説明

画像形成装置

【課題】駆動機構を新規に追加せずにクリーニング手段と用紙整合手段を接触させ、用紙整合手段に付着した汚れをクリーニング手段で除去可能とする。
【解決手段】所定枚数の用紙をシフトトレイ4に排紙後、用紙が全て取り除かれたかをトレイ紙有無センサ23により検出する。用紙が取り除かれていたら、紙面センサ上16がオンとなるまでシフトトレイ4を下降させ、紙面センサ上16がオンとなったら下降を停止させる。紙面センサ上16がオンとなったら、シフトトレイ4を上昇させ、紙面センサ上16がオフとなってから所定距離だけ上昇後停止させる。シフトトレイ4上昇停止後、スポンジローラ14を所定時間だけ回転駆動し、スポンジローラ14の汚れを除去する。クリーニング後、枚数カウントをクリアし、シフトトレイ4を待機位置に移動させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に備える後処理装置と、これを備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の後処理装置においては、画像形成装置から出力される用紙搬送時に、用紙上のトナーが用紙搬送系のローラと擦れ、ローラにトナーが転写されてしまい、またそのトナーが別の用紙に転写され、用紙の汚れが発生することがあるという問題がある。
【0003】
その問題の対策として、搬送ローラに圧接させるようにローラ清掃部材を配し、汚れを除去する技術が知られている。
【0004】
例えば特許文献1には、用紙搬送ローラに付着した紙粉や汚れを除去する用紙搬送ローラ清掃部材の構成を簡単にするために、一端部側が固定され、他端部側が自由端に構成された可撓性部材であって、可撓性により、自由端部が原稿や用紙等のシートを搬送する用紙搬送ローラに向けて押圧されるように配置され、自由端部の用紙搬送ローラ側の面に固定され用紙搬送ローラに圧接される圧接面を有するシート状清掃部材であって、圧接面の一端部側の端縁および他端部側の端縁の中間の圧接面中間部分が用紙搬送ローラに圧接するように配置された用紙搬送ローラ清掃部材が開示されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、搬送ローラの汚れを常時除去する公知の機構では、スポンジ等の柔らかい材料で構成されたローラに対しては、スポンジローラが削れてしまって搬送力を失い、スタック不良を起こしやすい等の問題がある。
【0006】
そこで本発明は、駆動機構を新規に追加することなく、クリーニング手段と用紙整合手段とを接触させ、用紙整合手段に付着した汚れをクリーニング手段にて除去でき、また常時接触ではなく、トレイ上昇時のみ接触させることで、クリーニング手段との接触による用紙整合手段の削れを抑制できる装置を提案することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の後処理装置のうち請求項1に係るものは、トレイ上に排紙された用紙に対する用紙整合手段と、トレイ昇降手段を備えた後処理装置において、前記トレイ内にクリーニング手段を設け、前記トレイの上昇により前記クリーニング手段と前記用紙整合手段を接触させ、前記トレイの下降により前記クリーニング手段と前記用紙整合手段を接触させないようにする配置としたことを特徴とする。
【0008】
すなわち、トレイ上の用紙に対する用紙整合手段とトレイ昇降手段を備えた後処理装置において、トレイ内にクリーニング手段を設け、トレイの上昇により前記クリーニング手段と前記用紙整合手段を接触させ、トレイの下降により前記クリーニング手段と前記用紙整合手段を接触させないようにするので、駆動機構を新規に追加することなく、クリーニング手段と用紙整合手段とを接触させ、用紙整合手段に付着した汚れをクリーニング手段にて除去する。また常時接触ではなく、トレイ上昇時のみ接触させることで、クリーニング手段との接触による用紙整合手段の削れを抑制する。
【0009】
同請求項2に係るものは、請求項1の後処理装置において、
前記クリーニング手段を、前記トレイの用紙積載面より下方に配置したことを特徴とする。
【0010】
すなわち、クリーニング手段をトレイの用紙積載面より下方に配置することで用紙とクリーニング手段との接触による、用紙への汚れの転写を防ぐ。
【0011】
同請求項3に係るものは、請求項1の後処理装置において、
前記クリーニング手段でクリーニングを実施する通紙枚数、クリーニング時の前記トレイの上昇距離、或いはクリーニング時の前記用紙整合手段の駆動時間の設定値を変更可能な設定変更手段を備えたことを特徴とする。
【0012】
