説明

画像形成装置

【課題】 開閉カバーと手差しトレイの回動方向及び用紙搬送ユニットの引き出し方向がすべて装置本体の同一面側であり、また、手差しトレイが開閉カバーの一部を構成し、且つ開閉カバーとともに開放されるように構成されており、更に、手差しトレイが用紙搬送ユニットとともに引き出されるよう構成された画像形成装置において、開閉カバーを開放したままでも、用紙搬送ユニットを引き出すことができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】 開閉カバー24とともに手差しトレイ6が開放された際、手差しトレイ6の上端部6bが水平となるように、手差しトレイ6が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、プリンタ等の画像形成装置において、用紙を搬送する用紙搬送ユニットが、画像形成装置本体に対して引き出し可能に設けられている画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、プリンタ等の画像形成装置では、装置本体の底部に用紙が収容される給紙カセットが装置本体に対して着脱可能に備えられており、給紙カセットの上方に配設されたピックアップローラ等から構成される分離給送手段によって、給紙カセットに収容された用紙を1枚ずつ順に送り出し、搬送ローラによって画像形成部及び定着部へと搬送することにより、用紙上に画像を形成するよう構成されている。
【0003】
ここで、上記のように構成された画像形成装置においては、給紙カセットから供給される用紙が、画像形成部又は定着部の用紙搬送方向上流側又は下流側で詰まってしまいジャムを発生することがある。このような場合に、ジャム処理を容易且つ迅速に行うことを可能とするために、上述した分離給送手段や搬送ローラを用紙搬送ユニットとしてユニット化し、装置本体に対して引き出し可能に構成した画像形成装置が開発されている(例えば、特許文献1)。
【0004】
また、一般的に画像形成装置においては、給紙カセットに収容されている用紙と異なるサイズ又は種類の用紙を用いる場合に、その都度、目的の用紙を給紙カセットに収容し直さなくても良いように、給紙カセットを介さず用紙を供給することのできる手差しトレイが備えられているものが多いが、この手差しトレイから供給された用紙が紙詰まりを生じた際に、ジャム処理が容易に行えるよう手差しトレイも前述の用紙搬送ユニットと一体に引き出せるように構成した画像形成装置が開発されている(例えば、特許文献2)。
【0005】
ところで、画像形成装置では、装置内部に配設されている中間転写体等をメンテナンスしたり、トナーが充填されているトナー容器を交換したりするために、外装カバーの一部に開閉可能な開閉カバーが設けられているが、特許文献2に記載の画像形成装置では、この開閉カバーの開放方向と、前述した手差しトレイ及び用紙搬送ユニットを引き出し操作する方向を装置本体前面側に統一することによって、これらの作業性をさらに向上させている。
【0006】
また、特許文献2に記載の画像形成装置では、装置本体の小型化を図るため手差しトレイは装置本体に対して開閉可能に構成され、更に、装置本体の部品点数の削減を図るため、閉鎖された手差しトレイが装置本体の外装カバーの一部を構成するようになっている。そして、この手差しトレイが配置された装置本体前面側の一部の外装カバーがメンテナンス等のために開閉可能な開閉カバーとなっているが、より開口部を大きくするために、開閉カバーと手差しトレイの回動支点を同心軸上に設け、開閉カバーが開放された際には手差しトレイも開閉カバーとともに開放されるように構成し、メンテナンス等の作業性の向上が図られている。
【特許文献1】特開2003−177649号公報
【特許文献2】特開2006−184855号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献2に記載された画像形成装置のように、開閉カバーの開放方向と手差しトレイ及び用紙搬送ユニットを引き出し操作する方向を装置本体前面側に統一した場合には、用紙のジャムが発生した際に、ユーザが用紙搬送ユニットを引き出さず、間違って開閉カバーを開放することがある。この時、開閉カバーを開放しても詰まった用紙を視認することができないため、ユーザは用紙搬送ユニットを引き出す必要があることに気付き、開閉カバーを閉鎖することなく用紙搬送ユニットを引き出してしまうことがあった。
