説明

画像形成装置

【課題】 長尺の記録媒体150を両面印刷すること。
【解決手段】 搬送路Aは、マルチパーパストレイMPT01から供給される記録媒体150を受け入れて、画像形成部7の内部を搬送し、退避路Bは、装置内部に設けられ、画像形成部7を通過した記録媒体150を一旦退避させ、反転路Cは、退避路Bに退避した記録媒体150を搬送路Aへ折り返し送出し、記録面を反転させ、媒体搬送壁駆動部62は媒体搬送壁61を開放し、退避路Bの長さを越える記録媒体150を装置外部へ突出可能とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタ装置や複写機等の画像形成装置に関し、特に両面記録が可能な画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
記録媒体の両面に画像を形成する画像形成装置に於いて、記録媒体の画像形成面を反転させるために、記録媒体反転部を備える画像形成装置が公開されている(例えば特許文献1参照)。この画像形成装置では、記録媒体反転部が、装置本体の所定の位置(例えば、装置本体の前方、後方、等々・・)に配設される。従って、この記録媒体反転部を装置本体に配設するためのスペースが必要になって来る。その結果、装置の大型化を回避することは困難であった。大型化回避の一形態として、記録媒体を反転させるために、記録媒体の退避路、及び、反転した記録媒体を再び給紙路へ導く反転用搬送路を画像形成用の搬送路の下部に設けた画像形成装置も出現している。しかしながら、この画像形成装置では、両面に画像を形成するための記録媒体の長さが、上記画像形成用の搬送路の長さ(退避路の長さにほぼ等しい)によって制限されるという不都合が発生していた。
【特許文献1】特開平6−312549号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
解決しようとする問題点は、上記退避路、及び、反転用搬送路を画像形成用の搬送路の下部に設けた画像形成装置では、両面に画像を形成するための記録媒体の長さが、上記画像形成用の搬送路の長さによって制限されると言う点である。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明では、画像形成用の搬送路を通過した記録媒体を一旦退避させる退避路を装置内部に設け、該退避路中を移動する記録媒体の媒体長が搬送路長を越えると、その搬送路長を越える媒体長部分が退避路途中に設けられた開口部から装置外部へ突出されることによって、搬送路長を越える長さの記録媒体への両面記録を可能にすることを最も主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
搬送路長を越える媒体長部分が開口部から装置外部へ突出されるので、従来の装置サイズでは不可能であった長尺記録媒体の両面記録が可能になる。更に、開口部から突出した記録媒体を支持するスタッカを備えることによって、長尺記録媒体の接地を回避し、記録媒体の表面汚れを回避することが可能になるという効果を得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
上記従来の、退避路、及び、反転路を画像形成用の搬送路の下部に設け、更に、所定長以上の長尺記録媒体の両面印刷時のみ開口部を開き、同時に、装置外部へ突出される記録媒体を支持するスタッカを開放することとし、長尺記録媒体の長さ制限を緩和すると共に装置の大型化を回避した。
【実施例1】
【0007】
図1は、実施例1による画像形成装置の側面断面図(その1)である。
この図は、装置内主要部の側面断面図である。この図を用いて本実施例における画像形成装置の機械的構成の概略について説明する。
【0008】
図において、2は、給紙カセットであり、定型の記録媒体100を収納し、画像形成装置1の下部に着脱可能に装着される。その着脱方向は図中矢印(⇔)で示される。給紙カセット2に収納されている記録媒体100の上方には、記録媒体100を一枚ずつ分離して繰り出す給紙ローラ4が回転可能に配設されている。5は、搬送ローラであり、記録媒体を搬送するローラ対である。6も同様に搬送ローラであり、記録媒体を搬送するローラ対である。
【0009】
MPT01は、給紙カセット2とは、別の給紙方法を実行するためのマルチパーパストレイであり搬送ローラ5の下流に、画像形成装置1の側面に着脱可能に装着される。このマルチパーパストレイMPT01から、長尺の記録媒体150が供給され、記録媒体150の上方には、記録媒体150を繰り出すMPT給紙ローラ3が回転可能に配設されている。
