説明

画像形成装置

【課題】 なるべく少ない発信器及び受信器によって、複数の搬送路を搬送されるシートを検知する。
【解決手段】 画像形成部へ搬送される記録材が通る第1搬送路及び第2搬送路と、第1搬送路及び第2搬送路を搬送される記録材に向けて超音波を発信する発信手段と、発信手段から発信され記録材を通過した超音波を受信し、受信された超音波に対応する信号を出力する一の受信手段と、受信手段の出力する信号に基づいて記録材に画像を形成する画像形成条件を制御する画像形成装置であって、第1搬送路と第2搬送路の間に配置された反射板を有し、発信手段は第1搬送路を挟んで反射板に対向して配置された一の発信器であって、受信手段は第2搬送路を挟んで反射板に対向して配置された一の受信器であり、発信器が発信した超音波は第1搬送路を通過して反射板で反射され、第2搬送路を通過して受信器へ到達することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成を行うシートの厚みや坪量を検知する画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、インクジェットプリンタや、複写機、レーザービームプリンタ等の画像形成装置では、画像形成される記録材の厚さや坪量(単位面積あたりの重さ)を自動で検知し、この検知結果に応じて転写条件や定着条件等の画像形成条件を変更している。
【0003】
特許文献1には、シートに対して超音波を発信する発信器と、発信器から発信されシートを通過した超音波を受信する受信器と、受信器の受信結果からシートの種類を判別する検知手段を備えた超音波シート検知機構(超音波センサユニット)が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−293144
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、1つのシートを搬送する搬送路でシートを検知する為には、1組の発信器、受信器が必要となる。そのため、搬送路が複数ある装置において、複数の搬送路のシートを超音波シート検知機構で検知する場合、搬送路と同じ数の発信器と受信器が必要となり、装置の小型化やコストダウンの弊害になってしまう。
【0006】
そこで、装置内の複数の搬送路が搬送方向下流で合流し、一つの搬送路となった箇所において、1つの発信器と受信器でシートを検出する構成が考えられる。しかし、近年では装置の小型化が進み、複数の搬送路が合流して一つの搬送路となる箇所は、シートに画像が形成される画像形成部の直前(レジストローラの直前)となることが多い。このような場合、シートを検知してから画像形成部に到着するまでシートを搬送する距離は短いため、超音波シート検知機構でシート検知してから短時間でシートが画像形成部に到着する。このため、例えば、転写条件の変更についてはシートの到着に間に合わないので転写条件を変更することができない等、一部の画像形成条件しかシート検知に応じた変更に対応できなくなってしまう可能性がある。
【0007】
上記の課題に鑑みて、本発明は、なるべく少ない発信器及び受信器によって、複数の搬送路を搬送されるシートを検知することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、画像形成部へ搬送される記録材が通る第1搬送路及び第2搬送路と、前記第1搬送路及び前記第2搬送路を搬送される記録材に向けて超音波を発信する発信手段と、前記発信手段から発信され記録材を通過した超音波を受信し、受信された超音波に対応する信号を出力する一の受信手段と、前記受信手段の出力する信号に基づいて記録材に画像を形成する画像形成条件を制御する画像形成装置であって、前記第1搬送路と前記第2搬送路の間に配置された反射板を有し、前記発信手段は前記第1搬送路を挟んで前記反射板に対向して配置された一の発信器であって、前記受信手段は前記第2搬送路を挟んで前記反射板に対向して配置された一の受信器であり、前記発信器が発信した超音波は前記第1搬送路を通過して前記反射板で反射され、前記第2搬送路を通過して前記受信器へ到達することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、なるべく少ない発信器及び受信器によって、複数の搬送路を搬送されるシートを検知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】画像形成装置の全体構成を示す概略断面図。
【図2】超音波センサユニットの概略断面図。
【図3】超音波センサユニットの配置を示す概略断面図。
【図4】(a)カセット搬送路でシートが搬送されている状態を示す図、(b)マルチ搬送路でシートが搬送されている状態を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<第1実施形態>
