説明

画像形成装置

【課題】 像担持体を有する画像形成装置において、多様な像担持体と多様な駆動手段とを接続するカップリングを、間違うことなく接続することができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】 駆動手段の回転を像担持体に伝達してトナー像を被転写媒体へ転写する画像形成装置において、前記駆動手段100と像担持体1とがカップリング150により接続され、該カップリングが駆動側カップリング120と、像担持体側カップリング130とから構成され、両カップリングが前記駆動手段の回転軸110方向に相対的に移動して接離され、両カップリングのそれぞれが駆動力を伝達又は被伝達するための当接面122a,132aを有し、該当接面と異なる位置に誤装填防止部材として突起128と穴135とを設けた。この構成により像担持体と駆動手段との組合せが正しい場合にのみカップリングが接続可能となり、誤装填を防止することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置における像担持体の回転ムラを防止する技術や、カラー画像形成装置において、特性やサイズなど仕様の異なる複数種類の像担持体と、この像担持体を回転するために各像担持体に対応して用意された複数種類の駆動装置とを間違いなく組み合わせることができる技術に関する。
【背景技術】
【0002】
カラー画像形成装置は、例えば、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各原色ごとの像担持体を有し、各像担持体で各色のトナー画像を形成し、これを中間転写体に重ね、4色の重なったトナー画像を転写紙に転写してカラー画像を形成している。
【0003】
各像担持体は、それぞれが、帯電装置、現像装置、転写装置、クリーニング装置等を備えた画像形成部を構成しており、各色の画像形成部と、中間転写体とが一体になってプロセスカートリッジを構成している。このプロセスカートリッジは、画像形成装置本体から引き出し可能であり、各像担持体ユニットや現像装置などはプロセスカートリッジを引き出した状態でプロセスカートリッジに対して着脱できる構成となっている。
【0004】
各像担持体の駆動は、像担持体ごとに設けられた駆動装置による。駆動装置は、画像形成装置の本体側に固定されており、メインモータから複数の歯車を介して減速された回転を回転軸に伝達する。回転軸は、プロセスカートリッジを画像形成装置に装填したとき、円筒形の像担持体を貫通して、反対側の軸受で支持されるように構成され、回転軸は駆動装置で回転され、その回転をカップリングによって像担持体に伝達する(たとえば、特許文献1)。
【0005】
各像担持体は、機種や色などによってサイズや特性が異なっており、また、駆動モータも、電圧などの仕様が相違するなど、多様な種類がある。そして、特性や仕様が相違するのに拘わらずカップリングの寸法が一致する場合もある。このような場合、像担持体と、駆動モータとの組合せが誤って用いられると、画像不良の原因となるので、このようなことを防止しなければならない。
【0006】
そのための方法として、カップリングの形状をそれぞれの組合せごとに異ならせる方法が考えられる。形状が異なることで、間違った組合せのカップリングは、接続できなくなり、間違いを防止することができる。
【0007】
しかし、カップリングは、金型による成形加工や、機械加工で形成されるが、金型の場合、各形状ごとに別々の金型を用意する必要が生じ、コストアップの原因となる。機械加工の場合も、多様なカップリングに合わせて機械加工する必要があるので、工程管理も複雑になり、さらに、予備部品として保管しておく部品の種類も増えて在庫管理も複雑になる。
【特許文献1】特開2005−62806
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、このような事実から考えられたもので、像担持体を有する画像形成装置において、多様な像担持体と多様な駆動手段との中から正しい組合せの像担持体と駆動手段との場合にだけ接続でき、間違った組合せを防止できるカップリングを備えた画像形成装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記の目的を達成するために本願の請求項1の発明による画像形成装置は、駆動手段の回転を像担持体に伝達してトナー像を被転写媒体へ転写する画像形成装置において、
前記駆動手段と像担持体とがカップリングにより接続され、該カップリングが駆動側カップリングと、像担持体側カップリングとから構成され、両カップリングが前記駆動手段の回転軸方向に相対的に移動して接離され、両カップリングのそれぞれが駆動力を伝達又は被伝達するための当接面を有し、該当接面と異なる位置に誤装填防止部材を有することを特徴としている。
【0010】
本願の請求項2の画像形成装置は、前記誤装填防止部材が、駆動側カップリングと像担持体側カップリングのいずれか一方に形成された突起と、該突起が嵌入するためにいずれか他方に形成された穴とを有することを特徴としている。
