説明

画像形成装置

【課題】印刷が休止される時間が長くなるのを抑制しながら装置本体が高温になるのを抑制するとともに、インクシートが高温になることに起因する印刷不良が発生するのを抑制することが可能な画像形成装置を提供する。
【解決手段】この画像形成装置(昇華型プリンタ)は、インクシート24が巻きつけられたインクシートカートリッジ25が着脱可能に装着される装置本体と、装置本体に配置され、印画画像の印刷を行うためのサーマルヘッド2と、装置本体の内部に配置され、サーマルヘッド2およびインクシート24を冷却する冷却ファン28と、インクシート24の温度を検出するインクシート温度センサ45と、インクシート温度センサ45により検出されたインクシート24の温度が所定の温度よりも高い場合に、冷却ファン28を動作させてインクシート24を冷却するように制御する制御部21aとを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、画像形成装置に関し、特に、印刷を行うためのサーマルヘッドを備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、印刷を行うためのサーマルヘッドを備えた画像形成装置が知られている(たとえば、特許文献1〜5参照)。
【0003】
上記特許文献1には、サーマルヘッドと、熱転写リボン(インクシート)と、熱転写リボンをサーマルヘッドへ導くリボンガイドと、リボンガイドの下部に取り付けられた温度センサとを備えた熱転写プリンタ(画像形成装置)が開示されている。上記特許文献1による熱転写プリンタは、温度センサにより検知されたリボン温度に基づいて、サーマルヘッドに印加するエネルギーを変化させるように構成されている。
【0004】
上記特許文献2には、サーマルヘッドと、インクリボン(インクシート)と、サーマルヘッドに取り付けられた第1および第2サーミスタと、筐体(装置本体)の内部に設けられたバッテリに取り付けられた第3サーミスタとを備えた熱転写印刷装置(画像形成装置)が開示されている。この特許文献2による熱転写印刷装置は、第1、第2および第3サーミスタにより検出された温度が所定の温度よりも高温になった場合に、第1、第2および第3サーミスタにより検出された温度に基づいて、一定時間経過するまで印刷を休止するように構成されている。
【0005】
上記特許文献3には、印字ヘッドと、印字ヘッドの温度を検出する温度センサとを備えたシリアルドットプリンタ(画像形成装置)が開示されている。上記特許文献3に記載のシリアルドットプリンタは、温度センサにより印字ヘッドの温度を検出するとともに、検出された印字ヘッドの温度が所定の温度よりも高い場合には、印字を休止するように構成されている。
【0006】
上記特許文献4には、サーマルヘッドと、熱転写リボン(インクシート)と、サーマルヘッドおよび熱転写リボンを冷却する冷却ファン(ファン)と、サーマルヘッドに設けられた温度センサとを備えた熱転写記録装置(画像形成装置)が開示されている。上記特許文献4に記載の熱転写記録装置は、サーマルヘッドに取り付けられた温度センサにより検出されたサーマルヘッドの温度が所定の温度よりも高い場合に、冷却ファンを起動させるとともに、サーマルヘッドおよび熱転写リボンを冷却するように構成されている。
【0007】
上記特許文献5には、サーマルヘッドと、インクリボン(インクシート)と、印字された後の使用済みのインクリボンを冷却するためのファンとを備えたサーマルプリンタ(画像形成装置)が開示されている。
【0008】
【特許文献1】特開昭61−262145号公報
【特許文献2】特開平11−157113号公報
【特許文献3】特開平5−50658号公報
【特許文献4】特許第3375100号公報
【特許文献5】特開昭61−219680号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記特許文献1に記載の熱転写プリンタ(画像形成装置)では、サーマルヘッドが連続して使用されることにより、熱転写リボンが高温になった場合にも印刷が継続されるため、サーマルヘッドが高温になるという不都合がある。このため、熱転写プリンタ本体が高温になるという問題点がある。
【0010】
また、上記特許文献2に記載の熱転写印刷装置(画像形成装置)では、サーマルヘッドの温度と筐体の内部の温度とを検出するサーミスタが所定の温度よりも高い温度を検出した場合に、サーミスタにより検出された温度に基づいて、一定時間経過するまで印刷が休止されるだけなので、サーミスタにより検出された温度が比較的高い温度である場合、印刷が休止される時間が長くなるという問題点がある。
【0011】
また、上記特許文献3に記載のシリアルドットプリンタ(画像形成装置)では、印字ヘッド(サーマルヘッド)の温度を検出する温度センサが所定の温度よりも高い温度を検出した場合に、温度センサにより検出された温度に基づいて、一定時間経過するまで印刷が休止されるだけなので、温度センサにより検出された温度が比較的高い温度である場合、印刷が休止される時間が長くなるという問題点がある。
