説明

画像形成装置

【課題】電子写真プロセスに用いられる感光体ドラムの除電装置の設計工数を低減することができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】感光体ドラム上に形成した静電潜像を、トナーを用いて現像し、記録紙に転写し、定着させることにより、当該記録紙に画像を形成する画像形成部と、基板371の一方面371aに取り付けられた発光ダイオードLEDを発光させて、感光体ドラムに光を照射することにより当該感光体ドラムを除電する除電加熱部37とを備えた。また、基板371の他方面371bには、感光体ドラムを加熱するための抵抗素子Rを取り付けるための電極パットP1,P2を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真プロセスによる画像形成を行う画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機、プリンタ、あるいはファクシミリ等の電子写真プロセスを利用した画像形成装置においては、感光体ドラムの表面に静電潜像を形成し、この像をトナー現像して顕像化する。この種の画像形成においては、不要な帯電、潜像等を消去する目的で、感光体ドラムの表面に光線を投射して除電する除電装置を備えるものがある。
【0003】
この除電装置は、光源として、例えば複数個のLED(Light Emitting Diode)が、基板上に略等間隔に直線状に取り付けられて構成されている。そして、LEDからの除電用の光が感光体ドラムの表面に照射されることによって、不要な帯電や潜像等が除去されるようになっている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
また、感光体ドラム、特にアモルファスシリコンを感光体として用いた感光体ドラムは空気中の水分を吸着しやすく、感光体ドラムが水分を吸着すると、感光体ドラムの表面抵抗が低下し、特に静電潜像のエッジで表面電位が低下することにより、画像品質が低下するいわゆる像流れ現象が発生することが知られている。
【0005】
そこで、感光体ドラムをヒータによって暖め、感光体ドラム表面の水分を蒸発させて吸湿を抑制することで、いわゆる像流れ現象の発生を抑制するようにした画像形成装置が知られている(例えば、特許文献2参照。)。
【特許文献1】特開2003−76234号公報
【特許文献2】特開2004−191790号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上述の像流れ現象は、設計段階で事前に発生を予測することが難しく、必ずしも像流れ抑制用のヒータを設けなくても像流れ現象が発生しない場合もある。このような場合に像流れ抑制用のヒータを設けるとコストの上昇を招くため、従来、感光体ドラムを用いて電子写真プロセスによる画像形成を行う画像形成装置を設計する際には、まず、像流れ抑制用のヒータを設けない構成で設計を行い、試作機を用いた評価試験の結果により、像流れ現象が発生する場合に新たに像流れ抑制用のヒータを設計し、追加するようにしていた。
【0007】
しかしながら、試作機を用いた評価試験の結果により像流れ抑制用のヒータを追加すると、像流れ抑制用のヒータを新たに設計する設計工数の増大を招くという不都合があり、特に、ヒータを取り付ける基板設計コストの増大が大きいという不都合があった。
【0008】
本発明は、このような問題に鑑みて為された発明であり、電子写真プロセスに用いられる感光体ドラムの像流れ抑制用のヒータの設計工数を低減することができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る画像形成装置は、感光体ドラム上に形成した静電潜像を現像し、記録紙に転写させることにより、当該記録紙に画像を形成する画像形成部と、基板の一方面に取り付けられた発光素子を発光させて前記感光体ドラムに光を照射することにより、当該感光体ドラムを除電する除電部とを備え、前記基板の他方面には、前記感光体ドラムを加熱するための発熱体を取り付けるための取付部が設けられているものである。
【0010】
