説明

画像形成装置

【課題】 エミュレーション選択時の履歴を残すことにより、選択時の誤りの原因を解析することが可能な画像形成装置を提供する。
【解決手段】 複数のエミュレーション機能と、ホスト装置から受信した印刷データを解析して最適なエミュレーションを選択するエミュレーション選択機能と、起動されたエミュレーションの情報を履歴として保存する履歴情報保存手段とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタ、複合機等のプリンタエミュレーションを行う画像形成装置に関し、特に画像形成装置におけるエミュレーション選択に関する。
【背景技術】
【0002】
従来では、パーソナルコンピュータなどのホスト装置によって印刷データの形式は異なり、複数のエミュレーションが動作可能である画像形成装置の場合、印刷データに最適なエミュレーションをユーザー自身が選択して印刷を行う必要があった。最近では、画像形成装置がホスト装置から受信した印刷データを解析し、最適なエミュレーションを自動的に選択するようになっている(特許文献1の従来技術ほか参照)。画像形成装置が最適なエミュレーションを自動選択することにより、ユーザーがエミュレーションを選択する必要がなく、また間違ったエミュレーションを選択することを回避することが可能となった。
【特許文献1】特開2000−29649公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、自動選択が行われることにより、ユーザーが意図するエミュレーションとは異なるエミュレーションで印刷されてしまうという問題がある。また、自動的にエミュレーションが選択されてしまうため、いつエミュレーションが選択されたのか、またどのようなデータを基にエミュレーションが選択されたのかが不明であるという問題もある。
本発明は、上述した実情を考慮してなされたものであって、エミュレーション選択時の履歴を残すことにより、選択時の誤りの原因を解析することが可能な画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、複数のエミュレーション機能と、ホスト装置から受信した印刷データを解析して最適なエミュレーションを選択するエミュレーション選択機能を有する画像形成装置において、起動されたエミュレーションの情報を履歴として保存する履歴情報保存手段を備えたことを特徴とする。
また、請求項2は、請求項1記載の画像形成装置において、前記履歴情報保存手段は、起動されたエミュレーションの情報として、エミュレーションの種類および起動時刻を保存することを特徴とする。
また、請求項3は、請求項1または2記載の画像形成装置において、前記履歴情報保存手段が保存した履歴情報を印刷若しくは表示手段に表示する履歴情報表示手段を設けたことを特徴とする。
また、請求項4は、前記履歴情報保存手段は、起動されたエミュレーションの情報として、エミュレーション選択機能により起動されたエミュレーションとそれ以外の方法で起動されたエミュレーションとを区別するための起動区分データも併せて保存することを特徴とする。
また、請求項5は、請求項4記載の画像形成装置において、前記履歴情報保存手段が保存した履歴情報を印刷若しくは表示手段に表示する履歴情報表示手段を設けたことを特徴とする。
また、請求項6は、請求項5記載の画像形成装置において、前記履歴情報表示手段は、表示の際、前記区分データを言葉に置き換えて表示することを特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、起動されたエミュレーションの履歴を調べることにより、どのようなエミュレーションが起動されたのかを解析することが可能になる。
また、エミュレーションの履歴に自動選択の区別を付けることにより、ユーザー自身が行った選択を解析対照から除外することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。
図1は、本発明にかかる画像形成装置のコントローラを示すブロック図である。
コントローラ100は、画像形成装置の一部を構成し、CPU101と、プログラムROM104、フォントROM105、RAM106、NVRAM103、ICカード102などの各種記憶手段と、エンジンインターフェース107、パネルインターフェース109、ホストインターフェース111、ディスクインターフェース113などの各種インターフェース等から構成されている。
CPU101は、プログラムROM104に格納されているプログラムを実行することにより、パネル装置110からの各種指示、画像形成装置の上位装置であるホスト装置112からのコマンド等に対応してコントローラ100全体を制御する。RAM106は、CPU101のワークメモリ、入力データのインプットバッファー、プリントデータのページバッファ、ダウンロードフォント用のメモリ等に使用する書き換え可能なメモリである。フォントROM105は、フォントのパターンデータなどを記憶するもので、ICカード102は、フォントデータや、プログラムを外部から供給するためのものである。NVRAM103は、パネル装置110からのモード指示等の内容などを記憶しておく不揮発性メモリである。
エンジンインターフェース107は、実際に印字を行なうプリントエンジン108とコマンドやステータス、印字データの通信を行なうためのインターフェースを提供するもので、パネルインターフェース109は、パネル装置110とコマンドやステータスの通信を行なうためのものである。パネル装置110は、ユーザーに現在のプリンタの状態を知らせたり、ユーザーがモード指示を行ったりする表示部および入力部を持った装置である。
ホストインターフェース111は、ホスト装置112と通信を行なうためのインターフェースであり、パラレルインターフェースやRS232C(シリアル)でもよいが、IEEE802.3やIEEE802.11などのLANインターフェースでもよい。
ディスクインターフェース113は、ディスク装置114と通信を行なうためのインターフェースである。ディスク装置114は、フォントデータや、プログラム、印字データなどの様々なデータを記憶しておく装置で、フロッピディスク装置やハードディスク装置などで構成する。
【0007】
次に、上記のように構成したコントローラ100の動作を説明する。図2は、コントローラ100がエミュレーション履歴を保存する際の処理の流れを示すフロー図である。