【0012】
また、上記特許文献4に記載の熱転写記録装置(画像形成装置)では、温度センサがサーマルヘッドに取り付けられているため、温度センサにより、熱転写リボン(インクシート)の温度を計測することができない。このため、サーマルヘッドが所定の温度以下である場合には、熱転写リボン(インクシート)が高温であったとしても、冷却ファンが起動しないと考えられるので、この場合には、熱転写リボン(インクシート)が高温になることに起因する印刷不良が発生する場合があるという問題点がある。
【0013】
また、上記特許文献5に記載のサーマルプリンタ(画像形成装置)では、印字された後の使用済みのインクリボン(インクシート)を冷却する構成が開示されており、印字前の未使用のインクリボンを適切な温度に保つ内容が開示されていない。このため、インクリボン(インクシート)が高温になることに起因する印刷不良が発生する場合があるという問題点がある。
【0014】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、印刷が休止される時間が長くなるのを抑制しながら装置本体が高温になるのを抑制するとともに、インクシートが高温になることに起因する印刷不良が発生するのを抑制することが可能な画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0015】
この発明の一の局面による画像形成装置は、インクシートが巻きつけられた供給ボビンを含むインクシートカートリッジが着脱可能に装着される装置本体と、装置本体に配置され、印画画像の印刷を行うためのサーマルヘッドと、装置本体の内部に配置され、サーマルヘッドおよび装置本体に装着されたインクシートカートリッジのインクシートを冷却するファンと、インクシートカートリッジのインクシートの温度を検出する温度センサと、温度センサにより検出されたインクシートの温度が所定の温度よりも高い場合に、ファンを動作させてインクシートを冷却するように制御する制御部とを備える。
【0016】
この一の局面による画像形成装置では、上記のように、装置本体の内部に配置され、サーマルヘッドおよび装置本体に装着されたインクシートカートリッジのインクシートを冷却するファンを設けることによって、サーマルヘッドおよびインクシートがファンにより強制的に冷却されるため、装置本体が高温になるのを抑制することができる。また、印刷が休止された場合にも、ファンが設けられていない場合と比べて、サーマルヘッドおよびインクシートの温度が低下するのが早くなるので、印刷が休止される時間が長くなるのを抑制することができる。また、温度センサにより検出されたインクシートカートリッジのインクシートの温度が所定の温度よりも高い場合に、ファンを動作させてインクシートを冷却するように制御する制御部を設けることによって、インクシートの温度に基づいて、ファンを動作させることによりインクシートを冷却することができるので、インクシートが高温になることに起因する印刷不良が発生するのを抑制することができる。
【0017】
上記一の局面による画像形成装置において、好ましくは、制御部は、インクシートを冷却している際に、印刷の指示があった場合には、インクシートの冷却が終了するまで指示された印刷を行わないように制御するように構成されている。このように構成すれば、冷却途中に印刷の指示があった場合にも、インクシートが高温の状態で印刷されることがないので、インクシートが高温になることに起因する印刷不良が発生するのを抑制することができる。
【0018】
上記一の局面による画像形成装置において、好ましくは、制御部は、インクシートの温度が所定の温度よりも低い温度に下がる場合と、所定の時間が経過する場合との少なくともいずれか一方の場合までファンを動作させるように制御するように構成されている。このように構成すれば、インクシートの温度が低下した場合には、直ちにファンを停止させることができるとともに、インクシートの温度が低下しない場合にも、所定の時間よりも長い時間冷却動作が行われ続けるのを抑制することができる。
【0019】
上記一の局面による画像形成装置において、好ましくは、制御部は、インクシートの温度が所定の温度よりも高い状態で、所定の時間よりも長い時間ファンによりインクシートを冷却している場合に、使用者にエラーであることを告知するように構成されている。このように構成すれば、ファンによる冷却によってもインクシートが所定の温度よりも低い温度に下がっていないことを、容易に、使用者に知らせることができる。
【0020】