この構成によれば、感光体ドラム上に形成された静電潜像が現像され、記録紙に転写されて画像が形成される。そして、除電部における基板の一方面に取り付けられた発光素子が発光して感光体ドラムに光が照射され、感光体ドラムが除電される。さらに、除電部における基板の他方面には、感光体ドラムを加熱するための発熱体を取り付けるための取付部が設けられているので、いわゆる像流れ現象の発生を低減させるために感光体ドラムを加熱する必要がある場合には、取付部に発熱体を取り付けるだけでよく、像流れ現象の発生を低減させるために像流れ抑制用のヒータを新たに設計する必要がないので、電子写真プロセスに用いられる感光体ドラムの像流れ抑制用のヒータの設計工数を低減することができる。
【0011】
また、前記取付部は、複数の前記発熱体をそれぞれ取り付けるべく複数設けられていることが好ましい。
【0012】
この構成によれば、いわゆる像流れ現象の発生を低減させるために感光体ドラムを加熱する必要がある場合には、複数の取付部に複数の発熱体を取り付けることができる結果、感光体ドラムを加熱するために必要な発熱量を複数の発熱体に分担させることが可能となり、発熱体一個あたりの発熱量を低減することができるので、発熱体として発熱量が小さく入手が容易な部品を使用することが容易となる。
【0013】
また、前記発光素子及び前記発熱体は、表面実装用チップ部品であり、前記取付部は、前記基板の他方面に形成された配線パターンからなる電極パッドであり、前記基板の一方面には、前記基板の他方面に形成された配線パターンと同一の配線パターンが形成されており、前記発光素子は、前記基板の一方面に形成された配線パターンにおける電極パッドに取り付けられていることが好ましい。
【0014】
この構成によれば、基板の一方面に形成される配線パターンと、基板の他方面に形成される配線パターンとが同一になるので、基板の両面で個別に配線パターンを設計する必要が無く、配線パターンの設計工数を低減することができる。
【0015】
また、前記除電部は、電源電圧を受電する受電端子を備え、前記発光素子は、前記受電端子により受電された電源電圧により発光し、前記取付部には、前記発熱体を発熱させるべく、前記受電端子により受電された電源電圧が供給されることが好ましい。
【0016】
この構成によれば、受電端子により受電された電源電圧が、発光素子と発熱体とへ供給されるので、発光素子を発光させるための電源電圧と発熱体を発熱させるための電源電圧として同一の電圧を用いることができる結果、電源電圧の供給回路を簡素化することができる。
【0017】
また、前記基板の他方面における取付部に、前記発熱体が取り付けられていることが好ましい。
【0018】
この構成によれば、除電部における基板の他方面に取り付けられた発熱体により、感光体ドラムを加熱して、いわゆる像流れ現象の発生を低減させることができるので、除電部の他に別途像流れ抑制用のヒータを設ける必要が無く、像流れ現象の発生を低減させることが容易となる。
【発明の効果】
【0019】
このような構成の画像形成装置は、感光体ドラム上に形成された静電潜像が、トナーを用いて現像され、記録紙に転写され、定着されて記録紙に画像が形成される。そして、除電部における基板の一方面に取り付けられた発光素子が発光して感光体ドラムに光が照射され、感光体ドラムが除電される。さらに、除電部における基板の他方面には、感光体ドラムを加熱するための発熱体を取り付けるための取付部が設けられているので、いわゆる像流れ現象の発生を低減させるために感光体ドラムを加熱する必要がある場合には、取付部に発熱体を取り付けるだけでよく、像流れ現象の発生を低減させるために像流れ抑制用のヒータを新たに設計する必要がないので、電子写真プロセスに用いられる感光体ドラムの像流れ抑制用のヒータの設計工数を低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明に係る実施形態を図面に基づいて説明する。なお、各図において同一の符号を付した構成は、同一の構成であることを示し、その説明を省略する。図1は、本発明に係る一実施形態に係る画像形成装置の一例であるプリンタの内部構成を示す断面図である。図1に示すプリンタ100は、タンデム型のカラープリンタであり、用紙11を収納する給紙部10と、用紙11を搬送する用紙搬送部20と、電子写真プロセスにより用紙11上に所定のトナー像を形成する4つの画像形成部30C,30M,30Y,30Bと、このトナー像を用紙11上に定着する定着部40と、プリンタ100内の各部に動作用の電力として例えばDC24Vの直流電源電圧を供給する電源部50とを備えている。
【0021】
