説明

画像形成装置

【課題】2つのキャリッジの分離・連結動作と、記録ヘッドの昇降動作のための駆動力伝達手段の接続、接続解除動作、とを連動する機構を提供するとともに、記録ヘッドの昇降手段をも関係付けることにより全体の機構をコンパクトに構成し、画像形成装置の小型、簡素化を図ること。
【解決手段】第1キャリッジ5のヘッド昇降駆動接続手段23Rを第2キャリッジ6の第2記録ヘッド昇降駆動接続手段の他端部18Lに接続してヘッド昇降のための駆動が伝わる接続状態にし、また、接続が解除された収納状態にすることができる収納・接続手段41を有し、収納・接続手段による第1キャリッジのヘッド昇降駆動接続手段23Rの収納・接続動作を連結・解除手段49による第1キャリッジ5と第2キャリッジ6との連結・解除動作と連動させた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンター、複写機、ファクシミリ等のインクジェット方式を用いた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のインクジェット方式を用いた画像形成装置では、記録液(インク)の液滴を吐出する液体吐出ヘッドで構成した記録ヘッドを用いて、記録媒体上に画像を形成する。そして、記録ヘッドのノズル面と記録媒体の記録面との距離を一定に保つ必要がある。何故なら、記録媒体の厚さは様々あり、距離が一定でないと往復の印字で狙った位置にインクを印字できないためである。
【0003】
特許文献1に記載されているように、記録ヘッドの保護のために、当該記録ヘッドをキャリッジに搭載し、主走査方向のガイドロッドごと、当該キャリッジを昇降させて、記録ヘッドのノズル面と記録媒体との距離を調整する画像形成装置がある。しかし、ここで用いられるキャリッジ高さ調整機構は2つのガイド軸(偏心カム)を、リンク機構を介して操作レバーで操作する方式であり、レバーの揺動スペースとして所要の空間が必要であり、また、操作レバーを用いている点で、自動化に適合する技術として開示されていない。
【0004】
特許文献2には、キャリッジ内に複数のヘッドを保持するホルダ部材を搭載し、
ホルダ部材はキャリッジ内に平行に配置された複数の偏心カム上に設置され、ギャップ調整レバーを回動させ、偏心カムを同時に同角度回転させることでホルダごと複数のヘッドを昇降させる技術が記載されている。しかし、この技術においても、2つのガイド軸(偏心カム)を、ラック・ピニオン機構で連結しているものの、一方のガイド軸をギャップ調整レバーの揺動により回動する方式であり、該ギャップ調整レバーの揺動スペースとして所要の空間が必要であり、また、自動化が示唆されているものの、レバーを回動させる技術を前提としてものであり、特許文献1の技術と同様にレバーの揺動スペースとして所要の空間が必要であることから画像形成装置の省スペース化上の課題が残る。
【0005】
特許文献3、4に記載されている画像形成装置は、モノクロ印字およびカラー印字を行うものである。この画像形成装置は、モノクロ印字中において、カラーインクの空吐出等、不要なインク消費の抑制、カラー印字用の記録ヘッドの保護のために、モノクロ用、カラー用の各専用キャリッジを用いる。これら、モノクロキャリッジ、カラーキャリッジには、それぞれにモノクロ記録ヘッド、カラー記録ヘッドが搭載されている。モノクロ印字の際には、モノクロキャリッジのみを駆動させ、不要なカラーインクを使用しないために、カラー記録ヘッドを駆動させずに保護しておく。また、これら2つのキャリッジは、分離・連結可能である。画像形成装置において、厚さの異なる記録媒体に適合させて印字する要求があり、これに応えるには、記録媒体の厚さに応じて、画像形成装置の2つの記録ヘッドのノズル面と記録媒体間の間隔を紙厚に対応して調整することが必要となるが、特許文献3、4には記録ヘッドのノズル面と記録媒体のギャップを調整する技術は開示されていない。
【0006】
特許文献5では、トナーカートリッジのカップリング部を装置本体の駆動部と係脱する技術に関し、回転軸周りに回転する現像剤搬送部材を有するトナーカートリッジにおいて、装置本体から駆動を受ける駆動伝達手段が回転軸と略平行な方向に移動可能であり、装置本体から駆動を受ける第一の位置と、装置本体から駆動を受けない第二の位置とを取りうる様にして、画像形成装置本体への装着時の操作性を改善したトナーカートリッジに関する技術が開示されている。しかし、この技術は、記録ヘッドのノズル面と記録媒体のギャップを調整するべくキャリッジを昇降させる手段や、モノクロキャリッジ、カラーキャリッジなど2つのキャリッジを、分離・連結する手段とは関わらない。
【0007】
以上に述べた通り、従来技術では、個々にモノクロ記録ヘッド、カラー記録ヘッドが搭載されているモノクロキャリッジ、カラーキャリッジを有し、厚さの異なる記録媒体に対応して画像形成することができるインクジェット方式を用いた画像形成装置において、画像形成に際して必要となる、(1)画像の色選択に応じて行われる2つのキャリッジの分離・連結動作のための機構、および(2)使用する記録媒体の厚さに応じて行われる記録ヘッドの昇降動作のための機構は、独立した技術として別々の特許文献に相互に関連なく開示されているだけである。また、記録ヘッドの昇降動作をモータ等、人力以外の駆動源で行うための具体的な技術手段の開示はない。一方で、画像形成装置に対する省スペース化、装置構成の簡素化が望まれている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は上述の事情の下になされたもので、個々にモノクロ記録ヘッド、カラー記録ヘッドが搭載されているモノクロキャリッジ、カラーキャリッジを有し、厚さの異なる記録媒体に対応して画像形成することができるインクジェット方式を用いた画像形成装置において、画像形成に際して必要となる(1)画像の色選択に応じて行われる2つのキャリッジの分離・連結動作と、(2)使用する記録媒体の厚さに応じて行われる記録ヘッドの昇降動作のための駆動力伝達手段の接続、接続解除動作、とを連動する機構を提供するとともに、記録ヘッドの昇降手段をも関係付けることにより全体の機構をコンパクトに構成し、画像形成装置の小型、簡素化を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を達成するため本発明の第1の手段は、
第1記録ヘッドと、この第1記録ヘッドを昇降させる第1記録ヘッド昇降手段を有し、主走査方向に可動な第1キャリッジと、
第2記録ヘッドと、この第2記録ヘッドを昇降させる第2記録ヘッド昇降手段を有し、主走査方向に可動な第2キャリッジと、
これら第1記録ヘッド昇降手段及び第2記録ヘッド昇降手段を駆動するヘッド昇降駆動源と、
前記ヘッド昇降駆動源と一体的に設けた駆動源側接続手段と、
前記駆動源側接続手段にその一端部を接続されて前記第2記録ヘッド昇降手段へ駆動力を伝える前記第2キャリッジの第2記録ヘッド昇降駆動接続手段と、
前記第2記録ヘッド昇降駆動接続手段の他端部と接続されて前記第1記録ヘッド昇降手段へ駆動力を伝える第1キャリッジの第1記録ヘッド昇降駆動接続手段と、
前記第1キャリッジと前記第2キャリッジを連結し、また、連結を解除できる連結・解除手段と、
を有する画像形成装置であって、
前記第1キャリッジの第1記録ヘッド昇降駆動接続手段を前記第2キャリッジの第2記録ヘッド昇降駆動接続手段の前記他端部に接続してヘッド昇降のための駆動が伝わる接続状態にし、また、接続が解除された収納状態にすることができる収納・接続手段を有し、
前記収納・接続手段による前記第1キャリッジの第1記録ヘッド昇降駆動接続手段の収納・接続動作を前記連結・解除手段による第1キャリッジと前記第2キャリッジとの連結・解除動作と連動させた。
本発明の第2の手段は、
第1の手段に記載の画像形成装置において、
前記収納・接続手段による前記第1記録ヘッド昇降駆動接続手段と前記第2記録ヘッド昇降駆動接続手段の前記他端部との接続動作は前記連結・解除手段による第1キャリッジと前記第2キャリッジとの連結後に行われることとした。
本発明の第3の手段は、
第1または第2の手段に記載の画像形成装置において、
前記第1、第2記録ヘッド昇降手段は、各ヘッド昇降駆動接続手段に対して、駆動力入力用の各駆動接続手段の接続動作、接続が解除される収納状態になる動作により動かないこととした。
本発明の第4の手段は、
第1乃至3の何れか1つの手段に記載の画像形成装置において、
前記第1キャリッジは主走査方向に往復駆動可能であり、主走査方向の一端側に前記ヘッド昇降駆動源が定置され、該ヘッド昇降駆動源に近い方から前記第2キャリッジ、前記第1キャリッジの順に配置されていて、前記第2キャリッジは前記連結・解除手段により前記第1キャリッジと一体的に連結されることにより、前記第1キャリッジとともに主走査方向に移動可能であることとした。
本発明の第5の手段は、
第4の手段に記載の画像形成装置において、前記第2キャリッジと一体的な前記第2記録ヘッド昇降駆動接続手段が前記駆動源側接続手段と接続される位置まで前記ヘッド昇降駆動源に接近した位置を該第2キャリッジのホームポジションとし、
ホームポジションに位置している前記第2キャリッジに対して、前記第1キャリッジが、前記連結・解除手段により連結可能な位置まで接近した位置を該第1キャリッジのホームポジションとし、
これら第1キャリッジ、第2キャリッジがそれぞれのホームポジションにある状態のもとで、前記収納・接続手段による前記第1キャリッジのヘッド昇降駆動接続手段の収納・接続動作及び前記連結・解除手段による第1キャリッジと前記第2キャリッジとの連結・解除動作が可能であることとした。
本発明の第6の手段は、
第1乃至5の何れか1つの手段に記載の画像形成装置において、
前記第1記録ヘッド昇降手段は、前記第1記録ヘッドを保持するとともに昇降方向にのみ移動方向を規制されて前記第1キャリッジ内に支持されているヘッドホルダと、
昇降方向に該ヘッドホルダを付勢する弾性手段と、
該弾性手段で付勢された前記ヘッドホルダを支え、副走査方向に往復動可能に前記第1キャリッジに支持されていてその一端部に歯すじ方向が主走査方向で形成されたラックを有するスライドカムと、
前記ラックに噛み合うピニオンと、
を有し、
前記ピニオンが前記第1記録ヘッド昇降駆動接続手段と同軸に構成されていることとした。
本発明の第7の手段は、
第1乃至6の何れか1つの手段に記載の画像形成装置において、
前記第2記録ヘッド昇降手段は、前記第2記録ヘッドを保持するとともに昇降方向にのみ移動方向を規制されて前記第1キャリッジ内に支持されているヘッドホルダと、
