説明

画像形成装置

【課題】 同一な不可視画像データに基づいて、不可視光の照射により認識可能な不可視画像を形成するうえ、可視光の照射により認識可能な提示画像も同一な媒体に形成可能な画像形成装置を提供する。
【解決手段】 本発明に係る画像形成装置は、本発明に係る画像形成装置は、ユーザ端末から、不可視光の照射により認識可能な不可視画像の形成に用いる不可視画像データを受け取る画像データ受取部と、不可視画像データに基づいて、媒体に、不可視画像を形成する不可視画像形成部と、不可視画像データに基づいて、媒体に、可視光の照射により認識可能な可視画像を提示画像として形成する可視画像形成部とを備え、可視画像形成部は、可視画像の形成に用いる可視用現像剤を収容するための可視用現像剤収容部を有し、媒体において、不可視画像が形成されている基本領域と、提示画像が形成されている提示領域とは異なっていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可視光の照射により認識可能な可視画像と、不可視光の照射により認識可能な不可視画像とを形成する画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
可視光の照射により認識可能な可視画像と、紫外線や赤外線などの不可視光の照射により認識可能な不可視画像との両方を形成することができる画像形成装置では、可視画像の形成に用いる可視用現像剤と、不可視画像の形成に用いる不可視用現像剤とがそれぞれ収容されている。
【0003】
このような画像形成装置、例えば、プリンターにおいて、ユーザによって入力された可視画像データと不可視画像データとを受信して、該両方の画像データを同一な媒体、例えば一枚の紙面に印刷する場合、可視画像データに対して可視用現像剤を用いて印刷を行い、不可視画像データに対して不可視用現像剤を用いて印刷を行う。そして、ユーザは、印刷された可視画像を認識するために可視光の照明の利用が必要であり、不可視画像を認識するために特定な不可視光の照明の利用が必要である。つまり、可視画像と不可視画像の見え方が異なっている。
【0004】
このような画像形成装置について、例えば、下記特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−63094号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、可視画像と不可視画像の見え方が異なっているので、同一な媒体に印刷されても、特定な不可視光の照明がない限り、ユーザにとって不可視画像の認識が不可能となってしまう。そのため、このような媒体が可視光のみに照射されている場合、媒体上の可視画像だけが視認可能であるから、不可視画像が存在してもユーザがそれを分からなく、結局、不可視画像が無視される恐れがあるという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、以上の点を解決するために、次の構成を採用する。
〈構成1〉
本発明は、画像形成装置を提供する。
本発明に係る画像形成装置は、ユーザ端末から、不可視光の照射により認識可能な不可視画像の形成に用いる不可視画像データを受け取る画像データ受取部と、前記不可視画像データに基づいて、媒体に、前記不可視画像を形成する不可視画像形成部と、前記不可視画像データに基づいて、前記媒体に、可視光の照射により認識可能な可視画像を提示画像として形成する可視画像形成部とを備え、前記可視画像形成部は、前記可視画像の形成に用いる可視用現像剤を収容するための可視用現像剤収容部を有し、前記媒体において、前記不可視画像が形成されている基本領域と、前記提示画像が形成されている提示領域とは異なっていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る画像形成装置では、不可視画像データに基づいて、不可視光の照射により認識可能な不可視画像を媒体に形成するうえ、可視光の照射により認識可能な可視画像も提示画像として同一な媒体に形成する。
従って、本発明に係る画像形成装置によれば、不可視画像に含まれている内容が提示画像にも含まれているので、特定な不可視光の照明が無い環境においても、提示画像を介して、ユーザは不可視画像の存在及びその内容を確認することができる。その結果、不可視画像が無視されることを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明に係る画像形成装置の実施例1における構成を示すブロック図である。
