説明

画像形成装置

【課題】省電力化を達成しつつ、イニシャル動作の実施に起因する動作音の発生機会をできるだけ抑制することができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】メイン制御部は、スリープ移行要求情報をコントローラから受信すると(♯11でYES)、ジャムセンサ部等の検知信号を取得し、該検知信号に基づき現在の画像形成装置における異常の有無を示す状態情報をサブ制御部に送信する(♯12)。サブ制御部は前記状態情報を記憶し(♯21でYES,♯22)、その後、通常モードへの切り替えを検出すると(♯23でYES)、状態情報をメイン制御部に送信する(♯24)。メイン制御部は、前記状態情報に基づき通常モードからスリープモードへの最近の切り替わり時の異常の有無を判断し(♯16)、異常有りの場合、各部にイニシャル動作を実行させ(♯17)、異常無しの場合、♯17の処理を実行しない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録媒体に画像を形成する画像形成装置の技術分野に属するものである。
【背景技術】
【0002】
複写機やファクシミリ等の画像形成装置における省電力化の技術として、当該画像形成装置の各部に対して電力を供給する通常モードの他に、前記各部のうち一部に対してのみ電力を供給する所謂スリープモード(省電力モード)を設け、画像形成装置に対する操作が所定時間何もなされなかった場合や、前記スリープモードに切り替える指示が画像形成装置に入力された場合に、画像形成装置のモードを前記通常モードからスリープモードに切り替える技術が広く採用されている。
【0003】
また、例えば下記特許文献1には、更なる省電力化を目的として、装置各部を制御するメイン制御部とは別に、該メイン制御部より低速のCPUと小容量のメモリとを備えるサブ制御部を搭載し、省電力モードでは、前記メイン制御部を停止して、サブ制御部のみを動作させる技術が提案されている。
【特許文献1】特開平08−101609号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、この種の画像形成装置にあっては、長時間放置されると、画像形成装置に搭載されるモータや、該モータによって駆動される各種のローラ等をはじめとする各部の状態が変化する可能性がある。このような各部の状態変化が生じると、ローラが回転せずに用紙が適切に搬送されなかったり、画像形成後の用紙に対してステイプル処理やソート処理などの所謂後処理を実行する後処理装置において、ホッチキスが適切に打たれなかったりする。
【0005】
そこで、従来では、前記駆動部や被駆動体についての動作確認を行う所謂イニシャル動作を、スリープモードから通常モードに移行したときや主電源がオンされたときに必ず実施していた。
【0006】
しかしながら、このイニシャル動作は、前記駆動部や被駆動体の動作確認であるため、部材に生じる振動、部材同士の摺接や衝突等によって動作音を発するものであり、特に、前記後処理装置においては、多数のモータやローラ等が搭載されていて、イニシャル動作時に比較的大きな動作音を発生する。この動作音はユーザに不快感を抱かせる虞があるため、可能な限りイニシャル動作の実施を避けるのが好ましい。
【0007】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、省電力化を達成しつつ、イニシャル動作の実施に起因する動作音の発生機会をできるだけ抑制することができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の発明は、記録媒体に画像を形成する画像形成部と、前記画像形成部を含む当該画像形成装置の各部の動作を制御するメイン制御部と、前記メイン制御部より回路規模が小さいサブ制御部と、当該画像形成装置の各部に対して電力を供給する通常モードと、前記メイン制御部及び前記サブ制御部のうち前記メイン制御部のみを含む当該画像形成装置の各部に対する電力供給を遮断する省電力モードとを択一的に切り替えるモード切替部と、当該画像形成装置の異常状態の有無を検知する異常センサとを有し、前記メイン制御部は、前記通常モードから省電力モードに切り替わる直前に、前記異常センサの出力信号に基づき、現在の当該画像形成装置における異常の有無を示す状態情報を前記サブ制御部に送信する状態情報送信部を有し、前記サブ制御部は、前記状態情報送信部から前記状態情報を受信する状態情報受信部と、前記状態情報受信部により受信された状態情報を格納する状態情報格納部と、前記モード切替部によるモードの切替えを検出するモード検出部と、前記省電力モードから通常モードに切り替えられると、前記状態情報格納部に格納されている状態情報を前記メイン制御部に送信する状態情報送信部とを有し、前記メイン制御部は、前記サブ制御部の状態情報送信部から前記状態情報を受信する状態情報受信部と、この状態情報受信部により受信された状態情報に基づき、前記通常モードから省電力モードへの最近の切替わり時における異常の有無を判断する判断部と、前記判断部により前記異常が発生していたと判断された場合には、当該画像形成装置に搭載される、動力を発生する駆動部及び該駆動部により生成された動力で駆動される被駆動部の動作確認を行うためのイニシャル動作を当該画像形成装置の予め定められた構成部に実行させ、前記判断部により前記異常が発生していなかったと判断された場合には、前記イニシャル動作を前記構成部に実行させないイニシャル動作指示部とを有する画像形成装置である。
【0009】
この発明によれば、通常モードから省電力モードに切り替わる直前に、メイン制御部の状態情報送信部によって、異常センサの出力信号に基づき、現在の当該画像形成装置における異常の有無を示す状態情報がサブ制御部に送信される。
【0010】
サブ制御部においては、メイン制御部の状態情報送信部から送信されてきた状態情報が状態情報受信部によって受信され、該状態情報受信部により受信された状態情報が状態情報格納部により格納される。その後、前記省電力モードから通常モードへの切り替えがモード検出部により検出されると、前記状態情報格納部に格納されている状態情報が状態情報送信部により前記メイン制御部に送信される。
