説明

画像形成装置及び画像形成制御プログラム

【課題】記録装置の取付け角度誤差による画像の乱れを軽減できる画像形成装置及び画像形成制御プログラムを提供する。
【解決手段】回転駆動される磁気ドラム12の周面に磁気情報を書き込み可能な記録素子13を主走査方向及び副走査方向に複数配列した記録面14A単位で磁気潜像を形成する磁気記録ヘッド14の取り付け角度αを検知し、検知された角度に応じて画像情報を記録前に−α回転し、取付け角度αに応じて書き込み動作を制御する記録素子13を決定することにより変更された記録面14Aの形状に応じて磁気潜像が隙間なく形成されるように磁気潜像の形成位置を制御して、回転した画像情報に基づいて各記録素子13による書き込み動作を制御することで磁気潜像を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置及び画像形成制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置として、記録媒体に画像や潜像を形成するための記録素子を複数備えた記録ヘッドを用いることで、記録に要する時間を短縮することが提案されている。
【0003】
この種の記録ヘッドでは、多数の記録素子を複数列配列して構成される場合がある。この場合、記録ヘッドの製造段階で、各記録素子の主走査方向及び副走査方向の位置ずれが発生することが知られている。
【0004】
従来、特許文献1には、複数のLEDが出力画素密度よりも高密度で配列された記録ヘッドを用い、予め設定された基準線とLEDの位置とを測定することによりLEDの位置ずれを検知し、基準線と一致するように駆動するLEDを選択して制御することで位置ずれに対する補正を行うことが提案されている。
【特許文献1】特開平5−084972号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、記録装置の取付け角度誤差による画像の乱れを軽減できる画像形成装置及び画像形成制御プログラムを提供することが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明は、回転駆動される磁気ドラムの周面に磁気情報を書き込み可能な磁気記録素子を主走査方向及び副走査方向に複数配列した記録面単位で磁気潜像を形成する磁気記録装置と、前記磁気記録装置による前記磁気潜像の形成位置を制御する位置制御手段と、画像情報に基づいて各磁気記録素子による書き込み動作を制御する書き込み制御手段と、前記磁気記録装置の取り付け角度を検知する検知手段と、前記検知手段により検知された角度に応じて前記磁気記録装置により記録する画像情報を記録前に回転させる回転処理手段と、前記検知手段により検知された角度に応じて書き込み動作を制御する磁気記録素子を決定することにより前記記録面の形状を実質的に変更し、当該変更に応じて前記磁気潜像が隙間なく形成されるように前記磁気潜像の形成位置を制御すると共に、前記回転処理手段により回転された画像情報に基づいて前記各磁気記録素子による書き込み動作を制御するように前記位置制御手段及び前記書き込み制御手段を制御する制御手段と、を備えている。
【0007】
請求項2の発明は、前記磁気ドラムの周面に予め書き換え不可能な磁気潜像として形成された基準ラインと、前記磁気ドラムの周面に形成された磁気潜像を検出可能な検出手段と、を更に備え、前記制御手段は、前記検知手段による前記取付け角度の検知を行う場合に、前記磁気記録装置の記録面に配列された何れか1列分の磁気記録素子により前記磁気ドラムに直線を示す角度検知用磁気潜像を形成するように前記書き込み制御手段を制御し、前記検知手段は、前記検出手段による磁気潜像の検出結果に基づいて前記角度検知用磁気潜像及び前記基準ラインの位置関係を特定することにより前記磁気記録装置の前記磁気ドラムに対する取り付け角度を検知する。
【0008】
請求項3の発明は、前記制御手段は、前記磁気記録装置により、前記磁気潜像の前記磁気ドラムの回転軸心方向の形成位置情報を予め前記磁気ドラムの周面に記録すると共に、当該磁気ドラムの周面に形成された形成位置情報を用いて前記磁気記録装置の位置決めを行なうように前記位置制御手段を制御する。
【0009】
