説明

画像形成装置及び画像形成方法

【課題】 電気粘性効果を有するインクを用いた場合に、ノズル近傍インクの増粘による吐出不良を防止すると共に、記録媒体上でのインク滴の着弾干渉、浸透滲み、色間滲み等を防止することのできる画像形成装置及び画像形成方法を提供する。
【解決手段】 電気粘性効果を有する液滴を記録媒体に向けて吐出する吐出ヘッドと、前記記録媒体を挟んで、前記吐出ヘッドの吐出面に対向する位置に配置され、前記記録媒体を保持する保持手段と、前記保持手段に配設され、第1の電極及び第2の電極から成る電極対と、前記電極対に電圧を印加する電圧印加手段と、を備え、前記電圧印加手段により前記電極対に所定の電圧を印加した際に、前記記録媒体上における電界強度が、前記記録媒体上の着弾液滴が他の液滴と干渉を起こさない程度若しくは前記着弾液滴の前記記録媒体に対する浸透速度が所定値以下になる程度であると共に、前記吐出ヘッドの吐出面における電界強度が、前記吐出ヘッドの液滴吐出に影響を与えない程度であることを特徴とする画像形成装置を提供することにより、前記課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は画像形成装置及び画像形成方法に係り、特に、ノズルから液滴を吐出して記録媒体上に画像を形成する画像形成装置及び画像形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェット方式の画像形成装置は、印字ヘッドに備えられるノズルよりインクを吐出して記録媒体上に画像を形成する。このような画像形成装置において、記録媒体上に先に着弾した第1のインク液滴に対して、第1のインク液滴に重なるように後から第2のインク液滴を着弾させた場合、記録媒体上に第1のインク液滴が未定着で残っていると、第2のインク液滴と未定着の第1のインク液滴が重なった部分で液滴同士が混合して、本来のドット形状が崩れてしまったり、異なる色のインク同士の場合では混色が発生し、画像劣化を引き起こしてしまったりする。なお、記録媒体上で重ねて打滴されたインク液滴同士が混合してしまうことは「着弾干渉」又は「打滴干渉」と呼ばれている。
【0003】
そこで、このような記録媒体上での着弾干渉やインクの滲みや混色等を防止するため、電気粘性流体を利用する技術が提案されている(特許文献1乃至特許文献3参照)。
【0004】
特許文献1には、電気粘性効果を有する記録液を記録媒体に付着させた後、記録液の付着した記録媒体に電界を印加することによって、記録ドットの浸透を抑制し、滲みや濃度の低下を防止する技術が開示されている。
【0005】
特許文献2には、電気粘性効果を有する記録液を記録ヘッド(印字ヘッド)により液滴化させ、表面に電界が形成された中間転写媒体に付着させることにより、中間転写媒体上で液滴の粘度を上昇させ、増粘した状態の液滴を被転写媒体(記録媒体)に対して転写を行い、記録ドットの過剰な拡がり、或いは混色を防止する技術が開示されている。同文献には、記録ヘッドの液滴吐出を安定的に行うため、記録ヘッド内の記録液に印加される電界の強度をゼロ、或いは電界印加時の記録液の粘度が所定値以下になるように調整する必要があることが記載されている。
【0006】
特許文献3には、電気粘性効果を有する記録液を記録ヘッドにより液滴化させ、電界が形成された被転写媒体上に付着させることにより、記録液滴の粘性或いは降伏値を瞬時に増大させ、記録ドットの滲みやヒゲ、混色を防止する技術が開示されている。同文献には、特許文献2と同様に、記録ヘッド内の記録液に印加される電界の強度を調整する必要があることが記載されている。
【0007】
また、これらの文献では、電界形成手段として、コロトロンデバイス等の帯電デバイスを使用し、被転写媒体又は中間転写媒体の記録液付着面に電荷を付与し、その面上に電界を形成する方法や、被転写媒体を挟むようにして電極対を設け、電極対に直流電圧を印加して電界を形成する方法等が例示されている。
【特許文献1】特開平2−212149号公報
【特許文献2】特開平5−4342号公報
【特許文献3】特開平5−4343号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1乃至特許文献3に開示された電界形成手段によって電界を形成しても、記録媒体上の着弾液滴の粘度は十分に上昇せず、記録媒体上での液滴同士の着弾干渉や、着弾液滴の記録媒体に対して浸透して滲んだ状態になってしまう浸透滲み、色間滲み等が生じてしまうことが、発明者の実験により明らかになった。
【0009】
また記録ヘッドの吐出不良が生じる記録液の粘度は、記録媒体上で液滴同士の着弾干渉等を防止できる粘度より遥かに小さく、記録媒体上の液滴が着弾干渉を回避するのに必要な粘度の百分の1から千分の1程度である。そのため記録媒体上の着弾液滴に対して電界を印加する場合には、記録ヘッド内の記録液の増粘も考慮に入れて画像形成装置の設計等を行わなければならない。しかしながら特許文献2及び特許文献3には、記録ヘッド内の記録液に印加する電界の強度を調整する必要性が記載されているが、その具体的手段は明らかにされていない。
【0010】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、電気粘性効果を有するインクを用いた場合に、ノズル近傍インクの増粘による吐出不良を防止すると共に、記録媒体上でのインク滴の着弾干渉、浸透滲み、色間滲み等を防止することのできる画像形成装置及び画像形成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、電気粘性効果を有する液滴を記録媒体に向けて吐出する吐出ヘッドと、前記記録媒体を挟んで、前記吐出ヘッドの吐出面に対向する位置に配置され、前記記録媒体を保持する保持手段と、前記保持手段に配設され、第1の電極及び第2の電極から成る電極対と、前記電極対に電圧を印加する電圧印加手段と、を備え、前記電圧印加手段により前記電極対に所定の電圧を印加した際に、前記記録媒体上における電界強度が、前記記録媒体上の着弾液滴が他の液滴と干渉を起こさない程度若しくは前記着弾液滴の前記記録媒体に対する浸透速度が所定値以下になる程度であると共に、前記吐出ヘッドの吐出面における電界強度が、前記吐出ヘッドの液滴吐出に影響を与えない程度であることを特徴とする画像形成装置を提供する。
【0012】
本発明によれば、電極対に所定の電圧が印加されると、記録媒体上に着弾した液滴に対して、電極対を接続する略円弧状の電気力線を有する電界が印加される。このとき記録媒体上の電界強度及び吐出ヘッドの吐出面における電界強度が所定の範囲となるように構成されているため、吐出ヘッドの吐出面における吐出不良を防止すると共に、記録媒体上の着弾液滴の着弾干渉、浸透滲み、混色滲み等を防止することができる。
【0013】
また記録媒体の液滴着弾面の裏側に電極対が配設されているので、電極対に電圧が印加された場合、記録媒体上の液滴に対して電界が印加されると共に、この液滴に微小電流が流れる。このような作用は、電気粘性効果を有する液滴の粘度を上昇させるのに好適であり、着弾干渉、浸透滲み、色間滲み等を確実に防止することができる。
【0014】
「第1の電極及び第2の電極から成る電極対」は、第1の電極及び第2の電極に相対的な電位差が与えられた場合(すなわち電圧が印加された場合)、電極対周辺部に所定の電界強度の電界を発生させる。従って、第1の電極及び第2の電極から成る電極対には、一方の電極を正の電位、他方の電極を負の電位とするような正負の電極はもちろん、いずれの電極も正又は負とするような電極対も含まれる。
【0015】
