説明

画像形成装置

【課題】複数の画像形成装置郡より省電力に最も適した画像形成装置を選択可能にする画像形成装置を提供する。
【解決手段】単位時間当たりの印刷物出力枚数が最大となる通常モードと当該通常モードよりも消費電力及び単位時間当たりの印刷物出力枚数が低い省電力出力モードとを切り替える切替手段と、通常モード選択時における消費電力及び単位時間当たりの印刷物出力枚数と省電力出力モード選択時における消費電力及び単位時間当たりの印刷物出力枚数とを選択可能に表示する選択受付手段と、選択受付手段により受け付けたモードに応じて切替手段が切り替えたモードに基づいて印刷物出力枚数を変更する印刷手段とを備える画像形成装置を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタル複写機、プリンタ、スキャナなどの画像形成装置に関し、詳しくは複数の画像形成装置郡より省電力に最も適した画像形成装置を選択可能にする画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、画像形成装置ではその価値を高めるため、高性能化、多機能化が図られてきた。画像形成装置における高性能を示す1つの代表的な指標として、単位時間当たりの印刷物出力枚数(CPM:コピー枚数/分)、すなわち印刷速度がある。印刷速度を高めるために、定着装置において加熱ローラを少しでも高温に維持し、すなわち定着時間を短縮している。
【0003】
他方で、高性能である他の指標として、低消費電力である点が注目を集めつつある。すなわち、画像形成装置を構成する各パーツの消費電力を低く抑えることで低消費電力を実現している。
【0004】
しかしながら、上記2つの指標は互いに相反するものである。というのも、画像形成装置における電力消費のほとんどは、定着装置において加熱ローラを高温に維持するヒータが要するものである。したがって、他のパーツの消費電力を低く抑えたとしても、ほとんどの電力を消費するヒータが大きな電力を必要とする以上、これら2つを同時に高いレベルで実現することは困難であった。
【0005】
そこで、特開平07−072678号公報(特許文献1)には、紙搬送手段の搬送速度、露光手段の露光量、光走査手段の走査速度、及び定着手段の定着温度をそれぞれ複数種類設定すると共に、それぞれの切替えを操作者が行うための切替え手段を有するよう構成した技術が開示されている。この技術によれば、切り替えにより、用途や使用目的に応じて必要最低限の消費電力で記録動作を行うことができ、すなわち省電力化が図れるとしている。
【特許文献1】特開平07−072678号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、近年では複数の画像形成装置がネットワークを介して接続され、たとえばパーソナルコンピュータより複数の画像形成装置のなかから意図する画像形成装置に画像データを送信し、印刷させるといった利用形態が一般的となっている。したがって、このような利用形態にも適用可能な省電力化技術が求められている。
【0007】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたもので、複数の画像形成装置郡より省電力に最も適した画像形成装置を選択可能にする画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記目的を達成するために以下の手段を採用している。すなわち本発明における画像形成装置においては、自装置において単位時間当たりの印刷物出力枚数が最大となる通常モードと当該通常モードよりも消費電力及び単位時間当たりの印刷物出力枚数が低い省電力出力モードとを切り替える切替手段と、通常モード選択時における消費電力及び単位時間当たりの印刷物出力枚数と省電力出力モード選択時における消費電力及び単位時間当たりの印刷物出力枚数とを選択可能に表示する選択受付手段と、選択受付手段により受け付けたモードに応じて切替手段が切り替えたモードに基づいて印刷物出力枚数を変更する印刷手段とを備える。
【0009】
また、さらに、選択受付手段にて上記省電力出力モードが選択された場合、自装置とネットワークを介して通信可能に接続された他の画像形成装置より当該他の画像形成装置における消費電力及び単位時間当たりの印刷物出力枚数を取得する他装置情報取得手段を備える構成において、選択受付手段は、自装置の省電力出力モード時の情報に加えて取得した他の画像形成装置における消費電力及び単位時間当たりの印刷物出力枚数を選択可能に表示する構成がある。
【0010】
なお、他装置情報取得手段は、他の画像形成装置が休止モードである場合には当該他の画像形成装置からの情報の取得は行わない構成としてもよい。
【0011】
