説明

画像形成装置

【課題】一般的な厚紙を使用する際にも、画像の劣化を抑制することが可能な画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成装置1は、転写ローラ22と転写ローラ22に対向する対向部材21との間において用紙PAを通過させて、用紙PAにトナー像を転写する。また、画像形成装置1は、用紙PAの搬送経路上に配置される用紙変形部50を備えている。用紙変形部50は、用紙PAの端部を裁断して用紙PAの端部の形状を変形させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式等の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式等の画像形成装置の転写部では、トナー像が形成された転写ベルト等と転写ローラとの間を用紙が通過し、当該用紙にトナー像が転写される。また、当該用紙上に転写されたトナー像は定着部によって定着される。
【0003】
また、このような画像形成装置においては、比較的大きな厚さを有する「厚紙」が用紙として使用されることがある。
【0004】
そして、このような「厚紙」が使用されるときには、当該厚紙が定着部のローラ対の相互間に突入する際に、比較的大きな衝撃が生じ、この衝撃に起因して画像の乱れが生じることがある。
【0005】
そこで、このような問題に対処するため、特許文献1においては、その先端部を予め斜めに裁断した厚紙を用いることが記載されている。
【0006】
【特許文献1】特開平6−266147号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
また、定着部のローラ対の相互間に厚紙が突入する際ではなく、例えば、一次転写によってトナー像が形成される中間転写ベルトと二次転写ローラとの対向位置に厚紙が突入する際にも、同様に画像の乱れが生じる。
【0008】
具体的には、中間転写ベルトと二次転写ローラとの対向位置に厚紙の先端部が到達するときには、感光体ドラムから中間転写ベルトへの画像の一次転写が未だ実行されている。そのため、中間転写ベルトと転写ローラとの対向位置に厚紙の先端部が到達したときの衝撃により中間転写ベルトに急激な速度変化(速度低下)が生じると、感光体ドラムと中間転写ベルトとの間に相対的な速度変化が生じ、中間転写ベルトに転写される画像にも乱れが生じる。
【0009】
ところで、上記のような問題に対して、上記の従来技術のような対策を施した厚紙(すなわち用紙端部を予め斜めに裁断した厚紙)を用いることによれば、一定の効果を得ることが可能である。
【0010】
しかしながら、それ以外の厚紙(一般的な厚紙)では上記のような問題を回避することができない。
【0011】
そこで、この発明の課題は、一般的な厚紙を使用する際にも、画像の劣化を抑制することが可能な画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決すべく、請求項1の発明は、画像形成装置であって、転写ローラと前記転写ローラに対向する対向部材との間において用紙を通過させて、前記用紙にトナー像を転写する転写手段と、前記用紙の搬送経路上に配置され、前記用紙の端部を裁断して前記用紙の端部の形状を変形させる用紙変形手段とを備えることを特徴とする。
【0013】
請求項2の発明は、請求項1の発明に係る画像形成装置において、前記用紙変形手段は、前記用紙の先端部の断面を斜めに裁断する刃部を有することを特徴とする。
【0014】
請求項3の発明は、請求項1の発明に係る画像形成装置において、前記用紙変形手段は、前記用紙の先端部を当該用紙平面において斜めに裁断する刃部を有することを特徴とする。
【0015】
請求項4の発明は、請求項1ないし請求項3のいずれかの発明に係る画像形成装置において、前記用紙変形手段は、前記用紙の搬送経路上において前記転写手段よりも上流側に配置されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
請求項1ないし請求項4に記載の発明によれば、一般的な厚紙を使用する際にも、画像の劣化を抑制することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0018】
<1.第1実施形態>
<1−1.装置概要>
図1は、本実施形態に係る画像形成装置1の概略構成を示す図である。画像形成装置1は、像担持体上の静電潜像を現像して画像を形成する装置である。ここでは、画像形成装置として、電子写真装置、より詳細には、タンデム方式のフルカラー電子写真装置を例示する。
【0019】
