説明

画像形成装置

【課題】用紙の送り精度および印画精度を向上させることが可能な画像形成装置を提供する。
【解決手段】この熱転写プリンタ(画像形成装置)では、送りローラ軸受11および12の当接部11aおよび12aと印字ヘッド部4のヒートシンク4dとは、印画時に印字ヘッド部4の印字ヘッド4cがプラテンローラ5に押圧された状態で互いに当接する。また、印画時の用紙30の搬送時に、印字ヘッド部4が用紙搬送方向(図10の矢印C1方向)に受ける摩擦力(μW1)の少なくとも一部を、送りローラ軸受11および12に回転可能に支持される送りローラ9が用紙搬送方向と逆方向に受ける反力W2により打ち消すようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、画像形成装置に関し、特に、送りローラ軸受および印字ヘッド部を備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ファクシミリなどの画像形成装置において、プラテンローラに対する印字ヘッド部の位置精度を確保するための構造が種々提案されている(例えば、特許文献1および特許文献2参照)。
【0003】
上記特許文献1には、印字ヘッドに対向するように配置されたプラテンローラにより用紙を搬送する印字装置において、印字ヘッドが取り付けられた支持ブラケットに一体的に設けられた当接部を、用紙搬送方向に押圧するようにプラテンローラの軸受に当接させることによって、印字ヘッドが用紙搬送方向に移動するのを抑制して、プラテンローラに対して印字ヘッドの位置精度を確保することが可能な印字装置(画像形成装置)の構造が開示されている。
【0004】
また、上記特許文献2には、キャプスタンローラ(送りローラ)により用紙を搬送する熱転写記憶装置において、サーマルヘッド(印字ヘッド)が取り付けられたヒートシンクの両端部にU字形状の溝部を形成するとともに、このヒートシンクのU字形状の溝部を、プラテンローラを回転可能に支持する軸受に係合させることによって、プラテンローラに対するサーマルヘッドの位置精度を確保することが可能な熱転写記憶装置の構造が開示されている。
【0005】
また、従来、印字時と非印字時とにおける用紙の搬送量の変化を抑制することが可能なプリンタ(画像形成装置)が知られている(例えば、特許文献3参照)。上記特許文献3には、異なる半径を有するピンチカムにより、ピンチばねが挟まれた2つのブラケットの挟み角度を変化させてピンチばねを圧縮することによって、ピンチローラをフィードローラに押圧する構造において、印字時と非印字時とで、ピンチカムを回転させることにより、2つのブラケットに挟まれたピンチばねの作用長を等しくすることによってピンチローラによるフィードローラへの押圧力を等しくし、用紙の搬送量を等しくすることが可能なプリンタの構造が開示されている。
【0006】
また、従来、画像形成装置の一例として、熱転写プリンタが知られている。図15は、従来の一例による熱転写プリンタの全体構成を示した斜視図である。図16〜図18は、図15に示した従来の熱転写プリンタの詳細構造を説明するための図である。図15〜図18を参照して、従来の熱転写プリンタの構造について説明する。
【0007】
従来の一例による熱転写プリンタは、図15〜図18に示すように、金属製のシャーシ101と、インクリボンカートリッジ102と、巻取リール103(図16および図17参照)と、印字を行うための印字ヘッド部104と、印字ヘッド部104に対向するように配置されたプラテンローラ105(図18参照)と、プラテンローラ105を回転可能に支持するプラテンローラ軸受106と、押圧機構107と、押圧機構107を回動させるための小径ギア部108aおよび大径ギア部108bを有する樹脂製の駆動ギア108と、用紙130を搬送するための金属製の送りローラ109(図16参照)と、送りローラ109に所定の押圧力で押圧される金属製の押さえローラ110(図16参照)と、送りローラ109を回転可能に支持する送りローラ軸受111と、押さえローラ110を回転可能に支持する押さえローラ軸受112(図16参照)と、軸受支持板113と、ねじ
りコイルバネ114(図18参照)と、引張りコイルバネ115と、送りローラ109および巻取リール103などを駆動するためのモータ116(図16および図17参照)と、押圧機構107を駆動するためのモータ117と、モータブラケット118と、送りローラギア119(図16および図17参照)と、揺動ギア120(図16および図17参照)と、中間ギア121および122(図17参照)とを備えている。
【0008】
また、図15および図16に示すように、シャーシ101の一方側面101aには、上記したモータブラケット118が取り付けられている。また、シャーシ101の一方側面101aに対向する他方側面101bには、インクリボンカートリッジ102を挿入するためのカートリッジ挿入孔101cが設けられている。また、シャーシ101の一方側面101aおよび他方側面101bには、それぞれ、押圧機構107を回動可能に支持する挿入穴101dが設けられている。また、シャーシ101のバネ取付孔101eには、引張りコイルバネ115の一方端が取り付けられる。
【0009】
また、図15に示すように、インクリボンカートリッジ102は、巻取部102aと、供給部102bとを有している。また、インクリボンカートリッジ102の巻取部102aおよび供給部102bの内部には、それぞれ、巻取ボビン(図示せず)および供給ボビン102c(図18参照)が配置されている。この巻取ボビンおよび供給ボビン102cには、インクリボン102dが巻き付けられている。また、巻取リール103は、巻取ボビンに係合することによって、巻取ボビンおよび供給ボビン102cに巻き付けられたインクリボン102dを巻き取る機能を有している。また、図16および図17に示すように、巻取リール103のギア部103aは、送りローラギア119に常に噛合している揺動ギア120が揺動することによって噛合するように配置されている。
【0010】