さらに、選択受付手段により他の画像形成装置が選択された場合に、自装置の読取手段にて取得した画像データを、選択された上記他の画像形成装置に送信するデータ転送手段を備える構成としてもよい。
【0012】
他の構成として、異なる画像形成装置からのネットワークを介した問い合わせに対して、自装置のモード種別、消費電力及び単位時間当たりの印刷物出力枚数を返信する能力応答手段と、異なる画像形成装置からネットワークを介して送信された画像データを印刷物として出力する印刷手段とを備える画像形成装置がある。
【0013】
また、能力応答手段は、問い合わせを受信した時点の加熱ローラの温度に基づいて、現在提供可能なモード種別、当該モード種別に対応する消費電力、当該モード種別に対応する単位時間当たりの印刷物出力枚数を返信する構成としてもよい。
【発明の効果】
【0014】
通常モード選択時における消費電力及び単位時間当たりの印刷物出力枚数と、上記省電力出力モード選択時における消費電力及び単位時間当たりの印刷物出力枚数とを選択可能に表示することで、ユーザは自らが許容できるサービス提供時間の範囲でモード種別を選択可能となる。
【0015】
また、省電力出力モードが選択された場合、ネットワークを介して接続された他の画像形成装置における消費電力及び単位時間当たりの印刷物出力枚数を取得し、これらをモード種別と共に選択可能に表示している。これにより、例えばサービス提供の時間よりも省電力を重視するユーザに対しては、自装置のみではなく他の装置の省電力モードまで判定して画像処理装置を選択可能となり、複数の画像形成装置からなるシステム全体として省電力化を図る事が可能となる。
【0016】
さらに自装置の読取手段にて取得した画像データを、選択された他の画像形成装置に送信するデータ転送手段を備えることにより、他の画像形成装置が使用中であっても原稿を読み取るための待ち時間が生じることがなく、また、原稿読み取りのために他の画像形成装置まで赴く必要がない。
【0017】
また、能力応答手段が、問い合わせを受信した時点の加熱ローラの温度に基づいて、現在提供可能なモード種別、当該モード種別に対応する消費電力、当該モード種別に対応する単位時間当たりの印刷物出力枚数を返信するため、新たに加熱ヒータに通電して大量の電力を消費することがないため、一層効率よい省電力化を実現可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。尚、以下の実施の形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
【0019】
以下、本発明に係る画像形成装置について説明する。
【0020】
図1は、画像形成装置100の概略模式図である。ただし、本発明に直接には関係しない各部の詳細は省略している。
【0021】
本発明の画像形成装置100は、例えばプリンタやスキャナ単体、あるいはプリンタ、コピー、スキャナ、ファックス等を備えた複合機等が該当する。
【0022】
なお、一例として複合機を利用して原稿のコピーを行う際の画像形成装置の動作を簡単に説明する。
【0023】
ユーザが複合機を利用して例えば原稿の印刷を行う場合、原稿を図1に示す原稿台103、或いは載置台105に配置し、原稿台近傍に供えられた操作パネルに対して印刷の指示を行う。当該指示があると、以下に示す各部(駆動部)が動作することで、印刷が行われる。
【0024】
即ち、図1に示すように、本実施の形態の画像形成装置100は、本体101と、本体101の上方に取り付けられたプラテンカバー102を備える。本体101の上面は原稿台103が設けられており、原稿台103は、プラテンカバー102によって開閉されるようになっている。プラテンカバー102は、自動原稿給紙装置104と載置台105と排紙台109が設けられている。
【0025】
自動原稿給紙装置104は、プラテンカバー102の内部に形成された原稿搬送路108と、プラテンカバー102の内部に備えられたピックアップローラ106や搬送ローラ107等で構成される。原稿搬送路108は、載置台105から、本体101に設けられた読取部110にて読み取りが行なわれる読取位置Pを経由して、排紙台109に通じる原稿の搬送路である。
【0026】
自動原稿給紙装置104は、載置台105に載置された原稿1枚ずつをピックアップローラ106で搬送路内108に引き出し、搬送ローラ107等によって引き出した原稿を、読取位置Pを通過させて排紙台109に排紙する。読取位置Pを通過する時に原稿は読取部110にて読み取られる。
【0027】
