画像形成装置及び発光体基板
【課題】高画質で、かつ信頼性の高い画像表示装置等を提供する。
【解決手段】画像形成装置は、複数の電子放出素子8を有するリアプレート1と、リアプレート1に対向配置されたフェースプレート2とを備えている。フェースプレート2は、電子が照射されることにより発光する複数の発光体膜10と、複数の発光体膜10の各々を互いに分離する黒色部材12とを有する。複数の発光体膜10は、隣接する発光体膜10が互いに異なる色を発光するように配置されている。各々の発光体膜10の領域内には、発光体膜10の表面から突出している凸状部材15が設けられている。
【解決手段】画像形成装置は、複数の電子放出素子8を有するリアプレート1と、リアプレート1に対向配置されたフェースプレート2とを備えている。フェースプレート2は、電子が照射されることにより発光する複数の発光体膜10と、複数の発光体膜10の各々を互いに分離する黒色部材12とを有する。複数の発光体膜10は、隣接する発光体膜10が互いに異なる色を発光するように配置されている。各々の発光体膜10の領域内には、発光体膜10の表面から突出している凸状部材15が設けられている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は画像形成装置及び発光体基板に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、電子放出素子を利用した電子放出装置として画像形成装置が知られている。かかる画像形成装置として、例えば、冷陰極電子放出素子を多数形成した電子源基板と、電子放出素子から放出された電子を加速するメタルバックあるいは透明電極と蛍光体とを備えた陽極基板とを平行に対向させた平面型の電子線表示パネルが知られている。電子源基板と陽極基板との間は真空に排気されている。このような画像形成装置において電界放出型電子放出素子を用いたものとしては、非特許文献1に開示されたものがある。
【0003】
図16に、電子放出素子を利用した画像形成装置の一例としての電子線表示パネルの概略構成図を示す。このパネルの構成について詳述すると、符号109は電子源基板であるリアプレート、符号102は陽極(アノード)基板であるフェースプレート、符号104は側壁、符号101はリアプレートの基体であるガラス基板を示している。符号103は、リアプレート109とフェースプレート102との間隔を規定するスペーサ103を示している。これらによって真空外囲器が構成されている。符号108は電子放出素子を示している。符号105は行方向配線、符号106は列方向配線を示しており、それぞれ、素子電極に接続されている。符号116は透明電極(アノード)、符号110は蛍光体(蛍光膜)を示している。
【0004】
この表示パネルにおいて画像を形成するには、マトリックス状に配置された行方向配線105と列方向配線106に所定の電圧を順次印加することで、マトリックスの交点に位置する所定の電子放出素子108を選択的に駆動する。そして、放出された電子を蛍光体110に照射して所定の位置に輝点を得る。なお、透明電極116は、放出電子を加速してより高い輝度の輝点を得るために、素子108に対して高電位となるように高圧端子Hvに高電圧が印加される。ここで、印加される電圧は、蛍光体の性能にもよるが、数百Vから数十kV程度の電圧である。従って、リアプレート101とフェースプレート102間の距離dは、この印加電圧によって真空の絶縁破壊(すなわち放電)が生じないようにするため、数百μmから数mm程度に設定されるのが一般的である。
【0005】
蛍光体はモノクロームの場合は蛍光体のみから構成することができる。カラーの蛍光体の場合は蛍光体の配列によりブラックストライプ、あるいはブラックマトリクスなどと呼ばれる黒色部材と蛍光体とから構成することができる。
【0006】
このような画像形成装置においては、図2に示すようにフェースプレートに照射された電子ビームが後方散乱され、電界によりフェースプレートに再突入する。この後方散乱電子が蛍光体に再突入すると、不要な部分が発光し、ハレーションと言われる現象が生じる。このハレーションは平面型画像形成装置において、高コントラスト、高色純度化の大きな妨げとなっていた。
【0007】
このような問題の解決方法が特許文献1,2に開示されている。そこでは、例えば図3に示すように、フェースプレート2のリアプレートに対向する面側で、黒色部材12上に隔壁(障壁)14を所定高さ寸法に配設している。隔壁14は後方散乱電子を遮蔽し、予定部位以外の蛍光体に後方散乱電子が達するのを防止し、ハレーションを減少させている。この隔壁14は、より高いほうが後方散乱電子を遮蔽する効果が高い。
【特許文献1】特開平06−338273号公報
【特許文献2】特開2002−33058号公報
【非特許文献1】I.Brodie,“Advanced technology:flat cold−cathode CRTs”,Information Display,1/89,17(1989)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、以上説明した従来技術の表示パネルにおいては、以下のような問題が発生する場合もあった。
【0009】
上述したように、フェースプレートのリアプレートに対向する面側で、黒色部材上に隔壁を所定高さ寸法に配設することで、ハレーションを抑制することができる。しかしながら、更なる高コントラスト、高色純度化を目指そうとした場合に、この方法でハレーションを十分に低減させようとすると、隔壁の高さをより高くする必要がある。
【0010】
隔壁が高くなると、隔壁を形成するために使用する材料の量が多くなり、隔壁から放出されるガスが増加する。そのため、真空度が低下し、蛍光体や電子源等の劣化を生じてしまい、信頼性を低下させる原因となるおそれがある。また、材料の使用量が多くなることでコストの増加につながってしまうとういう問題もあった。さらに、より高い隔壁は精度よく形成することが難しく、所望の形状が得られないという問題もあった。
【0011】
本発明は上述のような問題に鑑みてなされたものであり、高画質で、かつ信頼性の高い画像表示装置等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するため、本発明の画像形成装置は、複数の電子放出素子を有する第1の基板と、該第1の基板に対向配置され、電子が照射されることにより発光する複数の発光部材と、該複数の発光部材の各々を互いに分離する黒色部材と、を有する第2の基板と、を備えた画像形成装置において、前記複数の発光部材は、隣接する前記発光部材が互いに異なる色を発光するように配置されており、各々の前記発光部材の形成領域内には、前記発光部材の表面から突出している凸状部材が設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、高画質で、かつ信頼性の高い画像表示装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
次に、以下に図面を参照して、本発明の好適な実施の形態を例示的に詳しく説明する。ただし、この実施の形態に記載されている寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に特定的な記載がない限りは、本発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0015】
本発明の画像形成装置は、電子ビームの照射によって画像を形成する装置であり、電子放出素子としては電界放出型素子、MIM型素子、表面伝導型放出素子などを包含している。特に、表面伝導型放出素子は、構造が簡単で製造も容易であり、大面積にわたり多数の素子を形成できる利点から、本発明が適用される好ましい形態である。
【0016】
以下の実施形態においては、複数の発光体、およびこの発光体を励起させる複数の素子と、この素子を駆動するための駆動信号を出力する駆動回路とを有して構成される画像表示装置に対して本発明を適用した例を示す。ただし、これらの複数の発光体及び複数の素子と駆動回路とを有する画像表示装置については、公知であるため詳細な説明は省略し、概略を述べるにとどめる。
【0017】
図1は、本発明の一実施形態に係る表示パネルを一部を切り欠いた状態で示す斜視図である。
【0018】
図1に示されているように、本実施形態の表示パネルは、第1の基板であるリアプレート1と、第2の基板(発光体基板)であるフェースプレート2とをスペーサ3により間隔をあけて対向させ、周囲を側壁4で封止し、内部を真空雰囲気としたものとなっている。リアプレート1上には、行方向配線5、列方向配線6、電極間絶縁層(不図示)および電子放出素子8を形成した電子源基板9が固定されている。