図1に示すように、画像形成装置1は、複数(具体的には4つ)のイメージングユニット10(詳細には、10Y,10M,10C,10K)を備えている。画像形成装置1は、具体的には、イエローのイメージングユニット10Yと、マゼンタのイメージングユニット10Mと、シアンのイメージングユニット10Cと、ブラックのイメージングユニット10Kとを備えている。各イメージングユニット10は、それぞれ、最終出力画像のうちの各色成分(具体的には、Y(イエロー),M(マゼンタ),C(シアン),K(ブラック)の各成分)の画像を電子写真方式によって形成し、中間転写ベルト(中間転写体とも称される)21に転写する。そして、中間転写ベルト21上に重畳された各色成分の画像が、さらに用紙(記録紙)PAに転写されることによって、用紙PAにフルカラー画像が形成される。
【0020】
4つのイメージングユニット10(10Y,10M,10C,10K)は、駆動ローラ23と巻き掛けローラ24とに巻き掛けられた中間転写ベルト21の下側直線部分の主に下部において、当該下側直線部分に沿って直列に配置されている。各イメージングユニット10は、それぞれ、感光体(像担持体)11と帯電器12と露光器13と現像器14と第1転写器(1次転写器)15とイレーサ(除電器)16とクリーナ17とを有している。詳細には、各イメージングユニット10において、略円柱状の感光体11の外周を囲むように、帯電器12と露光器13と現像器14と第1転写器15とイレーサ16とクリーナ17とがこの順序で時計回りに配置されている。このうち、第1転写器15(詳細には転写ローラ)は、中間転写ベルト21を隔てて、感光体11と対向する位置に配置されている。
【0021】
中間転写ベルト21は、駆動ローラ23の駆動によって矢印AR1の向きに移動する。また、駆動ローラ23に対向する位置には、中間転写ベルト21を隔てて、2次転写ローラ22が設けられている。さらに、2次転写ローラ22等の下側(搬送経路上において上流側)には給紙部30が設けられている。給紙部30は、給紙トレイ31とフィードローラ32と給紙ローラ33とサバキローラ34とを備えており、タイミングローラ41,42および2次転写ローラ22に向けて、用紙PAを供給するように構成されている。また、2次転写ローラ22の位置を通過した用紙PAの搬送方向下流側には定着器45が設けられており、さらにその搬送方向下流側には排紙部46が設けられている。
【0022】
画像形成装置1は、ネットワーク等を介して接続された他の情報装置(パーソナルコンピュータ等)から伝送されてきた画像データに基づく画像を、上述のような印刷機構を用いて印刷出力することによって、カラーページプリンタとして機能する。なお、この画像形成装置1は、画像読取部(不図示)を使用して原稿を読み取り、読み取った画像データに基づく画像を上記印刷機構を用いて印刷出力することによってカラー複写機としても機能する。
【0023】
また、画像形成装置1は、用紙搬送経路において、中間転写ベルト21と2次転写ローラ22との対向位置(転写部ないし2次転写部とも称する)よりも上流側に(より詳細にはタイミングローラ41,42の位置よりも下流側に)、用紙変形部50をさらに備えている。次に、この用紙変形部50の構成等について詳述する。
【0024】
<1−2.用紙変形部>
図2および図3は、用紙変形部50の構成を示す図である。図2は、用紙変形部50の1つの構成要素(具体的には用紙端部変形ローラ51)を示す斜視図であり、図3は、用紙変形部50を示す断面図である。
【0025】
図2および図3に示すように、用紙変形部50(詳細には50A)は、用紙端部変形ローラ51(51A)と当該ローラ51に対向する対向ローラ52とを備えている。用紙端部変形ローラ51Aおよび対向ローラ52は、搬送される用紙の幅方向(図3の紙面奥行き方向)に伸びる回転軸をそれぞれ有しており、当該各回転軸を中心にそれぞれ回動する。この用紙変形部50Aは、刃部55A(次述)を用いて、用紙PAの先端部を用紙断面において斜めに裁断することによって、用紙先端部の断面形状を、矩形状の凸形状から比較的先鋭な凸形状(図9参照)へと変形する。
【0026】
図3の断面図に示されるように、用紙端部変形ローラ51Aは、回転軸部材58と当該回転軸部材58の外周表面を覆う弾性部材53とを有している。また、弾性部材53の一部は、突出部54として形成されている。突出部54は、図3の断面図に示すように、円筒形状の用紙端部変形ローラ51Aの周回方向(詳細にはその後側向き)に向けて突出しており、弾性部材53の近接表面との間に空隙部57を形成した状態で、弾性部材53の表面の一部を覆っている。また、突出部54は、用紙端部変形ローラ51Aの長手方向において用紙幅を超える範囲にわたって伸びている(図2も参照)。
【0027】
