画像形成装置
【課題】
多孔体と潜像保持体との間の相対速度の発生を防ぐことと、潜像保持体上のトナー像への多孔体の押圧力を適正に保つことを両立させるための手段、ひいてはゴーストをはじめとするトナー像乱れを防止するための手段を提供すること。
【解決手段】
感光体およびそこに形成されたトナー像に付着している液体キャリアの一部を吸収する吸収ローラは、感光体の非描画領域との接触圧が、描画領域との接触圧よりも高くなるように押圧される。
多孔体と潜像保持体との間の相対速度の発生を防ぐことと、潜像保持体上のトナー像への多孔体の押圧力を適正に保つことを両立させるための手段、ひいてはゴーストをはじめとするトナー像乱れを防止するための手段を提供すること。
【解決手段】
感光体およびそこに形成されたトナー像に付着している液体キャリアの一部を吸収する吸収ローラは、感光体の非描画領域との接触圧が、描画領域との接触圧よりも高くなるように押圧される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トナー粒子及び液体キャリアを有する現像液を使用する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現像液を用いた電子写真記録装置は、サブミクロンサイズの極めて微細なトナー粒子を用いることができるためオフセット印刷並みの高画質を実現できること、少量のトナー粒子で十分な画像濃度が得られるためコピーコストを低減できること、比較的低温でトナー粒子を記録紙に定着できるため省エネルギーを実現できることなど、乾式電子写真記録装置では実現できない利点を有しており、近年その価値が見直されつつある。
【0003】
現像液を用いた電子写真記録装置の転写方式としては、例えば、特許文献1に記載された、せん断力を利用するものがある。この方式では、トナー像にせん断力を付与し、転写性を向上させている。
【0004】
十分なせん断力をトナー像に及ぼすためには、潜像保持体上に形成されたトナー像およびトナー像の近傍に残存する余剰キャリア液を除去し、トナー同士の凝集力を強めることが必要となる。
【0005】
余剰キャリア液除去方法のひとつとして、ローラ外面に形成した多孔体を潜像保持体に接触させてニップを形成し、キャリア液を吸収するローラ吸収方式が一般的に知られている。
【0006】
ローラ吸収方式は、多孔体が吸収した余剰キャリア液を内部へ吸引する手段を設けることで多孔体の吸収力を高め持続させることができるという利点があり、他の余剰キャリア液除去方法と比べて高速化に向く方式である。また装置内部の汚染の心配も無く省エネルギーな方式である。更に余剰キャリア液を液体のまま回収可能であり、溶媒の再利用にも非常に適している方式でもある。さらに多孔体を清掃するクリーニングローラを設けることで多孔体の目詰まりも防止でき、さらに安定して長期に渡った溶媒除去性能を得ることができる。
【0007】
しかしローラ吸収方式には、多孔体と潜像保持体との間の相対速度の発生や、過大な押圧力によって、潜像保持体上のトナー像がローラに転写してしまい、トナー像の乱れが生じてしまうという問題がある。また、ローラに付着したトナー像が潜像保持体に再転写することによるトナー像の乱れ(以後ゴーストと称する)が生じるという問題がある。
【0008】
ローラ吸収方式については過去に多数提案されており、特に特許文献2の技術では、通気可能で導電性且つ剛性を有する多孔体スリーブとこの多孔体スリーブ上に被覆された導電性且つ弾性を有する多孔体層とから構成した多孔体吸液ロールを、潜像保持体の幅方向のほぼ全体に一様なニップを形成するよう接触させて従動回転させることで、多孔体吸液ロールに潜像保持体との相対速度を生じないだけの駆動力を与えている。また、接触ニップを一定に保つため、多孔体吸液ロールの両端に潜像保持体と接触して一定の距離を保つようなトラッキングローラを有している。
【特許文献1】特開2000−347520公報
【特許文献2】特開平7−225516号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献2記載の技術では、潜像保持体との相対速度を生じない程度の駆動力を多孔体吸液ロールに伝達できるだけの接触ニップを形成するためには、接触ニップ部の押圧力が大きくなる。接触ニップ部は、潜像保持体の幅方向においてトナー像の形成される部分も含めたほぼ全体に一様に形成されており、トナー像に対しても大きな押圧力がかかり、ゴーストの発生を防ぎきれないことがあった。
【0010】
本発明は、多孔体と潜像保持体との間の相対速度の発生を防ぐことと、潜像保持体上のトナー像への多孔体の押圧力を適正に保つことを両立させるための手段、ひいてはゴーストをはじめとするトナー像乱れを防止するための手段を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明は、前記静電潜像保持体に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、液体キャリアおよびトナー粒子を有する現像液を前記静電潜像保持体へ供給し前記静電潜像を現像しトナー像を形成する現像手段と、前記静電潜像保持体に形成されたトナー像に押圧され、前記静電潜像保持体に付着している液体キャリアの一部を吸収する吸収ローラとを備え、前記吸収ローラは、前記静電潜像保持体の非描画領域との接触圧が、前記静電潜像保持体の描画領域との接触圧よりも高くなるよう押圧されることを特徴とする画像形成装置を提供する。
【発明の効果】
【0012】
これによって、多孔体と潜像保持体との間の相対速度の発生を防ぐことと、潜像保持体への多孔体の押圧力を適正に保つことを両立させるための手段、ひいてはゴーストをはじめとするトナー像乱れを防止するための手段を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
(第1の実施の形態)
図1は本実施の形態の画像形成装置1の構成図である。
【0014】
画像形成装置1は、感光体ユニット10、帯電装置20、露光装置30、現像装置40、スクイーズ装置50、乾燥装置60、中間転写体70、感光体クリーニング装置80、除電装置90、転写装置100を備える。
【0015】
感光体ユニット10は、感光体12と、感光体12の中心軸上に設けられた回転軸とを備える。感光体12は円筒形で導電性である基体の曲面上に、10〜40μm厚の有機系もしくはアモルファスシリコン系の感光層を設けたものである。この感光層の最表面には離型層を設け、トナー粒子が固着するのを防止することが好ましい。
【0016】
帯電装置20は、感光体12に1〜2mmのギャップを介して対向し、感光体12を一様に帯電させる。
【0017】
露光装置30は、帯電装置20が一様に帯電させた感光体12の、両端から所定の距離内側である中央の一帯の描画領域14に、レーザを画像情報に基づいて変調選択的に露光して、露光した像部と露光しなかった非像部とからなる静電潜像を形成させる。露光装置30が露光する感光体12上の描画領域14は、画像形成装置1が扱える用紙の幅(例えばA3用紙短辺)よりも若干広く設定されている。露光装置30は、通常の画像形成動作において、描画領域14の外の感光体本体12表面である非描画領域16には露光しない。
【0018】
現像装置40は、感光体12に液体キャリア及びトナー粒子を有する現像液を供給して像部にトナー粒子を付着させて現像し、感光体本体12にトナー像を形成する。現像装置40への現像液の供給や排出は、図示しないポンプおよび液循環系によって行われる。
【0019】
スクイーズ装置50は、感光体12から20〜50μm離間しており、現像装置40がトナー像を形成した感光体12に付着している液体キャリアを搾り取る。
【0020】
乾燥装置60は、感光体12からスクイーズ装置50が搾り取りきれなかった液体キャリアをさらに除去する。乾燥装置60は、感光体12およびそこに形成されたトナー像に接触し、感光体12およびそこに形成されたトナー像に付着している液体キャリアの一部を吸収する吸収ローラ機構61を備える。また、感光体12の表面から1mm程度のギャップをもって設けられ、潜像保持体1表面に4〜6m3/min程度の空気流を供給し、吸収ローラ機構61が吸収した後で感光体12およびそこに形成されたトナー像に風を吹きつけて乾燥を促進するブロワ62を備える。
【0021】
中間転写体70は、表面が高温となり感光体12へ押し付けられ、中間転写体70との接触部の熱と圧力によって感光体12のトナー像が転写される。
【0022】
感光体クリーニング装置80は、中間転写体70へトナー像を転写した後に感光体12に残留するトナー粒子を除去する。
【0023】
除電装置90は、感光体クリーニング装置80がトナー粒子を除去した感光体12を一様に除電する。
【0024】
転写装置100は、中間転写体70へ所定の大きさの力で押し付けられている。転写装置100の表面もまた高温となり、この表面と中間転写体70の接触部の熱と圧力とによって、用紙110へ中間転写体70上のトナー像を転写させ定着させる。
【0025】