【0008】
ここで、特許文献2に記載の画像形成装置100では、図6のように開閉カバー101とともに手差しトレイ102が開放された状態で、用紙搬送ユニット103が装置本体前面側(図6において右側)に引き出されると、手差しトレイ102の上端部102aが開閉カバー101の内側縁101aに接触してしまい、この手差しトレイ102の上端部102aが変形若しくは破損してしまうおそれがあった。そのため、開閉カバー101を閉じた後、用紙搬送ユニット103を引き出さなければならず、ジャム処理時の作業性が良くなかった。
【0009】
本発明においては上述の事情に鑑み、開閉カバーと手差しトレイの回動方向及び用紙搬送ユニットの引き出し方向がすべて装置本体の同一面側であり、また、手差しトレイが開閉カバーの一部を構成し、且つ開閉カバーとともに開放されるように構成されており、更に、手差しトレイが用紙搬送ユニットとともに引き出されるよう構成された画像形成装置において、開閉カバーを開放したままでも、用紙搬送ユニットを引き出すことができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために本発明は、外装カバーの側面に下端を回動支点として開閉可能に構成された開閉カバーと、前記開閉カバーの一部を構成し、前記開閉カバーの回動支点を中心に、独立して開閉可能に構成された手差しトレイと、を備え、前記手差しトレイと、該手差しトレイから供給された用紙が搬送される手差し搬送経路とが用紙搬送ユニットとしてユニット化されており、該用紙搬送ユニットが装置本体から引き出し可能に構成された画像形成装置において、前記手差しトレイは、前記開閉カバーと共に開放された状態において上端部及び側端部が前記開放カバーに囲まれており、前記上端部の前記開閉カバーの内縁部と対峙する面が水平若しくは内面側に下り勾配となるように形成されていることを特徴としている。
【0011】
また本発明は、上記構成の画像形成装置において、前記装置本体下部には、用紙束が収容される給紙カセットが備えられており、前記用紙搬送ユニットには、前記給紙カセットから用紙を供給するピックアップローラ及びフィードローラ、並びに用紙を転写領域へと搬送する用紙搬送経路がユニット化されていることを特徴としている。
【0012】
また本発明は、上記構成の画像形成装置において、前記給紙カセットは装置本体から引き出し可能に構成されており、前記用紙搬送ユニットを前記装置本体から引き出す際には、同時に前記給紙カセットが引き出されることを特徴としている。
【発明の効果】
【0013】
本発明の第1の構成によれば、手差しトレイが、開放された状態において、その上端部が水平若しくは上端部の高さが内側縁に近づくに従って低くなるように形成されていることにより、手差しトレイが開閉カバーとともに開放された状態で用紙搬送ユニットを装置本体から引き出しても、手差しトレイの上端部が、開閉カバーの内側縁に接触して、手差しトレイの上端部が変形若しくは破損してしまうことがないため、開閉カバーを開放したままで用紙搬送ユニットを引き出すことができ、ジャム処理の作業性を向上させることができる。
【0014】
また、本発明の第2の構成によれば、上記第1の構成の画像形成装置において、用紙搬送ユニットを装置本体から引き出すことによって、用紙搬送経路及び手差し搬送経路を装置本体の外部に露出させることができるため、用紙搬送経路又は手差し搬送経路でジャムした用紙を容易に取り除くことができる。
【0015】
また、本発明の第3の構成によれば、上記第2の構成の画像形成装置において、用紙が給紙カセットと用紙搬送経路と跨った状態でジャムを生じた場合に、用紙搬送ユニットを引き出す際に、用紙が破損することが防止されるため、用紙の除去が容易となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。図1は本発明に係る画像形成装置の概略構成図であり、一例としてカラーレーザプリンタを図示している。図2は手差しトレイを開放した状態を示す全体斜視図であり、図3はトナーコンテナを取り外す途中を示す全体斜視図である。なお、図1においては、右側が画像形成装置の前方側である。
【0017】
画像形成装置本体1の下部には、用紙束を収容する給紙カセット2が設けられており、この給紙カセット2の用紙送り出し側(図1において右側)の上方には、収容された用紙Pを最上位紙から順に送り出すピックアップローラ3が配設され、更にその用紙搬送方向下流側には、ピックアップローラ3によって送り出された用紙Pを更に下流側へと搬送するフィードローラ4が配設されている。
