求項7から12のいずれか一項に記載の排紙積載装置において、
前記ガイド兼押さえ部材を、前記用紙積載台上に排出されて積載された印刷済み用紙の上面を押し付けない位置に回動させる押し付け解除部材を設けたことを特徴とする排紙積載装置。
【請求項14】
前記ガイド兼押さえ部材を、前記サイドフェンス及び前記エンドフェンスの少なくとも一方に対して着脱可能に取り付けられた板状部材に設けたことを特徴とする、請求項7から12のいずれか一項に記載の排紙積載装置。
【請求項15】
用紙に画像を形成する画像形成部と該画像形成部によって画像が形成された印刷済み用紙を搬送して排出する搬送排出部とを有する画像形成装置本体と、前記搬送排出部によって順次排出される印刷済み用紙を積載するための請求項7から14のいずれか一項に記載の排紙積載装置とを備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項16】
前記画像形成部が、1個以上のインクジェットヘッドを備えたインクジェットヘッド方式の画像形成部であることを特徴とする請求項1から6及び15のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項17】
前記インクジェットヘッドが、ライン型インクジェットヘッドであることを特徴とする請求項16に記載の画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2012−193042(P2012−193042A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−60370(P2011−60370)
【出願日】平成23年3月18日(2011.3.18)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月18日(2011.3.18)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]