現像液は、液体キャリアとしての炭化水素系絶縁性溶媒の中に、アクリル系のポリマーをバインダ樹脂として使用しており約45℃のガラス転移点を持つ、顔料成分を含有した体積平均径0.8μmの粒子をトナー粒子として分散させたものである。本実施の形態のトナー粒子は液体キャリアに分散した状態では正極性に帯電する。
【0026】
以上説明した構成の本実施の形態の画像形成装置1の動作について、図2のフローチャートを用いて説明する。
【0027】
まず、除電装置90によって一様に除電された、回転している感光体12を、帯電装置20が一様に帯電させる(ステップ101)。本実施の形態において、感光体12は約+800Vに帯電する。
【0028】
次に、帯電装置20が一様に帯電させた感光体12の、描画領域14に、露光装置30が選択的に露光して像部と非像部からなる静電潜像を形成させる(ステップ102)。本実施の形態において、感光体12の露光された部分すなわち像部は約+200Vとなる。
【0029】
次に、感光体12に露光装置30が形成した静電潜像を、現像装置40が現像液で現像して、感光体12にトナー像を形成する(ステップ103)。本実施の形態において、現像ローラ42の表面は感光体12の表面に対して同じ方向に、約2倍の速度で回転する。また現像ローラ42には約+600Vの電圧が印加される。感光体12の表面における、現像ローラ42によってトナー像が形成された部分は約+300Vとなる。
【0030】
次に、感光体12に形成されたトナー像に付着している液体キャリアおよび感光体12のトナー像が形成された以外の部分に付着している現像液をスクイーズ装置50が搾り取る(ステップ104)。本実施の形態において、スクイーズローラ52の表面は感光体12の表面に対して反対方向に約2倍の速度で移動する。また、スクイーズローラ52には現像ローラ42と同じく約600Vのバイアス電圧が印加され、正帯電しているトナー粒子を感光体12へと押し付ける作用を生じる。そのため、流体的な絞り効果が作用して、主にトナー像の表層部にある溶媒が除去される。この結果、1μm以上あるトナー像の厚みは、半分以下になる。
【0031】
次に、スクイーズ装置50が搾り取りきれなかった液体キャリアを乾燥装置60が除去し、感光体12とトナー像を乾燥させる。(ステップ105)。
【0032】
次に、感光体12上の乾燥されたトナー像が、感光体12に押し付けられる中間転写体70へ転写される(ステップ106)。
【0033】
次に、転写装置100が中間転写体70上のトナー像を転写装置100と中間転写体70の接触部を通過する用紙110へ転写する(ステップ107)。
【0034】
次に、感光体クリーニング装置80が、感光体12に残留したトナー粒子を除去して(ステップ108)、動作が完了する。
【0035】
以上説明した本実施の形態の画像形成装置1の吸収ローラ機構61の構成について図3および図4を参照しながら詳述する。
【0036】
図3に示すように、吸収ローラ機構61は、ポンプ200、タンク202、クリーニングローラ204、クリーニングブレード206、吸収ローラ208を備える。
【0037】
ポンプ200は、ローラコア212の中空部の圧力を外部の圧力より低くし、吸収ローラ208が吸収した液体キャリアを、中空部内へ取り込ませる。
【0038】
タンク202は、ローラコア212の中空部内へ取り込まれた液体キャリアを保持する。
【0039】
クリーニングローラ204は、例えば液体キャリアを吸収しない鏡面で絶縁性の表面を有するステンレス製のローラである。吸収ローラ208よりも低い電位で吸収ローラ208に接触し、吸収ローラ208に付着した正帯電しているトナー粒子を電気的に吸着する。
【0040】
クリーニングブレード206は、クリーニングローラ204に接触し、クリーニングブレード206に付着したトナー粒子を機械的に除去する。
【0041】
吸収ローラ208は、感光体12およびそこに形成されたトナー像に接触し、それらに付着している液体キャリアを吸収する。吸収ローラ208の表面の電位が感光体12の電位よりも高く保たれ、吸収ローラ208へ感光体12に付着した正帯電しているトナー粒子が転写しないようにする。
【0042】
吸収ローラ208は、多孔質弾性体210、ローラコア212、従動ローラ214、を備える。
【0043】
多孔質弾性体210は平滑で微細な空隙を均一に分散した、通気性を有する導電性材料で形成される。本実施の形態ではポリウレタンスポンジ製である。ここで、多孔質弾性体210の平均孔径は30μm以下とすることが望ましい。
【0044】
ローラコア212は、円筒状であり、通気孔を持たせるために円筒の曲面に穴を複数形成してある。一方の端部は開口しており、ポンプ200が接続される吸入端としている。多孔質弾性体210の孔径およびローラコア212が有する通気孔の孔径はトナー粒子の平均粒径に比べて十分に大きい。そのため、吸収ローラ208が吸収した液体キャリアにトナー粒子が混入していても、トナー粒子ごと中空部内へ吸引されるので、吸収ローラ208の表面はトナー粒子が付着していない状態に保たれる。
【0045】
中空部内に吸引されきらずに吸収ローラ208の表面に残留するトナー粒子は、クリーニングローラ204が電気的に吸収ローラ208から除去し、クリーニングブレード206がクリーニングローラ204から除去するので、吸収ローラ208の表面はトナー粒子が付着していない状態に保たれる。
【0046】
従動ローラ214は多孔質弾性体210の円筒両側の側面に対向し、ローラコア212に対して同心円上に位置する円筒である。従動ローラ214は、硬質ゴムなどの材料で形成され、多孔質弾性体210よりも十分に剛性が高く、さらに感光体12に対して多孔質弾性体210よりも大きな摩擦力を得られるよう設計される。
【0047】
図4に示すように、従動ローラ214は感光体12の非描画領域16と接触し、ローラコア212と感光体12の間隔を一定に保ち、多孔質弾性体210の変形を規制する。また、従動ローラ214は感光体ユニット10に対して吸収ローラ208を連れ周りさせるために感光体12表面から駆動力を受ける。
【0048】
本実施の形態においては、従動ローラ214の直径は、多孔質弾性体210の直径よりも200μm程度小さい。
【0049】
吸収ローラ208が感光体ユニット10へ押圧されると、従動ローラ214は感光体12と接触する。また、従動ローラ214よりも直径が大きい多孔質弾性体210は感光体12との接触部に、感光体12およびそこに形成されたトナー像に付着している液体キャリアの一部を吸収するに十分な大きさのニップ部を形成する。
【0050】
図4に示すように、吸収ローラ208と感光体12の接触圧は、剛性の高い従動ローラ214の接触部に集中する。そのため、吸収ローラ208を感光体ユニット10に押圧する力は、従動ローラ214と感光体12との面圧力ひいては摩擦力に効率よく変換される。その結果、十分な駆動力を得るために必要な、吸収ローラ208の感光体ユニット10への押圧力は、従動ローラ214がない場合より小さくすることができる。吸収ローラ208全体への負荷は小さくなるので、吸収ローラ208全体の寿命向上の効果を得ることができる。
【0051】
また、トナー像と接触する多孔質弾性体210のニップ部の接触圧を必要以上に大きくさせないようにすることができるため、吸収ローラ208へ感光体12からのトナー像転写が生じにくい。その結果、ゴーストなどのトナー像乱れを防止することができる。
【0052】
さらに、従動ローラ214によって変形量が一定に規制される上にニップ部で駆動力伝達を担わずに済むため、多孔質弾性体210の負荷を小さくすることができ、多孔質弾性体210の寿命の向上の効果を得ることができる。
【0053】
図5に、横軸に多孔質弾性体210の表面の電位をとり、縦軸には吸収ローラ208が感光体ユニット10に押圧されたときに生じる多孔質弾性体208の直径方向の変形量をとって、それらに関するゴーストの濃度を主観評価した結果を示す。評価は4段階すなわち、ゴーストが生じなかった場合を0とし、1から3に増えるにつれてゴーストが濃く現れたことを示すことにした。
【0054】
図5の評価では、多孔質弾性体210の変形量が大きくなるほど、すなわちトナー像と接触する多孔質弾性体210のニップ部の接触圧が大きいほどゴーストの発生が顕著となる傾向を示している。本実施の形態のような構成をとることで、トナー像と接触する多孔質弾性体210のニップ部の接触圧を必要以上に大きくさせないようにすることができ、ゴーストなどのトナー像乱れを防止することができる。
【0055】
以上のように、感光体の描画領域との接触圧よりも非描画領域との接触圧が高くなるように吸収ローラを押圧することによって、多孔質弾性体と感光体ユニットとの間の相対速度の発生を防ぐことと、感光体ユニットへの多孔質弾性体の押圧力を適正に保つことを両立させることができ、ひいてはゴーストをはじめとするトナー像乱れを防止することができる。
【0056】
(第2の実施の形態)
図6は本実施の形態の吸収ローラ208および感光体ユニット10を示す。本実施の形態においては、従動ローラ214は独立して設けられていない。しかし、多孔質弾性体210の長手方向における中央部216すなわち感光体12の描画領域14と接触する位置の直径よりも、多孔質弾性体210の長手方向における両側の端部218すなわち非描画領域16と接触する位置の直径が大きく形成されている。