【図2】本発明に係る画像形成装置の実施例1におけるハードウエア構成を示すブロック図である。
【図3】本発明に係る画像形成装置の実施例1における動作を示すフローチャートである。
【図4】本発明に係る画像形成装置の実施例1における画像データの内容を示す説明図である。
【図5】本発明に係る画像形成装置の実施例1における提示画像選択画面を示す説明図である。
【図6】本発明に係る画像形成装置の実施例1におけるレイアウト設定画面を示す説明図である。
【図7】本発明に係る画像形成装置の実施例1におけるレイアウト601の印刷結果を示す説明図である。
【図8】本発明に係る画像形成装置の実施例1におけるレイアウト602の印刷結果を示す説明図である。
【図9】本発明に係る画像形成装置の実施例1におけるレイアウト603の印刷結果を示す説明図である。
【図10】本発明に係る画像形成装置の実施例1におけるレイアウト604の印刷結果を示す説明図である。
【図11】本発明に係る画像形成装置の実施例2における構成を示すブロック図である
【図12】本発明に係る画像形成装置の実施例2における動作を示すフローチャートである
【図13】本発明に係る画像形成装置の実施例2における比率変化印刷選択画面を示す説明図である
【図14】本発明に係る画像形成装置の実施例2におけるレイアウト設定画面を示す説明図である
【図15】本発明に係る画像形成装置の実施例2における提示領域の内容を示す説明図である
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図を用いる実施形態で、本発明に係る画像形成システムを詳細に説明する。
【実施例1】
【0011】
〈実施例1の構成〉
図1は、本発明に係る画像形成装置の実施例1における構成を示すブロック図である。
本発明の実施例1であるプリンター100は、図1に示されているように、画像データ受取部101、提示画像データ合成部102、印刷データ作成部103、印刷部104及びレイアウト設定部107を含む。
【0012】
画像データ受取部101は、外部装置であるPC109と通信可能に接続され、ユーザがPC109にて入力した画像データを受け取る機能を有する。受け取った画像データは、赤外線や紫外線などの不可視光の照射により認識可能な不可視画像の形成に用いる不可視画像データと、可視光の照射により認識可能な基本可視画像の形成に用いる可視画像データとの二つを含む。以下、可視画像データと不可視画像データとをまとめて基本画像データとする。
提示画像データ合成部102は、画像データ受取部101が受け取った基本画像データを、可視光の照射により認識可能な提示画像の形成に用いる提示画像データに合成する機能を有する。
【0013】
レイアウト設定部107は、表示入力部108を含み、提示画像を印刷するか否かをユーザに選択させ、また、基本可視画像、不可視画像及び提示画像のレイアウト情報、例えば、各画像の印刷位置、サイズ及び縦横向きなどをユーザに入力させる機能を有する。本実施例において、媒体は紙面であり、この紙面において、基本可視画像と不可視画像が形成されている領域が基本領域とし、提示画像が形成されている領域が提示領域とする。
印刷データ作成部103は、レイアウト設定部107にて入力されたレイアウト情報に基づいて、基本画像データ及び提示画像データに対し、回転或いは縮小などのレイアウト処理を行い、そして、プリント可能な不可視印刷データ、可視印刷データ及び提示印刷データをそれぞれ作成して印刷部104に送る機能を有する。
【0014】
印刷部104は、可視印刷部104aと不可視印刷部104bとからなり、紙面に画像を形成する機能を有する。
可視印刷部104aには、可視用現像剤収容部105が設けられ、可視印刷部104aは、可視画像データと提示画像データとに基づいて、可視用現像剤収容部105に収容されている可視用現像剤を用いて、紙面に基本可視画像と提示画像とをそれぞれ印刷する機能を有する。可視用現象剤はシアン、マゼンダ、イエロー、ブラックの色を持つ。
不可視印刷部104bには、不可視用現像剤収容部106が設けられ、不可視印刷部104bは、不可視画像データに基づいて、不可視用現像剤収容部106に収容されている不可視用現像剤を用いて、紙面に不可視画像を印刷する機能を有する。不可視用現象剤はレッド、グリーン、ブルーの色を持つ。