すなわち、クリーニングを実施する通紙枚数、クリーニング時のトレイの上昇距離、或いはクリーニング時の用紙整合手段の駆動時間の設定値を、画像形成装置や後処理装置の操作手段により変更可能とすることで、クリーニング回数、クリーニング手段と用紙整合手段との接触圧、クリーニング時間を調整し、通紙条件に応じた適切なクリーニング条件を設定する。
【0013】
同請求項4に係るものは、請求項1から3のいずれかの後処理装置において、
前記クリーニング手段を前記トレイに揺動自在に固定したことを特徴とする。
【0014】
すなわち、クリーニング手段をトレイに揺動自在に固定することで、クリーニング手段と用紙整合手段との接触圧を適切にした状態でクリーニングする。
【0015】
同請求項5に係るものは、請求項1から3のいずれかの後処理装置において、
前記クリーニング手段を前記トレイに固定したことを特徴とする。
【0016】
すなわち、クリーニング手段をトレイに固定することで部品点数を削減し、部品費、組立費が低減される。
【0017】
同請求項6に係るものは、請求項1から3のいずれかの後処理装置において、
前記クリーニング手段を、端面に凹凸のあるプラシ状体、あるいはスポンジ状ローラ体で構成したことを特徴とする。
【0018】
すなわち、クリーニング手段を端面に凹凸のあるプラシ状、或いはスポンジ状ローラで構成することで、用紙整合手段が、凹凸のあるローラの場合に用紙整合手段の端部側面の汚れも適切にクリーニングし、また用紙整合手段の削れも抑制する。
【0019】
同請求項7に係る画像形成装置は、請求項1から6のいずれかの後処理装置を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、スポンジ等の柔らかい材料で構成されたローラに対しても、大幅な機構の変更もなく、スポンジローラの削れを抑制しつつ、トナー等による汚れを除去することができる。また、クリーニング手段の設置スペースを簡単に確保する効果も期待できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施対象となる後処理装置の全体構成を示す断面図(A)と斜視図(B)
【図2】スポンジローラの汚れ除去機構の動作について示す図
【図3】本発明の実施例の動作を示すフロー図
【図4】スポンジローラの汚れ除去機構について示す図
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下本発明を実施するための形態を説明する。なお本発明は図示の後処理装置、画像形成装置への実施には限定されず、画像形成を行う種々の装置に適用可能である。
【0023】
本発明は、トレイ上の用紙に対する用紙整合手段とトレイ昇降手段を備えた後処理装置において、トレイ内にクリーニング手段を設け、トレイの上昇によりクリーニング手段と用紙整合手段を接触させ、トレイの下降によりクリーニング手段と用紙整合手段を接触させないようにすることで、駆動機構を新規に追加することなく、クリーニング手段と用紙整合手段とを接触させ、用紙整合手段に付着した汚れをクリーニング手段にて除去でき、また常時接触ではなく、トレイ上昇時のみ接触させることで、クリーニング手段との接触による用紙整合手段の削れを抑制できるようにしている。
【0024】
具体的な実施形態としては、スポンジローラに転写したトナー等の汚れ除去に際して、シフトトレイに所定枚数排紙後に、シフトトレイ用の用紙を除去した場合、シフトトレイを上昇させ、シフトトレイ上のクリーニング部材とスポンジローラを接触させる。その後、所定時間スポンジローラを駆動させ、スポンジローラ上の汚れを除去する。所定時間経過後、スポンジローラの駆動を停止し、シフトトレイを待機位置まで下降させる。
【0025】
そのため、スポンジ等の柔らかい材料で構成されたローラに対しても、大幅な機構の変更もなく、スポンジローラの削れを抑制しつつ、トナー等による汚れを除去することができる。また、クリーニング手段の設置スペースを簡単に確保する効果も期待できる。
【0026】
すなわち、シフトトレイ昇降により、スポンジローラとクリーニング手段を接触/非接触とすることで、常時接触させる構成に対し、スポンジローラの削れを抑制出来る。また接触/非接触の切り替えは元々存在する駆動手段を使用し、シフトトレイ上にクリーニング手段を設けることで、機械内部に設置スペースを確保する必要がなく、大幅な機構変更の必要がない。
【0027】