【0011】
本願の請求項3の画像形成装置は、前記両カップリングの当接面同士が当接した状態のとき、前記突起と穴とが遊嵌し、接触しない状態を保つことを特徴としている。
【0012】
本願の請求項4の画像形成装置は、前記駆動側カップリングと像担持体側カップリングとが、共に円筒状の本体部と、該本体部の先端面に形成された凸部と凹部とを有し、前記誤装填防止部材が、組合せごとに異なる形状の前記凸部と凹部とから構成され、正しい組合せのときにだけ一方のカップリングの凸部が他方のカップリングの凹部に嵌入できるようにしたことを特徴としている。
【0013】
本願の請求項5の画像形成装置は、前記誤装填防止部材が前記駆動側カップリングと像担持体側カップリングに後加工で形成されたことを特徴としている。
【0014】
本願の請求項6の画像形成装置は、前記駆動側カップリングと像担持体側カップリングの少なくとも一方が金型による成型品であることを特徴としている。
【0015】
本願の請求項7の画像形成装置は、前記駆動側カップリングと像担持体側カップリングの双方に前記当接面が複数あり、複数箇所で当接して動力の伝達がされることを特徴としている。
【0016】
本願の請求項8の画像形成装置は、前記像担持体が複数あり、それぞれのトナー像を被転写媒体へ転写して重ね合わせることを特徴としている。
【0017】
本願の請求項9の画像形成装置は、前記被転写媒体が中間転写体であり、該中間転写体と前記複数の像担持体とがプロセスカートリッジの少なくとも一部を構成し、該プロセスカートリッジが、それぞれの像担持体側カップリングと相手側の駆動側カップリングとの接続を解除することで、画像形成装置から着脱可能であることを特徴としている。
【0018】
〔作用〕
モータなどの回転を、歯車列などを介して像担持体に伝達するとき、モータ等の駆動手段側と像担持体とをカップリングで接続する。駆動側カップリングと像担持体側カップリングとの双方には、相互に当接する当接面があり、これらの接触によって駆動側カップリングの回転が像担持体側カップリングへと伝達され、像担持体が回転することになる。駆動側カップリングと像担持体側カップリングとには、前記当接面と異なる位置にそれぞれ誤装填防止部材を設けている。これによって、像担持体と駆動手段側とが誤った組合せの場合には、カップリングが結合できなくなるので、組合せの間違いを防止することができる。
【0019】
誤装填防止部材としては、一方のカップリングに突起を設け、この突起が入る穴を他方のカップリングに穿設した構成とし、像担持体と駆動手段とが正しい組合せのときに、突起が穴に入ることができるようにする。あるいは、両カップリングを円筒状とし、その先端面に凸部と凹部とを形成して正しい組合せのときだけ、一方のカップリングの凸部が他方カップリングの凹部に相互に嵌入するようにして誤装填を防止する。
【0020】
当接面同士が接触して駆動側のカップリングから被駆動側カップリングに動力が伝達されるとき、前記の穴と突起は接触していないことが回転ムラをなくすために望ましい。
【発明の効果】
【0021】
本発明は、像担持体に駆動手段の回転を伝達する画像形成装置において、像担持体と駆動手段が、正しい組合せの場合にのみ駆動手段側カップリングと像担持体側カップリングとが接続可能になるので、間違った組合せを防止し、画像不良などのトラブルを防止することができる。
【0022】
誤装填防止手段が、カップリングを形成した後から機械加工等による後加工により設けることができるようにすれば、カップリングの種類を減少させることができる。カップリングが金型で成形される場合は、金型の種類を減らすことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下に本発明の実施例を図面によって説明する。
図1は本発明の実施の形態に係るカラー画像形成装置を示す図である。なお、本発明は、本形態の画像形成装置に限られるものではない。図1に示すカラー画像形成装置は、タンデム型カラー画像形成装置と称せられるもので、原稿自動搬送手段30、画像読取装置60、画像書込装置3Y,3M,3C,3K、像担持体1Y,1M,1C,1K、帯電装置2Y,2M,2C,2K、現像装置4Y,4M,4C,4K、定着装置24、ベルト状の中間転写体6、給紙手段21A,21B,21C、搬送系22等を有する。
【0024】
原稿自動搬送手段30は両面又は片面の原稿dを自動搬送する手段である。画像読取装置60は、移動式光学系により画像情報が読み取られる装置で、原稿載置台上から給送される多数枚の原稿dの内容を、3枚の可動ミラー60Cで反射し、集光レンズ60Bにより、CCDからなる撮像素子60Aに結像して読み取る。
【0025】