【0015】
図2は、本発明に係る画像形成装置の実施例1におけるハードウエア構成を示すブロック図である。
プリンター100は、図2に示されているように、コントローラ110と、プリンタエンジン119と、オペレーションパネル118とを含んでいる。
【0016】
コントローラ110は、画像データを含む印刷指示を外部装置であるPC109から受信し、そして、この画像データに基づいて印刷データを形成する作業を制御する制御部である。コントローラ110には、プリンタバス111が設けられ、このプリンタバス111に、CPU112、RAM113、プログラムRAM114、エンジンI/F115、パネルI/F116及びホストI/F117が接続されている。
CPU112は、プログラムROM114に格納されている制御プログラムを読み出して、RAM113に一時的に記憶させ、そして、読み出されたプログラムを実行することによりプリンター100を制御する。
【0017】
また、オペレーションパネル118とプリンタエンジン119とは、それぞれに対応するI/Fを介して、プリンタバス111に接続されている。オペレーションパネル118は、図1における表示入力部108に対応して、ユーザに各設定を入力させる機能を有し、プリンタエンジン119は、図1における印刷部104に対応して、コントローラ110の制御の下に形成された印刷データを印刷する機能を有する。
更に、ホストI/F117は、図1における画像データ受取部101に対応している。
【0018】
本実施例において、画像形成装置としてプリンターの例を上げるが、FAX機やコピー機やMFPなども画像形成装置として適用可能である。
【0019】
〈実施例1の動作〉
次に、本発明に係るプリンター100の動作を、フローチャートに沿って説明する。
図3は、本発明に係る画像形成装置の実施例1における動作を示すフローチャートである。プリンター100が起動された後、CPU112は、プログラムROM114に格納されている制御プログラムを読み出して、RAM113に一時的に記憶させ、そして、読み出されたプログラムを実行することにより、以下の各ステップを実施する。
【0020】
(ステップ1)
画像データ受取部101は、外部装置であるPC109から、赤外線や紫外線などの不可視光の照射により認識可能な不可視画像の形成に用いる不可視画像データと、可視光の照射により認識可能な基本可視画像の形成に用いる可視画像データとを受信する。
【0021】
図4は、本発明に係る画像形成装置の実施例1における画像データを示す説明図である。
(A)の塔は可視画像データの内容であり、(B)の飛行機は紫外線の照射により認識可能な不可視画像の形成に用いる不可視画像データの内容である。(C)が(A)と(B)とを重ね合わせて印刷した印刷物の内容であるが、ユーザは、実際に紙面を見た時、可視光のみの環境下では、飛行機を肉眼で捉えることができない。
本実施例において、不可視画像データ及び可視画像データの色空間はどちらもRGB色空間であり、それぞれの画像データを色変換するためのカラープロファイルが付属されている。カラープロファイルは、画像データの色空間から非デバイス色空間へカラー変換するための情報が記述されている電子ファイルである。ただし、ここの不可視画像データ及び可視画像データの色空間は、後段の印刷データ作成ステップにてカラープロファイルを用いてプリンタ色空間へ変換されるので、他の色空間、例えばCMYK、YCbCr、Labなどであっても良い。
【0022】
(ステップ2)
レイアウト設定部107は、提示画像を印刷するか否かをユーザに選択させるための提示画像選択画面を表示入力部108(即ち、オペレーションパネル118)に表示させ、提示画像を印刷するか否かをユーザに選択させる。
【0023】
図5は、本発明に係る画像形成装置の実施例1における提示画像選択画面を示す説明図である。
オペレーションパネル118には、図5に示されているように、表示エリア500と、選択ボタン501と、決定ボタン502と、キャンセルボタン503とが設けられている。
表示エリア500に、「提示画像を印刷するか?印刷する場合は決定ボタン、印刷しない場合はキャンセルボタンを押下てください」というメッセージが表示され、ユーザは、このメッセージに従って操作する。
【0024】
(ステップ3)
レイアウト設定部107は、ユーザの入力に基づいて提示画像を印刷するか否かを判定する。
(ステップ4)