【0018】
そして、給紙カセット2には、フィードローラ4に圧接されるようにリタードローラ5が配設されており、ピックアップローラ3から複数の用紙Pが同時に送り出された場合には、フィードローラ4とリタードローラ5とのニップ部で用紙Pを捌くことにより、重送が防止されるようになっている。なお、この給紙カセット2は、装置本体1に対して着脱可能に構成されており、装置本体1前面側に引き出すことにより取り外すことができる。
【0019】
また、装置本体1前面側には、外装カバーの一部を構成するように手差しトレイ6が設けられている。この手差しトレイ6は、下端部が装置本体1に対して回動支点6aによって回動自在に支持され、これを中心に回動して開閉可能に構成されており、図2に示すように、手差しトレイ6を開放することによって、手差しトレイ6上に用紙を載置することができる。そして、回動支点6aの近傍には、手差しトレイ6に載置された用紙Pを後述する用紙搬送経路R1へと搬送する手差し搬送経路R2が設けられており、この手差し搬送経路R2に沿って給紙ローラ7が配置されている。
【0020】
また、フィードローラ4の上方には、給紙カセット2又は手差しトレイ6から供給され用紙Pを、装置本体1後方へと搬送する反転ローラ8が配置されている。そして、装置本体1内には、反転ローラ8から用紙Pを装置本体1後方へと搬送する用紙搬送経路R1が設けられており、この用紙搬送経路R1に沿って、用紙搬送方向上流から順に反転ローラ8、レジストローラ対9、二次転写ローラ10及び定着ローラ対11が配置されている。
【0021】
用紙搬送経路R1の上方には、中間転写体である中間転写ベルト12が回転自在に配設されている。中間転写ベルト12は、駆動ローラ13、従動ローラ14、テンションローラ15及び一次転写ローラ16に張架されており、駆動ローラ13が回転駆動されることにより、上記のローラとともに矢印Aのように時計方向に回転されるようになっている。なお、この中間転写ベルト12には誘電体樹脂製のシートが用いられ、その両端部を互いに重ね合わせて接合しエンドレス形状にしたベルトや、継ぎ目を有しない(シームレス)ベルトが好適に用いられる。
【0022】
そして、駆動ローラ13は中間転写ベルト12を介して上記二次転写ローラ10と当接し二次転写領域を形成し、中間転写ベルト12の回転方向においてこの当接部(二次転写領域)の下流側にクリーニングローラ17が駆動ローラ13に対向するように中間転写ベルト12に圧接されている。また、一次転写ローラ16は中間転写ベルト12を介して像担持体である感光体ドラム18と当接している。
【0023】
感光体ドラム18は図示しない駆動装置によって反時計方向に回転駆動され、その回転方向に沿って上方から順に接触型帯電器である帯電ローラ19、現像ユニット20、上記一次転写ローラ16、クリーニングユニット21が配設されている。帯電ローラ19は感光体ドラム18の上部でこれに当接して、感光体ドラム18の回転に従動して回転する。そしてクリーニングユニット21の上方には、現像ユニット20へとトナーを供給するトナーコンテナ22が配置されており、現像ユニット20の上方には、既知の光学系を利用したレーザー光学ユニット23が配置されている。
【0024】
なお、装置本体1内に配置されているトナーコンテナ22は、トナー補給作業を容易にするため装置本体1に対して着脱自在に構成されており、トナーコンテナ22の着脱作業を行えるよう装置本体1前面側の一部の外装カバーが、開閉可能な開閉カバー24となっている。そして、図3に示すように、この開閉カバー24を、回動支点24aを中心に回動させ開放することによりこの部分が開口し、この開口からトナーコンテナ22の交換作業を行うことができるようになっている。
【0025】
また、本発明に係る装置本体1では、開閉カバー24を開放することによって形成される開口をより大きくし、この開口から中間転写ベルト12等のメンテナンスも行うことができるようにするために、装置本体1前面側は、給紙カセット2を除いてほぼ全面が開閉カバー24となっている。そのため、前述した手差しトレイ6もこの開閉カバー24の一部となっており、開閉カバー24の回動支点24aを、手差しトレイ6の回動支点6aと同心軸上に設けることにより、手差しトレイ6が開閉カバー24とともに開閉できるようになっており、開閉カバー24が開放されるとこれと同時に手差しトレイ6も開放するように構成されている。
