説明

画像形成装置及び画像形成方法

【課題】簡易な構成でファーストプリント時間を短くすることができる画像形成装置、画像形成方法を提供することを目的とする。
【解決手段】駆動系を制御するモータを備え、画像形成要求に基づいて画像形成を行う画像形成装置1において、前記画像形成要求に基づいて前記モータを起動するモータ制御手段74と、前記モータの起動から所定の時間後に給紙動作を開始する給紙動作制御手段76と、前記給紙動作制御手段からの給紙動作開始指示に基づいて給紙を行う給紙手段77と、を有する画像形成装置1。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置及び画像形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、画像処理技術および画像形成技術の向上によって、高速性、高解像性を兼ね備えた画像形成装置が開発されている。レーザービームプリンタ(LBP)がこのような画像形成装置として広く知られている。このレーザービームプリンタは、ポリゴンモータと偏光器を用いてレーザ光を光走査することにより画像形成する光走査型のプリンタエンジンを備えていることを特徴とする。例えば、レーザ光を回転偏光器により走査させて主走査方向を走査すると共に主走査方向の一走査が終了する毎に走査位置を副走査方向に移動することにより、感光体上に画像を書き込む。
【0003】
通常、レーザービームプリンタが印刷待機時において、ポリゴンモータは停止している。そして、レーザービームプリンタが印刷動作を開始すると共に、ポリゴンモータは回転を開始する。このポリゴンモータの回転数が所定の回転数に達する(定常回転)と印刷用紙への印刷が可能になる。ここで、印刷用紙が給紙トレイから印刷を行う場所まで搬送(給紙)されると、レーザービームプリンタは1枚目の印字(ファーストプリント)を行う。
【0004】
このようなレーザービームプリンタにおいて、更なる高速性、高解像性を実現することを目的とする種々の発明がなされている。
【0005】
特許文献1には、レーザービームプリンタによるファーストプリントを簡易な構成でより早くすることを実現する技術が開示されている。これは、レーザービームプリンタにおいて、レーザービームプリンタの動作開始と共に回転を開始するポリゴンモータが定常回転に達したことを示すポリゴンロック信号を検知してから印刷用紙の搬送(給紙)を開始するというものである。ポリゴンロック信号に基づいて給紙を開始することにより、ポリゴンモータの種類の違いおよびポリゴンモータ自身の経時劣化にも柔軟に対応し、ファーストプリントをより早くするという効果があると示されている。
【0006】
また、レーザービームプリンタでは、レジストクラッチなどの印刷用紙の搬送(給紙)を一時停止することができる装置を用いてファーストプリントを早くするものがある。図1に示されるレジストクラッチをもつレーザービームプリンタの作像プロセスのタイミングチャート例を用いて簡単に説明する。レジストクラッチをもつレーザービームプリンタにおいて、印刷用紙は、給紙カセットから給紙クラッチで制御された給紙ローラ、レジストクラッチで制御されたレジストローラーを順に通って印刷を行う場所まで搬送される。
図1において、給紙クラッチの段とレジストクラッチの段に注目されたい。時点tにおいて、レーザービームプリンタは印刷動作を開始する。次に、時点tにおいて給紙クラッチがON(ロー(L)からハイ(H))になり、印刷用紙は、給紙カセットから給紙ローラを通ってレジストローラーへと搬送されていく。しかし、レジストクラッチはOFF(ロー(L))の状態であるため、印刷用紙は、レジストローラーで搬送を一時停止される。その後、時点tにおいて、レーザービームプリンタは印刷可能状態になる。このとき、レジストクラッチがON(ロー(L)からハイ(H))になり、レジストローラーで搬送を一時停止された印刷用紙は、印刷を行う場所に向けて搬送を開始する。以上の操作により、レジストクラッチをもつレーザービームプリンタは、印刷用紙が給紙カセットなどの給紙位置から印刷を行う場所まで搬送される場合に比べてファーストプリントを早くすることができるというものである。なお、図1において、給紙クラッチの段とレジストクラッチの段以外の部分の説明は、発明を実施するための最良の形態で行う。