【0019】
図示した電子放出素子8は、一対の素子電極間に電子放出部を有する導電性薄膜が接続された表面伝導型電子放出素子である。本実施形態は、この表面伝導型電子放出素子をN×M個配置し、それぞれ等間隔で形成したM本の行方向配線5とN本の列方向配線6でマトリクス配線したマルチ電子ビーム源を有するものとなっている。また、本実施形態においては、行方向配線5には引出端子Dx1〜Dxmを介して走査信号が印加され、列方向配線6には引出端子Dy1〜Dynを介して変調信号(画像信号)が印加されるものとなっている。
【0020】
行方向配線5および列方向配線電極6は、銀ペーストをスクリーン印刷法により塗布することで形成することができる。また、例えばフォトリソグラフィ法を用いて形成することもできる。行方向配線5および列方向配線電極6の構成材料としては、上記銀ペーストの他に、各種導電材料を適用することができる。
【0021】
次に、スペーサ3について説明する。本発明のような電子線を利用した画像表示装置では、原理上、画像表示パネル内は真空にする必要がある。そのため、フェースプレート2ならびにリアプレート1には大気圧がかかることになる。したがって、フェースプレート2とリアプレート1との間には間隔規定部材であるスペーサ3が必要である。また、スペーサ3は高電圧のかかるフェースプレート2とリアプレート1との間に配置されるため、絶縁耐圧が必要である。スペーサ3に用いられる材料としては、絶縁体である必要からガラス、セラミックなどの無機材料や、ポリイミドなどの絶縁耐圧の高く放出ガスの少ない有機材料などが挙げられる。スペーサ3の作製方法としては、ガラス材料の加熱延伸や、ガラス・セラミックなどの研磨、低融点ガラスを用いたプレス成型法、感光性ポリイミドを用いた方法、等が挙げられるが、その容易さからガラスの加熱延伸が好適に用いられる。また、スペーサ3の表面には機能膜を形成する場合があるが、ここでは省略する。
【0022】
リアプレート1とフェースプレート2の周縁部には、側壁4が挟み込まれており、リアプレート1と側壁4の接合部およびフェースプレート2と側壁4の接合部は、それぞれフリットガラスなどによって封止されている。
【0023】
フェースプレート2は、リアプレート1との対向面に蛍光体、黒色部材、隔壁、メタルバック等を形成した陽極基板である。フェースプレート2の基板としては、透明であることは言うまでもないが、リアプレート1用の基板と同様の機械強度、熱物性を有するものが好ましい。大画面表示パネルを構成する場合、青板ガラス、カリウムガラス、青板ガラスに液相成長法、ゾル−ゲル法、スパッタ法等によりSiO2を積層したガラス基板等を、好ましく用いることができる。
【0024】
フェースプレート2のリアプレート1との対向面には、メタルバックが設けられている。メタルバックは、不図示の外部電源から正の高電圧Vaが高圧端子Hvを介して印加される。メタルバックに必要な性能としては、電子放出源からの電子を加速する加速電圧印加のための電極として作用することや、加速された電子を透過することや、蛍光体で発光した光を観察者側に取り出すための反射膜として作用することなどが挙げられる。さらには、蛍光体の帯電を防止することが挙げられる。メタルバックの構造としては、非常に薄い金属膜であることが特徴である。材料としては、電子を透過しやすいアルミニウムが好適に用いられる。また、電子がメタルバックを通過するときにエネルギー損失が小さくなること、蛍光体の発光効率が加速電圧によること、高電圧下ではフェースプレート2とリアプレート1との間で放電が生じる可能性が高くなる。これらのことから、メタルバックには5〜15kVの電圧が印加される。メタルバックの作製方法は、CRT分野で公知のフィルミング後、真空蒸着を用いて形成すればよい。
【0025】
本実施形態の表示パネルはカラー表示であるため、蛍光体は赤、緑、青、の3原色の蛍光体が塗り分けられている。各色の蛍光体は、例えばストライプ状に塗り分けられており、各色の蛍光体のストライプの間には黒色部材が設けられている。黒色部材を設ける目的は、電子ビ−ムの照射位置に多少のずれがあっても隣接する色の発光を防止して表示色にずれを生じさせないこと、外光の反射を防止して表示コントラストの低下を防ぐこと、電子ビームによる蛍光体のチャージアップを防止すること等である。黒色部材としては、黒鉛を主成分とした材料を用いることができるが、上記の目的に適するものであればこれ以外の材料を用いることもできる。また、3原色の蛍光体の塗り分け方は、上記ストライプ状だけでなく、例えばデルタ状配列や、それ以外の配列とすることもできる。
【0026】
電子放出素子8より放出された電子はフェースプレート2へ引きつけられ、加速されて蛍光体に照射される。このとき、入射電子が蛍光体を発光させるのに十分なエネルギーをもっていれば、そこに輝点を得ることができる。一般に、カラーTV用のCRTに用いられている蛍光体では、数kVから数10kVの加速電圧で電子を加速し照射して良好な輝度と発色を得ている。CRT用の蛍光体は、比較的安価でありながら非常に高い性能を有するため、本発明においても好ましく用いることができる。
【0027】
ここで、図2から図5を参照して、隔壁およびハレーションについて詳しく説明する。
【0028】
図2及び図3は、ハレーションについて説明するための、画像表示装置のフェースプレート部の断面図である。
【0029】
フェースプレート2はリアプレート側の面に、3つの発光色(赤(R)、緑(G)、青(B))の蛍光体で構成された発光部材である複数の蛍光体膜10と、それらの蛍光体膜10の間に各々の蛍光体膜10を互いに分離する黒色部材12とが配置されている。そして、それらの蛍光体膜10及び黒色部材12の上にメタルバック11が設けられている。
【0030】
ここで、電子放出源から電子を放出した場合について考える。電子放出源から放出された電子は、メタルバック11に印加された高電圧により加速され、フェースプレート2に向かう。ここで、メタルバック11に印加される加速電圧はおおむね5〜15kVが好適に用いられる。加速された電子は、高エネルギーを有するため、あまりエネルギーを損失せずにメタルバック11を通過し、蛍光体(ここではB:青の蛍光体)に照射される。
【0031】
ここで、照射された電子の一部は、ほとんどエネルギーを損失することなく反射され、高エネルギーの後方散乱電子(反射電子、背面散乱電子、弾性散乱電子と呼ばれることもある)となる。後方散乱電子は、リアプレート1(図1参照)に向かって飛翔するが、メタルバック11に印加された高電圧に再び加速され、おおむね放物線を描いてフェースプレート2に再突入する。後方散乱電子は、入射電子の方向のみに飛翔するわけではなく、さまざまな方向に飛翔するため、選択絵素以外にも照射される。したがって、選択した絵素(3つの発光色で構成される画素のうちの1色)以外の発光が生じ、コントラストの低下や混色(選択色以外の発光が生じるため、色純度が低下する現象)が生じる。これを後方散乱電子のハレーションと呼ぶ。
【0032】
このハレーションを低減するためには、後方散乱電子を遮蔽するための隔壁を形成するとよい。図3に示すように、隔壁14は黒色部材12上に設けられる。隔壁14を設ける効果としては、後方散乱電子が選択した絵素から脱出しないように遮蔽する効果、後方散乱電子が再突入するときに、後方散乱電子を遮蔽する効果が挙げられる。
【0033】
図3に示すように、隔壁14の高さが高くなるほど、より垂直に近い高角度で反射する後方散乱電子までも多く遮蔽できるようになるため、後方散乱電子の遮蔽効果は大きくなる。これは、隣接隔壁間隔(開口幅)が一定の場合であって、正確には、隔壁14の高さと開口幅との比(アスペクト比)によって変わる。
【0034】
図4は、隔壁の高さと開口幅との比(アスペクト比)について説明するための、画像表示装置のフェースプレート部の断面図である。
【0035】
図4には、2つの隔壁で1つの開口を形成している2種類の例が示されている。隔壁の高さをそれぞれH1,H2とし、開口幅をW1,W2とする。この場合、隔壁と開口幅のそれぞれのアスペクト比は、H1/W1およびH2/W2である。ここで、H1/H2=W1/W2とすると、アスペクト比はどちらも同じである。このとき、それぞれの開口の中心と開口をなす両隔壁の角とを結んだ直線でできる角度をθ1,θ2とすると、θ1=θ2となる。
【0036】
図4中に示すように、開口部に照射される電子が反射した場合に遮蔽されないのはこのθ1,θ2の角度以下で反射したときであるので、アスペクト比が同じであれば後方散乱電子の遮蔽効果は同じとなることがわかる。