昇降方向に該ヘッドホルダを付勢する弾性手段と、
該弾性手段で付勢された前記ヘッドホルダを支え、副走査方向に往復動可能に前記第2キャリッジに支持されていてその一端部に歯すじ方向が主走査方向で形成されたラックを有するスライドカムと、
前記ラックに噛み合うピニオンと、
を有し、
前記ピニオンが前記第2記録ヘッド昇降駆動接続手段と同軸に構成されていることとした。
本発明の第8の手段は、
第1乃至7の何れか1つの手段に記載の画像形成装置において、
前記収納・接続手段は、
前記ピニオン及び前記第1記録ヘッド昇降駆動接続手段を同軸上に保持した支持軸と、
前記支持軸の軸線を主走査方向に合わせて該主走査方向に可動に、かつ回転可能に前記第1キャリッジに支持する支持手段と、
前記支持軸に取り付けられたカムフォロアとしての収納ガイドと、
前記ピニオン、前記第1記録ヘッド昇降駆動接続手段、前記支持軸、前記収納ガイドが前記第2記録ヘッド昇降駆動接続手段に接近する方向へ移動するように付勢する付勢手段と、
前記収納ガイドに当接することにより、前記付勢手段による前記支持軸の移動を阻止し回転に応じて前記第1記録ヘッド昇降駆動接続手段を接続状態、収納状態に切り換える収納カムと、
前記収納カムを回転させる収納カム駆動源と、を有することとした。
本発明の第9の手段は、
第1乃至8の何れか1つの手段に記載の画像形成装置において、
前記連結・解除手段は、
往復動作により前記第1キャリッジと前記第2キャリッジとを一体的に連結する位置と、該一体的な連結が解除される位置、とに変位する連結部材と、この連結部材を変位させる連結部材駆動機構からなり、
連結部材駆動機構は、
前記連結部材の往復動作の方向を規制する案内手段と、
前記連結部材に形成されたラックと、
該ラックに噛み合い、その回転により該連結部材を往復動させるピニオンと、
該ピニオンを回転させるギヤ駆動源と、を有し、
このギヤ駆動源は、前記収納・接続手段を駆動する収納カム駆動源と共通とした。
本発明の第10の手段は、
第9の手段に記載の画像形成装置において、
前記連結・解除手段による第1キャリッジと前記第2キャリッジとの連結後に、前記収納・接続手段による前記第1記録ヘッド昇降駆動接続手段と前記第2記録ヘッド昇降駆動接続手段の前記他端部との接続動作が行われるように、前記収納ガイドに当接する前記収納カムの回転方向の当接位置と、前記連結部材に形成されたラックの前記往復動方向での前記ピニオンの噛み合い位置との関係が定められていることとした。
【発明の効果】
【0010】
請求項1記載の発明では、インクジェット方式を用いた画像形成装置において、画像形成に際して必要となる(1)画像の色選択に応じて行われる2つのキャリッジの分離・連結動作と、(2)使用する記録媒体の厚さに応じて行われる記録ヘッドの昇降動作のための駆動力伝達手段の接続、接続解除動作、とを連動する機構を提供するとともに、記録ヘッドの昇降手段をも関係付けることにより全体の機構をコンパクトに構成し、画像形成装置の小型、簡素化を図ることができる。
請求項2記載の発明では、第1キャリッジと第2キャリッジとの一体的な連結後に、第1記録ヘッド昇降駆動接続手段と第2記録ヘッド昇降駆動接続手段との接続動作を行うので、キャリッジの連結とヘッド昇降の駆動接続が安定し、第1キャリッジと第2キャリッジの結合位置精度、両キャリッジの記録ヘッドの位置関係に影響がない。
請求項3記載の発明では、第1、第2記録ヘッド昇降手段は、各ヘッド昇降駆動接続手段に対する駆動力入力用の各駆動接続手段の接続動作、接続解除にかかる収納動作により動かないので、キャリッジ内での各記録ヘッドの昇降方向の位置は安定している。
請求項4記載の発明では、第1キャリッジと第2キャリッジの両方を用いる画像形成においては、第2キャリッジは第1キャリッジと一体的であるので、画像書き込み精度が安定する。
請求項5記載の発明では、第1キャリッジ、第2キャリッジは共に、定められたホームポジションで両キャリッジの連結、連結解除や、記録ヘッドの昇降を行うので、装置構成を簡易にできる。
請求項6記載の発明では、第1記録ヘッド昇降手段のラックに噛み合うピニオンが第1記録ヘッド昇降駆動接続手段と同軸であり、前記収納・接続手段による前記第1キャリッジのヘッド昇降駆動接続手段の収納・接続動作に際して、ピニオンが第1記録ヘッド昇降駆動接続手段とともに、該ラックの歯すじ方向に移動するので、第1記録ヘッド昇降手段の昇降動作には影響を与えず、請求項3と同じ効果を得る。
請求項7記載の発明では、第2記録ヘッド昇降手段のラックに噛み合うピニオンが第2記録ヘッド昇降駆動接続手段と同軸であり、ヘッド昇降駆動源と一体的に設けた駆動源側駆動接続手段と第2キャリッジの第2記録ヘッド昇降駆動接続手段とが接続されるに際して、ピニオンが第2記録ヘッド昇降駆動接続手段とともに、該ラックの歯すじ方向に移動するので、第1記録ヘッド昇降手段の昇降動作には影響を与えず、請求項3と同じ効果を得る。
請求項8、10記載の発明では、収納カムの回転位置により、第1記録ヘッド昇降駆動接続手段を接続状態、収納状態に切り換えるタイミングを調節して、収納・接続手段による第1キャリッジのヘッド昇降駆動接続手段の収納・接続動作と、連結・解除手段による第1キャリッジと第2キャリッジとの連結・解除動作との連動を適正に行うように調節が容易である。
請求項9、10記載の発明では、連結部材をラック、ピニオンにより往復動される構成としたことで、該ラックとピニオンとの噛み合い位置の調整により、収納・接続手段による第1キャリッジのヘッド昇降駆動接続手段の収納・接続動作と、連結・解除手段による第1キャリッジと第2キャリッジとの連結・解除動作との連動を適正に行うように調節が容易である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】記録装置の斜視図である。
【図2】記録装置の概略平面図である。
【図3】記録装置の概略平面図である。
【図4】記録装置の概略平面図である。
【図5】記録装置の概略平面図である。
【図6】第1記録ヘッド及び第1ヘッドホルダの斜視図である。
【図7】第1記録ヘッドが第1ヘッドホルダに収容される関係を示した斜視図である。
【図8】第1記録ヘッドが第1ヘッドホルダに収容された状態を示した斜視図である。
【図9】紙厚が薄い場合であって、第1キャリッジ5を真横(主走査方向X1−X1)から見た概略図である。
【図10】紙厚が厚い場合であって、第1キャリッジ5を真横(主走査方向X1−X1)から見た概略図である。
【図11】第1キャリッジ5を正面(副走査方向Y1−Y1)から見た概略図を示し、(a)は紙厚が薄い場合、(b)は紙厚が厚い場合である。
【図12】第1キャリッジ5を上方(副走査方向Y1−Y1)から見た図を示す。
【図13】スライドカム及びピニオンの斜視図である。
【図14】第1キャリッジ5を正面(副走査方向Y1−Y1)から見た概略図であって(a)は第1ヘッドホルダのカムとスライドカムのカムとが非接触、(b)は第1ヘッドホルダのカムとスライドカムのカムとが接触の場合を説明した図である。
【図15】(a)、(b)は接続手段の具体例を付帯するピニヨンと共に説明した斜視図である。
【図16】収納・接続手段の斜視図である。
【図17】収納・接続手段及び連結部材駆動機構の斜視図である。
【図18】収納・接続手段及び連結部材駆動機構の部分断面正面図である。
【図19】(a)は収納・接続手段及び連結部材駆動機構の部分断面正面図、(b)は接続される2つのジョイントの部分正面図である。
【図20】(a)は収納・接続手段及び連結部材駆動機構の部分断面正面図、(b)は接続される2つのジョイントの部分正面図である。
【図21】(a)は収納・接続手段及び連結部材駆動機構の部分断面正面図、(b)は接続される2つのジョイントの部分正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して、本発明を実施するための形態の説明を行う。なお、同じ機能を持つ構成部や同じ処理を行う過程には同じ番号を付し、重複説明を省略する。
本実施例の画像形成装置1000は、記録装置100と給紙部とに大別できる。記録装置100はインクジェット方式による記録ヘッドにより記録媒体(例えば、用紙)にインクを射出して画像形成する機構を主体とし、給紙部は記録装置に記録媒体を搬送する機構を主体とする。
【0013】
[記録装置の全体構成の概要]
画像形成装置1000及び記録装置100の斜視図を図1に示し、該記録装置100を上から見た概略図を図2に示す。給紙部については図示を省略しているが、記録装置100の本体部に組み込まれている。或いは別体の装置として記録装置100と接続する形態とすることもできる。本例では、記録媒体として厚さの異なる2種の用紙を用い、これら2種の用紙が選択的に切り換えられて記録装置2に搬送されて画像形成される。
【0014】
以下の説明では、記録ヘッドのノズル面と記録媒体の記録面との距離をギャップLといい、記録ヘッドが移動する方向であるガイドロッド1の軸長手方向を主走査方向X1―X1といい、主走査方向X1―X1が示される任意の仮想平面上において該主走査方向X1−X1と直交する方向を副走査方向Y1―Y1といい、主走査方向X1−X1及び副走査方向Y1―Y1が示される任意の仮想平面に垂直な方向を上下方向Z1―Z1という。記録装置100において副走査方向Y1―Y1は記録媒体の送り方向であり、上下方向Z1―Z1は記録ヘッドの昇降方向であり、ギャップLは上下方向Z1―Z1での距離である。
【0015】
このインクジェット記録装置100は、シリアル型インクジェット記録装置であり、記録装置と当該記録装置を支持する支持台160とを備えている。記録装置100の内部で、左側板3および右側板4にガイドロッド1及び副ガイド2が掛け渡して固定されている。第1キャリッジであるモノクロキャリッジ5は走査のため円柱状をしたガイドロッド1と摺動する軸受け部14を主走査方向X1−X1での両端部に有する。
【0016】
第2キャリッジであるカラーキャリッジ6は単独で移動することはなく、図2に示したように第1キャリッジ5側に設けた連結部材49により第2キャリッジ6と一体的に連結された状態で第1キャリッジとともに主走査方向X1−X1に移動することができる。かかる連結状態での移動方式のため、ガイドロッド1について仮にカラーキャリッジ6にも軸受け部を設けるとモノクロキャリッジ6の軸受け部14との関係で、所謂こじれが生ずるおそれがあり、これを避けるためガイドロッド1全体に嵌合するような軸受け部は持たない。ただし、ガイドロッド1に荷重を支えられて摺動されるので、ガイドロッド1との間に介在する平板上或いは緩く嵌合する荷重支え部14’はある。
