説明

画像形成装置

【課題】 印刷データを受信中に、破棄する印刷ジョブの終了を検知し、次の印刷ジョブを確実に印刷する画像形成装置を提供する。
【解決手段】 ECPモードで送信された印刷ジョブにおいて、印刷ジョブの途中でホスト装置から印刷データのクリア指示が入力された場合、データに依存せずにECPモードが終了したことにより自動的に印刷ジョブの終了を検知する。したがって、操作者は、誤った印刷データを送信した場合、操作パネルでその印刷データの破棄指示を入力することで、不必要な印刷データを最後まで破棄することができる。これにより、破棄指定した印刷データは破棄し、その後に受信された印刷データは、破棄されることなく、印刷処理を行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、印刷途中あるいは印刷データの受信途中にデータを破棄する機能を有する画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の画像形成装置において、印刷途中あるいは受信途中の印刷データをユーザからの操作入力に基づいて破棄するという方法は知られていたが、一般的に使用されているセントロニクスケーブル等のプリンタインタフェース規格を用いた印刷では、印刷ジョブの終了を明確に判断することができないため、どこから(どの印刷ジョブ)印刷を再開してよいかが分からないという問題が発生していた。
【0003】この点において、印刷途中のデータをキャンセルして再度印刷を再開させる方法として、以下の4つの方法が提案されている。第1の方法として、ユーザが再びスイッチ(操作パネル等)から指示することによりジョブが終了したと判断して、以後に受信する印刷データの印刷を再開するキャンセル機能付きプリンタが、特開平5−77525号公報に開示されている。
【0004】第2の方法として、排紙コマンドを受信した時点から印刷を再開する印刷装置が、特開平8−11396号公報に開示されている。
【0005】第3の方法として、印刷ジョブの冒頭や最後部で送られてくる制御コマンドを検知して印刷ジョブの先頭、もしくは最後部を判断することにより印刷ジョブが終了したとして以降の印刷データの印刷を再開するものがある。
【0006】第4の方法として、予め設定された時間内にデータ受信がない場合には、そのジョブが終了したと判断して以降の印刷データの印刷を再開するものがある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従来例に示される第1の方法において、使用者が再開の指示入力をする必要があるため、再開の指示入力を忘れてしまった場合には、以後の印刷ジョブが全て破棄される可能性が高くなるという問題があった。
【0008】また、第2の方法においては、次ページからまた不必要な印刷が出力されてしまうという問題があった。また、印刷ジョブの最後に、印刷ジョブの最後を意味する制御コマンドを新たに設定する方法もあるが、この方法を実行させるためには、送信側のプリンタドライバ等にもこの方法を実行させる機能を新たに搭載する必要があり、また、画像形成装置側と送信側との機能整合を取る必要が生じるという問題があった。
【0009】また、第3の方法においては、受信データに依存しているため、指定された制御コマンドを含まない印刷ジョブでは、この方法の適用外として適切なジョブのクリアが行われないという問題があった。
【0010】さらに、第4の方法においては、予め設定された時間内に新たなジョブが受信された場合、そのジョブも破棄されるジョブとして判断され、クリアされてしまうという問題があった。
【0011】本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、破棄する印刷ジョブの終了を検知し、次の印刷ジョブから確実に通常印刷することができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するために、請求項1記載の発明は、ECPモードによる送受信機能を備える画像形成装置において、ECPモードにより送信される印刷データを受信する受信手段と、受信手段により受信された印刷データを記憶する記憶手段と、記憶手段により記憶されている印刷データの中から破棄する印刷データを指定する指定手段と、指定手段により指定された印刷データを破棄する破棄手段と、ECPモードによる送信の終了を検出する検出手段とを有し、破棄手段は、指定手段により破棄する印刷データが指定されてから検出手段によりECPモードの終了が検出されるまでに受信手段より受信された印刷データおよび記憶手段により記憶された印刷データを破棄することを特徴とする。
【0013】請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、破棄手段により破棄された印刷データ以降に受信手段により受信した印刷データを正常に印刷処理することを特徴とする。
【0014】請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の発明において、画像形成装置は、指定手段により破棄する印刷データが指定され、指定された印刷データが受信手段により受信される際に、記憶手段に記憶することなく印刷データを破棄することを特徴とする。
【0015】
【発明の実施の形態】次に、添付図面に基づいて本発明の実施形態である画像形成装置を詳細に説明する。図1から図3を参照すると、本発明の画像形成装置の実施の形態が示されている。
【0016】図1は、本発明の実施形態である画像形成装置の構成を示すブロック図で、プリンタ100は、本発明に用いられる画像形成装置の一実施形態である。