「浸透速度の所定値」とは、記録媒体に着弾した液滴が定着するまでの間に記録媒体に浸透して滲んだ状態になるまでの速度をいう。
【0016】
「液滴吐出に影響を与えない程度」とは、インク不吐出、吐出位置のずれ、吐出量ずれ、吐出時間遅れ等の吐出不良が生じないことをいう。
【0017】
「記録媒体」は、インクジェットヘッドの作用によって画像の記録を受ける媒体(印字媒体、被画像形成媒体、被記録媒体、受像媒体など呼ばれ得るもの)であり、連続用紙、カット紙、シール用紙、OHPシート等の樹脂シート、フイルム、布、インクジェットヘッドによって配線パターン等が形成されるプリント基板、その他材質や形状を問わず、様々な媒体を含む。
【0018】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の画像形成装置であって、前記第1の電極と前記第2の電極は、前記電圧印加手段により前記電極対に所定の電圧を印加した際に、前記記録媒体上における電界強度が、前記記録媒体上の着弾液滴が他の液滴と干渉を起こさない程度若しくは前記着弾液滴の前記記録媒体に対する浸透速度が所定値以下になる程度であると共に、前記吐出ヘッドの吐出面における電界強度が、前記吐出ヘッドの液滴吐出に影響を与えない程度となるような距離をおいて配置されていることを特徴とする。
【0019】
請求項2の態様によれば、第1の電極と第2の電極を所定の距離をおいて配置することによって、請求項1と同様に、吐出ヘッドの吐出面における吐出不良を防止すると共に、記録媒体上の着弾液滴の着弾干渉、浸透滲み、混色滲み等を防止することができる。
【0020】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の画像形成装置であって、前記第1の電極及び前記第2の電極は、それぞれ複数の櫛歯部を有する略櫛歯状の平面形状を有し、前記第1の電極の櫛歯部と前記第2の電極の櫛歯部とは交互に配設され、前記第1の電極の櫛歯部と前記第2の電極の櫛歯部は、前記電圧印加手段により前記電極対に所定の電圧を印加した際に、前記記録媒体上における電界強度が、前記記録媒体上の着弾液滴が他の液滴と干渉を起こさない程度若しくは前記着弾液滴の前記記録媒体に対する浸透速度が所定値以下になる程度であると共に、前記吐出ヘッドの吐出面における電界強度が、前記吐出ヘッドの液滴吐出に影響を与えない程度となるような距離をおいて配置されていることを特徴とする。
【0021】
請求項3の態様によれば、電極対に所定の電圧が印加されると、記録媒体上に着弾した液滴に対して、正の電極の櫛歯部と負の電極の櫛歯部を接続する略円弧状の電気力線を有する電界が印加される。正の電極の櫛歯部と負の電極の櫛歯部を所定の距離をおいて配置することにより、請求項2と同様に、吐出ヘッドの吐出面における吐出不良を防止すると共に、記録媒体上の着弾液滴の着弾干渉、浸透滲み、混色滲み等を防止することができる。
【0022】
請求項4に記載の発明は、請求項2に記載の画像形成装置であって、前記第1の電極及び前記第2の電極は、それぞれ複数の電極片を有し、前記第1の電極の電極片と前記第2の電極の電極片は交互にマトリクス状に配設され、前記第1の電極の電極片と前記第2の電極の電極片は、前記電圧印加手段により前記電極対に所定の電圧を印加した際に、前記記録媒体上における電界強度が、前記記録媒体上の着弾液滴が他の液滴と干渉を起こさない程度若しくは前記着弾液滴の前記記録媒体に対する浸透速度が所定値以下になる程度であると共に、前記吐出ヘッドの吐出面における電界強度が、前記吐出ヘッドの液滴吐出に影響を与えない程度となるような距離をおいて配置されていることを特徴とする。
【0023】
請求項4の態様によれば、電極対に所定の電圧が印加されると、記録媒体上に着弾した液滴に対して、正の電極の電極片と負の電極の電極片を接続する略円弧状の電気力線を有する電界が印加される。正の電極の電極片と負の電極の電極片を所定の距離をおいて配置することによって、請求項2と同様の効果を奏する。なお本発明の実施に際しては、電極片の平面形状は特に限定されず、例えば略正方形状、略長方形状、略円状、略楕円状等の任意の形状でよい。
【0024】
また、本発明は前記目的を達成する方法発明を提供する。すなわち、本発明に係る画像形成装置における画像形成方法は、電気粘性効果を有する液滴を記録媒体に向けて吐出する吐出ヘッドと、前記記録媒体を挟んで、前記吐出ヘッドの吐出面に対向する位置に配置され、前記記録媒体を保持する保持手段と、前記保持手段に配設され、第1の電極及び第2の電極から成る電極対と、前記電極対に電圧を印加する電圧印加手段と、を備えた画像形成装置の画像形成方法であって、前記電圧印加手段により前記電極対に所定の電圧を印加した際に、前記記録媒体上における電界強度が、前記記録媒体上の着弾液滴が他の液滴と干渉を起こさない程度若しくは前記着弾液滴の前記記録媒体に対する浸透速度が所定値以下になる程度であると共に、前記吐出ヘッドの吐出面における電界強度が、前記吐出ヘッドの液滴吐出に影響を与えないように、前記第1の電極と前記第2の電極の距離を設定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、電極対に電圧が印加されると、記録媒体上に着弾した液滴に対して、電極対を接続する略円弧状の電気力線を有する電界が印加される。このとき記録媒体上の電界強度及び吐出ヘッドの吐出面における電界強度が所定の範囲となるように構成されているため、吐出ヘッドの吐出面における吐出不良を防止すると共に、記録媒体上の着弾液滴の着弾干渉、浸透滲み、混色滲み等を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、添付図面に従って本発明の好ましい実施の形態について詳説する。
【0027】
〔インクジェット記録装置の全体構成〕
〔第1の実施形態;インクジェット記録装置の全体構成〕
図1は本発明の第1の実施形態に係るインクジェット記録装置の全体構成図である。同図に示すように、このインクジェット記録装置10は、各インク色に対応して設けられた複数の印字ヘッド12K,12M,12C,12Yと、各印字ヘッド12K,12M,12C,12Yに供給するインク(本例では電気粘性効果を有する紫外線硬化型インク)を貯蔵しておくインク貯蔵/装填部14と、印字ヘッド12Yの紙搬送方向下流側(図1中左方向)に配置された紫外線光源(UV光源)16と、メディア(記録媒体)20を供給するメディア供給部22と、メディア20のカールを除去するデカール処理部24と、印字ヘッド12K,12M,12C,12Yのノズル面(インク吐出面)及びUV光源16の光出射面に対向して配置され、メディア20の平面性を保持しながらメディア20を搬送する搬送部26と、記録済みの記録紙(プリント物)を外部に排紙する排紙部28と、を備えている。
【0028】
インク貯蔵/装填部14は、各印字ヘッド12K,12M,12C,12Yに対応する色のインクを貯蔵するインクタンク14K,14M,14C,14Yを有し、各タンクは所要の管路30を介して印字ヘッド12K,12M,12C,12Yと連通されている。また、インク貯蔵/装填部14は、インク残量が少なくなるとその旨を報知する報知手段(表示手段、警告音発生手段)を備えるとともに、色間の誤装填を防止するための機構を有している。
【0029】
本実施形態では描画インクとして、紫外線硬化型のインクに電気粘性(Electro Rheological)効果を持たせた電気粘性流体を用いる。電気粘性流体とは、電界を付与(電圧印加)することにより瞬間的に見かけ上の粘度が上昇する液体であり、電界のオン/オフにより粘度が可逆的に変化するものである。このような電気粘性流体には、分散型と、均一系の2種類がある。
