説明

画像形成装置

【課題】用紙を給紙する給紙機構と、印字部まで用紙を搬送する搬送機構と裏面を印字するための両面ユニットを持つ画像形成装置において、用紙サイズや種類に制限されることなく両面印字を可能にすること、かつ小型化すること。
【解決手段】画像形成部を備えた画像形成装置本体と、該画像形成装置によって片面に画像形成を受けた記録媒体を反転して画像形成部に送出して他面にも印字を可能とする両面ユニット61と、を備えた画像形成装置において、両面ユニット内の両面搬送経路の長さを伸縮変更可能とする伸縮部Aを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は両面印字機能を備えた画像形成装置の改良に関し、特に小型でありながらも用紙のサイズや種類に制限されることなく両面印字を行うことを可能とした画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、複写機やプリンタ等の各種画像形成装置には、省資源化のために、用紙の裏面に対して画像形成を行う両面印字機能を備える装置が多い。
両面印字工程では、給紙部より給紙した用紙を印字部まで搬送し、表面印字した後で、機内にて反転させ、用紙を再度印字部に搬送し、裏面に印字を行う。
ところで、最近では比較的低速・小型の機種においても、両面印字機能の需要が大きい。その一方、両面印字機構(用紙反転機構)を備えた両面ユニットを画像形成装置に設置すると、大型化するというデメリットがあった。そのため、現在の両面ユニットは、用紙反転のための搬送経路を短縮するか、またその曲率を小さくすることで、小型化に対応している。
しかし、このように搬送経路を短縮化し、且つ曲率を小さくした両面ユニットでは、両面ユニット内搬送経路長より長い用紙に対する両面印字対応不可、また、光沢紙・厚紙・封筒といった用紙厚の大きい用紙に対しては反転時の折り曲げを許容できないため両面印字対応不可となっており、両面印字が可能な用紙サイズや種類が制限されるという問題点があった。
【0003】
特開2001−063019公報には、画像品質が安定し、小型化を図れる両面印写が可能なインクジェット記録装置を提供する目的で、画像形成装置本体内に一面に画像が形成された用紙をスイッチバック(反転)するための反転手段と、この反転手段で反転される用紙を再給紙するための搬送する両面搬送路を備える構成が開示されている。
この従来例によれば、用紙を反転させ、用紙を再度印字部に搬送し、裏面に印字を行うことができるが、小型化が更に進んだ場合に両面印字可能な用紙サイズに限界が発生するという問題を有している。
特開平10−338404号公報には、搬送方向に長い用紙もスイッチバックさせて反転搬送することができながら省スペースで設置可能にする目的で、スイッチバック搬送路の搬送路切換手段以降の長さを短く設定して両面反転装置全体を小型にし、他の周辺機器に当接しない側の方向に用紙進路切換部材を設ける構成が開示されている。
この従来例では、搬送方向に長い用紙に対する両面印字に対応しているが、小型化が更に進んだ場合に両面印字可能な用紙サイズに限界が発生するという問題を有している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、用紙を給紙する給紙機構と、印字部まで用紙を搬送する搬送機構と裏面を印字するための両面ユニットを持つ画像形成装置において、用紙サイズや種類に制限されることなく両面印字を可能にすること、かつ小型化にも対応することを目的とする。
特に、両面ユニット内の搬送経路を伸縮することができるので、搬送方向に長い用紙や用紙厚の大きい用紙に対しても、両面ユニットにて用紙を反転させることができ、両面印字が可能となる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、請求項1の発明は、画像形成部を備えた画像形成装置本体と、該画像形成装置によって片面に画像形成を受けた記録媒体を反転して前記画像形成部に送出して他面にも印字を可能とする両面ユニットと、を備えた画像形成装置において、前記両面ユニット内の両面搬送経路の長さを伸縮変更可能とする伸縮部を備えたことを特徴とする。
請求項2の発明は、前記両面搬送経路の一部を記録媒体搬送方向に沿って二つの部材に分けた伸縮部を設け、個々の部材の間隔を伸縮調整することにより、前記両面搬送経路長を変更可能としたことを特徴とする。
請求項3の発明は、前記両面ユニットは、用紙反転のための反転ローラと前記反転ローラと接するコロを各々複数対有し、前記伸縮部は、前記反転ローラを回避した部位を2つの部材に分けた構成を備え、個々の部材の端部には互いに噛み合う櫛歯を設けたことを特徴とする。