【0017】
右側板3と左側板4との間には、長尺な板状をした副ガイド2が固定されており、第1キャリッジ5の副走査方向Y1−Y1上での端部には、該副ガイド2の平板面を両側から挟むようにして2つのコロからなる案内部16が配置されている。これらの軸受け部14、案内部16により、第1キャリッジ5は主走査方向(X1―X1方向)に摺動可能に保持されている。なお、第2キャリッジ6の副走査方向Y1−Y1上での端部にも案内部16と同様の案内部16’が配置されている。
【0018】
図2は、第1キャリッジ5と第2キャリッジ6とは連結部材49で連結された状態でガイドロッド1上、主走査方向X1−X1での半ばまで移動された状態を示しており、このように第1キャリッジ5と第2キャリッジ6とが一体化されて移動されるのはフルカラー画像を形成する場合である。
【0019】
図3は、第1キャリッジ5と第2キャリッジ6とが連結部材49で連結されて、ガイドロッド1における主走査方向X1−X1での右端まで移動された状態を示しており、かかる位置が第1キャリッジ5、第2キャリッジ6についての各ホームポジションである。
【0020】
図4は、第2キャリッジ6がホームポジションにあり、第1キャリッジ5だけがガイドロッド1における主走査方向X1−X1での半ばまで移動された状態を示しており、このように第2キャリッジ6をホームポジションに残し、第1キャリッジ5だけが主走査方向X1−X1に移動されるのはモノクロ画像を形成する場合である。
【0021】
図5では、第1キャリッジ5と第2キャリッジ6とが連結部材49による連結状態になく、両キャリッジ共にそれぞれのホームポジションを離れた位置で分離した状態を示しているが、画像形成に際してこのような態様になることはなく、両キャリッジがホームポジションに在ると隠れて見えない維持機構8や従動プーリ122等を明瞭に示して構造を理解しやすいように表示したものである。
【0022】
図1乃至図5に示したように、本例では、第1キャリッジ5には、ブラック(K)のインク滴を吐出する2つの第1記録ヘッド71、72が搭載されている。また、第2キャリッジ6にはイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の各色のインク滴を吐出する第2記録ヘッド73、74、75が搭載されている。2つの第1記録ヘッド71、72は、それぞれ主走査方向及び副走査方向に位置をずらして配置されている。また、各記録ヘッド71、72、73、74、75には図示しないが各記録ヘッド7にインクを供給するサブタンクが一体的に備えられている。
【0023】
図6に示したように、第1記録ヘッド71、72は第1ヘッドホルダ27に収容され、さらに、図7に示したように第1記録ヘッド71、72を搭載した該第1ヘッドホルダ27が第1キャリッジ5に搭載されている。
【0024】
同じように、図2乃至図5に示した第2記録ヘッド73〜75は第2ヘッドホルダ(図示しないがその構造は第1ヘッドホルダ27に準ずる。)に収容され、当該第2ヘッドホルダが第2キャリッジ6に搭載されている。図3乃至図5では、第1ヘッドホルダ27、第2ヘッドホルダについては省略している。キャリッジにおける記録ヘッド、ヘッドホルダの組み立て構造については後述する。
【0025】
図1、図2乃至図5を参照するに、第1キャリッジ5、第2キャリッジ6を移動走査する主走査機構は、記録装置100における主走査方向X1−X1の一方側(左端部)に配置される主走査モータ9と、主走査モータ9の回転軸に固定された駆動プーリ121と、主走査方向他方側(右端部)に配置された従動プーリ122と、これらプーリ間に掛け回されたタイミングベルト10とを備えている。なお、従動プーリ122はばねによるテンショナー13によって外方(右側板4側)に付勢されてタイミングベルト10にテンションがかけられている。
【0026】
タイミングベルト10は、第1キャリッジ5の背面側に設けたベルト保持部15に一部分が固定保持されており、これにより第1キャリッジ5は主走査モータ9からの主走査駆動力によって、タイミングベルト10とともに主走査方向X1―X1に往復移動をすることができる。また、ガイドロッド1や副ガイド2により主走査方向X1―X1に規制されて可動である。第2キャリッジ6は連結部材49により第1キャリッジ5に一体的に連結されて主走査方向X1―X1に可動である。
【0027】
また、第1キャリッジ5の背面側には、第1キャリッジ5の主走査方向X1−X1での位置(第1記録ヘッド71、72の位置)を検知するためのエンコーダシート11が、主走査方向X1−X1沿って配置されている。第1キャリッジ5の背面側に設けた第1エンコーダセンサ17が、エンコーダシート11を読み取ることで第1キャリッジ5の主走査位置を検知できる。
【0028】
連結部材49は上下方向Z1−Z1に往復動可能であり、下降した位置で第1キャリッジ5の側板と、第2キャリッジ6の側板の各一部を利用して形成された連結部材受け部を重ねた状態で同時に挟み込むことで、第1キャリッジ5と第2キャリッジ6とを一体的に連結した状態にする。また、上昇した位置で上記連結部材受け部から脱して連結を解除し、第1キャリッジ5、第2キャリッジ6を分離状態にする。連結部材49は第1キャリッジ5に構成された連結・解除手段としての連結部材駆動機構181により変位駆動される。図4、図5に第2キャリッジ6の連結部材受け部182を示す。これら連結機構181、連結部材49によって第1キャリッジ5と第2キャリッジ6が連結され、第1キャリッジ5に伝達された主走査モータ9からの駆動力により第2キャリッジ6が牽引され、第1キャリッジ5および第2キャリッジ6が一体的に主走査駆動される。連結部材49及び連結部材駆動機構181からなる連結・解除手段の詳細は後述する。
【0029】
[記録ヘッド昇降手段への動力伝達系]
本例の記録装置100では、使用する記録媒体の厚さに応じて記録ヘッドと記録媒体の表面との距離が一定になるように記録ヘッドが昇降される。図2乃至図5に示した平面図の例では、記録ヘッド昇降手段の駆動源であるヘッド昇降駆動源(モータ)20は右側板4の外壁上に配置され、当該ヘッド昇降駆動源20に近いほうから第2キャリッジ6、第1キャリッジ5の順で配置されている。
【0030】
ヘッド昇降駆動源20の回転軸には駆動源側駆動接続手段として駆動源ジョイント19が設けられている。第2キャリッジ6には、主走査方向X1−X1方向にわたり第2記録ヘッド昇降駆動接続手段18が軸支されている。第2記録ヘッド昇降駆動接続手段18はその一端部(右端部)に第2キャリッジ右ジョイント18R、他端部(左端部)に第2キャリッジ左ジョイント18Lを有し、これら第2キャリッジ右ジョイント18R、第2キャリッジ左ジョイント18Lを駆動伝達軸18Jで連結している。
【0031】
第2キャリッジ6がホームポジションに位置するときに、第2キャリッジ右ジョイント18Rは駆動源ジョイント19と接続され、該第2キャリッジ右ジョイント18Rと同軸に形成されたピニオン18R・Pが第2記録ヘッド昇降手段600のラック24RCに噛み合うことで第2記録ヘッド昇降手段600Rへ駆動力を伝達する。駆動力を伝達された第2記録ヘッド昇降手段600Rは、第2記録ヘッド73、74、75を保持した第2ヘッドホルダ(図7に示した第1ヘッドホルダ27に準じた構成であり図示省略している。)を第2キャリッジ6上で上下動させる。第2記録ヘッド昇降駆動接続手段18の左端部に位置する第2キャリッジ左ジョイント18Lは駆動伝達軸18Jを介して第2キャリッジ右ジョイント18Rと一体的な構成であり、該第2キャリッジ左ジョイント18Lと同軸一体的に形成されたピニオン18L・Pが第2記録ヘッド昇降手段600Lのラック24RCと噛み合うことで同様に第2記録ヘッド昇降手段600Lを駆動して第2キャリッジ6を上下動させる。これら左右2つの第2記録ヘッド昇降手段600R、600Lにより第2記録ヘッド73、74、75は第2ヘッドホルダとともに記録媒体の厚さに応じた適正な高さ位置に保持されて画像形成が行われる。
【0032】
図2乃至図5により明らかなように、駆動源ジョイント19と第2キャリッジ右ジョイント18Rとが接続されるのは、第2キャリッジ6がそのホームポジションにある図3、図4の場合だけであり、かかるホームポジションにおいて、第2記録ヘッド73、74、75の高さが調節される。
【0033】
第1記録ヘッド71、72(第1ヘッドホルダ27)が昇降するためには、図3に示すように第1キャリッジ5と第2キャリッジ6とがホームポジションに位置し、かつ、両キャリッジが連結部材49により一体的に連結されていることが必要である。
【0034】
第1キャリッジ5には第1記録ヘッド昇降駆動接続手段の一部を構成するジョイントである第1キャリッジ右ジョイント23Rが主走査方向X1−X1に軸長手方向を合わせた駆動伝達軸(支持軸)26の右端部に支持(固定)されている。駆動伝達軸26の左端部にはピニオン23L・Pが支持(固定)されている。前記第1キャリッジ右ジョイント23Rの外周部には該第1キャリッジ右ジョイント23Rと同軸にピニオン23R・Pが設けられている。
【0035】
駆動伝達軸26には後述する収納・接続手段41が設けられていて、この収納接続手段41は、第1キャリッジ右ジョイント23R及びピニオン23L・Pと一体的な駆動伝達軸26を主走査方向X1−X1に往復動させる働きを有する。収納・接続手段41は、連結部材49により第1キャリッジ5と第2キャリッジ6とが一体的に連結されている状態のもとで、駆動伝達軸26を右行させる。これにより、第1キャリッジ右ジョイント23Rと第2キャリッジ左ジョイント18Lとを噛み合い状態にして、ヘッド昇降駆動源20の駆動力を、第2記録ヘッド昇降駆動接続手段18を介して第1キャリッジ右ジョイント23R(同軸のピニオン23R・P)及びピニオン23L・Pに伝える。
【0036】
これらのピニオン23R・Pや23L・Pには、第2キャリッジ6に近い側の第1記録ヘッド昇降手段500R、第2キャリッジ6から遠い側の第1記録ヘッド昇降手段500Lの各ラック24RC(図11、図12、図13参照)がそれぞれ噛み合っているので、これらのピニオン23R・Pや23L・Pの回転により第1記録ヘッド71、72が第1ヘッドホルダ27と共に第1キャリッジ5上で昇降されて記録媒体の厚さに応じた適正な高さ位置に保持されて画像形成が行われる。第1記録ヘッド昇降手段500R、500Lについては[記録ヘッド昇降手段]の項で図9、図10等と共に、その構成を詳細に説明する。