【特許文献1】特開平5−2298号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1で開示された発明では、ポリゴンモータが起動後定常回転に達する時刻を検出する検出装置を使用するため、コストアップになってしまうという問題がある。また、ローエンドプリンタエンジンを有するレーザービームプリンタでは、コストダウンのためにレジストクラッチなどの印刷用紙の搬送(給紙)で一時停止することができる装置をもたないものが多い。
【0008】
本発明は、上記の点に鑑みて、この問題を解消するために考案されたものであり、簡易な構成でファーストプリント時間を短くすることができる画像形成装置、画像形成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、本発明の画像形成装置は、駆動系を制御するモータを備え、画像形成要求に基づいて画像形成を行う画像形成装置において、前記画像形成要求に基づいて前記モータを起動するモータ制御手段と、前記モータの起動から所定の時間後に給紙動作を開始する給紙動作制御手段と、前記給紙動作制御手段からの給紙動作開始指示に基づいて給紙を行う給紙手段と、を有するように構成することができる。
【0010】
これにより、簡易な構成で給紙動作を制御することができ、したがってファーストプリント時間を短くすることができる画像形成装置を提供することができる。
【0011】
上記の目的を達成するために、本発明の前記所定の時間は、前記モータの起動から作像処理を開始するまでの所要時間であるように構成することができる。
【0012】
これにより、簡易な構成で、作像処理を開始する時間に給紙用紙を給紙開始することができ、したがってファーストプリント時間を短くすることができる画像形成装置を提供することができる。
【0013】
上記の目的を達成するために、本発明の前記所定の時間として、前記モータの起動から作像処理を開始するまでの所要時間から、給紙位置から書き込み開始位置までの用紙搬送に係る時間を引いた時間を、前記所定の時間とするように構成することができる。
【0014】
これにより、簡易な構成、作像処理を開始する時間に給紙用紙を書き込み位置に搬送することができ、したがってファーストプリント時間を短くすることができる画像形成装置を提供することができる。
【0015】
上記の目的を達成するために、本発明の画像形成方法は、駆動系を制御するモータを備え、画像形成要求に基づいて画像形成を行う画像形成装置における画像形成方法において、前記画像形成要求に基づいて前記モータを起動するモータ制御工程と、前記モータの起動から所定の時間後に給紙動作を開始する給紙動作制御工程と、前記給紙動作制御手段から給紙動作開始指示に基づいて給紙を行う給紙工程とを有するように構成されることができる。
【0016】
これにより、簡易な構成でファーストプリント時間を短くすることができる画像形成装置における画像形成方法を提供することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、簡易な構成でファーストプリント時間を短くすることができる画像形成装置、画像形成方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
(画像形成装置の構成)
以下、本発明の画像形成装置の一実施形態であるプリンタの構成例を図面に基づき説明する。図2は、プリンタ1の構成を示すブロック図の例である。
【0019】
図2において、プリンタ1は、コントローラ10,プリンタエンジン20,操作パネル30を有する。さらに、プリンタエンジン20は、エンジン制御ボード21,書き込みユニット22,シーケンス機器群23,センサ類24を有する。さらに、エンジン制御ボード21は、エンジン制御ボード入出力インターフェースであるI/O21a,CPU(Central Processor Unit)21b,RAM(Random Access Memory)21c,ROM(Read Only Memory)21d,EEPROM(Electnically Erasable and Programmable ROM)21e,DIP/SW21fを有する。
【0020】
