説明

画像形成装置

【課題】容易な構成で電位差のほとんどない均一な帯電特性が得られ非常に安定した高画質画像を達成する画像形成装置とする。
【解決手段】帯電器1に、コロナワイヤ2の長手方向一端部に当接して感光体ドラム8に対するコロナワイヤ2の位置を規制する規制手段11と、規制手段11を感光体ドラム8方向に移動可能な調整手段であるピン10とを設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式を用いた複写機、プリンタ及びファクシミリ装置等の画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の画像形成装置では、画像形成部である感光体上に均一な給電を行うことは重要な課題であり、感光体と帯電器内の帯電手段であるコロナワイヤとの距離を規制する技術が多く提案されている。
【0003】
例えば、帯電器の両端にコロを具備して感光体表面に押圧して距離を一定にし、その押圧部材が給電端子を兼ねている(特許文献1、特許文献2)。
【特許文献1】特開平1−232367号公報
【特許文献2】特開昭58−159563号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、画像形成装置の印字速度が速くなるにつれて、一般的に感光体の帯電能力が低下し、感光体軸方向の感光体自身に起因する帯電電位差も大きくなり、帯電手段であるとコロナワイヤと感光体との距離が感光体軸方向に一定であっても帯電ムラが生じて満足な画像が得られにくくなる。対策として供給電圧をあげて対応するのであるが、特にアモルファスシリコン感光体等のような低帯電システムで使用する場合は特に帯電電位差が吸収できないケースが発生する。また、感光体が長寿命化してくると、帯電器のみ交換する作業が発生してくるが、帯電器の交換毎に帯電電位差を補正し、帯電特性を維持する必要があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、静電潜像担持体と、該静電潜像担持体と対向して設けられ前記静電潜像担持体を帯電させる帯電手段とを一体化したユニットと、該帯電手段に電圧を印加する電源とを具備した画像形成装置であって、該帯電手段は前記ユニットから着脱自在に構成された画像形成装置において、前記着脱自在な帯電手段の長手方向一端部に設けられた弾性部材で形成されたワイヤ端子に当接して前記静電潜像担持体に対する前記帯電手段の位置を規制すると共に前記電源から帯電手段に電圧を供給する回路の一部を形成する規制手段と、該規制手段を前記静電潜像担持体方向に移動可能な調整手段とを前記ユニット側に具備してなることを特徴とする画像形成装置としたものである。
【発明の効果】
【0006】
このような構成により、帯電手段と感光体との距離が感光体軸方向に一定であるのに帯電ムラが生じているような場合でも、調整手段により帯電手段の一端側のみの位置を可変するために略均一な帯電に調整することができるようになる。すなわち、図4に示すように帯電ムラが発生している場合でも、端部近傍の帯電手段の位置を可変することで略均一に調整することができるようになる。
【0007】
また、前記規制手段は前記電源から帯電手段に電圧を供給する回路の一部を形成することが有効であり、帯電器の部品点数を削減させるようになる。
【0008】
さらに、前記帯電手段を画像形成装置からに着脱可能とすることが有効であり、調整手段の調整を画像形成装置外で行うことができ、かつ帯電手段(帯電器全体も含む)を交換する際でも容易に帯電特性を維持できるようにすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の実施例を図面を用いて説明する。
図1は、本発明の帯電器を示す図であり、1つのユニットとなった帯電器1にコロナワイヤ3とグリット2が配設されている一般的な帯電器である。図2は、帯電器1を画像形成装置本体4から抜き出す状態を示す図であり、帯電器1が画像形成装置本体4の前カバー5を開けて矢印方向に引き出している。感光体ドラムは帯電器1の2頭上右下に配設されるが、帯電器1が図2に示すように画像形成装置4から感光体ドラムの軸線方向に装脱着できるようにしている。
【0010】
図3は、本発明の画像形成装置内に帯電器1を装着している状態で、画像形成装置4のカバー5と反対側面位置近傍の一部拡大図である。帯電器1は、コロナワイヤ3と接続しているワイヤ端子6、レール受け7、ワイヤ端子6の位置を規制する規制部材11、規制部材11を押圧するピン10、ピン10に装着されるスプリング12とを具備している。
【0011】
弾性部材であるワイヤ端子6が給電部材である規制部材11と嵌合し、レール受け7は外装部9のレール部に乗せられて帯電器1の着脱動作をさせるように構成されている。なお、外装部9は、感光体ドラム8と帯電器1が一体となすユニットならばそのユニットの外装部であり、別体構成ならば画像形成装置本体の部材である。
【0012】
規制部材11は、帯電器1に給電するために導電材料を使用し、ネジ部とネジ部の外形より大きい外形を持つ円形ピン部で構成されるピン10のネジ部に貫通した状態で取り付け、ピン10は外装部9のタップ部に取り付け、規制部材11はスプリング12の力によりピン10のピン部に付勢され位置を維持する。ピン10のピン部は外装部9の一部により回転できる範囲で固定され傾斜するのを規制している。
【0013】
規制部材11の一部で外装部9を利用して回り止めの突起部をコネクタとし、電源13に接続された画像形成装置側のコネクタを対向する位置に設けることにより、帯電器1を画像形成装置に装着することにより自動的に電源が供給されるようにすることができる。このように、帯電器1のコネクタが装着時に画像形成装置の電源に接続されているコネクタと接続することにより、帯電器1を画像形成装置に装着することにより自動的に電源が供給されるようにすることができる。
【0014】