【0057】
吸収ローラ208は、中央部216および端部218の両方が感光体12と接触するよう押圧される。直径を異ならせてあるため、中央部216と端部218では接触圧および変形量を異ならせることができる。
【0058】
多孔質弾性体210と感光体12の接触圧は端部218に集中し、トナー像と接触する中央部216のニップ部の接触圧を必要以上に大きくさせないようにすることができる。その結果、吸収ローラ208へ感光体12からのトナー像転写が生じにくくなり、ゴーストなどのトナー像乱れを防止することができる。
【0059】
また、多孔質弾性体210と感光体12の接触圧は端部218に集中するので、吸収ローラ208を感光体ユニット10に押圧する力は、端部218と感光体12との面圧力ひいては摩擦力に効率よく変換される。その結果、十分な駆動力を得るために必要な、吸収ローラ208の感光体ユニット10への押圧力は、多孔質弾性体210の直径が一様である場合より小さくすることができる。吸収ローラ208全体への負荷は小さくなるので、吸収ローラ208全体の寿命向上の効果を得ることができる。
【0060】
以上のように、感光体の描画領域との接触圧よりも非描画領域との接触圧が高くなるように吸収ローラを押圧することによって、多孔質弾性体と感光体ユニットとの間の相対速度の発生を防ぐことと、感光体ユニットへの多孔質弾性体の押圧力を適正に保つことを両立させることができ、ひいてはゴーストをはじめとするトナー像乱れを防止することができる。
【0061】
(第3の実施の形態)
図7は本実施の形態の吸収ローラ208および感光体ユニット10を示す。本実施の形態においては、多孔質弾性体210の長手方向における中央部216すなわち感光体12の描画領域14と接触する位置の直径よりも大きな従動リング220が、多孔質弾性体210の長手方向における両側の端部218すなわち感光体12の非描画領域16と接触する位置に嵌設されている。つまり、従動リング220の輪の内側に多孔質弾性体210が位置する。
【0062】
吸収ローラ208は、中央部216および従動リング220の両方が感光体12と接触するよう押圧される。直径を異ならせてあるため、中央部216と従動リング220では接触圧および変形量を異ならせることができる。
【0063】
吸収ローラ208と感光体12の接触圧は従動リング220の接触部に集中し、トナー像と接触する中央部216のニップ部の接触圧を必要以上に大きくさせないようにすることができる。その結果、吸収ローラ208へ感光体12からのトナー像転写が生じにくくなり、ゴーストなどのトナー像乱れを防止することができる。
【0064】
また、吸収ローラ208と感光体12の接触圧は従動リング220の接触部に集中するので、吸収ローラ208を感光体ユニット10に押圧する力は、従動リング220と感光体12との面圧力ひいては摩擦力に効率よく変換される。その結果、十分な駆動力を得るために必要な、吸収ローラ208の感光体ユニット10への押圧力は、従動リング220がない場合より小さくすることができる。吸収ローラ208全体への負荷は小さくなるので、吸収ローラ208全体の寿命向上の効果を得ることができる。
【0065】
以上のように、感光体の描画領域との接触圧よりも非描画領域との接触圧が高くなるように吸収ローラを押圧することによって、多孔質弾性体と感光体ユニットとの間の相対速度の発生を防ぐことと、感光体ユニットへの多孔質弾性体の押圧力を適正に保つことを両立させることができ、ひいてはゴーストをはじめとするトナー像乱れを防止することができる。
【0066】
なお、多孔質弾性体210に従動リング220を嵌めるとして説明したが、例えば帯状のものを多孔質弾性体210に貼り付けてリング状にしてもよい。また、多孔質弾性体210の端部に浸漬塗工処理によってリングを形成してもよい。
【0067】
(第4の実施の形態)
図8は本実施の形態の吸収ローラ208および感光体ユニット10を示す。本実施の形態において感光体ユニット10は、感光体12と同軸上に、感光体12の両側面とそれぞれ対向する駆動ローラ222を2つ有する。また、感光体12と接触する吸収ローラ208の多孔質弾性体210は、直径は一様であるが、感光体12よりも長くかつ2つの駆動ローラ222と同時に接触できる長さに形成されている。
【0068】
駆動ローラ222は感光体12よりも直径が大きく、かつ感光体12と同心円状に形成され、感光体12と共に回転する。
【0069】
吸収ローラ208は、感光体12および駆動ローラ222の両方と接触するよう押圧される。感光体12と駆動ローラ222の直径を異ならせてあるため、吸収ローラ208は、感光体12と接触する部分と駆動ローラ222と接触する部分とで接触圧および変形量を異ならせることができる。
【0070】
吸収ローラ208と感光体12の接触圧は駆動ローラ222の接触部に集中し、トナー像と接触する多孔質弾性体210のニップ部の接触圧を必要以上に大きくさせないようにすることができる。その結果、吸収ローラ208へ感光体12からのトナー像転写が生じにくくなり、ゴーストなどのトナー像乱れを防止することができる。
【0071】
また、吸収ローラ208と感光体12の接触圧は駆動ローラ222の接触部に集中するので、吸収ローラ208を感光体ユニット10に押圧する力が駆動ローラ222と感光体12との面圧力ひいては摩擦力に効率よく変換される。その結果、十分な駆動力を得るために必要な、吸収ローラ208の感光体12への押圧力は、駆動ローラ222がない場合より小さくすることができる。吸収ローラ208全体への負荷は小さくなるので、吸収ローラ208全体の寿命向上の効果を得ることができる。
【0072】
以上のように、感光体の描画領域との接触圧よりも非描画領域との接触圧が高くなるように吸収ローラを押圧することによって、多孔質弾性体と感光体ユニットとの間の相対速度の発生を防ぐことと、感光体ユニットへの多孔質弾性体の押圧力を適正に保つことを両立させることができ、ひいてはゴーストをはじめとするトナー像乱れを防止することができる。
【0073】
(第5の実施の形態)
図9は本実施の形態の吸収ローラ208および感光体ユニット10を示す。本実施の形態において非描画領域感光体ユニット10は、感光体12の両側の端部すなわち非通紙領域16にそれぞれ嵌設された2つの駆動リング224を含む。また、感光体12と接触する吸収ローラ208の多孔質弾性体210は、直径は一様であるが、感光体12よりも長くかつ2つの駆動リング224と同時に接触できる長さに形成されている。
【0074】
駆動リング224は感光体12よりも直径が大きく、かつ感光体12と同心円状に形成され、感光体12と共に回転する。
【0075】
吸収ローラ208は、感光体12および駆動リング224の両方と接触するよう押圧される。感光体12と駆動リング224の直径を異ならせてあるため、吸収ローラ208は、感光体12と接触する部分と駆動リング224と接触する部分とで接触圧および変形量を異ならせることができる。
【0076】
吸収ローラ208と感光体12の接触圧は、駆動リング224の接触部に集中し、トナー像と接触する多孔質弾性体210のニップ部の接触圧を必要以上に大きくさせないようにすることができる。その結果、吸収ローラ208へ感光体12からのトナー像転写が生じにくくなり、ゴーストなどのトナー像乱れを防止することができる。
【0077】
また、吸収ローラ208と感光体12の接触圧は、駆動リング224の接触部に集中するので、吸収ローラ208を感光体ユニット10に押圧する力は、駆動リング224と感光体12との面圧力ひいては摩擦力に効率よく変換される。その結果、十分な駆動力を得るために必要な、吸収ローラ208の感光体ユニット10への押圧力は、駆動リング224がない場合より小さくすることができる。吸収ローラ208全体への負荷は小さくなるので、吸収ローラ208全体の寿命向上の効果を得ることができる。
【0078】
また、トナー像と接触する多孔質弾性体210のニップ部の接触圧を必要以上に大きくさせないようにすることができるため、吸収ローラ208へ感光体12からのトナー像転写が生じにくい。その結果、ゴーストなどのトナー像乱れを防止することができる。
【0079】
以上のように、感光体の描画領域との接触圧よりも非描画領域との接触圧が高くなるように吸収ローラを押圧することによって、多孔質弾性体と感光体ユニットとの間の相対速度の発生を防ぐことと、感光体ユニットへの多孔質弾性体の押圧力を適正に保つことを両立させることができ、ひいてはゴーストをはじめとするトナー像乱れを防止することができる。
【0080】
なお、感光体12に駆動リング224を嵌めるとして説明したが、例えば帯状のものを感光体12に貼り付けてリング状にしてもよい。また、感光体12の端部に浸漬塗工処理によってリングを形成してもよい。
【0081】
(第6の実施の形態)
図10は本実施の形態の吸収ローラ208および感光体ユニット10を示す。本実施の形態において感光体ユニット10は、感光体12と同軸上に、感光体12の両側面とそれぞれ対向する駆動ローラ222を2つ有する。また、感光体12と接触する吸収ローラ208は、多孔質弾性体210と同軸上に、多孔質弾性体210の両側面とそれぞれ対向する従動ローラ214を2つ有する。駆動ローラ222と従動ローラ214は互い接触する。