【0037】
上記した通り、第2キャリッジ6において、第2記録ヘッド昇降手段500R、500Lにおける各ラック24RCと第2キャリッジ右ジョイント18R、第2キャリッジ左ジョイント18Lと同軸のピニオン18R・Pや18L・Pとの噛み合い関係により第1記録ヘッド73乃至75がヘッドホルダと共に昇降されて記録媒体の厚さに応じた適正な高さ位置に保持されて画像形成が行われる。ただし、第2キャリッジ6においては、駆動伝達軸18Jはスライドせず、収納・接続手段41に対応する手段は設けられていない。
【0038】
第1記録ヘッド昇降手段500R、500Lによる第1記録ヘッドの昇降を行わない場合には、収納・接続手段41は、駆動伝達軸26を左行させて第1キャリッジ右ジョイント23Rが第2キャリッジ左ジョイント18Lから離間し非噛み合い状態となる位置に退避収納する。特に図4に示したように、ホームポジションにある第2キャリッジ6に対して第1キャリッジ5をそのホームポジションに向けて移動する場合には、仮に第1キャリッジ右ジョイント23Rの噛み合い用の爪部が第2キャリッジ左ジョイント18Lの爪部と噛み合い可能な位置まで突出していたとすると、連結部材49による第1キャリッジ5と第2キャリッジ6との一体的な連結のない状態でこれらジョイントの爪部同士が噛み合うことにより、キャリッジの位置精度に影響が及び画像形成の精度を損なう原因となるからである。
【0039】
このため、第1キャリッジ右ジョイント23Rを主走査方向X1−X1方向に可動にし、かつ収納・接続手段41を設けて、第1キャリッジ右ジョイント23Rの収納・接続を行うようにしている。なお、第1キャリッジ右ジョイント23Rと同軸一体に設けたピニオン23R・P及び第1キャリッジピニオン23L・Pの歯すじの方向と、これらピニオン23R・Pや23L・Pが噛み合うスライドカムと一体形成のラック24RCの歯すじの方向とは共に主走査方向に平行であるので、上記収納・接続動作においてこれらピニオン23R・Pや23L・Pとそれぞれ噛み合うラック24RCを動作させることはなく、第1記録ヘッドの昇降には影響は与えない(後述の図11、図12、図13参照)。
【0040】
[ホームポジションにおける記録ヘッドの維持機構]
この第1キャリッジ5および第2キャリッジ6の主走査方向での移動が可能な主走査領域のうち、画像形成が可能な領域である記録領域では、図1に示したように記録媒体150が図示しない紙送り機構によって副走査方向Y1―Y1に間欠的に搬送される。また、主走査領域のうち一方の端部側、本例では右端部の領域は両キャリッジのホームポジションであり、記録ヘッド71乃至75の維持回復を行う維持機構8が配置されている。維持機構8は記録ヘッド71〜75のインクカートリッジのキャップを開閉する手段であり、キャップを閉じることにより各記録ヘッドは記録装置100の本体と一体化されて、該本体と一体的に位置決め固定される。
【0041】
図4に示したように、第1キャリッジ5と第2キャリッジ6とを連結させずに第1キャリッジ5のみを主走査方向X1−X1に駆動させる際は、第2キャリッジ6は維持機構8にてキャップを閉じ状態にされて位置保持される。このように、第2キャリッジ6の第2記録ヘッド73乃至75を保護した状態のまま待機させておくことができ、第2キャリッジ6の第2記録ヘッド73〜75の長寿命化がはかれると共に、キャップが閉じ状態におかれることにより、モノクロ印字の際に無駄なカラーインクの消費を抑えることができる。
【0042】
[記録ヘッド昇降手段への動力伝達系]
【0043】
第2キャリッジ6については、ヘッド昇降駆動源20から駆動源ジョイント19、第2キャリッジ右ジョイント18R、第2キャリッジ右ジョイント18Lを経て動力が伝達されて、第2記録ヘッド昇降手段600が駆動されて、第2記録ヘッド73、74、75が搭載された第2ヘッドホルダが第2キャリッジ上で昇降され記録媒体の厚さに応じた適正な高さ位置に保持されて画像形成が行われる。
【0044】
第1キャリッジ5については、第2キャリッジ右ジョイント18Lと噛み合うことにより第1キャリッジ右ジョイント23Rに動力が伝えられ、該第1キャリッジ右ジョイント23Rと同軸一体的なピニオン23R・Pや23L・Pも駆動されて、それぞれが対応する第1記録ヘッド昇降手段500Rや500Lが駆動されて昇降され記録媒体の厚さに応じた適正な高さ位置に保持されて画像形成が行われる。
【0045】
紙厚の異なる紙種に対応できる本例の記録装置では、記録ヘッドの高さを調節するためにヘッド昇降手段が設けられ、また、第1キャリッジ5と第2キャリッジ6とを分離して設けているので、カラー画像とモノクロ画像の切り換えに応じて連結部材による両キャリッジ間の連結、解除が行われる。また、ヘッド昇降手段に対する動力の伝達手段であるジョイント同士の接続時における両ジョイントの爪同士の噛み合い時に受ける力による両キャリッジの記録ヘッド同士の位置関係への影響を避けるために、両ジョイントの接続は連結部材によりキャリッジ同士が一体化した状態のもとで行うようにしている。このため、両キャリッジが連結状態のもとで両ジョイントの接続及び接続の解除を行う必要が生じ、(a)両ジョイント同士の接離と(b)連結部材による両キャリッジの連結・連結の解除、のタイミングを関連づけ、連結状態のもとで両ジョイントの接離がなされるようにしている。また、本例では両キャリッジがホームポジションにある状態で昇降手段への動力伝達が行われるため、両キャリッジがホームポジションにある状態で、収納・接続手段、連結・解除手段及び昇降手段の各動作が行われる。
【0046】
本例の記録装置100を用いた画像形成装置では、第1キャリッジ5単体、または第1キャリッジ5と第2キャリッジ6を連結させたものを主走査方向X1―X1に移動させ、記録媒体を副走査方向Y1−Y1に間欠的に送りながら、第1、第2記録ヘッド71乃至75の該当する記録ヘッドを画像情報に応じて駆動して液滴を吐出させることによって、記録媒体上に所要の画像が形成する。
【0047】
[記録ヘッド、ヘッドホルダ、キャリッジの組み立て構造]
第1キャリッジ5における第1記録ヘッド71、72、第1ヘッドホルダ27の組み立て構造を説明する。なお、第2キャリッジ6における第2記録ヘッド73乃至75及び該第2記録ヘッド73乃至75の組み立て構造は第2キャリッジ6との関係と同様なので図示および説明は省略する。
【0048】
既に概要を述べたが、図6に第1記録ヘッド71、72及び第1ヘッドホルダ27の斜視図を示し、図7に第1記録ヘッド71、72が第1ヘッドホルダ27(ヘッドホルダアセンブリ)に収容される構成を斜視図で示し、図8に第1記録ヘッド71、72が第1ヘッドホルダ27に収容された状態を斜視図で示している。
【0049】
図6に示すように、第1記録ヘッド71、72のそれぞれは、底部がその上部の直方体状をしたヘッド本体部よりもひとまわり小さい矩形凸部71A、71Bをなし、その底面を第1ノズル面71a、72aと称する。また、第1ヘッドホルダ27は略直方体形状で上方が開口された箱状をなし、この箱状をした凹部が第1ヘッドホルダ27を収容するヘッドホルダ収容部27aとなっている。
【0050】
第1ヘッドホルダ27は、その長手方向(副走査方向Y1−Y1)の両脇の2つの側壁27cの前方(操作者と対面する手前側)が切りかかれた形状である。また、第1ヘッドホルダ27の底部には、矩形をした2つのヘッドホルダ孔27bが形成されている。矩形凸部71A、71Bが各ホルダ孔27bに嵌合されることによりヘッドホルダ収容部27aに2つの第1記録ヘッド71、72が収容されると、2つのヘッドホルダ孔27bからそれぞれの第1ノズル面71a、72aが露出される(図9、図10、図11、図14参照)。2つのヘッドホルダ孔は副走査方向Y1−Y1にずれて形成されているので、記録ヘッドの副走査方向での実質的な長さが大きくなりモノクロ画像の走査域が広がる。
【0051】
第1ヘッドホルダ27における2つの側壁27cには、長手方向(副走査方向Y1−Y1)に沿って主走査方向Z1−X1に突出したヘッドホルダ凸部27dが形成されている。ヘッドホルダ凸部27dの下面は上下方向Z1―Z1方向に凹凸するヘッドホルダカム面27e(凹凸面)を有する。このヘッドホルダカム面27eの役割については後述する。
【0052】
図8に示すように第1記録ヘッド第1記録ヘッド71、72を収容した第1ヘッドホルダ27は第1記録ヘッド昇降手段500R、500Lにより昇降され、第2記録ヘッド73、74、75を収容した第2ヘッドホルダ(図示省略)は、第2ヘッド昇降手段600R、600Lにより昇降される。
【0053】
図7、図8を参照しながら、第1キャリッジ5について説明する。第1キャリッジ5は上方が開放され、副走査方向Y1−Y1に長い箱状をしている。該箱状をした底部には段部5aを有し、この段部5aの手前側の底部に第1ヘッドホルダ27や、収納・接続手段41、第1記録ヘッド昇降手段500R、500Lなどを収容する底部領域5bがある。
【0054】
底部領域5bの中央部には、四方に底部を残してキャリッジ孔5cが形成されている。キャリッジ孔5cは第1ヘッドホルダ27の底部が収まるほどの大きさであり、該キャリッジ孔5cに合わせて第1ヘッドホルダ27が対峙し、また、第1ヘッドホルダ27に付帯する周辺部材が組み立てられる。この組み立て状態において、第1ヘッドホルダ27上の2つの記録ヘッド71、72のノズル面71a、72aは、キャリッジ孔5cから露出した状態となる。第1キャリッジ5には、当該キャリッジや記録ヘッドの位置を検知するための第1エンコーダセンサ17、軸受け部14、ベルト保持部15などが設けられている。
【0055】
第1記録ヘッド71、72を収容した第1ヘッドホルダ27は第1ヘッド昇降手段500R、500Lにより上下方向Z1−Z2に昇降可能である。なお、第2キャリッジ6においても同様に、第2記録ヘッド73乃至75を収容した第2ヘッドホルダは、第2ヘッド昇降手段600R、600Lにより高さ方向Z1―Z2に昇降可能である。これら第1記録ヘッド71、72、第2記録ヘッド73乃至75の昇降移動により、第1記録ヘッド71、72の第1ノズル面71a、72a及び第2記録ヘッド73乃至75の第2ノズル面と記録媒体の印字表面とのギャップLを紙種の違いなどによる記録媒体の厚さの違いに拘らず一定の距離に調整することができる。
【0056】