請求項4の発明は、前記磁気ドラムの周面に予め形成する形成位置情報は、前記磁気記録装置の移動軌跡に沿った連続的な線状である。
【0010】
請求項5の発明は、コンピュータに、回転駆動される磁気ドラムの周面に磁気情報を書き込み可能な磁気記録素子を主走査方向及び副走査方向に複数配列した記録面単位で磁気潜像を形成する磁気記録装置の取り付け角度を検知する検知ステップ、前記検知ステップにより検知された角度に応じて前記磁気記録装置により記録する画像情報を記録前に回転させるための回転角度を設定する設定ステップ、前記検知ステップにより検知された角度に応じて書き込み動作を制御する磁気記録素子を決定する決定ステップ、前記決定ステップにより変更された前記記録面の形状に応じて前記磁気潜像が隙間なく形成されるように前記磁気潜像の形成位置を導出する導出ステップ、前記設定ステップにより設定された回転角度で回転した画像情報に基づいて前記各磁気記録素子による書き込み動作を制御することで磁気潜像を形成させる磁気潜像形成ステップ、を実行させる。
【発明の効果】
【0011】
請求項1記載の発明によれば、記録装置の取付け角度誤差による画像の乱れを軽減できる。
【0012】
請求項2記載の発明によれば、記録装置の取り付け角度を複雑な構成を用いずに検出できる。
【0013】
請求項3記載の発明によれば、記録装置による磁気潜像の形成位置を調整できる。
【0014】
請求項4記載の発明によれば、記録装置の磁気潜像の形成位置への移動を単純な動作で実行できる。
【0015】
請求項5記載の発明によれば、記録装置の取付け角度誤差による画像の乱れを軽減できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、図面を参照して、本発明に係る実施の形態について説明する。なお、本実施形態では、磁気潜像保持体上に磁気潜像を形成し、水性媒体中に磁性トナーを分散させた液体現像剤を用いて磁気潜像保持体上に形成された磁気潜像を現像して画像を形成する、いわゆる液体マグネトグラフィ方式で画像形成を行う画像形成装置について説明する。
【0017】
図1は、本実施形態に係る画像形成装置を示す概略構成図である。同図に示されるように、本実施形態の画像形成装置10は、磁気ドラム12、磁気記録ヘッド14、現像装置16、転写ローラ24、中間転写体26、消磁装置28を含んで構成されている。
【0018】
磁気ドラム12は円柱形状で、周面が磁気潜像記録層12Aとされており、局所的に磁化されることにより磁気潜像が形成される。また、磁気ドラム12は、回転方向Aの向きに回転駆動される。
【0019】
磁気ドラム12の外周には、回転方向Aに沿って、磁気記録ヘッド14、現像装置16、転写ローラ24、消磁装置28が順に配設されている。
【0020】
磁気記録ヘッド14は、局所的に磁束を発生させることにより磁気ドラム12の磁気潜像記録層12Aを局所的に磁化させることにより、磁気潜像を形成する。なお、磁気記録ヘッド14の詳細な構成及び動作については後述する。
【0021】
現像装置16は、水性媒体中に磁性トナー22を分散させた液体現像剤を貯留する貯留槽20と、貯留槽20に貯留された液体現像剤を磁気ドラム12の周面に搬送する現像ローラ18と、を含んで構成されている。また、現像装置16には、現像ローラ18の一部が液体現像剤に浸漬するように貯留槽20に貯留する液体現像剤の量が調整される。
【0022】
現像ローラ18により磁気ドラム12の周面に搬送された液体現像剤に含まれる磁性トナー22は、磁気ドラム12に形成された磁気潜像に付着して磁気潜像が現像される。なお、同図において磁気潜像記録層12Aの斜線で示す領域は、磁化された領域(磁性トナー22が付着する領域)を示す。
【0023】
なお、現像ローラ18は、液体現像剤を搬送可能であればよいので、マグネットロールを用いて磁気的にトナーを吸着させる形態としてもよいし、スポンジロールを用いて液体現像剤を吸着させる形態としてもよい。
【0024】
転写ローラ24は、不図示の搬送ローラ等により矢印C方向に搬送される中間転写体26を磁気ドラム12に密着させることにより、磁気ドラム12周面に付着した磁性トナー22を中間転写体26に転写させる。
【0025】