上記一の局面による画像形成装置において、好ましくは、インクシートカートリッジが装置本体に装着された際に、インクシートカートリッジが装置本体に装着されたことを検知するインクシート識別センサをさらに備え、制御部は、インクシートカートリッジが装置本体に装着されたとインクシート識別センサが検知したことに基づいて、温度センサによる温度情報を取得するように構成されている。このように構成すれば、インクシートカートリッジが装着されていない非印刷状態では、温度センサによる温度情報を取得するための制御を行わないので、不要な制御動作を削減することができる。
【0021】
上記一の局面による画像形成装置において、好ましくは、温度センサは、インクシートカートリッジの供給ボビンの内部の中央近傍を検出するように構成されている。このように構成すれば、供給ボビンに巻きつけられた印刷前の未使用のインクシートの中央近傍の温度を容易に検出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0023】
図1は、本発明の一実施形態による昇華型プリンタ(画像形成装置)の構成を示した斜視図である。図2〜図6は、図1に示した一実施形態による昇華型プリンタの構成を説明するための図である。まず、図1〜図6を参照して、本発明の一実施形態による昇華型プリンタの構成について説明する。なお、本実施形態では、画像形成装置の一例として昇華型プリンタについて説明する。
【0024】
本発明の一実施形態による昇華型プリンタは、図1に示すように、金属製のシャーシ1と、印画画像の印刷を行うためのサーマルヘッド2と、サーマルヘッド2に対向するように配置されたプラテンローラ3(図5参照)と、金属製の送りローラ4(図5参照)と、送りローラギア5(図4参照)と、所定の押圧力で送りローラ4を押圧する金属製の押さえローラ6(図5参照)と、樹脂製の下部用紙ガイド7a(図5参照)と、樹脂製の上部用紙ガイド7b(図5参照)と、ゴム製の給紙ローラ8(図5参照)と、給紙ローラギア9(図4参照)と、ゴム製の排紙ローラ10(図5参照)と、排紙ローラギア11(図4参照)とを備えている。
【0025】
また、本実施形態による昇華型プリンタは、インクシート巻取リール12(図4参照)と、モータブラケット13と、用紙80(図5参照)を搬送するためのステッピングモータ14(図4参照)と、サーマルヘッド2を回動させるステッピングモータ15(図4参照)と、揺動可能な揺動ギア16(図4参照)と、複数の中間ギア17〜20(図4参照)と、昇華型プリンタの動作を制御する回路部21と、昇華型プリンタの動作を制御する回路部21が設けられている配線基板22および天板23とをさらに備えている。また、本実施形態による昇華型プリンタには、用紙80の複数のサイズに対応するインクシート24に対応して設けられるインクシートカートリッジ25が装着されている。
【0026】
また、シャーシ1は、図1および図2に示すように、一方側面1aと、他方側面1bと、底面1cとを有している。シャーシ1の一方側面1aには、モータブラケット13が取り付けられている。また、シャーシ1の他方側面1bには、インクシートカートリッジ25を挿入するための挿入孔1dが設けられている。また、一方側面1aの上端部および他方側面1bの上端部には、図1に示すように、それぞれ、配線基板22および天板23を取り付けるための取付部1eが2つずつ形成されている。これら取付部1eには、それぞれ、ネジ孔1fが形成されており、配線基板22および天板23は、ネジ60がネジ孔1fにネジ止めされることにより取付部1eに固定されている。また、天板23には、昇華型プリンタの使用雰囲気の温度である環境温度を検出するための環境温度センサ26が設けられている。
【0027】
また、サーマルヘッド2は、支持軸2aと、アーム部2bと、ヘッド部2cと、ヘッド部2cの熱を放熱させるための金属製の放熱部2dとを含んでいる。サーマルヘッド2は、シャーシ1の両側面の内側(装置本体)に、支持軸2aを中心として回動可能に取り付けられている。また、サーマルヘッド2のヘッド部2cには、電圧パルスが印加されることにより発熱するとともに、インクシート24を加熱してインクシート24のインクを用紙80(図5参照)に転写するための複数の発熱体(図示せず)が設けられている。また、サーマルヘッド2のヘッド部2cには、サーマルヘッド2の温度を検出するためのヘッド温度センサ27(図5参照)が設けられている。
【0028】
また、放熱部2dには、冷却ファン28が設けられている。具体的には、放熱部2dには、冷却ファン28を取り付けるための取付部2eが形成されており、冷却ファン28は、取付部2eに対してネジ止めされている。この冷却ファン28は、放熱部2dに対して送風可能に構成されており、放熱部2dの熱をできるだけ早く放熱させるために設けられている。なお、冷却ファン28は、本発明の「ファン」の一例である。
【0029】