給紙部10は、給紙カセット13内に積層載置された用紙11の束を給紙ローラ12の回転動作によって1枚ずつ給紙カセット13の出口側(図1の右側)に送り出し、用紙搬送部20に給紙するようになっている。
【0022】
用紙搬送部20は、給紙部10から給紙された用紙11を、反転ガイド24を介してフィードローラ対22およびレジストローラ対23によって用紙搬送ベルト27へ搬送する。用紙搬送ベルト27にはベルト駆動ローラ62及びベルト従動ローラ61が取り付けられており、このベルト駆動ローラ62、ベルト従動ローラ61が回転することによって用紙搬送ベルト27が走行し、用紙搬送ベルト27上の用紙11が上流側の画像形成部30Cから下流側の画像形成部30Bに向かって搬送される。
【0023】
上記4つの画像形成部は、それぞれシアン,マゼンダ,イエロー,ブラックの各色のトナーに応じて設けられており、上流側からシアントナーを有する画像形成部30C、マゼンダトナーを有する画像形成部30M、イエロートナーを有する画像形成部30Y、ブラックトナーを有する画像形成部30Bが直列に配置されている。これらの画像形成部30C,30M,30Y,30Bは、それぞれ例えばアモルファスシリコン(a−Si)感光体を用いて構成された円筒状の感光体ドラム31C,31M,31Y,31Bの周囲に、その回転方向に沿って順に、帯電器32C,32M,32Y,32B、露光器33C,33M,33Y,33B、現像器34C,34M,34Y,34B、転写ローラ35C,35M,35Y,35B、除電加熱部37C,37M,37Y,37B(除電部)、及びクリーナー36C,36M,36Y,36Bがそれぞれ配設されて構成されている。
【0024】
以下の説明において、シアン(C),マゼンダ(M),イエロー(Y),ブラック(B)の各色のトナーに応じて設けられた各構成部分を総称する場合にはアルファベットの添え字を省略した参照符号で示し、個別の構成を指す場合にはアルファベットの添え字を付した参照符号で示す。
【0025】
図2は、図1に示す感光体ドラム31と除電加熱部37との位置関係の一例を示す模式図である。図2に示すように、除電加熱部37は、プリント配線基板である基板371と、基板371における感光体ドラム31との対向面である一方面371aに取り付けられた発光ダイオードLED(発光素子)と、基板371における一方面371aの裏面である他方面371bに取り付けられた抵抗素子R(発熱体)とを備えて構成されている。
【0026】
図3は、図1に示す除電加熱部37の詳細な構成の一例を示す模式図である。図3(a)は、除電加熱部37における一方面371a側を示し、図3(b)は、除電加熱部37における他方面371b側を示している。図3に示す除電加熱部37は、基板371における一方面371aに、電源部50から例えばDC24Vの電源電圧を受電するスルーホールからなる受電端子372,373と、受電端子372,373により受電された電源電圧により発光する発光ダイオードLED1〜LED18(発光素子)と、電流制限抵抗R1〜R3とを備え、基板371における他方面371bに、受電端子372,373により受電された電源電圧により発熱する抵抗素子R11〜R31を備えて構成されている。
【0027】
なお、受電端子372,373は、スルーホールに限らず、コネクタであってもよい。発光ダイオードLED1〜LED18、及び抵抗素子R11〜R31としては、例えば略箱形の表面実装用チップ部品が用いられる。以下、発光ダイオードLED1〜LED18を総称して発光ダイオードLEDと称し、抵抗素子R11〜R31を総称して抵抗素子Rと称する。
【0028】
除電加熱部37は、より詳細には、一方面371aに、発光ダイオードLED1〜LED6と電流制限抵抗R1との直列回路と、発光ダイオードLED7〜LED12と電流制限抵抗R2との直列回路と、発光ダイオードLED13〜LED18と電流制限抵抗R3との直列回路とが並列に接続されて、その並列回路の一端に受電端子372が接続され、他端に受電端子373が接続されている。これにより、電源部50から受電端子372,373を介して発光ダイオードLED1〜LED18へ電力が供給され、発光ダイオードLED1〜LED18から、感光体ドラム31を除電するための光が放射されるようになっている。
【0029】