コントローラ10は,文字コードやプリント命令などのデータを外部などから受信し、描画データの作成などの画像処理をおこない、プリンタエンジン20に対してプリント要求などを生成し送信する制御機構の総称である。例えば、外部とはホスト装置40である。コントローラ10の詳細は後述のコントローラの構成で説明を行う。
【0021】
プリンタエンジン20は,コントローラ10からのプリント要求のコマンドなどを受信し、画像形成をおこなう装置である。プリンタエンジン20の詳細は後述のプリンタエンジンの構成および機能の構成で説明を行う。
【0022】
操作パネル30は,操作者が画像形成に係るモード指示をするためのパネルである。操作パネル30は、プリンタ1の状態を示す図示されない表示部、およびプリンタ1のモード、フォントなどを切り替える図示されないスイッチ部により構成されている。なお、操作パネル30における表示部および各スイッチ部は、液晶のタッチパネルで構成されてもよい。
【0023】
エンジン制御ボード21は,プリンタエンジン20の書き込みユニット22、シーケンス機器群23、センサ類24を制御する制御機構の総称である。エンジン制御ボード21を構成するI/O21a、CPU21b、RAM21c、ROM21d、EEPROM21eおよびDIP/SW21fの動作の説明は以降に記載する。
【0024】
I/O21aは,エンジン制御ボード21の入出力インターフェースである。コントローラ10、操作パネル30などとの間でデータの送受信を行うための入出力インターフェースである。
【0025】
CPU21bは,ROM21dに記憶されたプログラム,操作パネル30からのモード指示およびコントローラ10からのコマンドによってプリンタエンジン20全体を制御する装置である。
【0026】
RAM21cは,CPU21bのワークメモリおよび入力データのインプットバッファーとして機能する装置である。入力データとは、例えば、コントローラ10から入力される描画データなどである。
【0027】
ROM21dは,プリンタエンジン20の制御プログラムを格納する装置である。例えば定着系、現像系、駆動系などのシーケンス制御プログラムなどである。
【0028】
EEPROM21eは,プリンタエンジン20のエラー履歴や操作パネル30からのモード指示の内容などを記憶する不揮発性メモリである。
【0029】
DIP/SW(DIP−Switch)21fは、プリンタエンジン20制御のモードを設定するためのスイッチ装置である。なお、DIP/SW21fは必ずしも必要ではない。
【0030】
書き込みユニット22は,レーザーダイオード(LD)やポリゴンモータ等を含むレーザ書き込みユニットである。
【0031】
シーケンス機器群23は,定着系,現像系,駆動系などのシーケンス制御により制御される機器群である。
【0032】
センサ類24は、搬送経路上の印刷用紙やシーケンス機器群の動作状態をチェックする。
【0033】
ホスト装置40は、プリンタ1との間でデータを送受信するホストコンピュータである。
【0034】
プリンタ1では、まず、コントローラ10が、ホスト装置40からプリント命令などのコマンド及びまたは内部構成要素である操作パネル30からモード指示などを受け取り、これらに基づいて画像処理を行い、プリント要求などを生成してプリンタエンジン20に送出する。プリンタエンジン20は、受け取ったプリント要求などに基づいて画像形成処理を行う。
(プリンタエンジン構成)
以下、図3は、本発明の画像形成装置の一実施形態におけるプリンタエンジンの内部機構の例である。
【0035】
図3において、プリンタエンジン20は、給紙カセット201,給紙コロ202、レジストローラ対203、感光体204、帯電チャージャ205、光書き込み器206、現像ユニット207,転写チャージャ208,クリーニング器209,定着器210,FD/FU切替えソレノイド爪211、フェイスダウン搬送路212,排紙ローラ213,フェイスダウン排紙トレイ214,フェイスアップ排紙トレイ215、メインモータ216を有する。
【0036】
給紙カセット201は、印刷用紙などを格納するためのものである。
【0037】
給紙コロ202は、図3中、矢印で示す方向に回転して給紙カセット201から印刷用紙をレジストローラ対203に対して送り出す。
【0038】