上記読取部110は、原稿台103の下方に設けられており、図2にその詳細が示されている。読取部110は、原稿台103を照射する主走査方向に長い光源111と、原稿台からの光を選択的に通過させるスリット116と、原稿台からの光を導くミラー112とを備える第一の移動キャリッジ117や、第一の移動キャリッジ117からの反射光を再度反射するミラー113A、113Bを備える第二の移動キャリッジ118、さらにミラーで導かれた光を光学的に補正するレンズ群119、当該レンズ群119より補正された光を受光する撮像素子115、撮像素子にて受光した光を電気信号に変換し、必要に応じて補正・修正などを行う画像データ生成部114とで構成されている。
【0028】
自動原稿給紙装置104上の原稿を読み取る場合には、光源111は、読取位置Pを照射できる位置に移動して発光する。光源111からの光は、原稿台103を透過して読取位置Pを通過する原稿にて反射し、スリット116、ミラー112、113A、113B、レンズ群119によって撮像素子115に導かれる。撮像素子115は、受光した光を電気信号に変換して画像データ生成部114に送信する。画像データ生成部114には、上記撮像素子115にて受光された光がR(レッド)、G(グリーン)、B(ブルー)のアナログ電気信号として入力され、ここでアナログ−デジタル変換され、即ちデジタル化される。さらに、画像データ生成部114では、順次変換されたデジタル信号を単位データとし、これら単位データを必要に応じて補正、修正等することで複数の単位データからなる画像データを生成し、第一の記憶部114Bに格納する。
【0029】
また、読取部110は、自動原稿給紙装置104で搬送される原稿だけでなく、原稿台103に載置された原稿も読み取ることが可能となっている。原稿台103に載置された原稿を読み取る場合は、第一のキャリッジ112は、光源111を発光しながら副走査方向に移動し、光源111から撮像素子115までの光路長を一定にするために、第二の移動キャリッジ118は第一の移動キャリッジ117の1/2の速度で撮像素子115方向に移動する。
【0030】
撮像素子115は、自動原稿給紙装置104に搬送された原稿のときと同様に、ミラー112、113A、113Bに導かれた光に基づいて原稿台103に載置された原稿からの光を電気信号に変換し、これに基づいて画像データ生成部114が画像データを生成し、第一の記憶部114Bに記憶する。なお、上記読取部110を構成する各部が一連の処理を行うことにより、後述する読取手段401として動作する。
【0031】
本体101の読取部110の下方には、画像データを印刷する印刷部120を備えている。印刷部120が印刷できる画像データは、上記のように画像データ生成部114にて生成されたものや、その他画像形成装置100とLAN等のネットワークに接続された他の画像形成装置やパソコン等の端末から、ネットワークインターフェイスを介して受信したものである。
【0032】
印刷部120が行う印刷方式には、電子写真方式が用いられている。即ち、感光ドラム121を帯電器122で一様に帯電させ、その後レーザ123で感光ドラム121を照射して感光ドラム121に潜像を形成し、現像器124で潜像にトナーを付着させて可視像を形成し、転写ローラにて可視像を用紙に転写する方式である。
【0033】
なお、フルカラー画像に対応した画像形成装置では、上記現像器(ロータリー現像器)124が、図1の紙面に対して垂直方向に構成される回転軸を中心として周方向に回転させられ、対応する色のトナーが格納された現像ユニットが感光ドラム121の対向位置に配置される。この状態で、感光ドラム121上の潜像が、現像器124が格納するトナーにより現像され、中間転写ベルト125Aに転写される。なお、現像器124は、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K)の各トナーをそれぞれ格納する4つの現像ユニット124(Y)、(C)、(M)、(K)を有している。上記中間転写ベルト125Aへの転写を上記各色毎に繰り返すことにより、当該中間転写ベルト125A上にフルカラー画像が形成される。
【0034】
可視像が印刷される印刷媒体、即ち用紙は、手差しトレイ131、給紙カセット132、133、134などの給紙トレイに載置されたものである。
【0035】
印刷部120が印刷を行う際には、何れか1つの給紙トレイから用紙1枚を、ピックアップローラ135を用いて引き出し、引き出した用紙を搬送ローラ137(手差しトレイ131を利用する場合には搬送ローラ136)やレジストローラ138で中間転写ベルト125Aと転写ローラ125Bの間に送り込む。
【0036】
印刷部120は、中間転写ベルト125と転写ローラ125の間に送り込んだ用紙に、上記中間転写ベルト125上の可視像を転写すると、可視像を定着させるために、搬送ベルト126で定着装置127に用紙を送る。定着装置127は、ヒータが内蔵された加熱ローラ128と、所定の圧力で加熱ローラ128に押し当てられた加圧ローラ129とで構成されている。加熱ローラ128と加圧ローラ129の間を用紙が通過すると、熱と用紙への押圧力によって可視像が用紙に定着する。印刷部120は、定着装置127を通過した用紙を排紙トレイ130に排紙する。