請求項4の発明は、前記両面ユニットは、用紙反転のための反転ローラと前記反転ローラと接するコロを各々複数対有し、前記伸縮部は、前記反転ローラを回避した部位を2つの部材に分けた構成を備え、個々の部材間を折畳み式に連結させた構成を備えていることを特徴とする。
【0006】
請求項5の発明は、前記両面ユニットは、固定側のユニット下部と、可動側のユニット上部とを備え、前記ユニット上部を前記ユニット下部に対して持ち上げることにより、前記櫛歯間の間隔、又は前記2つの部材間の間隔が変化し、前記両面搬送経路長が伸びることを特徴とする。
請求項6の発明は、前記反転ローラは、前記両面ユニット上部が持ち上がった状態においても、前記両面ユニットのコロとのニップ状態を保持していることを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置であることを特徴とする。
請求項7の発明は、前記両面ユニットは、前記櫛歯間の間隔が一段階、又は多段階のいずれかにて変更可能であることを特徴とする。
請求項8の発明は、前記櫛歯部は、前記両面ユニットのユニット上部が持ち上がった際、上側に位置する櫛歯先端部が下側に位置する櫛歯先端部よりも搬送経路の内側に位置することを特徴とする。
請求項9の発明は、前記折畳み部が折畳まれている状態においては、搬送方向下流側の前記部材が上流側の前記部材の外側に位置していることを特徴とする。
請求項10の発明は、前記両面ユニットは、前記画像形成装置本体に対して脱着可能であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、用紙を給紙する給紙機構と、印字部まで用紙を搬送する搬送機構と裏面を印字するための両面ユニットを持つ画像形成装置において、用紙サイズや種類に制限されることなく両面印字を可能にすること、かつ小型化にも対応することができる。
特に、両面ユニット内の搬送経路を伸縮することができるので、搬送方向に長い用紙や用紙厚の大きい用紙に対しても、両面ユニットにて用紙を反転させることができ、両面印字が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の内部構成の説明図であり、より具体的にはインクジェット記録装置の断面図である。
【図2】図1における画像記録部付近の構成を示す平面図である。
【図3】図1におけるインクジェット記録装置両面ユニットの外装一部を櫛歯状にした際の断面図である。
【図4】図3における両面ユニット櫛歯部の断面図である。
【図5】第3実施形態における両面ユニット櫛歯部の断面図である。
【図6】本発明の第4の実施形態に係る両面ユニットの構成及び動作説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態に係る画像形成装置の一例としてのインクジェット記録装置について添付図面に基づいて説明する。
図1は本発明の一実施形態に係る画像形成装置の内部構成の説明図であり、より具体的にはインクジェット記録装置の断面図であり、図2は、図1における画像記録部付近の構成を示す平面図である。
インクジェット記録装置は、画像形成部を有した画像形成本体と、画像形成装置本体に付設された両面ユニットと、から概略構成されている。
インクジェット記録装置は、図示しない左右の側板に横架したガイド部材であるガイドロッド1によりキャリッジ3を主走査方向に摺動自在に保持し、主走査モータ4で駆動プーリ6aと従動プーリ6b間に架け渡したタイミングベルト5を介して図2で矢印で示す主走査方向に移動走査する。なお、キャリッジ3とガイドロッド1との間にはガイドブッシュ(軸受け)3a、3aをそれぞれ介在させている。
【0010】
キャリッジ3には、例えば、それぞれイエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(Bk)のインク滴を吐出する液滴吐出ヘッドからなる4個の記録ヘッド7を複数のインク吐出口を主走査方向と交叉する方向に配列し、インク滴吐出方向を下方に向けて装着している。
記録ヘッド7を構成する液滴吐出ヘッドとしては、圧電素子などの圧電アクチュエータ、発熱抵抗体などの電気熱変換素子を用いて液体の膜沸騰を利用するサーマルアクチュエータ、温度変化による金属相変化を用いる形状記憶合金アクチュエータ、静電力を用いる静電アクチュエータなどのインク(記録液)を吐出するためのエネルギー発生手段として備えたものなどを使用できる。
キャリッジ3には、記録ヘッド7に各色のインクを供給するための図示しない各色のサブタンクを搭載している。このサブタンクにはインク供給チューブを介して図示しないメインタンク(インクカートリッジ)からインクが補充供給される。なお、インク滴を吐出する記録ヘッド7以外に、記録液(インク)と反応することでインクの定着性を高める定着用処理液(定着用インク)を吐出する記録ヘッドを備えることもできる。