(画像形成装置)
本実施形態の画像形成装置について説明する。まず、画像形成装置の全体構成について説明する。図1は画像形成装置100の全体構成を示す概略断面図である。
【0012】
図1に示すカラーレーザープリンタ100は、4個の感光体ドラム1(1a,1b,1c,1d)を備えている。それぞれの感光体ドラム1の周囲には、感光体ドラム1表面を均一に帯電する帯電手段2(2a,2b,2c,2d)、画像情報に基づいてレーザービームを照射し感光体ドラム1上の静電潜像を形成する露光手段3、静電潜像にトナーを付着させてトナー像として顕像化する現像手段4(4a,4b,4c,4d)、感光体ドラム1上のトナー像を中間転写材5(中間転写ベルト)に転写させる転写手段12(12a,12b,12c,12d)、転写後の感光体ドラム1表面に残った転写後トナーを除去するクリーニング手段23(23a,23b,23c,23d)等が配設された画像形成手段で構成されている。
【0013】
露光手段3は、プロセスカートリッジ7a,7b,7c,7dの鉛直下方に配置され、画像信号に基づく露光を感光ドラム1a,1b,1c,1dに対して行う。現像ユニット4a,4b,4c,4dは、それぞれイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(Bk)の各色のトナーを収納したトナー収納部、現像ローラ等から構成される。
【0014】
上述の構成により,感光ドラム1a,1b,1c,1dは、帯電ローラ2a,2b,2c,2dによって所定の負極性の電位に帯電された後、スキャナユニット3によってそれぞれ静電潜像が形成される。この静電潜像は現像ユニット4a,4b,4c,4dによって反転現像されて負極性のトナーが付着され、それぞれY、M、C、Bkのトナー像が形成される。
【0015】
中間転写ベルトユニット5は、中間転写ベルト5が駆動ローラ10、テンションローラ11に張架されており、該テンションローラ11が張力をかけている。また、各感光ドラム1a,1b,1c,1dに対向して、中間転写ベルト5の内側に一次転写ローラ12a,12b,12c,12dが配設されており、不図示のバイアス印加手段により転写バイアスを印加する構成となっている。
【0016】
感光ドラム1a,1b,1c,1d上に形成されたトナー像は、一次転写ローラ12a,12b,12c,12dに正極性のバイアスを印加することにより、感光ドラム1a上のトナー像から順次、中間転写ベルト5上に一次転写され、4色のトナー像が重なった状態で二次転写部15まで搬送される。
【0017】
一方、カセット給送装置は、シート(記録材)Sを収納する給紙カセット24内からシートSを給紙する給紙ローラ8を有している。給紙カセット24に収納されたシートSは、カセット給紙ローラ8に圧接され、分離パッド9によって一枚ずつ分離され(摩擦片分離方式)カセット搬送路30へと搬送される。
【0018】
また、画像形成装置100には、このカセット給紙装置の他に、マルチ給紙装置が設けられている。マルチ給紙トレイ29に積載されたシートSは、マルチ給紙ローラ27に圧接され、分離パッド28によって一枚ずつ分離されマルチ搬送路31へと搬送される。このマルチ給紙装置は、カセット給紙装置と比べて、材質、単位面積あたりの重さ(坪量)、大きさ等の異なる種々のシートSを給紙搬送することが出来る。
【0019】
カセット搬送路30とマルチ搬送路31はシートの搬送方向下流のレジストローラ対17の直前の搬送路合流部21で合流して一つの搬送路となっている。カセット給送装置又はマルチ給紙装置から搬送されたシートSは上記の搬送路を通って、レジストローラ対17、二次転写部15へと搬送される。
【0020】
二次転写ローラ18に正極性のバイアスを印加することにより、二次転写部15に搬送されたシートSに、中間転写ベルト5上の4色のトナー像が二次転写される。シートSは、二次転写部15から、定着手段である定着部14の円筒状の定着ベルト14aと加圧ローラ14bにより形成される定着ニップに搬送され、熱及び圧力を加えられシート上に形成されたトナー像をシート上に定着させられる。定着されたシートSは排紙ローラ対19によって排紙トレイ20に排出される。
【0021】
(超音波センサユニット)
次に超音波センサユニットについて説明する。図2は超音波センサユニットの概略断面図である。超音波センサユニットにはシートSが搬送される搬送路を間に挟んで発信器40と受信器41を有する。
【0022】
