説明

画像形成装置

【課題】 回収された液体トナーを簡便かつ安全に廃棄処理できるようにする。
【解決手段】 余剰キャリアを回収して容器(60)に保持させるようにした液体現像剤を用いた画像形成装置において、前記容器内の回収キャリアが所定量に達したことを検知するセンサ(72)と、前記センサの検知結果に基づいて回収されたキャリア液に固化剤を投入する固化剤投入機構(70)とを備えたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体中にトナー等の有色粒子を含有し、電子写真プロセス等で形成された潜像にその有色粒子を付着させて潜像を現像する液体現像剤を用いて画像を形成する複写機、ファクシミリ、プリンタ等の画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、液体現像剤として、イソパラフィン系炭化水素を主成分とする有機溶媒中にトナーを分散せしめたものが知られている。かかる有機溶媒としては、エクソン社製のアイソパー(Isopar:商品名)、シェル化学社製のシェルソール(Shellso1:商品名)、フィリップ石油会社製のソルトール(Soltol:商品名)などが市場に出回っている。
【0003】
一方、不揮発性の液体中に有色粒子を分散せしめた液体現像剤も種々知られている。不揮発性の液体として、シリコーンオイルを用いたものが代表的である。
また最近、環境面への配慮から植物油をキャリアに用いた液体現像剤が注目されている。このような液体現像剤を使用した電子写真方式画像形成装置において、中間転写ローラにクリーニングブレードを接触させて残存液を取り除いたり、ヒートローラにキャリア除去ローラを当接させ、除去したキャリアを回収するブレード等を備えたものが知られている(特許文献1)
【特許文献1】特許第3615461号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1のような装置では、クリーニングブレードを中間転写ローラに接触させて残存液を取り除いたり、ヒートローラにキャリア除去ローラを当接させ、除去したキャリアを回収するブレード等を備えているが、回収された液体現像剤をどのように処分するのかについて考慮されていない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、装置内部のクリーニング部で回収された液体トナーを簡便かつ安全に廃棄処理できるようにすることを目的としている。
そのために本発明は、余剰キャリアを回収して容器に保持させるようにした液体現像剤を用いた画像形成装置において、前記容器内の回収キャリアが所定量に達したことを検知するセンサと、前記センサの検知結果に基づいて回収されたキャリア液に固化剤を投入する固化剤投入機構とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明は、回収された液体トナーを固化剤で固めることで、液体のままユーザーが取り出すことにより周囲を濡らしたり、手を汚したりすることがなくなり、液体トナーを簡便かつ安全に廃棄処理することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
図1は本発明の画像形成装置の実施の形態の例を説明する図である。本画像形成装置はY,M,C,K4色の画像を中間転写体上に形成してこれを転写媒体上に一括転写する例であり、現像と1次転写工程は各色同じであるので、これらの工程については1色を代表して説明する。
【0008】
液体現像剤容器1には不揮発性のキャリア液中に固形分(トナー粒子)を一様に分散した液体現像剤が収容され、供給ローラ3により液体現像剤が汲み上げられ、供給ローラ3と接触して周面が同方向に回動する現像ローラ4に供給される。現像ローラ4には現像ローラクリーナ5が配置されて現像ローラ上の現像後の現像剤をクリーニングしている。
【0009】
現像ローラ4と接触して周面が同方向に回動する感光体10は、帯電器11により一様帯電された後、露光装置12による画像露光により静電潜像が形成され、形成された静電潜像は現像ローラ4と対向する位置で液体現像剤で現像され、中間転写ベルト20を挟んで1次転写ローラ14が対向する1次転写位置で中間転写ベルト上に転写される。転写後に感光体上に残る現像剤は感光体クリーナ15でクリーニングされる。
【0010】
中間転写ベルト20は、駆動ローラ21、従動ローラ22の間に張架されて駆動ローラ21により図の反時計方向に回転駆動され、駆動ローラ21と2次転写ローラ24とが紙等の転写材を挟んで対向する位置が2次転写位置となる。転写材を通して2次転写ローラ24に付着するキャリアはクリーニングブレード25でクリーニングされる。また、従動ローラ22をバックアップローラとしてベルトクリーナ23が配置され、2次転写位置で転写材に一括転写された後に中間転写ベルト20上に残った液体現像剤がクリーニングされる。