【0010】
7は、画像形成部であり、その内部には、ブラックユニット7K、イエローユニット7Y、マゼンタユニット7M、シアンユニット7Cの各色彩ユニットが装着されている。7K、7Y、7M、7C、各ユニットは、それぞれ各色彩毎に、トナーカートリッジ、記録ヘッド、感光ドラム、現像器等を有している。これらのユニットによって、搬送路Aを搬送されてくる記録媒体100又は記録媒体150上にそれぞれ、ブラック(K)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の各色彩のトナー像が形成される。搬送ベルト8は、駆動ローラ14によって周回駆動され、搬送路Aを形成するベルトである。
【0011】
15は、定着器であり、記録媒体上に転写されたトナー像を加熱溶融して記録媒体100又は記録媒体150上に定着させる。その内部には、加熱ローラ20と、圧接ローラ21が含まれている。定着器15の下流には、排出路Dと、退避路Bとの分岐点に、両面/排出セパレータSP01が配設されている。この両面/排出セパレータSP01は、所定の回転支軸を支点にし、所定の角度回転し、記録媒体100又は記録媒体150の搬送方向を退避路B、又は、排出路Dへと切替える。25は、排出路Dを通って流れてくる印刷完了した記録媒体100又は記録媒体150を蓄積する排出スタッカである。
【0012】
23は、搬送ローラであり、排出路Dを形成し、排出される記録媒体100又は記録媒体150を排出スタッカ25へ導く搬送するローラ対である。24も同様に搬送ローラであり排出路Dを形成し、排出される記録媒体100又は記録媒体150を排出スタッカ25へ導くローラ対である。SP02は、格納/搬送セパレータである。この格納/搬送セパレータSP02は、退避路Bと、反転路Cとの接続点に配設され、所定の回転支軸を支点にし、所定の角度回転し、両面印刷時に於いて、記録媒体100又は記録媒体150が退避路Bから折り返して流れてきたときに、反転路Cへ導くためのセパレータである。
【0013】
50は、反転ローラであり、格納/搬送セパレータSP02の近傍下流に配設され、正回転又は逆回転して記録媒体100又は記録媒体150の進行方向を変更させるローラ対である。61は、媒体搬送壁である。この媒体搬送壁61は、媒体搬送壁駆動部62によって駆動され、退避路Bの側壁の一部を開放したり閉鎖したりするシャッターである。このシャッターを開放することによって退避路B中を移動する記録媒体150は、装置外部へ突出することが可能になる。63は、ピンチローラであり、媒体搬送壁61によって形成される開口部近傍に配設され、記録媒体150が、装置外部へ突出されるとき、又は、突出された部分が装置内部に引き込まれるときに退避路B中の記録媒体150が弛むのを防止するローラである。
【0014】
S1、S2、S3、S4、S5、S6、S7、S8、S9は、それぞれ用紙位置検出センサであり、それぞれが配設されている位置に於いて、記録媒体の存否を検出するセンサである。ST1は、長尺両面印刷用スタッカであり、装置外部へ突出された記録媒体150を保持する部分である。長尺両面印刷用スタッカST1は、装置本体に回転支軸cで図中矢印方向へ回転可能に軸止されている。給紙カセット2に収納されている定型記録媒体等を印刷する場合には、長尺両面印刷用スタッカST1の先端に設けられているラッチLT1と、装置本体に回転支軸dで図中矢印方向へ回転可能に軸止されている突起LV1とが係合し、長尺両面印刷用スタッカST1は装置本体に閉じられた状態が維持される。一方、マルチパーパストレイMPT01から供給される長尺の記録媒体を印刷する場合には、ラッチLT1と突起LV1との係合が解かれ図中点線表示のように長尺両面印刷用スタッカST1は装置本体から開放された状態が維持される。
【0015】
以上で、本実施例の画像形成装置の機械的構成についての説明を終了し、次に制御系統について説明する。
図3は、実施例による画像形成装置の制御系統ブロック図である。
図に示すように、本実施例による画像形成装置の制御系統は、主制御部200と、I/F制御部201と、操作部202と、画像形成制御手段200−1と、定着ユニット制御手段200−2と、搬送制御手段200−3と、媒体搬送壁制御手段200−4とを備える。
【0016】
主制御部200は、CPU(マイクロプロセッサ)、ROM、RAM、入出力ポート、タイマを含み、上位装置から画像データ、及び、制御コマンドを受信して画像形成装置全体を制御する部分である。更に、この主制御部200は、各種センサから記録媒体の搬送位置、装置内温度なども受け入れる。