【0037】
以上が、画像形成装置100における基本的なコピーサービスの処理である。
【0038】
なお、上記画像形成装置100では、図3の概略構成図に示すように、CPU(Central Processing Unit)301、RAM(Random Access Memory)302、ROM(Read Only Memory)303、HDD(Hard Disk Drive)304及び上記印刷処理における各駆動部に対応するドライバ305が内部バス306を介して接続されている。上記CPU301は、例えばRAM302を作業領域として利用し、ROM303やHDD304等に記憶されているプログラムを実行し、当該実行結果に基づいて上記ドライバ305とデータや命令を授受することにより上記図1、図2に示した各駆動部307の動作を制御する。
【0039】
続いて、本発明に係る画像形成装置の印刷処理の詳細について、図4〜6を参照して説明する。
【0040】
まず、ユーザに対して印刷部120を利用した機能、例えばコピー機能を提供する際には、選択受付手段401は操作パネルを構成する表示手段402を介して、通常モードでの動作及び省電力モードでの動作を選択可能に表示する(図5:S501)。なお、以後、ユーザが直接操作している画像形成装置を必要に応じて自装置と称する。
【0041】
ここで通常モードとは、画像形成装置100において単位時間当たりの印刷物出力枚数が最大となるモードである。また、省電力出力モードとは、通常モードよりも消費電力及び単位時間当たりの印刷物出力枚数が低いモードであり、同一枚数の処理を行った際には通常モードに比較してトータル消費電力を低く抑えられる。なお、表示の際に選択受付手段401は、図6A(モード選択画面)に示すように、例えばモード種別601と、各モード種別に対応する消費電力602と、各モード種別に対応する単位時間当たりの印刷物出力枚数(CPM)603と、ヒータ入力電圧604とを表示する。また、選択受付手段401は、各モード毎に選択ボタン605を設けて表示しており、ユーザは操作パネルの選択ボタン605を押下することにより、各モードを選択可能となっている。
【0042】
上記表示に対して、ユーザが“通常モード”を選択した場合、選択受付手段401は当該“通常モード”が選択された旨を切替手段404に通知する。当該通知を受けた切替手段404は、印刷部120の各部の処理を“通常モード”に対応するよう切り替えを行う(図5:S502NO→S503)。具体的には、印刷部120を構成する加熱ローラ128に対して通常モード動作時の電力(ここでは100V)を供給し、また印刷物出力枚数を通常モード時の値(ここでは40CPM)になるよう印刷部120の各部の速度等を調節する。通常モードに切り替えられた後、印刷手段405(印刷部120)は、上述した原稿の読み込みから用紙の排紙までの処理を行う。これにより、通常モードに対応する能力(消費電力及び単位時間当たりの印刷物出力枚数)でのサービスが提供される(図5:S504)。
【0043】
他方、ユーザが“省電力モード”を選択した場合、具体的には、図6Aにおける“省電力モードA”または“省電力モードB”を選択した場合、当該“省電力モード”が選択された旨が、他装置情報取得手段403に送信される。続いて、“省電力モード”が選択された旨を受信した他装置情報取得手段403は、送受信手段406を介してネットワーク410に接続された他の画像形成装置に対して、当該他の画像装置が現在提供可能なモード種別と、当該モード種別に対応する消費電力と、当該モード種別に対応するCPMと、当該モード種別に対応するヒータ入力電圧とを問い合わせる(図5:S502YES→S505)。
【0044】
当該問い合わせに対して、画像形成装置100と略同一の構成を有する他の画像形成装置は、送信手段406を介して能力応答手段409により上記問い合わせを受信し、印刷手段405より現在提供可能なモード種別を判定するための判定情報を取得する。ここで、判定情報とは、例えば加熱ローラの現在の温度と、その他図示しないメモリに記憶されているモード種別と、当該モード種別に対応する消費電力と、当該モード種別に対応するCPMと、当該モード種別に対応するヒータ入力電圧と、当該モード種別に対応する加熱ローラの温度などが挙げられる。また、現在とは、問い合わせを受信した時点を意味する。
【0045】