さらに具体的には、トレイ上に排紙された用紙に対する用紙整合手段とトレイ昇降手段を備えた後処理装置において、トレイ内にクリーニング手段を設け、トレイの上昇により前記クリーニング手段と前記用紙整合手段を接触させ、トレイの下降により前記クリーニング手段と前記用紙整合手段を接触させないようにすることを特徴とし、駆動機構を新規に追加することなく、クリーニング手段と用紙整合手段とを接触させ、用紙整合手段に付着した汚れをクリーニング手段にて除去できる。また常時接触ではなく、トレイ上昇時のみ接触させることで、クリーニング手段との接触による用紙整合手段の削れを抑制できる。
【0028】
またクリーニング手段はトレイの用紙積載面より下方に配置することで、用紙とクリーニング手段との接触による、用紙への汚れの転写を防ぐ。
【0029】
またクリーニングを実施する通紙枚数、クリーニング時のトレイの上昇距離、或いはクリーニング時の用紙整合手段の駆動時間の設定値を、画像形成装置や後処理装置の操作手段により変更可能とすることで、クリーニング回数、クリーニング手段と用紙整合手段との接触圧、クリーニング時間を調整し、通紙条件に応じた適切なクリーニング条件を設定できる。
【0030】
またクリーニング手段をトレイに揺動自在に固定することで、クリーニング手段と用紙整合手段との接触圧を適切にした状態でクリーニングできる。
【0031】
さらに、クリーニング手段をトレイに固定することで部品点数を削減し、部品費、組立費も低減できる。また、クリーニング手段を端面に凹凸のあるプラシ状、或いはスポンジ状ローラで構成することで、用紙整合手段が、凹凸のあるローラの場合に用紙整合手段の端部側面の汚れも適切にクリーニングでき、また用紙整合手段の削れも抑制できる。
【実施例】
【0032】
図1は、本発明の実施対象となる後処理装置の全体構成を示す図である。後処理装置1は、画像形成装置Xから搬送される用紙を受け入れた後、用紙にスティプル処理を行う場合、スティプル分岐爪6を駆動し、搬送路を下方に切り替え、スティプルトレイ5に用紙を所定枚数スタックした後、端綴じスティプラ8、あるいは中綴じスティプラ9にてスティプル処理を実施する。スティプル処理後、端綴じスティプル時は用紙束をシフトトレイ4に放出する。中綴じスティプイル時は折り部に用紙束を搬送し、折りプレート11、折りローラ12にて用紙束を折った後、紙折り部トレイ10に用紙束を排紙する。
【0033】
用紙にスティプル処理を行わない場合、プルーフトレイ2への排紙時はプルーフ切替爪3を駆動し、搬送路を上方に切り替え、プルーフトレイ2に用紙を排紙し、シフトトレイ4排紙時はそのまま搬送路を切り替えずシフトトレイ4に用紙を排紙する。搬送路上にはパンチユニット13を備え、パンチ選択時はパンチ位置で用紙を一時停止し、パンチ処理を実施後に用紙搬送を再開する。
【0034】
後述する用紙排紙部に対し、シフトトレイ4上にスタックされた用紙の最上面(紙無時はシフトトレイ4のスタック面)の高さを一定に保つように、フィラー18と紙面センサ上16,紙面センサ下17の構成により位置検出し、リフトモータ15により、シフトトレイ4を昇降させる。なおシフトトレイ4上には用紙の有無を検出する、紙有無センサ23を備えている。
【0035】
シフトトレイ4への用紙排紙部には、用紙を搬送・排紙する排紙ローラ24とシフトトレイ4上の用紙を整合するのに使用するスポンジローラ(戻しローラ)14を備えている。排紙ローラ24とスポンジローラ14はタイミングベルトにより連結され、排紙モータにより排紙ローラ24を回転駆動すると、スポンジローラ14も同方向に回転駆動する構成となっている。
【0036】
またスポンジローラ14を固定するレバーは、スポンジローラ揺動モータ25により水平方向に可動する。用紙排紙中は機内に移動し、用紙排紙時に用紙をシフトトレイ4に掻き落とす(図2(A))。用紙排紙後に機外に移動し、シフトトレイ4を上昇することで、用紙とスポンジローラを当接し、用紙をエンドフェンスに突き当てることで、用紙の整合を行う(図2(B))。なお図2は、スポンジローラの汚れ除去機構の動作について示す図である。
【0037】
図3を参照して本実施例の動作を説明する。
ステップ1:所定枚数(n枚)の用紙をシフトトレイ4に排紙後、シフトトレイ4上から用紙を全て取り除かれたかをトレイ紙有無センサ23により検出する。
ステップ2:ステップ1にて用紙が取り除かれたことを検出したら、紙面センサ上16がオンとなるまでシフトトレイ4を下降させる。紙面センサ上16がオンとならなければ、ステップ7へ進み、シフトトレイ4が下降して紙面センサ上16がオンとなったら下降を停止させる。
ステップ3:紙面センサ上16がオンとなったら、シフトトレイ4を上昇させ、紙面センサ上16がオフとなってから所定距離(αmm)だけ上昇後停止させる。所定距離(αmm)を長くするとスポンジローラ14とクリーニング部材21の接触圧が大きくなることで、汚れが落ち易くなる代わりに、スポンジローラ14の削れは増すことになる。
