説明

画像形成装置

【課題】ドラムユニット1の引き出し操作を容易化しつつ誤操作を防止して安全性の向
上を図ることを可能とする。
【解決手段】装置本体部2からドラムユニット1を装置本体部から引き出す際に、ドラムユニット1に対する転写ユニット3及び現像装置5の離間操作と、保持手段4の係止状態の解除とを一度の操作で行う解除手段6を備えたことによって、解除手段6を介して一つの操作を付与するだけでドラムユニット1を引き出し可能状態とするように構成するとともに、像担持体ユニットに設けられた引き出し手段を当該像担持体ユニットの装着時には覆い、かつ引き出し時には開放するように解除手段を構成してユーザーの誤操作を確実に防止するように構成したもの。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置に関し、特に画像形成用の像担持体(感光体)を含むユニットが引き出し可能となるように構成された画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、電子写真技術等を採用した画像形成装置では、例えば図1、図2及び図3に示された複写機のように、像担持体の一例である感光ドラム100の表面が帯電手段101によって一様に帯電され、光学手段11から走査光102を照射されることにより感光ドラム100の表面上に静電潜像が形成され、その静電潜像に対して現像装置5によりトナーを転移させることによってトナー像が形成される。その感光ドラム100上に形成されたトナー像は、転写ローラ104によって紙などの記録材に転写された後に、定着手段105において加熱及び加圧されることによって記録材に定着される。
【0003】
また、上記感光体ドラム100に対向するように配置された転写ローラ104及びレジストローラ106等は、転写ユニット3として一体的な構成になされており、例えば縦方向(装置高さ方向)に延在する縦回転支軸を中心にして装置本体部2の外方側に向けてドア状に回動させて開放させることによって、レジストローラ106の間部分、及び感光ドラム100と転写ローラ104との間部分における搬送路を開放可能としており、それによってジャム処理などが容易に行われるようになっている。
【0004】
さらに、上述した現像装置5は、現像スリーブ108、トナー容器109、トナー撹搾手段103などを一体的に備えている。また、トナーボトル111は、現像装置5と一体もしくは別体で形成されている。現像スリーブ108は、当該現像スリーブ108の軸方向両端に配置されたコロを介して感光ドラム100に当接されていて、当該感光ドラム100との間に一定の空間を保った状態に維持されている。
【0005】
このとき、上述した感光ドラム(像担持体)100、クリーナ容器110、帯電手段101及びその他の部材は、ドラムユニット(像担持体ユニット)1として一体的な構成をなすように構成されており、そのドラムユニット1が、装置本体部2に対して前方(図面手前方向)に引き出し可能になされていることによって、寿命を迎えた際などに交換やメンテナンス等が容易に行われるようになっている。このような装置本体部2から引き出し可能となるように構成されたドラムユニット1は、装置本体部2に対して上下・左右方向及び引き出しの方向において保持手段により支持される構成になされている。
【0006】
一方、このようなレーザプリンタ等の画像形成装置においては、例えば上述したドラムユニット1と転写ユニット3とは互いに係合関係にある。すなわち、感光ドラム100と転写ローラ104とは、外周面が互いに当接(若しくは近接)した状態に配置されているとともに、図示しないギアにより互いに連結されている。従って、上述したようなドラムユニット1を装置本体部2から引き出す場合には、その前に必ず転写ユニット3との係合関係を解除することによって、感光ドラム100及び転写ローラ104の表面やギア部分の損傷を回避する必要がある。
【0007】
すなわち、ドラムユニット1を装置本体部2から引き出すためには、例えば図2中のボタンAを押すことによって前記転写ローラ104を含む転写ユニット3をドラムユニット1から離間させる操作と、例えば図2中のビスBを取り外すことによってドラムユニット1を引き出す方向の係止状態を解除する操作と、例えば図2中のレバーCを解除操作することによって感光ドラム100に当接関係にある現像装置5の現像スリーブ108の両端コロをドラムユニット1から離間させる操作など、複数の解除操作を順次行って行かねばならず、最低でも3つの解除操作(アクション)を行う必要がある。