発信器(発信手段)40は、発信ドライバ(不図示)を有し、この発信ドライバで基板44aに支持された圧電素子45aに電圧を加えて、圧電素子45aを振動させ、圧電素子45aの振動が金属板46aに伝わり、金属板46aを振動させる。次に、金属板46aの振動が共振子であるコーン47aに伝わり、コーン47aを振動させる。コーン47aに与えられた振動は、空気振動(超音波)に変換し、コーン47aから中心軸X1の超音波42が出力される。出力された超音波42は、音響インピーダンスの高い材料で形成された円筒形のガイド43aによって指向され、発信器40からシートSに向かって出力される。
【0023】
発信器40から出力された超音波42は、シートSに到達してシートSを振動させる。シートSを介して出力される超音波42は、受信器(受信手段)41の円筒形のガイド43bによって集められ、振動子であるコーン47bに振動を与える。コーン47bに与えられた振動は、金属板46b、基板44bに支持された圧電素子45bへと伝わる。圧電素子45bは受信した振動を電圧に変換し、受信ドライバ(不図示)へと信号を出力する。
【0024】
超音波がシートSを透過する率(透過率)は、シートの面積あたりの重量(坪量)の対数に比例することから、圧電素子45bで受けた振動の電圧値によってシートSの坪量を判別することが可能となる。具体的には、坪量の大きいシートのときは受信される信号の電圧値が小さくなり、坪量の小さいシートのときには受信される信号の電圧値は大きくなる。
【0025】
本実施形態の画像形成装置では、判別したシートSの坪量に対応する出力に基づいて、画像形成部でシートSに画像形成を行う画像形成条件として、定着手段14での定着温度や搬送速度や、二次転写部15における転写バイアスや搬送速度、を変更するような制御を行っている。そして本実施形態では、シートSの坪量を超音波センサユニットで検出し、二次転写部15での転写バイアスや搬送速度を制御するために、シートSを搬送路合流部21よりも上流の位置で検知する。これは、搬送路合流部21から二次転写部15までのシートSの搬送距離が短いので、シートSの坪量の検知結果を二次転写部15での転写バイアスや搬送速度にフィードバックするための時間を稼げるようにするためである。
【0026】
次に、本実施形態の超音波センサユニットについて図3、図4を参照して説明する。図3は、超音波センサユニットの配置を示す概略断面図である。カセット給紙装置から給紙されたシート材を搬送路合流部21まで搬送するカセット搬送路30があり、カセット搬送ガイド33と内搬送ガイド32によって形成されている。また、マルチ給紙装置から給紙されたシート材を搬送路合流部21まで搬送するマルチ搬送路31があり、マルチ搬送ガイド35と内搬送ガイド32によって形成されている。
【0027】
2つの搬送路には、超音波が通過するための穴(32a、32b、33a、35a)が設けられ、穴33aに対向して発信器40、穴35aに対向して受信器41が設けられている。カセット搬送路30とマルチ搬送路31との間で、穴32a、bに対向する位置には超音波を反射する反射板50が配置されている。
【0028】
発信器40はカセット搬送路30を挟んで反射板50と対向する位置に配置され、受信器41はマルチ搬送路31を挟んで反射板50に対向する位置に配置されている。発信器40から発せられる超音波の中心軸X1がカセット搬送路30を搬送されるシートSの面に対して略直交するよう発信器が配置され、発信器40から発せられて反射板50で反射した超音波の中心軸X2がマルチ搬送路31を搬送されるシートSの面に対して略直交するように反射板50が配置されている。反射板50は、当てられる超音波42を空気と反射板の境界面で反射させるため、例えば鉄のような音響インピーダンスの高い材料で形成されている。
【0029】
次に、2つの搬送路を通過するシート材の種類の検知方法について説明する。図4(a)は、カセット搬送路30でシートSが搬送されている状態を示す図、(b)は、マルチ搬送路31でシートSが搬送されている状態を示す図である。
【0030】
シートSがカセット搬送路30で搬送されている場合は、図4(a)で示すように、発信器40から出力された超音波42は、カセット搬送ガイド33に空いている穴33aを通過して、カセット搬送路30を搬送中のシートSに対して直角に当たり振動させる。振動したシートSを介して出力される超音波42が内搬送ガイド32に空いている穴32aを通過して反射板50に届く。反射板50に届いた超音波42は、反射板50によって反射され、内搬送ガイドの穴32aとマルチ搬送ガイドの穴34aを通過して、超音波センサの受信器41に受信される。
【0031】
シートSがマルチ搬送路31で搬送されている場合は、図4(b)で示すように、発信器40から出力された超音波42は、カセット搬送ガイドの穴33aと内搬送ガイドの穴32aを通過して、反射板50に届く。反射板50に届いた超音波42は、反射板50によって反射され、内搬送ガイドの穴32aを通過して、マルチ搬送路31を搬送中のシートSに対して直角に当たり振動させる。振動したシートSを介して出力される超音波42が、マルチ搬送ガイドの穴34aを通過して、超音波センサの受信器41に受信される。