また、印字ヘッド部104は、図15、図16および図18に示すように、支持軸104aと、アーム部104bと、印字ヘッド104cとを有している。また、図16および図18に示すように、印字ヘッド部104は、シャーシ101の一方側面101aおよび他方側面101bの内側に、支持軸104aを中心として回動可能に取り付けられている。また、図18に示すように、ねじりコイルバネ114は、シャーシ101の一方側面101a側の印字ヘッド部104の支持軸104aに取り付けられている。このねじりコイルバネ114は、印字ヘッド部104をプラテンローラ105から離間させる方向に付勢する機能を有している。また、図15および図16に示すように、印字ヘッド部104のアーム部104bには、押圧機構107に押圧される曲げ加工部104dが形成されている。また、図18に示すように、印字ヘッド部104の印字ヘッド104cは、用紙130およびインクリボン102dを介してプラテンローラ105を押圧するように配置されている。
【0011】
また、図15および図16に示すように、押圧機構107は、シャーシ101の一方側面101a側の歯部107dを有する回動部材107aと、シャーシ101の他方側面101b側の回動部材107bと、支持棒107cとを有している。また、回動部材107aおよび107bには、それぞれ、印字ヘッド部104の曲げ加工部104dを押圧する押圧バネ107eが取り付けられている。また、回動部材107aおよび107bは、支持棒107cに空回りしないように取り付けられている。また、シャーシ101の一方側面101a側の回動部材107aの歯部107dは、図18に示すように、駆動ギア108の小径ギア部108aに噛合するように配置されている。また、駆動ギア108は、シャーシ101の一方側面101aに取り付けられるとともに、モータ117からの駆動力を回動部材107aの歯部107dに伝達する機能を有する。
【0012】
また、図16および図17に示すように、送りローラ109の両端には、送りローラ109の最外周の軸径よりも小さい軸径を有する軸受支持部109aと、ギア挿入部109
bと、用紙搬送部109cとが設けられている。また、図16に示すように、送りローラ109の軸受支持部109aは、送りローラ軸受111に回転可能に支持されている。また、図16および図17に示すように、送りローラ109のギア挿入部109bは、送りローラギア119に空回りしないように嵌め込まれている。また、送りローラ109の用紙搬送部109cの表面には、転造加工によって所定の高さを有する凸部が形成されている。
【0013】
また、図16に示すように、押さえローラ110の軸受支持部110aは、押さえローラ110の最外周の軸径よりも小さい軸径を有する。また、押さえローラ110の軸受支持部110aは、押さえローラ軸受112により回転可能に支持されている。この押さえローラ軸受112は、シャーシ101の一方側面101aおよび他方側面101bのそれぞれの内側に設けられた軸受支持板113に取り付けられている。この軸受支持板113は、支持部113aを中心として回動可能にシャーシ101の一方側面101aおよび他方側面101bの内側に取り付けられている。また、軸受支持板113のバネ取付部113bには、押さえローラ110を送りローラ109に対して押圧させる方向に付勢するための引張りコイルバネ115の他方端が取り付けられている。また、モータブラケット118に取り付けられている送りローラ109および巻取リール103などを駆動するためのモータ116の駆動力は、中間ギア121および122を介して、送りローラギア119および巻取リール103のギア部103aに伝達される。
【0014】
次に、図17および18を参照して、従来の熱転写プリンタの印画動作を説明する。モータ116が駆動するのに伴ってモータ116の軸部に取り付けられたモータギア116aが図17の矢印A2方向に回転し、中間ギア121および122を介して、送りローラギア119が、図17の矢印B2方向に回転する。これにより、送りローラ109が図17および図18の矢印B2方向に回転することによって、用紙130を用紙搬送方向(図18の矢印C2方向)に搬送する。このとき、揺動可能な揺動ギア120は、巻取リール103のギア部103aに噛合し、巻取リール103のギア部103aを、図17の矢印D2方向に回転させる。これにより、巻取リール103に係合する図示しない巻取ボビンも回転することによって、巻取ボビンおよび供給ボビン102cに巻き付けられたインクリボン102dが巻き取られる。この用紙130およびインクリボン102dを搬送している状態で、モータ117の駆動力が駆動ギア108の小径ギア部108aを介して押圧機構107の回動部材107aおよび107bに伝達されることにより、押圧バネ107eにより印字ヘッド部104の曲げ加工部104dが押圧される。これにより、印字ヘッド部104の印字ヘッド104cが用紙130およびインクリボン102dを介してプラテンローラ105に押圧され、印画が行われる。この印画時では、図18に示すように、印字ヘッド部104の曲げ加工部104dは、押圧機構107の回動部材107aおよび107bの押圧バネ107eにW3の押圧力で押圧されているため、印字ヘッド部104は用紙搬送方向(図18の矢印C2方向)にμW3の摩擦力を受ける。なお、「μ」は動摩擦係数である。また、用紙130を搬送している送りローラ109は、印画時の用紙の搬送時に、用紙130の搬送負荷に起因して用紙搬送方向(図18の矢印C2方向)とは逆方向の反力W4を受ける。
【特許文献1】実開昭64−1962号公報
【特許文献2】特開平10−202927号公報
【特許文献3】特開2000−168188号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
図15〜図18に示した従来の熱転写プリンタでは、印字ヘッド部104は、用紙搬送方向(図18の矢印C2方向)に摩擦力μW3を受けるので、用紙搬送方向(図18の矢