【0017】図1において、プリンタ100は、コントローラ1と、操作パネル2と、プリンタエンジン3とにより構成される。さらに、コントローラ1は、ホストI/F11と、プログラムROM12と、フォントROM13と、パネルI/F14と、CPU15と、RAM16と、NVRAM17と、エンジンI/F18と、オプションRAM19とにより構成される。プリンタ100には、ホストI/F11を介してホスト装置200が接続されている。
【0018】コントローラ1は、その時設定されている制御モードおよびホストI/F11を介して接続されるホスト装置200からの制御コードに従って、印字データをビデオデータに変換してプリンタエンジン3へ出力する制御機構の総称である。ホストI/F11は、ホスト装置200からプリンタ100への制御信号およびデータ、プリンタ100からホスト装置200へのステータス信号のインタフェースである。
【0019】プログラムROM12は、コントローラ1内でのデータの処理および管理や、周辺モジュールを制御するためのプログラム等が格納されている。フォントROM13は、印字に使用される様々な種類のフォントが格納されている。パネルI/F14は、コントローラ1と操作パネル2とのインタフェースである。
【0020】CPU15は、プログラムROM12に従ってホスト装置200から送信される印字データおよび制御データの処理を行う。RAM16は、CPU15が処理する時のワークメモリ、ホスト装置200からのデータをページ単位で管理して一時記憶するバッファ、および当該バッファに記憶されたデータを実際の印字パターンに変換し、ビデオデータを記憶するビットマップメモリ等に使用される。
【0021】NVRAM17は、電源を切った状態でも保持したいデータを格納しておくための不揮発生RAMである。エンジンI/F18は、コントローラ1からプリンタエンジン3への制御信号やビデオ信号、およびプリンタ100からコントローラ1へのステータス信号の送信を行うインタフェースである。
【0022】プリンタエンジン3は、エンジンI/F18を介して送られるコントローラ1からのビデオ信号および制御信号により感光体上に静電潜像を形成して現像し、また、図示されない給紙部より転写紙を給紙して転写および定着することにより画像を形成する。
【0023】操作パネル2は、プリンタ100の状態を示す図示されない表示部、およびプリンタ100のモード、フォント等を切り替える図示されないスイッチ部から構成されている。なお、操作パネル2における表示部および各スイッチ部は、液晶のタッチパネルで構成されてもよい。
【0024】次に、受信した印刷データ処理の概要を説明する。ホストI/F11を介してホスト装置200から送られてきた印刷データは、CPU15がプログラムROM12に記憶されているデータ解析プログラムに従って解析を行い、印字データおよび印字制御データ(SP、CR、LF、HT、VT、…等)とその他に分けられる。
【0025】印字データおよび印字制御データは、RAM16の受信バッファに一時記憶される。一時記憶された受信データは、プログラムROM12に記憶される制御プログラムにより一つずつ取り出され、処理が実行される。例えば、取り出されたデータが文字コードであれば、印字位置、印字サイズ、文字コード、フォント情報等を備えた中間コードが作成され、RAM16に設けられた中間バッファに格納される。
【0026】また、制御コードやエスケープシーケンス等のコマンドであった場合は、そのコマンドに予め定義された処理が実行される。例えば、印字位置の指定であった場合は、次に来た文字コードの位置を指定された位置に移動する。フォントの変更であった場合には、次に来た文字コードのフォント情報を指定されたフォントにするという処理が行われる。
【0027】以上のように、ホスト装置200からのプリント命令の処理を実行するか、あるいは処理を行ったデータが1ページ分を超えた場合は、次の制御プログラムに従い、中間バッファに格納された中間コードをビデオデータに変換する処理が実行される。変換が終了したら、コントローラ1は、エンジンI/F18を介してプリンタエンジン3にプリントスタートの命令を送出し、それに同期してビデオデータを転送する。以上のような一連の流れで、ホスト装置200からの印字データがプリンタエンジン3を介して印字される。
【0028】図2は、双方向パラレル周辺インタフェースIEEE 1284の動作モードの1つであるECPモードの終了・フェーズのタイミングチャートの一例が示されている。この例においては、有効な状態の終了が示されている。
【0029】有効な状態を終了するには、ローに設定されているIEEE 1284Activeに対して、周辺機器はPeriph AckとnPeriph Requestをハイにセットすることにより反応する(イベント23)。
【0030】次に、周辺機器は、Xflagを逆の状態にセットし、Periph Clkをローにセットする(イベント24)。さらにホストは、Host Ackをローにセットする(イベント25)。
【0031】その後、周辺機器は、互換モードの周辺機器のステータスをnPeriphRequest、Xflag、nAck Reverseにセットする(イベント26)。周辺機器は、Periph Clkをハイにセットする(イベント27)。ホストはHost Ackをハイにセットする(イベント29)ことにより終了ハンドシェークを終わらせ、インタフェースを互換モードアイドルフェーズに戻す。
【0032】図3は、本発明の実施形態におけるECPモードを用いて送信された際の動作例が示されている。この動作例のECPモードを用いて送信された印刷ジョブにおいては、そのジョブが送信終了するまではECPモードにより送信される。従って、ECPモードの終了を検出することにより、印刷ジョブが終了したと判断できる。