【0082】
従動ローラ214と駆動ローラ222のそれぞれの半径の和は、感光体12と多孔質弾性体210のそれぞれの半径の和よりも小さく設計される。
【0083】
吸収ローラ208と感光体12の接触圧は、従動ローラ214と駆動ローラ222が互いに接触する位置に集中し、トナー像と接触する多孔質弾性体210のニップ部の接触圧を必要以上に大きくさせないようにすることができる。その結果、吸収ローラ208へ感光体12からのトナー像転写が生じにくくなり、ゴーストなどのトナー像乱れを防止することができる。
【0084】
また、吸収ローラ208と感光体12の接触圧は、従動ローラ214と駆動ローラ222が互いに接触する位置に集中するので、吸収ローラ208を感光体ユニット10に押圧する力は、従動ローラ214と駆動ローラ222との面圧力ひいては摩擦力に効率よく変換される。その結果、十分な駆動力を得るために必要な、吸収ローラ208の感光体ユニット10への押圧力は、従動ローラ214と駆動ローラ222を設けない場合より小さくすることができる。吸収ローラ208全体への負荷は小さくなるので、吸収ローラ208全体の寿命向上の効果を得ることができる。
【0085】
以上のように、感光体の描画領域との接触圧よりも非描画領域との接触圧が高くなるように吸収ローラを押圧することによって、多孔質弾性体と感光体ユニットとの間の相対速度の発生を防ぐことと、感光体ユニットへの多孔質弾性体の押圧力を適正に保つことを両立させることができ、ひいてはゴーストをはじめとするトナー像乱れを防止することができる。
【0086】
(第7の実施の形態)
図11は本実施の形態の吸収ローラ208と感光体ユニット10とクリーニングローラ204とクリーニングブレード206を示す。
【0087】
クリーニングローラ204は、例えば液体キャリアを吸収しない鏡面で絶縁性の表面を有するステンレス製のローラである。吸収ローラ208よりも低い電位で吸収ローラ208に接触し、吸収ローラ208に付着した正帯電しているトナー粒子を電気的に吸着する。
【0088】
クリーニングブレード206は、クリーニングローラ204に接触し、クリーニングブレード206に付着したトナー粒子を機械的に除去する。
【0089】
本実施の形態においては、多孔質弾性体210と接触するクリーニングローラ204が、従動ローラ214とも接触する長さに形成されている。
【0090】
クリーニングローラ204は多孔質弾性体210だけでなく、従動ローラ214からもトナー粒子を除去する。従動ローラ214の表面が清掃されるため、感光体ユニット10と従動ローラ214の接触部の摩擦を保つことができ、両者の相対速度の発生を防ぐことができる。
【0091】
またクリーニングローラ204は、従動ローラ214との摩擦力で従動回転するので、独立した駆動系を設ける必要がなくなる。
【0092】
なお、上記実施の形態ではドラム状の感光体を用いるとして説明したが、例えば表面に感光層を形成したシートを剛体ドラムに固定したものや、弾性を有する環状ベルトの表面に感光体層を形成したものを用いることもできる。
【0093】
また、上記実施の形態では静電潜像の形成にレーザを用いるとして説明したが、例えば画像情報に応じてオンオフ可能なLEDを走査させてもよいし、LEDをアレイ状に並べたものを用いてもよい。
【0094】
また、上記実施の形態では、ローラコア212が穴を有する円筒であるとして説明したが、多孔質の焼結合金製としてもよい。
【0095】
また、上記実施の形態では、非描画領域16を、通常の画像形成動作において露光しない領域として説明したが、全く画像を形成しない領域に限定されるものではなく、この位置に例えばレジストレーション動作において像の位置合わせを行うためのマークを形成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0096】
【図1】第1の実施の形態の画像形成装置の構成図。
【図2】第1の実施の形態の動作についてのフローチャート。
【図3】第1の実施の形態の吸収ローラ機構の構成図。
【図4】第1の実施の形態の吸収ローラの構成図。
【図5】多孔質弾性体の表面の電位と直径方向の変形量に関するゴーストの濃度を主観評価した結果を示すグラフ。
【図6】第2の実施の形態の吸収ローラの構成図。
【図7】第3の実施の形態の吸収ローラの構成図。
【図8】第4の実施の形態の吸収ローラおよび感光体の構成図。
【図9】第5の実施の形態の吸収ローラおよび感光体の構成図。
【図10】第6の実施の形態の吸収ローラおよび感光体の構成図。
【図11】第7の実施の形態の吸収ローラと感光体と吸収ローラクリーニングローラの構成図。
【符号の説明】
【0097】
1・・・画像形成装置
10・・・感光体ユニット
12・・・感光体
60・・・乾燥装置
61・・・吸収ローラ機構
70・・・中間転写体
204・・・クリーニングローラ
206・・・クリーニングブレード
208・・・吸収ローラ
210・・・多孔質弾性体
212・・・ローラコア
214・・・従動ローラ
216・・・多孔質弾性体中央部
218・・・多孔質弾性体端部
220・・・従動リング
222・・・駆動ローラ
224・・・駆動リング
【技術分野】
【0001】
本発明は、トナー粒子及び液体キャリアを有する現像液を使用する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現像液を用いた電子写真記録装置は、サブミクロンサイズの極めて微細なトナー粒子を用いることができるためオフセット印刷並みの高画質を実現できること、少量のトナー粒子で十分な画像濃度が得られるためコピーコストを低減できること、比較的低温でトナー粒子を記録紙に定着できるため省エネルギーを実現できることなど、乾式電子写真記録装置では実現できない利点を有しており、近年その価値が見直されつつある。
【0003】
現像液を用いた電子写真記録装置の転写方式としては、例えば、特許文献1に記載された、せん断力を利用するものがある。この方式では、トナー像にせん断力を付与し、転写性を向上させている。
【0004】
十分なせん断力をトナー像に及ぼすためには、潜像保持体上に形成されたトナー像およびトナー像の近傍に残存する余剰キャリア液を除去し、トナー同士の凝集力を強めることが必要となる。
【0005】
余剰キャリア液除去方法のひとつとして、ローラ外面に形成した多孔体を潜像保持体に接触させてニップを形成し、キャリア液を吸収するローラ吸収方式が一般的に知られている。
【0006】
ローラ吸収方式は、多孔体が吸収した余剰キャリア液を内部へ吸引する手段を設けることで多孔体の吸収力を高め持続させることができるという利点があり、他の余剰キャリア液除去方法と比べて高速化に向く方式である。また装置内部の汚染の心配も無く省エネルギーな方式である。更に余剰キャリア液を液体のまま回収可能であり、溶媒の再利用にも非常に適している方式でもある。さらに多孔体を清掃するクリーニングローラを設けることで多孔体の目詰まりも防止でき、さらに安定して長期に渡った溶媒除去性能を得ることができる。
【0007】
しかしローラ吸収方式には、多孔体と潜像保持体との間の相対速度の発生や、過大な押圧力によって、潜像保持体上のトナー像がローラに転写してしまい、トナー像の乱れが生じてしまうという問題がある。また、ローラに付着したトナー像が潜像保持体に再転写することによるトナー像の乱れ(以後ゴーストと称する)が生じるという問題がある。
【0008】
ローラ吸収方式については過去に多数提案されており、特に特許文献2の技術では、通気可能で導電性且つ剛性を有する多孔体スリーブとこの多孔体スリーブ上に被覆された導電性且つ弾性を有する多孔体層とから構成した多孔体吸液ロールを、潜像保持体の幅方向のほぼ全体に一様なニップを形成するよう接触させて従動回転させることで、多孔体吸液ロールに潜像保持体との相対速度を生じないだけの駆動力を与えている。また、接触ニップを一定に保つため、多孔体吸液ロールの両端に潜像保持体と接触して一定の距離を保つようなトラッキングローラを有している。
【特許文献1】特開2000−347520公報
【特許文献2】特開平7−225516号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献2記載の技術では、潜像保持体との相対速度を生じない程度の駆動力を多孔体吸液ロールに伝達できるだけの接触ニップを形成するためには、接触ニップ部の押圧力が大きくなる。接触ニップ部は、潜像保持体の幅方向においてトナー像の形成される部分も含めたほぼ全体に一様に形成されており、トナー像に対しても大きな押圧力がかかり、ゴーストの発生を防ぎきれないことがあった。
【0010】