印C2方向)に移動し、プラテンローラ105に対する印字ヘッド部104の印字ヘッド104cの位置がずれるという不都合があった。その結果、印画精度が低下するという問題点があった。また、用紙130を搬送する送りローラ109および送りローラ109を回転可能に支持する送りローラ軸受111は、用紙搬送方向(図18の矢印C2方向)と逆方向に受ける反力W4により、用紙搬送方向(図18の矢印C2方向)と逆方向に移動する場合があるという不都合があった。これにより、用紙130の送り精度が低下するという問題点があった。
【0016】
また、上記特許文献1に開示された印字装置では、印字ヘッドに押圧されるプラテンローラは、非導電性の材料を用いる必要があるため、ゴムなどにより形成されるのが一般的である。この場合、印字ヘッドに押圧されるゴムなどにより形成されるプラテンローラを用紙を搬送するための送りローラとしても用いると、ゴムの弾性変形に起因して、用紙を正確に搬送するのが困難になるという問題点がある。
【0017】
また、上記特許文献2に開示された熱転写記憶装置では、キャプスタンローラが用紙搬送方向に用紙を搬送するため、キャプスタンローラおよびキャプスタンローラを回転可能に支持するキャプスタンローラ軸受は、用紙搬送方向と逆方向の反力を受ける。これにより、キャプスタンローラ軸受の取付状態によっては、キャプスタンローラ軸受およびキャプスタンローラが用紙搬送方向と逆方向に移動する場合があるという不都合がある。その結果、用紙の送り精度が低下するという問題点がある。
【0018】
また、上記特許文献3に開示されたプリンタでは、印画時に、サーマルヘッドが用紙搬送方向に受ける摩擦力により、用紙搬送方向に移動するという不都合がある。その結果、プラテンローラに対するサーマルヘッドの位置がずれるため、印画精度が低下するという問題点がある。
【0019】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、用紙の送り精度および印画精度を向上させることが可能な画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0020】
この発明の第1の局面における画像形成装置は、印字を行うための印字ヘッド部と、印字ヘッド部に対向するように配置されたプラテンローラと、プラテンローラと所定の間隔を隔てて配置され、用紙を搬送するための金属製の送りローラと、送りローラに所定の押圧力で押圧される金属製の押さえローラと、送りローラを回転可能に支持する送りローラ軸受とを備えた画像形成装置において、印字ヘッド部は、印字ヘッド部の回動中心となる支持軸と、支持軸を回動可能で、かつ、水平方向に所定量移動可能に支持する支持穴とを含み、送りローラ軸受には、上端がテーパー形状に形成され印字ヘッド部に当接する当接部が一体的に設けられ、送りローラ軸受と印字ヘッド部とは、印画時に印字ヘッド部がプラテンローラに押圧された状態で互いに当接することにより、印画時の用紙の搬送時に、印字ヘッド部が用紙搬送方向に受ける摩擦力の少なくとも一部を、送りローラ軸受に回転可能に支持される送りローラが用紙搬送方向と逆方向に受ける反力により打ち消すようにする。
【0021】
この第1の局面による画像形成装置では、上記のように、送りローラ軸受と印字ヘッド部とを、印画時に印字ヘッド部がプラテンローラに押圧された状態で互いに当接させることにより、印画時の用紙の搬送時に、印字ヘッド部が用紙搬送方向に受ける摩擦力の少なくとも一部を、送りローラ軸受に回転可能に支持される送りローラが用紙搬送方向と逆方向に受ける反力により打ち消すことによって、印画時に、印字ヘッド部が用紙搬送方向に受ける摩擦力に起因して印字ヘッド部が用紙搬送方向に撓むのを抑制することができる。
これにより、印画時に、プラテンローラに対する印字ヘッド部の位置が変動するのを抑制することができるので、印画精度を向上させることができる。また、送りローラおよび送りローラ軸受が用紙搬送方向と逆方向に受ける反力が印字ヘッド部の摩擦力により打ち消されるので、用紙を搬送するための金属製の送りローラおよび送りローラ軸受の位置が安定する。その結果、用紙の送りムラが発生するのを抑制することができるので、用紙の送り精度を向上させることができる。また、金属製の送りローラおよび金属製の押さえローラにより用紙を搬送することによって、ゴムなどの弾性変形しやすい材料からなるプラテンローラにより用紙を搬送する場合に比べて、用紙の送り精度を向上することができる。また、送りローラ軸受に、印字ヘッド部に当接する当接部を一体的に設けることによって、送りローラが用紙搬送方向と逆方向に受ける反力を、送りローラ軸受の当接部を介して印字ヘッド部に伝達することができる。これにより、容易に、印字ヘッド部に伝達された反力により、印画時に印字ヘッド部が用紙搬送方向に受ける摩擦力の少なくとも一部を打ち消すことができる。また、送りローラ軸受に、印字ヘッド部に当接する当接部を一体的に形成することによって、印字ヘッド部に当接する当接部を別途設ける必要がないので、当接部を設けたとしても、部品点数が増加するのを抑制することができる。また、送りローラ軸受の当接部の上端を、テーパー形状に形成することによって、印字ヘッド部がプラテンローラの方向に回動する際に、送りローラ軸受の当接部の上端に接触したとしても、テーパー形状に形成された当接部の上端により、容易に、印字ヘッド部をプラテンローラに押圧するように配置することができる。また、印字ヘッド部に、印字ヘッド部の回動中心となる支持軸と、支持軸を回動可能で、かつ、水平方向に所定量移動可能に支持する支持穴とを設けることによって、印字ヘッド部が送りローラ軸受に当接しない状態で、プラテンローラを押圧する位置に配置されていた場合にも、印画時に、印字ヘッド部が用紙搬送方向に受ける摩擦力により、印字ヘッド部を水平方向に移動させることができるので、印字ヘッド部と送りローラ軸受とを容易に当接させることができる。
【0022】