【0037】
図5は、後方散乱電子の蛍光面への再突入率(縦軸)と隔壁と開口のアスペクト比(横軸)との関係を表すグラフである。
【0038】
このグラフから、アスペクト比を大きくすると後方散乱電子の蛍光面への再突入率を大きく低減できることがわかる。
【0039】
上述のとおり、ハレーションを低減するためには、隔壁を黒色部材上に設け、そのアスペクト比を大きくするとよい。したがって、ハレーションの低減効果を得つつ、隔壁の高さを低くするためには、開口幅を狭めればよいことがわかる。
【0040】
ここで、図6及び図7を参照して、本発明の特徴部分である凸状部材について説明する。図6は本発明の実施形態に係る画像表示装置の断面図、図7は電子の反射を説明するためのフェースプレート部の断面図である。
【0041】
図6に示すように、電子放出素子8が設けられたリアプレート1がフェースプレート2と間隔をおいて対向している。フェースプレート2の電子ビームが照射される領域内(スポット内)で、かつ、各色の蛍光体膜10の領域内には凸状部材15が形成されている。凸状部材15は、上述した隔壁14と同様に後方散乱電子を遮蔽し、ハレーションを低減する効果をもつ。ここでのアスペクト比は、隔壁14と凸状部材15との間の幅(各色の蛍光体領域内に凸状部材15が複数ある場合は凸状部材15間の幅も該当する)と、蛍光体表面(メタルバック)から凸状部材15の先端までの高さとの比となる。よって、図6に示すように細い凸状部材15を隔壁の間の中央に配置した場合は、凸状部材15が無いときに比べてアスペクト比は約2倍となり、隔壁14の高さを約半分にすることができる。
【0042】
凸状部材15は、電子ビームへの影響を極力小さくするために、幅が狭く形成されている。具体的には、凸状部材15の幅が隔壁14の幅よりも狭くなっている。また、後方散乱電子を遮蔽効果を得るために、フェースプレート2からの凸状部材15の高さが、フェースプレート2からの隔壁14の高さと同じになっている。
【0043】
さらに、図7に示すように、凸状部材15のリアプレート1に対向する部分(先端部)には、リアプレート1の凸状部材15に対向する面に対して傾いた面が少なくとも1つ以上形成されていることが好ましい。これにより、凸状部材15の先端に衝突した電子がリアプレート1の方向に反射することを防ぐことができる。
【0044】
隔壁14および凸状部材15の材料としては、Ni,Cu,Ag,Alなどの金属や、低融点ガラスフリット、セラミック、ポリイミドなどの誘電体などから選択して使用することができる。ここで、プラズマディスプレイなどで用いられる、セラミックと低融点ガラスフリットなどからなるペーストを用いて形成する手法を、コスト面や形成のしやすさ等の理由で好適に用いることができる。また、隔壁14の材料を黒色部材12と兼ねるために、黒色材料を含有させて形成しても良い。隔壁14および凸状部材15の作製方法としては、スクリーン印刷法、フォトリソグラフィ法、サンドブラスト法、凹板による型転写法などから選択することができる。
【0045】
以上説明したように、本実施形態の構成によれば、電子ビームが照射される領域内(スポット内)で、かつ、各色の蛍光体膜10の領域内に凸状部材15が設けられており、凸状部材15が蛍光体膜10の表面から突出している。これにより、後方散乱電子を遮蔽してハレーションを低減しつつ、隔壁14および凸状部材15の高さを低くすることができる。そのため、隔壁14および凸状部材15の構成材料の量を減らすことができるので、それらからの放出ガスを低減することによって、蛍光体層10や電子源等の劣化を抑えることができる。これにより、信頼性が高く、かつ高コントラストで色ずれのない表示品位の良好な画像の表示が可能な画像形成装置を提供することができる。
【実施例】
【0046】
以下、実施例を用いて本発明をさらに詳しく説明する。
【0047】
[第1の実施例]
図8は本発明の第1の実施例に係る画像表示装置のフェースプレートの断面図である。図9は図8に示したフェースプレートの下面を一部のメタルバックを取り除いた状態で模式的に示す図である。
【0048】
図8及び図9を参照して、本発明の第1の実施例について説明する。
【0049】
本実施例の画像表示装置に用いたフェースプレート2は、複数の蛍光体膜10の各々が黒色部材12の間にストライプ状に設けられている。各々の蛍光体膜10は3色(赤R・緑G・青B)の蛍光体のいずれかによって構成されており、R,G,Bの順に繰り返し配置されている。したがって、複数の蛍光体膜10は、隣接する蛍光体膜10が互いに異なる色を発光するように配置されている。凸状部材15は、各色の蛍光体膜10の領域の中央に設けられており、蛍光体膜10の長さ方向に延びている。
【0050】
いずれの色の蛍光体膜10も、黒色部材12と凸状部材15との間の幅が70μmであり、高さ(図1のZ方向)が15μmである。黒色部材12は、幅が50μmであり、高さは15μmである。また、黒色部材12上には隔壁14が設けられている。隔壁14の幅は黒色部材12と同様に50μmであり、高さは100μmである。本発明の特徴部分である凸状部材15は、幅が10μm、高さが115μmである。また、蛍光体膜10上にはメタルバック11が設けられている。メタルバック11としては、厚さ100nmのアルミニウム薄膜が用いられている。
【0051】
次に、図1を参照して本実施例に用いたリアプレート1について説明する。リアプレート1上には表面伝導型電子放出素子8からなる電子放出源を配置した。電子放出源のピッチは、列方向に200μm、行方向に600μmとし、フェースプレート2の蛍光体膜のそれぞれに対向して配置した。また、電子放出素子を電気的に接続する行方向配線5及び列方向配線6は、銀と低融点ガラスとからなる銀ペーストにより形成した。なお、電子放出源ならびにリアプレートの詳細な構造および製法は省略する。
【0052】
次に、図1を参照して本実施例に用いたスペーサ3について説明する。スペーサ3はガラス基板により形成され、加熱延伸法にて厚さ200μm、高さ1.8mmとし、長さは画像領域(電子放出源ならびに蛍光体膜が配置され、画像を表示する領域)よりも長くした。スペーサ3はリアプレート1の走査配線とフェースプレート2の隔壁に接触し、その間を1.8mmに規定した。したがって、フェースプレート2のメタルバック11からリアプレート1までの距離、すなわちパネルの間隔は1.9mmとなった。なお、スペーサ3の製造方法に関する説明は省略する。
【0053】
次に、図10を参照して本実施例に用いたフェースプレートの製造方法を説明する。
(工程1)まず、厚さ1.8mmの低アルカリガラス基板からなるフェースプレート2を洗浄した。
(工程2)フェースプレート2上に、厚さ(上述の高さであり、図1のZ方向)が15μmの黒色部材15をスリットコーターにて塗布し、所望のパターンに露光し、現像し、焼成することで、前述の形状の黒色部材15を形成した(図10(a))。
(工程3)続いて、スリットコーターにてガラス面からの厚さ(上述の高さであり、図1のZ方向)が115μm(黒色部材上からの高さは100μm)の隔壁14および凸状部材15の材料のペーストを塗布した。隔壁14および凸状部材15の材料のペーストとしては、アルミナおよび低融点ガラスフリットを含有するペーストを用いた。次に、塗布した部材の上に、ドライフィルムレジスト(DFR)をラミネートし、露光・現像を行いサンドブラスト用のマスクを形成した。次に、サンドブラスト法にて隔壁14および凸状部材15の不要な部分を除去した。次に、DFRを剥離し、基板を洗浄し、焼成することにより前述の形状の隔壁14および凸状部材15を形成した(図13(b))。
(工程4)次に、隔壁14、凸状部材15および黒色部材12により形成される開口部に、蛍光体を塗布した。蛍光体の塗布はスクリーン印刷法により、所望の厚さになるように、RGBの各色を塗り分けた。蛍光体としては、P22蛍光体を用いた。その後、焼成することにより、前述の形状の蛍光体膜10を形成した(図13(c))。
(工程5)次に、メタルバック11をCRTの分野で公知のフィルミング法により形成した。まず、アクリルエマルジョンを蛍光体膜10の上にスプレー法にて塗布し、乾燥させた。次に、アルミニウムを真空蒸着法にて形成し、大気中にて焼成することにより有機成分を除去することにより、前述の形状のメタルバック11を形成した(図13(d))。
【0054】
以上のようにして作成したリアプレート1とフェースプレート2を、側壁4を介して対向配置させて封着し、図1に示す表示装置を作製した。この表示装置を、高圧端子Hvを介してメタルバック11に10kVの電圧を印加して駆動したところ、ハレーションが低減した良好な画像表示を得ることができた。