イエロー色の画像を形成する画像形成部10Yは、像形成体としての像担持体1Yの周囲に配置された帯電装置2Y、画像書込装置3Y、現像装置4Y及びクリーニング装置8Yを有する。マゼンタ色の画像を形成する画像形成部10Mは、像形成体としての像担持体1M、帯電装置2M、画像書込装置3M、現像装置4M及びクリーニング装置8Mを有する。シアン色の画像を形成する画像形成部10Cは、像形成体としての像担持体1C、帯電装置2C、画像書込装置3C、現像装置4C及びクリーニング装置8Cを有する。黒色画像を形成する画像形成部10Kは、像形成体としての像担持体1K、帯電装置2K、画像書込装置3K、現像装置4K及びクリーニング装置8Kを有する。帯電装置2Yと画像書込装置3Y、帯電装置2Mと画像書込装置3M、帯電装置2Cと画像書込装置3C及び帯電装置2Kと画像書込装置3Kとは、潜像形成手段を構成する。
【0026】
被転写媒体としての中間転写体6は、無端状のベルトであり、複数のローラにより張架され、回動可能に支持されている。以上の構成において、画像形成部10Y,10M,10C,10Kと、中間転写体6とがプロセスカートリッジを構成し、画像形成装置本体から引き出し可能な構成となっている。像担持体1Y,1M,1C,1K、とそれぞれに対応する帯電装置2Y,2M,2C,2Kとで像担持体ユニットが構成され、像担持体ユニット及び現像装置4Y,4M,4C,4Kは、プロセスカートリッジを引き出したとき、プロセスカートリッジから着脱自在になっている。
【0027】
撮像素子60A上に結像した画像情報の信号は、図示しない画像処理部に送られる。画像処理部は、アナログ処理、A/D変換、シェーディング補正、画像圧縮処理等を行った後、画像書込装置3Y,3M,3C,3Kに各色ごとの信号を送る。
【0028】
画像書込装置3Y,3M,3C,3Kでは、レーザ光源としての半導体レーザを用い、半導体レーザが出射した光ビームはポリゴンミラーなどの光学要素により走査光ビームに形成されて被走査体としての像担持体1Y,1M,1C,1Kに入射し、各色の静電潜像を形成する。
【0029】
画像形成部10Y,10M,10C,10Kより形成された各色の画像は、回動する中間転写体6上に1次転写装置としての転写装置7Y,7M,7C,7Kにより逐次転写されて(1次転写)、合成されたカラー画像が形成される。給紙カセット20A,20B,20C内に収容された記録紙Pは、給紙手段21A,21B,21Cにより給紙され、搬送系22を経て、レジストローラ23でタイミングを合わせて2次転写装置としての転写装置7Aに搬送され、記録紙P上にカラー画像が転写される(2次転写)。カラー画像が転写された記録紙Pは、定着装置24により定着処理され、排紙ローラ25に挟持されて機外の排紙トレイ26上に載置される。
【0030】
一方、転写装置7Aにより記録紙Pにカラー画像を転写した後、記録紙Pを分離した中間転写体6は、クリーニング装置8Aによりクリーニングされる。
【0031】
5Y,5M,5C,5Kは、現像装置4Y,4M,4C,4Kにそれぞれ新規トナーを補給するトナー補給手段である。
【0032】
図2は、像担持体1(1Y,1M,1C,1Kの任意の1つを示すものとする)の駆動手段から、駆動側カップリングまでを示す斜視図である。図3は、図2の駆動側カップリング周辺部をやや角度を変えて見た分解斜視図である。駆動手段100は、内部に歯車列等が収容され、図示しないメインモータにより回転軸110に減速された回転を伝達する。駆動手段100は、画像形成装置本体に固定されており、回転軸110は、駆動手段100に一端が支持された片持梁となっている。
【0033】
回転軸110には駆動側カップリング120が取り付けられている。実施例に示す駆動側カップリング120は、金型成形により作られたもので金属製である。この駆動側カップリング120は、中空円筒部121の一端側に、軸方向に突出する2つの凸部122,122が向き合うように形成され、これらの凸部122と凸部122との間に2つの凹部123,123が形成されている。一方の凹部123には、誤装填防止部材としての突起128が立設されている。
【0034】
本体部121には、軸方向に延びる長孔124が貫通形成され、回転軸110には、長孔124と重なり合うように貫通孔111が穿設されている。回転軸110に駆動側カップリング120を取り付けるには、まず、回転軸110の先端から駆動側カップリング120を挿入し、長孔124と貫通孔111とを重ねる。次に貫通孔111にピン125を挿通するとピン125の両端は駆動側カップリング120の両側に突出する。ピン125の両端の溝125a,125aが本体部121の外周面とほぼ同じ高さになるようにして、溝125a,125aにEリング126,126を嵌めると、駆動側カップリング120が図2に示すように回転軸110に係止されることになる。
【0035】
回転軸110には、駆動側カップリング120を挿入する前に、コイルスプリング112を入れておき、駆動側カップリング120が像担持体側カップリング130と嵌合したとき、両カップリングの結合を保持するように付勢させる。
【0036】