【0033】まず、ホスト装置200とプリンタ100との間でデータのやり取り(送受信)が行われる(ステップS1)。なお、データのやり取りでは、主にプリンタ100で出力されるホスト装置200側からの送信データであることはいうまでもないが、ECPモードの機能は双方向通信が基本であるため、データの送信および受信が発生する。
【0034】次に、印刷ジョブクリアの指示データが操作パネル2からユーザにより入力されたか否かを判断し(ステップS2)、印刷ジョブクリアの指示データが入力されていないと判断した場合は、通常の印刷処理が行われ(ステップS3)、再びデータのやり取り(ステップS1)、印刷ジョブのクリア入力確認(ステップS2)が繰り返し行われ、画像の形成および出力が行われる。
【0035】また、ステップS2において、印刷ジョブクリアの指示データが入力されたと判断した場合には(ステップS2/Yes)、ホスト装置200から既に受信したデータによる既成ページの削除が実行される(ステップS4)。以降、ホスト装置200とプリンタ100との間でデータのやり取りが行われ、通信データは破棄される(ステップS5)。
【0036】次に、ステップS5の通信データの破棄動作中に、ECPモードが終了したか否かを判断し(ステップS6)、ECPモードが終了したと判断した場合は(ステップS6/Yes)、送信データも終了したと判断してステップS3に移り、通常の印刷処理に戻る。また、ECPモードが終了していないと判断した場合は(ステップS6/No)、ステップS5に戻り、破棄されるデータだと判断してデータのやり取りが行われる。なお、ステップS6では、ECPモードが有効な状態で終了したかどうかを問わず、ECPモードが終了もしくは中止されたかどうかでの判断を行う。
【0037】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明の画像形成装置によれば、双方向パラレル周辺インタフェースのECPモードで送信された印刷ジョブにおいて、印刷ジョブの途中でクリア(破棄)指示が入力された場合、データに依存せずにECPモードが終了したことにより自動的に印刷ジョブの終了を検知するので、次のジョブからの通常印刷を確実に行うことができる。
【0038】従って、操作者が誤った印刷データを送信し、ホストの操作パネルで印刷停止指示入力をした場合、その印刷ジョブの最後まで不必要な印刷データを破棄させることが可能となり、操作者は、次に正常な印刷データを画像形成装置に対して送信することにより、正常に印刷を再開させることができる。
【0039】また、この際送信されるデータは、プリンタドライバを使用しなければならない等の制約事項がなく、しかも、この処理は、通常のホスト装置と画像形成装置とのデータのやり取りのなかで判断され、不必要な印刷データの処理動作部だけで実行されるため、画像形成装置に大幅な機能変更をする必要がなく、次の処理動作にスムーズに移行させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態である画像形成装置の構成を示すブロック図である。
【図2】ECPモードの終了・フェーズのタイミングチャートの一例を示す図である。
【図3】本発明の実施形態である画像形成装置における動作例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 コントローラ
2 操作パネル
3 プリンタエンジン
11 ホストI/F
12 プログラムROM
13 フォントROM
14 パネルI/F
15 CPU
16 RAM
17 NVRAM
18 エンジンI/F
19 オプションRAM
100 プリンタ
200 ホスト装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】 ECPモードによる送受信機能を備える画像形成装置において、前記ECPモードにより送信される印刷データを受信する受信手段と、該受信手段により受信された前記印刷データを記憶する記憶手段と、該記憶手段により記憶されている印刷データの中から破棄する印刷データを指定する指定手段と、該指定手段により指定された前記印刷データを破棄する破棄手段と、前記ECPモードによる送信の終了を検出する検出手段とを有し、前記破棄手段は、前記指定手段により破棄する印刷データが指定されてから前記検出手段により前記ECPモードの終了が検出されるまでの間に前記受信手段より受信された印刷データおよび前記記憶手段により記憶された印刷データを破棄することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】 前記破棄手段により破棄された印刷データ以降に前記受信手段により受信した印刷データを正常に印刷処理することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】 前記画像形成装置は、前記指定手段により破棄する印刷データが指定され、該指定された印刷データが前記受信手段により受信される際に、前記記憶手段に記憶することなく前記印刷データを破棄することを特徴とする請求項1または2記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2000−118099(P2000−118099A)
【公開日】平成12年4月25日(2000.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平10−306307
【出願日】平成10年10月13日(1998.10.13)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】