提示画像を印刷しないと判定した場合、レイアウト設定部107は、予め記憶されているデフォルトレイアウト情報を印刷データ作成部103に渡し、そして、印刷データ作成部103は、フォルトレイアウト情報に基づいて、画像データ受取部101から受け取った可視画像データと不可視画像データを、不可視印刷データと可視印刷データにそれぞれ変換する。
デフォルトレイアウト情報は、可視画像データ及び不可視画像データを特にレイアウト変更せず、そのままのレイアウトで印刷するための情報である。
(ステップ5)
印刷部104において、可視印刷部104aは、可視用現像剤収容部105に収容されている可視用現像剤を用いて、紙面に基本可視画像を印刷し、また、不可視印刷部104bは、不可視用現像剤収容部106に収容されている不可視用現像剤を用いて、紙面に不可視画像を印刷し、それで作業を終了する。
【0025】
(ステップ6)
また、ステップ3において、提示画像を印刷すると判定した場合、レイアウト設定部107は、提示画像を印刷するためのレイアウト情報をユーザに入力させるためのレイアウト設定画面をオペレーションパネル118に表示させ、ユーザに、予め記憶されているレイアウトから所望のレイアウトを選択させ、選択されたレイアウトに基づいて、不可視画像、基本可視画像及び提示画像の回転角度Rや縮小率Zなどのレイアウト情報をそれぞれ設定する。
【0026】
図6は、本発明に係る画像形成装置の実施例1におけるレイアウト設定画面を示す説明図である。
表示エリア500には、図6に示されているように、予め記憶されている四種類のレイアウト、即ち、レイアウト601、602、603、604が表示され、各レイアウトでは、提示画像が印刷されている提示領域が黒い点で表し、提示領域以外は基本不可視画像と可視画像が印刷されている基本領域である。
【0027】
図7、8、9、10は、レイアウト601、602、603、604に対応する印刷結果をそれぞれ示す説明図である。
レイアウト601では、図7に示されているように、提示画像703が印刷されている提示領域601bは、不可視画像701と基本可視画像702とが印刷されている基本領域601aと左右に並んで、同じ大きさで紙面の表面に配置されている。
【0028】
レイアウト602では、図8に示されているように、不可視画像801と基本可視画像802とが印刷されている基本領域602aが紙面の表面に配置され、提示画像803が印刷されている提示領域602bが紙面の裏面の隅に横向きに配置され、紙面の右下隅角を斜めに折れば、不可視画像801、基本可視画像802及び提示画像803が同時に正立して視認できる。
【0029】
レイアウト603では、図9に示されているように、不可視画像901と基本可視画像902とが印刷されている基本領域603aが紙面の表面のほとんどを占め、提示画像903が印刷されている提示領域603bが紙面の表面の隅に配置されている。
【0030】
レイアウト604では、図10に示されているように、提示画像1003が印刷されている提示領域604bが紙面の表面のほとんどを占め、基本領域が存在しない。つまり、紙面に、提示画像1003だけが印刷されることとする。
【0031】
例えば、レイアウト601が選択される場合、基本画像の回転角度R=90°、縮小率Z=29%、提示画像の回転角度R=90°、縮小率Z=29%、レイアウト602が選択された場合、基本画像の回転角度R=0°、縮小率Z=0%、提示画像の回転角度R=90°、縮小率Z=75%、レイアウト603が選択された場合、基本画像の回転角度R=0°、縮小率Z=0%、提示画像の回転角度R=0°、縮小率Z=75%、レイアウト604が選択された場合、基本画像が印刷されず、提示画像の回転角度R=0°、縮小率Z=0%。
【0032】
(ステップ7)
ユーザによりレイアウト情報が入力されたと、提示画像データ合成部102は、不可視画像データと可視画像データとを提示画像データに合成し、合成された提示画像データに、作業用色空間のカラープロファイルを付属させる。
本実施例では、提示画像データの合成に用いる作業用色空間はRGBであり、且つ、不可視画像データ及び可視画像データの色空間はどちらもRGB色空間であるので、不可視画像データと可視画像データとをそのまま重ね合わせれば、提示画像データを作成できる。
また、各画像データの作業用色空間が異なる場合、それぞれの色空間をカラープロファイルを用いて、提示画像データの作業用色空間へカラー変換してから、提示画像データをを作成する。ここでのカラー変換は、公知のカラーマネージメントシステムにより行われる。