【0030】
分散型は、電気絶縁性溶媒中に誘電体微粒子が液体内に分散させられたもので、電界が付与されない状態では、微粒子が分散されたままの状態で、粘性の低い状態であるが、電界を付与すると、分極した粒子が電界方向に繋がった鎖状構造(橋)を形成し、この橋が流体の粘度を増大させる働きをするため流体の粘度が上昇したような挙動をとるものである。分散型の電気粘性流体には、含水系と非含水系がある。
【0031】
また、均一系は、液晶などのように分子やドメインが電界方向に配向し、異方性を示すものである。均一系の電気粘性流体は現状では粘性変化が少ないため、インクジェットプリンタ用途には分散型の電気粘性流体が向くと考えられている。
【0032】
本実施形態では、紫外線硬化型のインクに電気粘性効果を持たせるようにしているが、このようなインクの製造方法としては、例えば、少なくとも放射線硬化モノマー、重合開始剤を含む液体に固体微粒子(シリカゲル、澱粉、デキストリン、カーボン、石膏、ゼラチン、アルミナ、セルロース、マイカ、ゼオライト、カオライト等)を分散させる方法や、顔料微粒子そのものを電気粘性効果の分散剤として利用する方法や、染料または顔料をマイクロカプセル化し、その表面を絶縁処理することにより電気粘性効果の分散剤として利用する方法、或いは、均一系電気粘性流体を混合させる方法などが考えられる。
【0033】
図1において、メディア給紙部22の一例としてロール紙(連続用紙)のマガジン32が示されているが、紙幅や紙質等が異なる複数のマガジンを併設してもよい。また、ロール紙のマガジンに代えて、又はこれと併用して、カット紙が積層装填されたカセットによって用紙を供給してもよい。
【0034】
複数種類のメディアを利用可能な構成にした場合、メディアの種類情報を記録したバーコード或いは無線タグなどの情報記録体をマガジンに取り付け、その情報記録体の情報を所定の読取装置によって読み取ることで、使用されるメディアの種類を自動的に判別し、メディア種類に応じて適切なインク吐出を実現するようにインク吐出制御を行うことが好ましい。
【0035】
メディア供給部22から送り出されるメディア20はマガジン32に装填されていたことによる巻きクセが残り、カールする。このカールを除去するために、デカール処理部24においてマガジン32の巻きクセ方向と逆方向に加熱ドラム34でメディア20に熱を与える。このとき、多少印字面が外側に弱いカールとなるように加熱温度を制御するとより好ましい。
【0036】
ロール紙を使用する装置構成の場合、図1のように、裁断用のカッター38が設けられており、該カッター38によってロール紙は所望のサイズにカットされる。カッター38は、メディア20の搬送路幅以上の長さを有する固定刃38Aと、該固定刃38Aに沿って移動する丸刃38Bとから構成されており、印字裏面側に固定刃38Aが設けられ、搬送路を挟んで印字面側に丸刃38Bが配置される。なお、カット紙を使用する場合には、カッター38は不要である。
【0037】
デカール処理後、カットされたメディア20は、搬送部26へと送られる。搬送部26は、ローラ41,42間に無端状のベルト状電極ユニット(静電吸着ベルト)43が巻き掛けられた構造を有し、少なくとも各ヘッド12K,12M,12C,12Yのノズル面に対向する部分が水平面(フラット面)をなすように構成されている。
【0038】
直流高圧発生器100によって直流高電圧がローラ41に印加されると、ローラ41に巻き掛けられているベルト状電極ユニット43は帯電し、静電吸着効果によって、メディア20はベルト状電極ユニット43上に吸着保持される。
【0039】
ベルト状電極ユニット43が巻かれているローラ41,42の少なくとも一方にモータ(図1中不図示,図7中符号134として記載)の動力が伝達されることにより、ベルト状電極ユニット43は図1上で反時計回り方向に駆動され、該ベルト状電極ユニット43上に保持されたメディア20は図1の右から左へと搬送される。
【0040】
各印字ヘッド12K,12M,12C,12Yは、当該インクジェット記録装置10が対象とするメディア20の最大紙幅に対応する長さを有し、そのノズル面には最大サイズのメディア20の少なくとも一辺を超える長さ(描画可能範囲の全幅)にわたりインク吐出用のノズルが複数配列されたフルライン型のヘッドとなっている。
【0041】
印字ヘッド12K,12M,12C,12Yは、メディア20の送り方向に沿って上流側から黒(K)、マゼンタ(M)、シアン(C)、イエロー(Y)の色順に配置され、それぞれの印字ヘッド12K,12M,12C,12Yがメディア20の搬送方向と略直交する方向に沿って延在するように固定設置される。
【0042】
搬送部26によりメディア20を搬送しつつ各印字ヘッド12K,12M,12C,12Yからそれぞれ異色のインクを吐出することによりメディア20上にカラー画像を形成し得る。
【0043】
このように、紙幅の全域をカバーするノズル列を有するフルライン型の印字ヘッド12K,12M,12C,12Yを色別に設ける構成によれば、紙送り方向(副走査方向)についてメディア20を印字ヘッド12K,12M,12C,12Yに対して相対移動させる動作を一回行うだけで(すなわち1回の副走査で)、メディア20の全面に画像を記録することができる。このようなシングルパス方式の画像形成装置は、印字ヘッドを主走査方向に往復動作させながら描画を行うシャトルスキャン方式に比べて高速印字が可能であり、プリント生産性を向上させることができる。
【0044】
本例では、KMCYの標準色(4色)の構成を例示したが、インク色や色数の組み合わせは本実施形態に限定されず、必要に応じて淡インク、濃インクを追加してもよい。例えば、ライトシアン、ライトマゼンタなどのライト系インクを吐出する印字ヘッドを追加する構成も可能である。また、各色の印字ヘッドの配置順序も特に限定はない。
【0045】
印字ヘッド12Yの下流に配置されているUV光源16は、印字ヘッド12K,12M,12C,12Yと同様にメディア20の最大紙幅に対応する長さを有し、メディア20の搬送方向と略直交する方向に延在するように固定されている。例えば、UV光源16は、紫外線LED素子又は紫外線LD素子をライン状に配列させた構成から成る。かかる構成によれば、発光素子別に選択的に発光制御が可能であるため、点灯させる発光素子や発光光量を容易に調整でき、紫外線の照射エリアについて所望の照射範囲及び光量(強度)分布を実現できる。
【0046】
UV光源16は、上流側の印字ヘッド12K,12M,12C,12Yによる着弾インク液滴の硬化を促進するための紫外線を照射する。UV光源16によって紫外線照射されたインク液滴は、下流側工程のハンドリングによって画像劣化が起こらない程度に硬化・定着が進んでいることが好ましい。ここでいうハンドリングとは、[1] UV光源16の下流側搬送工程におけるローラや搬送ガイド等と画像面との擦れ、[2] プリント集積部におけるプリント同士の擦れ、[3] 仕上がったプリントを実際に取り扱うときに種々の物体による擦れ、などを意味する。
【0047】
こうして、UV光源16を通過したメディア20(生成されたプリント物)は、ニップローラ47を介して排紙部28から排出される。なお、図1には示さないが、排紙部28にはオーダー別に画像を集積するソーターが設けられる。
【0048】
〔印字ヘッドの構造〕
次に、印字ヘッドの構造について説明する。インク色ごとに設けられている各印字ヘッド12K、12M、12C、12Yの構造は共通しているので、以下、これらを代表して符号50によって印字ヘッドを示すものとする。