【0017】
I/F制御部201は、主制御部200と、上位装置とのインタフェース部分である。
操作部202は、主制御部200と操作者との間を繋ぐマン・マシンインタフェースの役割を分担する部分であり、LED、LCD等の表示装置や、キーボートスイッチ等が含まれる。
【0018】
画像形成制御手段200−1は、主制御部200のCPUが、上位装置からI/F制御部201を介して画像データ、制御コマンド等を受け入れて印刷データに変換すると共に、画像形成部7の各種制御回路(記録ヘッドの制御回路、感光ドラム/現像器の帯電回路、感光ドラムその他の駆動用モータドライバ回路等)を制御する手段である。この手段は、主制御部200のCPUが、内部のROMに格納されている所定のプログラムを実行することによって起動されるCPUの制御手段である。
【0019】
定着ユニット制御手段200−2は、主制御部200のCPUが、各種センサ(定着ユニットサーミスタ)から受け入れた温度情報に基づいて定着器15(図2)の各種制御回路(ヒータのオンオフ制御回路、ヒートローラの駆動モータドライブ回路等)の制御を実行する手段である。この手段は、主制御部200のCPUが、内部のROMに格納されている所定のプログラムを実行することによって起動されるCPUの制御手段である。
【0020】
搬送制御手段200−3は、各種センサ(用紙位置検出センサS1〜S9(図2))から用紙位置検出情報等を受け入れて、記録媒体の繰り出し、搬送、反転、等の制御を実行すると共に、各種搬送ローラ制御回路、ベルトローラ駆動用モータドライバ回路等を制御する手段である。この手段は、主制御部200のCPUが、内部のROMに格納されている所定のプログラムを実行することによって起動されるCPUの制御手段である。
【0021】
媒体搬送壁制御手段200−4は、各種センサ(用紙位置検出センサS1〜S9(図2))から用紙位置検出情報等を受け入れて、モータ又はソレノイド等のドライバ回路を制御して、退避路B(図2)中を移動する記録媒体100(図2)の装置外部への突出を可能とする媒体搬送壁61(図2)の開閉を制御する手段である。この手段は、主制御部200のCPUが、内部のROMに格納されている所定のプログラムを実行することによって起動されるCPUの制御手段である。
【0022】
以上で制御系統についての説明を終了したので、図1に戻って、実施例1の動作について説明する。
主制御部200(図3)がI/F制御部201(図3)を介して、上位装置から画像データ、及び、制御コマンドを受信し、画像形成制御手段200−1(図3)、定着ユニット制御手段200−2、搬送制御手段200−3、及び、媒体搬送壁制御手段200−4を起動して画像生成装置1が印刷を開始すると、MTP給紙ローラ3は、マルチパーパストレイMPT01から供給される長尺の記録媒体150を繰り出す。
【0023】
この記録媒体150の先端を用紙位置検出センサS2が検出し、その検出信号s2を主制御部200(図3)へ送出する。搬送制御手段200−3は、用紙位置検出センサS2から搬送ベルト8までの搬送に要する、駆動モータ(図示しない)への印加パルス数を算出し、そのパルス数だけ印加し、給紙ローラ3を回転させ記録媒体150を搬送ベルト8まで送出する。記録媒体150の先端が搬送ベルト8に達すると用紙位置検出センサS3が記録媒体150の先端を検出し、その検出信号をs3を主制御部200(図3)へ送出する。
【0024】
搬送制御手段200−3は、駆動ローラ14を回転させて搬送ベルト8の周回運動を開始させる。この搬送ベルト8の周回運動によって、記録媒体150は、搬送路Aを搬送され、画像形成部7によって所定のトナー像が記録媒体150の表面に転写されながら下流へ進む。記録媒体150の表面に転写されたトナー像は、定着器15によって記録媒体150の表面に定着される。
【0025】
記録媒体150の先端を用紙位置検出センサS4が検出し、その検出信号s4を主制御部200(図3)へ送出する。搬送制御手段200−3(図3)は、両面/排出セパレータSP01を制御して記録媒体150の先端を退避路Bに導く。記録媒体150の先端が格納/搬送セパレータSP02を押し下げると、格納/搬送セパレータSP02に伴って用紙位置検出センサS5も押し下げられ、記録媒体150の先端が検出される。その検出信号s5は主制御部200(図3)へ送出される。搬送制御手段200−3(図3)は、媒体搬送ローラ50の正回転(記録媒体150を退避路B方向へ移動させる方向)を開始させる。この時点では、媒体搬送壁61は、まだ閉じているので記録媒体150の先端は、用紙位置検出センサS6を倒して退避路Bへ進む。