【0026】
現像ユニット20は、全体が略円筒形状であり、その両端部で回転自在に支持されている。この現像ユニット20の内部は、十字型の仕切り壁により4つの部屋に区切られ、ここにブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)及びイエロー(Y)の各色のトナーに対応して4つの現像器25K,25C,25M及び25Yがそれぞれ構成されている。なお、図示する現像器の配置は一例であって、これには限定されるものではない。
【0027】
各現像器25K〜25Yは、個別に回転駆動される現像ローラ26,27,28及び29をそれぞれ備えている。また、現像ユニット20には、図示しない駆動部が接続されており、この駆動部を駆動することで現像ユニット20が回転して、各現像器25K〜25Yの現像ローラ26〜29のうちのいずれかを選択的に感光体ドラム18に対向配置させ、現像動作が行われるようになっている。
【0028】
そして、用紙搬送経路R1の下流端部には、これに連続するように画像定着後の用紙Pを上方に搬送し排出トレイ30へと排出する排紙経路R3が設けられており、排紙経路R3に沿って搬送ローラ対31が配置され、排紙経路R3の下流端部には排出ローラ対32が配置されている。また、搬送ローラ対31及び排出ローラ対32は両面印刷を行う場合におけるスイッチバックローラの役割も兼ねており、排紙経路R3の上流端部には、これに連続するように搬送ローラ対31及び排出ローラ対32によってスイッチバックされた用紙Pを、再度二次転写領域へと搬送する両面印刷搬送経路R4が設けられている。
【0029】
この両面印刷搬送経路R4は、排紙経路R3の上流端部から装置本体1の下方へと延び、給紙カセット2上部で用紙搬送方向を装置本体1前方へ変え、その下流端部は反転ローラ8の下流、且つレジストローラ対9の上流で用紙搬送経路R1と合流するように形成されており、この両面印刷搬送経路R4に沿って、用紙搬送方向上流から順に両面搬送ローラ対33,34及び35が配置されている。
【0030】
上記のように構成された画像形成装置による画像形成動作について、まず片面印刷時の動作について説明する。感光体ドラム18が回転駆動されることにより、帯電ローラ19が従動回転し、感光体ドラム18の表面が一様に帯電される。そして、入力された画像信号に基づいて、レーザー光学ユニット23が動作し、帯電後の感光体ドラム18上にレーザー光が照射され、感光体ドラム18の表面に静電潜像が形成される。こうして形成された静電潜像は現像ユニット20によって上記のようにして現像され、一次転写ローラ16によって、時計方向に回転する中間転写ベルト12上に一次転写されることとなる。
【0031】
すなわち、モノクロ画像形成の場合には、現像器25Kの現像ローラ26のみを静電潜像の形成された感光体ドラム18に対向配置させてブラックのトナー像を感光体ドラム18上に形成し、感光体ドラム18上に形成されたブラックのトナー像を一次転写ローラ16によって、回転する中間転写ベルト12上に転写してモノクロ画像が形成される。
【0032】
また、カラー画像形成の場合には、駆動部を駆動することで現像ユニット20を回転させ、4つの現像器25K〜25Yの各現像ローラ26〜29を順次選択的に感光体ドラム18に対向配置させ、各色のトナー像を感光体ドラム18上に形成し、感光体ドラム18上に形成された各色のトナー画像を、一次転写ローラ16によって順次回転する中間転写ベルト12上に転写し、これらを重ね合わせてカラー画像が形成される。なお、カラー画像形成の場合、一次転写動作中にはクリーニングローラ17は中間転写ベルト12より離間されている。
【0033】
そして、所定の二次転写領域において、給紙カセット2又は手差しトレイ6から供給され、さらにレジストローラ対9により用紙搬送経路R1を搬送されてきた用紙P上に、二次転写ローラ10によって中間転写ベルト12上のモノクロ画像又はカラー画像が一括で二次転写される。このようにしてモノクロ画像又はカラー画像が転写された用紙Pは、用紙搬送経路R1を搬送され、定着ローラ対11により用紙P上のトナー像が加熱されて定着される。定着後、用紙Pは用紙搬送経路R1から排紙経路R3へと搬送され、搬送ローラ対31及び排出ローラ対32によって排出トレイ30へ排出される。
【0034】
