説明

画像形成装置

【課題】予め設定したタイミングで確実に合紙を用紙間に挿入させることができ、かつ、作業性を向上した画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成装置は、画像を転写された用紙間に合紙を挿入するインサータを備える。合紙は、用紙間に挿入されるタイミングに関する情報を備える。また、画像形成装置は、情報を読取る読取りセンサ(S12)と、読取りセンサにより読取った情報から合紙が用紙間に挿入されるタイミングであるか否かを判断する判断手段(S13)と、判断手段により合紙が用紙間に挿入されるタイミングであれば合紙を用紙間に挿入する挿入手段(S15)とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、画像形成装置に関し、特に、画像を転写された用紙間に合紙を挿入するインサータを備える画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置には、例えば、転写された用紙の間に厚紙やカラー紙、OHP(Over Head Projector)シートといった合紙を挿入させるインサータを備えるものがある。このインサータを用いることにより、転写された用紙間に合紙を挿入でき、製本等を容易に行うことができる。
【0003】
インサータを備えた画像形成装置の構成について、簡単に説明する。まず、画像形成装置内の画像形成部において画像を形成し、給紙部から搬送された用紙に転写する。その後、転写された用紙を搬送する。ここで、インサータは、転写された用紙の間に挿入するように所定のタイミングで合紙を供給する。このようにして、転写された用紙間に合紙が挿入された用紙の束を得ることができる。
【0004】
なお、このようなインサータを備えた画像形成装置が、例えば、特開2003−2526号公報(特許文献1)に開示されている。
【特許文献1】特開2003−2526号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
インサータを備える画像形成装置において、例えば、合紙が重送した場合や予め設定した順序で給紙部にセットされていない場合には、合紙を挿入するタイミングがずれて、ユーザの意図しない合紙が用紙間に挿入されることになる。したがって、ユーザは、印刷の途中や印刷が終了した後において、予め設定したタイミングで合紙が用紙間に挿入されているか否かを確認する必要がある。このような作業は、ユーザの負担となる。
【0006】
ここで、特許文献1によると、画像形成装置の動作を所定の期間毎に中断して、予め設定したタイミングで合紙が挿入されているか否かをユーザに確認させるようにしている。しかし、この場合でもユーザ自身が合紙の挿入位置を確認する必要があるため、ユーザの作業は煩雑となってしまう。
【0007】
この発明の目的は、予め設定したタイミングで確実に合紙を用紙間に挿入させることができ、かつ、作業性を向上した画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明に係る画像形成装置は、画像を転写された用紙間に合紙を挿入するインサータを備える。合紙は、用紙間に挿入されるタイミングに関する情報を備える。また、画像形成装置は、情報を読取る読取りセンサと、読取りセンサにより読取った情報から合紙が用紙間に挿入されるタイミングであるか否かを判断する判断手段と、判断手段により合紙が用紙間に挿入されるタイミングであれば合紙を用紙間に挿入する挿入手段とを備える。
【0009】
好ましくは、判断手段は、合紙が挿入されるタイミングでなければ、ユーザにその旨を通知する通知手段を備える。
【0010】
さらに好ましくは、合紙を保管する保管トレイを備え、判断手段は、合紙が挿入されるタイミングでなければ、合紙を保管トレイに搬送する。
【0011】
さらに好ましくは、情報は、バーコードによって表示されており、バーコードは、合紙の表面に備えられている。
【発明の効果】
【0012】