【0055】
[第2の実施例]
次に、本発明の第2の実施例について、図11を参照して説明する。本実施例は、凸状部材15の先端面が対向するリアプレート1に対して斜めに傾いている点において、第1の実施例と相違している。本実施例のその他の点は第1の実施例と同様であるため、説明を省略する。
【0056】
図11は本発明の第2の実施例に係る画像表示装置のフェースプレートの断面図である。本実施例の画像表示装置では、凸状部材15の先端が対向するリアプレート1に対して斜めに角度がつくように加工した。その加工方法としては、第1の実施例と同様にサンドブラスト法で凸状部材15の不要な部分を除去し、DFRを剥離、洗浄したのち、再度サンドブラスト法にて凸状部材15の角部を除去した。これにより、凸状部材15の先端に衝突した電子がリアプレート1の方向に反射することを防ぐことができる。
【0057】
本実施例の画像表示装置においても、第1の実施例と同様に、より高輝度な画像表示を行うことができた。
【0058】
[第3の実施例]
次に、本発明の第3の実施例について、図12及び図13を参照して説明する。本実施例は、黒色部材12をストライプではなくて格子状に形成した点、各蛍光体膜10に凸状部材15が複数設けられている点が上述した各実施例と相違している。黒色部材12をストライプではなくて格子状にした理由としては、明所コントラストの向上にある。本実施例のその他の点は実施例1とほぼ同様であるため、説明を省略する。
【0059】
図12は本発明の第3の実施例に係る画像表示装置のフェースプレートの断面図である。図13は図12に示したフェースプレートの下面を一部のメタルバックを取り除いた状態で模式的に示す図である。
【0060】
本実施例の画像表示装置では、各色の蛍光体膜10は、黒色部材12と凸状部材15の間および凸状部材15間の幅が43μm、長さが300μm、厚さ(上述の高さであり、図1のZ方向)が15μmである。黒色部材12は、幅が50μm、長さが300μm、厚さ(上述の高さであり、図1のZ方向)が15μmである。3色の蛍光体膜10と黒色部材12にて、600μm×600μmの正方形の画素が形成されている。また、黒色部材12上には隔壁14が設けられている。隔壁14の幅は黒色部材12と同様、50μmであり、高さは60μmである。本発明の特徴部分である凸状部材15は、蛍光体膜10を均等に三分割するように各蛍光体膜10の領域内に2つずつ設けられている。凸状部材15は、幅が10μm、長さが300μm、高さが75μmである。
【0061】
本実施例の画像表示装置においても第1の実施例と同様の効果を得ることができた。さらには、本実施例の画像表示装置では、第1の実施例よりも更に色純度の高い(混色の少ない)良好な画像表示が可能であった。
[実施例4]
次に、本発明の第4の実施例について、図14及び図15を参照して説明する。本実施例では、上述した各実施例における隔壁の代わり凸状部材15をフェースプレート2の全面にわたって格子状に形成し、凸状部材15を黒色部材12および蛍光体層15上に配置した点において、上述した各実施例と相違している。本実施例のその他の点は、実施例3とほぼ同様であるため、説明を省略する。
【0062】
図14は本発明の第4の実施例に係る画像表示装置のフェースプレートの断面図である。図15は図14に示したフェースプレートの下面を一部のメタルバックを取り除いた状態で模式的に示す図である。
【0063】
本実施例の画像表示装置では、各色の蛍光体膜10は、黒色部材12間の幅が150μm、長さが300μm、厚さ(上述の高さであり、図1のZ方向)が15μmである。黒色部材12は、幅が50μm、長さが300μm、厚さ(上述の高さであり、図1のZ方向)が15μmである。3色の蛍光体膜10と黒色部材12にて、600μm×600μmの正方形の画素が形成されている。また、本発明の特徴部分である凸状部材15は、フェースプレート2の全面にわたって格子状に設けられており、幅が5μm、高さが35μmである。そして、凸状部材15で囲まれる開口の大きさは、幅が25μm、長さが70μmである。
【0064】
本実施例に用いた凸状部材15は、X線を用いてレジスト膜をパターニングした後、パターン溝にスラリー状のセラミックスを注入して焼成することで作製した。
【0065】
本実施例の画像表示装置においても第1の実施例と同様の効果を得ることができた。さらには、本実施例の画像表示装置では、第1の実施例よりも更に色純度の高い(混色の少ない)良好な画像表示が可能であった。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明の一実施形態に係る表示パネルを一部を切り欠いた状態で示す斜視図である。
【図2】ハレーションについて説明するための、画像表示装置のフェースプレート部の断面図である。
【図3】ハレーションについて説明するための、画像表示装置のフェースプレート部の断面図である。
【図4】隔壁の高さと開口幅との比(アスペクト比)について説明するための、画像表示装置のフェースプレート部の断面図である。
【図5】後方散乱電子の蛍光面への再突入率(縦軸)と隔壁と開口のアスペクト比(横軸)との関係を表すグラフである。
【図6】本発明の実施形態に係る画像表示装置の断面図である。
【図7】電子の反射を説明するためのフェースプレート部の断面図である。
【図8】本発明の第1の実施例に係る画像表示装置のフェースプレートの断面図である。
【図9】図8に示したフェースプレートの下面を一部のメタルバックを取り除いた状態で模式的に示す図である。
【図10】第1の実施例に用いたフェースプレートの製造方法を説明する図である。
【図11】本発明の第2の実施例に係る画像表示装置のフェースプレートの断面図である。
【図12】本発明の第3の実施例に係る画像表示装置のフェースプレートの断面図である。
【図13】図12に示したフェースプレートの下面を一部のメタルバックを取り除いた状態で模式的に示す図である。
【図14】本発明の第4の実施例に係る画像表示装置のフェースプレートの断面図である。
【図15】図14に示したフェースプレートの下面を一部のメタルバックを取り除いた状態で模式的に示す図である。
【図16】電子放出素子を利用した画像形成装置の一例としての電子線表示パネルの概略構成図である。
【符号の説明】
【0067】
1 リアプレート
2 フェースプレート
8 電子放出素子
10 発光体膜
11 メタルバック
12 黒色部材
14 隔壁
15 凸状部材
【技術分野】
【0001】
本発明は画像形成装置及び発光体基板に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、電子放出素子を利用した電子放出装置として画像形成装置が知られている。かかる画像形成装置として、例えば、冷陰極電子放出素子を多数形成した電子源基板と、電子放出素子から放出された電子を加速するメタルバックあるいは透明電極と蛍光体とを備えた陽極基板とを平行に対向させた平面型の電子線表示パネルが知られている。電子源基板と陽極基板との間は真空に排気されている。このような画像形成装置において電界放出型電子放出素子を用いたものとしては、非特許文献1に開示されたものがある。
【0003】
図16に、電子放出素子を利用した画像形成装置の一例としての電子線表示パネルの概略構成図を示す。このパネルの構成について詳述すると、符号109は電子源基板であるリアプレート、符号102は陽極(アノード)基板であるフェースプレート、符号104は側壁、符号101はリアプレートの基体であるガラス基板を示している。符号103は、リアプレート109とフェースプレート102との間隔を規定するスペーサ103を示している。これらによって真空外囲器が構成されている。符号108は電子放出素子を示している。符号105は行方向配線、符号106は列方向配線を示しており、それぞれ、素子電極に接続されている。符号116は透明電極(アノード)、符号110は蛍光体(蛍光膜)を示している。
【0004】
この表示パネルにおいて画像を形成するには、マトリックス状に配置された行方向配線105と列方向配線106に所定の電圧を順次印加することで、マトリックスの交点に位置する所定の電子放出素子108を選択的に駆動する。そして、放出された電子を蛍光体110に照射して所定の位置に輝点を得る。なお、透明電極116は、放出電子を加速してより高い輝度の輝点を得るために、素子108に対して高電位となるように高圧端子Hvに高電圧が印加される。ここで、印加される電圧は、蛍光体の性能にもよるが、数百Vから数十kV程度の電圧である。従って、リアプレート101とフェースプレート102間の距離dは、この印加電圧によって真空の絶縁破壊(すなわち放電)が生じないようにするため、数百μmから数mm程度に設定されるのが一般的である。