また、空隙部57においては、刃部55(詳細には55A)が設けられている。刃部55Aは、図3の断面図に示すように、用紙端部変形ローラ51Aの外側に向けて突出するように弾性部材53に埋設されている。詳細には、刃部55Aは、空隙部57において、用紙端部変形ローラ51Aの外周表面の接線方向と当該接線に垂直な方向との間の中間的な角度を有する状態で、突出部54に向けて若干上向きに突出するように設けられている。換言すれば、刃部55Aは、用紙端部変形ローラ51Aの外周表面の外向き法線方向に対して、用紙端部変形ローラ51Aの回転方向(時計回り)の前方側に向けて所定角度傾いた状態で設けられている。また、刃部55Aは、用紙端部変形ローラ51Aの長手方向において用紙幅を超える範囲にわたって直線状に伸びている(図2も参照)。この刃部55Aは、用紙PAの下流側端部(先端部)の一部を切除し、用紙PAの端面の断面形状を変更する。
【0028】
<1−3.動作>
次に、図4〜図8を参照しながら、印刷動作について、用紙PAの搬送動作等を中心に説明する。ここでは、用紙PAとして、厚紙用紙が選択されている場合を想定する。なお、これらの図では、便宜上、突出部54および刃部55A等が実際よりも誇張されて大きく描かれている。
【0029】
図4に示すように、用紙端部変形ローラ51Aは、刃部55Aと突出部54との間の空隙部57を用紙PAの進行方向に配置した状態で停止している。
【0030】
そして、図5に示すように、給紙部30により搬送経路の上流側(図5の下側)から搬送されてきた用紙PAが、タイミングローラ41,42(図1参照)の位置を通過し、刃部55Aと突出部54との間の空隙部57にまで到達すると、用紙端部変形ローラ51Aは回転を開始する。
【0031】
このとき、用紙端部変形ローラ51Aの刃部55Aの切削面は、用紙PAの下流側端部(先端部)の一方の平面(用紙PAの右側平面)において、用紙PAの先端部の端面に対して斜めに突入する。そして、用紙端部変形ローラ51Aが時計回りに回転するととともに、用紙端部変形ローラ51Aと対向ローラ52との間の押圧力が作用して、刃部55Aは、用紙PAに対して用紙PAの厚さ方向において更に深い位置にまで進行する(図6参照)。その後、さらに用紙端部変形ローラ51Aが回転すると、用紙PAの先端部は、刃部55Aによって切除される(図7参照)。
【0032】
さらに、用紙端部変形ローラ51Aの回転動作によって用紙PAは下流側へ向けて送り出される。用紙端部変形ローラ51Aが一回転して、対向ローラに対向する位置へと戻ってくると、用紙端部変形ローラ51Aは、その突出部54が刃部55Aを覆った状態で、対向ローラ52に接触しながら回転する(図8)。このように、刃部55Aは、突出部54によって保護された状態で回転するため、用紙PAは刃部55Aによって損傷を加えられずに済む。
【0033】
その後、用紙PAの後端側が用紙端部変形ローラ51Aと対向ローラ52との間を通過すると、用紙端部変形ローラ51Aは図4に示すような回転位置が実現されるように所定角度回転した後に停止し、次の用紙PAの到来を待機する。
【0034】
以上のような動作によって、用紙PAは、図9に示すように切除される。なお、図9は、切除後の用紙PAを示す図である。
【0035】
図9にも示すように、用紙PAの先端部の断面は、元の端面(用紙平面に垂直な面)に対して斜めに裁断されており、用紙先端部の断面形状は、矩形状の凸形状から比較的先鋭な凸形状へと変化している。端的に言えば、用紙PAの先端部端面は、薄くなっている。
【0036】
用紙変形部50によって先端部がこのように切断された用紙PAは、2次転写ローラ22と中間転写ベルト21との対向部分へと進行する。そして、中間転写ベルト21上のトナー像が用紙PAに転写される。その後、用紙PA上に転写されたトナー像が定着器45によって定着され、用紙PAが排紙部46に排出される。
【0037】
図10は、ニップ部N3と用紙PAとの接触面積と、用紙PAの突入時の衝撃との関係を示す図である。なお、ニップ部N3は、中間転写ベルト21と2次転写ローラ22との間に形成される挟持部である。
【0038】
図10に示すように、用紙PAの先端部が薄くなることなどによってニップ部N3と用紙PAとの接触面積が小さくなると、用紙PAの突入時の衝撃も小さくなる。
【0039】
上述したように、この実施形態においては、用紙PAの先端部端面が用紙端部変形ローラ51Aにより切除され、用紙PAの先端部の厚さは比較的小さくなっている。そのため、用紙PAが中間転写ベルト21と2次転写ローラ22との間に突入するときに発生する衝撃は、比較的小さくなる。
【0040】
ところで、用紙PAがニップ部N3に突入した時点においては、中間転写ベルト21から感光体(像担持体)11へのトナー像の転写動作(一次転写動作)がまだ継続されている。そして、このとき、用紙PAの先端部が中間転写ベルト21に到達したときの衝撃により中間転写ベルト21に急激な速度変化(速度低下)が生じると、感光体11と中間転写ベルト21との間に相対的な速度変化が生じ、中間転写ベルト21に転写される画像にも乱れが生じ得る。