この発明の第2の局面における画像形成装置は、印字を行うための印字ヘッド部と、印字ヘッド部に対向するように配置されたプラテンローラと、プラテンローラと所定の間隔を隔てて配置され、用紙を搬送するための金属製の送りローラと、送りローラに所定の押圧力で押圧される金属製の押さえローラと、送りローラを回転可能に支持する送りローラ軸受とを備え、送りローラ軸受と印字ヘッド部とは、印画時に印字ヘッド部がプラテンローラに押圧された状態で互いに当接することにより、印画時の用紙の搬送時に、印字ヘッド部が用紙搬送方向に受ける摩擦力の少なくとも一部を、送りローラ軸受に回転可能に支持される送りローラが用紙搬送方向と逆方向に受ける反力により打ち消すようにする。
【0023】
この第2の局面による画像形成装置では、上記のように、送りローラ軸受と印字ヘッド部とを、印画時に印字ヘッド部がプラテンローラに押圧された状態で互いに当接させることにより、印画時の用紙の搬送時に、印字ヘッド部が用紙搬送方向に受ける摩擦力の少なくとも一部を、送りローラ軸受に回転可能に支持される送りローラが用紙搬送方向と逆方向に受ける反力により打ち消すことによって、印画時に、印字ヘッド部が用紙搬送方向に受ける摩擦力に起因して印字ヘッド部が用紙搬送方向に撓むのを抑制することができる。これにより、印画時に、プラテンローラに対する印字ヘッド部の位置が変動するのを抑制することができるので、印画精度を向上させることができる。また、送りローラおよび送りローラ軸受が用紙搬送方向と逆方向に受ける反力が印字ヘッド部の摩擦力により打ち消されるので、用紙を搬送するための金属製の送りローラおよび送りローラ軸受の位置が安定する。その結果、用紙の送りムラが発生するのを抑制することができるので、用紙の送り精度を向上させることができる。また、金属製の送りローラおよび金属製の押さえローラにより用紙を搬送することによって、ゴムなどの弾性変形しやすい材料からなるプラテンローラにより用紙を搬送する場合に比べて、用紙の送り精度を向上することができる。
【0024】
上記第2の局面による画像形成装置において、好ましくは、送りローラ軸受には、印字
ヘッド部に当接する当接部が一体的に設けられている。このように構成すれば、送りローラが用紙搬送方向と逆方向に受ける反力を、送りローラ軸受の当接部を介して印字ヘッド部に伝達することができる。これにより、容易に、印字ヘッド部に伝達された反力により、印画時に印字ヘッド部が用紙搬送方向に受ける摩擦力の少なくとも一部を打ち消すことができる。また、送りローラ軸受に、印字ヘッド部に当接する当接部を一体的に設けることによって、印字ヘッド部に当接する当接部を別途設ける必要がないので、当接部を設けたとしても、部品点数が増加するのを抑制することができる。
【0025】
上記送りローラ軸受に当接部が一体的に設けられた画像形成装置において、好ましくは、送りローラ軸受の当接部の上端は、テーパー形状に形成されている。このように構成すれば、印字ヘッド部がプラテンローラの方向に回動する際に、送りローラ軸受の当接部の上端に接触したとしても、テーパー形状に形成された当接部の上端により、容易に、印字ヘッド部をプラテンローラに押圧するように配置することができる。
【0026】
上記第2の局面による画像形成装置において、好ましくは、印字ヘッド部は、下部に設けられた印字ヘッドと、印字ヘッドの熱を放熱するためのヒートシンクとを含み、印字ヘッド部のヒートシンクには、送りローラ軸受に当接する突出部が一体的に設けられている。このように構成すれば、印字ヘッド部が用紙搬送方向に受ける摩擦力を、印字ヘッド部のヒートシンクに設けられた突出部および送りローラ軸受を介して送りローラに伝達することができる。これにより、容易に、印画時に印字ヘッド部が用紙搬送方向に受ける摩擦力の少なくとも一部を、送りローラが受ける反力により、打ち消すことができる。また、ヒートシンクに、送りローラ軸受に当接する突出部を一体的に設けることによって、送りローラ軸受に当接する突出部を別途設ける必要がないので、突出部を設けたとしても、部品点数が増加するのを抑制することができる。
【0027】
上記第2の局面による画像形成装置において、好ましくは、印字ヘッド部は、印字ヘッド部の回動中心となる支持軸と、支持軸を回動可能で、かつ、水平方向に所定量移動可能に支持する支持穴とをさらに含む。このように構成すれば、印字ヘッド部が送りローラ軸受に当接しない状態で、プラテンローラを押圧する位置に配置されていた場合にも、印画時に、印字ヘッド部が用紙搬送方向に受ける摩擦力により、印字ヘッド部を水平方向に移動させることができるので、印字ヘッド部と送りローラ軸受とを容易に当接させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0029】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態による熱転写プリンタの全体構成を示した斜視図である。図2〜図11は、図1に示した本発明の第1実施形態による熱転写プリンタの詳細構造を説明するための図である。図1〜図11を参照して、本発明の第1実施形態による熱転写プリンタの構造について説明する。なお、本実施形態では、画像形成装置の一例である熱転写プリンタに本発明を適用した場合について説明する。
【0030】
本発明の第1実施形態による熱転写プリンタは、図1〜図4および図10に示すように、金属製のシャーシ1と、インクリボンカートリッジ2と、巻取リール3(図4参照)と、印字を行うための印字ヘッド部4と、印字ヘッド部4に対向するように配置されたプラテンローラ5(図10参照)と、プラテンローラ5を回転可能に支持するプラテンローラ軸受6と、押圧機構7と、カム溝8aを有する樹脂製のカムギア8と、用紙30を搬送するための金属製の送りローラ9(図2参照)と、送りローラ9に所定の押圧力で押圧される金属製の押さえローラ10(図2参照)と、送りローラ9を回転可能に支持する送りロ
ーラ軸受11および12と、押さえローラ10を回転可能に支持する押さえローラ軸受13(図2参照)と、軸受支持板14と、ねじりコイルバネ15(図3および図10参照)と、引張りコイルバネ16と、送りローラ9および巻取リール3などを駆動するためのモータ17(図3参照)と、押圧機構7を駆動するためのモータ18と、モータブラケット19と、送りローラギア20(図4参照)と、揺動ギア21(図4参照)と、中間ギア22および23(図14参照)とを備えている。