【0005】
蛍光体はモノクロームの場合は蛍光体のみから構成することができる。カラーの蛍光体の場合は蛍光体の配列によりブラックストライプ、あるいはブラックマトリクスなどと呼ばれる黒色部材と蛍光体とから構成することができる。
【0006】
このような画像形成装置においては、図2に示すようにフェースプレートに照射された電子ビームが後方散乱され、電界によりフェースプレートに再突入する。この後方散乱電子が蛍光体に再突入すると、不要な部分が発光し、ハレーションと言われる現象が生じる。このハレーションは平面型画像形成装置において、高コントラスト、高色純度化の大きな妨げとなっていた。
【0007】
このような問題の解決方法が特許文献1,2に開示されている。そこでは、例えば図3に示すように、フェースプレート2のリアプレートに対向する面側で、黒色部材12上に隔壁(障壁)14を所定高さ寸法に配設している。隔壁14は後方散乱電子を遮蔽し、予定部位以外の蛍光体に後方散乱電子が達するのを防止し、ハレーションを減少させている。この隔壁14は、より高いほうが後方散乱電子を遮蔽する効果が高い。
【特許文献1】特開平06−338273号公報
【特許文献2】特開2002−33058号公報
【非特許文献1】I.Brodie,“Advanced technology:flat cold−cathode CRTs”,Information Display,1/89,17(1989)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、以上説明した従来技術の表示パネルにおいては、以下のような問題が発生する場合もあった。
【0009】
上述したように、フェースプレートのリアプレートに対向する面側で、黒色部材上に隔壁を所定高さ寸法に配設することで、ハレーションを抑制することができる。しかしながら、更なる高コントラスト、高色純度化を目指そうとした場合に、この方法でハレーションを十分に低減させようとすると、隔壁の高さをより高くする必要がある。
【0010】
隔壁が高くなると、隔壁を形成するために使用する材料の量が多くなり、隔壁から放出されるガスが増加する。そのため、真空度が低下し、蛍光体や電子源等の劣化を生じてしまい、信頼性を低下させる原因となるおそれがある。また、材料の使用量が多くなることでコストの増加につながってしまうとういう問題もあった。さらに、より高い隔壁は精度よく形成することが難しく、所望の形状が得られないという問題もあった。
【0011】
本発明は上述のような問題に鑑みてなされたものであり、高画質で、かつ信頼性の高い画像表示装置等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するため、本発明の画像形成装置は、複数の電子放出素子を有する第1の基板と、該第1の基板に対向配置され、電子が照射されることにより発光する複数の発光部材と、該複数の発光部材の各々を互いに分離する黒色部材と、を有する第2の基板と、を備えた画像形成装置において、前記複数の発光部材は、隣接する前記発光部材が互いに異なる色を発光するように配置されており、各々の前記発光部材の形成領域内には、前記発光部材の表面から突出している凸状部材が設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、高画質で、かつ信頼性の高い画像表示装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
次に、以下に図面を参照して、本発明の好適な実施の形態を例示的に詳しく説明する。ただし、この実施の形態に記載されている寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に特定的な記載がない限りは、本発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0015】
本発明の画像形成装置は、電子ビームの照射によって画像を形成する装置であり、電子放出素子としては電界放出型素子、MIM型素子、表面伝導型放出素子などを包含している。特に、表面伝導型放出素子は、構造が簡単で製造も容易であり、大面積にわたり多数の素子を形成できる利点から、本発明が適用される好ましい形態である。
【0016】
以下の実施形態においては、複数の発光体、およびこの発光体を励起させる複数の素子と、この素子を駆動するための駆動信号を出力する駆動回路とを有して構成される画像表示装置に対して本発明を適用した例を示す。ただし、これらの複数の発光体及び複数の素子と駆動回路とを有する画像表示装置については、公知であるため詳細な説明は省略し、概略を述べるにとどめる。
【0017】
図1は、本発明の一実施形態に係る表示パネルを一部を切り欠いた状態で示す斜視図である。
【0018】
図1に示されているように、本実施形態の表示パネルは、第1の基板であるリアプレート1と、第2の基板(発光体基板)であるフェースプレート2とをスペーサ3により間隔をあけて対向させ、周囲を側壁4で封止し、内部を真空雰囲気としたものとなっている。リアプレート1上には、行方向配線5、列方向配線6、電極間絶縁層(不図示)および電子放出素子8を形成した電子源基板9が固定されている。
【0019】
図示した電子放出素子8は、一対の素子電極間に電子放出部を有する導電性薄膜が接続された表面伝導型電子放出素子である。本実施形態は、この表面伝導型電子放出素子をN×M個配置し、それぞれ等間隔で形成したM本の行方向配線5とN本の列方向配線6でマトリクス配線したマルチ電子ビーム源を有するものとなっている。また、本実施形態においては、行方向配線5には引出端子Dx1〜Dxmを介して走査信号が印加され、列方向配線6には引出端子Dy1〜Dynを介して変調信号(画像信号)が印加されるものとなっている。
【0020】
行方向配線5および列方向配線電極6は、銀ペーストをスクリーン印刷法により塗布することで形成することができる。また、例えばフォトリソグラフィ法を用いて形成することもできる。行方向配線5および列方向配線電極6の構成材料としては、上記銀ペーストの他に、各種導電材料を適用することができる。
【0021】
次に、スペーサ3について説明する。本発明のような電子線を利用した画像表示装置では、原理上、画像表示パネル内は真空にする必要がある。そのため、フェースプレート2ならびにリアプレート1には大気圧がかかることになる。したがって、フェースプレート2とリアプレート1との間には間隔規定部材であるスペーサ3が必要である。また、スペーサ3は高電圧のかかるフェースプレート2とリアプレート1との間に配置されるため、絶縁耐圧が必要である。スペーサ3に用いられる材料としては、絶縁体である必要からガラス、セラミックなどの無機材料や、ポリイミドなどの絶縁耐圧の高く放出ガスの少ない有機材料などが挙げられる。スペーサ3の作製方法としては、ガラス材料の加熱延伸や、ガラス・セラミックなどの研磨、低融点ガラスを用いたプレス成型法、感光性ポリイミドを用いた方法、等が挙げられるが、その容易さからガラスの加熱延伸が好適に用いられる。また、スペーサ3の表面には機能膜を形成する場合があるが、ここでは省略する。
【0022】
リアプレート1とフェースプレート2の周縁部には、側壁4が挟み込まれており、リアプレート1と側壁4の接合部およびフェースプレート2と側壁4の接合部は、それぞれフリットガラスなどによって封止されている。
【0023】
フェースプレート2は、リアプレート1との対向面に蛍光体、黒色部材、隔壁、メタルバック等を形成した陽極基板である。フェースプレート2の基板としては、透明であることは言うまでもないが、リアプレート1用の基板と同様の機械強度、熱物性を有するものが好ましい。大画面表示パネルを構成する場合、青板ガラス、カリウムガラス、青板ガラスに液相成長法、ゾル−ゲル法、スパッタ法等によりSiO2を積層したガラス基板等を、好ましく用いることができる。
【0024】
フェースプレート2のリアプレート1との対向面には、メタルバックが設けられている。メタルバックは、不図示の外部電源から正の高電圧Vaが高圧端子Hvを介して印加される。メタルバックに必要な性能としては、電子放出源からの電子を加速する加速電圧印加のための電極として作用することや、加速された電子を透過することや、蛍光体で発光した光を観察者側に取り出すための反射膜として作用することなどが挙げられる。さらには、蛍光体の帯電を防止することが挙げられる。メタルバックの構造としては、非常に薄い金属膜であることが特徴である。材料としては、電子を透過しやすいアルミニウムが好適に用いられる。また、電子がメタルバックを通過するときにエネルギー損失が小さくなること、蛍光体の発光効率が加速電圧によること、高電圧下ではフェースプレート2とリアプレート1との間で放電が生じる可能性が高くなる。これらのことから、メタルバックには5〜15kVの電圧が印加される。メタルバックの作製方法は、CRT分野で公知のフィルミング後、真空蒸着を用いて形成すればよい。