図4は、駆動側カップリング120と像担持体側カップリング130とからなるカップリング150の嵌合前の状態を示す斜視図である。像担持体側カップリング130は、実施例では金型成形により製造された金属製のものである。この像担持体側カップリング130は、円筒形状をした像担持体1の一端に嵌め込まれて像担持体1と一体になっており、駆動側カップリング120と相補する形状となっている。すなわち、像担持体側カップリング130には、凸部としての2つの凸部132,132と、これらの間にできる2つの凹部133,133とがある。凸部132,132は、駆動側カップリング120の凹部123,123に遊嵌し、凹部133,133には、駆動側カップリング120の凸部122,122が遊嵌する。
【0037】
駆動側カップリング120と像担持体側カップリング130とが接続し、駆動側カップリング120が回転すると、駆動側カップリング120の凸部122の一方が当接面122aとなり、像担持体側カップリング130の凸部132の一方の端面が当接面132aとなって両面が当接して回転が伝達される。凸部122,132が2つずつあるので、当接面122a,132aもそれぞれ2つずつできる。
【0038】
像担持体側カップリング130の当接面132aと異なる位置に、穴135が穿設されている。この穴135は、駆動側カップリング120の突起128が遊嵌できる径で、突起128の長さより若干深いものである。すなわち、これら突起128と穴135とで、誤装填防止部材を構成している。したがって、突起128の位置と穴135の位置は、像担持体1と駆動手段100との組合せが正しい場合にのみ遊嵌できる位置に設けられている。そして、組合せが間違っている場合は、突起128が穴135に進入できないので、カップリング150は結合できないことで、誤装填を防止することができることになる。
【0039】
図5は、駆動側カップリング120の図で、(a)は軸方向から見た正面図、(b)は側面図である。これらの図に示すように、駆動側カップリング120は、円筒形状で2つの凸部122,122と、これらの間に形成された凹部123,123とを有する。図5(a)では、分かり易くするために凸部122,122の頂面をクロスハッチングで示している。そして、凸部122,122の各1端面が当接面122aで、これらの当接面122a,122aは像担持体側カップリング130の2つの凸部132の各1端面132aと当接して回転の伝達が行われる。
【0040】
なお、駆動側カップリング120と像担持体側カップリング130とが接続した状態では、凸部122,132の先端と凹部123,133の底面とは、少なくともいずれか一方で当接している。しかしながら、これらの当接面は回転方向と平行なので駆動力を伝達又は被伝達することができないことから、ここでいう当接面には含まない。
【0041】
また、突起128の高さは、凸部122の高さと同じ、又は若干低いことが好ましい。この突起128の高さが、凸部122より極端に低くなると、穴135が無くても両カップリングは不完全ながらも接続でき、回転を伝達することが可能になるので、間違った組合せを防止できなくなる。一方、突起128の高さが凸部122の高さより高くなると、駆動側カップリング120と像担持体側カップリング130との嵌合が適切に行われない場合が生じ得る。即ち、プロセスカートリッジを画像形成装置本体に収容した時点では、両カップリング120,130が十分に嵌合せず、駆動側カップリング120の駆動開始直後に両カップリング120,130の凸部と凹部、さらに突起128と穴135とが嵌合する場合には、突起128が凸部122よりも高いと、突起128が像担持体側カップリング130の凸部132と衝突し、正しく嵌合されない事態が生じ得るためである。
【0042】
図5(a)に回転軸110を仮想線で示すが、この回転軸110は、駆動側カップリング120に遊嵌しており、全周に渡ってδの隙間がある。この隙間によりカップリング150が接続した状態で接続部に遊びができるようになっている。
【0043】
プロセスカートリッジが画像形成装置本体に収容されている状態では、回転軸110は像担持体1を貫通し回転軸110の先端は画像形成装置本体に設けられた軸受に支持されている。駆動側カップリング120と像担持体側カップリング130とは嵌合した状態となっている。プロセスカートリッジを画像形成装置から引き出すと、各回転軸110が各色の像担持体1Y,1M,1C,1Kから引き抜かれた状態になる。
【0044】
駆動側カップリング120と像担持体側カップリング130とを嵌合させるには、回転軸110の先端を像担持体側カップリング130の中央の孔に挿通する。回転軸110は円筒形の像担持体1を貫通する。駆動側カップリング120の凸部122と像担持体側カップリング130の凸部132とがそれぞれ相手側の凹部133と123に進入し、同時に突起128は穴135に進入して両カップリングは接続する。カップリング150が嵌合したら、プロセスカートリッジを押し込んで画像形成装置の所定の位置に収容する。これによって、像担持体1の反対側から突出した回転軸110の先端を、フレームに設けられた軸受(図示せず)に嵌合して軸支される。コイルスプリング112の付勢力により駆動側カップリング120は長孔124に沿って軸方向に進退し、カップリング150は嵌合状態を保持することができる。