本発明は、多孔体と潜像保持体との間の相対速度の発生を防ぐことと、潜像保持体上のトナー像への多孔体の押圧力を適正に保つことを両立させるための手段、ひいてはゴーストをはじめとするトナー像乱れを防止するための手段を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明は、前記静電潜像保持体に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、液体キャリアおよびトナー粒子を有する現像液を前記静電潜像保持体へ供給し前記静電潜像を現像しトナー像を形成する現像手段と、前記静電潜像保持体に形成されたトナー像に押圧され、前記静電潜像保持体に付着している液体キャリアの一部を吸収する吸収ローラとを備え、前記吸収ローラは、前記静電潜像保持体の非描画領域との接触圧が、前記静電潜像保持体の描画領域との接触圧よりも高くなるよう押圧されることを特徴とする画像形成装置を提供する。
【発明の効果】
【0012】
これによって、多孔体と潜像保持体との間の相対速度の発生を防ぐことと、潜像保持体への多孔体の押圧力を適正に保つことを両立させるための手段、ひいてはゴーストをはじめとするトナー像乱れを防止するための手段を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
(第1の実施の形態)
図1は本実施の形態の画像形成装置1の構成図である。
【0014】
画像形成装置1は、感光体ユニット10、帯電装置20、露光装置30、現像装置40、スクイーズ装置50、乾燥装置60、中間転写体70、感光体クリーニング装置80、除電装置90、転写装置100を備える。
【0015】
感光体ユニット10は、感光体12と、感光体12の中心軸上に設けられた回転軸とを備える。感光体12は円筒形で導電性である基体の曲面上に、10〜40μm厚の有機系もしくはアモルファスシリコン系の感光層を設けたものである。この感光層の最表面には離型層を設け、トナー粒子が固着するのを防止することが好ましい。
【0016】
帯電装置20は、感光体12に1〜2mmのギャップを介して対向し、感光体12を一様に帯電させる。
【0017】
露光装置30は、帯電装置20が一様に帯電させた感光体12の、両端から所定の距離内側である中央の一帯の描画領域14に、レーザを画像情報に基づいて変調選択的に露光して、露光した像部と露光しなかった非像部とからなる静電潜像を形成させる。露光装置30が露光する感光体12上の描画領域14は、画像形成装置1が扱える用紙の幅(例えばA3用紙短辺)よりも若干広く設定されている。露光装置30は、通常の画像形成動作において、描画領域14の外の感光体本体12表面である非描画領域16には露光しない。
【0018】
現像装置40は、感光体12に液体キャリア及びトナー粒子を有する現像液を供給して像部にトナー粒子を付着させて現像し、感光体本体12にトナー像を形成する。現像装置40への現像液の供給や排出は、図示しないポンプおよび液循環系によって行われる。
【0019】
スクイーズ装置50は、感光体12から20〜50μm離間しており、現像装置40がトナー像を形成した感光体12に付着している液体キャリアを搾り取る。
【0020】
乾燥装置60は、感光体12からスクイーズ装置50が搾り取りきれなかった液体キャリアをさらに除去する。乾燥装置60は、感光体12およびそこに形成されたトナー像に接触し、感光体12およびそこに形成されたトナー像に付着している液体キャリアの一部を吸収する吸収ローラ機構61を備える。また、感光体12の表面から1mm程度のギャップをもって設けられ、潜像保持体1表面に4〜6m3/min程度の空気流を供給し、吸収ローラ機構61が吸収した後で感光体12およびそこに形成されたトナー像に風を吹きつけて乾燥を促進するブロワ62を備える。
【0021】
中間転写体70は、表面が高温となり感光体12へ押し付けられ、中間転写体70との接触部の熱と圧力によって感光体12のトナー像が転写される。
【0022】
感光体クリーニング装置80は、中間転写体70へトナー像を転写した後に感光体12に残留するトナー粒子を除去する。
【0023】
除電装置90は、感光体クリーニング装置80がトナー粒子を除去した感光体12を一様に除電する。
【0024】
転写装置100は、中間転写体70へ所定の大きさの力で押し付けられている。転写装置100の表面もまた高温となり、この表面と中間転写体70の接触部の熱と圧力とによって、用紙110へ中間転写体70上のトナー像を転写させ定着させる。
【0025】
現像液は、液体キャリアとしての炭化水素系絶縁性溶媒の中に、アクリル系のポリマーをバインダ樹脂として使用しており約45℃のガラス転移点を持つ、顔料成分を含有した体積平均径0.8μmの粒子をトナー粒子として分散させたものである。本実施の形態のトナー粒子は液体キャリアに分散した状態では正極性に帯電する。
【0026】
以上説明した構成の本実施の形態の画像形成装置1の動作について、図2のフローチャートを用いて説明する。
【0027】
まず、除電装置90によって一様に除電された、回転している感光体12を、帯電装置20が一様に帯電させる(ステップ101)。本実施の形態において、感光体12は約+800Vに帯電する。
【0028】
次に、帯電装置20が一様に帯電させた感光体12の、描画領域14に、露光装置30が選択的に露光して像部と非像部からなる静電潜像を形成させる(ステップ102)。本実施の形態において、感光体12の露光された部分すなわち像部は約+200Vとなる。
【0029】
次に、感光体12に露光装置30が形成した静電潜像を、現像装置40が現像液で現像して、感光体12にトナー像を形成する(ステップ103)。本実施の形態において、現像ローラ42の表面は感光体12の表面に対して同じ方向に、約2倍の速度で回転する。また現像ローラ42には約+600Vの電圧が印加される。感光体12の表面における、現像ローラ42によってトナー像が形成された部分は約+300Vとなる。
【0030】
次に、感光体12に形成されたトナー像に付着している液体キャリアおよび感光体12のトナー像が形成された以外の部分に付着している現像液をスクイーズ装置50が搾り取る(ステップ104)。本実施の形態において、スクイーズローラ52の表面は感光体12の表面に対して反対方向に約2倍の速度で移動する。また、スクイーズローラ52には現像ローラ42と同じく約600Vのバイアス電圧が印加され、正帯電しているトナー粒子を感光体12へと押し付ける作用を生じる。そのため、流体的な絞り効果が作用して、主にトナー像の表層部にある溶媒が除去される。この結果、1μm以上あるトナー像の厚みは、半分以下になる。
【0031】
次に、スクイーズ装置50が搾り取りきれなかった液体キャリアを乾燥装置60が除去し、感光体12とトナー像を乾燥させる。(ステップ105)。
【0032】
次に、感光体12上の乾燥されたトナー像が、感光体12に押し付けられる中間転写体70へ転写される(ステップ106)。
【0033】
次に、転写装置100が中間転写体70上のトナー像を転写装置100と中間転写体70の接触部を通過する用紙110へ転写する(ステップ107)。
【0034】
次に、感光体クリーニング装置80が、感光体12に残留したトナー粒子を除去して(ステップ108)、動作が完了する。
【0035】
以上説明した本実施の形態の画像形成装置1の吸収ローラ機構61の構成について図3および図4を参照しながら詳述する。
【0036】
図3に示すように、吸収ローラ機構61は、ポンプ200、タンク202、クリーニングローラ204、クリーニングブレード206、吸収ローラ208を備える。
【0037】
ポンプ200は、ローラコア212の中空部の圧力を外部の圧力より低くし、吸収ローラ208が吸収した液体キャリアを、中空部内へ取り込ませる。
【0038】
タンク202は、ローラコア212の中空部内へ取り込まれた液体キャリアを保持する。
【0039】
クリーニングローラ204は、例えば液体キャリアを吸収しない鏡面で絶縁性の表面を有するステンレス製のローラである。吸収ローラ208よりも低い電位で吸収ローラ208に接触し、吸収ローラ208に付着した正帯電しているトナー粒子を電気的に吸着する。
【0040】
クリーニングブレード206は、クリーニングローラ204に接触し、クリーニングブレード206に付着したトナー粒子を機械的に除去する。
【0041】
吸収ローラ208は、感光体12およびそこに形成されたトナー像に接触し、それらに付着している液体キャリアを吸収する。吸収ローラ208の表面の電位が感光体12の電位よりも高く保たれ、吸収ローラ208へ感光体12に付着した正帯電しているトナー粒子が転写しないようにする。
【0042】
吸収ローラ208は、多孔質弾性体210、ローラコア212、従動ローラ214、を備える。
【0043】
多孔質弾性体210は平滑で微細な空隙を均一に分散した、通気性を有する導電性材料で形成される。本実施の形態ではポリウレタンスポンジ製である。ここで、多孔質弾性体210の平均孔径は30μm以下とすることが望ましい。
【0044】
ローラコア212は、円筒状であり、通気孔を持たせるために円筒の曲面に穴を複数形成してある。一方の端部は開口しており、ポンプ200が接続される吸入端としている。多孔質弾性体210の孔径およびローラコア212が有する通気孔の孔径はトナー粒子の平均粒径に比べて十分に大きい。そのため、吸収ローラ208が吸収した液体キャリアにトナー粒子が混入していても、トナー粒子ごと中空部内へ吸引されるので、吸収ローラ208の表面はトナー粒子が付着していない状態に保たれる。
【0045】