【0008】
加えて、従来の画像形成装置では、このようなドラムユニット1の引き出し時に要求される解除操作をユーザに確実に行わせる手段が具備されておらず、ユーザが誤った操作を行うことによって予期しない事故が発生するおそれもある。
【0009】
一方、上述したようなドラムユニット1の引き出し時には、装置本体部2の駆動源から感光ドラム100に駆動力を伝達するカップリングを解除することが問題となる。すなわち、上述したような画像形成装置では、ドラムユニット1に装置本体部2からの駆動力を伝えるために、装置本体部2とドラムユニット1との間の駆動伝達経路において、例えば図11のようなカップリングを行っている。ドラムユニット1の交換時やジャム処理時にドラムユニット1を装置本体部2から取り出す際は、このカップリングを解除する必要があるが、カップリング部を解除するためには、駆動手段を画像形成動作中の回転方向とは逆の方向に回転させる必要がある。
【0010】
カップリング部の具体的な構成とカップリング解除方法の一例を示すと、図11のように、感光ドラム100側の回転軸には、ねじれた三角形状の凸部151aが設けられているとともに、本体側感光ドラム駆動ギアの回転軸152aには、前記凸部151aと嵌合する形でねじれた三角形状の凹部152bが設けられている。これらを噛み合わせるためには、感光ドラム側の凸部151aを本体側感光ドラム駆動ギアの凹部152bにねじ込む必要がある。これにより二つの噛み合い部は引き合う形となり、よりガタの少ない噛合わせを実現している。
【0011】
そして、このようなカップリング部を解除するためには、噛み合わせる方向とは逆方向に回転させる必要がある。例えば従来においては、図19のように感光ドラム駆動ギア152と感光ドラム駆動ギア支持体153との間に、図示を省略した開閉ドアにリンクした回転カム171と固定カム172を設けておき、開閉ドアを開けることによって図20のように回転カム171がリンクにより回転して固定カム172の面を軸方向に移動し、感光ドラム駆動ギア152を移動させる。このとき、感光ドラム駆動ギア152は噛み合わせ部の構造上、移動をする際に逆回転をしながらカップリング部の解除を行う。このように一般的には、開閉ドアを開ける力で駆動手段を逆回転させて駆動経路におけるカップリングの解除を行っている。上述したようなカップリング部の解除方法としては、下記の特許文献3,4等のように様々な方法が提案されている。
【0012】
ところが、前述したようにしてカップリング部を解除するために駆動手段を逆回転させる際には、駆動手段の静止負荷より大きい力を加えなければならず、また逆回転を行わせる力は直接加えられずに噛み合わせ部の構造によって間接的に逆回転を行わせていることから、大きな負荷がかかって操作力が重くなり、使用者に不安を与えるなど、ユーザビリティの低下を招いてしまうという問題がある。
【0013】
【特許文献1】特開平7−281581号公報
【特許文献2】特開平8−254862号公報
【特許文献3】特開平10−142996号公報
【特許文献4】特開平8−268594号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
そこで本発明は、ドラムユニットを装置本体部から引き出す操作を容易かつ安全に行うことができるようにした画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成するため本発明にかかる画像形成装置では、画像形成用の像担持体を備え、装置本体部から引き出し可能に構成された像担持体ユニットと、前記像担持体上に形成された画像を記録材に転写させる転写ローラを備え、前記像担持体ユニットに対して離間可能に設けられた転写ユニットと、前記像担持体上にトナーを供給する現像スリーブを備え∴前記像担持体ユニットに対して離間可能に配置された現像装置と、前記像担持体ユニットを前記装置本体部に対して係止または解除可能とするように構成された保持手段とを具備した画像形成装置において、前記装置本体部から前記像担持体ユニットを引き出す際の前記像担持体ユニットに対する前記転写ユニット及び現像装置の離間操作、並びに前記保持手段による像担持体ユニットの解除操作とを一度の操作で行う解除手段を備え、前記解除手段は、前記像担持体ユニットに設けられた引き出し手段を当該像担持体ユニットの装着時には覆い、かつ引き出し時には開放するように構成されている。