【0049】
図2(a)は印字ヘッド50の構造例を示す平面透視図であり、図2(b)はその一部の拡大図である。また、図3は印字ヘッド50の他の構造例を示す平面透視図であり、図4は1つの液滴吐出素子(1つのノズル51に対応したインク室ユニット)の立体的構成を示す断面図(図2中4−4線に沿う断面図)である。
【0050】
メディア20上に印字されるドットピッチを高密度化するためには、印字ヘッド50におけるノズルピッチを高密度化する必要がある。本例の印字ヘッド50は、図2乃至図4に示したように、インク滴の吐出口であるノズル51と、各ノズル51に対応する圧力室52等からなる複数のインク室ユニット(液滴吐出素子)53を千鳥でマトリクス状に(2次元的に)に配置させた構造を有し、これにより、印字ヘッド長手方向(紙送り方向と直交する方向)に沿って並ぶように投影される実質的なノズル間隔(投影ノズルピッチ)の高密度化を達成している。
【0051】
また、図2の構成に代えて、図3に示すように、複数のノズル51が2次元に配列された短尺のヘッドユニット50’を千鳥状に配列して繋ぎ合わせることでメディア20の全幅に対応する長さのノズル列を有するフルラインヘッドを構成してもよい。
【0052】
各ノズル51に対応して設けられている圧力室52は、その平面形状が概略正方形となっており(図2(a),(b)参照)、対角線上の両隅部にノズル51と供給インクの流入口(供給口)54が設けられている。
【0053】
図4に示すように、圧力室52は供給口54を介して共通流路55と連通されている。共通流路55はインク供給源たるインクタンク(図4中不図示、図6中符号60として記載)と連通しており、インクタンク60から供給されるインクは図4の共通流路55を介して各圧力室52に分配供給される。
【0054】
圧力室52の天面を構成している加圧板(共通電極)56には個別電極57を備えたアクチュエータ58が接合されており、個別電極57と共通電極56に駆動電圧を印加することによってアクチュエータ58が変形して圧力室52の容積が変化し、これに伴う圧力変化によりノズル51からインクが吐出される。なおアクチュエータ58には、ピエゾ素子などの圧電体が好適に用いられる。インク吐出後、共通流路55から供給口54を通って新しいインクが圧力室52に供給される。
【0055】
かかる構造を有する多数のインク室ユニット53を図5に示す如く、主走査方向に沿う行方向及び主走査方向に対して直交しない一定の角度θを有する斜めの列方向とに沿って一定の配列パターンで格子状に配列させた構造になっている。
【0056】
すなわち、主走査方向に対してある角度θの方向に沿ってインク室ユニット53を一定のピッチdで複数配列する構造により、主走査方向に並ぶように投影されたノズルのピッチPはd× cosθとなり、主走査方向については、各ノズル51が一定のピッチPで直線状に配列されたものと等価的に取り扱うことができる。このような構成により、主走査方向に並ぶように投影されるノズル列が高密度のノズル構成を実現することが可能になる。
【0057】
なお、印字可能幅の全幅に対応した長さのノズル列を有するフルラインヘッドで、ノズルを駆動する時には、(1)全ノズルを同時に駆動する、(2)ノズルを片方から他方に向かって順次駆動する、(3)ノズルをブロックに分割して、ブロックごとに片方から他方に向かって順次駆動する等が行われ、用紙の幅方向(用紙の搬送方向と直交する方向)に1ライン又は1個の帯状を印字するようなノズルの駆動を主走査と定義する。
【0058】
特に、図5に示すようなマトリクス状に配置されたノズル51を駆動する場合は、上記(3)のような主走査が好ましい。すなわち、ノズル51-11 、51-12 、51-13 、51-14 、51-15 、51-16 を1つのブロックとし(他にはノズル51-21 、…、51-26 を1つのブロック、ノズル51-31 、…、51-36 を1つのブロック、…として)、メディア20の搬送速度に応じてノズル51-11 、51-12 、…、51-16 を順次駆動することでメディア20の幅方向に1ラインを印字する。
【0059】
一方、上述したフルラインヘッドと用紙とを相対移動することによって、上述した主走査で形成された1ライン(1列のドットによるライン又は複数列のドットからなるライン)の印字を繰り返し行うことを副走査と定義する。
【0060】
本発明の実施に際してノズルの配置構造は図示の例に限定されない。また、本実施形態では、ピエゾ素子(圧電素子)に代表されるアクチュエータ58の変形によってインク液滴を飛ばす方法が採用されているが、本発明の実施に際して、インクを吐出させる方式は特に限定されず、ピエゾ方式に代えて、ヒータ等の発熱体によってインクを加熱して気泡を発生させ、その圧力でインク滴を飛ばすサーマルジェット方式等、各種方式を適用できる。
【0061】
〔インク供給系の構成〕
図6はインクジェット記録装置10におけるインク供給系の構成を示した概要図である。インクタンク60は印字ヘッド50にインクを供給するための基タンクであり、図1で説明したインク貯蔵/装填部14に設置される。インクタンク60の形態には、インク残量が少なくなった場合に、不図示の補充口からインクを補充する方式と、タンクごと交換するカートリッジ方式とがある。使用用途に応じてインク種類を代える場合には、カートリッジ方式が適している。この場合、インクの種類情報をバーコード等で識別して、インク種類に応じて吐出制御を行うことが好ましい。なお、図6のインクタンク60は、先に記載した図1のインク貯蔵/装填部14と等価のものである。
【0062】
図6に示したように、インクタンク60と印字ヘッド50の中間には、異物や気泡を除去するためにフィルタ62が設けられている。フィルタ・メッシュサイズは、ノズル径と同等若しくはノズル径以下とすることが好ましい。図6には示さないが、印字ヘッド50の近傍又は印字ヘッド50と一体にサブタンクを設ける構成も好ましい。サブタンクは、ヘッドの内圧変動を防止するダンパー効果及びリフィルを改善する機能を有する。
【0063】
またインクジェット記録装置10には、ノズル51の乾燥防止又はノズル近傍のインク粘度上昇を防止する手段としてのキャップ64と、ノズル面50Aの清掃手段としてのクリーニングブレード66とが設けられている。これらキャップ64及びクリーニングブレード66を含むメンテナンスユニットは、不図示の移動機構によって印字ヘッド50に対して相対移動可能であり、必要に応じて所定の退避位置から印字ヘッド50下方のメンテナンス位置に移動される。
【0064】
キャップ64は、図示せぬ昇降機構によって印字ヘッド50に対して相対的に昇降変位される。電源OFF時や印刷待機時にキャップ64を所定の上昇位置まで上昇させ、印字ヘッド50に密着させることにより、ノズル面50Aをキャップ64で覆う。
【0065】
クリーニングブレード66は、ゴムなどの弾性部材で構成されており、図示せぬブレード移動機構により印字ヘッド50のノズル面50Aに摺動可能である。ノズル面50Aにインク滴又は異物が付着した場合、クリーニングブレード66をノズル面50Aに摺動させることでノズル板表面を拭き取り、ノズル面50Aを清浄する。
【0066】
印字中又は待機中において、特定のノズル51の使用頻度が低くなり、ノズル近傍のインク粘度が上昇した場合、その劣化インクを排出すべくキャップ64に向かって予備吐出が行われる。
【0067】