【0031】
また、図1および図2に示すように、シャーシ1は、一方側面1aと、他方側面1bと、底面1cとを有している。シャーシ1の一方側面1aには、上記したモータブラケット19が取り付けられている。また、シャーシ1の一方側面1aに対向する他方側面1bには、インクリボンカートリッジ2を挿入するためのカートリッジ挿入孔1dが設けられている。また、シャーシ1の一方側面1aおよび他方側面1bには、それぞれ、押圧機構7を回動可能に支持する挿入穴1eが設けられている。また、シャーシ1の底面1cには、底面1cの一部を切り起こすことによって設けられた曲げ片1fが設けられている。この曲げ片1fには、図6に示すように、送りローラ軸受11を支持する送りローラ軸受支持部1gが設けられている。また、図1および図2に示すように、シャーシ1の底面1cには、引張りコイルバネ16の一方端が取り付けられるバネ取付部1hが設けられている。
【0032】
また、図1に示すように、インクリボンカートリッジ2は、巻取部2aと、供給部2bとを有している。また、インクリボンカートリッジ2の巻取部2aおよび供給部2bの内部には、それぞれ、巻取ボビン(図示せず)および供給ボビン2c(図10参照)が配置されている。この巻取ボビンおよび供給ボビン2cには、インクリボン2dが巻き付けられている。また、巻取リール3は、巻取ボビンに係合することによって、巻取ボビンおよび供給ボビン2cに巻き付けられたインクリボン2dを巻き取る機能を有している。また、図4に示すように、巻取リール3のギア部3aは、送りローラギア20に常に噛合している揺動ギア21が揺動することによって噛合するように配置されている。
【0033】
また、印字ヘッド部4は、図9および図10に示すように、印字ヘッド部4の回動中心となる支持軸4aと、アーム部4bと、印字ヘッド4cと、印字ヘッド4の熱を放熱するためのヒートシンク4dと、支持穴4eとを有している。また、図3に示すように、印字ヘッド部4は、シャーシ1の一方側面1aおよび他方側面1bの内側に、支持軸4aを中心として回動可能に取り付けられている。また、図3および図10に示すように、ねじりコイルバネ15は、シャーシ1の一方側面1a側の印字ヘッド部4の支持軸4aに取り付けられている。このねじりコイルバネ15は、印字ヘッド部4をプラテンローラ5から離間させる方向に付勢する機能を有している。また、図9に示すように、印字ヘッド部4のアーム部4bは、ネジ40によりヒートシンク4dに取り付けられている。
【0034】
ここで、第1実施形態では、図9および図10に示すように、支持穴4eは、支持軸4aを、回動可能で、かつ、水平方向に所定量移動可能に支持することが可能なように、支持軸4aの外径よりも大きい内径を有する。また、図10に示すように、印字ヘッド部4の印字ヘッド4cは、用紙30およびインクリボン2dを介してプラテンローラ5を押圧するように配置されている。
【0035】
また、図1〜図3示すように、押圧機構7は、回動部材7aと、撓み変形可能な約3mmの直径を有するピアノ線からなる支持棒7bと、樹脂製のキャップ部7cとを有している。また、図8に示すように、押圧機構7の回動部材7aは、一方側面7dと、他方側面7eと、一方側面7dおよび他方側面7eとを連結する連結部7fとを含むコの字形状に形成されている。この回動部材7aの一方側面7dおよび他方側面7eには、支持棒7bを取り付けるための孔7gがそれぞれ設けられている。また、回動部材7aの一方側面7dには、モータ18からの駆動力が伝達されるカムギア8のカム溝8a(図1〜図3参照
)に係合するカムピン7hが設けられている。また、回動部材7aの他方側面7eの端部には、樹脂製のキャップ部7cが取り付けられている。このキャップ部7cは、印字ヘッド部4のヒートシンク4dの上面に当接するように取り付けられている。また、図11に示すように、キャップ部7cの底面から回動部材7aの他方側面7eの孔7gの中心までの高さh1は、印字ヘッド部4を押圧する際に支持棒7bが上方向に約2.4mm撓むように、押圧時のヒートシンク4dの上面からシャーシ1の挿入穴1eの中心までの高さh2よりも約2.4mm高さが大きく形成されている。
【0036】
また、図2〜図4に示すように、金属製の送りローラ9には、ギア挿入部9a(図4参照)と、用紙搬送部9bとが設けられている。また、送りローラ9は、送りローラ軸受11および12に回転可能に支持されている。また、図4に示すように、送りローラ9のギア挿入部9aは、送りローラギア20に空回りしないように嵌め込まれている。また、金属製の送りローラ9の用紙搬送部9bの表面には、転造加工によって所定の高さを有する凸部が形成されている。これにより、送りローラ9の用紙搬送部9bにより、正確な用紙30の搬送を行うことが可能になる。
【0037】
また、図2および図3に示すように、金属製の押さえローラ10は、押さえローラ軸受13により回転可能に支持されている。この押さえローラ軸受13は、シャーシ1の底面1cに設けられた曲げ片1fおよび他方側面1bのそれぞれの内側に設けられた軸受支持板14に取り付けられている。この軸受支持板14は、図2に示すように、支持部14aを中心として回動可能にシャーシ1の底面1cに設けられた曲げ片1fおよび他方側面1bの内側に取り付けられている。また、軸受支持板14のバネ取付部14bには、押さえローラ10を送りローラ9に対して押圧させる方向に付勢するための引張りコイルバネ16の他方端が取り付けられている。
【0038】
