説明

画像形成装置

【課題】 複数の種類のイベントが発生した場合に、発生した全てのイベントの種類に応じた適切な順番で複数の機能を起動することができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】 MFP20は、複数の機能のそれぞれに対して起動の順番の優先度が対応付けられた情報である機能別優先度情報をイベントの種類毎に記憶する不揮発性記憶装置47と、イベントが発生した場合に、発生したイベントの種類に応じた機能別優先度情報の優先度に基づいて順番を決定する順番決定手段31と、順番決定手段31によって決定された順番で複数の機能を起動する機能起動手段32とを備えており、順番決定手段31は、複数の種類のイベントが発生した場合に、発生した全てのイベントの種類に応じた機能別優先度情報の優先度を機能毎に合計し、合計した優先度に基づいて順番を決定することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イベントが発生したときに複数の機能を起動する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、イベントが発生したときに複数の機能を起動する画像形成装置として、省エネ状態から通常状態に復帰するときに、復帰の原因となった利用者の操作の内容に応じて複数の機能の起動の順番を変更するものが知られている(例えば、特許文献1、2参照。)。つまり、従来の画像形成装置は、復帰の原因となった利用者の操作の内容に応じて、優先的に起動されることを利用者が希望する機能を優先的に起動することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−52784号公報
【特許文献2】特開2007−194876号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の画像形成装置は、利用者の操作の内容、すなわち、発生したイベントの種類に応じて複数の機能の起動の順番を変更することができるが、複数の種類のイベントが発生したときに、発生した全てのイベントの種類に応じた適切な順番で複数の機能を起動することができないという問題がある。
【0005】
そこで、本発明は、複数の種類のイベントが発生した場合に、発生した全てのイベントの種類に応じた適切な順番で複数の機能を起動することができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の画像形成装置は、イベントが発生したときに複数の機能を起動する画像形成装置であって、前記複数の機能のそれぞれに対して起動の順番の優先度が対応付けられた情報である機能別優先度情報を前記イベントの種類毎に記憶する機能別優先度記憶部と、前記イベントが発生した場合に、発生した前記イベントの種類に応じた前記機能別優先度情報の前記優先度に基づいて前記順番を決定する順番決定手段と、前記順番決定手段によって決定された前記順番で前記複数の機能を起動する機能起動手段とを備えており、前記順番決定手段は、複数の種類の前記イベントが発生した場合に、発生した全ての前記イベントの種類に応じた前記機能別優先度情報の前記優先度を前記機能毎に合計し、合計した前記優先度に基づいて前記順番を決定することを特徴とする。
【0007】
この構成により、本発明の画像形成装置は、複数の種類のイベントが発生した場合に、発生した全てのイベントの種類に応じた機能別優先度情報の優先度を機能毎に合計し、合計した優先度に基づいて複数の機能の起動の順番を決定する。したがって、本発明の画像形成装置は、複数の種類のイベントが発生した場合に、発生した全てのイベントの種類に応じた適切な順番で複数の機能を起動することができる。
【0008】
また、本発明の画像形成装置の前記順番決定手段は、前記機能起動手段が1つ以上の前記機能の起動を開始した後に前記イベントが新たに発生した場合に、既に発生した全ての前記イベントの種類に応じた前記機能別優先度情報の前記優先度を前記機能毎に合計し、合計した前記優先度に基づいて前記順番を新たに決定し、前記機能起動手段は、前記順番決定手段が前記順番を新たに決定した場合に、前記順番決定手段によって新たに決定された前記順番で前記複数の機能を起動しても良い。
【0009】
この構成により、本発明の画像形成装置は、複数の機能のうち一部の機能の起動を開始した後であっても、複数の機能の起動の順番を適切な順番に変更することができる。
【0010】