【0033】
画像データの重ね合わせ処理について、二つの画像データの縦サイズ、横サイズがそれぞれ等しい場合、そのまま重ね合わせれば良い。例えば、可視画像データをベースにして、透明色を持つ不可視画像データを上から重ねあわせる場合、不可視画像データにおいて透明色である画素は、合成された提示画像データでは可視画像データのカラー値とし、不可視画像データにおいて透明色ではない画素は、合成された提示画像データでは不可視画像データのカラー値とする。
二つの画像データの縦サイズ、横サイズが異なっている場合は、縦横それぞれの方向に対して中央に寄せて重ね合わせても良いし、左寄せ、右寄せ、上寄せ、或いは下寄せで重ね合わせても良い。
【0034】
(ステップ8)
印刷データ作成部103は、画像データ受取部101から基本画像データを受け取り、提示画像データ合成部102から提示画像データを受け取り、レイアウト設定部107からレイアウト情報を受け取り、そして、レイアウト情報に基づいて、基本画像データと提示画像データとに対して、回転或いは縮小などのレイアウト処理を行う。
【0035】
本実施例では、回転角度は0°或いは90°のみであるので、各画像データの回転処理は、データの並び順を変えることにより実現できる。また、縮小処理は、1次線形補間などの公知のアルゴリズムにより行う。縮小前の画像データの幅をWとし、縮小後の画像データの幅をW’とし、縮小率をZとすると、W’=W×(100−Z)/100となっている。
【0036】
(ステップ9)
印刷データ作成部103は、レイアウト処理された基本画像データ及び提示画像データに基づいて、プリンタエンジン119により印刷可能な不可視印刷データ、可視印刷データ及び提示印刷データを作成して、印刷部104に送る。
本実施例では、不可視画像データの色空間を、不可視用現像剤の色空間、例えばレッド、グリーン、ブルーのRGB色空間にカラー変換することによって、不可視印刷データを作成し、また、可視画像データ及び提示画像データの色空間を、可視用現像剤の色空間、例えば、シアン、マゼンダ、イエロー、ブラックのCMYK色空間にカラー変換することによって、可視印刷データと提示印刷データを作成する。
カラー変換は、公知のカラーマネージメントシステムにより行われる。各画像データには、非デバイス色空間からプリンタ色空間へカラー変換するための情報が記述されている電子ファイル、即ち、カラープロファイルが付属されていて、印刷部104にもカラープロファイルが予め保持されている。
【0037】
ステップ6において、レイアウト601が選択された場合、印刷データ作成部103は基本画像データを回転及び縮小してから左側にレイアウトし、そして、提示画像データを回転及び縮小してから紙面の右側にレイアウトする。その後、可視画像データと提示画像データとをCMYK色空間にカラー変換し、不可視画像デーをRGB色空間にカラー変換し、各印刷データを作成する。
【0038】
ステップ6において、レイアウト602が選択された場合、印刷データ作成部103は基本画像データそのまま紙面の表面にレイアウトし、そして、提示画像データを回転及び縮小してから、紙面の裏面の右上隅にレイアウトする。つまり、提示画像データは、紙面の短辺方向を基準にすると、天地に返した状態になっている。その後、可視画像データと提示画像データとをCMYK色空間にカラー変換し、不可視画像デーをRGB色空間にカラー変換する。
【0039】
ステップ6において、レイアウト603が選択された場合、印刷データ作成部103は基本画像データそのまま紙面の表面にレイアウトし、そして、提示画像データを縮小してから、紙面の表面の右下隅にレイアウトする。その後、可視画像データと提示画像データとをCMYK色空間にカラー変換し、不可視画像デーをRGB色空間にカラー変換する。
【0040】
ステップ6において、レイアウト604が選択された場合、印刷データ作成部103は基本画像データを破棄し、提示画像データだけをそのまま紙面の表面にレイアウトし、そして、この提示画像データをCMYK色空間にカラー変換する。
【0041】
(ステップ10)
印刷部104は、ステップ9にて作成された不可視印刷データ、可視印刷データ及び提示印刷データに基づいて、紙面に不可視画像、基本可視画像及び提示画像を印刷し、作業を終了する。