また、第1実施形態では、図5〜図7に示すように、送りローラ軸受11および12には、印字ヘッド部4のヒートシンク4dに当接する当接部11aおよび12aが一体的に設けられている。また、図5に示すように、シャーシ1の他方側面1b側に取り付けられる送りローラ軸受11は、シャーシ1の他方側面1bの軸受支持孔1iに支持される。また、図6に示すように、シャーシ1の一方側面1a側に取り付けられる送りローラ軸受12は、シャーシ1の一方側面1aの軸受支持孔1iおよびシャーシ1の底面1cに設けられた曲げ片1fの軸受支持部1gに支持される。また、シャーシ1の一方側面1a側に取り付けられる送りローラ軸受11は、シャーシ1の底面1cに設けられた曲げ片1fの軸受支持部1gにより支持することが可能なように、シャーシ1の他方側面1b側に取り付けられる送りローラ軸受11よりも大きい軸方向の長さを有している。また、送りローラ軸受11および12の当接部11aおよび12aの上端には、テーパー形状に形成されたテーパー部(面取り部)11bおよび12bが設けられている。
【0039】
また、図4に示すように、モータブラケット19に取り付けられている送りローラ9および巻取リール3などを駆動するためのモータ17の駆動力は、中間ギア22および23を介して、送りローラギア20および巻取リール3のギア部3aに伝達される。
【0040】
次に、図3、図4および図10を参照して、本発明の第1実施形態による熱転写プリンタの印画動作を説明する。まず、押圧機構7の駆動用のモータ18(図4参照)が駆動するのに伴って、モータ18の駆動力が、カムギア8(図3および図10参照)を介して、カムギア8のカム溝8a(図3および図10参照)に係合する押圧機構7のカムピン7h(図3参照)に伝達される。これにより、押圧機構7の回動部材7a(図3参照)が支持棒7bを中心に回動するとともに支持棒7bが上方に撓むことによって、押圧機構7の回動部材7aの他方側面7eの端部に取り付けられたキャップ部7cが、印字ヘッド部4のヒートシンク4dの上面を約5kg(W1)の押圧力で押圧する。この印字ヘッド部4が
回動する際、印字ヘッド部4のヒートシンク4dの前面と送りローラ軸受11および12の当接部11aおよび12aとが接触した場合にも、印字ヘッド部4のヒートシンク4dは、送りローラ軸受11および12のテーパー部(面取り部)11bおよび12bに接触するため、印字ヘッド部4の印字ヘッド4cは、プラテンローラ5を押圧するように配置される。
【0041】
また、送りローラ9および巻取リール3の駆動用のモータ17が駆動するのに伴ってモータ17の軸部に取り付けられたモータギア17aが図4の矢印A1方向に回転し、中間ギア22および23を介して、送りローラギア20が、図4の矢印B1方向に回転する。これにより、送りローラ9が図4および図10の矢印B1方向に回転することによって、用紙30を印画時の用紙搬送方向(図10の矢印C1方向)に搬送する。このとき、揺動可能な揺動ギア21は、巻取リール3のギア部3aに噛合し、巻取リール3のギア部3aを、図4の矢印D1方向に回転させる。これにより、巻取リール3に係合する図示しない巻取ボビンも回転することによって、巻取ボビンおよび供給ボビン2cに巻き付けられたインクリボン2dが巻き取られる。この用紙30およびインクリボン2dを搬送している状態では、押圧機構7の回動部材7aの他方側面7eに取り付けられたキャップ部7cが印字ヘッド部4のヒートシンク4dの上面を押圧しているため、印字ヘッド部4の印字ヘッド4cが用紙30およびインクリボン2dを介してプラテンローラ5に押圧され、印画が行われる。この印画時では、図10に示すように、印字ヘッド部4は、押圧機構7の回動部材7aの他方側面7eに取り付けられたキャップ部7cにW1の押圧力で押圧されているため、印字ヘッド部4は用紙搬送方向(図10の矢印C1方向)に約8.8N(μW1)の摩擦力を受ける。なお、「μ」は動摩擦係数とする。また、用紙30を搬送している送りローラ9は、印画時の用紙30の搬送時に、用紙搬送方向(図10の矢印C1方向)とは逆方向の反力W2を受ける。
【0042】
また、印字ヘッド部4をプラテンローラ5を押圧するように配置した状態で、印字ヘッド部4のヒートヒートシンク4dと送りローラ軸受11および12の当接部11aおよび12aとが当接していない場合にも、印字ヘッド部4の支持穴4eは、支持軸4aを水平方向に所定量移動可能に支持することが可能なように、支持軸4aの外径よりも大きい内径を有するため、印字ヘッド部4が摩擦力μW1により送りローラ軸受11および12の当接部11aおよび12aの方向に移動される。このため、印字ヘッド部4のヒートシンク4dと送りローラ軸受11および12の当接部11aおよび12aとは当接する。これにより、送りローラ軸受11の当接部11aと印字ヘッド部4のヒートシンク4dとは、印字ヘッド部4がプラテンローラ5に押圧された状態で互いに当接することによって、印画時の用紙搬送時に、印字ヘッド部4が用紙搬送方向(図10の矢印C1方向)に受ける摩擦力μW1の少なくとも一部を、送りローラ軸受11に回転可能に支持される送りローラ9が用紙搬送方向(図10の矢印C1方向)と逆方向に受ける反力W2により打ち消される。
【0043】
第1実施形態では、上記のように、送りローラ軸受11および12の当接部11aおよび12aと印字ヘッド部4のヒートシンク4dとを、印画時に印字ヘッド部4の印字ヘッド4cがプラテンローラ5に押圧された状態で互いに当接させることにより、印画時の用紙30の搬送時に、印字ヘッド部4が用紙搬送方向(図10の矢印C1方向)に受ける摩擦力μW1の少なくとも一部を、送りローラ軸受11および12に回転可能に支持される送りローラ9が用紙搬送方向(図10の矢印C1方向)と逆方向に受ける反力W2により打ち消すことによって、印画時に、印字ヘッド部4が用紙搬送方向(図10の矢印C1方向)に受ける摩擦力μW1に起因して印字ヘッド部4が用紙搬送方向(図10の矢印C1方向)に撓むのを抑制することができる。これにより、印画時に、プラテンローラ5に対する印字ヘッド部4の印字ヘッド4cの位置が変動するのを抑制することができるので、印画精度を向上させることができる。また、送りローラ9および送りローラ軸受11およ