レジストローラ対203は、給紙コロ202より送り出された印刷用紙を感光体204の下側である書き込み位置に搬送する。なお、ここで書き込みとは画像転写と同義語である。
【0039】
感光体204は、図3中、矢印で示す時計方向に駆動し、後述の帯電チャージャ205,光書き込み器206,現像ユニット207,転写チャージャ208およびクリーニング器209により印刷用紙に画像を転写する。
【0040】
帯電チャージャ205は、感光体204の表面を一様に帯電させる装置である。
【0041】
光書き込み器206は、感光体204上にレーザ光を照射して静電潜像を形成する。なお、光書き込み器206は画素数計測手段を有する。
【0042】
現像ユニット207は、感光体204上に形成された静電潜像をトナーによって可視像化する。
【0043】
転写チャージャ208は、感光体204上に形成された可視像を感光体204の下側(書き込み位置)に搬送された印刷用紙に画像を転写する。
【0044】
クリーニング器209は、印刷用紙に画像転写を行った後の感光体204上の残留トナーを除去する。
【0045】
定着器210は、画像転写された印刷用紙において、転写画像を定着する。
【0046】
FD/FU切替えソレノイド爪211は、印刷用紙の排紙トレイを、フェイスダウン排紙トレイ214またはフェイスダウン排紙トレイ215で切り替える。
【0047】
フェイスダウン搬送路212は、FD/FU切替えソレノイド爪211でフェイスダウンを選択された印刷用紙を排紙ローラ対211へ搬送する。
【0048】
排紙ローラ対213は、フェイスダウン搬送路212を通って搬送された印刷用紙をフェイスダウン排紙トレイ214に対して排出する。
【0049】
フェイスダウン排紙トレイ214は、記録面を下にしたフェイスダウンで排出された印刷用紙を格納する。
【0050】
フェイスアップ排紙トレイ215は、記録面を上にしたフェイスアップで排出された印刷用紙を格納する。
【0051】
メインモータ216は、駆動系を制御するモータである。
【0052】
以上のプリンタエンジン20における内部機構の全体構成により、プリンタエンジン20では、給紙された印刷用紙に対して画像形成を施して排紙する。
(コントローラ構成)
図4は、本発明の画像形成装置の一実施形態におけるコントローラの構成を示すブロック図の例である。
【0053】
図4において、コントローラ10は、エンジンインターフェース11a、パネルインターフェース11b、ホストインターフェース11c,ディスクインターフェース11d、CPU12,IC Card13,NVRAM(Non−Volatile RAM)14,プログラムROM15,フォントROM16,RAM(Random Access Memory)17を有する。
【0054】
エンジンインターフェース11aは、コントローラ10とプリンタエンジン20との間でコマンド及びステータスや、印字データの通信を行なうためのものである。
【0055】
パネルインターフェース11bは、コントローラ10と操作パネル30との間でコマンド及びステータスの通信を行なうためのものである。
【0056】
ホストインターフェース11cは、コントローラ10とホスト装置40との間で通信を行なうためのものである。通常は、セントロI/FやRS232Cである。
【0057】
ディスクインターフェース11dは、コントローラ10とディスク装置50との間で通信を行なうためのものである。
【0058】
CPU12は、プログラムROM15のプログラム、操作パネル30からのモード指示、ホスト装置40からのコマンドなどによってコントローラ10全体を制御する装置である。
【0059】
IC Card13は、フォントデータや、プログラムを外部から供給する装置である。例えば、外部とはホスト装置40である。
【0060】
NVRAM14は、操作パネル30からのモード指示の内容などを格納する不揮発性メモリである。
【0061】
プログラムROM15は、コントローラ10の制御プログラムなどを格納するための装置である。
【0062】
フォントROM16は、フォントのパターンデータなどを格納するための装置である。
【0063】
RAM17は、CPU12のワークメモリ、入力データのインプットバッファー、プリントデータのページバッファー、ダウンロードフォント用のメモリ等に使用するための装置である。