【0011】
紙等の転写材はカセット40からローラ41で順次繰り出されてパス42を通して搬送され、2次転写位置で一括転写された後、加熱ローラ50a、加圧ローラ50bからなる定着装置50で定着されて送出される。
【0012】
本画像形成装置では、中間転写ベルト20上に残存してベルトクリーナ23でクリーニングされた液体現像剤(主としてキャリア)、感光体上に残存して感光体クリーナ15でクリーニングされた液体現像剤(主としてキャリア)、紙がジャムしたりベルトクリーニング不良等で2次転写ローラ24の表面に付着し、クリーニングブレード25でクリーニングされた液体現像剤(主としてキャリア)等は回収廃棄タンク60へ回収される。
【0013】
本発明ではキャリアに植物油を使用することが好ましく、回収廃棄タンク60へ回収した廃棄液体トナーは、これを取り出す前に植物油を固化させてハンドリングを容易にし、かつ環境汚染を起こすことなく廃棄処理することができる。
【0014】
回収廃棄トナーの固化について説明すると、廃油処理剤には油を固めて廃棄するものと、乳化させて廃棄するもの、廃油を利用して石鹸をつくるタイプの3種類があり、いずれのタイプのものも本発明では使用可能である。
【0015】
この中で、固めるタイプの成分はヒマシ油誘導体のものが多く、乳化させるタイプは非イオン及び陰イオン界面活性剤が主成分で40〜100%含有している。廃油と混合して石鹸を作るタイプのものは、粉末やペーストで主成分がオルトケイ酸ナトリウム(90〜100%)またはメタケイ酸ナトリウム(約18%)のもの、液体で主成分がオルトケイ酸カリウム(40%)のものなどがある。また、界面活性剤、炭酸ナトリウム等を含有するものもある。
【0016】
廃油固化剤としては、原料は植物から抽出した天然油脂系脂肪酸であり、これを80℃以上の食用油に入れると、この脂肪酸はコロイド粒子となって溶け、食用油中に均一に分散する。そして油の温度が下がると、コロイド粒子がくっつき合ってスポンジ状の構造を作り固化する。固化した後回収し、石鹸工場やアルキッド樹脂製造工場(印刷インキ、塗料などの基材)でさまざまな製品に加工したり、灯油などを燃料に使用している工場に燃料油として利用することができる。
【0017】
本発明では回収廃棄タンク60へ回収した廃棄液体トナーに対して固化剤を投入して固化させるようにする。さらに、固化剤の投入とともに発泡剤を投入する、或いは固化剤に発泡剤を配合して投入すると泡立ちが良くなって混合されやすくなり、固化を促進することが可能である。
【0018】
発泡剤としては常温で反応分解するタイプのものが望ましく、例えば、白色微粉末状の炭酸水素ナトリウム(NaHCO3 )と少量の水を加える事が考えられる。この場合、水は触媒として作用し常温で分解し炭酸ガスが発生する。
また、加熱することが可能な場合には、白色微粉末状のp,p′−オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジドを添加するようにしてもよい。この場合、155℃〜160℃程度に加熱することで発泡剤が分解し窒素ガスが発生する。
また、発泡剤を加えるほかに、さらにジェット噴流を吹きつけながら固化剤を投入すると還流がますます発生して効果的に固化を促進することができる。
【0019】
次に、回収廃棄タンク内の回収廃液が所定量に達したことを検知し、回収廃液に固化剤を投入して固化させる例について説明する。
図2は回収廃棄タンクにフロートを浮かべて回収廃液が所定量に達したことを検知する例を示す図である。
回収廃棄タンク60へはパイプ61を通してベルトクリーナ23、感光体クリーナ15、クリーニングブレード25等でクリーニングされた回収廃棄液体トナー62が回収される。固化剤投入容器70には固化剤71が収納されており、タンク60に浮かべたフロート72が所定レベルまで上昇すると、容器70の供給弁が開放して回収廃棄液体トナーに固化剤が投入され、さらにフロート72が上昇するにつれて供給弁の開度が大きくなって投入される固化剤も多くなり、回収される廃棄液体トナーが順次固化される。このように廃棄液体トナーを固化することにより、周囲を濡らしたり、手を汚したりすることがなくなりハンドリングが容易となり、廃棄処理を容易に行うことができる。もちろん、この例において固化剤に発泡剤を配合したり、或いは別途発泡剤を投入するようにしてもよい。
【0020】
図3は回収廃棄タンクに満杯センサーを設けた例を示す図である。
タンク液面の満杯位置を検出する満杯センサー73を設けておき、このセンサーが満杯を検知した時、これと連動して固化剤投入容器70の供給弁を開放して回収廃棄液体トナーに固化剤が投入される。この例では、回収廃棄タンクが満杯になったときどっと固化剤が投入されるため、回収廃棄液体トナーが一挙に固められることになる。この例においても固化剤に発泡剤を配合したり、或いは別途発泡剤を投入するようにしてもよい。
【0021】