【0032】
受信器41は、受信した超音波42を圧電素子45により電圧に変換し、受信した電圧値の大きさによって、シート材Sの坪量を判別する。シート材Sの坪量が大きいと判断されたときには、二次転写手段15での印加バイアスを大きくしたり、定着手段14での定着温度を高くしたり、シート材の搬送速度を遅くして、転写不良や定着不良の発生を防ぐ。また、シート材の坪量が小さいと判断されると、二次転写手段15での印加バイアスを小さくしたり、定着温度を低くして、転写不良や定着不良の発生を防いだり、無駄なエネルギーの消費を抑えたりする。
【0033】
なお、超音波センサの発信器40と受信器41の位置関係を逆としてもよい。
【0034】
このように本実施形態では、反射板50を用いることにより、1組の発信器と受信器で2つの搬送路を搬送されるシートを検知することが可能となる。ここで、発信器及び受信器を1組に対して反射板である金属板1枚の方が比較的安価なであるため、発信器及び受信器を2組用いるよりもコストダウンが可能となる。また、2組の発信器及び受信器を配置する場合と比べ、1組の発信器及び受信器と反射板の方が必要な占有するスペースを小さくすることができ、装置を小型化することが可能となる。
【0035】
また、反射板を配置することで、いずれの搬送路を通過中のシートに対してもシート面に対して略直角に超音波を当てることが可能となる。つまり、発信器40から発せられる超音波の中心軸X1がカセット搬送路30を搬送されるシートSの面に対して略直角であり、発信器40から発せられて反射板50で反射した超音波の中心軸X2がマルチ搬送路31を搬送されるシートSの面に対して略直角である。
【0036】
このように超音波をシートSに対して略直角に当てると、シートSのバタつき(シートが搬送される角度の変化やシートの搬送面に直交する方向の位置の変化)が、受信器が受信する超音波に与える影響を小さくなる。つまり、シート材に対して超音波を直角に当てることで、シート材の位置や姿勢の変化に対して鈍感となり、シートのばたつきによる受信器の出力のばらつきを低減することができる。
【符号の説明】
【0037】
100 画像形成装置
8 カセット給紙ローラ
9 カセット分離パッド
14 定着部
15 二次転写部
17 レジストローラ
21 搬送路合流部
24 給紙カセット
27 マルチ給紙ローラ
28 マルチ給紙パッド
29 マルチ分離トレイ
30 カセット搬送路
31 マルチ搬送路
32 内搬送ガイド
33 カセット搬送ガイド
35 マルチ搬送ガイド
40 発信器
41 受信器
42 超音波
43 ガイド
44 センサ基板
45 圧電素子
46 金属板
47 コーン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成部へ搬送される記録材が通る第1搬送路及び第2搬送路と、
前記第1搬送路及び前記第2搬送路を搬送される記録材に向けて超音波を発信する発信手段と、
前記発信手段から発信され記録材を通過した超音波を受信し、受信された超音波に対応する信号を出力する一の受信手段と、
前記受信手段の出力する信号に基づいて記録材に画像を形成する画像形成条件を制御する画像形成装置であって、
前記第1搬送路と前記第2搬送路の間に配置された反射板を有し、
前記発信手段は前記第1搬送路を挟んで前記反射板に対向して配置された一の発信器であって、前記受信手段は前記第2搬送路を挟んで前記反射板に対向して配置された一の受信器であり、
前記発信器が発信した超音波は前記第1搬送路を通過して前記反射板で反射され、前記第2搬送路を通過して前記受信器へ到達することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記発信器から発信される超音波の中心軸は前記第1搬送路を搬送される記録材に対して略直交し、前記第1搬送路を通過して前記反射板で反射された超音波の中心軸は前記第2搬送路を搬送される記録材に対して略直交することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記反射板は金属板であることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−128119(P2012−128119A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−278557(P2010−278557)
【出願日】平成22年12月14日(2010.12.14)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】