調整すべきギャップLは、ユーザが記録媒体の厚さを目視して、その記録媒体の厚さに応じたギャップLの値を図示しない入力部からユーザが入力することにより第1、第2ヘッド昇降手段を駆動して調整することができる。或いは、PC(personal computer)端末上の画像データなどを画像形成装置1000に送信して、印刷させる場合には、ユーザが当該PC端末に記録媒体の厚さを入力して、当該PC端末内でギャップLを計測し、当該計測されたギャップLを画像データとともに、画像形成装置1000に送信して同様にギャップLを調整してもよい。また、画像形成装置1000が記録媒体の厚さを自動測定する公知の技術を用いて、その厚さに応じたギャップLを演算して調整することもできる。この構成であると、ユーザは記録媒体の厚さを求める必要はない。
【0057】
[記録ヘッド昇降手段]
次に、第1記録ヘッド昇降手段500R、500Lについて説明する。なお、第2記録ヘッド昇降手段600R、600Lについては第1記録ヘッド昇降手段500R、500Lと同様の構成であるため、図示および説明は省略する。本例において、第1ヘッド昇降手段500R、500Lは、細長い直方体の板面に斜面の組み合わせによる凹凸状のカム機構を用いるが他のカム機構や、その他第1ヘッドホルダ27を昇降させ得る機構であれば他の機構を用いてもよい。
【0058】
図9、図10に第1キャリッジ5を真横(主走査方向X1−X1)から見た概略図を示し、図11に第1キャリッジ5を正面(副走査方向Y1−Y1)から見た概略図、図12に第1キャリッジ5を上から見た概略平面図、図13にスライドカム24の斜視図をそれぞれ示す。
【0059】
図9乃至図11に示すように、第1キャリッジ5においてその長手方向(副走査方向Y1−Y1)に沿って主走査方向X1−X1方向の両側に対向して形成されている側壁部5dには、当該長手方向に沿って凸形状のバネ押さえ部50が形成されている。
【0060】
また、ヘッドホルダ27の4つの側部には該ヘッドホルダ27が上下方向Z1−Z1方向にのみ可動とし、主走査方向X1−X1及び副走査方向Y1−Y1への移動を規制する案内部材(図示省略)が近接又は摺動可能に当接している。
【0061】
ヘッドホルダの側部に設けられたカム凸部27dの下面にはホルダカム面27eが形成されている。ホルダカム面27eは下方に突出した複数の凸部27eMとこれら凸部27eMと凸部27eMに斜面SUを介して隣接して形成される凹部27eVとからなるカムを構成している。凸部27eMの頂部及び凹部27eVの底部は直交座標のX1−Y1平面と平行な平坦面を形成している。
【0062】
2つのカム凸部27dの下方であってキャリッジ5の底部領域5bには、各カム凸部27dと対向するようにして2つのスライドカム24が平行に配置されている。スライドカム24は図示していないレールにガイドされ副走査方向Y1−Y1に方向を規制されて第2キャリッジ5の長手方向(副走査方向Y1−Y1)に移動往復動可能である。スライドカム24と駆動伝達軸26とは、ラック24RCとピニオン23R・P、ラック24RCとピニオン23L・Pとがかみ合い、かつ直交するように、配置されている。第1キャリッジ右ジョイント23Rはヘッド昇降駆動源20からの駆動力が伝達されることで、該ジョイント23Rと駆動伝達軸26は一体的に回動する。駆動伝達軸26が回動されると、ラック24RCとピニオン23R・Pとの噛み合いにより、また、ラック24RCとピニオン23L・Pとの噛み合いにより、平行な2つのスライドカム24は副走査方向Y1−Y1に往復移動する。
【0063】
スライドカム24の上面であってホルダカム面27eと対向する領域には上方に突出した複数の凸部24eMとこれら凸部24eMと凸部24eMに斜面SDを介して隣接して形成される凹部24eVとが形成されている。凸部24eMの頂部及び凹部24eVの底部は直交座標のX1−Y1平面と平行な平坦面を形成している。
【0064】
スライドカム24の副走査方向Y1−Y1での手前側に対する奥側(副ガイド2寄りの側)の端部上面には歯すじの方向が主走査方向のラック24RCになっている。図11、図12、図13に示すように、第1記録ヘッド昇降手段500Rのラック24RCには第1キャリッジ右ジョイント23Rと一体的な同軸のピニオン23R・Pが噛み合い、第1記録ヘッド昇降手段500Lのラック24RCにはピニオン23L・Pが噛み合っている。
【0065】
駆動源ジョイント19と第2キャリッジ右ジョイント18Rとが噛み合い、第2キャリッジ左ジョイント18Lと第1キャリッジ右ジョイント23Rとが噛み合い、ヘッド昇降駆動源20が駆動されることにより、ピニオン23L・Pとピニオン23R・Pが回転してラック24RCとともにスライドカム24が副走査方向Y1−Y1に移動され、この移動に伴い、該スライドカム24のカム(凸部24eM、凹部24eV)がヘッドホルダ凸部27dのカム(凸部27eM、凹部27eV)に対して位置を変え、第1ヘッドホルダ27が昇降される。
【0066】
第1ヘッドホルダ27の側部に設けられたカム凸部27dの上面とバネ押さえ部50との間には上下方向に第1ヘッドホルダ27を付勢する弾性手段としての伸張性のバネ31が装着されている。バネ31の弾性により第1ヘッドホルダ27は下向きに付勢されており、この付勢力による第1ヘッドホルダ27の下方への移動はスライドカム24の副走査方向Y1−Y1の移動により次の(1)、(2)の何れかの状態となることで阻止される。
【0067】
(1):図9、図11(a)に示すように、カム凸部27dの下面に形成されたカムの凸部27eMとスライドカム24に形成されたカムの凹部24eVとが対向し、斜面SDと斜面SUとが対向する状態では、第1ヘッドホルダ27が最も低い位置に下降しており、第1ヘッドホルダ27の底部が、第1キャリッジ5の底部領域5bに配置された位置決め部材60に当接してバネ31の弾性力を受けた状態で上下方向に位置決めされている。
【0068】
このケースでは、図14(a)に明確に示すように、位置決め部材60による正確な位置決め機能が果たされるように、カム凸部27dの下面に形成された凸部27eM、凹部27eVはスライドカム24に形成された凸部24eM、凹部24eVの何れとも非接触となるようにカム凸部27dとスライドカム24との間に間隔Dが空くようにその高さが設定されている。位置決め部材60は、第1ヘッドホルダ27に当接して位置決め状態が安定するように、3点で第1ヘッドホルダ27を支持するように底部領域5bに配置されている。
【0069】
本例は第1記録ヘッド71、72が記録媒体基準面O−Oに最も接近する場合であり、記録媒体基準面O−Oに沿って送られる記録媒体150が薄紙の場合に適用されて、第1ノズル面71a、72aと記録媒体150とのギャップLを定められた一定値にする。
【0070】
ここで、斜面SDと斜面SUとが対向し、かつ当接する状態を、第1ヘッドホルダ27の通常位置としカムの噛み合い状態を「通常状態」として設定する場合を仮定すると、第1キャリッジ5は安定しない。何故なら、製造過程において、スライドカム24のカム凸部24eM及びこれに対向する第1ヘッドホルダ27側のカム凸部27eMを正確に製造することは困難であり、ズレが生じてしまうからである。従って、第1キャリッジ5の底部領域5bに凸形状の位置決め部材60を設け、この位置決め部60と第1ヘッドホルダ27の底面とが当接する位置が、第1ヘッドホルダ27の「通常位置」とし、このときのカムの噛み合い状態を「通常状態」とすることが好ましい。
【0071】
かかる「通常状態」とすることで、また、第1記録ヘッド71、72と記録媒体150の印字面とのギャップLに対する部品積み上げによる誤差が第1ヘッドホルダ27の上昇時より小さくできるという効果も有する。第2キャリッジ6についても、同様の理由で、位置決め部を設けることが好ましい。なお、図11(a)や図14(a)などで、カム凸部27dとスライドカム24の各カム同士が離間する状態でこれらカム凸部27dとスライドカム24との間に距離Dが設けられている理由は、位置決め部60により、第1ヘッドホルダ27を位置決めするためである。位置決め部60は、第1キャリッジ5について第1ヘッドホルダ27、第2キャリッジ6について対応するヘッドホルダについて設けるのがよい。
【0072】
(2):図10、図11(b)に示すように、カム凸部27dの下面に形成されたカムの凸部27eMとスライドカム24に形成されたカムの凸部24eMとが対向接触する噛み合い状態となる場合である。カムの状態を上記「通常状態」からスライドカム24を副走査方向Y1−Y1上で右に移動させることにより斜面SUと斜面SDとが当接しかつ滑り、斜面SDに沿って斜面SUと一体の第1ヘッドホルダ27が持ち上げられ、カムの凸部27eMとカムの凸部24eMとが対向した位置でスライドカム24を停止することで本例の状態となる。
【0073】
本例は第1ヘッドホルダ27(第1記録ヘッド71、72)が「通常状態」より上昇して記録媒体基準面O−Oから離間する場合であり頂部が平坦な凸部24eMと、頂部が平坦な凸部27eMとが対向して当接するのでスライドカム24の僅かな移動があっても第1記録ヘッド71、72の高さ位置には影響しない。本例の状態は、記録媒体基準面O−Oに沿って送られる記録媒体150が厚紙の場合に適用されて、第1ノズル面71a、72aと記録媒体150とのギャップLが定められた一定値にする。
【0074】
第1ヘッドホルダ27が最も高い位置にある本例の状態から駆動源20を逆駆動させることで、第1ヘッドホルダ27(第1記録ヘッド71、72)を「通常状態」に戻すことができる。このように、ピニオン23R、23LPにより2つのスライドカム24を副走査方向に平行に同距離移動させることで、第1ヘッドホルダ27を水平に保ったまま昇降させることができる。2つのスライドカム24の移動方向は、駆動源20の回転方向を切り替えることができ、第1ヘッドホルダ27を昇降させることができる。
【0075】
以上(1)、(2)で述べた通り、バネ31による第1ヘッドホルダ27に対する下向きの付勢を行うことにより、第1キャリッジ5が、振動したとしても、第1ヘッドホルダ27が移動、振動しなくなる利点がある。なお、このように昇降される第1ヘッドホルダ27や第2ヘッドホルダが厚紙の記録媒体に適した位置にあるか、薄紙の記録媒体に適した位置にあるかなどは、第1キャリッジ5、第2キャリッジ6にそれぞれ設けられた昇降センサ25により検知される。
【0076】