この発明によると、合紙に備えられたタイミングに関する情報を読取りセンサで読取り、この情報を基に、用紙間に挿入されるタイミングの合紙であるか否かを判断して用紙間に挿入することができる。そうすると、予め設定したタイミングで確実に合紙を用紙間に挿入することができる。この場合、印刷時および印刷終了時において、ユーザは、合紙の挿入位置を確認する必要はない。したがって、作業性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、この発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。図1は、この発明の一実施形態に係る画像形成装置をデジタル複合機とした場合のデジタル複合機10の構成を示すブロック図である。また、図2は、図1に示すデジタル複合機10の模式図である。図1および図2を参照して、デジタル複合機10は、本体部26と、用紙P間に厚紙やカラー紙、OHPシート等の合紙Pを挿入するインサータ25と、用紙Pを排出するフィニッシャ24とを備える。
【0014】
本体部26は、デジタル複合機10全体を制御する制御部11と、画像データ等の書き込みや読み出しを行うためのDRAM12と、デジタル複合機10の有する情報を表示する表示部を含み、デジタル複合機10におけるユーザとのインターフェイスとなる操作部13と、原稿を自動的に所定の原稿読取り位置へ搬送する原稿送り装置14と、原稿送り装置14によって搬送されてきた原稿の画像を所定の読取り位置でスキャナで読取る画像読取り部15と、感光体31、転写ローラ32、および定着ローラ33a、33bを含み、画像読取り部15で読取られた原稿等からその画像を形成し、用紙Pに転写する画像形成部16と、画像データ等を長期間格納するハードディスク17と、公衆回線20に接続されるFAX通信部18と、ネットワーク21と接続するためのネットワークIF(インターフェイス)部19とを備える。また、本体部26は、転写する用紙Pを給紙する複数の用紙給紙部23a、23bを備える。
【0015】
制御部11は、画像読取り部15から与えられる原稿データをDRAM12に圧縮符号化して書き込み、DRAM12に書き込んだデータを読み出し、伸張符号化して画像形成部16により画像を形成する。
【0016】
デジタル複合機10は、画像読取り部15により読取られた原稿を用いて、DRAM12を介して画像形成部16において画像を形成することにより、複写機として作動する。また、デジタル複合機10は、ネットワークIF部19を通じて、ネットワーク21に接続されたパソコン22から送信された画像データを用いて、DRAM12を介して画像形成部16において画像を形成することにより、プリンターとして作動する。さらに、デジタル複合機10は、FAX通信部18を通じて、公衆回線20から送信された画像データを用いて、DRAM12を介して画像形成部16において画像を形成することにより、また、画像読取り部15により読取られた原稿の画像データを、FAX通信部18を通じて公衆回線20に画像データを送信することにより、ファクシミリ装置として作動する。
【0017】
なお、図1において太線の矢印は画像データの流れを示しており、細線の矢印は制御信号または制御データの流れを示している。
【0018】
インサータ25は、合紙Pを給紙する合紙給紙部28を備える。合紙給紙部28には、合紙Pを搬送する合紙搬送路29dが設けられている。フィニッシャ24は、用紙P間に合紙Pが挿入された用紙Pの束を排出することが可能な排出トレイ27を備える。フィニッシャ24およびインサータ25は、図2に示す通り、用紙Pおよび合紙Pの搬送路29a、29b、29cが繋がるように、画像読取り部15や画像形成部16等から構成される本体部26と並列して配置される。
【0019】
用紙Pは、用紙給紙部23a、23bから画像形成部16に搬送され、感光体31や転写ローラ32、定着ローラ33a、33bによって、形成された画像を転写される。その後、本体部26の搬送路29a、インサータ25内の搬送路29bおよびフィニッシャ24内の搬送路29cを通って、フィニッシャ24の排出トレイ27に排出される。また、合紙Pは、合紙給紙部28に設けられた合紙搬送路29dを介して、搬送路29bおよびフィニッシャ24内の搬送路29cを通って、排出トレイ27に排出される。
【0020】
次に、排出される合紙Pについて説明する。図3は、挿入される合紙Pを示す図である。図3を参照して、合紙Pは、厚紙やカラー紙、OHPシート等のような特殊用紙であってもよいし、既に印刷された普通紙であってもよい。すなわち、合紙Pとしては、画像形成部16による画像の形成を意図しない紙が挙げられる。
【0021】