【0011】
一方、給紙カセット10などの用紙積載部(圧板)11上に積載した用紙12を給紙するための給紙部として、用紙積載部11から用紙12を1枚ずつ分離給送する給紙ローラ13に対向し、摩擦係数の大きな材質からなる分離パッド14を備え、この分離パッド14は給紙ローラ13側に付勢されている。
この給紙部から給紙された被記録媒体(用紙)12を記録ヘッド7の下方側で搬送するための搬送部として、用紙12を静電力で吸着して搬送するための搬送ベルト21と、給紙部からガイド15を介して送られる用紙12を搬送ベルト21との間で挟んで搬送するためのカウンタローラ22と、略鉛直上方に送られる用紙12を略90°方向転換させて搬送ベルト21上に倣わせるための搬送ガイド23と、押さえ部材24で搬送ベルト21側に付勢された先端加圧コロ25とを備えている。また、搬送ベルト21表面を帯電させるための帯電手段を構成する帯電ローラ26を備えている。
ここで、搬送ベルト21は、無端状ベルトであり、搬送ローラ27とテンションローラ28との間に掛け渡されて、副走査モータ31からタイミングベルト32及びタイミングローラ33を介して搬送ローラ27が回転されることで、図2のベルト搬送方向(副走査方向)に周回するように構成している。なお、搬送ベルト21の裏面側には記録ヘッド7による画像形成領域に対応してガイド部材29を配置している。
【0012】
また、図2に示すように、搬送ローラ27の軸には、スリット円板34を取り付け、このスリット円板34のスリットを検知するセンサ35を設けて、これらのスリット円板34及びセンサ35によってエンコーダ36を構成している。
帯電ローラ26は、搬送ベルト21の表層に接触し、搬送ベルト21の回動に従動して回転するように配置され、軸の両端に加圧力をかけている。
また、キャリッジ3の前方側には、図1に示すように、スリットを形成したエンコーダスケール42を設け、キャリッジ3の前面側にはエンコーダスケール42のスリットを検出する透過型フォトセンサからなるエンコーダセンサ43を設け、これらによって、キャリッジ3の主走査方向位置を検知するためのエンコーダ44を構成している。
さらに、記録ヘッド7で記録された用紙12を排紙するための排紙部として、搬送ベルト21から用紙12を分離するための分離爪51と、排紙ローラ52及び排紙コロ53と、排紙される用紙12をストックする排紙トレイ54とを備えている。
【0013】
また、画像形成装置本体の背部には両面ユニット61が装着されている。両面ユニットは、円周状の両面搬送経路に沿って配置された反転ローラ63a、63bと、各反転ローラと接しているコロ64a、64bと、円周状の両面搬送経路を形成する搬送ガイド部62と、を備えている。ここで、両面ユニット61の反転経路の長さは、用紙12の長さより長く、しかも、用紙12の後端が両面ユニット61に入ったことを図示しないセンサが検知した時点では、用紙12の先端が搬送ベルト21到達しない長さに設定する。このように設定することにより、画像形成装置本体内に用紙12が残ることなく、用紙12全体が両面ユニット61内に取り込まれる。
また、画像形成装置本体側の用紙駆動系の正転時、逆転時にかかわらず、両面給紙ユニット61内における搬送方向(図1に矢印で示した方向)は変わらない。両面給紙ユニット61内に設けられた用紙搬送系を駆動させる駆動系には、例えば、回転方向に合わせ揺動するブラケットに奇数個の歯車で構成される歯車列と、偶数個の歯車で構成される歯車列の2つの歯車列に連結する歯車が2個あり、装置本体側の用紙搬送系の回転方向により、歯車列のどちらかがかみ合うようにすることによって、両面給紙ユニット61内における回転は一方向に保たれる。なお、揺動するブラケット以外に、ワンウェイクラッチや電磁クラッチを使用しても良い。
【0014】
このように構成したインクジェット記録装置においては、給紙部から用紙12が1枚ずつ分離給紙され、略鉛直上方に給紙された用紙12はガイド15で案内され、搬送ベルト21とカウンタローラ22との間に挟まれて搬送され、更に先端を搬送ガイド23で案内されて先端加圧コロ25で搬送ベルト21に押し付けられ、略90°搬送方向を転換される。
このとき、帯電ローラ26に対して正極(プラス)出力とマイナス(負極)出力とが交互に繰り返すように、つまり交番する電圧が印加され、搬送ベルト21には、周回方向である副走査方向に、プラスとマイナスの電荷が所定の幅で帯状に交互に印加される。このプラス、マイナス交互に帯電した搬送ベルト21上に用紙12が給送されると、用紙12が搬送ベルト21に静電力で吸着され、搬送ベルト21の周回移動によって用紙12が副走査方向に搬送される。