【0016】
例えば、前記解除手段は、当該解除手段の回動と同期して前記現像装置及び保持手段を回動させるようにリンク接続されているとともに、前記保持手段は、当該保持手段の回動と同期して前記転写ユニットを解除させるようにリンク接続されている。
【0017】
このような構成を有する画像形成装置によれば、装置本体部から像担持体ユニットを引き出す際に、解除手段に対して一つ操作を付与するだけで像担持体ユニットが引き出し可能状態となり、像担持体ユニットの引き出し操作が容易化されるとともに、ユーザーによる誤操作が防止され安全性が向上されるようになっている。また、そのとき解除手段に対するユーザーの誤操作が確実に防止されるようになっている。
【0018】
さらに、前記解除手段は、前記装置本体部から前記像担持体ユニットを引き出す際に前記装置本体部から前記像担持体ユニットへの駆動伝達経路を切断する構成になされている。
【0019】
このような構成を有する画像形成装置によれば、装置本体部から像担持体ユニットを引き出す際に、解除手段に対して一つ操作を付与するだけで像担持体ユニットへの駆動伝達経路が切断されるため、像担持体ユニットの引き出し操作の容易化及び安全性がさらに向上される。
【発明の効果】
【0020】
以上のように本発明にかかる画像形成装置は、装置本体部から像担持体ユニットを引き出す際に、像担持体ユニットに対する転写ユニット及び現像装置の離間操作と、保持手段の係止状態の解除とを一度の操作で行う解除手段を備えたことによって、解除手段に対して一つ操作を付与するだけで像担持体ユニットを引き出し可能状態とするとともに、像担持体ユニットに設けられた引き出し手段を当該像担持体ユニットの装着時には解除手段で覆い、かつ引き出し時には開放するように構成したことによって、解除手段に対するユーザーの誤操作を確実に防止するように構成したものであるから、像担持体ユニットの引き出し操作を容易化しつつ誤操作を防止して安全性の向上を図ることができ、画像形成装置の信頼性及び有用性の双方を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、前述した図1及び図3に示された画像形成装置としての複写機に対して本発明を適用した場合における構成の一実施形態を、ドラムユニット1の着脱操作とともに図4ないし図9に基づいて詳細に説明する。
【0022】
まず、複写機を使用する際における正面から奥行き方向(長手方向)に向かって、像担持体ユニットとしてのドラムユニット1を挿入・引き出し可能に支持するガイドレール123が装置本体部2内の長手方向に沿って設けられている。また、ドラムユニット1の手前側には、ユーザーが引き出し操作するための引き出し手段としての把手113が手前側に突出するように設けられている。
【0023】
そのようなドラムユニット1を装置本体部2に着脱するにあたっては、装置本体部2の正面側から奥行き方向(長手方向)、またはその逆方向に向かって、前記ガイドレール123に沿ってドラムユニット1を挿入または引き出すが、そのようなドラムユニット1の挿入・引出しを行うにあたっては、ユーザーが上記把手113に手をかけて奥側に押し込み又は手前側へ引き出す。
【0024】
一方、上述した奥行き方向(長手方向)に直交する左右方向(短手方向)にドラムユニット1を保持するにあたって、前記クリーナ容器110の長手方向両側面に位置決め穴124a,124bあるいは位置決めボス124c(特に図5参照)が設けられており、それらが、装置本体部2の前後両側壁114,115(特に図8参照)側と係合される構成になされている。すなわち、前記ドラムユニット1を装置本体部2内に装着するにあたっては、当該ドラムユニット1の奥端側が装置本体部2の後側壁115に突き当てられるとともに、前記ドラムユニット1の手前側が、装置本体部2に設けられた保持手段4(特に図4参照)によって係止される構成になされている。
【0025】
本実施形態における保持手段4は、装置本体部2の前側壁側114の内側近傍に配置されており、奥行き方向に沿って延在する回動軸4aを中心にして回動可能となるように取り付けられている。そして、ドラムユニット1を装置本体部2に装着した際には、当該保持手段4の扇形状をなすように形成された係止板4bが、図4に示されているように立ち上げられた位置まで回動され、上述したドラムユニット1の手前側に対面するように配置されていることによりドラムユニット1の引き出しが不可能になされる。一方、上記係止板4bが図9のように略水平となる位置まで回動された場合には、当該係止板4bがドラムユニット1の手前側から外れることによってドラムユニット1の引き出しが可能となる。