ステップ4:シフトトレイ4上昇停止後、スポンジローラ14を所定時間(βm秒)だけ回転駆動し、スポンジローラ14の汚れを除去する。スポンジローラ14を回転させる時間(βms)を長くすると、クリーニング時間が長くなることで汚れが落ち易くなる代わりに、スポンジローラ14の削れは増す。
ステップ5:クリーニング後、枚数カウントをクリアし、シフトトレイ4を待機位置に移動させる。
ステップ6:所定枚数(n枚)、所定距離(αmm)、所定時間(βms)の設定値については画像形成装置の操作部にてユーザー又はカスタマーエンジニアが事前に変更可能なものとする。また、所定枚数(n枚)に対し、スティプルした用紙1束を何枚とカウントするかについても同様に変更可能なものとする。
【0038】
図4は、具体的なスポンジローラの汚れ除去機構について示す図である。
クリーニング部材21はシフトトレイ4上の用紙に接触しないように、シフトトレイ4の用紙積載面に対し凹部を設け配置する。またクリーニング部材21はスプリング22を介し上下に揺動自在に固定することで、スポンジローラ14に対し、適切な接触圧が掛かるようにしている。スポンジローラ14に凹凸がある場合は、クリーニング部材21は長さの異なるブラシローラとしてもよい。ブラシローラの代わりにスポンジローラ14より柔らかく、クリーニング作用のある材質のローラとしてもよい。
【0039】
図4(A)に示すように、スポンジローラ14の回転駆動と同期させてクリーニング部材21を回転させ、摩擦負荷を下げることで、スポンジローラ14の削れを抑制してもよいし、図4(B)に示すように、クリーニング部材21aを固定として構成を簡略化してもよい。
【符号の説明】
【0040】
X:画像形成装置
1:後処理装置
2:プルーフトレイ
3:プルーフ切替爪
4:シフトトレイ
5:スティプルトレイ
6:スティプル分岐爪
8:端綴じスティプラ
9:中綴じスティプラ
10:紙折り部トレイ
11:折りプレート
12:折りローラ
13:パンチユニット
14:スポンジローラ
15:リフトモータ
16:紙面センサ上
17:紙面センサ下
18:フィラー
21:クリーニング部材
21a:クリーニング部材
22:スプリング
23:紙有無センサ
24:排紙ローラ
25:スポンジローラ揺動モータ
【先行技術文献】
【特許文献】
【0041】
【特許文献1】特開2007−039183号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トレイ上に排紙された用紙に対する用紙整合手段と、トレイ昇降手段を備えた後処理装置において、
前記トレイ内にクリーニング手段を設け、
前記トレイの上昇により前記クリーニング手段と前記用紙整合手段を接触させ、
前記トレイの下降により前記クリーニング手段と前記用紙整合手段を接触させないようにする配置とした
ことを特徴とする後処理装置。
【請求項2】
請求項1の後処理装置において、
前記クリーニング手段を、前記トレイの用紙積載面より下方に配置したことを特徴とする後処理装置。
【請求項3】
請求項1の後処理装置において、
前記クリーニング手段でクリーニングを実施する通紙枚数、クリーニング時の前記トレイの上昇距離、或いはクリーニング時の前記用紙整合手段の駆動時間の設定値を変更可能な設定変更手段を備えたことを特徴とする後処理装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかの後処理装置において、
前記クリーニング手段を前記トレイに揺動自在に固定したことを特徴とする後処理装置。
【請求項5】
請求項1から3のいずれかの後処理装置において、
前記クリーニング手段を前記トレイに固定したことを特徴とする後処理装置
【請求項6】
請求項1から3のいずれかの後処理装置において、
前記クリーニング手段を、端面に凹凸のあるプラシ状体、あるいはスポンジ状ローラ体で構成したことを特徴とする後処理装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれかの後処理装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−121740(P2011−121740A)
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−281794(P2009−281794)
【出願日】平成21年12月11日(2009.12.11)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】