また、本発明の画像形成装置は、通常状態と、前記通常状態よりエネルギーの消費が少ない省エネ状態との少なくとも2つの状態を有しており、前記省エネ状態である場合に前記イベントが発生したときに前記複数の機能を起動することによって前記通常状態に復帰する装置であっても良い。
【0011】
この構成により、本発明の画像形成装置は、省エネ状態から通常状態に復帰する場合に、優先的に起動されることを利用者が希望する機能を優先的に起動することができる。
【0012】
また、本発明の画像形成装置用プログラムは、複数の機能のそれぞれに対して起動の順番の優先度が対応付けられた情報である機能別優先度情報をイベントの種類毎に記憶する機能別優先度記憶部を備えており、前記イベントが発生したときに前記複数の機能を起動する画像形成装置を、前記イベントが発生した場合に、発生した前記イベントの種類に応じた前記機能別優先度情報の前記優先度に基づいて前記順番を決定する順番決定手段、および、前記順番決定手段によって決定された前記順番で前記複数の機能を起動する機能起動手段として機能させ、前記順番決定手段は、複数の種類の前記イベントが発生した場合に、発生した全ての前記イベントの種類に応じた前記機能別優先度情報の前記優先度を前記機能毎に合計し、合計した前記優先度に基づいて前記順番を決定することを特徴とする。
【0013】
この構成により、本発明の画像形成装置用プログラムを実行する画像形成装置は、複数の種類のイベントが発生した場合に、発生した全てのイベントの種類に応じた機能別優先度情報の優先度を機能毎に合計し、合計した優先度に基づいて複数の機能の起動の順番を決定する。したがって、本発明の画像形成装置用プログラムを実行する画像形成装置は、複数の種類のイベントが発生した場合に、発生した全てのイベントの種類に応じた適切な順番で複数の機能を起動することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の画像形成装置は、複数の種類のイベントが発生した場合に、発生した全てのイベントの種類に応じた適切な順番で複数の機能を起動することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施の形態に係る画像形成システムのブロック図である。
【図2】図1に示すMFPのブロック図である。
【図3】図2に示す不揮発性記憶装置に記憶されている機能別優先度情報を示す図である。
【図4】図2に示すコントローラーの複数の機能を示す図である。
【図5】省エネ状態である場合にイベントが発生したときの図1に示すMFPの動作のフローチャートである。
【図6】省エネ状態である場合に「USBからデータを受信した」というイベントが発生したときの、図4に示す複数の機能の起動の順番を示す図である。
【図7】省エネ状態である場合に「USBからデータを受信した」および「パネルに操作があった」という複数のイベントが発生したときの、図4に示す複数の機能の起動の順番を示す図である。
【図8】省エネ状態である場合に「USBからデータを受信した」というイベントが発生し、USBデバイスドライバの機能の起動を開始した後に「パネルに操作があった」というイベントが新たに発生したときの、図4に示す複数の機能の起動の順番を示す図である。
【図9】電源が切断されている場合に「電源が投入された」というイベントが発生したときの、図4に示す複数の機能の起動の順番を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施の形態について、図面を用いて説明する。
【0017】
まず、本実施の形態に係る画像形成システムの構成について説明する。
【0018】
図1は、本実施の形態に係る画像形成システム10のブロック図である。
【0019】
図1に示すように、画像形成システム10は、本発明の画像形成装置としてのMFP(Multifunction Peripheral)20と、MFP20の外部の装置であるホストPC(Personal Computer)80およびホストPC90とを備えている。MFP20およびホストPC80は、USB(Universal Serial Bus)ケーブル11経由で互いに接続されることが可能である。MFP20およびホストPC90は、LAN(Local Area Network)12経由で互いに接続されることが可能である。
【0020】
図2は、MFP20のブロック図である。
【0021】
図2に示すMFP20は、通常状態と、通常状態よりエネルギーの消費が少ない省エネ状態との少なくとも2つの状態を有している。
【0022】