消磁装置28は、磁気ドラム12の回転軸心方向に長尺状に設けられ、磁気記録ヘッド14により新しく磁気潜像を形成する際に、磁気潜像記録層12Aに形成された磁気潜像を消去するために用いられる。上述の磁気記録ヘッド14が磁気ドラム12の周面を局所的に磁化させるのに対し、消磁装置28は、磁気ドラム12の周面に対して、全幅に亘り同じように磁界をかけて磁気潜像を消去する。
【0026】
図2には、磁気記録ヘッド14の構成が示されている。同図に示されるように、本実施の形態では、磁気ドラム12の回転軸心方向に沿ってガイドレール15が設けられている。磁気記録ヘッド14は、ガイドレール15に取り付けられており、不図示の駆動機構によりガイドレール15上を回転方向Aに直交する移動方向Dにスライド移動される。
【0027】
また、図3(A)には、磁気記録ヘッド14の記録面14Aの構成が模式的に示されている。なお、同図に示される各矩形領域は磁気記録ヘッド14に設けられた記録素子13を示している。同図に示されるように、磁気記録ヘッド14には、回転方向Aにn個(本実施形態では、n=20)、回転方向Aに直交する移動方向Dにm個(本実施形態では、m=20)の記録素子13が設けられている。なお、本実施の形態では、磁気記録ヘッド14は、記録面14A単位で磁気潜像Pの形成を行なう。
【0028】
ここで、図4を参照して、本実施の形態に係る磁気記録ヘッド14による磁気潜像の形成について説明する。なお、同図に黒塗り潰しで示す領域は、画像が形成される(トナーが付着する)ように駆動される記録素子13を示している。また、同図において、磁気潜像形Pの後にハイフン(−)を用いて示す数字は、磁気記録ヘッド14による磁気潜像Pの形成順序を示す。なお、実際には多数の磁気潜像Pが形成されるが、同図では省略して一部の磁気潜像Pだけを示す。
【0029】
なお、SOS(潜像形成開始位置:Start Of Scan)60とEOS(潜像形成終了位置:End Of Scan)62の間が画像形成領域64とされており、EOS62とSOS60との間は非画像形成領域66とされている。また、SOS60、EOS62は、磁気ドラム12に光学的又は磁気的に読取可能なマークであり、不図示の光学的又は磁気的にマークを読み取る読取センサによりマークを読み取ることにより磁気ドラム12の回転位置を検知する。
【0030】
同図に示されるように、本実施の形態では、磁気記録ヘッド14は、ガイドレール15の予め設定された記録開始位置に移動され、回転する磁気ドラム12のSOS60に応じて1回目の磁気潜像形成が行われ、磁気潜像P1−1が形成される。その後、磁気ドラム12が磁気潜像Pの形成領域の回転方向Aの長さ分だけ回転されたタイミングで2回目の磁気潜像形成が行われ、磁気潜像P1−2が形成される。このようにして、磁気ドラム12のEOS62まで繰り返し画像データに応じた磁気潜像P1−1〜P1−nの形成が行われる。
【0031】
このようにして、磁気ドラム12の1周分の磁気潜像の形成が終了すると、磁気記録ヘッド14は記録面14Aが潜像形成領域Pと重なる位置に対向しないように、磁気潜像形成領域Pの移動方向Dの長さに応じてスライド移動される。これにより、上述したP1−1〜P1−nの形成と同様にして、磁気潜像P2−1〜P2−nの形成が行われる。
【0032】
この動作を繰り返すことにより、磁気潜像P3−1〜P3−n,P4−1〜P4−n,・・・が順次形成される。
【0033】
なお、磁気記録ヘッド14による磁気潜像の形成中は、消磁装置28により消磁は行なわず、また、現像装置16は磁気ドラム12から離間する。また、転写ローラ24については、磁気ドラム12から離間させる構成として中間転写体26を磁気ドラム12から離間させてもよいし、転写ローラ24は離間させずにそのまま中間転写体26も回転させるようにしてもよい。
【0034】
また、図6(A)には、図3(A)に示される記録ヘッド14により磁気潜像Pを形成して得られる画像Qが模式的に示されている。
【0035】
ところで、図3(B)に示されるように、記録ヘッド14の記録面14Aが、磁気ドラム12の回転方向Aに対して傾いた状態で取り付けられること場合がある。
【0036】