ここで、本実施形態では、冷却ファン28は、サーマルヘッド2の放熱部2dのみならず、装置本体に装着されたインクシートカートリッジ25に対しても送風可能に構成されている。具体的には、冷却ファン28の送風の下流側には、インクシートカートリッジ25のインクシート24が巻きつけられている後述する供給ボビン29(図3参照)側が配置されている。これにより、冷却ファン28の送風によって、インクシートカートリッジ25に収納されている供給前のインクシート24を冷却させることが可能となる。
【0030】
また、プラテンローラ3(図5参照)は、シャーシ1の両側面の内側に回転可能に配置されている。また、送りローラ4は、図4に示すように、送りローラギア5に挿入される送りローラギア挿入部4aを有する。また、送りローラ4は、シャーシ1に取り付けられた図示しない送りローラ軸受に回転可能に支持されている。また、押さえローラ6は、シャーシ1に取り付けられた図示しない押さえローラ軸受に回転可能に支持されている。
【0031】
また、モータブラケット13に取り付けられたステッピングモータ14の軸部には、モータギア14aが取り付けられている。また、ステッピングモータ14は、インクシート巻取リール12のギア部12aと、給紙ローラギア9と、排紙ローラギア11と、送りローラギア5とを駆動させるための駆動源としての機能を有する。また、ステッピングモータ15は、サーマルヘッド2(図5参照)をプラテンローラ3(図5参照)に対して押圧するように、サーマルヘッド2の上面を押圧する図示しない押圧部材などの駆動源としての機能を有する。
【0032】
また、下部用紙ガイド7aは、図5に示すように、送りローラ4および押さえローラ6の近傍に設置されている。また、上部用紙ガイド7bは、下部用紙ガイド7aの上部に取り付けられている。この上部用紙ガイド7bは、給紙時には、用紙80が下面側を通過するようにして印刷部への給紙経路に案内するとともに、排紙時には、用紙80が上面側を通過するようにして排紙経路に案内する機能を有する。
【0033】
ここで、本実施形態では、シャーシ1の一方側面1aには、図2に示すように、後述するインクシートカートリッジ25の供給ボビン29(図3参照)が挿入される供給ボビン支持部30が設けられている。供給ボビン支持部30は、図3に示すように、側板31に回転可能に取り付けられている支持部材32と、圧縮コイルバネ33と、金属製の押圧板材34とを含んでいる。支持部材32には、シャーシ1の他方側面1bに向かって突出する挿入軸部32aと、側板31と回転可能に係合するフランジ部32bとが形成されており、挿入軸部32aは、A方向に沿って形成された貫通孔32cと、挿入軸部32aの外周に形成された溝部32dとを有する。貫通孔32cには、後述するインクシート温度センサ45のロッド部45bが挿入されている。また、溝部32dには、抜止部材(Cリング)35が嵌め込まれている。そして、抜止部材35とフランジ部32bとの間には、圧縮コイルバネ33と、金属製の押圧板材34とが配置されている。
【0034】
また、後述するインクシートカートリッジ25の巻取ボビン44に挿入されるインクシート巻取リール12は、モータブラケット13の軸固定部13aにカシメ加工により固定された回転軸36に回転可能に取り付けられている。また、インクシート巻取リール12は、樹脂製の回転部材37と、リング形状に形成されたフェルト38および39と、ギア部40aを含むギア部材40と、クラッチプレート41と、圧縮コイルばね42と、クラッチベース43とを含んでいる。また、回転部材37は、巻取ボビン係合部37aと、巻取ボビン係合部37aと一体的に形成されたプレート部37bと、ギア部材40などに挿入される軸部37cと、クラッチベース43と係合する係合板部37dと、モータブラケット13に固定された回転軸36を挿入するための穴部37eとを有する。また、回転部材37の巻取ボビン係合部37aには、後述する巻取ボビン44のインクシート巻取側軸部44aの内周面に係合する3つの係合爪37fが形成されている。これにより、後述するインクシート供給側軸部29aに巻きつけられているインクシート24を巻取ボビン44に巻き取らせることが可能となる。すなわち、インクシート24を矢印B方向に移動させることが可能となる。また、インクシート巻取リール12のギア部材40は、揺動ギア16が揺動することによって噛合するように配置されている。
【0035】
また、インクシートカートリッジ25の供給ボビン29には、供給するためのインクシート24が巻き付けられたインクシート供給側軸部29aと、一対のフランジ部29bと、駆動側軸部29cと、従動側軸部29dとが設けられている。また、供給ボビン29は、従動側軸部29dの端面部29eが、インクシートカートリッジ25の内壁面部と当接しながら回転するように構成されている。
【0036】