また、印字ヘッド50内のインク(圧力室内)に気泡が混入した場合、印字ヘッド50にキャップ64を当て、吸引ポンプ67で圧力室内のインク(気泡が混入したインク)を吸引により除去し、吸引除去したインクを回収タンク68へ送液する。この吸引動作は、初期のインクの印字ヘッド50への装填時、或いは長時間の停止後の使用開始時にも粘度上昇(固化)した劣化インクの吸い出しが行われる。
【0068】
印字ヘッド50は、ある時間以上吐出しない状態が続くと、ノズル近傍のインク溶媒が蒸発してノズル近傍のインクの粘度が高くなってしまい、吐出駆動用のアクチュエータ58が動作してもノズル51からインクが吐出しなくなる。したがって、この様な状態になる手前で(アクチュエータ58の動作によってインク吐出が可能な粘度の範囲内で)、インク受けに向かってアクチュエータ58を動作させ、粘度が上昇したノズル近傍のインクを吐出させる「予備吐出」が行われる。また、ノズル面50Aの清掃手段として設けられているクリーニングブレード66等のワイパーによってノズル面50Aの汚れを清掃した後に、このワイパー摺擦動作によってノズル51内に異物が混入するのを防止するためにも予備吐出が行われる。なお、予備吐出は、「空吐出」、「パージ」、「唾吐き」などと呼ばれる場合もある。
【0069】
また、ノズル51や圧力室52に気泡が混入したり、ノズル51内のインクの粘度上昇があるレベルを超えたりすると、上記予備吐出ではインクを吐出できなくなるため、以下に述べる吸引動作を行う。
【0070】
すなわち、ノズル51や圧力室52のインク内に気泡が混入した場合、或いはノズル51内のインク粘度があるレベル以上に上昇した場合には、アクチュエータ58を動作させてもノズル51からインクを吐出できなくなる。このような場合、印字ヘッド50のノズル面に、キャップ64を当てて圧力室52内の気泡が混入したインク又は増粘インクをポンプ67で吸引する動作が行われる。
【0071】
ただし、上記の吸引動作は、圧力室52内のインク全体に対して行われるためインク消費量が大きい。したがって、粘度上昇が少ない場合はなるべく予備吐出を行うことが好ましい。
【0072】
〔制御系の説明〕
次に、インクジェット記録装置10の制御系について説明する。
【0073】
図7はインクジェット記録装置10のシステム構成を示す要部ブロック図である。インクジェット記録装置10は、通信インターフェース110、システムコントローラ112、画像メモリ114、モータドライバ116、ヒータドライバ118、電圧制御部129、プリント制御部120、画像バッファメモリ122、ヘッドドライバ124、メディア検出部126、光源制御部128等を備えている。
【0074】
通信インターフェース110は、ホストコンピュータ130から送られてくる画像データを受信するインターフェース部である。通信インターフェース110にはUSB、IEEE1394、イーサネット、無線ネットワークなどのシリアルインターフェースやセントロニクスなどのパラレルインターフェースを適用することができる。この部分には、通信を高速化するためのバッファメモリ(不図示)を搭載してもよい。
【0075】
ホストコンピュータ130から送出された画像データは通信インターフェース110を介してインクジェット記録装置10に取り込まれ、一旦画像メモリ114に記憶される。画像メモリ114は、通信インターフェース110を介して入力された画像を一旦格納する記憶手段であり、システムコントローラ112を通じてデータの読み書きが行われる。画像メモリ114は、半導体素子からなるメモリに限らず、ハードディスクなど磁気媒体を用いてもよい。
【0076】
システムコントローラ112は、通信インターフェース110、画像メモリ114、モータドライバ116、ヒータドライバ118、電圧制御部129等の各部を制御する制御部である。システムコントローラ112は、中央演算処理装置(CPU)及びその周辺回路等から構成され、ホストコンピュータ130との間の通信制御、画像メモリ114の読み書き制御等を行うとともに、搬送系のモータ134やヒータ136や直流高圧発生器100を制御する制御信号を生成する。
【0077】
モータドライバ116は、システムコントローラ112からの指示に従ってモータ134を駆動するドライバ(駆動回路)である。ヒータドライバ118は、システムコントローラ112からの指示に従って加熱ドラム34その他各部のヒータ136を駆動するドライバである。
【0078】
電圧制御部129は、システムコントローラ112からの指示に従って直流高圧発生器100の発生する電圧を制御する。
【0079】
プリント制御部120は、システムコントローラ112の制御に従い、画像メモリ114内の画像データから印字制御用の信号を生成するための各種加工、補正などの処理を行う信号処理機能を有し、生成した印字制御信号(ドットデータ)をヘッドドライバ124に供給する制御部である。プリント制御部120において所要の信号処理が施され、該画像データに基づいてヘッドドライバ124を介して色別の印字ヘッド12K,12M,12C,12Yのインク液滴の吐出量や吐出タイミングの制御が行われる。これにより、所望のドットサイズやドット配置が実現される。
【0080】
プリント制御部120には画像バッファメモリ122が備えられており、プリント制御部120における画像データ処理時に画像データやパラメータなどのデータが画像バッファメモリ122に一時的に格納される。なお、図7において画像バッファメモリ122はプリント制御部120に付随する態様で示されているが、画像メモリ114と兼用することも可能である。また、プリント制御部120とシステムコントローラ112とを統合して1つのプロセッサで構成する態様も可能である。
【0081】
ヘッドドライバ124はプリント制御部120から与えられるドットデータに基づいて各印字ヘッド12K,12M,12C,12Yの吐出駆動用アクチュエータ58を駆動する。ヘッドドライバ124には印字ヘッドの駆動条件を一定に保つためのフィードバック制御系を含んでいてもよい。
【0082】
印刷すべき画像のデータは、通信インターフェース110を介して外部から入力され、画像メモリ114に蓄えられる。この段階では、例えば、RGBの画像データが画像メモリ114に記憶される。画像メモリ114に蓄えられた画像データは、システムコントローラ112を介してプリント制御部120に送られ、該プリント制御部120において既知のディザ法、誤差拡散法などの手法によりインク色ごとのドットデータに変換される。
【0083】
こうして、プリント制御部120で生成されたドットデータに基づいて印字ヘッド12K,12M,12C,12Yが駆動制御され、印字ヘッド12K,12M,12C,12Yからインクが吐出される。記録紙20の搬送速度に同期して印字ヘッド12K,12M,12C,12Yからのインク吐出を制御することにより、記録紙20上に画像が形成される。
【0084】
メディア検出部126は、記録紙20の紙種やサイズを検出する手段である。例えば、給紙部22のマガジン32に付されたバーコード等の情報を読み込む手段、用紙搬送路中の適当な場所に配置されたセンサ(用紙幅検出センサ、用紙の厚みを検出するセンサ、用紙の反射率を検出するセンサなど)が用いられ、これらの適宜の組み合わせも可能である。また、これら自動検出の手段に代えて、若しくはこれと併用して、所定のユーザインターフェースからの入力によって紙種やサイズ等の情報を指定する構成も可能である。
【0085】
メディア検出部126により取得された情報はシステムコントローラ112及び/又はプリント制御部120に通知され、インク吐出制御等に利用される。
【0086】