図4はタンク液面の位置を検知するレベルセンサーを複数設けた例を示す図である。
この例では複数のレベルセンサのどれかが液面を検知したら、それと連動して固化剤の供給弁を開放して回収液体トナーに固化剤が供給されるようにし、順次回収液体トナーを固めるようにする。この場合、低レベル、中レベル、高レベルの各センサ位置に応じて供給弁の開度を大きくしたり、或いは各センサに対してそれぞれ別の固化剤投入容器を用意するなどしてもよい。この例においても固化剤に発泡剤を配合したり、或いは別途発泡剤を投入するようにしてもよい。
【0022】
図5は液面検知をセンサレバーとセンサとで行うようにした例を示す図である。
センサ75は光学式センサになっていて、発光部と受光部が対向するように一体形式で設けられている。通常は、発光部から受光部に赤外線が通っているが、タンク液面が上昇してある一定レベルに到達すると、センサレバー76の変位(図の破線位置)により赤外線を遮断するため受光部に赤外線が入らなくなり、この信号を受けて固化剤投入容器70の供給弁を開放して固化剤を投入する。この例においても固化剤に発泡剤を配合したり、或いは別途発泡剤を投入するようにしてもよい。
【0023】
図6は回収廃棄液体トナーが通るパイプに透過センサを設けた例を示す図である。
図示するように、タンクに導かれる回収廃棄液体トナーが通過するパイプの途中に、透過センサー77を設け、パイプ内を回収廃棄液体トナーが通過したら、このセンサーと連動して固化剤投入容器70の供給弁を開放して回収廃棄液体トナーに固化剤が供給される。この例では、回収廃棄液体トナーがタンク内に回収されるたびに固化剤が投入されて順次回収液体トナーが固められる。この例においても固化剤に発泡剤を配合したり、或いは別途発泡剤を投入するようにしてもよい。
【0024】
図7は固化剤とともにジェット噴流を吹きつける例を示す図である。
図示するように、エアー圧を用いたジェット噴流機構78を設け、ジェット噴流を吹きつけながら固化剤を供給添加する。こうすることにより、回収廃棄液体トナーがジェット噴流の攪拌効果で均一に攪拌されるため固化されやすくなる。この例においても固化剤に発泡剤を配合したり、或いは別途発泡剤を投入するようにしてもよい。
【0025】
また、図1〜図6の例において、発泡剤の他に、さらにジェット噴流の吹きつけを併用すれば、一層効果的に固化を促進することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0026】
本発明によれば、液体トナーを簡便かつ安全に廃棄処理することができるので産業上の利用価値は極めて大きい。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の画像形成装置の実施の形態の一例を説明する図である。
【図2】回収廃液が所定量に達したことを検知する例を示す図である。
【図3】回収廃棄タンクに満杯センサーを設けた例を示す図である。
【図4】レベルセンサーを複数設けた例を示す図である。
【図5】液面検知をセンサレバーとセンサとで行うようにした例を示す図である。
【図6】パイプに透過センサを設けた例を示す図である。
【図7】固化剤とともにジェット噴流を吹きつける例を示す図である。
【符号の説明】
【0028】
1… 液体現像剤容器、3…供給ローラ、4…現像ローラ、5…現像ローラクリーナ、10…感光体、12…露光装置、15…感光体クリーナ、20…中間転写ベルト、21…駆動ローラ、22…従動ローラ、23…ベルトクリーナ、25…クリーニングブレード、40…カセット、50…定着装置、60…回収廃棄タンク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
余剰キャリアを回収して容器に保持させるようにした液体現像剤を用いた画像形成装置において、前記容器内の回収キャリアが所定量に達したことを検知するセンサと、前記センサの検知結果に基づいて回収されたキャリア液に固化剤を投入する固化剤投入機構とを備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
さらに容器内のキャリア液に発泡剤を投入することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
さらに、容器内のキャリア液にジェット噴流を吹きつけて攪拌することを特徴とする請求項1または2記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−108276(P2007−108276A)
【公開日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−297333(P2005−297333)
【出願日】平成17年10月12日(2005.10.12)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】