【0026】
図2は、実施例1による画像形成装置の側面断面図(その2)である。
この図は、長尺の記録媒体150の先端が退避路B中を搬送されポイントaに達した後の動作を説明するための図である。以下に、実施例1の動作についての説明を継続する。
記録媒体150の先端は、退避路B中を搬送されポイントaに達する。記録媒体150の先端がポイントaに達したことを用紙位置検出センサS9が検出し、その検出信号s9を主制御部200(図3)へ送出する。記録媒体150の先端は、用紙位置検出センサS9によって、これ以上の移動は阻止される。媒体搬送壁制御手段200−4(図3)は、突起LV1を回転させ、ラッチLT1との嵌合を解除して長尺両面印刷用スタッカST1を開放する。同時に媒体搬送壁駆動部62を駆動して媒体搬送壁61を上方へ移動させて開口する。
【0027】
一方媒体搬送ローラ50は、正回転を続けると、記録媒体150の先端は、用紙位置検出センサS9によって、これ以上の搬送が阻止される。行き場を失った記録媒体150は、媒体搬送壁61によって開口された部分(以後開口部と記す)から装置外部に逃れ、長尺両面印刷用スタッカST1上に記録媒体150の撓み部分bが発生する。媒体搬送ローラ50が正回転を続ける間にこの撓みはどんどん大きくなり、行き場を失った記録媒体150を吸収する。
【0028】
記録媒体150の後端が、格納/搬送セパレータSP02を通過すると、用紙位置検出センサS5の押し下げも解除され、検出信号s5をオフする。搬送制御手段200−3(図3)は、媒体搬送ローラ50を逆回転させる。媒体搬送ローラ50の逆回転によって、記録媒体150の後端は、格納/搬送セパレータSP02に突き当たり、その進行方向は、反転路Cへ導かれる。媒体搬送ローラ50が逆回転を続けることによって記録媒体150の後端は、反転路Cを図中左から右方向へ進む。
【0029】
このとき、長尺両面印刷用スタッカST1上に記録媒体150の撓み部分bは、ピンチローラ63に接触しながら装置内部に吸引される。尚、記録媒体150の後端が、用紙位置検出センサS1、用紙位置検出センサS2、用紙位置検出センサS3、用紙位置検出センサS4、を通過することによって、検出信号s1、検出信号s2、検出信号s3、検出信号s4は、それぞれオフされる。
【0030】
記録媒体150は、反転路Cを図中左から右方向へ進み、記録媒体150の後端を用紙位置検出センサS1が検出し、その検出信号をs1を主制御部200(図3)へ送出する。以後、これまでに説明した記録媒体150の表面への印刷と同様に、今度は、記録媒体150の裏面への印刷が開始される。この時点では、記録媒体150は、反転路Cによって裏返しされ、記録媒体150の後端が先導していることに留意すべきである。
【0031】
記録媒体150の表面への印刷と同様に、記録媒体150の裏面に印刷され、用紙位置検出センサS4が、記録媒体150の後端を検出し、その検出信号s4を主制御部200(図3)へ送出する。搬送制御手段200−3(図3)は、両面/排出セパレータSP01を制御して記録媒体150の後端を排出路Dに導く。記録媒体150は、排出スタッカ25に排出され印刷を終了する。
【0032】
以上の動作説明では、用紙位置検出センサS9が、記録媒体150の先端を検出し、その検出信号s9を主制御部200(図3)へ送出すると、媒体搬送壁制御手段200−4(図3)が自動的に長尺両面印刷用スタッカST1を開放し、且つ、媒体搬送壁61を開口させることとして説明したが、本発明は、この例に限定されるものでは無い。即ち、操作者が長尺の記録媒体150の印刷開始前に手動で長尺両面印刷用スタッカST1を開放しておくこととしても良い。
【0033】
また、上記説明では、マルチパーパストレイMPT01から供給される長尺の記録媒体150の印刷に限定して説明したが、本実施例による画像形成装置1は、長尺媒体のみならず定型の記録媒体の両面印刷も可能である。以下にその動作の概要について図1に戻って説明する。
【0034】
主制御部200(図3)がI/F制御部201(図3)を介して、上位装置から画像データ、及び、制御コマンドを受信し、画像形成制御手段200−1(図3)、定着ユニット制御手段200−2、搬送制御手段200−3、及び、媒体搬送壁制御手段200−4を起動して画像生成装置1が印刷を開始する。