図5には、図3(B)に示される記録ヘッド14を、図4に示す例と同様の画像形成制御を実行した場合の磁気潜像Pと磁気ドラム12との状態が示されている。同図に示されるように、記録面14Aが傾いている場合、各磁気潜像Pは、記録ヘッド14の移動方向Dにおいては互いに一部重なってしまう。また、各磁気潜像Pの間には、隙間が空いてしまう。
【0037】
図6(B)には、図3(B)に示される記録ヘッド14により磁気潜像Pを形成して得られる画像Qが模式的に示されている。同図に示されるように、画像Qでは、本来直線が形成されるべきであるのに、途切れた斜めの線が形成されてしまう。さらに、同図にQEで示すように、画像の一部がはみ出してしまう。
【0038】
そこで、本実施の形態では、記録ヘッド14の記録面14Aの取付け角度を検出して、この取付け角度に応じて画像形成制御を実行するようにしている。
【0039】
本実施形態に係る画像形成装置10は、磁気記録ヘッド14の磁気ドラム12の回転方向Aの下流側に磁気検出センサ42を設けると共に、磁気ドラム12の周面に、基準ライン44を設けている。
【0040】
磁気検出センサ42は、磁気ドラム12の周面の磁気を検出する検出素子が磁気ドラム12の回転軸心方向の全幅にわたり複数個並べられて構成されている。また、基準ライン44は、磁気ドラム12の周面に回転軸心方向に沿ってライン状に磁化された領域である。なお、この基準ライン44は、予め磁気ドラム12上の非画像形成領域66に形成されている。
【0041】
図7には、本実施形態に係る記録ヘッド14の取付け角度検知処理及び画像形成制御に関する機能ブロック図が示されている。同図に示されるように、画像形成制御は、画像処理部50、画像メモリ52、磁気記録ヘッド駆動制御部54により実行される。
【0042】
画像処理部50は、画像形成装置10により形成すべき画像を示す画像データに対して、階調値を二値化する二値化処理等の予め設定された画像処理を施す。また、画像メモリ52は、画像処理部50から出力された画像データを一時的に記憶する。
【0043】
磁気記録ヘッド駆動制御部54は、移動制御部56と、記録素子駆動制御部58と、を含んで構成されている。移動制御部56は、磁気記録ヘッド14のガイドレール15上の移動を制御する。また、記録素子駆動制御部58は、画像メモリ52に記憶された画像データに基づいて記録面14Aに設けられた400個の記録素子13の駆動状態を各々に制御する。
【0044】
一方、取付け角度検知処理は、主として磁気記録ヘッド駆動制御部54と、磁気検出センサ42と、取付け角度導出部46と、により実行される。磁気検出センサ42の出力端は、取付け角度導出部46の入力端に接続されている。また、取付け角度導出部46の出力端は、画像処理部50及び磁気記録ヘッド駆動制御部54に接続されている。
【0045】
ここで、磁気記録ヘッド駆動制御部54には、取付け角度検知処理の実行時に、角度検知用潜像形成指示が入力されるようになっている。角度検知用潜像形成指示が入力されると、記録素子駆動制御部58では、磁気記録ヘッド14の矢印D方向に並ぶ1ライン分の記録素子13を駆動して磁気ドラム12上に角度検知用潜像45を形成する。
【0046】
取付け角度導出部46は、磁気検出センサ42による角度検知用潜像45の検出タイミングと基準ライン44の検出タイミングとに基づいて取付け角度を導出する。
【0047】
図8には、磁気検出センサ42により検出される基準ライン44と角度検知用潜像45との関係の一例が示されている。なお、磁気検出センサ42において、角度検知用潜像45の両端部を検出した検出素子x、yとする。また、検出素子x、yにおいてそれぞれ角度検知用潜像45を検出してから基準ライン44を検出するまでの時間をそれぞれT1、T2とする。なお、時間T1、T2の計時は、不図示のカウンタのカウント値を用いて実行される。
【0048】
図8(A)に示す例は、記録面14Aの取付け角度が0度の場合である。同図に示されるように、取付け角度が0度である場合、角度検知用潜像45は基準ライン44と平行な直線となる。したがって、T1=T2となる。
【0049】
また、図8(B)に示す例は、記録面14Aの取付け角度が5度の場合である。同図に示されるように、記録面14Aが傾いている場合、T1≠T2となる。
【0050】