【0026】
また、前記転写ローラ104及びレジストローラ106等を一体に有する転写ユニット3は、装置本体部2の側面側に配置された開閉ドア部2aの内側面に固定されている。開閉ドア部2aは、装置本体部2の奥側に縦方向(装置高さ方向)に延在するように配置された縦回転支軸107を中心にして回動可能となるように取り付けられており、その開閉ドア部2aの開放操作とともに前記転写ユニット3が、装置本体部2の外方側に向けてドア状に回動されて開放される構成になされている。その転写ユニット3が固定された開閉ドア部2aの回動側端縁部分にはフック117が設けられており、開閉ドア部2aが閉塞されたときに上記フック117が、装置本体部2の前側壁側114に設けられた回転軸ユニット125のフック受け118に係合されることによって、上記開閉ドア部2aが閉塞状態にロックされるとともに前記転写ユニット3が画像形成位置に保持されるようになっている。
【0027】
一方、上記フック受け118の一部は、後述する解除レバー6により押圧され、それによって前記フック受け118からフック117が外れる構成になされており、図示しないバネなどの付勢手段によって前記縦回転支軸107を中心に転写ユニット3が固定された開閉ドア部2aが開放方向に回動してドラムユニット1から遠ざかる構成になされている。
【0028】
また、現像装置5においては、トナー容器109の幅方向(長手方向)両側端面に回転支点119がそれぞれ設けられており、それらの両回転支点119が、前記装置本体部2の前後側壁側114,115に対向する位置において、ボスと穴との関係となるようにして回転可能に嵌合されている。そして、それらの両回転支点119を中心として現像装置5の全体が回動されることによって、現像スリーブ108が感光ドラム100の外周表面に近接した状態(図6参照)と、離間した状態(図7参照)との間で移動されるようになっている。このとき、前記現像スリーブ108の軸方向(奥行き方向)両端部分にはコロ112がそれぞれ配置されており、現像スリーブ108が感光ドラム100側に近接した状態(図6参照)において、それらのコロ112が前記感光ドラム100の外周表面に対して回動可能に当接されることによって、上記現像スリーブ108が感光ドラム100の外周表面から一定距離だけ離間された状態に保たれる構成になされている。
【0029】
さらに、上記現像装置5の回動支点119から下方側に適宜に離間した位置には、前記現像スリーブ108の軸方向(長手方向)と略平行に延在するようにして、上記現像装置5の離間機構を構成する現像加圧軸120が配置されている。すなわち、その現像加圧軸120の軸方向両端部分には、バネ122等の付勢手段を備えた少なくとも1ケ以上の現像加圧カム121が取り付けられており、上記現像加圧軸120の手前側端部に取り付けられた解除レバー6の回動操作に伴って上記現像加圧カム121が回動されることにより、前記現像装置5のトナー容器109を介して現像スリーブ108(コロ112)が前記感光ドラム100の表面に対して図6のように加圧されたり図7のように離間されたりする構成になされている。
【0030】
一方、特に図8及び図9に示されているように解除レバー6は、前述した装置本体部2の前側壁側114の手前側に配置されている。この解除レバー6は、前記ドラムユニット1の引き出し時に回動されて解除操作されるものであるが、上述したように前記現像加圧軸120の手前側端部に取り付けられていて、当該解除レバー6の回動操作と同期して、上述した現像装置5の離間機構を構成する現像加圧軸120が同角度(例えば60°)にわたって回動される構成になされている。そして、その解除レバー6の解除方向の回動操作とともに前記現像加圧カム121が回動されることによって、前記トナー容器109の回動軸119を中心として現像装置5が感光ドラム100から離間する方向へ回動される構成になされている。
【0031】
また、その解除レバー6は、前記回動軸としての現像加圧軸120から略「く」の字状をなすようにして上方に向かって延在しており、その延出側の先端位置から略直角に折れ曲がるように突出するレバー延長部6aは、上述したドラムユニット1の装着時に当該ドラムユニット1の把手113の手掛け部分を下方側から覆い隠す配置関係になされている。そして、そのレバー延長部6aの存在によって、通常は、前記ドラムユニット1の把手113の手掛け操作を行うことができない状態となっているが、前述したように解除レバー6を解除方向に回動操作した場合には、ドラムユニット1の把手113の手掛け部分が開放されて手掛け操作が可能となる。