以上において、図2乃至図5、図10、図11等に示したように、第1記録ヘッド昇降手段500R(第1記録ヘッド昇降手段500L)は第1記録ヘッド71、72を保持するとともに昇降方向Z1−Z1にのみ移動方向を規制されて第1キャリッジ5内に支持されている第1ヘッドホルダ27と、昇降方向に該第1ヘッドホルダ27のヘッドホルダ凸部27dを付勢する弾性手段としてのバネ31と、該弾性手段で付勢された前記第1ヘッドホルダ27を支え、副走査方向Y1−Y1に往復動可能に第1キャリッジ5に支持されていてその一端部に歯すじ方向が主走査方向X1−X1で形成されたラック24RCを有するスライドカム24と、前記ラック24RCに噛み合うピニオン23R・P(23L・P)と、を有する構成であり、該ピニオン23RP(23L・P)は第1記録ヘッド昇降駆動接続手段としての第1キャリッジ右ジョイント23Rと同軸に構成されている。
【0077】
第2記録ヘッド昇降手段600R(第1記録ヘッド昇降手段600L)は第2記録ヘッド73〜75を保持するとともに昇降方向Z1−Z1にのみ移動方向を規制されて第2キャリッジ6内に支持されているヘッドホルダ(第1ヘッドホルダ27に準ずる構成であり図示省略)と、昇降方向に該ヘッドホルダのヘッドホルダ凸部を付勢する弾性手段としてのバネと、該弾性手段で付勢された前記ヘッドホルダを支え、副走査方向Y1−Y1に往復動可能に第2キャリッジ6に支持されていてその一端部に歯すじ方向が主走査方向X1−X1で形成されたラック(ラック24RCに準ずる。)を有するスライドカム(スライドカム24に準ずる。)と、前記ラックに噛み合うピニオン18R・P(18L・P)と、を有する構成であり、該ピニオン18R・P(18L・P)は第2記録ヘッド昇降駆動接続手段18としての駆動伝達軸18J、第2キャリッジ右ジョイント18R、第2キャリッジ左ジョイント18Lと同軸に構成されている。
【0078】
[接続手段の構成例]
ヘッド昇降駆動源20から第1記録ヘッド昇降駆動接続手段(第1キャリッジ右ジョイント)23Rに到る動力の伝達に用いる接続手段について具体例を述べる。図15(a)、(b)に駆動源ジョイント19、第2キャリッジ右ジョイント18R、第2キャリッジ左ジョイント18L、第1キャリッジ右ジョイント23R、ピニヨン18L・P、18P・P、23R・Pなどの斜視図を示す。
【0079】
図15(a)は第2キャリッジ右ジョイント18R及び該第2キャリッジ右ジョイント18Rと同軸一体的なピニオン18R・Pに適用される具体例であり、また、第1キャリッジ右ジョイント23R及び該第1キャリッジ右ジョイント23Rと同軸一体的なピニオン23R・Pに適用される具体例である。
【0080】
図15(b)は駆動源ジョイント19に適用される具体例であり、また、第2キャリッジ左ジョイント18L及び該第2キャリッジ左ジョイント18Lと同軸一体的なピニヨン18L・Pにも適用される具体例である。
【0081】
図15(a)に示すように、第2キャリッジ右ジョイント18R(第1キャリッジ右ジョイント23R)の円形端面23a上に、該ジョイント18R(23R)の回転方向に4つの凸部23bと、隣接する凸部23bの間に凹部23cが形成されている。また、図15(b)に示すように、駆動源ジョイント19(第2キャリッジ左ジョイント18L)の円形端面22a上に、該ジョイント19(18L)の回転方向に4つの凸部22bと、隣接する凸部22bの間に凹部22cが形成されている。
【0082】
そして、一方のジョイントを他方のジョイントに対して同軸上で接近する方向に移動させて行うジョイント接続時には、4つの凸部23bがそれぞれ4つの凹部22cに嵌合され、4つの凸部22bがそれぞれ4つの凹部23cに嵌合される。従って、この嵌合により、駆動源ジョイント19(第2キャリッジ左ジョイント18L及びピニオン18L・P)と第2キャリッジ右ジョイント18Rとピニオン18R・P(第1キャリッジ右ジョイント23Rとピニオン23R・P)は一体的に回動される。
【0083】
図15(b)の例において、ピニオンは、ジョイントが第2キャリッジ左ジョイント18Lの場合にのみピニオン18L・Pとして形成され、ジョイントが駆動源ジョイント19である場合には直接の駆動対象であるラックが存在しないので当該駆動源ジョイント19部にピニオンは形成されない。図15に示した各ジョイントの形状は接続対象となる一方のジョイントの駆動力が他方のジョイントに伝達されるという機能を果たすのであれば、図15に例示した形状例に限らない。
【0084】
[ジョイントの収納・接続手段]
記録媒体150の厚さに応じて第1記録ヘッド71、72の高さを調節する場合、第1記録ヘッド昇降手段500R、500Lを駆動するべく、ピニオン23RP、23LPを回転させるためには、ヘッド昇降駆動源20からの動力を第1キャリッジ右ジョイント23Rに導かなければならない。そのためには、図3或いは図4に示したように予め第2キャリッジ6をホームポジションまで移動させて、駆動源ジョイント19と第2キャリッジ右ジョイント18Rとを接続すると共に、維持機構8により第2キャリッジ6の位置が固定された状態にあることが必要である。
【0085】
ここで、カラー画像形成後であり、既に図3に示すように第2キャリッジ6に第1キャリッジ5が連結部材49により一体的に連結され、第2キャリッジ左ジョイント18Lと第1キャリッジ右ジョイント23Rとが接続状態であれば、ヘッド昇降駆動源20を駆動することにより、動力は第1キャリッジ右ジョイント23Rに導かれるのでピニオン23RP、23LPの駆動により、ヘッド昇降駆動源20による昇降動作が可能である。
【0086】
しかし、例えば、モノクロ画像形成後であり、図4に示したように、第2キャリッジ6はホームポジションにあるものの第1キャリッジ5がそのホームポジションにない場合には、第1キャリッジ5を左に移動して第2キャリッジ6に当接させる前に、予め、第1キャリッジ5内で、第1キャリッジ右ジョイント23Rを主走査方向X1−X1方向上で左側に移動させて第1キャリッジ右ジョイント23Rが第2キャリッジ右ジョイント18Rに噛み合わない収納位置まで退避させておかねばならない。
【0087】
その上で、第1キャリッジ5を第2キャリッジ6に当接させ、次いで、ジョイント同士の接続動作が記録ヘッドの位置精度に影響を与えないように、予め連結部材49を動作させて第1キャリッジ5と第2キャリッジ6とを一体的に連結してから、第1キャリッジ右ジョイント23Rを主走査方向X1−X1方向上で左側に移動させて第1キャリッジ右ジョイント23Rが第2キャリッジ右ジョイント18Rと噛み合う接続位置まで移動させてこれらジョイント同士の接続状態を得る。
【0088】
また、カラー画像形成後にモノクロ画像を形成する場合のように、連結部材49で一体的に連結されている第2キャリッジ6から第1キャリッジ5を分離する場合も、予め、第1キャリッジ5内で、第1キャリッジ右ジョイント23Rを主走査方向X1−X1方向上で左側に移動させて第1キャリッジ右ジョイント23Rが第2キャリッジ右ジョイント18Rに噛み合わない収納位置まで退避させてから、連結部材49で連結を解除し、第1キャリッジ5を分離する。
【0089】
このように、第1記録ヘッド昇降手段500R、500Lを持つものの、その駆動源を持たない第1キャリッジ5において、ジョイント接続時や接続解除時において第1キャリッジ5と第2キャリッジ6の一体的な連結のもとで行なうことで、両キャリッジの結合位置精度を低下させないために、本例ではジョイントの収納・接続手段を設け、第1キャリッジ右ジョイント23Rを主走査方向Y1−Y1に移動させて収納状態や接続状態を得るようにしている。
【0090】
ジョイントの収納・接続手段の構成及び動作を図16乃至図21を参照しつつ説明する。図16は収納・接続手段41の斜視図、図17は収納・接続手段41を連結・解除手段としての連結部材駆動機構181と共に示した斜視図、図18乃至図21における(a)は収納・接続手段41及び連結部材駆動機構181の正面図、(b)は収納・接続手段41におけるジョイントの接続過程を示している。
【0091】
収納・接続手段41は、図16に示したようにピニオン23L・P、23R・P及び第1記録ヘッド昇降駆動接続手段(第1キャリッジ右ジョイント23R)を同軸上に保持した支持軸(駆動伝達軸26)と、前記支持軸の軸線を主走査方向X1−X1に合わせて該主走査方向に可動に、かつ回転可能に第1キャリッジ5に支持する支持手段(支持体81)と、前記支持手段の一部であり該支持手段を介して支持軸に取り付けられたカムフォロアとしての収納ガイド81bと、前記ピニオン、前記第1記録ヘッド昇降駆動接続手段、前記支持軸、前記収納ガイドが第2記録ヘッド昇降駆動接続手段18に接近する方向へ移動するように付勢する付勢手段(コイルバネ86)と、前記収納ガイドに当接することにより、前記付勢手段(コイルバネ86)による前記支持軸の移動を阻止し回転に応じて前記第1記録ヘッド昇降駆動接続手段(第1キャリッジ右ジョイント23R)をヘッド昇降駆動源20からの動力が伝わる接続状態、伝わらない収納状態(ジョイント退避状態)とに切り換える収納カム87と、該収納カム87を回転させる収納カム駆動源(モータ47)及び歯車系列とを有する。
【0092】
第1キャリッジ5における段部5aの近傍には主走査方向X1−X1上で対向するようにして2つの支持板80が間隔をあけて底部領域5b上に直立配置されている。これら支持板80に形成された円孔80hには駆動伝達軸26が挿通されていて、支持板80から外側に突き出た駆動伝達軸26の、第2キャリッジ6側の一端部にはピニオン23R・Pと一体的な第1キャリッジ右ジョイント23Rが固定されている。反対側の支持板80から外側に突き出た駆動伝達軸26の他端部にはピニオン23L・Pが固定されている。
【0093】
駆動伝達軸26のうち、2つの支持板80の略中間位置には、筐体からなる支持体81が挿通されている。支持体81の内側に位置する駆動伝達軸26の略中央部にはEリング用の溝82が形成されていて、この溝82にEリング83が装着されている。支持体81の内部であってEリング83よりもピニオン23RP寄りの駆動伝達軸26には位置決めカラー84が摺動可能に嵌合されている。この位置決めカラー84の一端側はEリング83に接し、他端側は支持体81に形成された駆動伝達軸26の挿通孔81h1に圧入固着されている。
【0094】
支持体81の内部であってEリング83よりもピニオン23LP寄りの駆動伝達軸26にも位置決めカラー85が嵌合され、この位置決めカラー85の一端側はEリング83に接し、他端側は支持体81に形成された駆動伝達軸26の挿通孔81h2に圧入固着されている。こうして駆動伝達軸26は支持体81と一体化されている。