【0064】
ディスク装置50は、フォントデータや、プログラムや、印字データなどの様々のデータを記憶する装置である。例えば、ディスク装置50とはフロッピ(登録商標)ディスク装置やハードディスク装置などである。
【0065】
以上の構成により、コントローラ10では以下の動作を行う。その動作とは、プリント命令などのデータをホスト装置40からホストインターフェース11cを介して受信し、描画データの作成などの画像処理をおこない、プリント要求などを生成しエンジンインターフェース11aを介してプリンタエンジン20に送信する。
(機能の構成)
図5は、本発明の画像形成装置の一実施形態であるプリンタ1の機能ブロック図の例である。図5において、プリンタ1は、コントローラ制御手段72、通信手段73、モータ制御手段74、前処理手段75,作像処理手段76、給紙動作制御手段77、給紙手段78、後処理手段79、排紙手段80を有する。
【0066】
ホスト制御手段71は、文字コードや描画命令などのデータをホスト装置40からプリンタ1内のコントローラ10へ送信する。
【0067】
コントローラ制御手段72は、文字コードや描画命令などのデータをホスト装置40から受信し、描画データの作成などの画像処理およびプリント要求の生成などをおこない、作成された描画データ及びプリント要求などをプリンタエンジン20に送信する。
【0068】
通信手段73は、コントローラ制御手段72から描画データ及びプリント要求など及びまたは操作パネル30から画像形成に係るモード指示などを送受信する。
【0069】
モータ制御手段74は、モータの回転を制御する。ここでは、プリント要求に基づいてメインモータ216の回転を開始させる。
【0070】
前処理手段75は、プリント要求を受けたプリンタエンジン20において、実際に印刷用紙への転写による作像プロセスを開始する前の処理である前処理を行う。前処理とは、メインモータ216の回転開始から実際に印刷用紙への転写による作像プロセスを開始するまでのプリンタエンジン20におけるいわばウォーミングアップ処理のことをいう。例えば、プリント要求を受けたプリンタエンジン20において、感光体ドラム204が帯電、現像、転写、クリーニングなどの処理を施され、実際に印刷用紙への転写(作像プロセス)を開始できる状態になるまでの処理である。前処理に要する時間は、1秒から2秒の間で示されるプリンタ固有の値である。なお、通常、プリンタにおいてウォーミングアップ処理とは、プリンタの電源を入れたときにプリント要求を受信可能な状態にするまでの処理のことをいうが、ここではこのウォーミングアップ処理と区別するために前処理という表現をしている。
【0071】
給紙動作制御手段76は、メインモータ216の回転開始から設定された所定の時間後に給紙手段77に給紙動作を開始させる。設定された所定の時間とは、例えば、前処理手段75の動作説明の中で述べた前処理に要する時間である。なお、この給紙動作制御手段76は、モータ制御手段74に含まれていてもよい。
【0072】
給紙手段77は、給紙動作制御手段77からの給紙動作の開始指示を受け取り、給紙を開始する。給紙手段77に基づいて印刷用紙は、感光体204の下側(書き込み位置)に搬送される。
【0073】
作像処理手段78は、印刷用紙への画像の転写による作像プロセスを行う。例えば、感光体204は、帯電、レーザ書き込み、現像、転写の処理を行い、給紙手段77により搬送された印刷用紙に画像の転写を行う。
【0074】
後処理手段79は、印刷用紙への画像の転写後、プリンタエンジン20が待機状態になるまでの処理を行う。例えば感光体204の帯電を終了し、メインモータ216の回転を停止するまでの処理である。
【0075】
排紙手段80は、画像の転写を行った印刷用紙を排紙する。例えば、フェイスダウン排紙トレイ214またはフェイスアップ排紙トレイ215から排紙する。
【0076】