【0032】
さらに、この解除レバー6は、上述したドラムユニット1を長手方向(奥行き方向)に係止する係止板4bを備えた保持手段4とリンク接続される構成になされている。すなわち、前記保持手段4に設けられた扇形状の係止板4bは、通常使用時において図4のように立ち上げられた位置に配置されており、前記ドラムユニット1の手前側端面の一部を覆うことによって当該ドラムユニット1が装着位置に保持されて引き出し不可能な状態に維持される。
【0033】
また、上記係止板4bに対して径方向の反対側には、略V字状をなして突出するリンク溝4cが設けられており、そのリンク溝4c内には、特に図9に示されているように上述した解除レバー6側に立設されたピン6bが遊倣状態で挿入されている。そして、上述した解除レバー6が図9のように解除方向に回動操作された時に、当該解除レバー6の回動操作と同期して保持手段4が回動軸4aを中心として図示左回り方向に回動させられ、それによって係止板4bが略水平状態となり、当該係止板4bによるドラムユニット1の係止状態が解除される構成になされている。
【0034】
さらにまた、上述した解除レバー6の係止板4bにおける回動側先端部分に沿うようにしてテーパ部4dが設けられており、当該解除レバー6が解除方向に回動操作されたときに前記転写ユニット3を画像形成位置に保持しているフック受け部118を上記テーパ部4dの傾斜面が手前側に向かって連続的に押圧し、そのフック受け部118が取り付けられている回動軸116を平面右回り方向に回動させるリンク関係が構成されている。そして、そのように解除レバー6と同期して回動軸116が平面右回り方向に回動させられることによって、前記転写ユニット3に設けられたフック117の解除が行われ、前述した開閉ドア部2aの開放とともに前記転写ユニット3に設けられた転写ローラ104をドラムユニット1から離間させる構成になされている。
【0035】
以上のように本実施形態では、装置本体部2からドラムユニット1を引き出す際に、解除レバー6に対する一回の回動操作(ワン・アクション)によって、現像装置5、転写ローラ104がドラムユニット1から離間されるとともに、保持手段4によるドラムユニット1の係止状態の解除が行われ、ドラムユニット1が直ちに引き出し可能状態となる。そのため、ドラムユニット1の引き出し操作が容易化されるとともに、ユーザーによる誤操作が防止され安全性が向上されるようになっている。
【0036】
さらに、ドラムユニット1がセットされている状態では、ドラムユニット1の把手113の手掛け部分は、解除レバー6のレバー延長部6aにより覆いかぶされてユーザが手を掛けられないようにしているため、解除レバー6を操作しない限りどのようにしてもドラムユニット1を引き抜くことができない。そのため、誤操作による破損等を未然に防止することが可能となっている。
【0037】
さらに本実施形態では、上述した解除レバー6に対する一回の回動操作(ワン・アクション)によって、感光ドラム100に対する装置本体2からの駆動経路が、上述した現像装置5の離間機構と連動して切断される構成になされている。すなわち、図10及び図11は、本発明の実施の形態である画像形成装置の感光ドラム駆動ギア及びその周辺部の駆動力伝達手段である複数のギアを表した図であって、これらの図10及び図11において、前記感光ドラム100の回転軸151の軸端面近傍には、感光ドラム駆動ギア152が略同心状に配置されており、その感光ドラム駆動ギア152が装着されている駆動軸152aの軸方向先端部分に設けられたカップリング凹部152bに対して、上述した感光ドラム100の回転軸151の軸端面から突出するカップリング凸部151aが軸方向に係合可能となるように形成されている。上述した感光ドラム駆動ギア152では、駆動軸152a、回転中心軸部152c及びギア部152dが樹脂で一体成型されている。
【0038】
上述したようにカップリング凸部151aとカップリング凹部152bとは軸方向に係合される関係となっていることから、感光ドラム駆動ギア152と感光ドラム100の中心を合わせなければならないため、正回転することによって自動調心されるように、図11のように正三角形をねじった形状にすることが一般的であり、そのねじり方向は、感光ドラム100と感光ドラム駆動ギア152が近づくような力が作用する方向、つまり感光ドラム100から遠ざかる方向に向かって感光ドラム100の回転と反対方向である。