び12が用紙搬送方向(図10の矢印C1方向)と逆方向に受ける反力W2が印字ヘッド部4の摩擦力μW1により打ち消されるので、用紙30を搬送するための金属製の送りローラ9および送りローラ軸受11および12の位置が安定する。その結果、用紙30の送りムラが発生するのを抑制することができるので、用紙30の送り精度を向上させることができる。また、金属製の送りローラ9および金属製の押さえローラ10により用紙30を搬送することによって、ゴムなどの弾性変形しやすい材料からなるプラテンローラ5により用紙30を搬送する場合に比べて、用紙30の送り精度を向上することができる。
【0044】
また、第1実施形態では、送りローラ軸受11および12に、印字ヘッド部4のヒートシンク4dに当接する当接部11aおよび12aを一体的に設けることによって、送りローラ9が用紙搬送方向(図10の矢印C1方向)と逆方向に受ける反力W2を、送りローラ軸受11および12の当接部11aおよび12aを介して印字ヘッド部4に伝達することができる。これにより、容易に、印字ヘッド部4に伝達された反力W2により、印画時に印字ヘッド部4が用紙搬送方向(図10の矢印C1方向)に受ける摩擦力μW1の少なくとも一部を打ち消すことができる。また、送りローラ軸受11および12に、印字ヘッド部4に当接する当接部11aおよび12aを一体的に形成することによって、印字ヘッド部4に当接する当接部11aおよび12aを別途設ける必要がないので、当接部11aおよび12aを設けたとしても、部品点数が増加するのを抑制することができる。
【0045】
また、第1実施形態では、送りローラ軸受11および12の当接部11aおよび12aの上端に、テーパー形状に形成されたテーパー部(面取り部)11bおよび12bを設けることによって、印字ヘッド部4がプラテンローラ5の方向に回動する際に、送りローラ軸受11および12の当接部11aおよび12aの上端のテーパー部11bおよび12bに接触したとしても、テーパー部11bおよび12bにより、容易に、印字ヘッド部4をプラテンローラ5に押圧するように配置することができる。
【0046】
また、第1実施形態では、印字ヘッド部4に、印字ヘッド部4の回動中心となる支持軸4aと、支持軸4aを回動可能で、かつ、水平方向に所定量移動可能に支持する支持穴4eとを設けることによって、印字ヘッド部4が送りローラ軸受11および12に当接しない状態で、プラテンローラ5を押圧する位置に配置されていた場合にも、印画時に、印字ヘッド部4が用紙搬送方向(図10の矢印C1方向)に受ける摩擦力μW1により、印字ヘッド部4を水平方向に移動させることができるので、印字ヘッド部4のヒートシンク4dと送りローラ軸受11および12の当接部11aおよび12aとを容易に当接させることができる。
【0047】
(第2実施形態)
図12は、本発明の第2実施形態による熱転写プリンタの全体構成を示した斜視図である。図13は、図12に示した第2実施形態による熱転写プリンタの印字ヘッド部を示した断面図である。図14は、図12に示した第2実施形態による熱転写プリンタの押圧機構が印字ヘッド部を押圧した状態を示した断面図である。図12〜図14を参照して、この第2実施形態では、上記第1実施形態と異なり、印字ヘッド部のヒートシンクに、送りローラ軸受に当接する突出部を一体的に設けた例について説明する。なお、印字ヘッド部、送りローラ、押さえローラ、送りローラ軸受および押さえローラ軸受以外の構造は上記第1実施形態と同様であるのでその説明を省略する。
【0048】
この第2実施形態による熱転写プリンタでは、図12に示すように、送りローラ59の軸受支持部59aは、送りローラ59の最外周の軸径よりも小さい軸径を有する。また、送りローラ59の軸受支持部59aは、送りローラ軸受61および62に回転可能に支持されている。また、送りローラ59の用紙搬送部59bの表面には、転造加工によって所定の高さを有する凸部が形成されている。また、押さえローラ60の軸受支持部60aは
、押さえローラ60の最外周の軸径よりも小さい軸径を有する。また、押さえローラ60の軸受支持部60aは、押さえローラ軸受63により回転可能に支持されている。
【0049】
また、図13および図14に示すように、印字ヘッド部54は、印字ヘッド部54の回動中心となる支持軸54aと、アーム部54bと、印字ヘッド54cと、印字ヘッド54の熱を放熱するためのヒートシンク54dと、支持穴54eとを有している。また、印字ヘッド部54のヒートシンク54dには、送りローラ軸受61および62に当接する突出部54fが一体的に設けられている。
【0050】
第2実施形態では、上記のように、印字ヘッド部54のヒートシンク54dに、送りローラ軸受61および62に当接する突出部54fを一体的に設けることによって、印字ヘッド部54が用紙搬送方向(図14の矢印C1方向)に受ける摩擦力μW1を、印字ヘッド部54のヒートシンク54dに設けられた突出部54gおよび送りローラ軸受61および62を介して送りローラ59に伝達することができる。これにより、容易に、印画時に印字ヘッド部54が用紙搬送方向(図14の矢印C1方向)に受ける摩擦力μW1の少なくとも一部を、送りローラ59が受ける反力W2により、打ち消すことができる。また、ヒートシンク54dに、送りローラ軸受61および62に当接する突出部54gを一体的に設けることによって、送りローラ軸受61および62に当接する突出部54gを別途設ける必要がないので、突出部54gを設けたとしても、部品点数が増加するのを抑制することができる。
【0051】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0052】
たとえば、上記第1および第2実施形態では、画像形成装置の一例として熱転写プリンタを示したが、本発明はこれに限らず、印字ヘッド部および送りローラ軸受を備えた画像形成装置であれば、熱転写プリンタ以外の他の画像形成装置にも適用可能である。
【0053】
また、上記第1実施形態では、送りローラ軸受の当接部を送りローラ軸受に一体的に設ける例を示したが、本発明はこれに限らず、送りローラ軸受の当接部を別体で設けてもよい。
【0054】