本実施例にでは、印刷部104は可視印刷部104aと不可視印刷部104bとの両方を含み、可視印刷部104aは、可視用現像剤を用いて、基本可視画像と提示画像とを印刷し、不可視印刷部104bは、不可視用現像剤を用いて、不可視画像を印刷する。
また、印刷部は、可視印刷部104aのみが設けられているように構成しても良い。この場合、可視画像だけが印刷できるので、レイアウト604だけが選択できる。
【0042】
〈実施例1の効果〉
本発明に係る実施例1では、不可視画像データに基づいて、不可視光の照射により認識可能な不可視画像を媒体に形成するうえ、可視光の照射により認識可能な可視画像も提示画像として同一な媒体に形成する。
従って、本発明に係る実施例1によれば、不可視画像に含まれている内容が提示画像にも含まれているので、特定な不可視光の照明が無い環境においても、提示画像を介して、ユーザは不可視画像の存在及びその内容を確認することができる。その結果、不可視画像が無視されることを防ぐことができる。
また、形成された提示画像には、不可視画像の内容だけではなく、基本可視画像の内容も含まれているので、ユーザは、提示画像を介して、基本領域上の不可視画像と基本可視画像との相対な位置関係をわかることもできる。
【実施例2】
【0043】
次に、実施例2について説明する。
尚、実施例1におけると同様な構成について、同一の符号を与え、そして、同様な説明を省略する。
〈実施例2の構成〉
図11は、本発明に係る画像形成装置の実施例2における構成を示すブロック図である。
本発明の実施例2であるプリンター200は、図11に示されているように、実施例1と同じ、画像データ受取部101、提示画像データ合成部202、印刷データ作成部103、印刷部104及びレイアウト設定部107を含む。
【0044】
ただし、提示画像データ合成部202には、比率設定調整部220が設けられ、この比率設定調整部220は、予め設定されている不可視光と可視光の照射比率に基づいて、可視画像データ及び不可視画像データの明るさをそれぞれ調整する機能を有する。提示画像データ合成部202は、調整された可視画像データ及び不可視画像データを提示画像データに合成する。
【0045】
また、不可視光と可視光の照射比率は複数であっても良い。つまり、提示画像データ合成部202により合成された提示画像データは複数であり、この複数の提示画像データが全部媒体に印刷されても良い。本実施例では、不可視光100%(可視光0%)、不可視光75%(可視光25%)、不可視光50%(可視光50%)、不可視光25%(可視光75%)この四つの照射比率が予め設定され、対応する提示画像が四枚印刷される。
【0046】
〈実施例2の動作〉
次に、本発明に係るプリンター200の動作を、フローチャートに沿って説明する。
図12は、本発明に係る画像形成装置の実施例2における動作を示すフローチャートである。
図12に示されているように、本実施例のフローチャートにおいて、ステップ1〜10は実施例1と同じである。
【0047】
(ステップ11)
ステップ3において、提示画像を印刷すると判定した場合、レイアウト設定部107は、提示画像を照射比率に基いて印刷するか否かをユーザに選択させるための比率変化印刷選択画面をオペレーションパネル118に表示させ、ユーザに選択させる。そして、ユーザによって比率変化印刷が選択されない場合、実施例1のステップ6を実行し、普通の提示画面を印刷する。
【0048】
図13は、本発明に係る画像形成装置の実施例1における比率変化印刷選択画面を示す説明図である。
表示エリア500には、図13に示されているように、「可視・不可視の比率変化印刷を行いますか?行う場合は決定ボタン、行わない場合はキャンセルボタンを押下てください」というメッセージが表示され、ユーザは、このメッセージに従って操作する。
【0049】
(ステップ12)
ユーザによって比率変化印刷が選択された場合、レイアウト設定部107はレイアウト設定画面をオペレーションパネル118に表示させ、ユーザに、予め記憶されているレイアウトから所望のレイアウトを選択させ、選択されたレイアウトに基づいて、不可視画像、基本可視画像及び各照射比率に対応する複数の提示画像のレイアウト情報をそれぞれ設定する。
【0050】
図14は、本発明に係る画像形成装置の実施例2におけるレイアウト設定画面を示す説明図である。
図14に示されているように、実施例における普通の提示画像のレイアウトと違って、比率変化印刷において、選択可能なレイアウトはレイアウト1301とレイアウト1302この二種類しかない。