【0011】
メイン制御部においては、サブ制御部の状態情報送信部から送信されてきた状態情報が状態情報受信部によって受信され、判断部により、該状態情報に基づき、最近の通常モードから省電力モードへの切替わり時における異常の有無が判断される。そして、前記判断部により前記異常が発生していたと判断された場合には、当該画像形成装置に搭載される、動力を発生する駆動部及び該駆動部により生成された動力により駆動される被駆動部の動作確認を行うためのイニシャル動作を実行する指示がイニシャル動作指示部から当該画像形成装置の予め定められた構成部に出力され、前記判断部により前記異常が発生していなかったと判断された場合には、前記イニシャル動作を実行する指示がイニシャル動作指示部から当該画像形成装置の予め定められた構成部に出力されない。
【0012】
このように、本発明によれば、通常モードから省電力モードへの最近の切替わり時に、当該画像形成装置に異常が発生していない場合には、その時点から今回の通常モードへの切り替わり時までの時間が比較的短く、その期間に、駆動部や被駆動部に状態変化や動作不良が発生している可能性が低いことから、イニシャル動作を実施しないようにしたので、省電力モードから通常モードに復帰したときにイニシャル動作を必ず実施する従来技術に比して、イニシャル動作を実施する機会(イニシャル動作の実施頻度)を低減することができる。
【0013】
また、通常モードから省電力モードへの最近の切替わり時に、当該画像形成装置に異常が発生していた場合には、その時点から今回の通常モードへの切り替わり時までの時間が短くても、その期間に、駆動部や被駆動部に状態変化や動作不良が発生している可能性が高いことから、イニシャル動作を実施して状態変化や動作不良の有無を確認するようにしたので、動作不良のまま画像形成動作等の各種の動作が行われるのを防止又は低減することができる。
【0014】
また、前記各部に対して電力を供給する通常モードの他に、前記メイン制御部及び前記サブ制御部のうち前記メイン制御部のみを含む当該画像形成装置の各部に対する電力供給を遮断する省電力モードを備えたので、画像形成装置の省電力化を図ることができる。
【0015】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の画像形成装置において、前記画像形成部を備えた装置本体を有し、前記装置本体内の各部の機能と異なる機能を有する、前記構成部としての1又は複数のオプション機器が、前記装置本体に着脱可能に構成されており、前記メイン制御部は、前記装置本体に装着されたオプション機器を含む当該画像形成装置の各部の動作を制御するものであり、前記状態情報は、現在の前記オプション機器における異常の有無を示す情報であり、前記イニシャル動作は、前記オプション機器に搭載される駆動部及び被駆動部の動作確認を行うためのイニシャル動作である。
【0016】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の画像形成装置において、前記記録媒体は、用紙であり、前記オプション機器は、前記画像形成部による画像形成動作が施された用紙についての処理を行う後処理機器を含み、前記イニシャル動作は、前記後処理機器に備えられる駆動部及び被駆動部の動作確認を行うための動作を含むものである。
【0017】
これらの発明によれば、画像形成装置の装置本体にオプション機器が装着されている場合に、特にこのオプション機器で発生する動作音、さらにその中でも、請求項3に記載の発明のように、前記画像形成部による画像形成動作が施された用紙についての処理、例えば前記ステイプル処理やソート処理などを行う後処理機器で発生する動作音が大きいことから、前記イニシャル動作が前記オプション機器、とりわけ後処理機器を含む場合に、特に請求項1に記載の発明が有効なものとなり、イニシャル動作の実施に起因する動作音の発生機会をできるだけ低減することができる。なお、オプション機器とは、各種機能を追加するために、随意選択して装置本体に接続される機器である。
【0018】
請求項4に記載の発明は、請求項2又は3に記載の画像形成装置において、前記オプション機器が前記装置本体に複数接続されており、前記イニシャル動作指示部は、前記メイン制御部の状態情報受信部により受信された状態情報に基づき、異常が発生しているオプション機器を識別し、このオプション機器にのみイニシャル動作実行させるものである。
【0019】
この発明によれば、オプション機器が装置本体に複数接続されているときには、異常が発生しているオプション機器にのみイニシャル動作を実行させるようにしたので、正常なオプション機器におけるイニシャル動作を実施しない分、イニシャル動作に起因して生じる動作音を低減することができる。
【0020】
請求項5に記載の発明は、請求項1ないし4のいずれかに記載の画像形成装置において、前記記録媒体は、用紙であり、前記異常センサは、用紙を搬送する搬送路上における紙詰まりを検知する紙詰まりセンサである。
【0021】
この発明によれば、紙詰まりセンサにより前記搬送路上における紙詰まりが検知された場合には、紙詰まりを起こした用紙の除去作業等によって、該搬送路上に設置された被駆動部や駆動部に状態変化若しくは動作不良が発生している可能性が高いことから、イニシャル動作を実施して状態変化や動作不良の有無を確認することで、前記状態変化や動作不良が生じたまま画像形成動作等の各種動作が実施されるのを防止又は低減することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、前記サブ制御部及び省電力モードを備えたことにより省電力化を達成することができるとともに、動作不良のまま画像形成動作等の各種動作が実行されるのを防止又は抑制しつつ、イニシャル動作の実施に起因する動作音の発生機会をできるだけ低減して、前記動作音によりユーザに不快感を抱かせるのをできるだけ回避することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明に係る実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置の内部構成の一例を示す側面図である。
【0024】