【0015】
そこで、キャリッジ3を移動させながら画像信号に応じて記録ヘッド7を駆動することにより、停止している用紙12にインク滴を吐出して1行分を記録し、用紙12を所定量搬送後、次の行の記録を行う。記録終了信号又は用紙12の後端が記録領域に到達した信号を受けることにより、記録動作を終了して、用紙12を排紙トレイ54に排紙する。
なお、キャリッジ3の走査方向と印刷との関係では、一方向の走査時にだけ画像を形成する片方向記録モードと、キャリッジ3の両方向の走査時のいずれでも画像を形成する両方向記録モードがあり、これをユーザーからの指定や印刷画像に応じて設定するか、或いは、いずれかのモードだけを行うようにするかは任意である。
また、両面印刷の場合には、表面(最初に印刷する面)の記録が終了したときに、搬送ベルト21を逆回転させることで、記録済みの用紙12を両面ユニット61内に送り込み、用紙12を反転させて(裏面が印刷面となる状態にして)再度カウンタローラ22と搬送ベルト21との間に給紙し、タイミング制御を行って、前述したと同様に搬送ベルト21上に搬送して裏面に記録を行った後、排紙トレイ54に排紙する。
【0016】
次に、本発明の第1実施形態について説明する。
図3は、図1におけるインクジェット記録装置両面ユニットの外装一部を櫛歯状にした際の断面図であり、図4は、図3における両面ユニット櫛歯部の断面図である。
上記インクジェット記録装置の構成にて説明した通り、インクジェット記録装置本体内に用紙12が残ることなく、用紙12全体が両面ユニット61内に取り込まれるようにするため、両面ユニット61の反転経路の長さを、用紙12の搬送方向長さより長く、しかも、用紙12の後端が両面ユニット61に入ったことを図示しないセンサが検知した時点では、用紙12の先端が搬送ベルト21に到達しない値に設定する必要がある。
しかしながら、このように構成するとすれば、両面ユニット61内の両面搬送経路内に全長を収容可能な長さの用紙のみに対する両面印字が可能となるため、両面ユニットの両面搬送経路長によって、両面印字が可能な用紙が限定されるという問題点が発生する。この問題点を解決するために、本発明では、両面ユニット61内の両面搬送経路の一部を伸ばすことによって、両面搬送経路長を延長すると共に、両面搬送経路の曲率を大きくして、搬送方向に長い用紙や光沢紙、厚紙、封筒といった用紙厚の大きい用紙に対しても両面ユニット61内にて反転させることができるようにした。よって、両面印字が可能な用紙種を増加させる効果を得ることができる。
【0017】
そのための具体的構成としては、両面ユニット61において、反転ローラ63aとコロ64a、反転ローラ63bとコロ64bが各々接していない、両面搬送経路上の外装部に互いに噛み合う櫛歯65aと櫛歯65bとからなる伸縮部Aを設けた。櫛歯65aと櫛歯65bは、普通紙(通常オフィス環境において頻繁に使用されるA4サイズ)または搬送方向長が短い用紙を両面印字する際は、図1に示している通り、重なることによって両面搬送経路長を短縮した状態となっている。
このように両面搬送経路を伸縮させる伸縮部Aを互いに噛み合う櫛歯状にすることで、簡略な構成と安価にて両面搬送経路の伸縮を可能とすると共に、櫛歯65a、65bの隙間から紙粉やミストを排出することができるため、両面ユニット61内の安定した搬送効果を得ることができる。
その他の動作については、インクジェット記録装置の基本構成実施形態と同様のため、その説明を援用する。
【0018】
次に、本発明の第2実施形態について図3を用いて説明する。
第2の実施形態に係る画像形成装置は、両面搬送経路の一部を記録媒体搬送方向に沿って二つの部材(両面ユニット上部61A、両面ユニット下部61B)に分けた伸縮部Aを設け、個々の部材の間隔を伸縮調整することにより、両面搬送経路長を変更可能とした構成が特徴的である。
即ち、本実施形態では、両面ユニット61を可動側の上部61Aと、固定側の下部61Bから構成し、上部61Aを持ち上げることで、図3(b)に示した通り、重なっている状態の櫛歯65aと櫛歯65bが離れ、ある一定箇所にて固定するようにしている。櫛歯65aと櫛歯65bを引き離し、両面ユニット61内の両面搬送経路を伸ばすために、両面ユニット下部61Bを引き下ろす方法もあるが、両面ユニット下部61Aの隙間は狭く、操作しづらいので、操作性向上のため、上部61Aを持ち上げる構成とする。
また、櫛歯65aと櫛歯65bが離れている(両面ユニット61内搬送経路が伸びている)際は、上側(内側)の櫛歯65aが櫛歯65bに対して、両面搬送経路の内側に位置する。
【0019】