光源制御部128は、プリント制御部120からの指令に従って、UV光源16の点灯(ON)/消灯(OFF)並びに点灯時の発光量等を制御する。
【0087】
〔ベルト状電極ユニットの構造〕
次に、ベルト状電極ユニット43の構造について説明する。
【0088】
図8は、ベルト状電極ユニットの電極層の構成を表す平面透視図である。図9は、図8中9−9断面図であり、図10は、図8中10−10断面図である。図8乃至図10中、図1と共通する部分には同一の符号を付す。
【0089】
ベルト状電極ユニット43は、図8中破線で示すメディア20よりも幅広に形成され、メディア20を確実に吸着することができるように構成されている。ベルト状電極ユニット43の図8に示す主走査方向両端部を除く領域は、図9に示すように、3層から構成され、メディア20とは反対側の最下層から順番に、支持層90、電極層92及び微導電層94が配置される。
【0090】
図8に示すように、電極層92には、櫛歯状の正の電極96及び負の電極98が設けられ、正の電極96と負の電極98との間には、非導電部材95が設けられる。
【0091】
正の電極96は、主走査方向に略平行な複数の櫛歯部96aと、ベルト状電極ユニット43の主走査方向の一端部に形成され、各櫛歯部96aの端部とそれぞれ接続する共通電極部96bを有する。同様に、負の電極98は、主走査方向に略平行な複数の櫛歯部98aと、ベルト状電極ユニット43の主走査方向の他端部に形成され、各櫛歯部98aの端部とそれぞれ接続する共通電極部98bを有する。
【0092】
各櫛歯部96a、98aは、図8に示す副走査方向に交互に配置されている。このように交互に配置された各櫛歯部96a、98aの上面には、図9に示すように、微導電層94が配設され、さらにその上面にメディア20が保持される。
【0093】
ベルト状電極ユニット43の主走査方向両端部は、図10に示すように、微導電層94と共通電極部96b、98bの2層構成となっている。すなわち、ベルト状電極ユニット43のメディア20側と反対側の面には、共通電極部96b、98bの剥き出し部96b1、98b1が形成されている。
【0094】
また図10に示すように、ローラ41は、非導電部材により形成される絶縁ローラ197と、絶縁ローラ197の図10中上下方向の両端部に形成される金属ローラ196b、198bと、を備え、金属軸206b、208bにより軸支されている。絶縁ローラ197は、後述する直流高圧発生器100から金属軸206b、208bに電圧が印加された場合に、ショートが発生するのを防止するために設けられている。
【0095】
金属軸206bと金属ローラ196b、金属軸208bと金属ローラ198bは、それぞれ電気的導通が取られている。また、共通電極部96b、98bの各剥き出し部96b1、98b1は、それぞれローラ41の金属ローラ196b、198bに接触するように構成され、電気的導通が取られている。また図8に示すように、ローラ41を軸支する金属軸206b、208bには、直流高圧発生器100が接続されている。このように本実施形態における共通電極部96b、98bは、簡便な方法で電気的導通を得ている。
【0096】
直流高圧発生器100から正負の電極96、98に対して所定の電圧が印加されると、副走査方向に隣接する正の電極96の櫛歯部96aと負の電極98の櫛歯部98aとの間を結ぶようにした略円弧状の電気力線(図9中の2点鎖線)が形成される。
【0097】
図9に示すように、電極層92のメディア20側に設けられる微導電層94は、微小な導電性を有する薄層である。直流高圧発生器100から正負の電極96、98に対して所定の電圧が印加されると、メディア20上の着弾インク滴に微小電流が流れる。
【0098】
すなわち、正負の電極96、98に対して所定の電圧が印加されると、メディア20上の着弾インク滴に対して電界が印加されると共に、着弾インク滴に微導電層94を介して微小電流が流れる。このような作用は、電気粘性効果を有する着弾インク滴の粘度を上昇させるのに好適であり、これにより着弾干渉、浸透滲み、色間滲み等を防止できる。
【0099】
〔電極間距離の設定方法〕
図11は、図8に示した電極層の概略構成を表す説明図である。図12は、図11中12−12断面位置における印字ヘッドとメディア20上のインク滴との関係を表す説明図である。図11及び図12中、図8及び図9と共通する部分には同一の符号を付し、その説明を省略する。また図11及び12では、説明の便宜上、図9に示した支持層90及び非導電部材95を省略する。
【0100】
本実施形態では、正の電極96の櫛歯部(以下、正櫛歯部という)96aと負の電極98の櫛歯部(以下、負櫛歯部という)98aの距離(以下、電極間距離という)Wを、着弾干渉、浸透滲み、色間滲み等を防止し、かつノズル近傍インクの増粘による吐出不良を防止することのできるように設定する。以下では、このような電極間距離Wの設定方法について説明する。
【0101】
図12に示すように、正櫛歯部96aと負櫛歯部98aは、インク滴59aのメディア20上の着弾位置が、正櫛歯部96aと負櫛歯部98aの略中央部上方に位置するような状態時を基にして電界強度の条件パラメータを設定する。ここでメディア20上の着弾インク滴59aと正櫛歯部96aの中心部又は負櫛歯部98aの中心部との距離(以下、電極距離という)をxとすると、電極間距離Wは電極距離xの2倍となる。
【0102】
また正櫛歯部96a及び負櫛歯部98aの中心部を基準とした場合の高さ(以下、電極高さという)をhとし、メディア20上の着弾インク滴59aの電極高さをhAとし,印字ヘッド50のノズル面50Aの電極高さをhBとする。
【0103】
正櫛歯部96a及び負櫛歯部98aに電圧が印加されると、正櫛歯部96aと負櫛歯部98aとの間を結ぶようにした略円弧状の電気力線104(104A、104B、104C)が無数形成される。また同時に、微導電層94を介して、メディア20上の着弾インク滴59aに微小電流が流れる。
【0104】
図12において、電気力線104Aは、メディア20上の着弾インク滴59aを通過し、電気力線104Bは、飛翔中のインク滴59bの図12中下方を通過し、電気力線104Cは、印字ヘッド50のノズル51近傍を通過する。
【0105】
図13は、電気粘性流体に印加される電界の強度と電気粘性流体の粘度の関係を表すグラフである。同図に示すように、初期粘度η0の電気粘性流体に印加する電界の強度を徐々に大きくすると、電気粘性流体の粘度が上昇するという関係は、特開平5−4342号公報に記載されているとおり、一般によく知られている。
【0106】
メディア20上のインク滴59aの着弾位置(図12中A地点)における電界強度を0から徐々に大きくした場合、メディア20上のインク滴59aの粘度は徐々に上昇する。そして着弾干渉、浸透滲み又は色間滲み等を引き起こさくなったときの臨界粘度をηA0とし、そのときの臨界電界強度をEA0とする。
【0107】
また、印字ヘッド50のノズル51付近(図12中B地点)における電界強度を0から徐々に大きくした場合、ノズル近傍インクの粘度は徐々に上昇する。そしてノズル51のインク不吐出、吐出位置のずれ、吐出量ずれ、吐出時間遅れ等の吐出不良を生じさせたときの臨界粘度をηB0とし、そのときの臨界電界強度をEB0とする。
【0108】
このような臨界電界強度EA0、EB0は、電気粘性流体の種類や印字ヘッド50の構成や仕様等により異なるため、実験等により求めておく。
【0109】
電極高さhAのA地点における電界強度をE(hA,x)、電極高さhBのB地点における電界強度をE(hB,x)とすると、ノズル51の吐出不良を防止すると共に、メディア20上での着弾干渉、浸透滲み、混色滲みを防止するためには、次式(1)を満足しなければならない。