給紙ローラ4は、給紙カセット2の最上位に積載されている定型の記録媒体100を1枚繰り出す。この記録媒体100の先端を用紙位置検出センサS1が検出し、その検出信号s1を主制御部200(図3)へ送出する。搬送制御手段200−3は、用紙位置検出センサS1から搬送ベルト8までの搬送に要する、駆動モータ(図示しない)への印加パルス数を算出し、そのパルス数だけ印加し、給紙ローラ4を回転させ記録媒体100を搬送ベルト8へ送出する。用紙先端が搬送ベルト8に達すると、用紙位置検出センサS3が記録媒体100の先端を検出し、その検出信号をs3を主制御部200(図3)へ送出する。
【0035】
以後、記録媒体150(長尺媒体)と同様に、記録媒体100の表面に印刷され、記録媒体100の先端を用紙位置検出センサS4が検出し、その検出信号s4を主制御部200(図3)へ送出する。搬送制御手段200−3(図3)は、両面/排出セパレータSP01を制御して記録媒体100の先端を退避路Bに導く。記録媒体100の先端が格納/搬送セパレータSP02を押し下げると、格納/搬送セパレータSP02に伴って用紙位置検出センサS5も押し下げられ、記録媒体100の先端が検出される。その検出信号s5は主制御部200(図3)へ送出される。搬送制御手段200−3(図3)は、媒体搬送ローラ50の正回転(記録媒体100を退避路B方向へ移動させる方向)を開始させる。媒体搬送壁61は、閉じているので記録媒体100の先端は、用紙位置検出センサS6を倒して退避路Bへ進む。
【0036】
その少し後に記録媒体100の後端が、格納/搬送セパレータSP02を通過すると、用紙位置検出センサS5の押し下げも解除され、検出信号s5をオフする。搬送制御手段200−3(図3)は、媒体搬送ローラ50を逆回転させる。媒体搬送ローラ50の逆回転によって、記録媒体100の後端は、格納/搬送セパレータSP02に突き当たり、その進行方向は、反転路Cへ導かれる。媒体搬送ローラ50が逆回転を続けることによって記録媒体100の後端は、反転路Cを図中左から右方向へ進む。尚、記録媒体100の後端が、用紙位置検出センサS1、用紙位置検出センサS2、用紙位置検出センサS3、用紙位置検出センサS4、を通過することによって、検出信号s1、検出信号s2、検出信号s3、検出信号s4は、それぞれオフされる。
【0037】
記録媒体100は、反転路Cを図中左から右方向へ進み、記録媒体100の後端を用紙位置検出センサS1が検出し、その検出信号をs1を主制御部200(図3)へ送出する。以後、これまでに説明した記録媒体100の表面への印刷と同様に、今度は、記録媒体100の裏面への印刷が開始される。この時点では、記録媒体100は、反転路Cによって裏返しされ、記録媒体100の後端が先導していることに留意すべきである。
【0038】
記録媒体100の表面への印刷と同様に、記録媒体100の裏面に印刷され、用紙位置検出センサS4が、記録媒体100の後端を検出し、その検出信号s4を主制御部200(図3)へ送出する。搬送制御手段200−3(図3)は、両面/排出セパレータSP01を制御して記録媒体100の後端を排出路Dに導く。記録媒体100は、排出スタッカ25に排出され印刷を終了する。
【0039】
以上説明したように、本実施例による画像形成装置では、搬送路長を越える媒体長部分が開口部から装置外部へ突出されるので、従来の装置サイズでは不可能であった長尺記録媒体の両面記録が可能になる。更に、開口部から突出した記録媒体を支持するスタッカを備えることによって、長尺記録媒体の接地を回避し、記録媒体の表面汚れを回避することが可能になるという効果を得る。
【実施例2】
【0040】
上記実施例1では、記録媒体の長さが搬送路長を越えるか否かの判断は、用紙位置検出センサS9(図1)が記録媒体の先端を検出し、その検出信号をs9を主制御部200(図3)が受け入れることによってなされていた。本実施例では、用紙位置検出センサS9(図1)を除去し、代わりに、他のセンサ、例えば用紙位置検出センサS5(図1)等を用いることとする。
【0041】
図4は、実施例2による画像形成装置の側面断面図である。
実施例1の画像形成装置1との相違部分のみについて説明し、実施例1と同様の部分には実施例1と同様の符合を付して説明を省略する。
図に示すように、実施例2の画像形成装置300は、実施例1の画像形成装置1に於ける用紙位置検出センサS9(図1)に換えて、退避路終端部64が配設されている。
【0042】
退避路終端部64は、退避路Bの終端枠であり、退避路B中を移動してきた記録媒体100が、これ以上移動するのを阻止する部分である。その他の構成部分は、実施例1と全く同様なので説明を省略する。
【0043】
次に、実施例2の動作について説明する。