【0025】
本実施形態の表示パネルはカラー表示であるため、蛍光体は赤、緑、青、の3原色の蛍光体が塗り分けられている。各色の蛍光体は、例えばストライプ状に塗り分けられており、各色の蛍光体のストライプの間には黒色部材が設けられている。黒色部材を設ける目的は、電子ビ−ムの照射位置に多少のずれがあっても隣接する色の発光を防止して表示色にずれを生じさせないこと、外光の反射を防止して表示コントラストの低下を防ぐこと、電子ビームによる蛍光体のチャージアップを防止すること等である。黒色部材としては、黒鉛を主成分とした材料を用いることができるが、上記の目的に適するものであればこれ以外の材料を用いることもできる。また、3原色の蛍光体の塗り分け方は、上記ストライプ状だけでなく、例えばデルタ状配列や、それ以外の配列とすることもできる。
【0026】
電子放出素子8より放出された電子はフェースプレート2へ引きつけられ、加速されて蛍光体に照射される。このとき、入射電子が蛍光体を発光させるのに十分なエネルギーをもっていれば、そこに輝点を得ることができる。一般に、カラーTV用のCRTに用いられている蛍光体では、数kVから数10kVの加速電圧で電子を加速し照射して良好な輝度と発色を得ている。CRT用の蛍光体は、比較的安価でありながら非常に高い性能を有するため、本発明においても好ましく用いることができる。
【0027】
ここで、図2から図5を参照して、隔壁およびハレーションについて詳しく説明する。
【0028】
図2及び図3は、ハレーションについて説明するための、画像表示装置のフェースプレート部の断面図である。
【0029】
フェースプレート2はリアプレート側の面に、3つの発光色(赤(R)、緑(G)、青(B))の蛍光体で構成された発光部材である複数の蛍光体膜10と、それらの蛍光体膜10の間に各々の蛍光体膜10を互いに分離する黒色部材12とが配置されている。そして、それらの蛍光体膜10及び黒色部材12の上にメタルバック11が設けられている。
【0030】
ここで、電子放出源から電子を放出した場合について考える。電子放出源から放出された電子は、メタルバック11に印加された高電圧により加速され、フェースプレート2に向かう。ここで、メタルバック11に印加される加速電圧はおおむね5〜15kVが好適に用いられる。加速された電子は、高エネルギーを有するため、あまりエネルギーを損失せずにメタルバック11を通過し、蛍光体(ここではB:青の蛍光体)に照射される。
【0031】
ここで、照射された電子の一部は、ほとんどエネルギーを損失することなく反射され、高エネルギーの後方散乱電子(反射電子、背面散乱電子、弾性散乱電子と呼ばれることもある)となる。後方散乱電子は、リアプレート1(図1参照)に向かって飛翔するが、メタルバック11に印加された高電圧に再び加速され、おおむね放物線を描いてフェースプレート2に再突入する。後方散乱電子は、入射電子の方向のみに飛翔するわけではなく、さまざまな方向に飛翔するため、選択絵素以外にも照射される。したがって、選択した絵素(3つの発光色で構成される画素のうちの1色)以外の発光が生じ、コントラストの低下や混色(選択色以外の発光が生じるため、色純度が低下する現象)が生じる。これを後方散乱電子のハレーションと呼ぶ。
【0032】
このハレーションを低減するためには、後方散乱電子を遮蔽するための隔壁を形成するとよい。図3に示すように、隔壁14は黒色部材12上に設けられる。隔壁14を設ける効果としては、後方散乱電子が選択した絵素から脱出しないように遮蔽する効果、後方散乱電子が再突入するときに、後方散乱電子を遮蔽する効果が挙げられる。
【0033】
図3に示すように、隔壁14の高さが高くなるほど、より垂直に近い高角度で反射する後方散乱電子までも多く遮蔽できるようになるため、後方散乱電子の遮蔽効果は大きくなる。これは、隣接隔壁間隔(開口幅)が一定の場合であって、正確には、隔壁14の高さと開口幅との比(アスペクト比)によって変わる。
【0034】
図4は、隔壁の高さと開口幅との比(アスペクト比)について説明するための、画像表示装置のフェースプレート部の断面図である。
【0035】
図4には、2つの隔壁で1つの開口を形成している2種類の例が示されている。隔壁の高さをそれぞれH1,H2とし、開口幅をW1,W2とする。この場合、隔壁と開口幅のそれぞれのアスペクト比は、H1/W1およびH2/W2である。ここで、H1/H2=W1/W2とすると、アスペクト比はどちらも同じである。このとき、それぞれの開口の中心と開口をなす両隔壁の角とを結んだ直線でできる角度をθ1,θ2とすると、θ1=θ2となる。
【0036】
図4中に示すように、開口部に照射される電子が反射した場合に遮蔽されないのはこのθ1,θ2の角度以下で反射したときであるので、アスペクト比が同じであれば後方散乱電子の遮蔽効果は同じとなることがわかる。
【0037】
図5は、後方散乱電子の蛍光面への再突入率(縦軸)と隔壁と開口のアスペクト比(横軸)との関係を表すグラフである。
【0038】
このグラフから、アスペクト比を大きくすると後方散乱電子の蛍光面への再突入率を大きく低減できることがわかる。
【0039】
上述のとおり、ハレーションを低減するためには、隔壁を黒色部材上に設け、そのアスペクト比を大きくするとよい。したがって、ハレーションの低減効果を得つつ、隔壁の高さを低くするためには、開口幅を狭めればよいことがわかる。
【0040】
ここで、図6及び図7を参照して、本発明の特徴部分である凸状部材について説明する。図6は本発明の実施形態に係る画像表示装置の断面図、図7は電子の反射を説明するためのフェースプレート部の断面図である。
【0041】
図6に示すように、電子放出素子8が設けられたリアプレート1がフェースプレート2と間隔をおいて対向している。フェースプレート2の電子ビームが照射される領域内(スポット内)で、かつ、各色の蛍光体膜10の領域内には凸状部材15が形成されている。凸状部材15は、上述した隔壁14と同様に後方散乱電子を遮蔽し、ハレーションを低減する効果をもつ。ここでのアスペクト比は、隔壁14と凸状部材15との間の幅(各色の蛍光体領域内に凸状部材15が複数ある場合は凸状部材15間の幅も該当する)と、蛍光体表面(メタルバック)から凸状部材15の先端までの高さとの比となる。よって、図6に示すように細い凸状部材15を隔壁の間の中央に配置した場合は、凸状部材15が無いときに比べてアスペクト比は約2倍となり、隔壁14の高さを約半分にすることができる。
【0042】
凸状部材15は、電子ビームへの影響を極力小さくするために、幅が狭く形成されている。具体的には、凸状部材15の幅が隔壁14の幅よりも狭くなっている。また、後方散乱電子を遮蔽効果を得るために、フェースプレート2からの凸状部材15の高さが、フェースプレート2からの隔壁14の高さと同じになっている。
【0043】
さらに、図7に示すように、凸状部材15のリアプレート1に対向する部分(先端部)には、リアプレート1の凸状部材15に対向する面に対して傾いた面が少なくとも1つ以上形成されていることが好ましい。これにより、凸状部材15の先端に衝突した電子がリアプレート1の方向に反射することを防ぐことができる。
【0044】
隔壁14および凸状部材15の材料としては、Ni,Cu,Ag,Alなどの金属や、低融点ガラスフリット、セラミック、ポリイミドなどの誘電体などから選択して使用することができる。ここで、プラズマディスプレイなどで用いられる、セラミックと低融点ガラスフリットなどからなるペーストを用いて形成する手法を、コスト面や形成のしやすさ等の理由で好適に用いることができる。また、隔壁14の材料を黒色部材12と兼ねるために、黒色材料を含有させて形成しても良い。隔壁14および凸状部材15の作製方法としては、スクリーン印刷法、フォトリソグラフィ法、サンドブラスト法、凹板による型転写法などから選択することができる。
【0045】
以上説明したように、本実施形態の構成によれば、電子ビームが照射される領域内(スポット内)で、かつ、各色の蛍光体膜10の領域内に凸状部材15が設けられており、凸状部材15が蛍光体膜10の表面から突出している。これにより、後方散乱電子を遮蔽してハレーションを低減しつつ、隔壁14および凸状部材15の高さを低くすることができる。そのため、隔壁14および凸状部材15の構成材料の量を減らすことができるので、それらからの放出ガスを低減することによって、蛍光体層10や電子源等の劣化を抑えることができる。これにより、信頼性が高く、かつ高コントラストで色ずれのない表示品位の良好な画像の表示が可能な画像形成装置を提供することができる。