また、インクシートカートリッジ25の巻取ボビン44には、供給ボビン29から供給されるインクシート24が巻き取られるインクシート巻取側軸部44aと、一対のフランジ部44bと、駆動側軸部44cと、従動側軸部44dとが設けられている。また、巻取ボビン44は、従動側軸部44dの端面部44eが、インクシートカートリッジ25の内壁面部と当接しながら回転するように構成されている。
【0037】
また、インクシート24は、Y色(イエロー)印字シート、M色(マゼンダ)印字シート、C色(シアン)印字シートの3色のシートと、印刷された用紙80の印刷面を保護するための透明のOP(オーバーコート)シートとを有している。
【0038】
ここで、本実施形態では、供給ボビン29のインクシート供給側軸部29aの内部には、インクシート温度センサ45が配置されており、インクシート温度センサ45は、インクシート供給側軸部29aに巻きつけられている印字前の未使用のインクシート24の温度を計測するために設けられている。具体的には、インクシート温度センサ45は、温度を検出する検出部45aと、検出部45aを支持するロッド部45bと、検出部45aにより検出された温度信号を回路部21に伝達するためのリード線45cとを含んでいる。なお、インクシート温度センサ45は、本発明の「温度センサ」の一例である。検出部45aは、インクシートカートリッジ25の供給ボビン29のインクシート供給側軸部29aの内部の中央近傍の温度を検出するように、インクシート供給側軸部29aの軸方向(A方向)の実質的に中央付近に配置されている。また、検出部45aは、ロッド部45bの一方側に取り付けられているとともに、ロッド部45bの他方側は、供給ボビン支持部30の支持部材32の貫通孔32cに挿入されている。そして、ロッド部45bの他方端部からリード線45cが排出されているとともに、リード線45cは、回路部21に接続されている。
【0039】
また、本実施形態では、側板31の支持部材32が取り付けられている部分の近傍には、インクシート識別センサ46が設けられている。このインクシート識別センサ46は、インクシートカートリッジ25が昇華型プリンタの装置本体に装着された際に、インクシートカートリッジ25が装置本体に装着されたことを検知する機能を有する。具体的には、インクシート識別センサ46は、インクシートカートリッジ25が装置本体に装着されたことを検知する検知部46aと、検知部46aによりインクシートカートリッジ25が装置本体に装着されたと検知された信号を回路部21に伝達するためのリード線46bとを含んでいる。そして、インクシート識別センサ46は、インクシートカートリッジ25がシャーシ1の挿入孔1dから挿入されるとともに、インクシートカートリッジ25のケース部25aが検知部46aに当接した際に、インクシートカートリッジ25が装置本体に装着されたと検知するように構成されている。
【0040】
また、回路部21は、図6に示すように、制御部21aと、ヘッドコントローラ21bと、ステッピングモータ14を駆動させるモータドライバ21cおよびステッピングモータ15を駆動させるモータドライバ21dと、アナログ信号をデジタル信号に変換するA/D変換部21eと、熱転写プリンタを動作させるプログラムなどが記憶されているROM21fと、タイマー21gと、冷却ファン28を動作させる際の所定の温度が記憶されている記憶部21hとを含んでいる。
【0041】
ここで、本実施形態では、制御部21aは、インクシート温度センサ45により検出されたインクシートカートリッジ25のインクシート24(図3参照)の温度が所定の温度よりも高い場合に、冷却ファン28を動作させてインクシート24(図3参照)を冷却するように制御するように構成されている。また、ヘッドコントローラ21bは、サーマルヘッド2の図示しない発熱体に電圧パルスを印加する機能を有する。また、制御部21aは、インクシート24を冷却している際に、印刷の指示があった場合には、インクシート24の冷却が終了するまで指示された印刷を行わないように制御するように構成されている。また、制御部21aは、インクシート24の温度が記憶部21hに記憶されている所定の温度(約50℃)よりも低い温度に下がる場合と、所定の時間(約5分)が経過する場合との少なくともいずれか一方の場合まで冷却ファン28を動作させるように制御するように構成されている。さらに、制御部21aは、インクシート24の温度が記憶部21hに記憶されている所定の温度(約50℃)よりも低い温度に下がらない場合に、タイマー21gにより計測される所定の時間(約5分)が経過した場合には、表示部47(図6参照)にエラーであることを告知するように制御するように構成されている。
【0042】
また、本実施形態では、制御部21aは、インクシートカートリッジ25が昇華型プリンタ装置本体に装着されたとインクシート識別センサ46が検知したことに基づいて、インクシート温度センサ45による温度情報を取得するように構成されている。
【0043】