図1に示すように、画像形成装置1は、コピー機能、プリンタ機能、スキャナ機能及びファクシミリ機能等の機能を兼ね備えたものである。画像形成装置1は、画像形成部100、原稿読取部4及び給紙部5を備えた装置本体2と、この装置本体2の上部に設置された原稿押えを兼用する原稿搬送機構(本発明に係るオプション機器の一例)3と、装置本体2の一側辺部に設置されたフィニッシャ(本発明に係るオプション機器の一例であり、前記後処理機器の一例)6とからなる。
【0025】
原稿搬送機構3は、原稿載置部301と、搬入ローラ対等を備えた搬入駆動部302と、搬送ローラ対303と、排出ローラ対304と、排紙台305と、原稿の有無を検出する原稿検出スイッチ306とを備え、原稿載置部301に載置された原稿を自動的に一枚ずつコンタクトガラス402に接触させつつ搬送し、原稿の露光走査後に排紙台305に排出するものである。原稿搬送機構3は、その前面側が上方に移動可能となるように本体部2に対して回動自在に設けられている。原稿搬送機構3の前面側を上方に移動させてコンタクトガラス401,402の上面を開放することにより、コンタクトガラス401,402の上面に読み取り原稿、例えば見開き状態にされた書籍等を操作者が載置できるようになっている。
【0026】
原稿読取部4は、光学的に取得した原稿の画像から画像データを生成するスキャナ部(図略)等からなり、その上面にコンタクトガラス401とコンタクトガラス402とを備える。そして、原稿読取部4は、コンタクトガラス401上に載置された原稿、あるいは原稿搬送機構3によってコンタクトガラス402に接するようにして搬送される原稿から得られた画像データを後述のCCD42で読み取って、後述するメイン制御部10(図2参照)に出力する。
【0027】
給紙部5は、サイズ、縦横向きの種類毎の用紙が収納される給紙カセット501,502および手挿し給紙部503を備える。また、給紙部5は、給紙カセット501,502から画像形成部100へ用紙を搬送する搬送路504と、手挿し給紙部503から画像形成部100へ用紙を搬送する搬送路505とを備える。各給紙カセット501,502および手挿し給紙部503は、収納されている用紙(記録紙)を取り出すためのピックアップローラ506,507,508と、用紙を1枚ずつ搬送路に送り出す給紙ローラ対509,510,511とを備える。
【0028】
搬送路504は、用紙を搬送する搬送ローラ対512,513と、画像形成部100の手前で搬送されてくる用紙を所定位置に待機させるためのレジストローラ対514とを備える。また、搬送路505は、レジストローラ対514の上流側で搬送路504と合流している。
【0029】
画像形成部100は、回転可能に支持されたドラム状の感光体101と、この感光体101の周囲に配設された帯電部102と、現像部103と、クリーニング部104と、レーザ走査ユニット105と、転写ローラ106と、定着ローラ対107とを備えている。帯電部102は、感光体101の表面を所定電位に均一に帯電させるものである。レーザ走査ユニット105は、メイン制御部10(図2参照)から送信された画像データに基づきレーザービームを感光体101の表面に照射し、感光体101の表面に静電潜像を形成するものである。
【0030】
また、現像部103は、静電潜像にトナーを付着させて画像を顕在化させるものであり、転写ローラ106は、顕在化したトナー像を用紙に転写するものであり、定着ローラ対107は、用紙に転写されたトナー像を定着させるものである。また、クリーニング部104は、画像転写後に感光体101の表面に残留しているトナーを清掃するものである。
【0031】
また、装置本体2の上部には、用紙排出部108が設けられ、定着ローラ対107から搬送されてきた用紙が、排出ローラ対109により搬送され、用紙排出部108に排出される。また、排出ローラ対110は、定着ローラ対107から搬送されてきた用紙をフィニッシャ6に排出するもので、メイン制御部10からの制御信号に応じて駆動される排出分岐ガイド111により、用紙の排出方向を排出ローラ対109側と排出ローラ対110側とに切り換え可能になっている。
【0032】
また、記録紙の両面に画像を形成する場合は、画像形成部100で記録紙の一方の面に画像を形成した後、この記録紙を排出ローラ対109にニップされた状態とする。この状態で排出ローラ対109を反転させて記録紙をスイッチバックさせ、記録紙を用紙搬送路Lに送って画像形成部100の上流域に再度搬送し、画像形成部100により他方の面に画像を形成した後、記録紙を用紙排出部108に排出、又はフィニッシャ6に搬送する。
【0033】
装置本体2から排出された記録紙は、フィニッシャ6において、パンチ処理、ステイプル処理及びソート処理等が行われる。これらの処理を終えた記録紙は、排出トレイ(排出部)61に排出されるようになっている。排出トレイ61の上部には、記録紙束の上下又は中間に挿入するための記録紙(インサートペーパ)が載置されるインサートトレイ62と、このインサートトレイ62に載置された記録紙の挿入先となる記録紙束が載置される記録紙束載置トレイ63と、記録紙束載置トレイ63に載置された記録紙束から抜き出されて廃棄の対象となる記録紙が収容される廃紙トレイ64とが設けられている。
【0034】
フィニッシャ6の搬入口601には、装置本体2の排出ローラ対110によって搬送されてきた記録紙と、インサートトレイ62から搬送されてきた記録紙と、記録紙束載置トレイ63から搬送されてきた記録紙とが搬入される。
【0035】
インサートトレイ62に載置されているインサートペーパは、給紙ローラ621〜624によって搬入口601まで搬送される。記録紙束載置トレイ63に載置された記録紙束をなす記録紙は、給紙ローラ625、623、624によって搬入口601まで搬送される。
【0036】
フィニッシャ6では、上記の排出ローラ対110、給紙ローラ621〜625のそれぞれの回転駆動を制御することによって、装置本体2から排出される記録紙と、インサートトレイ62に載置されているインサートペーパと、記録紙束載置トレイ63に載置された記録紙束をなす記録紙とのいずれかを選択的に、搬入口601に搬送させることができるようになっている。なお、搬入口601を通過した記録紙は、搬送ローラ680によって搬送される。