実施例1との相違部分は、記録媒体の長さが搬送路長を越えるか否かの判断のみであり、その他の動作は実施例1と同様なので、以下に記録媒体の長さが搬送路長越えるか否かの判断のみについて説明する。
【0044】
記録媒体150の先端が格納/搬送セパレータSP02を押し下げると、格納/搬送セパレータSP02に伴って用紙位置検出センサS5も押し下げられ、その検出信号s5は主制御部200(図3)へ送出される。媒体搬送壁制御手段200−4(図3)は、検出信号s5の受け入れから所定の時間経過までに、検出信号s5のオフを検知しない場合には、突起LV1を回転させ、ラッチLT1との嵌合を解除して長尺両面印刷用スタッカST1を開放する。同時に媒体搬送壁駆動部62を駆動して媒体搬送壁61を上方へ移動させて開口する。
【0045】
即ち、媒体搬送ローラ50は、一定の周速度で回転しているので、所定の時間回転することによって記録媒体150が移動する移動量は算出される。この移動量が退避路Bの長さよりも長いと判断される場合は、退避路Bの長さを越える媒体長部分を開口部から装置外部へ突出させるために、媒体搬送壁61を上方へ移動させて開口することになる。その他の制御、及び、動作は実施例1と同様なので説明を省略する。
【0046】
上記説明中に於いて、検出信号s5受け入れから所定の時間経過までに、検出信号s5のオフを検知しない場合に換えて、検出信号s5受け入れから所定の時間経過までに、用紙位置検出センサS6の検出信号s6のオフを検知しない場合であっても良い。但し、用紙位置検出センサS5と用紙位置検出センサS6との位置の差は所定の時間設定に考慮される必要がある。
【0047】
以上説明したように、本実施例では、用紙位置検出センサS5や、用紙位置検出センサS6等を記録媒体の長尺判断に兼用することが出来るので、上記実施例1による用紙位置検出センサS9を削除することが出来るという効果を得る。
【実施例3】
【0048】
本実施例では、上記実施例1又は実施例2に記載した、画像形成装置1又は画像形成装置300と比較して、より一層長尺の記録媒体の両面印刷を目的とする。
図5は、実施例3による画像形成装置の側面断面図である。
実施例1との相違部分のみについて説明する。
【0049】
長尺両面印刷用スタッカST2は、装置外部へ突出された記録媒体150を保持する部分である。この長尺両面印刷用スタッカST2は、装置本体に回転支軸fで図中矢印方向へ回転可能に軸止されている。給紙カセット2に収納されている定型記録媒体等を印刷する場合には、長尺両面印刷用スタッカST2の先端に設けられているラッチLT2と、装置本体に回転支軸dで図中矢印方向へ回転可能に軸止されている突起LV1とが係合し、長尺両面印刷用スタッカST2は装置本体に閉じられた状態が維持される。一方、長尺両面印刷用スタッカST2から供給される長尺の記録媒体150を印刷する場合には、ラッチLT2と突起LV1との係合が解かれ図中点線表示のように長尺両面印刷用スタッカST2は装置本体から開放された状態が維持される。
【0050】
図に示すように、長尺両面印刷用スタッカST2は、実施例1、又は、実施例2で説明した長尺両面印刷用スタッカST1に、更に、装置外部へ突出された記録媒体150を保持する支持枝PT1が追加されている。この支持枝PT1は、長尺両面印刷用スタッカST1に接続子PT2を用いて接続したものであっても良い。従って、支持枝PT1の大きさを、装置外部へ突出される記録媒体150の長さに合わせて調整することが可能になる。
【0051】
又、長尺両面印刷用スタッカST1が、装置本体に軸止される回転支軸fには、ダンパーギアが用いられる。ダンパーギアとは、一方向(スタッカを閉じる方向)には、抵抗が少ないので速い回転が得られ、他の方向(スタッカを開放する方向)には、ある程度の抵抗を持つことにより緩やかな回転が得られる機能を有するギアである。
【0052】
以上説明したように、本実施例では、大型の長尺両面印刷用スタッカST2を備えることにより、実施例1の画像形成装置1、又は、実施例2の画像形成装置300よりも長尺の記録媒体を用いて両面印刷することが出来るという効果を得る。更に、長尺両面印刷用スタッカST1を装置本体に軸止する回転支軸fにダンパーギアを用いることによってスタッカの緩やかな開放が可能になるという効果を得る。
【産業上の利用可能性】
【0053】