【0039】
図10中の符号153は、第一の感光ドラム駆動ギア支持体を示しており、その第一の感光ドラム駆動ギア支持体153に設けられた軸受部153aに、上述した中心軸部152cが回転自在に嵌合している。また、図中の符号154は、第二の感光ドラム駆動ギア支持体を示しており、その第二の感光ドラム駆動ギア支持体154に設けられた軸受部154aに上記駆動軸152aが回転自在に嵌合している。
【0040】
また、前記第二の感光ドラム駆動ギア支持体154の外側面には、駆動源であるモータ155が固定されており、そのモータ155の出力軸として設けられたピニオン155aには、減速ギア156の入力ギア156aが噛み合わされている。また、前記減速ギア156の出力ギア156bは、上述した感光ドラム駆動ギア152のギア部152dに噛み合った状態でそれぞれ回転可能に支持されており、モータ155が回転することによって回転駆動を伝達する構成になっている。
【0041】
減速ギア156は、図12のように減速入力ギア156aと減速出力ギア156bとの2部品で構成されており、減速入力ギア156aと減速出力ギア156bの駆動の伝達作用は、それぞれのギアに設けられた2ヶ所の突起156c,156dどうしが係合されることによって行われる。またこの減速ギア156は、前記第一、第二の支持体153,154に支持された固定軸156eに回転自在に嵌合されている。
【0042】
また、特に図12及び図13に示されている符号160は、減速ギア押え部材を示しており、前述した現像加圧軸120との間のリンク機構によって支点160aを中心に回動可能となるように前記感光ドラム駆動ギア支持体153に嵌合されている。この減速ギア押え部材160の下方側の揺動端部分に形成されている長穴160cには、上述した現像加圧軸120の先端部分に設けられた連結ピン120aが回動自在に装着されており、現像加圧軸120の回動と連動して図17に表された駆動位置と、図18に表された解除位置との間で回動するリンク機構が構成されている。
【0043】
また、上述した減速ギア押え部材160が前記減速出力ギア156bと接触している上方側の揺動端部分には、軸方向の肉厚が徐々に変化させられた傾斜カム部160bが形成されており、当該減速ギア押え部材160の駆動位置(図17)では、上述した減速出力ギア156bの軸方向への移動を抑えて減速入力ギア156aの突起156cと減速出力ギア156bの突起156dとが噛み合って駆動伝達がなされるとともに、減速ギア押え部材160の解除位置(図18)では、前記減速出力ギア156bが、当該減速出力ギア156bと減速入力ギア156aの突起156c、156dが噛み合わない位置まで軸方向に移動された状態に切り替えが行われるようになっている。なお、付勢ばね159は、圧縮ばねであって、その一端が第二の感光ドラム駆動ギア支持体154、他端が感光ドラム駆動ギア152の側面に接して縮設され、感光ドラム駆動ギア152が感光ドラム100側に向かって常時押圧されている。
【0044】
図15に示されているように、感光ドラム100に対する装置本体2からの駆動経路が切断される解除動作において、前述した解除レバー6の解除操作に伴って現像加圧軸120が回動されると、図15(a)から図15(b)のように威速ギア押え部材160が回動し、減速出力ギア156bを押えていたカム面が減速出力ギア156bから離れ、減速出力ギア156bが減速入力ギア156aと噛み合わない位置まで軸方向に移動可能になる。その後ドラムユニット1を手前側方向に引き抜いてカップリング凸部151aをカップリング凹部l52bから引き抜こうとすると、それらの凸部、凹部はねじれているので相対回転しようとする。(図16の断面図参照)
【0045】
しかし、カップリング凸部151aの感光ドラム100側には静止負荷が加わっているのでカップリング凹部152bの感光ドラム駆動ギア152側が感光ドラム回転方向とは反対方向に回転しようとする。感光ドラム駆動ギア152が逆回転しようとすることで減速出力ギア156bも逆回転しようとして減速入力ギア156aを逆回転しようとするが、ピニオン部155aの静止負荷が大きいため、減速出力ギア156bは、減速入力ギア156aの2ヶ所の突起の斜面を軸方向へ移動し回転する。減速入力ギア156aとモータ155を逆回転しないで減速出力ギア156bと感光ドラム駆動ギア152が逆回転することによりカップリングの係合が解除されるので、モータ155の負荷の代わりに減速出力ギア156bが減速入力ギア156aの斜面を軸方向に移動する負荷となり、その結果、負荷が軽減されてドラムユニット1の取り出しがスムーズに行われる(図13参照)。