【0041】
ただし、この実施形態においては、用紙PAがニップ部N3に突入する前に用紙変形部50によって用紙形状が上記のように変形されている。そのため、用紙PAの先端部がニップ部N3に突入する際には、斜めに裁断された用紙先端部がニップ部N3に突入することになる。具体的には、比較的薄い部分が先ずニップ部N3に突入し、その後、当該部分以外の部分が徐々にニップ部N3に突入していく。その結果、用紙PAの先端部が中間転写ベルト21と2次転写ローラ22との対向位置に到達した際の衝撃が低下するので、中間転写ベルト21に急激な速度変化(速度低下)が生じにくくなる。したがって、感光体11と中間転写ベルト21との間には相対的な速度変化が生じにくくなり、中間転写ベルト21に転写される画像には乱れが生じにくくなる。すなわち、用紙PAの突入時の衝撃による用紙PAの搬送速度の変化が画像に及ぼす影響を抑制することが可能である。
【0042】
また、同様に、用紙PAが定着器45のローラ対の相互間に突入する際の衝撃に起因する画像の劣化を抑制することも可能である。
【0043】
ここにおいて、上記の従来技術のような対策を施した厚紙を用いることによれば、一定の効果を得ることが可能であるが、それ以外の厚紙(一般的な厚紙)では上記のような問題を回避することができない。
【0044】
これに対して、この実施形態に係る画像形成装置1は、一般的な厚紙を用いる場合にも、内蔵された用紙変形部50を用いて用紙PAの端部を変形させることができるため、用紙PAと中間転写ベルト21との間に生じる衝撃等を低下させることができる。
【0045】
以上のように、上記の画像形成装置1によれば、一般的な厚紙を使用する際にも、画像の劣化を抑制することが可能である。また、特に、転写ローラ(詳細には2次転写ローラ22)と当該転写ローラに対向する対向部材(詳細には中間転写ベルト21)との間を用紙が通過する際の衝撃に起因する画像の劣化を抑制することが可能である。
【0046】
<2.第2実施形態>
第2実施形態は、第1実施形態の変形例である。上記第1実施形態においては、一直線状に伸びる刃部55Aを用いて、用紙PAの先端部の断面形状を変形する場合を例示したが、これに限定されない。例えば、用紙PAの幅方向において元の用紙先端部直線に対して斜行する刃部55Bを用いて、用紙PAの先端部の平面形状を変形するようにしてもよい。第2実施形態においては、このような変形例について例示する。以下では、第1実施形態との相違点を中心に説明する。
【0047】
図11および図12は、第2実施形態に係る用紙変形部50Bの構成を示す図である。図11は、用紙変形部50Bの或る要素(具体的には用紙端部変形ローラ51B)を示す斜視図であり、図12は、用紙変形部50Bを示す断面図である。
【0048】
図11および図12に示すように、用紙変形部50Bは、用紙端部変形ローラ51(51B)と当該ローラ51に対向する対向ローラ52とを備えている。用紙端部変形ローラ51Bおよび対向ローラ52は、搬送される用紙の幅方向に伸びる回転軸をそれぞれ有しており、当該各回転軸を中心にそれぞれ回動する。この用紙変形部50Bは、刃部55Bを用いて用紙先端部を斜めに裁断してその平面形状を変更することによって、用紙先端部と中間転写ベルト21との衝突時の衝撃を抑制する。
【0049】
図12の断面図に示されるように、用紙端部変形ローラ51Bは、用紙端部変形ローラ51Aと同様、その表面が弾性部材53で覆われている。また、当該弾性部材53の一部は、突出部54として形成されている。
【0050】
また、用紙変形部50Bは、突出部54と弾性部材53の表面との空隙部57において、刃部55Bを有している。
【0051】
刃部55Bは、図12の断面図に示すように、用紙端部変形ローラ51Bの外周表面の法線方向において外向きに突出するように設けられている。
【0052】
また、刃部55Bは、用紙端部変形ローラ51Bの長手方向において用紙幅を超える範囲にわたって伸びている(図11も参照)。ただし、用紙端部変形ローラ51Bの刃部55Bは、第1実施形態における一直線状の刃部55Aとは異なり、用紙端部変形ローラ51Bの外周面上において、「山」形状を構成するように設けられている。具体的には、刃部55Bは、用紙端部変形ローラ51Bの中央部CPから一端側にかけて、用紙端部変形ローラ51Bの軸線に対して徐々に下降するように斜行する斜行部56aと、用紙端部変形ローラ51Bの中央部CPから他端側にかけて徐々に下降するように斜行する斜行部56bとを有している。
【0053】
この第2実施形態においては、この刃部55Bを用いて、図4〜図8に示される動作と同様の動作が実行される。
【0054】