以上の機能の構成により、プリンタ1では、まず、ホスト制御手段71がプリント命令などをプリンタ1内のコントローラ制御手段72に送る。次に、コントローラ制御手段72が発信するプリント要求などまたは操作者が操作パネル30を介して入力したモード指示が、プリンタエンジン20内の通信手段73に送られる。プリンタエンジン20において、通信手段73がプリント要求またはモード指示の受け取ると、作像処理手段78は、給紙手段77で給紙された印刷用紙に対してモータ制御手段74,前処理手段75および作像処理手段78で示される画像形成を行い排紙手段80により排紙する。プリンタエンジン20は後処理手段79による処理を経て待機状態になる。
【実施例1】
【0077】
以下に、本発明における実施例1について説明する。図6は、実施例1に係る動作フローチャートであり、図7は、実施例1に係るプロセスタイミングチャートである。ここでは、プリンタ1において、作像プロセスの前処理が終了してから給紙を開始する動作の説明を行う。
【0078】
まず、ホスト装置40のホスト制御手段71は、プリント命令をホスト装置40からプリンタ1内のコントローラ10に出力する(S101)。
【0079】
次に、コントローラ10のコントローラ制御手段72は、ステップS101で入力されたプリント命令に基づいてプリント要求を生成しプリンタエンジン20へ送出(発行)する(S102)。
【0080】
次に、プリンタエンジン20の通信手段73は、ステップS102で発行されたプリント要求を受信し、プリンタエンジン20のモータ制御手段74は、図7の時点tにおいて、プリンタエンジン20のメインモータ216の回転を開始させる(S103)。このとき、図7中のメインモータの段がロー(L)からハイ(H)になる。
【0081】
このとき、プリンタエンジン20の前処理手段75は、作像プロセス前処理を開始する(S104)。まず、プリンタエンジン20の感光体ドラム204が駆動を開始する。次に、帯電チャージャ205は、感光体ドラム204の帯電を開始する。このとき、図7中の帯電の段がロー(L)からハイ(H)になる。続いて、シーケンス制御されている現像ユニット207は、時間T後、感光体ドラム204上の静電潜像をトナーで可視像化する。このとき、図7中の現像の段がロー(L)からハイ(H)になる。ただし、感光体ドラム204において、静電潜像はまだ形成されていない。それは、当該処理が作像プロセスの前処理であるためである。また、シーケンス制御されているクリーニング器209は、時間T後、感光体ドラム204一周に対してトナー除去などを行う。この時間Tの間、図7中のクリーニングの段がマイナス(−)になる。最後に、設定されたバッファ時間である時間Tを経た図7の時点tにおいて、作像プロセス前処理は終了する(S105)。このとき、プリンタエンジン20は、印刷用紙への転写である作像プロセスを開始できる状態になる。なお、作像プロセス前処理の所要時間Tは、T=T+T+Tで示され、その値は1秒から2秒の間でプリンタ固有の値である。
【0082】
このとき、プリンタエンジン20の給紙動作制御手段76は、給紙手段77である給紙クラッチをONにして、給紙コロ202に給紙を開始させる(S106)。ここでは、給紙動作制御手段76は、ステップS103におけるメインモータ216の回転開始(時点t)から設定された時間である前処理の所要時間Tが経過した図7の時点tにおいて給紙手段77に給紙動作を開始させる。このとき、図7中の給紙クラッチの段がロー(L)からハイ(H)になる。したがって、ステップS105の処理とステップS106の処理はともに時点tにおける処理であり、すなわち作像プロセスの前処理が終了すると給紙が開始するということができる。
【0083】
ステップS106により給紙動作が開始すると、印刷用紙は、給紙コロ202およびレジストローラ対203を通って感光体204の下側(書き込み位置)に搬送される。印刷用紙が給紙開始位置から書き込み位置まで搬送される時間は、図7の時点t間の時間であるtで示される。このとき、すなわち図7の時点tにおいて、感光体204への光書き込み器206による書き込みを開始し、画像と用紙の同期合わせを行う(S107)。
【0084】
ステップS107以降に、作像処理手段78は、印刷用紙に対して画像の転写を行う。続いて、後処理手段79は、後処理を行う。また、排紙手段80は、画像が転写された印刷用紙を排紙する。
【0085】
なお、実施例1では、ポリゴンモータは、ステップS105において前処理が終了する前に定常回転に達しているものとする。図7中のポリゴンロックの段が、前処理である時間AB間にハイ(H)からロー(L)に切り替わっている。