【0037】
搬入口601の記録紙搬送方向下流側には、搬送路切換機構602が設けられている。搬送路切換機構602は、ソレノイド等によって駆動され、搬入口601から続く用紙搬送路を、廃紙トレイ64に繋がる用紙搬送路640と、排出トレイ61に繋がる用紙搬送路610とのいずれかに分岐するものである。なお、廃紙トレイ64に繋がる用紙搬送路640側に搬送された記録紙は搬送ローラ631によって廃紙トレイ64に排出され、排出トレイ61に繋がる用紙搬送路610側に搬送された記録紙は搬送ローラ611によって排出トレイ61に排出されるようになっている。
【0038】
搬送路切換機構603は、搬入口601から続く用紙搬送路を、排出トレイ61に繋がる用紙搬送路610と、ステイプル処理等を行うための機構650に続く用紙搬送路612とのいずれかに分岐するものである。
【0039】
搬入口601を通過した記録紙を排出トレイ61に排出する場合は、搬送路切換機構602は用紙搬送路640側を遮断し、搬送路切換機構603は用紙搬送路612を遮断して、記録紙を排出トレイ61側に案内する。また、搬入口601を通過した記録紙を廃紙トレイ64に排出する場合は、搬送路切換機構602は用紙搬送路610側を遮断して、記録紙を廃紙トレイ64側に案内する。なお、搬入口601を通過した記録紙を機構650側に搬送させる場合は、搬送路切換機構602は用紙搬送路640側を遮断し、搬送路切換機構603は用紙搬送路610を遮断して、記録紙を機構650側に案内する。
【0040】
上述した排出ローラ対110、給紙ローラ621〜625、搬送ローラ680及び611の回転駆動制御と、搬送路切換機構602、603の切換制御とにより、装置本体2から搬送されてきた記録紙と、インサートトレイ62に載置されているインサートペーパと、記録紙束載置トレイ63に載置された記録紙束をなす記録紙とを、排出トレイ61又は廃紙トレイ64に自在に振り分けることができるようになっている。
【0041】
図2は、画像形成装置1の電気的な構成を示す機能ブロック図である。
【0042】
図2に示すように、装置本体2には、装置全体の動作制御を司るメイン制御部10が備えられている。このメイン制御部10は、図略のCPU(Central Processing Unit:中央演算処理部)に、そのCPUの動作を規定するプログラムを格納するROM(Read Only Memory)やデータを一時的に保管する機能や作業領域としての機能を有するRAM(Random Access Memory)、並びに一時的にデータを保管するRAM等の記憶部などの周辺装置を有して構成されており、露光ランプ41及びCCD42等からなる原稿画像の読み取りが可能な原稿読取部4と、画像形成部100とが接続されている。また、メイン制御部10には、原稿読取部4で読み取られた文書データが一時的に保存される等の作業領域として使用される記憶部71とが接続されている。記憶部71は、所謂メインメモリであり、例えばDRAM等、低価格の揮発性記憶素子を用いて構成されている。
【0043】
画像処理部73は、原稿読取部4による原稿読み取り時には、原稿読取部4から出力されるアナログ画像信号をデジタル画像に変換し、画質を向上させる画像処理を施した後、圧縮画像に変換する。また、画像処理部73は、ネットワーク上の各コンピュータから、プリントアウト対象のファイルデータ(圧縮画像)が記憶部71に書き込まれると、当該圧縮されたファイルデータを伸張処理し、出力状態に応じた画像処理を施し、例えばレーザ露光の場合には、レーザ信号にアナログ変調する。このアナログ変調された信号に基づいて画像形成部100でプリントアウトが行われる。
【0044】
原稿搬送機構3は、搬送ローラ及びその駆動部からなり、給紙部5から給紙された記録紙を画像形成部100まで搬送し、画像形成を終えた記録紙を用紙排出部108又はフィニッシャ6に搬送する。
【0045】
また、メイン制御部10は、装置本体2が実行可能な各機能を制御するスキャナコントローラ、ファクシミリコントローラ、プリンタコントローラ、コピーコントローラ、ネットワークコントローラ及びフィニッシャコントローラとして機能する。
【0046】
スキャナコントローラは、原稿読取部4の動作に必要な各部の動作制御を行うものである。ファクシミリコントローラは、ファクシミリ動作に必要な各部の動作制御を行うものであり、ファクシミリ通信に必要なデータの調整を行うファクシミリ通信部74を制御する。ファクシミリ通信部74には、データ送受信相手である相手先ファクシミリとの電話回線の接続を制御するNCU(Network Control Unit)が備えられている。コピーコントローラは、コピー動作に必要な各部の動作制御を行うものである。
【0047】
プリンタコントローラは、プリンタ動作に必要な各部の動作制御を行うものである。このプリンタコントローラには、複数の信号線を用いて同時に数ビットまとめてデータを送るパラレル伝送で外部機器と接続するパラレルI/F部75と、単一の信号線を用いて1ビットずつ順次データを送るシリアル伝送で外部機器と接続するシリアルI/F部76とが接続されている。
【0048】
ネットワークコントローラは、本画像形成装置1とネットワーク上のコンピュータ等との間で行われるデータ送受信を制御するものである。ネットワークコントローラは、ネットワークI/F部77を介して外部とデータを送受信させる。
【0049】
フィニッシャコントローラ17は、操作パネル部78の操作キー部781に入力された指示に従って、フィニッシャ6のフィニッシャ制御部60に制御指示を送出し、装置本体2から排出される記録紙と、インサートトレイ62に載置されているインサートペーパと、記録紙束載置トレイ63(図1参照)に載置された記録紙束をなす記録紙とを、排出トレイ61又は廃紙トレイ64に自在に振り分けて搬送させる制御を行う。
【0050】
また、操作者から各種の操作指示が入力される操作パネル部78が装置本体2に備えられており、この操作パネル部78もメイン制御部10によって制御される。操作キー部781は、操作者によって印刷実行指示が入力されるスタートキーや、印刷部数等を入力するためのテンキー等からなる。ユーザが当該操作キー部781を操作することで、後述する記録紙束の再構成処理の際に必要となる、記録紙束の部数、各記録紙束の頁数、各記録紙束における削除頁又は取り換え頁等の数値が入力される。表示部782は、各種複写動作の操作ガイド情報等を表示し、各種設定入力用にタッチパネル機能を有する液晶ディスプレイ等からなる。