ここで、合紙Pには、後述する読取りセンサ30によって読取り可能な情報として、バーコード36が設けられている。バーコード36は、合紙Pの表面のうち、隅に近い部分に設けられている。バーコード36に備えられる情報は、例えば、用紙Pの束を作る際に、束の先頭となる合紙Pである旨の情報や所定の用紙P間に挿入させる合紙Pである旨の情報等、予め設定した合紙Pが用紙P間に挿入されるタイミングに関する情報である。このようにバーコード36を合紙Pの表面に備えることにより、読取りセンサ30によって、容易に、バーコード36の情報を読取ることができる。
【0022】
再び、図1および図2に戻って、合紙給紙部28には、合紙Pに設けられたバーコード36の情報を読取り可能な読取りセンサ30が設けられている。読取りセンサ30は、載置トレイ35から合紙搬送路29dに向かう部分の上方に設けられている。読取りセンサ30は、合紙給紙部28から合紙Pを給紙する際に、具体的には、載置トレイ35から合紙搬送路29dに搬送する際に、合紙Pに設けられたバーコード36の情報を読取ることができる。ここで、バーコード36は、合紙Pの表面に備えられているため、読取りセンサ30によって、容易にバーコード36の情報を読取ることができる。
【0023】
フィニッシャ24には、合紙Pを保管する保管トレイ34が設けられている。フィニッシャ24は、合紙Pを搬送路29cから分岐させ、保管トレイ34に搬送することができる。
【0024】
次に、デジタル複合機10によって、用紙P間に合紙Pを挿入する場合について簡単に説明する。図4は、この場合における制御部11の動作を示すフローチャートである。図1〜図4を参照して、合紙Pは、用紙Pの印刷開始と共に合紙給紙部28から給紙される(図4において、ステップS11、以下、ステップを省略する)。ここで、合紙給紙部28から給紙される際、すなわち、載置トレイ35から合紙搬送路29dに搬送される際に、読取りセンサ30によって、合紙Pに設けられたバーコード36の情報を読取る(S12)。このようにして、合紙Pの挿入されるタイミングに関する情報を得る。
【0025】
次に、合紙Pの挿入されるタイミングに関する情報を基に、合紙Pが用紙P間に挿入されるタイミングの合紙Pであるか否かを判断する(S13)。この場合、制御部11は、判断手段として作動する。
【0026】
ここで、バーコード36から得られた合紙Pの情報により、合紙Pが挿入されるタイミングの合紙Pでないと判断すれば(S13において、NO)、その合紙Pを搬送路29b、29cに搬送した後に分岐し、保管トレイ34に保管する(S14)。その後、再び次の合紙Pを給紙し、読取りセンサ30によってバーコード36の情報を読取り、用紙P間に挿入されるタイミングの合紙Pであるか否かを判断する。用紙P間に挿入されるタイミングの合紙Pが搬送されるまで、読取りセンサ30によって順次搬送されてきた合紙Pのバーコード36の情報を読取り、判断する。
【0027】
合紙搬送路29dに搬送された合紙Pにおいて、用紙P間に挿入されるタイミングの合紙Pであれば(S13において、YES)、この合紙Pを合紙搬送路29dから搬送路29b、29cに搬送し、合紙Pを用紙P間に挿入する(S15)。ここで、制御部11は、挿入手段として作動する。その後、設定された枚数まで印刷し、終了する(S16)。このようにして用紙P間に合紙Pを挿入させる。
【0028】
このように構成することにより、合紙Pに備えられたタイミングに関する情報を基に、用紙P間に挿入されるタイミングの合紙Pであるか否かを判断することができる。そうすると、予め設定したタイミングで確実に合紙Pを用紙P間に挿入することができる。この場合、印刷時および印刷終了時において、ユーザが合紙Pの挿入位置を確認する必要はない。したがって、作業性を向上させることができる。
【0029】
特に、種類の異なる複数の合紙P群を順序通り合紙給紙部28にセットし、順序通りに用紙P間に合紙P群を挿入していた途中で紙詰まりが発生した場合でも、合紙P群のうち先頭の合紙Pとなるまで、先頭以外の合紙Pを保管トレイ34に保管した後、先頭の合紙Pから用紙P間に挿入させることができる。
【0030】
なお、上記の実施の形態においては、合紙Pが挿入されるタイミングでないと判断した場合には、保管トレイ34に合紙Pを保管することにしたが、これに限らず、操作部13の表示部において、合紙Pが挿入されるタイミングの合紙Pでない旨のメッセージを表示し、これと共にデジタル複合機10の動作を停止することにしてもよい。こうすることにより、予め設定されたタイミングの合紙Pでないことをユーザに知らせることができる。そうすると、挿入されるタイミングの合紙Pを合紙給紙部28にセットさせる等の操作を促すことができる。