なお、図8(C)には、磁気検出センサ42が傾いて取り付けられた場合の一例が示されている。同図に示されるように、この場合でも、基準ライン44と角度検知用潜像45との相対位置は変わらないので、T1とT2との関係は変わらない。
【0051】
このように、取付け角度導出部46は、T1とT2との関係から、取付け角度を導出することができる。なお、T1とT2との差の絶対値に応じた取付け角度を示すテーブルを予め記憶しておき、当該テーブルを用いて導出してもよいし、予め取付け角度を導出するための演算式を格納しておき、演算式を用いて導出するようにしてもよい。
【0052】
画像処理部50は、磁気記録ヘッド14により形成すべき画像データを取付け角度導出部46により導出された取付け角度に応じて回転させる回転処理部48を含んで構成されている。
【0053】
図9に示されるように、例えば、記録面14Aの取付け角度がα度である場合、画像データaをそのまま出力すると、出力画像bはα度傾いた画像となってしまう。そこで、本実施形態では、回転処理部48により、記録面14Aの取付け角度がα度の場合、画像データaを−α度だけ回転させてから出力するようにしている。この結果、出力画像dは、傾きのない状態となる。
【0054】
一方、図5に示したように、記録面14Aが傾いている場合に、通常と同様の制御を行って磁気潜像Pの形成を行った場合、各磁気潜像Pは、記録ヘッド14の移動方向Dにおいては互いに一部重なったり、各磁気潜像Pの間に隙間が空いたりしてしまう。
【0055】
そこで、本実施形態では、図10(A)に示されるように、隙間なく磁気潜像を形成できるように記録領域を重複させるように移動制御部56によりガイドレール15上の移動量を変更すると共に、記録素子駆動制御部58による磁気潜像Pの形成タイミングを変更する。更に、各磁気潜像が重なる領域の記録素子13(同図に塗りつぶしで示す記録素子)については、重複して潜像を形成しないように、非駆動とする(図10(B)参照)。
【0056】
そして、図11(A)に示されるように、記録素子駆動制御部58では、非駆動とする記録素子13を除き、移動量及び画像形成タイミングを変更した状態で回転された画像データに基づく画像記録を実行する。
【0057】
図11(B)には、図11(A)に示されるように記録素子13を駆動して出力された画像が一例として示されている。同図に示されるように、出力された画像は、傾きが低減される。
【0058】
以下、本実施の形態の作用を説明する。
【0059】
図12には、磁気記録ヘッド14の記録面14Aの取付け角度を検知するための取付け角度検知処理の流れが示されている。以下、同図を参照して、本実施の形態に係る取付け角度検知処理について説明する。
【0060】
なお、当該取付け角度検知処理は、電源投入時や新規磁気潜像形成時等に実行するようにしてもよいし、ユーザの指定により実行するようにしてもよい。
【0061】
まず、ステップ100では、磁気記録ヘッド14による角度検知用潜像45の形成を行い、次のステップ102では、磁気検出センサ42による磁気検出を開始する。
【0062】
次のステップ104では、角度検知用潜像45の検出待ちを行い、その後にステップ106に移行して、角度検知用潜像45を検出した検出素子番号及び検出したときのカウンタのカウント値を記憶し、その後にステップ108に移行する。
【0063】
ステップ108では、角度検知用潜像45を検出した検出素子番号の数が20より少ないか否かを判定し、当該判定が肯定判定となった場合は再びステップ104に戻る。
【0064】
一方、ステップ108で否定判定となった場合はステップ110に移行して、検出素子x、yを特定し、その後にステップ112に移行して、基準ライン44の検出待ちを行う。次のステップ114では、基準ライン44が検出された検出素子番号及び検出したときのカウンタのカウント値を記憶し、その後にステップ116に移行する。ステップ116では、検出素子x、yで基準ライン44が検出されたか否かを判定し、当該判定が否定判定となった場合は再びステップ112に移行する。
【0065】
一方、ステップ116で肯定判定となった場合はステップ118に移行して、検出素子x、yによる角度検知用潜像45検出時のカウント値及び基準ライン44検出時のカウント値に基づいて、時間T1及びT2を導出し、その後にステップ120に移行して、取付け角度を導出し、その後に本取付け角度検知処理を終了する。