【0086】
以上説明した実施例1によれば、作像プロセス前処理が終了してから、給紙動作を開始し、書き込み位置で確実に作像プロセス可能状態になるように、画像と用紙の位置合わせができる。そのため、以下に掲げる効果を奏する。その効果は、従来機のように、レジスト位置で作像プロセス可能状態になるのを待たずにすみ、コストダウンなどによりレジストクラッチがない場合でも、ファーストプリント時間を短くすることができることである。
【実施例2】
【0087】
以下に、本発明における実施例2について説明する。図8は、実施例2に係る動作フローチャートである。図9は、実施例2に係るプロセスタイミングチャートである。ここでは、プリンタ1において、給紙位置から書き込み位置までの用紙搬送時間と作像プロセスの前処理時間を考慮し、印刷用紙が書き込み位置に到達するときに、作像プロセス準備ができているように、上記プロセス前処理が終了する前に給紙動作を開始する処理の説明を行う。
【0088】
まず、ホスト装置40のホスト制御手段71は、プリント命令をホスト装置40からプリンタ1内のコントローラ10に出力する(S201)。
【0089】
次に、コントローラ10のコントローラ制御手段72は、ステップS201で入力されたプリント命令に基づいてプリント要求を生成しプリンタエンジン20へ送出(発行)する(S202)。
【0090】
すると、プリンタエンジン20の通信手段73は、ステップS202で発行されたプリント要求を受信し、プリンタエンジン20のモータ制御手段74は、図9の時点tにおいて、プリンタエンジン20のメインモータ216の回転を開始させる(S203)。このとき、図9中のメインモータの段がロー(L)からハイ(H)になる。
【0091】
またこのとき、プリンタエンジン20の前処理手段75は、作像プロセス前処理を開始する(S204)。前処理の詳細については、実施例1と同様であるのでここでは省略する。
【0092】
続いて、図9の時点tにおいて、プリンタエンジン20の給紙動作制御手段76は、給紙手段77である給紙クラッチをONにして、給紙コロ202に給紙を開始させる(S205)。このとき、図9中の給紙クラッチの段がロー(L)からハイ(H)になる。なお、ステップS205は、作像プロセス前処理の所要時間(図9の時点t間の時間)から、給紙位置から書き込み位置までの用紙搬送時間(図9の時点t間の時間t)をひいた時間(図9の時点t間の時間)が経過したときの処理である。
【0093】
更に、時間tが経過した時点tにおいて、作像プロセス前処理を終了する(S206)。これは、ステップ204で開始した作像プロセス前処理所要時間である図9の時点t間の時間が経過したことになるためである。また、このとき、ステップS205により給紙を開始した印刷用紙が、給紙コロ202、レジストローラ対203を通って感光体204の下側(書き込み位置)書き込み位置まで搬送されていることが重要である。
【0094】
ここで、感光体204への光書き込み器206による書き込みを開始し、画像と用紙の同期合わせを行う(S207)。
【0095】
ステップS107以降に、作像処理手段78は、印刷用紙に対して画像の転写を行う。続いて、後処理手段79は、後処理を行う。また、排紙手段80は、画像が転写された印刷用紙を排紙する。
【0096】
以上説明した実施例2によれば、給紙位置から書き込み位置の用紙搬送時間と作像プロセスの前処理時間を考慮し、用紙が書き込み位置に到達する時に、作像プロセス準備ができているように、上記プロセス前処理が終了する前にステップS206で示されるように給紙動作を開始する。そのため、以下に掲げる効果を奏する。その効果は、実施例1における効果に加えて、更に図9の時点t間の時間tだけファーストプリント時間を早くすることができることである。
【0097】
なお、実施例2では、ポリゴンモータは、ステップS105において前処理が終了する前に定常回転に達しているものとする。図9中のポリゴンロックの段が、前処理である時点tの間にハイ(H)からロー(L)に切り替わっている。
【0098】