また、受電端子372,373は、一方面371aから基板371を貫通して他方面371bに達しており、除電加熱部37の他方面371bに、抵抗素子R11〜R17の直列回路と、抵抗素子R18〜R24の直列回路と、抵抗素子R25〜R31の直列回路とが並列に接続されて、その並列回路の一端に受電端子372が接続され、他端に受電端子373が接続されている。これにより、電源部50から受電端子372,373を介して抵抗素子R11〜R31へ電力が供給され、抵抗素子R11〜R31が発熱して感光体ドラム31が加熱されることにより、いわゆる像流れ現象の発生が低減されるようになっている。
【0030】
図4は、発光ダイオードLED及び抵抗素子Rを基板371に取り付けるための取付部374の一例を示す図である。図中、波線Pは、発光ダイオードLED及び抵抗素子Rの外形線を示すと共に、発光ダイオードLED及び抵抗素子Rの取付位置を示している。図4に示すように、取付部374は、波線Pで示す取付位置に発光ダイオードLEDや抵抗素子Rを載置すると、発光ダイオードLEDや抵抗素子Rの両端に形成された電極にそれぞれ接触するように、配線パターンで電極パットP1,P2が形成されている。発光ダイオードLEDを取り付けるための複数の電極パットP1,P2は、一方面371aに、発光ダイオードLEDの外形寸法、例えば2.0mm×1.2mmに対応させて設けられ、抵抗素子Rを取り付けるための複数の電極パットP1,P2は、他方面371bに、抵抗素子Rの外形寸法、例えば3.2mm×1.6mmに対応させて設けられている。
【0031】
電極パットP1,P2には、電力供給用の配線パターンが接続されており、波線Pで示す取付位置に発光ダイオードLEDや抵抗素子Rを載置し、発光ダイオードLED及び抵抗素子Rの両端に形成された電極を電極パットP1,P2にはんだ付けすることにより、発光ダイオードLEDや抵抗素子Rが基板371に取り付けられるようになっている。
【0032】
なお、電極パットP1,P2を、発光ダイオードLEDと抵抗素子Rとの両方の外形寸法に対応する形状にし、一方面371aと他方面371bとに形成される配線パターンを同一にすることにより、基板371の両面で個別に配線パターンを設計する必要が無く、配線パターンの設計工数を低減したり、基板371の露光プロセスに用いられるマスク枚数を減らしてマスクのコストを低減することができる。この場合、一方面371a用の受電端子372,373と、他方面371b用の受電端子372,373とを個別に設けてもよく、例えば受電端子372,373を基板371における長手方向の中央に設けることにより、一方面371aの受電端子372,373と、他方面371bの受電端子372,373との位置を一致させることで、一対の受電端子372,373で発光ダイオードLEDと抵抗素子Rとの両方へ電源電圧を供給するようにしてもよい。
【0033】
除電加熱部37の発熱量は、例えば3Wである。そうすると、除電加熱部37には、複数の抵抗素子R、例えば21個の抵抗素子Rが取り付けられているので、抵抗素子R一つあたりの発熱量が低減されて0.14Wとなり、抵抗素子Rとして電力定格の小さい表面実装用チップ部品を用いることが容易となる。
【0034】
また、除電加熱部37において、抵抗素子Rは7個直列にされた直列回路が3並列にされているので、抵抗素子Rの直列回路1列あたり、1Wとなる。電源部50から受電端子372,373へ供給される電源電圧を例えばDC24Vとすると、抵抗素子Rの直列回路一列あたりに流れる電流Iは、
I=P/V
=1/24
=41.7[mA]となる。
【0035】
抵抗素子Rの直列回路1列あたりの抵抗値rは、
r=V/I
=24/41.7×10−3
=576[Ω]となる。
【0036】
抵抗素子Rは7個直列なので、抵抗素子R一つの抵抗値rは、
=576/7
=82.3[Ω]となり、抵抗素子R11〜R31として82Ω程度の抵抗を用いることができる。
【0037】
この場合、抵抗素子R11〜R31として82Ω程度の抵抗を用いることで、受電端子372,373により受電された電源電圧を、発光ダイオードLEDと抵抗素子Rとへ供給し、発光ダイオードLEDを発光させるための電源電圧と抵抗素子Rを発熱させるための電源電圧として同一の電圧を用いることができる結果、電源部50は単一のDC24Vを出力するだけでよく、電源部50の回路を簡素化することができる。
【0038】