さらに、本実施形態では、両面ユニット61内の両面搬送経路長が変化しても、反転ローラ63aとコロ64aはニップを形成することとする。
上記構成において、両面ユニット61内搬送経路長が伸縮することで、両面印字対応の用紙種を増加させるだけではなく、小型化にも対応することができる。また、櫛歯65aを両面搬送経路の内側に設置することで、安定した用紙搬送も得ることができる。
なお、両面ユニット61上部を持ち上げる手段としては、ユーザーの手動にて直接両面ユニット上部を持ち、垂直方向に持ち上げる方法以外に、ばね材を利用したボタン式を採用することもできる。
その他の動作については、インクジェット記録装置の基本構成と同様のため、その説明を援用する。
【0020】
次に、本発明の第3実施形態について説明する。図5は、第3実施形態における両面ユニット櫛歯部の断面図である。
第3実施形態に係る両面ユニット61の櫛歯部(伸縮部A)は、両櫛歯65aと櫛歯65bの対向端部間にばね、もしくは板ばねといったばね材66a、66bを備えており、両櫛歯間の連結されているため、1段階、または多段階のいずれかにて伸縮することができる。
用紙長や用紙厚によって両面ユニット61内の両面搬送経路長、曲率を選択することができるので、両面印字対応の用紙種の増加だけではなく、各々の用紙に対しての安定した搬送を提供することもできる。また、簡略な構成であるため、安価である。
その他の動作については、インクジェット記録装置の基本構成実施形態と同様のため、その説明を援用する。
【0021】
次に、本発明の第4実施形態について説明する。図6は、第4実施形態における両面ユニット断面図である。
実施形態4に係る両面ユニットの伸縮部Aは、実施形態1に係る両面ユニット61の櫛歯65a、65bの代わりに、折畳み部67を用いた構成が特徴的である。
折畳み部67は、ユニット上部61Aの端部に設けられた固定軸90aと、ユニット下部61Bの端部に設けられた可動軸90bと、固定軸90aと可動軸90bとの間を連結するリンク90cとからなり、固定軸90aを中心としてユニット下部61Bは(a)に示した短縮状態と(b)に示した中間状態と(c)に示した伸張状態との間を変形(移動)することができる。
即ち、折畳み部67は、両面ユニット61の搬送経路が通常時(搬送経路が伸びていない状態)において、両面ユニット61の搬送経路外側に位置する(図6(a)の状態)。折畳んだ短縮状態で生じるユニット上部とユニット下部との間の段差については、搬送部上流側(反転ローラ63aとコロ64a側)を高く、下流側(反転ローラ63bとコロ64b側)を低く設けることで用紙12が折畳み部段差に引っ掛ることなく、搬送することができる。
【0022】
実施形態2の場合と同様に、図6(b)のように両面ユニット61の上部61Aを持ち上げることで、折畳まれている状態の折畳み部67が伸び、伸び部が全開した状態で固定する(図6(b)(c))。搬送経路の伸縮部に折畳み部を用いることで、搬送経路が伸びた状態において、両面ユニット61の搬送部全面をカバーすることができるため、安定した搬送を提供することができる。
また、両面ユニット61内の搬送経路長が変化しても、反転ローラ63aとコロ64aはニップを形成することができる。
その他の効果については、実施形態2と同様である。
その他の動作については、インクジェット記録装置の基本構成実施形態と同様のため、その説明を援用する。
【0023】
次に、本発明における第5の実施形態について説明する。
本実施形態では、両面ユニット61は、インクジェット記録装置本体から取外し(着脱)が可能であり、両面ユニット61がインクジェット記録装置本体から取り外された場合には、搬送ローラ27付近が外部に開放され、搬送ベルト21付近で発生した用紙ジャムの処理作業を可能にする。
また、両面ユニット61の内部品交換時に、記録装置本体から両面ユニットを取り外すことにより、メンテナンス性向上効果を得ることができる。
その他の動作については、インクジェット記録装置の基本構成実施形態と同様のため、その説明を援用する。
以上のように本発明によれば、用紙を給紙する給紙機構と、印字部まで用紙を搬送する搬送機構と裏面を印字するための両面ユニットを持つ画像形成装置において、用紙サイズや種類に制限されることなく両面印字を可能にすること、かつ小型化にも対応することができる。
特に、両面ユニット内の搬送経路を伸縮することができるので、搬送方向に長い用紙や用紙厚の大きい用紙に対しても、両面ユニットにて用紙を反転させることができ、両面印字が可能となる。
【符号の説明】
【0024】