この第2実施形態では、特に、刃部55Bによる切除動作に伴って、用紙PAの先端部平面において当該先端部が元の端面直線に対して斜めに裁断される。具体的には、図13に示されるように、用紙PAの先端部(図13の破線で囲まれる領域付近)の平面形状が「山」型に変形される。なお、図13は、切除後の用紙PAを示す図である。
【0055】
そして、このような用紙形状の変化によって、用紙PAの先端部がニップ部N3に突入する際には、最初は「山」の「頂上」部分がまずニップ部N3に突入し、その後、頂上部分以外の「裾野」部分が徐々にニップ部N3に突入していく。そのため、用紙PAの先端部が中間転写ベルト21と2次転写ローラ22との対向位置に到達した際の衝撃が低下する。その結果、中間転写ベルト21に急激な速度変化(速度低下)が生じにくくなる。したがって、感光体11と中間転写ベルト21との間には相対的な速度変化が生じにくくなり、中間転写ベルト21に転写される画像には乱れが生じにくくなる。すなわち、用紙PAの突入時の衝撃が画像に及ぼす影響を抑制することが可能である。
【0056】
<3.その他>
以上、この発明の実施の形態について説明したが、この発明は上記説明した内容のものに限定されるものではない。
【0057】
例えば、上記実施形態においては、用紙変形部50がタイミングローラ41,42よりも下流側に設けられている場合を例示したが、これに限定されず、タイミングローラ41,42よりも上流側に設けられていてもよい。
【0058】
また、上記実施形態においては、2次転写ローラ22と中間転写ベルト21との対向部に用紙PAが突入する際の衝撃を抑制する場合について例示したが、これに限定されない。例えば、定着部のローラ対の相互間に突入する際の衝撃を抑制する場合に上記の思想を適用するようにしてもよい。具体的には、転写ローラに対向する感光体ドラム等から用紙に対してトナー像を直接転写する画像形成装置において、定着器(あるいは当該転写ローラ)よりも上流側に、上記と同様の用紙変形部50(50A,50B等)を配置するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】画像形成装置の概略構成を示す図である。
【図2】用紙端部変形ローラを示す斜視図である。
【図3】用紙変形部を示す断面図である。
【図4】用紙変形部における動作を示す図である。
【図5】用紙変形部における動作を示す図である。
【図6】用紙変形部における動作を示す図である。
【図7】用紙変形部における動作を示す図である。
【図8】用紙変形部における動作を示す図である。
【図9】切除後の用紙を示す図である。
【図10】用紙突入時の接触面積と用紙突入時の衝撃との関係を示す図である。
【図11】用紙端部変形ローラを示す斜視図である。
【図12】用紙変形部を示す断面図である。
【図13】切除後の用紙を示す図である。
【符号の説明】
【0060】
1 画像形成装置
10,10Y,10M,10C,10K イメージングユニット
21 中間転写ベルト
22 2次転写ローラ
30 給紙部
50,50A,50B 用紙変形部
51,51A,51B 用紙端部変形ローラ
52 対向ローラ
53 弾性部材
54 突出部
55,55A,55B 刃部
56a,56b 斜行部
57 空隙部
N3 ニップ部
PA 用紙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置であって、
転写ローラと前記転写ローラに対向する対向部材との間において用紙を通過させて、前記用紙にトナー像を転写する転写手段と、
前記用紙の搬送経路上に配置され、前記用紙の端部を裁断して前記用紙の端部の形状を変形させる用紙変形手段と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像形成装置において、
前記用紙変形手段は、前記用紙の先端部の断面を斜めに裁断する刃部を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1に記載の画像形成装置において、
前記用紙変形手段は、前記用紙の先端部を当該用紙平面において斜めに裁断する刃部を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の画像形成装置において、
前記用紙変形手段は、前記用紙の搬送経路上において前記転写手段よりも上流側に配置されることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2009−216781(P2009−216781A)
【公開日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−57756(P2008−57756)
【出願日】平成20年3月7日(2008.3.7)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】