【0051】
フィニッシャ6もメイン制御部10によって制御される。フィニッシャ6では、フィニッシャ制御部60がメイン制御部10から受け取った制御信号に従って、フィニッシャ6の各部が動作制御される。フィニッシャ制御部60には、搬入口601付近の記録紙を搬送する搬送ローラ680を駆動する搬送ローラ駆動部6800と、インサートトレイ62からのインサートペーパ又は記録紙束載置トレイ63からの記録紙を給送する給紙ローラ622〜624を駆動する給紙ローラ駆動部6220と、インサートトレイ62からインサートペーパを給紙する給紙ローラ621を駆動するインサート用給紙ローラ駆動部6200と、記録紙束載置トレイ63に載置された記録紙を搬送する給紙ローラ625を駆動する記録紙束搬送ローラ駆動部6300と、排出トレイ61に記録紙を搬送する搬送ローラ611を駆動する排出用搬送ローラ駆動部6100と、廃紙トレイ64に記録紙を搬送する搬送ローラ631を駆動する廃紙搬送ローラ駆動部6400とが接続されている。これら各駆動部は、装置本体2のフィニッシャコントローラからの制御信号に基づいて、フィニッシャ6側のフィニッシャ制御部60によって動作制御される。
【0052】
また、搬送路切換機構602及び603を駆動する切換機構駆動部6020も、装置本体2のフィニッシャコントローラからの制御信号に基づいて、フィニッシャ6側のフィニッシャ制御部60によって動作制御される。
【0053】
なお、フィニッシャ6側に操作部を設け、このフィニッシャ6側の操作部から、ユーザによって、記録紙束の再構成処理の際に必要となる記録紙束の部数、各記録紙束の頁数、各記録紙束における削除頁又は取り換え頁等の数値が入力され、この入力された内容に基づいて、フィニッシャ制御部60が制御するようにしてもよい。
【0054】
ジャムセンサ部21は、前記各搬送路504,505,610,612,640等や原稿搬送機構3における原稿搬送路上での紙詰まり(所謂ジャム)を検知するように適所にそれぞれ設置された複数のジャムセンサからなるものである。画像形成装置1においては、前記各搬送路上を用紙が搬送されて該用紙に画像を形成する処理がなされたり、画像形成後の用紙に対して後処理がなされたりする際に、搬送される用紙がそれらの搬送路上でジャムを起こすことがあり、前記各ジャムセンサは、これらのジャムを検出する。
【0055】
画像形成装置1は、ジャムが発生すると、用紙の搬送動作や、画像形成部100による用紙へのトナー像形成動作、給紙部5による給紙動作などを全停止させる。その後に、ユーザが、画像形成装置1のフロントカバー(図示せず)を開放して、各搬送路が設けられた画像形成装置1の内部を操作することで、紙詰まりを起こした用紙を除去することができる。
【0056】
前記フロントカバーは、給紙部5や画像形成部100等を内蔵するケースの前面(図1における手前側)に、開閉可能に設けられた扉である。ユーザは、この扉を開放することで、各搬送路上で紙詰まりを起こした用紙を該搬送路から除去する作業を行って紙詰まりを解消させることができる。開閉センサ22は、このフロントカバーの開閉状態を検出するものである。ジャムセンサ部21及び開閉センサ22は、前記異常センサの一例であり、これらの検出信号は、メイン制御部10に出力される。
【0057】
サブ制御部90は、図略のCPU(Central Processing Unit:中央演算処理部)に、そのCPUの動作を規定するプログラムを格納するROM(Read Only Memory)やデータを一時的に保管する機能や作業領域としての機能を有するRAM(Random Access Memory)、並びにデータを一時的に保管するRAM等の記憶部などの周辺装置を有して構成されている。サブ制御部90は、メイン制御部10に比して回路規模が小さく、メイン制御部10との間で通信可能に構成されている。サブ制御部90は、主に、後述するスリープモードに設定されているときにも必要な処理を実行するものである。
【0058】
コントローラ80は、当該画像形成装置1と外部機器との間のインターフェースとして機能するとともに、原稿読取部4、画像形成部100、メイン制御部10、サブ制御部90及び操作パネル部78等の当該画像形成装置1の各部への電力供給のオンオフを切り替える機能を有する。コントローラ80は、後述するように前記モード切替部としての機能を有する。
【0059】
次に、本実施形態の特徴部分について説明する。
【0060】
本実施形態の画像形成装置1は、外部機器から当該画像形成装置1に画像データが入力されたり、操作パネル部78により画像形成指示などが行われたりすると速やかに動作が実行可能なスタンバイ状態となるように、当該画像形成装置1の各部に予め定められた電力が供給される通常モードの他に、スリープモードが設けられている。スリープモードは、例えば操作パネル部78に設けられているスリープモード設定ボタン7811(図2参照)が操作された場合や、当該画像形成装置1に対して所定時間何も操作されなかった場合等に通常モードから切り替えられるモードであり、前記通常モードのときに比して電力が供給される対象の数が少なく、当該画像形成装置1の各部のうち一部に対してのみ電力が供給されるモードである。スリープモードでは、サブ制御部90及び操作パネル部78への電力供給は継続され、メイン制御部10や画像形成部100等、図2に示す破線で囲まれた領域に属する各部への電力供給は遮断される。
【0061】
そして、本実施形態では、スリープモードから通常モードに移行する際のフィニッシャ6を含む各部のイニシャル動作の実行の要否を、当該スリープモードへの切り替わり時における画像形成装置1内の異常の有無に応じて判断するようにしている。すなわち、画像形成装置1は、原則的に、復帰時にはスリープモードに設定されている時間は比較的短いものであるとの想定に基づきイニシャル動作を実行せず、通常モードからスリープモードへの最近の切り替わり時に異常が発生していた場合には、スリープモードに設定されている時間が比較的短いものであっても、紙詰まりを起こした用紙の除去作業等によって、搬送路上に設置された被駆動部や駆動部に状態変化若しくは動作不良が発生している可能性が高いことから、この場合には例外的にイニシャル動作を実行する。なお、当該画像形成装置1の主電源がオンされた場合には、画像形成装置1は必ずイニシャル動作を実行する。