レイアウト1301では、基本領域が紙面の表面に、提示画面が紙面の裏面に配置されている。また、レイアウト1302では、基本領域がなく、即ち、基本画像データが破棄され、提示画面だけが紙面の表面に配置されている。
【0051】
図15は本発明に係る画像形成装置の実施例2における提示領域の内容を示す説明図である。
本実施例において、図15に示されているように、提示領域が四つの部分に分割され、そして、四枚の提示画像がこの四つの部分にそれぞれ印刷されているが、提示画像の数は4でなくても良い。提示画像の数は4ではない場合、領域を分割する時、適する回転角度と縮小率を設定する。
ユーザは選択ボタン501及び決定ボタン502を用いて、所望のレイアウトを選択したと、レイアウト設定部107は、選択されたレイアウトに基づいて、基本画像の回転角度Rと縮小率Z、及び各提示画像の回転角度Rと縮小率Zを決定する。
例えば、レイアウト1301が選択される場合、R=0°、縮小率Z=0%、R=0°、縮小率Z=55%。レイアウト1302が選択された場合、R=0°、縮小率Z=0%、R=0°、縮小率Z=55%。
【0052】
(ステップ13)
ユーザによりレイアウト情報が入力されたと、比率設定調整部220は、予め設定されている照射比率に基づいて、可視画像データ及び不可視画像データの明るさをそれぞれ調整する。
【0053】
可視光の比率をP、不可視光の比率をPとし、P+P=100[%]とする。レイアウト1301が選択された場合、PとPの組合せは、(P、P)=(75、25)、(50、50)、(25、75)、(0、100)この4つである。また、レイアウト1302が選択された場合、PとPの組合せは、(P、P)=(75、25)、(50、50)、(25、75)、(0、100)この4つである。提示画像の数は4ではない場合、適するPとPの組合せを設定する。
【0054】
比率設定調整部220は、まず、不可視画像データと可視画像データとの色空間を提示画像データの合成に用いる作業用色空間、本実施例ではRGB色空間、へカラー変換する。カラー変換は実施例1と同じ、公知のカラーマネージメントシステムにより行われる。
その後、照射比率(P、P)に基づいて、可視画像データとの不可視画像データの明るさ調整を行う。明るさ調整は、R値、G値、B値に対しそれぞれ独立に行われる。明るさ調整前のRGB値をXとし、明るさ調整後のRGB値をYとし、RGB値の最大値をZとする。
可視画像データの明るさ調整は次式で行う:
Y=X・P/100
不可視画像データの明るさ調整は次式で行う:
Y=X・P/100+Z・P/100
【0055】
(ステップ14)
明るさ調整が完了した後、提示画像データ合成部202は、調整済みの複数組の不可視画像データと可視画像データを、複数の提示画像データにそれぞれ合成する。合成する方法は、実施例1のステップ7と同じである。
【0056】
(ステップ15)
印刷データ作成部103は、画像データ受取部101から基本画像データを受け取り、提示画像データ合成部102から各提示画像データを受け取り、レイアウト設定部107からレイアウト情報を受け取り、そして、レイアウト情報に基づいて、基本画像データ及び提示画像データとに対して、回転或いは縮小などのレイアウト処理を行う。
本実施例において、レイアウト1301が選択された場合、基本画像データに対してレイアウト処理を行う必要がなく、提示画像データだけに対して、回転及び縮小の処理を行う。また、レイアウト1302が選択された場合、基本画像データが破棄され、提示画像データに対して、回転及び縮小の処理を行う。
【0057】
(ステップ16)
印刷データ作成部103は、レイアウト処理された基本画像データ及び提示画像データに基づいて、プリンタエンジン119により印刷可能な不可視印刷データ、可視印刷データ及び複数の提示印刷データを作成して、印刷部104に送る。印刷データの作成方法は実施例1のステップ9と同じである。
【0058】
(ステップ17)
印刷部104は、ステップ16にて作成された不可視印刷データ、可視印刷データ及び提示印刷データに基づいて、紙面に不可視画像、基本可視画像及び提示画像を印刷し、作業を終了する。
【0059】
〈実施例2の効果〉
本発明に係る実施例2では、不可視光と可視光との照射比率が異なる複数の環境におかれる時、ユーザがそれぞれ視認できる不可視画像の内容が、複数の提示画像にそれぞれ含まれている。