1…ガイドロッド、3…キャリッジ、4…主走査モータ、6a…駆動プーリ、6b…従動プーリ、7…記録ヘッド、10…給紙カセット、11…用紙積載部、12…用紙、13…給紙ローラ、14…分離パッド、15…ガイド、21…搬送ベルト、22…カウンタローラ、23…搬送ガイド、25…先端加圧コロ、26…帯電ローラ、27…搬送ローラ、28…テンションローラ、29…ガイド部材、31…副走査モータ、32…タイミングベルト、33…タイミングローラ、34…スリット円板、35…センサ、36…エンコーダ、42…エンコーダスケール、43…エンコーダセンサ、44…エンコーダ、5…タイミングベルト、51…分離爪、52…排紙ローラ、53…排紙コロ、54…排紙トレイ、61…両面ユニット、61A…ユニット上部、61B…ユニット下部、62…搬送ガイド部、63a…反転ローラ、63b…反転ローラ、64a…コロ、64b…コロ、65a…櫛歯、65a…両櫛歯、65b…櫛歯、90a…固定軸、90b…可動軸、A…伸縮部90c…リンク
【先行技術文献】
【特許文献】
【0025】
【特許文献1】特開2001−063019公報
【特許文献2】特開平10−338404号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成部を備えた画像形成装置本体と、該画像形成装置によって片面に画像形成を受けた記録媒体を反転して前記画像形成部に送出して他面にも印字を可能とする両面ユニットと、を備えた画像形成装置において、
前記両面ユニット内の両面搬送経路の長さを伸縮変更可能とする伸縮部を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記両面搬送経路の一部を記録媒体搬送方向に沿って二つの部材に分けた伸縮部を設け、個々の部材の間隔を伸縮調整することにより、前記両面搬送経路長を変更可能としたことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記両面ユニットは、用紙反転のための反転ローラと前記反転ローラと接するコロを各々複数対有し、前記伸縮部は、前記反転ローラを回避した部位を2つの部材に分けた構成を備え、個々の部材の端部には互いに噛み合う櫛歯を設けたことを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記両面ユニットは、用紙反転のための反転ローラと前記反転ローラと接するコロを各々複数対有し、前記伸縮部は、前記反転ローラを回避した部位を2つの部材に分けた構成を備え、個々の部材間を折畳み式に連結させた構成を備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記両面ユニットは、固定側のユニット下部と、可動側のユニット上部とを備え、前記ユニット上部を前記ユニット下部に対して持ち上げることにより、前記櫛歯間の間隔、又は前記2つの部材間の間隔が変化し、前記両面搬送経路長が伸びることを特徴とする請求項3又は4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記反転ローラは、前記両面ユニット上部が持ち上がった状態においても、前記両面ユニットのコロとのニップ状態を保持していることを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記両面ユニットは、前記櫛歯間の間隔が一段階、又は多段階のいずれかにて変更可能であることを特徴とする3、5又は6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記櫛歯部は、前記両面ユニットのユニット上部が持ち上がった際、上側に位置する櫛歯先端部が下側に位置する櫛歯先端部よりも搬送経路の内側に位置することを特徴とする請求項3、5、6又は7に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記折畳み部が折畳まれている状態においては、搬送方向下流側の前記部材が上流側の前記部材の外側に位置していることを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記両面ユニットは、前記画像形成装置本体に対して脱着可能であることを特徴とする請求項1乃至9の何れか一項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−215376(P2010−215376A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−65082(P2009−65082)
【出願日】平成21年3月17日(2009.3.17)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】