ホストインターフェース111を介して入力された印刷ジョブは、プログラムROM104中のコントローラプログラムによって、どのエミュレーションプログラムを用いて印刷するかが決定される。コントローラプログラムは、更に、エミュレーション起動する前に、RAM106に起動されたエミュレーションの履歴を保存する(ステップ1)。更に履歴を保存する際、エミュレーションが起動される時刻についても履歴に保存する(ステップ2)。そして、起動されたエミュレータによって、印刷データが処理される(ステップ3)。
図3は、RAM106に保存されるエミュレーションの履歴情報の例を示す図である。日時の欄は図では年月日であるが、時分秒のデータも含めるとよい。
以上のようにして保存、蓄積された履歴は、パネル装置110あるいはホスト装置112からの指示に従ってプリントエンジン108から印刷出力、あるいはパネル装置110の図示しないディスプレイ装置に表示することができる。
図4は、パネル装置110での履歴情報の表示例を示す図である。同図では、エミュレーション起動時刻の表示がないが、ディスプレイの大きさが許せば時刻も表示することが望ましい。
【0008】
図5は、起動方法も含めた履歴情報の保存処理を説明する図である。ホストインターフェース111を介して印刷ジョブが入力されると、コントローラプログラムは、エミュレーション起動時、エミュレーション自動選択機能により起動されたエミュレーションであるか、パネル装置110やコマンドにより起動されたエミュレーションかを判断する(ステップ11)。エミュレーションがエミュレーション自動選択機能により起動された場合は(ステップ11がY)、RAM106に起動されたエミュレーションの履歴を保存する際、エミュレーション自動選択機能により起動されたことを示す識別子についても保存する(ステップ12)。エミュレーションがパネル装置110やコマンドにより起動された場合は(ステップ11がN)、RAM106に起動されたエミュレーションの履歴を保存する際、パネル装置110やコマンドにより起動されたことを示す識別子についても保存する(ステップ14)。その後、エミュレーションを起動する(ステップ13)。なお、識別子の保存時(ステップ12およびステップ14)には、エミュレーションが起動された時刻も共に保存する。
【0009】
図6は、RAM106に保存されるエミュレーションの履歴情報の例を示す図である。エミュレーションがエミュレーション自動選択機能により起動された場合は、エミュレーション選択欄に“1”を保存し、パネル装置110やコマンドにより起動された場合は、エミュレーション選択欄に“0”を保存する。
以上のようにして保存、蓄積された履歴は、パネル装置110あるいはホスト装置112からの指示に従ってプリントエンジン108から印刷出力、あるいはパネル装置110の図示しないディスプレイ装置に表示することができる。
図7は、パネル装置110での履歴情報の表示例を示す図である。RAM106のエミュレーション選択欄に“1”が保存されている場合、エミュレーション名の横には、“1”の代わりに“(ジドウ)”と表示する。印刷出力の場合も同様に、“1”の代わりに“自動選択”と印字する。なお、同図では、エミュレーション起動時刻の表示がないが、ディスプレイの大きさが許せば時刻も表示することが望ましい。また、印刷出力時においても、同様に時刻も表示することが望ましい。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明にかかる画像形成装置のコントローラを示すブロック図である。
【図2】エミュレーション履歴を保存する際の処理の流れを示すフロー図である。
【図3】保存されるエミュレーションの履歴情報の例を示す図である。
【図4】パネル装置での履歴情報の表示例を示す図である。
【図5】起動方法も含めた履歴情報の保存処理を説明する図である。
【図6】保存されるエミュレーションの履歴情報の例を示す図である。
【図7】パネル装置での履歴情報の表示例を示す図である。
【符号の説明】
【0011】
100…コントローラ、101…CPU、102…ICカード、103…NVRAM、104…プログラムROM、105…フォントROM、106…RAM、107…エンジンインターフェース、108…プリントエンジン、109…パネルインターフェース、110…パネル装置、111…ホストインターフェース、112…ホスト装置、113…ディスクインターフェース、114…ディスク装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のエミュレーション機能と、ホスト装置から受信した印刷データを解析して最適なエミュレーションを選択するエミュレーション選択機能を有する画像形成装置において、起動されたエミュレーションの情報を履歴として保存する履歴情報保存手段を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記履歴情報保存手段は、起動されたエミュレーションの情報として、エミュレーションの種類および起動時刻を保存することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
請求項1または2記載の画像形成装置において、前記履歴情報保存手段が保存した履歴情報を印刷若しくは表示手段に表示する履歴情報表示手段を設けたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
前記履歴情報保存手段は、起動されたエミュレーションの情報として、エミュレーション選択機能により起動されたエミュレーションとそれ以外の方法で起動されたエミュレーションとを区別するための起動区分データも併せて保存することを特徴とする請求項1または2記載の画像形成装置。
【請求項5】
請求項4記載の画像形成装置において、前記履歴情報保存手段が保存した履歴情報を印刷若しくは表示手段に表示する履歴情報表示手段を設けたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
前記履歴情報表示手段は、表示の際、前記区分データを言葉に置き換えて表示することを特徴とする請求項5記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−35534(P2006−35534A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−216642(P2004−216642)
【出願日】平成16年7月23日(2004.7.23)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】