上記判定情報を取得した能力応答手段409は、現在の加熱ローラの温度に近い温度、あるいは現在の加熱ローラの温度以下の温度で提供可能なモード種別を判定する。例えば、画像形成装置100の場合であり、現在、通常モードでコピーサービスを提供している場合には、加熱ローラ128をさらに加熱にすることなく(現状温度を維持するのみで)利用可能という観点から、現在提供可能なモード種別は通常モード及び省電力モードとなる。また、例えば現在、省電力モードBでコピーサービスを提供している場合には、現在提供可能なモード種別は、上記観点より省電力モードBのみとなる。上記提供可能なモード種別が判定されると当該モード種別と、当該モード種別に対応する消費電力と、当該モード種別に対応するCPMと、当該モード種別に対応するヒータ入力電圧と、必要に応じて当該他の画像形成装置の設置場所情報とを送信する。なお、他の画像処理装置が休止モード(スタンバイモード)である場合には、加熱ローラを常温(低温)から加熱する必要が生じるため、現在提供可能なモード種別は“なし”となり、即ち他装置情報取得手段403は休止モードの画像形成装置からの情報は取得しない。なお、ここでいう休止モードとは、加熱ヒータや他の不要な駆動部への電源供給を遮断し、またサービスの提供を休止すると共に、ユーザの入力に基づいて高速にサービス提供のための準備に移行するモードであり、本願にて示す省電力モード、即ちサービス提供時に異なる能力(消費電力)でサービスを提供するモードとは異なる。
【0046】
さて、他の画像形成装置の能力応答手段409からの応答を受信した他装置情報取得手段403は、当該応答に基づいて、図6Bに示すように例えば装置名あるいは装置が設置されている設置場所及びモード種別611と、当該モード種別に対応する消費電力612と、当該モード種別に対応するCPM613と、当該モード種別に対応するヒータ入力電圧614とを選択可能に表示する(図5:S506)。
【0047】
上記表示に対して、ユーザが自装置(例えば図6Bにおける“自装置:省電力モードA”、又は“自装置:省電力モードB”)を選択した場合、選択受付手段401は当該自装置が選択された旨及び選択されたモード種別(ここでは省電力モードBとする)を切替手段404に通知する(図5:S507NO)。当該通知を受けた切替手段404は、印刷部120の各部の処理を“省電力モードB”に対応するよう切り替えを行う(図5:S503)。具体的には、加熱ローラ128に対して省電力モードB動作時の電力(ここでは80V)を供給し、また印刷物出力枚数を省電力モードB時の値(ここでは10CPM)になるよう印刷部120の各部の速度等を調節する。省電力モードBに切り替えられた後、印刷手段405は、上述した原稿の読み込みから用紙の排紙までの処理を行う。これにより、省電力モードBに対応する能力でのサービスが提供される(図5:S504)。
【0048】
これに対して、ユーザが他の画像形成装置(例えば図6Bにおける“フロアA:省電力モードC”、又は“フロアB:省電力モードF”)を選択した場合、当該旨(ここでは“フロアB:省電力モードF”が選択されたものとする)が選択受付手段401に受信される。続いて、選択受付手段401は、上述した自動原稿給紙装置104や読取部110、即ち読取手段407に原稿を読み取らせると共に、読み取られることにより生成された画像データを、データ転送手段408、送受信手段406、及びネットワーク410を介して上記“フロアB:省電力モードF”との応答を行った他の画像処理装置に送信(転送)する(図5:S508)。この際に、ユーザが選択したモード種別(ここでは省電力モードF)も送信される。
【0049】
上記データ転送手段408より画像データ及びモード種別を受信した他の画像処理装置は、モード種別を切替手段404にて受信し、上述した処理S503と同様の処理によって省電力モードFに切り替える。また、受信した画像データは印刷手段405にて受信され、上記切り替えられたモードFの状態で印刷が行われる。
【0050】
以上のように、通常モード選択時における消費電力及び単位時間当たりの印刷物出力枚数と、上記省電力出力モード選択時における消費電力及び単位時間当たりの印刷物出力枚数とを選択可能に表示することで、ユーザは自らが許容できるサービス提供時間の範囲でモード種別を選択可能となる。
【0051】
また、省電力出力モードが選択された場合、ネットワークを介して接続された他の画像形成装置における消費電力及び単位時間当たりの印刷物出力枚数を取得し、これらをモード種別と共に選択可能に表示している。これにより、例えばサービス提供の時間よりも省電力を重視するユーザに対しては、自装置のみではなく他の装置の省電力モードまで判定して画像処理装置を選択可能となり、複数の画像形成装置からなるシステム全体として省電力化を図る事が可能となる。
【0052】