【0046】
一方、ドラムユニット1を装着後に上述した解除レバー6を元の装着位置まで回動してに戻すと、リンク機構としての現像加圧レバー102を介して減速ギア押え部材160が回動し、カム面が感光ドラム駆動ギア支持体153と減速出力ギア156bの間に入り込んで減速出力ギア156bを減速入力ギア156a方向へ押し出し、モータ155に設けられたピニオン155aの回転駆動力を感光ドラム駆動ギア152に伝達することができるようになり、付勢ばね159の作用によって感光ドラム駆動ギア152がプロセスカートリッジ1に近づく方向に付勢され、感光ドラム100の端部に形成された凸部151aと感光ドラム駆動ギア152の凹部152bが回転し互いに係合することが可能となっている。
【0047】
このように本実施形態では、装置本体部2からドラムユニット1を引き出す際に、解除レバー6に対して一つ操作を付与するだけで、ドラムユニット1への駆動伝達経路が切断されるため、ドラムユニット1の引き出し操作の容易化及び安全性がさらに向上されるようになっている。
【0048】
以上、本発明者によってなされた発明の実施形態を具体的に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変形可能であることはいうまでもない。
【0049】
例えば上述した実施形態は、複写機に対して本発明を適用したものであるが、プリンタ等の他の画像形成装置に対しても本発明は同様に適用することができるものである。
【産業上の利用可能性】
【0050】
以上述べた本発明にかかる画像形成装置は、複写機などの画像形成装置を始めとして、プリンタ等の多種多様な画像形成装置に対して広く適用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明を適用する画像形成装置としての複写機の構造の一例を表した縦断面 説明図である。
【図2】従来の複写機における外観斜視説明図である。
【図3】図1に示された複写機の転写ユニット部を開放した状態を表した外観斜視説 明図である。
【図4】本発明の一実施形態においてドラムユニット凄搭載した状態を表した内部斜 視図である。
【図5】本発明の一実施形態におけるドラムユニットの外観構造を表した外観斜視説 明図である。
【図6】本発明の一実施形態において現像装置を加圧状態としたドラムユニット周り の概略構造を表した正面説明図である。
【図7】本発明の一実施形態において現像装置を加圧解除状態としたドラムユニット 周りの概略構造を表した正面説明図である。
【図8】本発明の一実施形態におけるドラムユニット搭載状態を表した内部斜視説明 図である。
【図9】本発明の一実施形態において、解除レバー、保持手段、転写ユニット、現像 装置を解除した状態におけるドラムユニット周りの正面断面図である。
【図10】本発明の一実施形態における感光ドラムの駆動経路及びその機構を拡大して表した正面説明図である。
【図11】感光ドラム駆動経路におけるカップリング機構の一例を表した外観斜視説明図である。
【図12】感光ドラム駆動経路におけるカップリング機構の断続機構の一例を表した外観斜視説明図である。
【図13】本発明の一実施形態における感光ドラムの駆動経路を解除した状態を表した正面説明図である。
【図14】本発明の一実施形態における感光ドラムの駆動経路のギア噛み合い状態を表した側面説明図である。
【図15】感光ドラム駆動経路におけるカップリング機構の切替状態を表したものであって、(a)は接続状態を表した外観斜視説明図及び側面説明図、(b)は解除状態を表した外観斜視説明図及び側面説明図である。
【図16】本発明の一実施形態における感光ドラムの駆動経路に配置された減速ギアを拡大して表した縦断面説明図である。
【図17】感光ドラム駆動経路におけるカップリング機構の接続状態を表した外観斜視説明図である。
【図18】感光ドラム駆動経路におけるカップリング機構の解除状態を表した外観斜視説明図である。
【図19】一般の感光ドラムの駆動経路及びその機構を拡大して表した正面説明図である。
【図20】一般の感光ドラムの他の駆動経路及びその機構を拡大して表した正面説明図である。