従って、本発明に係る実施例2によれば、ユーザは複数の提示画像を介して、可視光のみの環境に、他の各環境下の不可視画像のおおよその見え方をわかることができる。
【符号の説明】
【0060】
100 200 プリンター
101 画像データ受取部
102 202 提示画像データ合成部
103 印刷データ作成部
104 印刷部
104a 可視印刷部
104b 不可視印刷部
105 可視用現像剤収容部
106 不可視用現像剤収容部
107 レイアウト設定部
108 表示入力部
109 PC
110 コントローラ
111 プリンタバス
112 CPU
113 RAM
114 プログラムRAM
115 エンジンI/F
116 パネルI/F
117 ホストI/F
118 オペレーションパネル
119 プリンタエンジン
220 比率設定調整部
500 表示エリア
501 選択ボタン
502 決定ボタン
503 キャンセルボタン
601 602 603 604 レイアウト
601a 602a 603a 604a 基本領域
601b 602b 603b 604b 提示領域
701 801 901 不可視画像
702 802 902 基本可視画像
703 803 903 1003 提示画像

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザ端末から、不可視光の照射により認識可能な不可視画像の形成に用いる不可視画像データを受け取る画像データ受取部と、
前記不可視画像データに基づいて、媒体に、前記不可視画像を形成する不可視画像形成部と、
前記不可視画像データに基づいて、前記媒体に、可視光の照射により認識可能な可視画像を提示画像として形成する可視画像形成部とを備え、
前記可視画像形成部は、前記可視画像の形成に用いる可視用現像剤を収容するための可視用現像剤収容部を有し、
前記媒体において、前記不可視画像が形成されている基本領域と、前記提示画像が形成されている提示領域とは異なっていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記画像データ受取部は、前記可視画像の形成に用いる可視画像データを更に受け取り、
前記可視画像形成部は、前記可視画像データに基づいて、前記基本領域に、前記可視画像を基本可視画像として更に形成することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記可視画像データと前記不可視画像データとを、提示画像データに合成する提示画像データ合成部を更に備え、
前記可視画像形成部は、前記提示画像データに基づいて、前記提示画像を形成することを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記提示画像データ合成部は、前記提示画像データを合成する前に、所定の不可視光と可視光の照射比率に基づいて、前記可視画像データ及び前記不可視画像データの明るさをそれぞれ調整することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記基本領域と前記提示領域とは、前記媒体の同一な表面に並べていることを特徴とする請求項1−4の何れか一項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記基本領域と前記提示領域とは、前記媒体の異なる表面にあることを特徴とする請求項1−4の何れか一項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記基本領域は、前記提示領域より大きいことを特徴とする請求項1−6の何れか一項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記基本領域と前記提示領域との縦横向きが異なっていることを特徴とする請求項1−7の何れか一項に記載の画像形成装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate


【公開番号】特開2012−152999(P2012−152999A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−13871(P2011−13871)
【出願日】平成23年1月26日(2011.1.26)
【出願人】(591044164)株式会社沖データ (2,444)
【Fターム(参考)】