【0066】
このようにして取付け角度検知処理により導出された磁気記録ヘッド14の記録面14Aの取付け角度αは、画像処理部50の回転処理部48及び磁気記録ヘッド駆動制御部54に出力される。
【0067】
これにより、回転処理部48では、画像データが−αだけ回転される。また、磁気記録ヘッド駆動制御部54では、移動制御部56により取付け角度αに応じて記録ヘッド14のガイドレール15上の移動量が変更されると共に、記録素子駆動制御部58により取付け角度αに応じて非駆動とされる記録素子13の決定及び印字タイミングの変更が行われる。
ここで、図13に示されるように、磁気ドラム12上の非画像形成領域66に、移動制御部56により変更された移動量に応じた位置に、位置決めマーク70として例えば1ドットの磁気潜像を形成しておき、磁気記録ヘッド14を移動させる際に当該位置決めマーク70を用いてずれ量を検出して微調整するようにしてもよい。
【0068】
この場合、磁気記録ヘッド14が位置決めマーク70の記録位置に対向するまでの間に、予め変更された移動量に応じて磁気記録ヘッド14のガイドレール15上の移動を行っておき、位置決めマーク70の記録位置に対向するタイミングで磁気記録ヘッド14の予め定められたラインの記録素子13により位置決めマーク70を読み取る。
【0069】
図14(A)に示されるように、位置決めの基準となる記録素子13Aにより位置決めマーク70が読み取られた場合には、正しい位置まで移動したと判断することができ、これ以上はガイドレール15上の移動は行わない。
【0070】
また、図14(B)に示されるように、位置決めの基準となる記録素子13Aの近傍の記録素子13により位置決めマーク70が読み取られた場合には、移動量が足りなかったものと判断できる。したがって、基準となる記録素子13Aから読み取られた記録素子13までの素子の数76に応じて磁気記録ヘッド14をガイドレール15に沿って移動させる。なお、同図に示す例では、8画素分だけ矢印D方向に移動させる。
【0071】
図14(C)に示されるように、位置決めの基準となる記録素子13Aの反対側の記録素子13により位置決めマーク70が読み取られた場合には、次回の位置決めマーク70が検出されたと判断できる。すなわち、移動量が多すぎたものと判断して、逆に位置決めマークを読み取った記録素子13の位置に応じた素子の数76(同図に示す例では6画素分)だけ矢印Dとは反対方向に磁気記録ヘッド14を戻すように移動させる。
【0072】
更に、図14(D)に示されるように、2つの位置決めマーク70を読み取ってしまう場合もある。これは、一度の移動量が少なく変更された場合に生じる。この場合は、図面左側の位置決めマーク70を優先にしてずれ量を検出する。同図に示す例では、1画素分、矢印D方向に移動させる。
【0073】
なお、位置決めマーク70は、図15に示されるように、ライン状位置決めマーク70Lとしてもよい。ライン状位置決めマーク70Lを用いることにより、図14で説明した判断を繰り返し行うことで、ライン状位置決めマーク70Lをなぞるようにして移動させることができるので、図13に示す位置決めマーク70を用いる場合と比較して、位置決め精度が高くなる。
【0074】
なお、上記実施形態で説明した画像形成装置10の構成及び各種処理の流れは一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲で適宜変更し得ることは言うまでもない。
【0075】
例えば、上記実施形態では、画像形成装置10として、液体現像剤を用いる構成について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、粉体の磁性トナーを利用した現像剤を用いるいわゆる乾式の画像形成装置に適用してもよい。
【0076】