なお、一次転写されずに感光体ドラム18上に残ってしまう未転写トナーは、クリーニングユニット21で除去され、二次転写されずに中間転写ベルト12上に残った未転写トナーはクリーニングローラ17によって除去される。除去されたトナーは回収スクリューなどのトナー回収装置によって図示しない廃棄ボトルへと搬送される。
【0035】
次に、両面印刷時の動作について説明する。先ず、前述した片面印刷時と同様に用紙Pの表面に画像が形成される。そして、片面印刷を終えた用紙Pは用紙搬送経路R1から排紙経路R3を経て排出トレイ30へと排出されるが、ここで両面印刷の場合には、用紙Pの後端が排紙経路R3へ進入すると搬送ローラ対31及び排出ローラ対32の回転方向が逆転し、用紙Pは装置本体1内へと引き戻される。引き戻された用紙Pは、用紙搬送経路R1には戻らず、両面印刷搬送経路R4へと搬送される。
【0036】
そして、両面印刷搬送経路R4に搬送された用紙Pは、両面搬送ローラ対33,34及び35によって搬送され、用紙搬送経路R1のレジストローラ対9の上流へ戻され、前述した片面印刷時と同様にして残る裏面にも画像が形成された後、用紙搬送経路R1及び排紙経路R3を経て、排出トレイ30へ排出される。
【0037】
以上のように構成された画像形成装置では、装置本体1内を搬送される用紙Pが用紙搬送経路R1や両面印刷搬送経路R4の途中で詰まってしまいジャムを発生することがある。そのため、図1において破線で囲む部分が用紙搬送ユニット36としてユニット化され、装置本体1に対して引き出し可能に構成されており、この用紙搬送ユニット36を取り外すことによって、ジャム処理を容易に行うことができるようになっている。
【0038】
以下、図1、図4及び図5を参照して、用紙搬送ユニット36について説明する。図4は用紙搬送ユニットを引き出した状態を示す全体斜視図であり、図5は開閉カバーを開放した状態を示す部分断面図である。
【0039】
図1に破線で示すように、用紙搬送経路R1の一部と、用紙搬送経路R1に沿って配置されたピックアップローラ3、フィードローラ4、反転ローラ8、レジストローラ対9及び二次転写ローラ10と、手差し搬送経路R2と、両面印刷搬送経路R3及び両面印刷搬送経路R3に沿って配置された両面搬送ローラ対34,35が用紙搬送ユニット36としてユニット化されている。
【0040】
また、手差しトレイ6から給紙を行った際に、用紙Pが手差しトレイ6と手差し搬送経路R2を跨いだ位置で詰まってしまうこともあるため、このような場合のジャム処理を容易にするため、手差しトレイ6も用紙搬送ユニット36と一体に引き出されるよう構成されている。更に、用紙Pが給紙カセット2と用紙搬送経路R1とを跨いだ位置で詰まることもあるため、用紙搬送ユニット35を引き出す際には、同時に給紙カセット2も引き出されるようになっている。
【0041】
そして、ジャムが発生した場合には、図4に示すように、用紙搬送ユニット36を装置本体1前面側に引き出すことによって、手差し搬送経路R2と、用紙搬送経路R1及び両面印刷搬送経路R3の一部を装置本体1の外部に露出させることができ、このように用紙搬送ユニット36を装置本体1から引き出すことによって、各搬送経路でジャムした用紙Pを容易に取り除くことができる。
【0042】
ここで、ジャム処理を行う際に、ユーザが用紙搬送ユニット36を引き出さず、間違って開閉カバー24を開放することがある。この時、開閉カバー24を開放しても詰まった用紙Pを視認することができないため、ユーザが開閉カバー24を閉鎖することなく用紙搬送ユニット36を引き出すことがある。そのため、本発明に係る画像形成装置1では、手差しトレイ6の上端部6bが所定の角度を有するテーパ状に形成されており、図5に示すように、開閉カバー24とともに手差しトレイ6が開放された際、手差しトレイ6の上端部6bが、水平となるように構成されている。
【0043】
これにより、開閉カバー24を開放した状態で用紙搬送ユニット36を装置本体1前面側(図5において右側)に引き出しても、手差しトレイ6の上端部6bが、開閉カバー24の内側縁24bに接触して、手差しトレイ6の上端部6bが変形若しくは破損してしまうことがないため、開閉カバー24を開放したままで用紙搬送ユニット36を引き出すことができ、ジャム処理の作業性を向上させることができる。
【0044】