【実施例】
【0046】
以下、実施例を用いて本発明をさらに詳しく説明する。
【0047】
[第1の実施例]
図8は本発明の第1の実施例に係る画像表示装置のフェースプレートの断面図である。図9は図8に示したフェースプレートの下面を一部のメタルバックを取り除いた状態で模式的に示す図である。
【0048】
図8及び図9を参照して、本発明の第1の実施例について説明する。
【0049】
本実施例の画像表示装置に用いたフェースプレート2は、複数の蛍光体膜10の各々が黒色部材12の間にストライプ状に設けられている。各々の蛍光体膜10は3色(赤R・緑G・青B)の蛍光体のいずれかによって構成されており、R,G,Bの順に繰り返し配置されている。したがって、複数の蛍光体膜10は、隣接する蛍光体膜10が互いに異なる色を発光するように配置されている。凸状部材15は、各色の蛍光体膜10の領域の中央に設けられており、蛍光体膜10の長さ方向に延びている。
【0050】
いずれの色の蛍光体膜10も、黒色部材12と凸状部材15との間の幅が70μmであり、高さ(図1のZ方向)が15μmである。黒色部材12は、幅が50μmであり、高さは15μmである。また、黒色部材12上には隔壁14が設けられている。隔壁14の幅は黒色部材12と同様に50μmであり、高さは100μmである。本発明の特徴部分である凸状部材15は、幅が10μm、高さが115μmである。また、蛍光体膜10上にはメタルバック11が設けられている。メタルバック11としては、厚さ100nmのアルミニウム薄膜が用いられている。
【0051】
次に、図1を参照して本実施例に用いたリアプレート1について説明する。リアプレート1上には表面伝導型電子放出素子8からなる電子放出源を配置した。電子放出源のピッチは、列方向に200μm、行方向に600μmとし、フェースプレート2の蛍光体膜のそれぞれに対向して配置した。また、電子放出素子を電気的に接続する行方向配線5及び列方向配線6は、銀と低融点ガラスとからなる銀ペーストにより形成した。なお、電子放出源ならびにリアプレートの詳細な構造および製法は省略する。
【0052】
次に、図1を参照して本実施例に用いたスペーサ3について説明する。スペーサ3はガラス基板により形成され、加熱延伸法にて厚さ200μm、高さ1.8mmとし、長さは画像領域(電子放出源ならびに蛍光体膜が配置され、画像を表示する領域)よりも長くした。スペーサ3はリアプレート1の走査配線とフェースプレート2の隔壁に接触し、その間を1.8mmに規定した。したがって、フェースプレート2のメタルバック11からリアプレート1までの距離、すなわちパネルの間隔は1.9mmとなった。なお、スペーサ3の製造方法に関する説明は省略する。
【0053】
次に、図10を参照して本実施例に用いたフェースプレートの製造方法を説明する。
(工程1)まず、厚さ1.8mmの低アルカリガラス基板からなるフェースプレート2を洗浄した。
(工程2)フェースプレート2上に、厚さ(上述の高さであり、図1のZ方向)が15μmの黒色部材15をスリットコーターにて塗布し、所望のパターンに露光し、現像し、焼成することで、前述の形状の黒色部材15を形成した(図10(a))。
(工程3)続いて、スリットコーターにてガラス面からの厚さ(上述の高さであり、図1のZ方向)が115μm(黒色部材上からの高さは100μm)の隔壁14および凸状部材15の材料のペーストを塗布した。隔壁14および凸状部材15の材料のペーストとしては、アルミナおよび低融点ガラスフリットを含有するペーストを用いた。次に、塗布した部材の上に、ドライフィルムレジスト(DFR)をラミネートし、露光・現像を行いサンドブラスト用のマスクを形成した。次に、サンドブラスト法にて隔壁14および凸状部材15の不要な部分を除去した。次に、DFRを剥離し、基板を洗浄し、焼成することにより前述の形状の隔壁14および凸状部材15を形成した(図13(b))。
(工程4)次に、隔壁14、凸状部材15および黒色部材12により形成される開口部に、蛍光体を塗布した。蛍光体の塗布はスクリーン印刷法により、所望の厚さになるように、RGBの各色を塗り分けた。蛍光体としては、P22蛍光体を用いた。その後、焼成することにより、前述の形状の蛍光体膜10を形成した(図13(c))。
(工程5)次に、メタルバック11をCRTの分野で公知のフィルミング法により形成した。まず、アクリルエマルジョンを蛍光体膜10の上にスプレー法にて塗布し、乾燥させた。次に、アルミニウムを真空蒸着法にて形成し、大気中にて焼成することにより有機成分を除去することにより、前述の形状のメタルバック11を形成した(図13(d))。
【0054】
以上のようにして作成したリアプレート1とフェースプレート2を、側壁4を介して対向配置させて封着し、図1に示す表示装置を作製した。この表示装置を、高圧端子Hvを介してメタルバック11に10kVの電圧を印加して駆動したところ、ハレーションが低減した良好な画像表示を得ることができた。
【0055】
[第2の実施例]
次に、本発明の第2の実施例について、図11を参照して説明する。本実施例は、凸状部材15の先端面が対向するリアプレート1に対して斜めに傾いている点において、第1の実施例と相違している。本実施例のその他の点は第1の実施例と同様であるため、説明を省略する。
【0056】
図11は本発明の第2の実施例に係る画像表示装置のフェースプレートの断面図である。本実施例の画像表示装置では、凸状部材15の先端が対向するリアプレート1に対して斜めに角度がつくように加工した。その加工方法としては、第1の実施例と同様にサンドブラスト法で凸状部材15の不要な部分を除去し、DFRを剥離、洗浄したのち、再度サンドブラスト法にて凸状部材15の角部を除去した。これにより、凸状部材15の先端に衝突した電子がリアプレート1の方向に反射することを防ぐことができる。
【0057】
本実施例の画像表示装置においても、第1の実施例と同様に、より高輝度な画像表示を行うことができた。
【0058】
[第3の実施例]
次に、本発明の第3の実施例について、図12及び図13を参照して説明する。本実施例は、黒色部材12をストライプではなくて格子状に形成した点、各蛍光体膜10に凸状部材15が複数設けられている点が上述した各実施例と相違している。黒色部材12をストライプではなくて格子状にした理由としては、明所コントラストの向上にある。本実施例のその他の点は実施例1とほぼ同様であるため、説明を省略する。
【0059】
図12は本発明の第3の実施例に係る画像表示装置のフェースプレートの断面図である。図13は図12に示したフェースプレートの下面を一部のメタルバックを取り除いた状態で模式的に示す図である。
【0060】
本実施例の画像表示装置では、各色の蛍光体膜10は、黒色部材12と凸状部材15の間および凸状部材15間の幅が43μm、長さが300μm、厚さ(上述の高さであり、図1のZ方向)が15μmである。黒色部材12は、幅が50μm、長さが300μm、厚さ(上述の高さであり、図1のZ方向)が15μmである。3色の蛍光体膜10と黒色部材12にて、600μm×600μmの正方形の画素が形成されている。また、黒色部材12上には隔壁14が設けられている。隔壁14の幅は黒色部材12と同様、50μmであり、高さは60μmである。本発明の特徴部分である凸状部材15は、蛍光体膜10を均等に三分割するように各蛍光体膜10の領域内に2つずつ設けられている。凸状部材15は、幅が10μm、長さが300μm、高さが75μmである。
【0061】
本実施例の画像表示装置においても第1の実施例と同様の効果を得ることができた。さらには、本実施例の画像表示装置では、第1の実施例よりも更に色純度の高い(混色の少ない)良好な画像表示が可能であった。
[実施例4]
次に、本発明の第4の実施例について、図14及び図15を参照して説明する。本実施例では、上述した各実施例における隔壁の代わり凸状部材15をフェースプレート2の全面にわたって格子状に形成し、凸状部材15を黒色部材12および蛍光体層15上に配置した点において、上述した各実施例と相違している。本実施例のその他の点は、実施例3とほぼ同様であるため、説明を省略する。
【0062】
図14は本発明の第4の実施例に係る画像表示装置のフェースプレートの断面図である。図15は図14に示したフェースプレートの下面を一部のメタルバックを取り除いた状態で模式的に示す図である。
【0063】