また、モータドライバ21cは、ステッピングモータ14の駆動を制御するとともに、モータドライバ21dは、ステッピングモータ15の駆動を制御する機能を有する。また、A/D変換部21eは、サーマルヘッド2に設けられたヘッド温度センサ27および天板23(図1参照)に設けられた環境温度センサ26によって検出されたアナログ電圧値をデジタル値に変換する機能を有するとともに、供給ボビン29(図3参照)のインクシート供給側軸部29a(図3参照)の内部に配置されているインクシート温度センサ45によって検出されたアナログ電圧値をデジタル値に変換する機能を有する。
【0044】
図7は、図1に示した一実施形態による昇華型プリンタに装着されたインクシートカートリッジのインクシートを冷却する際の動作を説明するためのフローチャートである。次に、図1および図5〜図7を参照して、本実施形態による昇華型プリンタに装着されたインクシートカートリッジのインクシートを冷却する際の動作について説明する。
【0045】
昇華型プリンタの電源がオンの状態で、かつ、用紙80(図5参照)に印刷が行われている場合、まず、図7のステップS1において、インクシート24(図5参照)のY色(イエロー)印字シート、M色(マゼンダ)印字シート、C色(シアン)印字シートの3色のシートおよび印刷された用紙80の印刷面を保護するための透明のOP(オーバーコート)シートの全ての印刷が終了しているか否かが判断される。そして、ステップS1において、全ての印刷が終了していないと判断された場合には、全ての印刷が終了するまでこの判断が繰り返される。その一方、ステップS1において、全ての印刷が終了したと判断された場合には、ステップS2に進む。
【0046】
次に、ステップS2において、制御部21a(図6参照)により、タイマー21g(図6参照)がオンされるとともに、ステップS3に進む。その後、ステップS3において、制御部21aにより、新たな印刷要求がされているか否かが判断される。そして、ステップS3において、新たな印刷要求がされていると判断された場合には、ステップS4に進むとともに、ステップS4において、新たな印刷要求が記憶部21h(図6参照)に記憶されて、ステップS5に進む。その一方、ステップS3において、新たな印刷要求がされていないと判断された場合には、ステップS5に進む。
【0047】
次に、ステップS5において、インクシート温度センサ45(図6参照)によりインクシート24の温度が検出されるとともに、ステップS6に進む。その後、ステップS6において、制御部21aにより、インクシート24の温度が所定の温度(約50℃)よりも高いか否かが判断される。そして、ステップS6において、インクシート24の温度が所定の温度(約50℃)よりも高くないと判断された場合には、後述するステップS12に進む。その一方、ステップS6において、インクシート24の温度が所定の温度(約50℃)よりも高いと判断された場合には、ステップS7に進む。
【0048】
その後、ステップS7において、制御部21aにより、タイマー21gがオフ(タイムアップ)されたか否か(タイマー21gがオンされてから5分が経過したか否か)が判断される。そして、ステップS7において、タイマー21gがオフされたと判断された場合には、ステップS8に進むとともに、ステップS8において、冷却ファン28を停止した後、ステップS9において、表示部47(図示しないが装置本体の上面に設けられている)にエラー表示が行われ、昇華型プリンタに装着されたインクシートカートリッジ25(図1参照)のインクシート24を冷却する際の動作が終了する。その一方、ステップS7において、タイマー21gがオフ(タイムアップ)されていないと判断された場合には、ステップS10に進む。
【0049】
その後、ステップS10において、制御部21aにより、冷却ファン28(図6参照)が動作しているか否かが判断される。そして、ステップS10において、冷却ファン28が動作していないと判断された場合には、ステップS11に進むとともに、ステップS11において、冷却ファン28が起動され、ステップS3に戻る。その一方、ステップS10において、冷却ファン28が動作していると判断された場合には、ステップS3に進む。
【0050】
つまり、インクシート24の温度が所定の温度よりも高い場合で、かつ、タイマー21gがオンされてから5分が経過していない場合には、ステップS3からステップS11の動作が繰り返される。
【0051】
また、上記したように、ステップS6において、インクシート24の温度が所定の温度(約50℃)よりも高くないと判断された場合には、ステップS12に進む。ステップS12において、制御部21aにより、タイマー21gおよび冷却ファン28が動作しているか否かが判断される。そして、ステップS12において、タイマー21gおよび冷却ファン28が動作していると判断された場合には、ステップS13に進むとともに、ステップS13において、タイマー21gおよび冷却ファン28が停止されて、ステップS14に進む。また、ステップS12において、タイマー21gおよび冷却ファン28が動作していないと判断された場合には、ステップS14に進む。