さらに自装置の読取手段にて取得した画像データを、選択された他の画像形成装置に送信するデータ転送手段を備えることにより、他の画像形成装置が使用中であっても原稿を読み取るための待ち時間が生じることがなく、また、原稿読み取りのために他の画像形成装置まで赴く必要がない。
【0053】
また、能力応答手段が、問い合わせを受信した時点の加熱ローラの温度に基づいて、現在提供可能なモード種別、当該モード種別に対応する消費電力、当該モード種別に対応する単位時間当たりの印刷物出力枚数を返信するため、新たに加熱ヒータに通電して大量の電力を消費することがないため、一層効率よい省電力化を実現可能である。
【0054】
なお、上記実施の形態における自装置と、他の画像形成装置とは、同一機能を有する例えば能力応答手段や他装置情報取得手段を備えているが、ヒータ能力や印刷速度など、印刷部における能力は異なるものとして説明している。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明に係る画像形成装置は、複数の画像形成装置郡より省電力に最も適した画像形成装置を選択可能にする画像形成装置として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明に係る画像形成装置の概略模式図。
【図2】読取部の拡大図。
【図3】本発明に係る画像形成装置の概略構成図。
【図4】本発明に係る画像形成装置の概略機能ブロック図。
【図5】本発明に係る処理手順を示すフローチャート。
【図6】モード選択画面の一例を示す図。
【符号の説明】
【0057】
401 選択受付手段
402 表示手段
403 他装置情報取得手段
404 切替手段
405 印刷手段
406 送受信手段
407 読取手段
408 データ転送手段
409 能力応答手段
410 ネットワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
単位時間当たりの印刷物出力枚数が最大となる通常モードと、当該通常モードよりも消費電力及び単位時間当たりの印刷物出力枚数が低い省電力出力モードとを切り替える切替手段と、
上記通常モード選択時における消費電力及び単位時間当たりの印刷物出力枚数と、上記省電力出力モード選択時における消費電力及び単位時間当たりの印刷物出力枚数とを選択可能に表示する選択受付手段と、
上記選択受付手段により受け付けたモードに応じて上記切替手段が切り替えたモードに基づいて、印刷物出力枚数を変更する印刷手段と、
を備える画像形成装置。
【請求項2】
上記選択受付手段にて上記省電力出力モードが選択された場合、自装置とネットワークを介して通信可能に接続された他の画像形成装置より当該他の画像形成装置における消費電力及び単位時間当たりの印刷物出力枚数を取得する他装置情報取得手段を備え、
上記選択受付手段は、自装置の省電力出力モード時の情報に加えて、上記他装置情報取得手段にて取得した他の画像形成装置における消費電力及び単位時間当たりの印刷物出力枚数を選択可能に表示する請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
上記他装置情報取得手段は、他の画像形成装置が休止モードである場合には当該他の画像形成装置からの情報の取得は行わない請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
上記選択受付手段により他の画像形成装置が選択された場合に、自装置の読取手段にて取得した画像データを、選択された上記他の画像形成装置に送信するデータ転送手段を備える請求項2または3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
他の画像形成装置からのネットワークを介した問い合わせに対して、自装置のモード種別、消費電力及び単位時間当たりの印刷物出力枚数を返信する能力応答手段と、
上記他の画像形成装置からネットワークを介して送信された画像データを印刷物として出力する印刷手段と、
を備える画像形成装置。
【請求項6】
上記能力応答手段は、上記問い合わせを受信した時点の加熱ローラの温度に基づいて、現在提供可能なモード種別、当該モード種別に対応する消費電力、当該モード種別に対応する単位時間当たりの印刷物出力枚数を返信する請求項5に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−86106(P2009−86106A)
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−253417(P2007−253417)
【出願日】平成19年9月28日(2007.9.28)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】