【0062】
このような機能を達成するべく、コントローラ80は、モード切替部81を機能的に有し、サブ制御部90は、モード検出部91と、状態情報通信部92と、状態情報記憶部93とを機能的に有し、メイン制御部10は、検出信号取得部11と、状態情報通信部12と、判断部13と、イニシャル動作指示部14とを機能的に有する。
【0063】
モード切替部81は、当該画像形成装置1のモードを前記通常モードとスリープモードとの間で切り替えるものである。すなわち、モード切替部81は、操作パネル部78に備えられた図略のスリープモード設定ボタン7811が操作されたときや、画像形成装置1に対して所定時間何も操作がなされなかったときに、当該画像形成装置1の電力供給モードを通常モードからスリープモードに切り替える一方、スリープモードの設定中に原稿搬送機構3の回動操作や操作パネル部78に対して何らかの操作が行われたり、例えばパーソナルコンピュータやファクシミリ装置等の外部機器から画像データが送信されてきたりすると、当該画像形成装置1の電力供給モードをスリープモードから通常モードに切り替える。
【0064】
検出信号取得部11は、コントローラ80のモード切替部81からスリープモードに切り替える通知を示す旨の情報(以下、スリープ移行要求情報という)を受信したときに、前記ジャムセンサ部21及び開閉センサ22から検出信号をそれぞれ取得する。
【0065】
メイン制御部10の状態情報通信部12及びサブ制御部90の状態情報通信部92は、互いに前記状態情報の送受信を行うものである。すなわち、メイン制御部10の状態情報通信部12は、前記検出信号取得部11により前記検出信号が取得されると、該検出信号に基づき、当該画像形成装置1における現在の異常の有無を示す状態情報を生成し、該状態情報をサブ制御部90の状態情報通信部92に送信する。該状態情報通信部92は、この状態情報を受信する。
【0066】
状態情報記憶部93は、前記状態情報通信部92により受信された状態情報を記憶するものである。
【0067】
モード検出部91は、メイン制御部10に供給されている電源電圧が印加される電力端子の電圧を所定の周期で監視することにより画像形成装置1の現在の電力供給モードを検出するものである。すなわち、モード検出部91は、前記電力端子の電圧が予め定められた閾値より大きいときには、メイン制御部10に電力供給が行われており、当該画像形成装置1の電力供給モードが通常モードに設定されているものと検出する一方、前記電力端子の電圧が予め定められた閾値以下のときには、メイン制御部10に電力供給が遮断されており、当該画像形成装置1の電力供給モードがスリープモードに設定されているものと検出する。
【0068】
前記状態情報通信部92は、前記モード検出部91によりスリープモードから通常モードへの切り替えが検出されると、前記状態情報記憶部93に記憶されている状態情報を読み出してメイン制御部10の状態情報通信部12に送信する。該状態情報通信部12は、この状態情報を受信する。
【0069】
判断部13は、状態情報通信部12により受信された状態情報に基づき、通常モードからスリープモードへの最近の切り替わり時に異常が発生していたか否かを判断するものである。
【0070】
イニシャル動作指示部13は、当該画像形成装置1の各部に対してイニシャル動作の実行の指示を出力するものであり、特に、本実施形態では、前記判断部13の判断結果に基づきイニシャル動作の要否を判断し、前記判断部13によりイニシャル動作が必要と判断された場合に、画像形成装置1の各部にイニシャル動作の実行指示を出力する。
【0071】
具体的には、イニシャル動作指示部13は、前記判断部13により通常モードからスリープモードへの最近の切り替わり時に異常が発生していたものと判断された場合には、その時点から今回の通常モードへの切り替わり時までの間に、例えばジャムを起こした用紙の除去作業等によって、駆動部や被駆動部に状態変化や動作不良が発生している可能性が高いことから、各部にイニシャル動作を実行させる。
【0072】
一方、イニシャル動作指示部13は、通常モードからスリープモードへの最近の切り替わり時に異常が発生していていなかったものと判断された場合には、その切り替わり時点から今回の通常モードへの切り替わり時までの間に、駆動部や被駆動部に状態変化や動作不良が発生している可能性が低いことから、前記各部にイニシャル動作を実行させない。
【0073】
なお、イニシャル動作指示部14は、当該画像形成装置1の主電源がオンされた場合には、前記各部にイニシャル動作を実行させる。ここで、イニシャル動作指示部14は、当該メイン制御部10に電力が供給されたとき(起動時)に、サブ制御部90からの前記状態情報の受信の有無に基づいて、当該起動が、主電源のオンをトリガとするものであるのか、スリープモードから通常モードへの切り替えをトリガとするものであるのかを識別することができる。すなわち、イニシャル動作指示部14は、前記状態情報受信部12により前記状態情報が受信された場合には、当該起動がスリープモードから通常モードへの切り替えをトリガとするものであり、前記状態情報受信部12により前記状態情報が受信された場合には、当該起動が主電源のオンをトリガとするものであると判断する。
【0074】
フィニッシャ6で実施されるイニシャル動作としては、給紙ローラ621〜625、搬送ローラ680,611,631の回転動作、搬送路切換機構602,603の切換動作等が含まれ、原稿搬送機構3で実施されるイニシャル動作としては、搬入駆動部302、搬送ローラ対303及び排出ローラ対304の回転動作等が含まれる。
【0075】
また、前記オプション機器以外の各部のイニシャル動作とは、例えば、給紙部5のピックアップローラ506〜508及び給紙ローラ対509〜511の回転動作、搬送路504の搬送ローラ対512,513及びレジストローラ対514の回転動作、画像形成部100の感光体101、転写ローラ106及び定着ローラ対107の回転動作、排出ローラ対109,110の回転動作、搬入駆動部302、搬送ローラ対303及び排出ローラ対304の回転動作等が含まれる。