中空部内に吸引されきらずに吸収ローラ208の表面に残留するトナー粒子は、クリーニングローラ204が電気的に吸収ローラ208から除去し、クリーニングブレード206がクリーニングローラ204から除去するので、吸収ローラ208の表面はトナー粒子が付着していない状態に保たれる。
【0046】
従動ローラ214は多孔質弾性体210の円筒両側の側面に対向し、ローラコア212に対して同心円上に位置する円筒である。従動ローラ214は、硬質ゴムなどの材料で形成され、多孔質弾性体210よりも十分に剛性が高く、さらに感光体12に対して多孔質弾性体210よりも大きな摩擦力を得られるよう設計される。
【0047】
図4に示すように、従動ローラ214は感光体12の非描画領域16と接触し、ローラコア212と感光体12の間隔を一定に保ち、多孔質弾性体210の変形を規制する。また、従動ローラ214は感光体ユニット10に対して吸収ローラ208を連れ周りさせるために感光体12表面から駆動力を受ける。
【0048】
本実施の形態においては、従動ローラ214の直径は、多孔質弾性体210の直径よりも200μm程度小さい。
【0049】
吸収ローラ208が感光体ユニット10へ押圧されると、従動ローラ214は感光体12と接触する。また、従動ローラ214よりも直径が大きい多孔質弾性体210は感光体12との接触部に、感光体12およびそこに形成されたトナー像に付着している液体キャリアの一部を吸収するに十分な大きさのニップ部を形成する。
【0050】
図4に示すように、吸収ローラ208と感光体12の接触圧は、剛性の高い従動ローラ214の接触部に集中する。そのため、吸収ローラ208を感光体ユニット10に押圧する力は、従動ローラ214と感光体12との面圧力ひいては摩擦力に効率よく変換される。その結果、十分な駆動力を得るために必要な、吸収ローラ208の感光体ユニット10への押圧力は、従動ローラ214がない場合より小さくすることができる。吸収ローラ208全体への負荷は小さくなるので、吸収ローラ208全体の寿命向上の効果を得ることができる。
【0051】
また、トナー像と接触する多孔質弾性体210のニップ部の接触圧を必要以上に大きくさせないようにすることができるため、吸収ローラ208へ感光体12からのトナー像転写が生じにくい。その結果、ゴーストなどのトナー像乱れを防止することができる。
【0052】
さらに、従動ローラ214によって変形量が一定に規制される上にニップ部で駆動力伝達を担わずに済むため、多孔質弾性体210の負荷を小さくすることができ、多孔質弾性体210の寿命の向上の効果を得ることができる。
【0053】
図5に、横軸に多孔質弾性体210の表面の電位をとり、縦軸には吸収ローラ208が感光体ユニット10に押圧されたときに生じる多孔質弾性体208の直径方向の変形量をとって、それらに関するゴーストの濃度を主観評価した結果を示す。評価は4段階すなわち、ゴーストが生じなかった場合を0とし、1から3に増えるにつれてゴーストが濃く現れたことを示すことにした。
【0054】
図5の評価では、多孔質弾性体210の変形量が大きくなるほど、すなわちトナー像と接触する多孔質弾性体210のニップ部の接触圧が大きいほどゴーストの発生が顕著となる傾向を示している。本実施の形態のような構成をとることで、トナー像と接触する多孔質弾性体210のニップ部の接触圧を必要以上に大きくさせないようにすることができ、ゴーストなどのトナー像乱れを防止することができる。
【0055】
以上のように、感光体の描画領域との接触圧よりも非描画領域との接触圧が高くなるように吸収ローラを押圧することによって、多孔質弾性体と感光体ユニットとの間の相対速度の発生を防ぐことと、感光体ユニットへの多孔質弾性体の押圧力を適正に保つことを両立させることができ、ひいてはゴーストをはじめとするトナー像乱れを防止することができる。
【0056】
(第2の実施の形態)
図6は本実施の形態の吸収ローラ208および感光体ユニット10を示す。本実施の形態においては、従動ローラ214は独立して設けられていない。しかし、多孔質弾性体210の長手方向における中央部216すなわち感光体12の描画領域14と接触する位置の直径よりも、多孔質弾性体210の長手方向における両側の端部218すなわち非描画領域16と接触する位置の直径が大きく形成されている。
【0057】
吸収ローラ208は、中央部216および端部218の両方が感光体12と接触するよう押圧される。直径を異ならせてあるため、中央部216と端部218では接触圧および変形量を異ならせることができる。
【0058】
多孔質弾性体210と感光体12の接触圧は端部218に集中し、トナー像と接触する中央部216のニップ部の接触圧を必要以上に大きくさせないようにすることができる。その結果、吸収ローラ208へ感光体12からのトナー像転写が生じにくくなり、ゴーストなどのトナー像乱れを防止することができる。
【0059】
また、多孔質弾性体210と感光体12の接触圧は端部218に集中するので、吸収ローラ208を感光体ユニット10に押圧する力は、端部218と感光体12との面圧力ひいては摩擦力に効率よく変換される。その結果、十分な駆動力を得るために必要な、吸収ローラ208の感光体ユニット10への押圧力は、多孔質弾性体210の直径が一様である場合より小さくすることができる。吸収ローラ208全体への負荷は小さくなるので、吸収ローラ208全体の寿命向上の効果を得ることができる。
【0060】
以上のように、感光体の描画領域との接触圧よりも非描画領域との接触圧が高くなるように吸収ローラを押圧することによって、多孔質弾性体と感光体ユニットとの間の相対速度の発生を防ぐことと、感光体ユニットへの多孔質弾性体の押圧力を適正に保つことを両立させることができ、ひいてはゴーストをはじめとするトナー像乱れを防止することができる。
【0061】
(第3の実施の形態)
図7は本実施の形態の吸収ローラ208および感光体ユニット10を示す。本実施の形態においては、多孔質弾性体210の長手方向における中央部216すなわち感光体12の描画領域14と接触する位置の直径よりも大きな従動リング220が、多孔質弾性体210の長手方向における両側の端部218すなわち感光体12の非描画領域16と接触する位置に嵌設されている。つまり、従動リング220の輪の内側に多孔質弾性体210が位置する。
【0062】
吸収ローラ208は、中央部216および従動リング220の両方が感光体12と接触するよう押圧される。直径を異ならせてあるため、中央部216と従動リング220では接触圧および変形量を異ならせることができる。
【0063】
吸収ローラ208と感光体12の接触圧は従動リング220の接触部に集中し、トナー像と接触する中央部216のニップ部の接触圧を必要以上に大きくさせないようにすることができる。その結果、吸収ローラ208へ感光体12からのトナー像転写が生じにくくなり、ゴーストなどのトナー像乱れを防止することができる。
【0064】
また、吸収ローラ208と感光体12の接触圧は従動リング220の接触部に集中するので、吸収ローラ208を感光体ユニット10に押圧する力は、従動リング220と感光体12との面圧力ひいては摩擦力に効率よく変換される。その結果、十分な駆動力を得るために必要な、吸収ローラ208の感光体ユニット10への押圧力は、従動リング220がない場合より小さくすることができる。吸収ローラ208全体への負荷は小さくなるので、吸収ローラ208全体の寿命向上の効果を得ることができる。
【0065】
以上のように、感光体の描画領域との接触圧よりも非描画領域との接触圧が高くなるように吸収ローラを押圧することによって、多孔質弾性体と感光体ユニットとの間の相対速度の発生を防ぐことと、感光体ユニットへの多孔質弾性体の押圧力を適正に保つことを両立させることができ、ひいてはゴーストをはじめとするトナー像乱れを防止することができる。
【0066】
なお、多孔質弾性体210に従動リング220を嵌めるとして説明したが、例えば帯状のものを多孔質弾性体210に貼り付けてリング状にしてもよい。また、多孔質弾性体210の端部に浸漬塗工処理によってリングを形成してもよい。
【0067】
(第4の実施の形態)
図8は本実施の形態の吸収ローラ208および感光体ユニット10を示す。本実施の形態において感光体ユニット10は、感光体12と同軸上に、感光体12の両側面とそれぞれ対向する駆動ローラ222を2つ有する。また、感光体12と接触する吸収ローラ208の多孔質弾性体210は、直径は一様であるが、感光体12よりも長くかつ2つの駆動ローラ222と同時に接触できる長さに形成されている。
【0068】
駆動ローラ222は感光体12よりも直径が大きく、かつ感光体12と同心円状に形成され、感光体12と共に回転する。
【0069】
吸収ローラ208は、感光体12および駆動ローラ222の両方と接触するよう押圧される。感光体12と駆動ローラ222の直径を異ならせてあるため、吸収ローラ208は、感光体12と接触する部分と駆動ローラ222と接触する部分とで接触圧および変形量を異ならせることができる。
【0070】
吸収ローラ208と感光体12の接触圧は駆動ローラ222の接触部に集中し、トナー像と接触する多孔質弾性体210のニップ部の接触圧を必要以上に大きくさせないようにすることができる。その結果、吸収ローラ208へ感光体12からのトナー像転写が生じにくくなり、ゴーストなどのトナー像乱れを防止することができる。