また、上述の各実施の形態で説明した本発明の各種処理の機能の一部または全部を、コンピュータにより実行可能なプログラムによって実現することが可能である。その場合、そのプログラム及びそのプログラムが用いるデータなどは、コンピュータが読み取り可能な記憶媒体に記憶することも可能である。記憶媒体としては、コンピュータのハードウエア資源に備えられている読取部に対して、プログラムの記述内容に応じて、磁気、光、電気等のエネルギーの変化状態を引き起こして、それに対応する信号の形式で、読取部にプログラムの記述内容を伝達できるものである。例えば、光磁気ディスク、光ディスク(CDやDVDなどを含む)、磁気ディスク、メモリ(ICカード、メモリカードなどを含む)等である。もちろんこれらの記憶媒体は、可搬型に限られるものではない。
【0077】
これらの記憶媒体にプログラムを格納しておき、例えばコンピュータの読取部あるいはインタフェースにこれらの記憶媒体を装着することによって、コンピュータからプログラムを読み出し、内部メモリまたはハードディスクに記憶し、CPUによってプログラムを実行することによって、本発明の各種処理の機能を実現することができる。あるいは、ネットワークなどを介してプログラムをコンピュータに転送し、コンピュータでは通信部でプログラムを受信して内部メモリまたはハードディスクに記憶し、CPUによってプログラムを実行することによって、本発明の各種処理の機能を実現してもよい。なお、コンピュータには、このほかインタフェースを介して様々な装置と接続することができ、例えば情報を表示する表示装置やユーザが情報を入力する入力装置等も接続されている。
【0078】
もちろん、一部の機能についてハードウエアによって構成することもできるし、すべてをハードウエア構成としてもよい。あるいは、他の構成とともに本発明も含めたプログラムとして構成することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】実施の形態に係る画像形成装置の構成を示す概略図である。
【図2】実施の形態に係る画像形成装置の磁気記録ヘッドの構成が示されている。
【図3】実施形態に係る画像形成装置の磁気記録ヘッドの記録面の構成を示す模式図であり、(A)は取付け角度0度、(B)は取付け角度10度の場合を示す。
【図4】実施の形態に係る磁気記録ヘッドによる磁気潜像の形成についての説明図である。
【図5】図3(B)に示される記録ヘッドを、図4に示す例と同様の画像形成制御を実行した場合の磁気ドラムの状態が示されている。
【図6】(A)は図3(A)に示される記録ヘッドにより磁気潜像Pを形成して得られる画像Qを示す模式図、(B)は図3(B)に示される記録ヘッドにより磁気潜像Pを形成して得られる画像Qを示す模式図である。
【図7】実施形態に係る記録ヘッドの取付け角度検知処理及び画像形成制御に関する機能ブロック図である。
【図8】磁気検出センサにより検出される基準ラインと角度検知用潜像との関係の一例が示されている。(A)に示す例は、記録面の取付け角度が0度の場合である。(B)に示す例は、記録面の取付け角度が5度の場合である。(C)には、磁気検出センサが傾いて取り付けられた場合の一例が示されている。
【図9】記録面14Aの取付け角度がα度である場合の、入力された画像データa、そのまま出力して得られる出力画像b、画像データaを−α度回転させた画像データc、画像データcを出力して得られる出力画像dを示す模式図である。
【図10】ガイドレール上の磁気記録ヘッドの移動量の変更及び磁気潜像の形成タイミングの変更、 駆動素子の変更についての説明図である。
【図11】移動量及び画像形成タイミングを変更した状態で回転された画像データに基づく画像記録を実行する場合の説明図である。
【図12】実施の形態に係る取付け角度検知処理の流れを示すフローチャートである。
【図13】磁気ドラム上の非画像形成領域に、位置決めマークを形成する場合の説明図である。
【図14】磁気記録ヘッドによる位置決めマークの読取及び磁気記録ヘッドの移動量の調整に関する説明図である。
【図15】位置決めマークをライン状とした場合の説明図である。
【符号の説明】
【0080】
10 画像形成装置
12 磁気ドラム
12A 磁気潜像記録層
13 記録素子
14A 記録面
14 磁気記録ヘッド
15 ガイドレール
16 現像装置
18 現像ローラ
20 貯留槽
22 磁性トナー
24 転写ローラ
26 中間転写体
28 消磁装置
42 磁気検出センサ
44 基準ライン