【0110】
E(hA,x)>EA0 かつ E(hB,x)<EB0 ・・・(1)
すなわち電界強度E(hA,x)は臨界電界強度EA0より大きく、かつ電界強度E(hB,x)は臨界電界強度EB0より小さくなければならない。
【0111】
正櫛歯部96a及び負櫛歯部98aに対する印加電圧によって、図12に示すような電界が印加された場合、インク滴の飛翔空間、すなわち正櫛歯部96aと負櫛歯部98aの略中央部上方における電界強度E(h,x)は、正櫛歯部96aによる電界強度E+と負櫛歯部98aによる電界強度E−との合成である。正櫛歯部96a及び負櫛歯部98aの平面形状は、図8及び図11に示したとおり、主走査方向に延在するように形成された棒状であるため、各電界強度E+、E−はそれぞれ正櫛歯部96a及び負の電極98aからの距離に反比例する。従って、正櫛歯部96a及び負櫛歯部98aに対する印加電圧に比例する定数をKとすると、電界強度E(h,x)は次式(2)に示すとおりとなる。
【0112】
【数1】

図14は、式(2)における電界強度E(h,x)が一定となる電極高さh及び電極距離xの組を結んだ線である。以下では、同図に示した各線200(200P、200Q、200R、200S)を等電界強度線という。
【0113】
図14において、等電界強度線200Pの表す電界強度E(h,x)は、A地点における臨界電界強度EA0と等しく、等電界強度線200Sの表す電界強度E(h,x)は、B地点における臨界電界強度EB0と等しいとする。また等電界強度線200Aと等電界強度線200Bの間に位置する等電界強度線200Q、200Rの表す電界強度を、それぞれEq、Erとする。
【0114】
等電界強度線200(200P、200Q、200R、200S)は、図14中右上方向にシフトするほど、等電界曲線200(200P、200Q、200R、200S)の表す電界強度が小さくなり、次式(3)の関係が成立する。
【0115】
EA0>Eq>Er>EB0 ・・・(3)
微導電層94及びメディア20の厚さによって決定されるA地点の電極高さhAは、図14に示す通りである。そして式(1)との関係から、電極高さhAにおいて、電界強度E(hA、x)が臨界電界強度EA0より大きくなるのは、図14の両矢印Lで示された電極距離xの範囲である。この場合、メディア20上の着弾インク滴59aの粘度ηAは、臨界粘度ηA0より大きくなるので、メディア20上の着弾インク滴59aの着弾干渉、浸透滲み、混色滲み等を防止することができる。
【0116】
また、印字ヘッド50の吐出性能等によって決定されるB地点の電極高さhBは、図14に示す通りである。そして式(1)との関係から、電極高さhBにおいて、電界強度E(hB、x)が臨界電界強度EB0より小さくなるのは、図14の両矢印Mで示された電極距離xの範囲である。この場合、ノズル近傍インクの粘度ηBは、臨界粘度ηB0より小さくなるので、ノズル51の吐出不良を防止することができる。
【0117】
従って、式(1)を満足する電極距離xは、図14の両矢印Lで示された範囲と両矢印Mで示された範囲とのいずれをも満足する図14の両矢印Nで示された範囲となる。
【0118】
正櫛歯部96aと負櫛歯部98aの電極間距離Wを、このようにして求められた電極距離xの2倍にすることによって、ノズル51の吐出不良を防止すると共に、メディア20上の着弾干渉、浸透滲み、混色滲み等を防止することができる。
【0119】
このように本実施形態では、印字ヘッド50のノズル面50Aとメディア20との距離(クリアランス)を変化させることなく、正櫛歯部96aと負櫛歯部98aの電極間距離Wを設定することによって、メディア20上及びノズル面50Aにおける電界強度を最適にすることができる。
【0120】
また式(2)より、電極高さh及び電極距離xの場合の電界強度E(h,x)は、正櫛歯部96a及び負櫛歯部98aに対する印加電圧に比例する。従って、印加電圧の調整と共に、正櫛歯部96aと負櫛歯部98aの電極間距離Wを設定することによって、メディア20上及びノズル面50Aにおける電界強度を容易に最適にすることができる。
【0121】
〔第2の実施形態〕
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
【0122】
図15は、本発明の第2の実施形態に係る電極層の概略構成を表す説明図である。図16は、図15中16−16断面位置における印字ヘッド50とメディア20上のインク滴との関係を表す説明図である。図15及び図16中、図11及び図12と共通する部分には同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0123】
本実施形態における電極層92(図9参照)には、図15に示すように、微細な略正方形状の正の電極片(以下、正電極片という)96c及び負の電極片(以下、負電極片という)98cが、主走査方向及び副走査方向に交互にマトリクス状に配設されている。
【0124】
主走査方向両端部には、直流高圧発生器100に接続される正の共通配線107及び負の共通配線108が配設される。また正電極片96c及び負電極片98cが主走査方向に交互に配列される各電極片列の間には、正の共通配線107に接続する正の個別配線109又は負の共通配線108に接続する負の個別配線110が配設される。
【0125】
正の個別配線109は、各正電極片96cに接続し、負の個別配線110は、各負電極片98cに接続する。
【0126】
本実施形態では、正電極片96cと負電極片98cの電極間距離Wを、ノズル51の吐出不良を防止すると共に、着弾干渉、浸透滲み、色間滲み等を防止することのできる最適な電界を印加できるように設定する。
【0127】
図16に示すように、メディア20上の着弾インク滴59aと正電極片96cの中心部又は負電極片98cの中心部との距離(電極距離)xとすると、電極間距離Wは電極距離xの2倍となる。また正電極片96c及び負電極片98cの中心部の高さを基準とした場合の電極高さをhとし、メディア20上のインク滴着弾面の電極高さをhAとし、印字ヘッド50のノズル面50Aの電極高さをhBとする。
【0128】
正電極片96cと負電極片98の略中央部上方におけるインク滴の飛翔空間の電界強度E(h,x)は、正電極片96cによる電界強度E+と負電極片98cによる電界強度E−の合成である。正電極片96c及び負電極片98cの平面形状は、図15に示したとおり、微細な略正方形状であるため、各電界強度E+、E−は、それぞれ正電極片96c及び負電極片98cからの距離の2乗に反比例する。従って、正電極片96c及び負電極片98cに対する印加電圧に比例する定数をKとすると、電界強度E(h,x)は次式(4)に示すとおりとなる。
【0129】
【数2】

図17は、式(4)における電界強度E(h,x)が一定となる電極高さh及び電極距離xの組を結んだ線である。以下では、同図に示した各線210(210P、210Q、210R、210S)を等電界強度線という。同図において、等電界強度線210Pは、A地点における臨界電界強度EA0と等しく、等電界強度線210Sは、B地点における臨界電界強度EB0と等しいとする。
【0130】
本実施形態も、第1の実施形態と同様に、式(1)を満足する電極距離xを求める。すなわち、図16に示した地点Aの電極高さhAにおいて、電界強度E(hA,x)が臨界電界強度EA0より大きくなるのは、図17の両矢印Lで示すような電極距離xの範囲となる。一方、図16に示した地点Bの電極高さhBにおいて、電界強度E(hB,x)が臨界電界強度EB0より小さくなるのは、図17の両矢印Mで示すような電極距離xの範囲となる。従って式(1)を満足する電極距離xは、上記のいずれも満足する図17の両矢印Nで示す範囲となる。