【0076】
図3は、コントローラ80、メイン制御部10及びサブ制御部90において行われる処理を示すフローチャートである。
【0077】
図3に示すように、コントローラ80のモード切替部81は、スリープモードへの切り替えが必要な状況になると(ステップ♯1でYES)、スリープモードに切り替える通知を示す前記スリープ移行要求情報をメイン制御部10に送信し(ステップ♯2)、メイン制御部90からスリープモードへの移行の準備が完了した通知を示す情報(以下、スリープ移行準備完了情報という)を受信するまで待機する(ステップ♯3でNO)。
【0078】
メイン制御部10は、前記スリープ移行要求情報をコントローラ80から受信すると(ステップ♯11でYES)、メイン制御部10の検出信号取得部11は、前記ジャムセンサ部21及び開閉センサ22の検知信号を取得し、メイン制御部10の状態情報通信部12は、該検知信号に基づき現在の画像形成装置1における異常の有無を示す状態情報を作成してサブ制御部90に送信し(ステップ♯12)、前記スリープ移行準備完了情報をコントローラ80に送信する(ステップ♯13)。
【0079】
サブ制御部90の状態情報通信部92は、メイン制御部10から前記状態情報を受信すると(ステップ♯21でYES)、前記状態情報記憶部93は該状態情報を記憶(格納)する(ステップ♯22)。
【0080】
その後、サブ制御部90のモード検出部91は、コントローラ80により当該画像形成装置1の電力供給モードがスリープモードから通常モードに切り替えられたことを、メイン制御部10における前記電力端子の電圧変化により検出すると(ステップ♯23でYES)、状態情報通信部92は、状態情報記憶部93から状態情報を読み出してメイン制御部10に送信する(ステップ♯24)。
【0081】
メイン制御部10は、起動すると(ステップ♯14でYES)、状態情報通信部12は、前記状態情報をサブ制御部90から受信したか否かを判断する(ステップ♯15)。そして、状態情報通信部12は、前記状態情報をサブ制御部90から受信したと判断すると(ステップ♯15でYES)、メイン制御部10の判断部13は、この状態情報に基づき、通常モードからスリープモードへの最近の切り替わり時に異常が発生していたか否かを判断する(ステップ♯16)。
【0082】
メイン制御部10のイニシャル動作指示部14は、前記判断部13により通常モードからスリープモードへの最近の切り替わり時に異常が発生していたものと判断された場合には(ステップ♯16でYES)、各部にイニシャル動作を実行させる(ステップ♯17)一方、通常モードからスリープモードへの最近の切り替わり時に異常が発生していていなかったものと判断された場合には(ステップ♯16でNO)、ステップ♯17の処理をとばして一連の処理を終了する。
【0083】
また、ステップ♯15において、メイン制御部10の状態情報通信部12は、所定時間が経過しても前記状態情報をサブ制御部90から受信しなかったと判断した場合には(ステップ♯15でNO)、各部にイニシャル動作を実行させる(ステップ♯17)。
【0084】
以上のように、本実施形態では、スリープモードから通常モードに切り替わっても(復帰しても)、そのスリープモードへの最近の切り替わり時に異常が発生していた場合以外はイニシャル動作を実行しないようにしたので、復帰時に必ずイニシャル動作を実施する構成に比して、イニシャル動作の実施頻度を低減することができる。これにより、前記イニシャル動作の実施に起因して発生する動作音によりユーザに不快感を抱かせるのをできるだけ回避することができる。特に、オプション機器が接続(装着)された画像形成装置1においては、このオプション機器のイニシャル動作によって比較的大きな動作音が発生するため、前記のようにイニシャル動作の実施頻度を低減することによる効果が大きい。
【0085】
また、通常モードからスリープモードへの最近の切り替わり時に異常が発生していた場合には、例えば紙詰まりを起こした用紙の除去作業等によって、搬送路上に設置された被駆動部や駆動部に状態変化若しくは動作不良が発生している可能性が高いことから、前記復帰時にイニシャル動作を実行することで、状態変化や動作不良が生じている部位が存在したまま画像形成動作等の各種動作が実行されるのを防止又は抑制することができる。
【0086】
そして、前記サブ制御部90と前記スリープモードとを備えたので、画像形成装置1の省電力化を図ることができる。
【0087】
なお、本件は、前記実施形態に代えて、又は前記実施形態に加えて次のような変形形態も採用可能である。
【0088】
[1]前記実施形態では、サブ制御部90は、メイン制御部10の電力端子の電圧変化により電力供給モードの切替を検出するようにしたが、この形態に限らず、通常モードからスリープモードに移行するときに、メイン制御部10からサブ制御部90にその旨の通知が行われるようにしてもよい。また、これとは別に、モード切替部81のモード信号を監視することで電力供給モードを検出するようにしてもよい。
【0089】
[2]前記実施形態では、画像形成装置1の異常の有無を示す状態情報をメイン制御部10とサブ制御部90との間で通信するようにしたが、これに限らず、画像形成装置1に異常が発生している場合のみ、その旨を示す情報をメイン制御部10が作成し、該情報をメイン制御部10とサブ制御部90との間で通信するようにしてもよい。
【0090】
ところで、前記実施形態では、画像形成装置1の電力供給モードがスリープモードから通常モードに切り替わる復帰時に、サブ制御部90からメイン制御部10に状態情報を必ず送信するように構成したので、当該メイン制御部10への電力供給(メイン制御部10の起動)が、主電源のオンをトリガとして行われたものなのか、スリープモードから通常モードへの切り替わりをトリガとして行われたものなのかを、前記状態情報の受信の有無によって判断することができるが、画像形成装置1に異常が発生している場合のみ、その旨を示す情報を作成する前述の方法では、前記メイン制御部10の起動トリガの種別を該メイン制御部10自身が判断することができない。そこで、この場合には、前記復帰時に、画像形成装置1の電力供給モードがスリープモードから通常モードに切り替わる都度、その旨をサブ制御部90からメイン制御部10に通知するように構成するとよい。