そして、帯電器1の一方端側で感光体ドラム8かその周辺部材で感光体ドラム8との所定距離を維持するための固定された当接手段を有し、かつコロナワイヤ2の位置も変えられないようにし、他方端側ではピン10の頭をドライバー等で回転させることで規制部材11が感光体ドラム8側に対し距離を可変した位置に固定可能としている。なお、固定された規制部材11の位置に対し帯電器1は着脱可能であるし、交換されたとしても感光体ドラム8との距離は維持され初期設定された帯電特性は守られることになる。
【0015】
このように、生産工場出荷前にコロナワイヤ2の位置を精度よく組み立てられた帯電器1を使用し、製造上発生する感光体ドラム8の軸方向帯電特性差に対し、帯電器1の一方端のみに形成された規制部材11を感光体ドラム8に対し上下に調整することによって、軸方向の帯電電位差を無くして、均一な帯電特性を得ることができ、非常に安定した高画質を得ることができる。また、市場で帯電器1の寿命交換においても、感光体ドラム8の帯電特性に合致した位置へ着脱交換が達成できる。
【0016】
なお、本実施例では、帯電手段としてコロナワイヤ2を用いた場合について説明したが、例えば、図5(a)に示すように、帯電手段として帯電ローラ14を用いた場合、図5(b)に示すように、帯電手段として帯電ブレード15を用いた場合、あるいは帯電手段として帯電ブラシを用いた場合であっても、規制手段11を導電性部材の軸受とし、帯電手段の一方端の軸(図5(a)の場合は帯電ローラ軸、図5(b)は帯電ブレード固定軸)を規制手段11に回転可能な状態で軸着させれば、同様の効果を得ることができる。例えば、図5(a)に示した帯電ローラの場合、感光体ドラム8の製造上で発生する電位差を帯電ローラのニップ幅を変化させて帯電幅とゴム抵抗値(軸からの距離)差にて微小な電位を調整することができるようになる。
【0017】
また、帯電手段あるいは帯電手段を含んだ帯電器を画像形成装置から着脱可能とした場合に、画像形成装置4内に感光体ドラム8を残したままカバー5側から感光体ドラム8の軸線方向から帯電器を脱着してもよく、画像形成装置4のカバー5側から感光体ドラム8と一緒に帯電器を抜き出した後に、図5(a)に示すように、感光体ドラム8から離れる方向に脱着してもよく、あるいは画像形成装置4の上カバーを開放して帯電器を脱着可能となるようにしてもよい。また、本実施例では、帯電器全体が脱着可能な場合について説明したが、帯電手段のみが脱着可能な場合であってもよい。そして、例えば、感光体ドラム8から離れる方向に脱着する場合には、脱着可能なハウジングの受部をU型とし、ハウジングの装着部を俵型や小判型とすることにより、脱着部材が上下に移動するが左右には移動できないように規制することができる。
【0018】
また、本実施例では、帯電器1のコネクタと画像形成装置の電源に接続されているコネクタとが接続する場合について説明したが、帯電器1のピンが画像形成装置の電源に接続されている凹部に挿入されることにより接続されるような構成であってもよい。また、規制手段を静電潜像担持体方向に移動可能な調整手段は、帯電手段を感光体ドラムの接離方向に移動するようにできればどのような構成であってもよい。
【0019】
以上説明したように、本発明の画像形成装置によれば、感光体軸方向の帯電電位差の要因として帯電器以外の要素を1端部に設けられた調整手段により合せ込みが可能であり、1点1点の部品精度と部品構成にコストを掛けることなく、帯電器自身の精度を確保することで、電位差のほとんどない均一な帯電特性が得られ非常に安定した高画質画像を達成することができる。また、近年環境保護のため廃棄物を無くす技術が求められ、画像形成部を一体廃棄するシステムから画像形成部の各プロセスを長寿命化して非廃棄システムに移行してきているが、清掃等の使用者操作ミス、粉塵等特別な環境使用等の要因で画像異常原因となりやすい帯電器を交換する場合には、画像形成部を交換せずに帯電器を交換することで、調整することなく初期の高精度の帯電特性を確保・維持できる。さらに、それを達成する調整支持手段において帯電器の位置規制を行う規制部材を高圧電源供給端子と兼用することで、部品の削減を図りながら簡単な構成で上述した効果を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の帯電器を示す図である。
【図2】本発明の画像形成装置を示す図である。
【図3】本発明の帯電器周辺の画像形成装置の一部拡大図である。
【図4】本発明の実施前後を示す図である。
【図5】本発明の他の実施例を示す図である。
【符号の説明】
【0021】
1:帯電器
2:コロナワイヤ
3:グリッド板
4:画像形成装置
8:感光体ドラム
10:ピン
11:規制手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
静電潜像担持体と、該静電潜像担持体と対向して設けられ前記静電潜像担持体を帯電させる帯電手段とを一体化したユニットと、該帯電手段に電圧を印加する電源とを具備した画像形成装置であって、該帯電手段は前記ユニットから着脱自在に構成された画像形成装置において、
前記着脱自在な帯電手段の長手方向一端部に設けられた弾性部材で形成されたワイヤ端子に当接して前記静電潜像担持体に対する前記帯電手段の位置を規制すると共に前記電源から帯電手段に電圧を供給する回路の一部を形成する規制手段と、該規制手段を前記静電潜像担持体方向に移動可能な調整手段とを前記ユニット側に具備してなることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−330769(P2006−330769A)
【公開日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−251392(P2006−251392)
【出願日】平成18年9月15日(2006.9.15)
【分割の表示】特願2000−192739(P2000−192739)の分割
【原出願日】平成12年6月27日(2000.6.27)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】