【0131】
正電極片96cと負電極片98cの電極間距離Wを、このようにして求められた電極距離xの2倍にすることによって、印字ヘッド50のノズル面50Aとメディア20との距離(クリアランス)に影響を与えることなく、ノズル51の吐出不良を防止すると共に、メディア20上の着弾干渉、浸透滲み、混色滲み等を防止することができる。
【0132】
また第1の実施形態と同様に、正電極片96cと負電極片98cに対する印加電圧の調整と共に、電極間距離Wを設定することによって、メディア20上及びノズル面50Aにおける電界強度を容易に最適にすることができる。
【0133】
以上、本発明に係る画像形成装置について詳細に説明したが、本発明は、以上の例には限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良や変形を行ってよいのはもちろんである。
【図面の簡単な説明】
【0134】
【図1】本発明に係る画像形成装置の第1の実施形態としてのインクジェット記録装置の概略を示す全体構成図である。
【図2】(a)は印字ヘッドの構造例を示す平面透視図であり、(b)はその一部の拡大図である。
【図3】印字ヘッドの他の構造例を示す平面透視図である。
【図4】図2中4−4線に沿う断面図である。
【図5】図2に示した印字ヘッドのノズル配列を示す拡大図である。
【図6】インクジェット記録装置のインク供給系の構成を示した概要図である。
【図7】インクジェット記録装置のシステム構成を示す要部ブロック図である
【図8】ベルト状電極ユニットの電極層の構成を表す平面透視図である。
【図9】図8中9−9断面図である。
【図10】図8中10−10断面図である。
【図11】ベルト状電極ユニットの電極層の概略構成を表す説明図である。
【図12】図11中12−12断面位置における印字ヘッドとメディア上のインク滴との関係を表す説明図である。
【図13】電気粘性流体に印加される電界の強度と電気粘性流体の粘度の関係を表すグラフである
【図14】電界強度E(h,x)が一定となる電極高さh及び電極距離xの組を結んだ線である。
【図15】本発明の第2の実施形態に係る電極層の概略構成を表す説明図である。
【図16】図15中16−16断面位置における印字ヘッドとメディア上のインク滴との関係を表す説明図である。
【図17】電界強度E(h,x)が一定となる電極高さh及び電極距離xの組を結んだ線である。
【符号の説明】
【0135】
10…インクジェット記録装置、12K,12M,12C,12Y…印字ヘッド、16…UV光源、20…メディア、41…ローラ、46…ベルト状電極ユニット、90…支持層、92…電極層、94…微導電層、96…正の電極、96a…櫛歯部、96b…共通電極部、96c…電極片、98…負の電極、98a…櫛歯部、98b…共通電極部、98c…電極片、100…直流高圧発生器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気粘性効果を有する液滴を記録媒体に向けて吐出する吐出ヘッドと、
前記記録媒体を挟んで、前記吐出ヘッドの吐出面に対向する位置に配置され、前記記録媒体を保持する保持手段と、
前記保持手段に配設され、第1の電極及び第2の電極から成る電極対と、
前記電極対に電圧を印加する電圧印加手段と、を備え、
前記電圧印加手段により前記電極対に所定の電圧を印加した際に、
前記記録媒体上における電界強度が、前記記録媒体上の着弾液滴が他の液滴と干渉を起こさない程度若しくは前記着弾液滴の前記記録媒体に対する浸透速度が所定値以下になる程度であると共に、前記吐出ヘッドの吐出面における電界強度が、前記吐出ヘッドの液滴吐出に影響を与えない程度であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記第1の電極と前記第2の電極は、
前記電圧印加手段により前記電極対に所定の電圧を印加した際に、
前記記録媒体上における電界強度が、前記記録媒体上の着弾液滴が他の液滴と干渉を起こさない程度若しくは前記着弾液滴の前記記録媒体に対する浸透速度が所定値以下になる程度であると共に、前記吐出ヘッドの吐出面における電界強度が、前記吐出ヘッドの液滴吐出に影響を与えない程度となるような距離をおいて配置されていることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記第1の電極及び前記第2の電極は、それぞれ複数の櫛歯部を有する略櫛歯状の平面形状を有し、前記第1の電極の櫛歯部と前記第2の電極の櫛歯部とは交互に配設され、
前記第1の電極の櫛歯部と前記第2の電極の櫛歯部は、
前記電圧印加手段により前記電極対に所定の電圧を印加した際に、
前記記録媒体上における電界強度が、前記記録媒体上の着弾液滴が他の液滴と干渉を起こさない程度若しくは前記着弾液滴の前記記録媒体に対する浸透速度が所定値以下になる程度であると共に、前記吐出ヘッドの吐出面における電界強度が、前記吐出ヘッドの液滴吐出に影響を与えない程度となるような距離をおいて配置されていることを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記第1の電極及び前記第2の電極は、それぞれ複数の電極片を有し、前記第1の電極の電極片と前記第2の電極の電極片は交互にマトリクス状に配設され、
前記第1の電極の電極片と前記第2の電極の電極片は、
前記電圧印加手段により前記電極対に所定の電圧を印加した際に、
前記記録媒体上における電界強度が、前記記録媒体上の着弾液滴が他の液滴と干渉を起こさない程度若しくは前記着弾液滴の前記記録媒体に対する浸透速度が所定値以下になる程度であると共に、前記吐出ヘッドの吐出面における電界強度が、前記吐出ヘッドの液滴吐出に影響を与えない程度となるような距離をおいて配置されていることを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項5】
電気粘性効果を有する液滴を記録媒体に向けて吐出する吐出ヘッドと、
前記記録媒体を挟んで、前記吐出ヘッドの吐出面に対向する位置に配置され、前記記録媒体を保持する保持手段と、
前記保持手段に配設され、第1の電極及び第2の電極から成る電極対と、
前記電極対に電圧を印加する電圧印加手段と、を備えた画像形成装置の画像形成方法であって、
前記電圧印加手段により前記電極対に所定の電圧を印加した際に、
前記記録媒体上における電界強度が、前記記録媒体上の着弾液滴が他の液滴と干渉を起こさない程度若しくは前記着弾液滴の前記記録媒体に対する浸透速度が所定値以下になる程度であると共に、前記吐出ヘッドの吐出面における電界強度が、前記吐出ヘッドの液滴吐出に影響を与えないように、前記第1の電極と前記第2の電極の距離を設定することを特徴とする画像形成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2006−43895(P2006−43895A)
【公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−223843(P2004−223843)
【出願日】平成16年7月30日(2004.7.30)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.イーサネット
2.USB
【出願人】(000005201)富士写真フイルム株式会社 (7,609)
【Fターム(参考)】