【0052】
その後、ステップS14において、制御部21aにより、記憶部21hに新たな印刷要求が記憶されているか否かが判断される。そして、ステップS14において、記憶部21hに新たな印刷要求が記憶されていると判断された場合には、ステップS15に進むとともに、ステップS15において、新たな印刷要求に対する印刷開始指示を行うとともに、昇華型プリンタに装着されたインクシートカートリッジ25のインクシート24を冷却する際の動作が終了する。また、ステップS14において、記憶部21hに新たな印刷要求が記憶されていないと判断された場合には、昇華型プリンタに装着されたインクシートカートリッジ25のインクシート24を冷却する際の動作が終了する。
【0053】
このようにして、本実施形態による昇華型プリンタのインクシート24を冷却する際の動作が行われる。
【0054】
本実施形態では、上記のように、装置本体の内部に配置され、サーマルヘッド2および装置本体に装着されたインクシートカートリッジ25のインクシート24を冷却する冷却ファン28を設けることによって、サーマルヘッド2およびインクシート24が冷却ファンにより強制的に冷却されるため、装置本体が高温になるのを抑制することができる。また、印刷が休止された場合にも、冷却ファン28が設けられていない場合と比べて、サーマルヘッド2およびインクシート24の温度が低下するのが早くなるので、印刷が休止される時間が長くなるのを抑制することができる。また、インクシート温度センサ45により検出されたインクシート24の温度が所定の温度(約50℃)よりも高い場合に、冷却ファン28を動作させてインクシート24を冷却するように制御する制御部21aを設けることによって、インクシート24の温度に基づいて、冷却ファン28を動作させることによりインクシート24を冷却することができるので、インクシート24が高温になることに起因する印刷不良が発生するのを抑制することができる。
【0055】
また、本実施形態では、上記のように、制御部21aを、インクシート24を冷却している際に印刷の指示があった場合に、インクシート24の冷却が終了するまで指示された印刷を行わないように制御させることによって、冷却途中に印刷の指示があった場合にも、インクシート24が高温の状態で印刷されることがないので、インクシート24が高温になることに起因する印刷不良が発生するのを抑制することができる。
【0056】
また、本実施形態では、上記のように、制御部21aを、インクシート24の温度が所定の温度(約50℃)よりも低い温度に下がる場合と、所定の時間(約5分)が経過する場合との少なくともいずれか一方の場合まで冷却ファン28を動作させるように制御させることによって、インクシート24の温度が低下した場合には、直ちに冷却ファン28を停止させることができるとともに、インクシート24の温度が低下しない場合にも、所定の時間(約5分)よりも長い時間冷却動作が行われ続けるのを抑制することができる。
【0057】
また、本実施形態では、上記のように、制御部21aを、インクシート24の温度が所定の温度よりも高い状態で、所定の時間(約5分)よりも長い時間ファンによりインクシート24を冷却している場合に、使用者にエラーであることを告知するように構成することによって、冷却ファン28による冷却によってもインクシート24が所定の温度(約50℃)よりも低い温度に下がっていないことを、容易に、使用者に知らせることができる。
【0058】
また、本実施形態では、上記のように、制御部21aを、インクシートカートリッジ25が装置本体に装着されたとインクシート識別センサ46が検知したことに基づいて、インクシート温度センサ45による温度情報を取得するように構成することによって、インクシートカートリッジ25が装着されていない非印刷状態では、インクシート温度センサ45による温度情報を取得するための制御を行わないので、不要な制御動作を削減することができる。
【0059】
また、本実施形態では、上記のように、インクシート温度センサ45を、インクシートカートリッジ25の供給ボビン29のインクシート供給側軸部29aの内部の中央近傍を検出するように構成することによって、供給ボビン29に巻きつけられた印刷前の未使用のインクシート24の中央近傍の温度を容易に検出することができる。
【0060】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0061】
たとえば、上記実施形態では、昇華型プリンタに本発明を適用する例を示したが、本発明はこれに限らず、サーマルヘッドを有する画像形成装置であれば、昇華型プリンタ以外の画像形成装置にも適用可能である。
【0062】