【0045】
なお、コイルスプリング112に代えてソレノイドなどの切り替え手段を設けて、カップリング150の接離を行うこともできる。
【0046】
駆動側カップリング120が像担持体側カップリング130と接続し、駆動側カップリング120がわずかに回転すると、まず、一方の当接面122aとこれに対向する当接面132aとが当接する。このとき他方の当接面122aとこれに対向する当接面132aとは接触しているとは限らない。これは、加工精度のばらつきなどの部品公差の積み上げで生じた誤差の影響を受けるためである。
【0047】
このような1点当たりの問題とその解決方法については、本願の発明者の先願である前記特許文献1に記載されているが、その概要は以下の通りである。
【0048】
他方の当接面が当接していない場合、カップリング150の接続部に遊びがないと、駆動側カップリング120は1点当たりとなる。像担持体1はクリーニングブレードや自重などによって、回転中心は回転軸110やカップリング150の回転中心とは異なっている。カップリング150の接続部のガタが小さいと、1点当たりとなり、像担持体1の回転中心から回転中心が移動することが起こり、回転ムラが悪化する。
【0049】
これに対し、本発明の実施例では、回転軸110と駆動側カップリング120とに前述したように全周に渡ってδの隙間を設けている。また、凸部122と凹部133との嵌合と、凸部132と凹部123との嵌合の双方が隙間のできるような遊嵌となっている。したがって、コイルスプリング112の付勢力と回転力とによって、駆動側カップリング120は一方の当接面が接触した後も動くことができ、反対側の当接面122aと当接面133aも当接することができる。これによって、複数箇所での当接が確保され、1点当たりを防止することができる。
【0050】
従来のカラー画像形成装置では、像担持体1が中間転写体6等の被転写媒体と密着してトナー画像の転写を行っている際に、従来のカップリングでは遊びがないので、像担持体に回転ムラが発生し易くなり、転写中の像担持体1と中間転写体6との間にズレが生じ、画像不良の原因となっていた。これに対し、本発明のカップリング150では、複数点での当接が確保できるので、像担持体1と中間転写体6との表面速度が高度に一致して画像ズレを小さくすることができる。
【0051】
上記実施例において、穴135の深さは突起128の長さより大きく、穴135の径は突起128の径より大きく、突起128は穴135に遊嵌している。そして、当接面122a,132aが当接して回転力が伝達されている状態のとき、突起128と穴135とは接触しない状態が保てるようにしている。これは、もし、突起128と穴135とが接触すると、当接面122a,132aでの当接ができなくなる場合が生じ、1点当たりになるからである。
【0052】
駆動側カップリング120と像担持体側カップリング130とは、切削加工で成形してもよいが、金型成形とした方がコストダウンを図ることができるので望ましい。その場合、突起128と穴135は、駆動側カップリング120と像担持体側カップリング130が形成された後、機械加工などで形成するとよい。
【0053】
カップリング150の突起128と穴135の位置を少し変えることで、異なる組合せを多様に作ることができるが、カップリングの形成時に同時に形成するようにした場合は、多数種類の金型を作成しなければならないのに対し、後加工であれば、同じ形状のカップリングを形成し、その後、穴加工や突起の立設加工を行えばよく、金型の種類を減少させることができるからである。
【0054】
図6は、本発明の第2実施例である。大部分が第1の実施例と共通するので、相違点を中心に説明する。駆動側カップリング220の、2つの凸部222,222’は大きさ(実施例では円周に沿った長さ)が相違し、これらの間にできる2つの凹部223,223’も同様に相違している。他方、像担持体側カップリング230の2つの凸部232,232’も大きさが相違し、これらの間にできる2つの凹部233,233’も相違している。凸部232,232’は、駆動側カップリング220の凹部223,223’に遊嵌し、凹部233,233’には、駆動側カップリング220の凸部222,222’が遊嵌する。このように、2つの凸部及び2つの凹部の大きさの比率を変更することで、多様な組合せを得ることができる。これら大きさの異なる2つの凸部と凹部とによって誤装填防止部材を構成している。
【0055】
図6の構成において、たとえば、駆動側カップリング220の凸部222,222’を、金型で成形するときは、成型時は同じ大きさの凸部になるようにしておき、成形後の後加工で、図のAの部分を切除すればよい。さらにBの部分も切除すると、第1の実施例と同じものになる。AやBの部分の円周に沿った長さを変化させることで、複数種類の組合せにすることができる。