また、上記第2実施形態では、ヒートシンクに突出部を一体的に設ける例を示したが、本発明はこれに限らず、ヒートシンクとは別体に設けられた突出部をヒートシンクに取り付けるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の第1実施形態による熱転写プリンタの全体構成を示した斜視図である。
【図2】図1に示した第1実施形態による熱転写プリンタからインクリボンカートリッジを省略した状態を示した斜視図である。
【図3】図1に示した第1実施形態による熱転写プリンタからインクリボンカートリッジを省略した状態を示した正面図である。
【図4】図1に示した第1実施形態による熱転写プリンタのモータおよび各ギアの正面図である。
【図5】図1に示した第1実施形態による熱転写プリンタの送りローラ軸受の取付構造を説明するための図である。
【図6】図1に示した第1実施形態による熱転写プリンタの送りローラ軸受の取付構造を説明するための図である。
【図7】図1に示した第1実施形態による熱転写プリンタの送りローラ軸受の正面図である。
【図8】図1に示した第1実施形態による熱転写プリンタの回動部材の斜視図である。
【図9】図1に示した第1実施形態による熱転写プリンタの印字ヘッド部の断面図である。
【図10】図1に示した第1実施形態による熱転写プリンタの押圧機構が印字ヘッド部を押圧した状態を示した断面図である。
【図11】図1に示した第1実施形態による熱転写プリンタの押圧機構が印字ヘッド部を押圧した状態を示した正面図である。
【図12】本発明の第2実施形態による熱転写プリンタの全体構成を示した斜視図である。
【図13】図12に示した第2実施形態による熱転写プリンタの印字ヘッド部の断面図である。
【図14】図12に示した第2実施形態による熱転写プリンタの押圧機構が印字ヘッド部を押圧した状態を示した断面図である。
【図15】従来の一例による熱転写プリンタの全体構成を示した斜視図である。
【図16】図15に示した従来の熱転写プリンタからインクリボンカートリッジを省略した状態を示した斜視図である。
【図17】図15に示した従来の熱転写プリンタのモータおよび各ギアを示した正面図である。
【図18】図15に示した従来の熱転写プリンタの押圧機構が印字ヘッド部を押圧した状態を示した断面図である。
【符号の説明】
【0056】
4、54 印字ヘッド部
4a、54a 支持軸
4d、54d ヒートシンク
4e、54e 支持穴
54f 突出部
5 プラテンローラ
9、59 送りローラ
10、60 押さえローラ
11、12、61、62 送りローラ軸受
11a、12a 当接部
30 用紙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印字を行うための印字ヘッド部と、前記印字ヘッド部に対向するように配置されたプラテンローラと、前記プラテンローラと所定の間隔を隔てて配置され、用紙を搬送するための金属製の送りローラと、前記送りローラに所定の押圧力で押圧される金属製の押さえローラと、前記送りローラを回転可能に支持する送りローラ軸受とを備えた画像形成装置において、
前記印字ヘッド部は、前記印字ヘッド部の回動中心となる支持軸と、前記支持軸を回動可能で、かつ、水平方向に所定量移動可能に支持する支持穴とを含み、
前記送りローラ軸受には、上端がテーパー形状に形成され前記印字ヘッド部に当接する当接部が一体的に設けられ、
前記送りローラ軸受と前記印字ヘッド部とは、印画時に前記印字ヘッド部が前記プラテンローラに押圧された状態で互いに当接することにより、前記印画時の前記用紙の搬送時に、前記印字ヘッド部が用紙搬送方向に受ける摩擦力の少なくとも一部を、前記送りローラ軸受に回転可能に支持される前記送りローラが前記用紙搬送方向と逆方向に受ける反力により打ち消すようにした、画像形成装置。
【請求項2】
印字を行うための印字ヘッド部と、
前記印字ヘッド部に対向するように配置されたプラテンローラと、
前記プラテンローラと所定の間隔を隔てて配置され、用紙を搬送するための金属製の送りローラと、
前記送りローラに所定の押圧力で押圧される金属製の押さえローラと、
前記送りローラを回転可能に支持する送りローラ軸受とを備え、
前記送りローラ軸受と前記印字ヘッド部とは、印画時に前記印字ヘッド部が前記プラテンローラに押圧された状態で互いに当接することにより、前記印画時の前記用紙の搬送時に、前記印字ヘッド部が用紙搬送方向に受ける摩擦力の少なくとも一部を、前記送りローラ軸受に回転可能に支持される前記送りローラが前記用紙搬送方向と逆方向に受ける反力により打ち消すようにした、画像形成装置。
【請求項3】
前記送りローラ軸受には、前記印字ヘッド部に当接する当接部が一体的に設けられている、請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記送りローラ軸受の当接部の上端は、テーパー形状に形成されている、請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記印字ヘッド部は、下部に設けられた印字ヘッドと、前記印字ヘッドの熱を放熱するためのヒートシンクとを含み、
前記印字ヘッド部のヒートシンクには、前記送りローラ軸受に当接する突出部が一体的に設けられている、請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記印字ヘッド部は、前記印字ヘッド部の回動中心となる支持軸と、前記支持軸を回動可能で、かつ、水平方向に所定量移動可能に支持する支持穴とをさらに含む、請求項2〜5のいずれか1項に記載の画像形成装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate


【公開番号】特開2006−111403(P2006−111403A)
【公開日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−300627(P2004−300627)
【出願日】平成16年10月14日(2004.10.14)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】