なお、発熱体として抵抗素子を用いる例を示したが、サーミスタや電熱線等、種々の発熱体を用いることができる。また、発光ダイオードLED及び抵抗素子Rは、表面実装用チップ部品に限られず、リード部品であってもよい。そして、取付部は、電極パットに限られず、例えばスルーホールやコネクタであってもよい。
【0039】
次に、上述のように構成されたプリンタ100の動作について説明する。まず、帯電器32C,32M,32Y,32Bによって、感光体ドラム31C,31M,31Y,31Bの表面がそれぞれ帯電され、露光器33C,33M,33Y,33Bから所望の画像に対応する光を照射することにより感光体ドラム31C,31M,31Y,31Bの表面電位がそれぞれ選択的に減衰されて各色に対応する静電潜像が形成される。続いて現像器34C,34M,34Y,34Bに、それぞれのトナータンク39C,39M,39Y,39Bから各色のトナーが適宜供給され、現像器34C,34M,34Y,34Bにより、感光体ドラム31C,31M,31Y,31Bの表面の静電潜像がそれぞれ各色のトナーにより現像されて各色のトナー像が形成される。次いで用紙搬送ベルト27により搬送されてきた用紙11上に、転写ローラ35C,35M,35Y,35Bによりこの各色のトナー像が重ねて転写されることによって、カラーのトナー像が形成される。その後定着部において、カラートナー像が転写された用紙11が加熱ローラ41と加圧ローラ42とで挟んで熱と圧力が加えられ、上記カラートナー像が定着されることにより、用紙11上にカラー画像が形成される。さらに、カラー画像の形成された用紙11が、排出ローラ対25によって排出トレイ26上に排出される。
【0040】
一方、感光体ドラム31C,31M,31Y,31Bからトナー像が用紙11上に転写された後、除電加熱部37C,37M,37Y,37Bによって、感光体ドラム31C,31M,31Y,31Bの表面にそれぞれ光が照射されて感光体ドラム31C,31M,31Y,31Bの表面電荷が除電されると共に、感光体ドラム31C,31M,31Y,31Bが加熱されて表面の水分が蒸発され、吸湿が抑制されることで、いわゆる像流れ現象の発生が抑制される。
【0041】
次いで、例えばファーブラシやゴムブレードを用いて構成されたクリーナー36C,36M,36Y,36Bによって、感光体ドラム31C,31M,31Y,31Bの表面がそれぞれ清浄され、感光体ドラム31C,31M,31Y,31Bの表面に残留したトナーやその添加剤等が除去される。
【0042】
ところで、従来より、電子写真プロセスを利用した画像形成装置においては、感光体ドラムの周囲には、帯電器、露光器、現像器、転写ローラ、除電装置、及びクリーナーが隙間なく対向配置されているため余分なスペースがなく、感光体ドラムの周囲に像流れ抑制用のヒータを配置することが困難であった。そのため、像流れ抑制用のヒータを感光体ドラムから離れた位置に配設したり、例えば特許文献2に記載の画像形成装置のように感光体ドラムと当接しつつ回転する中間転写体を加熱することにより、間接的に感光体ドラムを暖めたりしていたため、像流れ抑制用のヒータとして発熱量の大きなものを使用する必要があった。
【0043】
一方、図2に記載の除電加熱部37によれば、感光体ドラム31の近傍に対向配置される除電加熱部37における基板371の他方面371bに、発熱体である抵抗素子Rを設けることができるので、上述のように感光体ドラムから離れた位置にヒータを配設したり、中間転写体を加熱して間接的に感光体ドラムを暖めたりするものと比較して、除電加熱部37の発熱量を低減することができる。これにより、上述のような従来用いられているヒータが例えば15Wであった場合、除電加熱部37における抵抗素子R11〜R31の発熱量を、例えば1/4程度の3〜4W程度に低減することが容易となる。
【0044】
また、図2に記載の除電加熱部37によれば、感光体ドラム31の近傍において、局所的に感光体ドラム31を加熱することができるので、感光体ドラムから離れた位置にヒータを配設したり、中間転写体を加熱して間接的に感光体ドラムを暖めたりする場合と比較して、加熱する必要のない感光体ドラム以外の構成部分が除電加熱部37により加熱されることが低減され、感光体ドラム以外の構成部分が加熱されることにより特性劣化する等の弊害が低減される。
【0045】