45 角度検知用潜像
46 角度導出部
48 回転処理部
50 画像処理部
52 画像メモリ
54 磁気記録ヘッド駆動制御部
56 移動制御部
58 記録素子駆動制御部
64 画像形成領域
66 非画像形成領域
70 マーク
70L マーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転駆動される磁気ドラムの周面に磁気情報を書き込み可能な磁気記録素子を主走査方向及び副走査方向に複数配列した記録面単位で磁気潜像を形成する磁気記録装置と、
前記磁気記録装置による前記磁気潜像の形成位置を制御する位置制御手段と、
画像情報に基づいて各磁気記録素子による書き込み動作を制御する書き込み制御手段と、
前記磁気記録装置の取り付け角度を検知する検知手段と、
前記検知手段により検知された角度に応じて前記磁気記録装置により記録する画像情報を記録前に回転させる回転処理手段と、
前記検知手段により検知された角度に応じて書き込み動作を制御する磁気記録素子を決定することにより前記記録面の形状を実質的に変更し、当該変更に応じて前記磁気潜像が隙間なく形成されるように前記磁気潜像の形成位置を制御すると共に、前記回転処理手段により回転された画像情報に基づいて前記各磁気記録素子による書き込み動作を制御するように前記位置制御手段及び前記書き込み制御手段を制御する制御手段と、
を備えた画像形成装置。
【請求項2】
前記磁気ドラムの周面に予め書き換え不可能な磁気潜像として形成された基準ラインと、
前記磁気ドラムの周面に形成された磁気潜像を検出可能な検出手段と、
を更に備え、
前記制御手段は、前記検知手段による前記取付け角度の検知を行う場合に、前記磁気記録装置の記録面に配列された何れか1列分の磁気記録素子により前記磁気ドラムに直線を示す角度検知用磁気潜像を形成するように前記書き込み制御手段を制御し、
前記検知手段は、前記検出手段による磁気潜像の検出結果に基づいて前記角度検知用磁気潜像及び前記基準ラインの位置関係を特定することにより前記磁気記録装置の前記磁気ドラムに対する取り付け角度を検知する請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記磁気記録装置により、前記磁気潜像の前記磁気ドラムの回転軸心方向の形成位置情報を予め前記磁気ドラムの周面に記録すると共に、当該磁気ドラムの周面に形成された形成位置情報を用いて前記磁気記録装置の位置決めを行なうように前記位置制御手段を制御する請求項1又は請求項2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記磁気ドラムの周面に予め形成する形成位置情報は、前記磁気記録装置の移動軌跡に沿った連続的な線状である請求項3記載の画像形成装置。
【請求項5】
コンピュータに、
回転駆動される磁気ドラムの周面に磁気情報を書き込み可能な磁気記録素子を主走査方向及び副走査方向に複数配列した記録面単位で磁気潜像を形成する磁気記録装置の取り付け角度を検知する検知ステップ、
前記検知ステップにより検知された角度に応じて前記磁気記録装置により記録する画像情報を記録前に回転させるための回転角度を設定する設定ステップ、
前記検知ステップにより検知された角度に応じて書き込み動作を制御する磁気記録素子を決定する決定ステップ、
前記決定ステップにより変更された前記記録面の形状に応じて前記磁気潜像が隙間なく形成されるように前記磁気潜像の形成位置を導出する導出ステップ、
前記設定ステップにより設定された回転角度で回転した画像情報に基づいて前記各磁気記録素子による書き込み動作を制御することで磁気潜像を形成させる磁気潜像形成ステップ、
を実行させる画像形成制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2009−103879(P2009−103879A)
【公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−274935(P2007−274935)
【出願日】平成19年10月23日(2007.10.23)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】