【0071】
また、吸収ローラ208と感光体12の接触圧は駆動ローラ222の接触部に集中するので、吸収ローラ208を感光体ユニット10に押圧する力が駆動ローラ222と感光体12との面圧力ひいては摩擦力に効率よく変換される。その結果、十分な駆動力を得るために必要な、吸収ローラ208の感光体12への押圧力は、駆動ローラ222がない場合より小さくすることができる。吸収ローラ208全体への負荷は小さくなるので、吸収ローラ208全体の寿命向上の効果を得ることができる。
【0072】
以上のように、感光体の描画領域との接触圧よりも非描画領域との接触圧が高くなるように吸収ローラを押圧することによって、多孔質弾性体と感光体ユニットとの間の相対速度の発生を防ぐことと、感光体ユニットへの多孔質弾性体の押圧力を適正に保つことを両立させることができ、ひいてはゴーストをはじめとするトナー像乱れを防止することができる。
【0073】
(第5の実施の形態)
図9は本実施の形態の吸収ローラ208および感光体ユニット10を示す。本実施の形態において非描画領域感光体ユニット10は、感光体12の両側の端部すなわち非通紙領域16にそれぞれ嵌設された2つの駆動リング224を含む。また、感光体12と接触する吸収ローラ208の多孔質弾性体210は、直径は一様であるが、感光体12よりも長くかつ2つの駆動リング224と同時に接触できる長さに形成されている。
【0074】
駆動リング224は感光体12よりも直径が大きく、かつ感光体12と同心円状に形成され、感光体12と共に回転する。
【0075】
吸収ローラ208は、感光体12および駆動リング224の両方と接触するよう押圧される。感光体12と駆動リング224の直径を異ならせてあるため、吸収ローラ208は、感光体12と接触する部分と駆動リング224と接触する部分とで接触圧および変形量を異ならせることができる。
【0076】
吸収ローラ208と感光体12の接触圧は、駆動リング224の接触部に集中し、トナー像と接触する多孔質弾性体210のニップ部の接触圧を必要以上に大きくさせないようにすることができる。その結果、吸収ローラ208へ感光体12からのトナー像転写が生じにくくなり、ゴーストなどのトナー像乱れを防止することができる。
【0077】
また、吸収ローラ208と感光体12の接触圧は、駆動リング224の接触部に集中するので、吸収ローラ208を感光体ユニット10に押圧する力は、駆動リング224と感光体12との面圧力ひいては摩擦力に効率よく変換される。その結果、十分な駆動力を得るために必要な、吸収ローラ208の感光体ユニット10への押圧力は、駆動リング224がない場合より小さくすることができる。吸収ローラ208全体への負荷は小さくなるので、吸収ローラ208全体の寿命向上の効果を得ることができる。
【0078】
また、トナー像と接触する多孔質弾性体210のニップ部の接触圧を必要以上に大きくさせないようにすることができるため、吸収ローラ208へ感光体12からのトナー像転写が生じにくい。その結果、ゴーストなどのトナー像乱れを防止することができる。
【0079】
以上のように、感光体の描画領域との接触圧よりも非描画領域との接触圧が高くなるように吸収ローラを押圧することによって、多孔質弾性体と感光体ユニットとの間の相対速度の発生を防ぐことと、感光体ユニットへの多孔質弾性体の押圧力を適正に保つことを両立させることができ、ひいてはゴーストをはじめとするトナー像乱れを防止することができる。
【0080】
なお、感光体12に駆動リング224を嵌めるとして説明したが、例えば帯状のものを感光体12に貼り付けてリング状にしてもよい。また、感光体12の端部に浸漬塗工処理によってリングを形成してもよい。
【0081】
(第6の実施の形態)
図10は本実施の形態の吸収ローラ208および感光体ユニット10を示す。本実施の形態において感光体ユニット10は、感光体12と同軸上に、感光体12の両側面とそれぞれ対向する駆動ローラ222を2つ有する。また、感光体12と接触する吸収ローラ208は、多孔質弾性体210と同軸上に、多孔質弾性体210の両側面とそれぞれ対向する従動ローラ214を2つ有する。駆動ローラ222と従動ローラ214は互い接触する。
【0082】
従動ローラ214と駆動ローラ222のそれぞれの半径の和は、感光体12と多孔質弾性体210のそれぞれの半径の和よりも小さく設計される。
【0083】
吸収ローラ208と感光体12の接触圧は、従動ローラ214と駆動ローラ222が互いに接触する位置に集中し、トナー像と接触する多孔質弾性体210のニップ部の接触圧を必要以上に大きくさせないようにすることができる。その結果、吸収ローラ208へ感光体12からのトナー像転写が生じにくくなり、ゴーストなどのトナー像乱れを防止することができる。
【0084】
また、吸収ローラ208と感光体12の接触圧は、従動ローラ214と駆動ローラ222が互いに接触する位置に集中するので、吸収ローラ208を感光体ユニット10に押圧する力は、従動ローラ214と駆動ローラ222との面圧力ひいては摩擦力に効率よく変換される。その結果、十分な駆動力を得るために必要な、吸収ローラ208の感光体ユニット10への押圧力は、従動ローラ214と駆動ローラ222を設けない場合より小さくすることができる。吸収ローラ208全体への負荷は小さくなるので、吸収ローラ208全体の寿命向上の効果を得ることができる。
【0085】
以上のように、感光体の描画領域との接触圧よりも非描画領域との接触圧が高くなるように吸収ローラを押圧することによって、多孔質弾性体と感光体ユニットとの間の相対速度の発生を防ぐことと、感光体ユニットへの多孔質弾性体の押圧力を適正に保つことを両立させることができ、ひいてはゴーストをはじめとするトナー像乱れを防止することができる。
【0086】
(第7の実施の形態)
図11は本実施の形態の吸収ローラ208と感光体ユニット10とクリーニングローラ204とクリーニングブレード206を示す。
【0087】
クリーニングローラ204は、例えば液体キャリアを吸収しない鏡面で絶縁性の表面を有するステンレス製のローラである。吸収ローラ208よりも低い電位で吸収ローラ208に接触し、吸収ローラ208に付着した正帯電しているトナー粒子を電気的に吸着する。
【0088】
クリーニングブレード206は、クリーニングローラ204に接触し、クリーニングブレード206に付着したトナー粒子を機械的に除去する。
【0089】
本実施の形態においては、多孔質弾性体210と接触するクリーニングローラ204が、従動ローラ214とも接触する長さに形成されている。
【0090】
クリーニングローラ204は多孔質弾性体210だけでなく、従動ローラ214からもトナー粒子を除去する。従動ローラ214の表面が清掃されるため、感光体ユニット10と従動ローラ214の接触部の摩擦を保つことができ、両者の相対速度の発生を防ぐことができる。
【0091】
またクリーニングローラ204は、従動ローラ214との摩擦力で従動回転するので、独立した駆動系を設ける必要がなくなる。
【0092】
なお、上記実施の形態ではドラム状の感光体を用いるとして説明したが、例えば表面に感光層を形成したシートを剛体ドラムに固定したものや、弾性を有する環状ベルトの表面に感光体層を形成したものを用いることもできる。
【0093】
また、上記実施の形態では静電潜像の形成にレーザを用いるとして説明したが、例えば画像情報に応じてオンオフ可能なLEDを走査させてもよいし、LEDをアレイ状に並べたものを用いてもよい。
【0094】
また、上記実施の形態では、ローラコア212が穴を有する円筒であるとして説明したが、多孔質の焼結合金製としてもよい。
【0095】
また、上記実施の形態では、非描画領域16を、通常の画像形成動作において露光しない領域として説明したが、全く画像を形成しない領域に限定されるものではなく、この位置に例えばレジストレーション動作において像の位置合わせを行うためのマークを形成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0096】
【図1】第1の実施の形態の画像形成装置の構成図。
【図2】第1の実施の形態の動作についてのフローチャート。
【図3】第1の実施の形態の吸収ローラ機構の構成図。
【図4】第1の実施の形態の吸収ローラの構成図。
【図5】多孔質弾性体の表面の電位と直径方向の変形量に関するゴーストの濃度を主観評価した結果を示すグラフ。
【図6】第2の実施の形態の吸収ローラの構成図。
【図7】第3の実施の形態の吸収ローラの構成図。
【図8】第4の実施の形態の吸収ローラおよび感光体の構成図。
【図9】第5の実施の形態の吸収ローラおよび感光体の構成図。
【図10】第6の実施の形態の吸収ローラおよび感光体の構成図。
【図11】第7の実施の形態の吸収ローラと感光体と吸収ローラクリーニングローラの構成図。
【符号の説明】
【0097】
1・・・画像形成装置
10・・・感光体ユニット
12・・・感光体
60・・・乾燥装置
61・・・吸収ローラ機構
70・・・中間転写体
204・・・クリーニングローラ