さらに、図2に記載の除電加熱部37によれば、除電加熱部37に抵抗素子R11〜R31を取り付けない状態での試作機を用いた評価試験の結果により、いわゆる像流れ現象が発生しなければそのまま除電加熱部37に抵抗素子R11〜R31を取り付けずに使用すればよく、いわゆる像流れ現象が発生する場合には他方面371bにおける取付部374に抵抗素子R11〜R31を取り付けることにより、感光体ドラム31を加熱して像流れ現象の発生を抑制することができる。
【0046】
従って、図2に記載の除電加熱部37によれば、試作機を用いた評価試験の結果により像流れ抑制用のヒータを追加する必要が生じた場合であっても、像流れ抑制用のヒータを新たに設計する設計工数の増大を招くことがなく、電子写真プロセスに用いられる感光体ドラムの像流れ抑制用のヒータの設計工数を低減することができる。
【0047】
なお、画像形成装置は、カラーに限定されず、モノクロの画像形成装置であってもよく、プリンタに限定されず、複写機、ファクシミリ、及びこれらの複合機等、種々の画像形成装置であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明に係る一実施形態に係る画像形成装置の一例であるプリンタの内部構成を示す断面図である。
【図2】図1に示す感光体ドラムと除電加熱部との位置関係の一例を示す模式図である。
【図3】図1に示す除電加熱部の詳細な構成の一例を示す模式図である。(a)は、除電加熱部における一方面側を示し、(b)は、除電加熱部における他方面側を示している。
【図4】発光ダイオード及び抵抗素子を基板に取り付けるための取付部の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0049】
30C,30M,30Y,30B 画像形成部
31,31C,31M,31Y,31B 感光体ドラム
32C,32M,32Y,32B 帯電器
33C,33M,33Y,33B 露光器
34C,34M,34Y,34B 現像器
35C,35M,35Y,35B 転写ローラ
36C,36M,36Y,36B クリーナー
37,37C,37M,37Y,37B 除電加熱部
40 定着部
41 加熱ローラ
42 加圧ローラ
50 電源部
100 プリンタ
371 基板
371a 一方面
371b 他方面
372,373 受電端子
374 取付部
LED,LED1〜LED18 発光ダイオード
R,R11〜R3 抵抗素子
R1,R2,R3 電流制限抵抗
P1,P2 電極パット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
感光体ドラム上に形成した静電潜像を現像し、記録紙に転写させることにより、当該記録紙に画像を形成する画像形成部と、
基板の一方面に取り付けられた発光素子を発光させて前記感光体ドラムに光を照射することにより、当該感光体ドラムを除電する除電部と
を備え、
前記基板の他方面には、前記感光体ドラムを加熱するための発熱体を取り付けるための取付部が設けられていること
を特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記取付部は、複数の前記発熱体をそれぞれ取り付けるべく複数設けられていること
を特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記発光素子及び前記発熱体は、表面実装用チップ部品であり、
前記取付部は、前記基板の他方面に形成された配線パターンからなる電極パッドであり、
前記基板の一方面には、前記基板の他方面に形成された配線パターンと同一の配線パターンが形成されており、
前記発光素子は、前記基板の一方面に形成された配線パターンにおける電極パッドに取り付けられていること
を特徴とする請求項1又は2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記除電部は、電源電圧を受電する受電端子を備え、
前記発光素子は、前記受電端子により受電された電源電圧により発光し、
前記取付部には、前記発熱体を発熱させるべく、前記受電端子により受電された電源電圧が供給されること
を特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記基板の他方面における取付部に、前記発熱体が取り付けられていること
を特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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