【符号の説明】
【0052】
1 ドラムユニット
2 装置本体部
3 転写ユニット
4 保持手段
4a 回転中心穴
4b 係止板
4c リンク溝
4d テーパ部
5 現像装置
6 解除レバー(解除手段)
10 保持手段(ビス)
11 光学手段
100 感光ドラム
101 帯電手段
102 光線
103 トナー撹拝手段
104 転写ローラ
105 定着手段
106 レジストローラ
107 支点部
108 現像スリーブ
109 トナー容器
110 クリーナ容器
111 トナーボトル
112 コロ
113 ドラムユニット引き出し把手
114 前側壁
115 後側壁
116 回動軸
117 フック
118 フック受け
119 回動支点(現像)
120 現像加圧軸
120a 連結ピン
121 カム
122 バネ
123 レール
124 ドラムユニット位置決めボス/穴
125 回転軸ユニット
151 感光ドラム回転軸
152 感光ドラム駆動ギア
152a 駆動軸
152b カップリング凹部
151a カップリング凸部
152c 回転中心軸部
152dギア部
153 第一の感光ドラム駆動ギア支持体
153a 軸受部
152c 中心軸部
154 第二の感光ドラム駆動ギア支持体
154a 軸受部
155 モータ
155a ピニオン
156 減速ギア
156a 入力ギア
156b 出力ギア
156c,156d 突起
156e 固定軸
160 減速ギア押え部材
160a 支点
160b 傾斜カム部
159 付勢ばね

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成用の像担持体を備え、装置本体部から引き出し可能に構成された像担持体ユニットと、
前記像担持体上に形成された画像を記録材に転写させる転写ローラを備え、前記像担持体ユニットに対して離間可能に設けられた転写ユニットと、
前記像担持体上にトナーを供給する現像スリーブを備え、前記像担持体ユニットに対して離間可能に配置された現像装置と、
前記像担持体ユニットを前記装置本体部に対して係止または解除可能とするように構成された保持手段と、
を具備した画像形成装置において、
前記装置本体部から前記像担持体ユニットを引き出す際の前記像担持体ユニットに対する前記転写ユニット及び現像装置の離間操作、並びに前記保持手段による像担持体ユニットの解除操作とを、一度の操作で行う解除手段を備え、
前記解除手段は、前記像担持体ユニットに設けられた引き出し手段を当該像担持体ユニットの装着時には覆い、かつ引き出し時には開放するように構成されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記解除手段は、当該解除手段の回動と同期して前記現像装置及び保持手段を回動させるようにリンク接続されているとともに、
前記保持手段は、当該保持手段の回動と同期して前記転写ユニットを解除させるようにリンク接続されていることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記転写ユニットは、前記装置本体部に対して開閉可能に取り付けられた開閉ドア部に固定され、
前記開閉ドア部の開放操作によって前記転写ユニットの離間操作が行われるように構成されていることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記解除手段は、前記装置本体部から前記像担持体ユニットを引き出す際に前記装置本体部から前記像担持体ユニットへの駆動伝達経路を切断する構成になされていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記解除手段は、前記像担持体ユニットに対する前記現像装置の離間機構に連動して前記像担持体ユニットへの駆動伝達経路を切断する構成になされていることを特徴とする請求項4記載の画像形成装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate


【公開番号】特開2007−148395(P2007−148395A)
【公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−297911(P2006−297911)
【出願日】平成18年11月1日(2006.11.1)
【出願人】(000208743)キヤノンファインテック株式会社 (1,218)
【Fターム(参考)】