【0095】
支持体81が2つの支持板80の略中間に位置している状態で、支持体81は駆動伝達軸26とともに主走査方向X1−X1に往復移動可能であり、そのストロークは第1キャリッジ右ジョイント23Rが、第2キャリッジ左ジョイント18Lと接続し、また、接続を解除して収納状態にするのに十分な大きさとなっている。
【0096】
位置決めカラー85が固着された支持体81の壁部81a(又は位置決めカラー85の端部)と支持板80との間には駆動伝達軸26を巻くようにして伸長性のコイルバネ86が設けられていて、駆動伝達軸26、支持体81、ピニオン23L・P及びピニオン23RP、第1キャリッジ右ジョイント23Rを一体物として主走査方向X1−X1上、第2キャリッジ6側に移動させる向きに付勢している。
【0097】
この付勢力による駆動伝達軸26及び上記一体物の移動は、支持体81と一体に設けられた収納ガイド板81bに円板状のカムである収納カム87のカム面が当接することにより阻止されている。ピニオン23L・P及びピニオン23R・Pは対応するラック24RCと噛み合っている。
【0098】
収納カム87の回転軸の方向は主走査方向X1−X1であり、そのカム面が回転軸からの距離が大きい凸部と、回転軸からの距離が小さい凹部とを有する円板カムであり、該収納カム87を回転駆動することにより、ピニオン23L・P及びピニオン23R・Pは対応するラック24RCとの噛み合い状態を維持したままでラック24RCの歯すじの方向である主走査方向X1−X1に移動し、第1キャリッジ右ジョイント23Rを、第2キャリッジ左ジョイント18Lに接続させたり、また、接続を解除し収納することができる。
【0099】
ラック24RCはピニオン23RPよりも主走査方向X1−X1に大きい幅を取っており、ピニオン23R・Pや23L・Pが移動してもラック24RCと噛み合っている。また、ピニオン23R・Pや23L・Pが主走査方向X1−X1に移動しても両者の歯すじの方向は主走査方向X1−X1に平行であるのでラック24RCは移動しない。
【0100】
動作態様を例示すると、図20(a)において収納カム87は凸部のカム面が収納ガイド板81bに当接していて、第1キャリッジ右ジョイント23Rと第2キャリッジ左ジョイント18Lとは離間している。この状態から収納カム87の回転が進み、図21(a)に示すように収納カム87の凹部のカム面が収納ガイド板81bに当接する状態では、収納ガイド板81bがより第2キャリッジ6寄りに移動(右行)するので、第1キャリッジ右ジョイント23Rと第2キャリッジ左ジョイント18Lとが噛み合い状態となる。この状態から収納カム87を逆転すれば、図20(a)に示した状態に復元できる。
【0101】
[連結・解除手段による両キャリッジの連結・解除]
図3に示したように、第1キャリッジ5及び第2キャリッジ6を、それぞれのホームポジションで一体的に連結し、或いは連結を解除する手段として本例では連結部材49を用いる。連結部材49としてコの字形の部材を使用し、第1キャリッジ5及び第2キャリッジ6の一部(本例では各側板)を重ねた状態のもとで、該連結部材49で挟み込むことにより両キャリッジを一体的に連結する。両キャリッジの連結を解除する場合には連結部材49で、2つの側板部を挟み込んだ状態から引き抜く。このように、連結部材49によるこれら連結・解除の動作は往復動作により可能となる。
【0102】
連結・解除手段(連結駆動機構181)は、往復動作により第1キャリッジ5と第2キャリッジ6とを一体的に連結する位置(図21)と、該一体的な連結が解除される位置(図19)、とに変位する連結部材49と、この連結部材49を変位させる連結部材駆動機構からなり、該連結部材駆動機構は、連結部材49の往復動作の方向を規制する案内手段(案内棒90)と、連結部材49に形成されたラック49RCと、該ラックに噛み合い、その回転により該連結部材を往復動させるピニオン48と、該ピニオンを回転させるギヤ駆動源(モータ47)と、を有し、このギヤ駆動源は、収納・接続手段を駆動する収納カム駆動源と共通である。
【0103】
連結部材49による第1キャリッジ5及び第2キャリッジ6の連結・解除のための構成及び動作を図17乃至図21を参照しつつ説明する。連結部材49はコの字形をした部材であり、開放側を上下方向Z1−Z1の下に向けて、上下方向Z1−Z1に移動方向を規制されて往復動可能としている。上下方向Z1−Z1の案内手段として連結部材49を2つの案内棒90に摺動可能に嵌合させている。案内棒90はその下端部をキャリッジ5に固定されている。
【0104】
連結部材49によって挟み込まれるのは上記したように各キャリッジの側板であるが、挟み込みの精度を高めるために厚さ精度を高めたり、表面を滑らかにするなどの処置を行っている部位ということで、第1キャリッジ5については連結部材受け部183、第2キャリッジ6については連結部材受け部182としている。連結部材49において連結部材受け部182、183を挟む挟みを構成する対向部材の隙間d(図18参照)は、連結部材受け部182、183を重ね合わせた状態で摺動して嵌合できる大きさにしてある。
【0105】
連結部材49の背面部には上下方向Z1−Z1にわたる帯状の領域に、ラック49RCが上下方向Z1−Z1にわたり形成されている。ラック49RCには回転軸の方向が主走査方向X1−X1のピニオン48が噛み合わされていて、このピニオン48が正逆転されることにより、連結部材49は上下動されて連結状態と解除状態とが切り換えられる。
【0106】
ピニオン48と収納カム87の回転軸は共に主走査方向X1−X1であるので、ピニオン48の軸と同軸上に中間ギヤ45を介在させ、この中間ギヤ45を駆動させることで連結部材49による両キャリッジの連結・解除と、収納カム87によるジョイントの収納・接続とを連動させることができる。
【0107】
そこで、中間ギヤ45にウォームギヤ46を噛み合わせ、さらにウォームギヤ46にモータ47に直結されたウォーム52を噛み合わせることにより、共通駆動源としてのモータ47により、連結・解除手段による両キャリッジの連結・解除と、収納・接続手段によるジョイントの収納・接続を連動させることができる。
【0108】
上記連動動作について例示する。
(a):図18に示した状態ではホームポジションにある第2キャリッジ6に対して、第1キャリッジ5は離間した位置から第2キャリッジ6に向けて接近中であり、連結部材49の開放側の挟み部は連結部材受け部183の上方にあり、収納カム87はその凸部が収納ガイド板81bに当接し、第1キャリッジ右ジョイント23Rは左方に収納(退避)している。
【0109】
(b):図19(a)に示すように第1キャリッジ5はホーポジションに到達し、2つの連結部材受け部182、183は重なった状態となっている。モータ47が駆動されて各ギヤが矢印で示す向きに回転することにより、連結部材49が下降を始めるがまだ連結部材受け部182を捉える位置まで達していない。図19(b)に拡大して示すように、第1キャリッジ右ジョイント23Rは第2キャリッジ左ジョイント18Lとの間に隙間Δを有して離間している。
【0110】
(c):図20(a)に示すように連結部材49は2つの連結部材受け部182、183を僅かに挟んではいるが、この段階では第1キャリッジリッジ5と第2キャリッジ6とはまだ一体的な連結には至っていない。よって、収納カム87はまだ凸部を収納ガイド板81bに当接している。図20(b)に拡大して示すように、第1キャリッジ右ジョイント23Rは第2キャリッジ左ジョイント18Lとの間は依然として隙間Δを有して離間している。しかし、収納カム87の凸部はその略終端部が収納ガイド板81bに当接している状態であり、第1キャリッジ右ジョイント23Rが左行を開始する時期が迫っている。
【0111】
(d):図21(a)に示すように連結部材49は2つの連結部材受け部182、183を一体的に連結する位置まで下降しており、収納カム87は凹部を収納ガイド板81bに当接した状態となり、図21(b)に拡大して示すように、第1キャリッジ右ジョイント23Rは第2キャリッジ左ジョイント18Lと接続した状態となっている。
【0112】
このように、本例では、収納・接続手段41による第1記録ヘッド昇降駆動接続手段(第1キャリッジ右ジョイント)23Rと第2記録ヘッド昇降駆動接続手段18の他端部(第2キャリッジ左ジョイント18L)との接続動作は連結・解除手段(連結部材49)による第1キャリッジ5と第2キャリッジ6との連結後に行われることとしている。キャリッジ連結後にヘッド昇降駆動が接続されるのである。また、収納・接続手段41による第2キャリッジ左ジョイント18Lからの第1キャリッジ右ジョイント)23Rの収納(退避)動作は上記(a)〜(d)の工程を逆に進む手順で行なわれ、第1キャリッジ右ジョイント)23Rの収納(退避)動作は第1キャリッジ5と第2キャリッジ6とが連結状態のもとで行われ、該収納(退避)動作の後に、第1キャリッジ5と第2キャリッジ6との連結状態が解除されることとしている。このように、ヘッド昇降駆動のジョイントが分離されてからキャリッジが分離されることで第2キャリッジの位置は昇降駆動のジョイントの分離の影響を受けない。
【0113】
連結・解除手段による第1キャリッジ5と第2キャリッジ6との連結後に、収納・接続手段41による第1記録ヘッド昇降駆動接続手段23Rと第2記録ヘッド昇降駆動接続手段の他端部18Lとの接続動作が行われるように、収納ガイド81bに当接する収納カム87の回転方向の当接位置と、連結部材49に形成されたラックの往復動方向(上下方向Z1−Z1)でのピニオン48の噛み合い位置との関係が定められる。
【0114】
収納・接続手段41と両キャリッジの連結・解除手段の動作にはこのようなモータやカム機構を用いない場合でも、本例のようにキャリッジ連結後に昇降駆動の接続を行い、キャリッジ分離前に昇降駆動の分離を行うことが望ましい。前者はキャリッジ連結が先に行ってヘッド位置が正確に出た上で昇降駆動の接続をしたほうが、連結後のヘッド位置に影響を与えない。後者はキャリッジ分離前に昇降駆動の接続をすることで、維持機構8に保持される第2キャリッジ6の位置に影響を与えにくいためである。
【0115】
また、このように、第1キャリッジ5に第1駆動伝達手段の収納機構を設けることでキャリッジ分離しても駆動源を個々のキャリッジに設ける必要がなくなることから機械幅を大きくすることがない。
【0116】