以上、各実施例に基づき本発明の説明を行ってきたが、上記実施例にあげたその他の要素との組み合わせなど、ここで示した要件に本発明が限定されるものではない。これらの点に関しては、本発明の主旨をそこなわない範囲で変更することが可能であり、その応用形態に応じて適切に定めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0099】
【図1】レジストクラッチをもつ画像形成装置の画像形成プロセスタイミングチャート例
【図2】本発明の画像形成装置の一実施形態であるプリンタのハードウェア構成例を示した図
【図3】本発明の画像形成装置の一実施形態であるプリンタの内部機構の例
【図4】本発明の画像形成装置の一実施形態であるプリンタ内のプリンタエンジン及び関連装置の構成を示すブロック図
【図5】本発明の画像形成装置の一実施形態であるプリンタの機能ブロック図の例
【図6】実施例1の画像形成に係るフローチャート
【図7】実施例1に係る画像形成プロセスタイミングチャート
【図8】実施例2の画像形成に係るフローチャート
【図9】実施例2に係る画像形成プロセスタイミングチャート
【符号の説明】
【0100】
1 プリンタ
10 コントローラ
20 プリンタエンジン
30 操作パネル
40 ホスト装置
50 ディスク装置
11 コントローラインターフェース
11a エンジンインターフェース
11b パネルインターフェース
11c ホストインターフェース
11d ディスクインターフェース
12 CPU
13 IC Card
14 NVRAM
15 プログラムROM
16 フォントROM
17 RAM
21 エンジン制御ボード
21a エンジン制御ボード入出力インターフェース
21b CPU
21c RAM
21d ROM
21e EEPROM
22 書き込みユニット
23 シーケンス機器群
24 センサ類
71 ホスト制御手段
72 コントローラ制御手段
73 通信手段
74 モータ制御手段
75 前処理手段
76 給紙動作制御手段
77 給紙手段
78 作像処理手段
79 排紙手段
201 給紙カセット
202 給紙コロ
203 レジストローラ対
204 感光体
205 帯電チャージャ
206 光書き込み器
207 現像ユニット
208 転写チャージャ
209 クリーニング器
210 定着器
211 FD/FU切替えソレノイド爪
212 フェイスダウン搬送路
213 排紙ローラ
214 フェイスダウン排紙トレイ
215 フェイスアップ排紙トレイ
216 メインモータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動系を制御するモータを備え、画像形成要求に基づいて画像形成を行う画像形成装置において、
前記画像形成要求に基づいて前記モータを起動するモータ制御手段と、
前記モータの起動から所定の時間後に給紙動作を開始する給紙動作制御手段と、
前記給紙動作制御手段からの給紙動作開始指示に基づいて給紙を行う給紙手段と、
を有する画像形成装置。
【請求項2】
前記所定の時間は、前記モータの起動から作像処理を開始するまでの所要時間であることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記所定の時間として、前記モータの起動から作像処理を開始するまでの所要時間から、給紙位置から書き込み開始位置までの用紙搬送に係る時間を引いた時間を、前記所定の時間とすることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
駆動系を制御するモータを備え、画像形成要求に基づいて画像形成を行う画像形成装置における画像形成方法において、
前記画像形成要求に基づいて前記モータを起動するモータ制御工程と、
前記モータの起動から所定の時間後に給紙動作を開始する給紙動作制御工程と、
前記給紙動作制御手段から給紙動作開始指示に基づいて給紙を行う給紙工程と、
を有する画像形成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−245520(P2007−245520A)
【公開日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−71782(P2006−71782)
【出願日】平成18年3月15日(2006.3.15)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】