なお、手差しトレイ6の上端部6bのテーパ角度は、上述のように、開閉カバー24とともに手差しトレイ6が開放された際の、手差しトレイ6の上端部6bと内側縁24bとが対峙する面が、水平となるように形成する他、手差しトレイ6の上端部6bと内側縁24bとが対峙する面が、内面側に近づくに従って低くなるような傾斜面としても同様の効果を得ることができる。
【0045】
その他、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能であり、例えば、上記実施形態では手差しトレイ6の上端部6bをテーパ状に形成しているが、これは、手差しトレイ6が開放された際、手差しトレイ6の上端部6bが、外面側から内面側に近づくに従って高さが低くなるようになっていれば、円弧状に形成されていても良い。
【0046】
また、上記実施形態では、図1に破線で囲んだ部分を用紙搬送ユニット36としてユニット化しているが、用紙搬送ユニットはこの構成に限るものではなく、例えば、手差しトレイ6及び手差し搬送経路R2のみを用紙搬送ユニットとしても良い。また更に、上記実施形態では、画像形成装置の一例として、カラーレーザプリンタを例示し、これについて説明したが、本発明の構成はモノクロプリンタであっても適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明は、複写機、プリンタ等の画像形成装置において、用紙を搬送する用紙搬送ユニットが装置本体に対して引き出し可能に設けられている画像形成装置に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】は、本発明に係る画像形成装置の側面断面図である。
【図2】は、手差しトレイを開放した状態を示す全体斜視図である。
【図3】は、トナーコンテナを取り外す途中を示す全体斜視図である。
【図4】は、用紙搬送ユニットを引き出した状態を示す全体斜視図である。
【図5】は、開閉カバーを開放した状態を示す部分断面図である。
【図6】は、従来の手差しトレイ及び開閉カバーの構成を示す部分断面図である。
【符号の説明】
【0049】
1 画像形成装置
2 給紙カセット
3 ピックアップローラ
4 フィードローラ
6 手差しトレイ
6a 回動支点
6b 上端部
7 給紙ローラ
8 反転ローラ
9 レジストローラ対
10 二次転写ローラ
24 開閉カバー
24a 回動支点
24b 内側縁
33,34,35 両面搬送ローラ対
36 用紙搬送ユニット
R1 用紙搬送経路
R2 手差し搬送経路
R3 排紙経路
R4 両面印刷搬送経路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外装カバーの側面に下端を回動支点として開閉可能に構成された開閉カバーと、
前記開閉カバーの一部を構成し、前記開閉カバーの回動支点を中心に、独立して開閉可能に構成された手差しトレイと、を備え、
前記手差しトレイと、該手差しトレイから供給された用紙が搬送される手差し搬送経路とが用紙搬送ユニットとしてユニット化されており、該用紙搬送ユニットが装置本体から引き出し可能に構成された画像形成装置において、
前記手差しトレイは、前記開閉カバーと共に開放された状態において上端部及び側端部が前記開放カバーに囲まれており、前記上端部の前記開閉カバーの内縁部と対峙する面が水平若しくは内面側に下り勾配となるように形成されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記装置本体下部には、用紙束が収容される給紙カセットが備えられており、
前記用紙搬送ユニットには、前記給紙カセットから用紙を供給するピックアップローラ及びフィードローラ、並びに用紙を転写領域へと搬送する用紙搬送経路がユニット化されていることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記給紙カセットは装置本体から引き出し可能に構成されており、前記用紙搬送ユニットを前記装置本体から引き出す際には、同時に前記給紙カセットが引き出されることを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−83442(P2008−83442A)
【公開日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−263932(P2006−263932)
【出願日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】