以上の説明においてZ1−Z1方向を説明の便宜上、上下方向と例示したが本発明の実施においてZ1−Z1方向を上下方向に限定する必要はなく、X1―X1、Y1―Y1、Z1―Z1で示した3次元直交座標で示す方向により発明を実施することができる。
【符号の説明】
【0117】
1 ガイドロッド
2 副ガイド
3 左側板
4 右側板
5 第1キャリッジ(モノクロキャリッジ)
5a 段部
5b 底部領域
5c キャリッジ孔
5d 側壁部
6 第2キャリッジ(カラーキャリッジ)
8 維持機構
9 主走査モータ
10 タイミングベルト
11 エンコーダシート
13 テンショナー
14 軸受け部
15 ベルト保持部
16、16’ 案内部
17 第1エンコーダセンサ
18 第2記録ヘッド昇降駆動接続手段
18J 駆動伝達軸
18R 第2キャリッジ右ジョイント
18L 第2キャリッジ左ジョイント
18R・P、18L・P、23R・P、23L・P ピニオン
19 駆動源側駆動接続手段(駆動源ジョイント)
20 ヘッド昇降駆動源
22a 円形端面
23R 第1記録ヘッド昇降駆動接続手段(第1キャリッジ右ジョイント)
23L 第1キャリッジピニオン
23a 円形端面
24 スライドカム
24RC、49RC ラック
25 昇降センサ
18、26 駆動伝達軸
27 第1ヘッドホルダ
27b ホルダ孔
27c 側壁
27d ヘッドホルダ凸部
27e ホルダカム面
22b、23b、24eM、27eM 凸部
23c、24eV、27eV 凹部
31 バネ
41 収納・接続手段
45 中間ギヤ
47 モータ
48 ピニオン
49 連結部材
50 バネ押さえ部
52 ウォーム
60 位置決め部材
71、72 第1記録ヘッド
71a、72a 第1ノズル面
71A、71B 矩形凸部
73、74、75 第2記録ヘッド
80 支持板
80h 円孔
81 支持体
81a 壁部
81b 収納ガイド
81h1、81h2 挿通孔
82 溝
83E リング
84、85 位置決めカラー
86 コイルバネ
87 収納カム
90 案内棒
100 記録装置
121 駆動プーリ
122 従動プーリ
150 記録媒体
160 支持台
181 連結部材駆動機構(連結・解除手段)
182、183 連結部材受け部
500R、500L 第1記録ヘッド昇降手段
600R、600L 第2記録ヘッド昇降手段
d 隙間
D 距離
Lギャップ
O−O 記録媒体基準面
SD、SU 斜面
X1―X2 主走査方向
Y1―Y1 副走査方向
Z1―Z1上下方向(昇降方向)
Δ 隙間
【先行技術文献】
【特許文献】
【0118】
【特許文献1】特開2007−223232号公報参照
【特許文献2】特開2005−271531号公報参照
【特許文献3】特許第2785031号公報参照
【特許文献4】特許第3982519号公報参照
【特許文献5】特開2003−162137号公報参照

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1記録ヘッドと、この第1記録ヘッドを昇降させる第1記録ヘッド昇降手段を有し、主走査方向に可動な第1キャリッジと、
第2記録ヘッドと、この第2記録ヘッドを昇降させる第2記録ヘッド昇降手段を有し、主走査方向に可動な第2キャリッジと、
これら第1記録ヘッド昇降手段及び第2記録ヘッド昇降手段を駆動するヘッド昇降駆動源と、
前記ヘッド昇降駆動源と一体的に設けた駆動源側接続手段と、
前記駆動源側接続手段にその一端部を接続されて前記第2記録ヘッド昇降手段へ駆動力を伝える前記第2キャリッジの第2記録ヘッド昇降駆動接続手段と、
前記第2記録ヘッド昇降駆動接続手段の他端部と接続されて前記第1記録ヘッド昇降手段へ駆動力を伝える第1キャリッジの第1記録ヘッド昇降駆動接続手段と、
前記第1キャリッジと前記第2キャリッジを連結し、また、連結を解除できる連結・解除手段と、
を有する画像形成装置であって、
前記第1キャリッジの第1記録ヘッド昇降駆動接続手段を前記第2キャリッジの第2記録ヘッド昇降駆動接続手段の前記他端部に接続してヘッド昇降のための駆動が伝わる接続状態にし、また、接続が解除された収納状態にすることができる収納・接続手段を有し、
前記収納・接続手段による前記第1キャリッジの第1記録ヘッド昇降駆動接続手段の収納・接続動作を前記連結・解除手段による第1キャリッジと前記第2キャリッジとの連結・解除動作と連動させたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1記載の画像形成装置において、
前記収納・接続手段による前記第1記録ヘッド昇降駆動接続手段と前記第2記録ヘッド昇降駆動接続手段の前記他端部との接続動作は前記連結・解除手段による第1キャリッジと前記第2キャリッジとの連結後に行われることを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1または2記載の画像形成装置において、
前記第1、第2記録ヘッド昇降手段は、各ヘッド昇降駆動接続手段に対して、駆動力入力用の各駆動接続手段の接続動作、接続が解除される収納状態になる動作により動かないことを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れか1つに記載の画像形成装置において、
前記第1キャリッジは主走査方向に往復駆動可能であり、主走査方向の一端側に前記ヘッド昇降駆動源が定置され、該ヘッド昇降駆動源に近い方から前記第2キャリッジ、前記第1キャリッジの順に配置されていて、前記第2キャリッジは前記連結・解除手段により前記第1キャリッジと一体的に連結されることにより、前記第1キャリッジとともに主走査方向に移動可能であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項4記載の画像形成装置において、前記第2キャリッジと一体的な前記第2記録ヘッド昇降駆動接続手段が前記駆動源側接続手段と接続される位置まで前記ヘッド昇降駆動源に接近した位置を該第2キャリッジのホームポジションとし、
ホームポジションに位置している前記第2キャリッジに対して、前記第1キャリッジが、前記連結・解除手段により連結可能な位置まで接近した位置を該第1キャリッジのホームポジションとし、
これら第1キャリッジ、第2キャリッジがそれぞれのホームポジションにある状態のもとで、前記収納・接続手段による前記第1キャリッジのヘッド昇降駆動接続手段の収納・接続動作及び前記連結・解除手段による第1キャリッジと前記第2キャリッジとの連結・解除動作が可能であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項1乃至5の何れか1つに記載の画像形成装置において、
前記第1記録ヘッド昇降手段は、前記第1記録ヘッドを保持するとともに昇降方向にのみ移動方向を規制されて前記第1キャリッジ内に支持されているヘッドホルダと、
昇降方向に該ヘッドホルダを付勢する弾性手段と、
該弾性手段で付勢された前記ヘッドホルダを支え、副走査方向に往復動可能に前記第1キャリッジに支持されていてその一端部に歯すじ方向が主走査方向で形成されたラックを有するスライドカムと、
前記ラックに噛み合うピニオンと、
を有し、
前記ピニオンが前記第1記録ヘッド昇降駆動接続手段と同軸に構成されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
請求項1乃至6の何れか1つに記載の画像形成装置において、
前記第2記録ヘッド昇降手段は、前記第2記録ヘッドを保持するとともに昇降方向にのみ移動方向を規制されて前記第1キャリッジ内に支持されているヘッドホルダと、
昇降方向に該ヘッドホルダを付勢する弾性手段と、
該弾性手段で付勢された前記ヘッドホルダを支え、副走査方向に往復動可能に前記第2キャリッジに支持されていてその一端部に歯すじ方向が主走査方向で形成されたラックを有するスライドカムと、
前記ラックに噛み合うピニオンと、
を有し、
前記ピニオンが前記第2記録ヘッド昇降駆動接続手段と同軸に構成されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
請求項1乃至7の何れか1つに記載の画像形成装置において、
前記収納・接続手段は、
前記ピニオン及び前記第1記録ヘッド昇降駆動接続手段を同軸上に保持した支持軸と、
前記支持軸の軸線を主走査方向に合わせて該主走査方向に可動に、かつ回転可能に前記第1キャリッジに支持する支持手段と、
前記支持軸に取り付けられたカムフォロアとしての収納ガイドと、
前記ピニオン、前記第1記録ヘッド昇降駆動接続手段、前記支持軸、前記収納ガイドが前記第2記録ヘッド昇降駆動接続手段に接近する方向へ移動するように付勢する付勢手段と、
前記収納ガイドに当接することにより、前記付勢手段による前記支持軸の移動を阻止し回転に応じて前記第1記録ヘッド昇降駆動接続手段を接続状態、収納状態に切り換える収納カムと、
前記収納カムを回転させる収納カム駆動源と、を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
請求項1乃至8の何れか1つに記載の画像形成装置において、
前記連結・解除手段は、
往復動作により前記第1キャリッジと前記第2キャリッジとを一体的に連結する位置と、該一体的な連結が解除される位置、とに変位する連結部材と、この連結部材を変位させる連結部材駆動機構からなり、
連結部材駆動機構は、
前記連結部材の往復動作の方向を規制する案内手段と、
前記連結部材に形成されたラックと、
該ラックに噛み合い、その回転により該連結部材を往復動させるピニオンと、
該ピニオンを回転させるギヤ駆動源と、を有し、
このギヤ駆動源は、前記収納・接続手段を駆動する収納カム駆動源と共通であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項10】
請求項9記載の画像形成装置において、
前記連結・解除手段による第1キャリッジと前記第2キャリッジとの連結後に、前記収納・接続手段による前記第1記録ヘッド昇降駆動接続手段と前記第2記録ヘッド昇降駆動接続手段の前記他端部との接続動作が行われるように、前記収納ガイドに当接する前記収納カムの回転方向の当接位置と、前記連結部材に形成されたラックの前記往復動方向での前記ピニオンの噛み合い位置との関係が定められていることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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