206・・・クリーニングブレード
208・・・吸収ローラ
210・・・多孔質弾性体
212・・・ローラコア
214・・・従動ローラ
216・・・多孔質弾性体中央部
218・・・多孔質弾性体端部
220・・・従動リング
222・・・駆動ローラ
224・・・駆動リング
【特許請求の範囲】
【請求項1】
描画領域と非描画領域を有する静電潜像保持体と、
前記静電潜像保持体の前記描画領域に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、
液体キャリアおよびトナー粒子を有する現像液を前記静電潜像保持体へ供給し前記静電潜像を現像しトナー像を形成する現像手段と、
前記静電潜像保持体に形成されたトナー像に押圧され、前記静電潜像保持体に付着している液体キャリアの一部を吸収する吸収ローラと
を備え、
前記吸収ローラは、前記静電潜像保持体の非描画領域との接触圧が、前記静電潜像保持体の描画領域との接触圧よりも高くなるよう押圧されることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記静電潜像保持体の前記非描画領域は、前記静電潜像保持体の端部であることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
(第1の実施の形態@吸収ローラにドライブローラ)
前記吸収ローラは、
前記描画領域と接触する円筒形の多孔質弾性体と、
前記多孔質弾性体の両側の側面に対向して配置され、前記非描画領域と接触して前記静電潜像保持体から駆動力を受ける従動ローラと、
を備えることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項4】
(第1の実施の形態:ドライブローラが硬い)
前記従動ローラは、
前記多孔質弾性体よりも剛性が高いことを特徴とする請求項3記載の画像形成装置。
【請求項5】
(第1の実施の形態:ドライブローラがよく食いつく)
前記従動ローラは、
前記静電潜像保持体に対して前記多孔質弾性体よりも大きな摩擦力を有することを特徴とする請求項3記載の画像形成装置。
【請求項6】
(第1の実施の形態:ドライブローラが小さい)
前記従動ローラは、前記多孔質弾性体よりも小さいことを特徴とする請求項3記載の画像形成装置。
【請求項7】
(第2の実施の形態@スポンジのはしっこが太い)
前記吸収ローラは、
中央部の直径よりも両側の端部の直径が大きい多孔質弾性体を備えることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項8】
(第3の実施の形態@吸収ローラにリング嵌める)
前記吸収ローラは、
円筒形の多孔質弾性体と、
前記多孔質弾性体の両側の端部に設けられるリングと、
を備えることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項9】
(第4の実施の形態@感光体に駆動ローラ)
前記静電潜像保持体は、
静電潜像保持体本体と、
前記静電潜像保持体本体の両側面と対向して配置され、前記吸収ローラへ駆動力を伝達する駆動ローラと、
を備えることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項10】
(第5の実施の形態@感光体に駆動リング)
前記静電潜像保持体は、
静電潜像保持体本体と、
前記静電潜像保持体本体の両側の端部に設けられ、前記吸収ローラへ駆動力を伝達する駆動リングと、
を備えることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項11】
(第6の実施の形態@両方にローラ)
前記吸収ローラは、
円筒形の多孔質弾性体と、
前記多孔質弾性体の両側の側面に対向して配置され、前記非描画領域と接触して前記静電潜像保持体から駆動力を受ける従動ローラと、
を備え、
前記静電潜像保持体は、
静電潜像保持体本体と、
前記静電潜像保持体本体の両側面と対向しかつ前記従動ローラと対向する駆動ローラと、
を備えることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項12】
(第7の実施の形態@従動ローラもクリーニング)
前記多孔質弾性体と前記従動ローラの両方に接触するクリーニングローラを備えることを特徴とする請求項3記載の画像形成装置。
【請求項1】
描画領域と非描画領域を有する静電潜像保持体と、
前記静電潜像保持体の前記描画領域に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、
液体キャリアおよびトナー粒子を有する現像液を前記静電潜像保持体へ供給し前記静電潜像を現像しトナー像を形成する現像手段と、
前記静電潜像保持体に形成されたトナー像に押圧され、前記静電潜像保持体に付着している液体キャリアの一部を吸収する吸収ローラと
を備え、
前記吸収ローラは、前記静電潜像保持体の非描画領域との接触圧が、前記静電潜像保持体の描画領域との接触圧よりも高くなるよう押圧されることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記静電潜像保持体の前記非描画領域は、前記静電潜像保持体の端部であることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
(第1の実施の形態@吸収ローラにドライブローラ)
前記吸収ローラは、
前記描画領域と接触する円筒形の多孔質弾性体と、
前記多孔質弾性体の両側の側面に対向して配置され、前記非描画領域と接触して前記静電潜像保持体から駆動力を受ける従動ローラと、
を備えることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項4】
(第1の実施の形態:ドライブローラが硬い)
前記従動ローラは、
前記多孔質弾性体よりも剛性が高いことを特徴とする請求項3記載の画像形成装置。
【請求項5】
(第1の実施の形態:ドライブローラがよく食いつく)
前記従動ローラは、
前記静電潜像保持体に対して前記多孔質弾性体よりも大きな摩擦力を有することを特徴とする請求項3記載の画像形成装置。
【請求項6】
(第1の実施の形態:ドライブローラが小さい)
前記従動ローラは、前記多孔質弾性体よりも小さいことを特徴とする請求項3記載の画像形成装置。
【請求項7】
(第2の実施の形態@スポンジのはしっこが太い)
前記吸収ローラは、
中央部の直径よりも両側の端部の直径が大きい多孔質弾性体を備えることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項8】
(第3の実施の形態@吸収ローラにリング嵌める)
前記吸収ローラは、
円筒形の多孔質弾性体と、
前記多孔質弾性体の両側の端部に設けられるリングと、
を備えることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項9】
(第4の実施の形態@感光体に駆動ローラ)
前記静電潜像保持体は、
静電潜像保持体本体と、
前記静電潜像保持体本体の両側面と対向して配置され、前記吸収ローラへ駆動力を伝達する駆動ローラと、
を備えることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項10】
(第5の実施の形態@感光体に駆動リング)
前記静電潜像保持体は、
静電潜像保持体本体と、
前記静電潜像保持体本体の両側の端部に設けられ、前記吸収ローラへ駆動力を伝達する駆動リングと、
を備えることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項11】
(第6の実施の形態@両方にローラ)
前記吸収ローラは、
円筒形の多孔質弾性体と、
前記多孔質弾性体の両側の側面に対向して配置され、前記非描画領域と接触して前記静電潜像保持体から駆動力を受ける従動ローラと、
を備え、
前記静電潜像保持体は、
静電潜像保持体本体と、
前記静電潜像保持体本体の両側面と対向しかつ前記従動ローラと対向する駆動ローラと、
を備えることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項12】
(第7の実施の形態@従動ローラもクリーニング)
前記多孔質弾性体と前記従動ローラの両方に接触するクリーニングローラを備えることを特徴とする請求項3記載の画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2006−145592(P2006−145592A)
【公開日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−331618(P2004−331618)
【出願日】平成16年11月16日(2004.11.16)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年11月16日(2004.11.16)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
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