【0091】
[3]前記異常センサによる検出対象の「異常」は、前記ジャムの発生やフロントカバーの開放状態に限られるものではない。
【0092】
[4]前記実施形態では、通常モードからスリープモードに切り替わる直前において、オプション機器が接続(装着)された画像形成装置1の何処かの箇所に異常が発生した場合に、当該画像形成装置1全体のイニシャル動作を実施するようにしたが、この形態に限らず、異常が発生したオプション機器についてのみイニシャル動作を実施するようにしたり、若しくは異常が発生した箇所についてのみイニシャル動作を実施したりするようにしてもよい。
【0093】
[5]前記実施形態の画像形成装置は、オプション機器が装着可能な画像形成装置であったが、本件は、オプション機器が装着できない画像形成装置も適用範囲に含まれる。また、本発明の対象となる前記オプション機器は、前記フィニッシャ6や原稿搬送機構3に限定されず、他の機器でもよい。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】画像形成装置の内部構成を示す側面図である。
【図2】画像形成装置の電気的な構成を示すブロック図である。
【図3】コントローラ、メイン制御部及びサブ制御部において行われる処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0095】
1 画像形成装置
2 装置本体
3 原稿搬送機構
6 フィニッシャ
10 メイン制御部
11 検出信号取得部
12 状態情報通信部
13 判断部
14 イニシャル動作指示部
100 画像形成部
80 コントローラ
81 モード切替部
90 サブ制御部
91 モード検出部
92 状態情報通信部
93 状態情報記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体に画像を形成する画像形成部と、
前記画像形成部を含む当該画像形成装置の各部の動作を制御するメイン制御部と、
前記メイン制御部より回路規模が小さいサブ制御部と、
当該画像形成装置の各部に対して電力を供給する通常モードと、前記メイン制御部及び前記サブ制御部のうち前記メイン制御部のみを含む当該画像形成装置の各部に対する電力供給を遮断する省電力モードとを択一的に切り替えるモード切替部と、
当該画像形成装置の異常状態の有無を検知する異常センサと
を有し、
前記メイン制御部は、
前記通常モードから省電力モードに切り替わる直前に、前記異常センサの出力信号に基づき、現在の当該画像形成装置における異常の有無を示す状態情報を前記サブ制御部に送信する状態情報送信部を有し、
前記サブ制御部は、
前記状態情報送信部から前記状態情報を受信する状態情報受信部と、
前記状態情報受信部により受信された状態情報を格納する状態情報格納部と、
前記モード切替部によるモードの切替えを検出するモード検出部と、
前記省電力モードから通常モードに切り替えられると、前記状態情報格納部に格納されている状態情報を前記メイン制御部に送信する状態情報送信部と
を有し、
前記メイン制御部は、
前記サブ制御部の状態情報送信部から前記状態情報を受信する状態情報受信部と、
この状態情報受信部により受信された状態情報に基づき、前記通常モードから省電力モードへの最近の切替わり時における異常の有無を判断する判断部と、
前記判断部により前記異常が発生していたと判断された場合には、当該画像形成装置に搭載される、動力を発生する駆動部及び該駆動部により生成された動力で駆動される被駆動部の動作確認を行うためのイニシャル動作を当該画像形成装置の予め定められた構成部に実行させ、前記判断部により前記異常が発生していなかったと判断された場合には、前記イニシャル動作を前記構成部に実行させないイニシャル動作指示部と
を有する画像形成装置。
【請求項2】
前記画像形成部を備えた装置本体を有し、
前記装置本体内の各部の機能と異なる機能を有する、前記構成部としての1又は複数のオプション機器が、前記装置本体に着脱可能に構成されており、
前記メイン制御部は、前記装置本体に装着されたオプション機器を含む当該画像形成装置の各部の動作を制御するものであり、
前記状態情報は、現在の前記オプション機器における異常の有無を示す情報であり、
前記イニシャル動作は、前記オプション機器に搭載される駆動部及び被駆動部の動作確認を行うためのイニシャル動作である請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記記録媒体は、用紙であり、
前記オプション機器は、前記画像形成部による画像形成動作が施された用紙についての処理を行う後処理機器を含み、
前記イニシャル動作は、前記後処理機器に備えられる駆動部及び被駆動部の動作確認を行うための動作を含むものである請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記オプション機器が前記装置本体に複数接続されており、
前記イニシャル動作指示部は、前記メイン制御部の状態情報受信部により受信された状態情報に基づき、異常が発生しているオプション機器を識別し、このオプション機器にのみイニシャル動作を実行させる請求項2又は3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記記録媒体は、用紙であり、
前記異常センサは、用紙を搬送する搬送路上における紙詰まりを検知する紙詰まりセンサである請求項1ないし4のいずれかに記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−265436(P2009−265436A)
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−116187(P2008−116187)
【出願日】平成20年4月25日(2008.4.25)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】