また、上記実施形態では、所定の時間よりも長い時間冷却ファンによりインクシートを冷却している場合に、表示部にエラー表示を行うことにより、使用者にエラーを通知した例を示したが、本発明はこれに限らず、たとえば、警告音を発生させるなど、表示部にエラーを表示する以外の方法で使用者にエラーを通知するようにしてもよい。
【0063】
また、上記実施形態では、所定の時間が経過した後では、冷却ファンによりインクシートを冷却するのを停止するように構成した例を示したが、本発明はこれに限らず、所定の時間が経過した後にも、冷却ファンによりインクシートを冷却するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の一実施形態による昇華型プリンタの構成を示した斜視図である。
【図2】図1に示した一実施形態による昇華型プリンタの構造を説明するための斜視図である。
【図3】図1に示した一実施形態による昇華型プリンタおよびインクシートカートリッジの構造を説明するための断面図である。
【図4】図1に示した一実施形態による昇華型プリンタに含まれるギアの配置位置を示した側面図である。
【図5】図1に示した一実施形態による昇華型プリンタの構造を説明するための断面図である。
【図6】図1に示した一実施形態による昇華型プリンタに含まれる回路部の回路構成を示したブロック図である。
【図7】図1に示した一実施形態による昇華型プリンタに装着されたインクシートカートリッジのインクシートを冷却する際の動作を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
【0065】
2 サーマルヘッド
21a 制御部
24 インクシート
25 インクシートカートリッジ
28 冷却ファン(ファン)
29 供給ボビン
45 インクシート温度センサ(温度センサ)
46 インクシート識別センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクシートが巻きつけられた供給ボビンを含むインクシートカートリッジが着脱可能に装着される装置本体と、
前記装置本体に配置され、印画画像の印刷を行うためのサーマルヘッドと、
前記装置本体の内部に配置され、前記サーマルヘッドおよび前記装置本体に装着された前記インクシートカートリッジのインクシートを冷却するファンと、
前記インクシートカートリッジのインクシートの温度を検出する温度センサと、
前記温度センサにより検出された前記インクシートの温度が所定の温度よりも高い場合に、前記ファンを動作させて前記インクシートを冷却するように制御する制御部とを備える、画像形成装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記インクシートを冷却している際に、印刷の指示があった場合には、前記インクシートの冷却が終了するまで指示された前記印刷を行わないように制御するように構成されている、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記インクシートの温度が所定の温度よりも低い温度に下がる場合と、所定の時間が経過する場合との少なくともいずれか一方の場合まで前記ファンを動作させるように制御するように構成されている、請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記インクシートの温度が所定の温度よりも高い状態で、前記所定の時間よりも長い時間前記ファンにより前記インクシートを冷却している場合に、使用者にエラーであることを告知するように構成されている、請求項1〜3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記インクシートカートリッジが前記装置本体に装着された際に、前記インクシートカートリッジが前記装置本体に装着されたことを検知するインクシート識別センサをさらに備え、
前記制御部は、前記インクシートカートリッジが前記装置本体に装着されたと前記インクシート識別センサが検知したことに基づいて、前記温度センサによる温度情報を取得するように構成されている、請求項1〜4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記温度センサは、前記インクシートカートリッジの供給ボビンの内部の中央近傍の温度を検出するように構成されている、請求項1〜5のいずれか1項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−45869(P2009−45869A)
【公開日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−215360(P2007−215360)
【出願日】平成19年8月22日(2007.8.22)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】