本実施例の画像表示装置では、各色の蛍光体膜10は、黒色部材12間の幅が150μm、長さが300μm、厚さ(上述の高さであり、図1のZ方向)が15μmである。黒色部材12は、幅が50μm、長さが300μm、厚さ(上述の高さであり、図1のZ方向)が15μmである。3色の蛍光体膜10と黒色部材12にて、600μm×600μmの正方形の画素が形成されている。また、本発明の特徴部分である凸状部材15は、フェースプレート2の全面にわたって格子状に設けられており、幅が5μm、高さが35μmである。そして、凸状部材15で囲まれる開口の大きさは、幅が25μm、長さが70μmである。
【0064】
本実施例に用いた凸状部材15は、X線を用いてレジスト膜をパターニングした後、パターン溝にスラリー状のセラミックスを注入して焼成することで作製した。
【0065】
本実施例の画像表示装置においても第1の実施例と同様の効果を得ることができた。さらには、本実施例の画像表示装置では、第1の実施例よりも更に色純度の高い(混色の少ない)良好な画像表示が可能であった。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明の一実施形態に係る表示パネルを一部を切り欠いた状態で示す斜視図である。
【図2】ハレーションについて説明するための、画像表示装置のフェースプレート部の断面図である。
【図3】ハレーションについて説明するための、画像表示装置のフェースプレート部の断面図である。
【図4】隔壁の高さと開口幅との比(アスペクト比)について説明するための、画像表示装置のフェースプレート部の断面図である。
【図5】後方散乱電子の蛍光面への再突入率(縦軸)と隔壁と開口のアスペクト比(横軸)との関係を表すグラフである。
【図6】本発明の実施形態に係る画像表示装置の断面図である。
【図7】電子の反射を説明するためのフェースプレート部の断面図である。
【図8】本発明の第1の実施例に係る画像表示装置のフェースプレートの断面図である。
【図9】図8に示したフェースプレートの下面を一部のメタルバックを取り除いた状態で模式的に示す図である。
【図10】第1の実施例に用いたフェースプレートの製造方法を説明する図である。
【図11】本発明の第2の実施例に係る画像表示装置のフェースプレートの断面図である。
【図12】本発明の第3の実施例に係る画像表示装置のフェースプレートの断面図である。
【図13】図12に示したフェースプレートの下面を一部のメタルバックを取り除いた状態で模式的に示す図である。
【図14】本発明の第4の実施例に係る画像表示装置のフェースプレートの断面図である。
【図15】図14に示したフェースプレートの下面を一部のメタルバックを取り除いた状態で模式的に示す図である。
【図16】電子放出素子を利用した画像形成装置の一例としての電子線表示パネルの概略構成図である。
【符号の説明】
【0067】
1 リアプレート
2 フェースプレート
8 電子放出素子
10 発光体膜
11 メタルバック
12 黒色部材
14 隔壁
15 凸状部材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電子放出素子を有する第1の基板と、
該第1の基板に対向配置され、電子が照射されることにより発光する複数の発光部材と、該複数の発光部材の各々を互いに分離する黒色部材と、を有する第2の基板と、
を備えた画像形成装置において、
前記複数の発光部材は、隣接する前記発光部材が互いに異なる色を発光するように配置されており、
各々の前記発光部材の領域内には、前記発光部材の表面から突出している凸状部材が設けられていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
各々の前記発光部材の領域内に複数の前記凸状部材が設けられている、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記凸状部材の前記第1の基板に対向する部分には、前記第1の基板の前記凸状部材に対向する面に対して傾いた面が少なくとも1つ以上形成されている、請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記凸状部材は前記第2の基板の上に形成されている、請求項1から3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記凸状部材は前記発光部材の上に形成されている、請求項1から3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記黒色部材の上に隔壁が形成されている、請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記凸状部材の幅が前記隔壁の幅よりも狭い、請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記第2の基板からの前記凸状部材の高さが、前記第2の基板からの前記隔壁の高さと同じである、請求項6又は7に記載の画像形成装置。
【請求項9】
基板と、該基板の上に設けられ、電子が照射されることにより発光する複数の発光部材と、該複数の発光部材の各々を互いに分離する黒色部材と、を有する発光体基板において、
前記複数の発光部材は、隣接する前記発光部材が互いに異なる色を発光するように配置されており、
各々の前記発光部材の領域内には、前記発光部材の表面から突出している凸状部材が設けられていることを特徴とする発光体基板。
【請求項1】
複数の電子放出素子を有する第1の基板と、
該第1の基板に対向配置され、電子が照射されることにより発光する複数の発光部材と、該複数の発光部材の各々を互いに分離する黒色部材と、を有する第2の基板と、
を備えた画像形成装置において、
前記複数の発光部材は、隣接する前記発光部材が互いに異なる色を発光するように配置されており、
各々の前記発光部材の領域内には、前記発光部材の表面から突出している凸状部材が設けられていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
各々の前記発光部材の領域内に複数の前記凸状部材が設けられている、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記凸状部材の前記第1の基板に対向する部分には、前記第1の基板の前記凸状部材に対向する面に対して傾いた面が少なくとも1つ以上形成されている、請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記凸状部材は前記第2の基板の上に形成されている、請求項1から3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記凸状部材は前記発光部材の上に形成されている、請求項1から3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記黒色部材の上に隔壁が形成されている、請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記凸状部材の幅が前記隔壁の幅よりも狭い、請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記第2の基板からの前記凸状部材の高さが、前記第2の基板からの前記隔壁の高さと同じである、請求項6又は7に記載の画像形成装置。
【請求項9】
基板と、該基板の上に設けられ、電子が照射されることにより発光する複数の発光部材と、該複数の発光部材の各々を互いに分離する黒色部材と、を有する発光体基板において、
前記複数の発光部材は、隣接する前記発光部材が互いに異なる色を発光するように配置されており、
各々の前記発光部材の領域内には、前記発光部材の表面から突出している凸状部材が設けられていることを特徴とする発光体基板。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2009−37856(P2009−37856A)
【公開日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−200936(P2007−200936)
【出願日】平成19年8月1日(2007.8.1)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年8月1日(2007.8.1)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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