上記の説明では、両面印刷時に退避路の長さを越えた記録媒体を検出した際に、退避路の途中に設けた媒体搬送壁を媒体搬送壁駆動部が電気的に駆動して装置外部へ記録媒体を突出させることとしているが、本発明はこの例に限定されるものでは無い。即ち、電気的な駆動に換えて機構部品のみによる駆動機構を採用しても良い。又、上記説明では、スタッカ及び媒体搬送壁の開放については説明しているが、両者の閉鎖については説明していない。しかし、本発明では、印刷終了時に両者を自動的に閉鎖するように構成することも容易である。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】実施例1による画像形成装置の側面断面図(その1)である。
【図2】実施例1による画像形成装置の側面断面図(その2)である。
【図3】実施例による画像形成装置の制御系統ブロック図である。
【図4】実施例2による画像形成装置の側面断面図である。
【図5】実施例3による画像形成装置の側面断面図である。
【符号の説明】
【0055】
1 画像形成装置
2 給紙カセット
3 MTP給紙ローラ
4 給紙ローラ
5 搬送ローラ
6 搬送ローラ
7 画像形成部
7K ブラックユニット
7Y イエローユニット
7M マゼンタユニット
7C シアンユニット
8 搬送ベルト
14 駆動ローラ
15 定着器
20 加熱ローラ
21 圧接ローラ
23 搬送ローラ
24 搬送ローラ
25 排出スタッカ
50 反転ローラ
61 媒体搬送壁
62 媒体搬送壁駆動部
63 ピンチローラ
100 記録媒体
200 記録媒体
MPT01 マルチパーパストレイ
SP01 両面/排出セパレータ
SP02 格納/排出セパレータ
ST1 長尺両面印刷用スタッカ
LT1 ラッチ
LV1 突起
S1、S2、S3、S4、S5、S6、S7、S8、S9 用紙位置検出センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
定型媒体給紙部、及び、長尺媒体給紙部の何れか一方から繰り出される記録媒体を受け入れて、画像形成部の内部を搬送する搬送路と、
装置内部に設けられ、前記画像形成部を通過した記録媒体を一旦退避させる退避路と、
該退避路に退避した記録媒体を前記搬送路へ折り返し送出し、記録面を反転させる反転路と、
前記退避路中に設けられ、該退避路中を移動する記録媒体の装置外部への突出を可能とする開口部とを備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記反転路で反転された記録媒体は、前記定型媒体給紙部の上部を通過し、前記搬送路へ送出されることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記退避路は、前記定型媒体給紙部の上部に設けられることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記長尺媒体給紙部は、装置筐体側面に着脱可能に配設されることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記記録媒体の長さが所定の長さを越えることを判定する長尺判定手段と、
該長尺判定手段の判定結果に基づいて前記開口部の開閉を行う開口部駆動手段とを更に備えることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記長尺判定手段は、前記記録媒体の先端部分の、所定位置以上への進行を阻止する進行阻止スイッチであることを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記長尺判定手段は、搬送路中に於ける、前記記録媒体の先端通過時刻と、該記録媒体の後端通過時刻とに基づいて前記記録媒体の長さを判定することを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記開口部から突出する記録媒体を支持するスタッカを更に備えることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記スタッカは、前記開口部から突出する記録媒体の長さに応じて、前記突出する記録媒体を支持する支持枝の大きさを変更可能であることを特徴とする請求項8に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−76780(P2006−76780A)
【公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−265911(P2004−265911)
【出願日】平成16年9月13日(2004.9.13)
【出願人】(591044164)株式会社沖データ (2,444)
【Fターム(参考)】