【0056】
本発明のカップリング150,250は、像担持体としての中間転写体6の駆動部分に使用することも可能であり、その場合の被転写媒体は、記録紙となる。また、誤装填防止部材の構成として、突起128と穴135の例と、大きさの異なる凸部222,222’と凹部233,233’の例を示したが、これらの形態に限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の実施の形態に係るカラー画像形成装置を示す図である。
【図2】像担持体の駆動手段から、駆動側カップリングまでを示す斜視図である。
【図3】駆動側カップリングの分解斜視図である。
【図4】駆動側カップリングと像担持体側カップリングとからなるカップリングの嵌合前の状態を示す斜視図である。
【図5】駆動側カップリングの図で、(a)は軸方向から見た正面図、(b)は側面図である。
【図6】本発明の第2実施例を示す駆動側カップリングと像担持体側カップリングの斜視図である。
【符号の説明】
【0058】
1 像担持体
6 中間転写体(被転写媒体)
100 駆動手段
110 回転軸
120,220 駆動側カップリング
121 中空円筒部
122,222,222’ 凸部
122a,222a 当接面
123,223,223’ 凹部
130,230 像担持体側カップリング
132,232,232’ 凸部
132a,232a 当接面
133,233,233’ 凹部
150,250 カップリング

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動手段の回転を像担持体に伝達してトナー像を被転写媒体へ転写する画像形成装置において、
前記駆動手段と像担持体とがカップリングにより接続され、該カップリングが駆動側カップリングと、像担持体側カップリングとから構成され、両カップリングが前記駆動手段の回転軸方向に相対的に移動して接離され、両カップリングのそれぞれが駆動力を伝達又は被伝達するための当接面を有し、該当接面と異なる位置に誤装填防止部材を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記誤装填防止部材が、駆動側カップリングと像担持体側カップリングのいずれか一方に形成された突起と、該突起が嵌入するためにいずれか他方に形成された穴とを有することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記両カップリングの当接面同士が当接した状態のとき、前記突起と穴とが遊嵌し、接触しない状態を保つことを特徴とする請求項2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記駆動側カップリングと像担持体側カップリングとが、共に円筒状の本体部と、該本体部の先端面に形成された凸部と凹部とを有し、前記誤装填防止部材が、組合せごとに異なる形状の前記凸部と凹部とから構成され、正しい組合せのときにだけ一方のカップリングの凸部が他方のカップリングの凹部に嵌入できるようにしたことを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記誤装填防止部材が前記駆動側カップリングと像担持体側カップリングに後加工で形成されたことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記駆動側カップリングと像担持体側カップリングの少なくとも一方が金型による成型品であることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記駆動側カップリングと像担持体側カップリングの双方に前記当接面が複数あり、複数箇所で当接して動力の伝達がされることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記像担持体が複数あり、それぞれのトナー像を被転写媒体へ転写して重ね合わせることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記被転写媒体が中間転写体であり、該中間転写体と前記複数の像担持体とがプロセスカートリッジの少なくとも一部を構成し、該プロセスカートリッジが、それぞれの像担持体側カップリングと相手側の駆動側カップリングとの接続を解除することで、画像形成装置から着脱可能であることを特徴とする請求項8記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−317827(P2006−317827A)
【公開日】平成18年11月24日(2006.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−142234(P2005−142234)
【出願日】平成17年5月16日(2005.5.16)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】