【0031】
また、上記の実施の形態においては、合紙Pの表面にバーコード36を設けることにしたが、これに限らず、合紙Pの側面や裏面にバーコード36を設けることにしてもよい。また、予め設定された用紙P間に挿入される合紙Pのタイミングに関する情報をバーコード36により表示することにしたが、バーコード36に限らず、特殊な暗号や記号、合紙Pの表面全体に設けられた電子透かし等により構成することにしてもよい。さらに、バーコード36をシール状として合紙Pに貼付し、用紙P間に合紙Pを挿入した後に合紙Pから取り除くことが可能な構成としてもよい。
【0032】
なお、上記の実施の形態においては、読取りセンサ30はインサータ25内に設けることにしたが、これに限らず、フィニッシャ24等に設けることにしてもよい。また、保管トレイ34はフィニッシャ24に設けることにしたが、これに限らず、インサータ25に設けることにしてもよい。
【0033】
また、上記の実施の形態については、デジタル複合機を用いてコピーする場合について説明したが、これに限らず、デジタル複合機が有する他の機能によって画像を形成する場合についても適用される。
【0034】
以上、図面を参照してこの発明の実施形態を説明したが、この発明は、図示した実施形態のものに限定されない。図示した実施形態に対して、この発明と同一の範囲内において、あるいは均等の範囲内において、種々の修正や変形を加えることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】この発明の一実施形態に係るデジタル複合機の全体構成を示すブロック図である。
【図2】この発明の一実施形態に係るデジタル複合機の全体構成を示す模式図である。
【図3】バーコードが設けられた合紙を示す図である。
【図4】挿入されるタイミングの合紙であるか否かを判断する場合の制御部の動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0036】
10 デジタル複合機、11 制御部、12 DRAM、13 操作部、14 原稿送り装置、15 画像読取り部、16 画像形成部、17 ハードディスク、18 FAX通信部、19 ネットワークIF部、20 公衆回線、21 ネットワーク、22 パソコン、23a,23b 用紙給紙部、24 フィニッシャ、25 インサータ、26 本体部、27 排出トレイ、28 合紙給紙部、29a,29b,29c 搬送路、29d 合紙搬送路、30 読取りセンサ、31 感光体、32 転写ローラ、33a,33b 定着ローラ、34 保管トレイ、35 載置トレイ、36 バーコード。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を転写された用紙間に合紙を挿入するインサータを備える画像形成装置であって、
前記合紙は、前記用紙間に挿入されるタイミングに関する情報を備え、
前記画像形成装置は、前記情報を読取る読取りセンサと、
前記読取りセンサにより読取った前記情報から前記合紙が前記用紙間に挿入されるタイミングであるか否かを判断する判断手段と、
前記判断手段により前記合紙が前記用紙間に挿入されるタイミングであれば前記合紙を前記用紙間に挿入する挿入手段とを備える、画像形成装置。
【請求項2】
前記判断手段は、前記合紙が挿入されるタイミングでなければ、ユーザにその旨を通知する通知手段を備える、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記合紙を保管する保管トレイを備え、
前記判断手段は、前記合紙が挿入されるタイミングでなければ、前記合紙を前記保管トレイに搬送する、請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記情報は、バーコードによって表示されており、
前記バーコードは、前記合紙の表面に備えられている、請求項1〜3のいずれかに記載の画像形成装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2008−127170(P2008−127170A)
【公開日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−315067(P2006−315067)
【出願日】平成18年11月22日(2006.11.22)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】