MFP20は、MFP20を制御するコントローラー30と、コントローラー30に接続されていて種々の情報を表示するディスプレイ41と、コントローラー30に接続されていて利用者によって種々の操作が入力される操作部42と、コントローラー30に接続されていて用紙などの記録媒体に印刷を実行するプリンター43と、コントローラー30に接続されていて原稿を読み込んで画像データを生成する読込デバイスであるスキャナー44と、コントローラー30に接続されていてホストPC80とUSBケーブル11経由で通信を行うUSBインターフェイス45と、コントローラー30に接続されていてホストPC90とLAN12経由でネットワーク通信を行うネットワークインターフェイス46と、コントローラー30に接続されているEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)などの不揮発性記憶装置47とを備えている。
【0023】
コントローラー30は、CPU(Central Processing Unit)と、本発明の画像形成プログラムを含むプログラムおよび各種のデータを予め記憶しているROM(Read Only Memory)と、CPUの作業領域として用いられる書き換え可能な揮発性の記憶装置であるRAM(Random Access Memory)とを備えている。CPUは、ROMに記憶されているプログラムを実行することによって制御部を動作させる演算処理装置である。RAMは、CPUによってプログラムが実行されるときにプログラムや各種のデータを一時的に記憶するようになっている。
【0024】
ディスプレイ41は、例えばLCD(Liquid Crystal Display)などの表示デバイスである。
【0025】
操作部42は、ディスプレイ41とともにタッチパネルを形成するボタンなどの入力デバイスである。
【0026】
プリンター43は、例えば、スキャナー44によって生成された画像データや、ホストPC80からUSBインターフェイス45を介して受信された印刷データや、ホストPC90からネットワークインターフェイス46を介して受信された印刷データなどの各種のデータを印刷する印刷デバイスである。
【0027】
USBインターフェイス45は、例えば、スキャナー44によって生成された画像データをUSBケーブル11経由でホストPC80に送信したり、プリンター43で印刷されるための印刷データをUSBケーブル11経由でホストPC80から受信したりする。
【0028】
ネットワークインターフェイス46は、例えば、スキャナー44によって生成された画像データをLAN12経由でホストPC90に送信したり、プリンター43で印刷されるための印刷データをLAN12経由でホストPC90から受信したりする。
【0029】
図3は、不揮発性記憶装置47に記憶されている機能別優先度情報を示す図である。
【0030】
不揮発性記憶装置47は、図3に示す機能別優先度情報を記憶している。図3に示す機能別優先度情報は、「USBデバイスドライバ」、「Ethernet(登録商標)デバイスドライバ」、「パネルデバイスドライバ」、「XXXデバイスドライバ」、「データ送受信部」、「表示データ生成部」、「印刷データ処理部」などの複数の機能のそれぞれに対して起動の順番の優先度が対応付けられた情報であり、「電源が投入された」、「USBからデータを受信した」、「LANからデータを受信した」、「パネルに操作があった」などのイベントの種類毎に不揮発性記憶装置47に記憶されている。例えば、「USBからデータを受信した」というイベントに関して、複数の機能に対する起動の順番の優先度は、「USBデバイスドライバ」が90、「Ethernetデバイスドライバ」が40、「パネルデバイスドライバ」が60、「XXXデバイスドライバ」が40、「データ送受信部」が80、「表示データ生成部」が50、「印刷データ処理部」が70である。
【0031】
図2に示すように、コントローラー30は、画像形成プログラムを実行することによって、イベントが発生した場合に、発生したイベントの種類に応じた機能別優先度情報の優先度に基づいて順番を決定する順番決定手段31、および、順番決定手段31によって決定された順番で複数の機能を起動する機能起動手段32として機能する。
【0032】
図4は、コントローラー30の複数の機能を示す図である。
【0033】
図4に示すように、コントローラー30は、例えば、USBインターフェイス45を制御するデバイスドライバであるUSBデバイスドライバ33と、ネットワークインターフェイス46を制御するデバイスドライバであるEthernetデバイスドライバ34と、ディスプレイ41および操作部42を制御するデバイスドライバであるパネルデバイスドライバ35と、ディスプレイ41、操作部42、USBインターフェイス45およびネットワークインターフェイス46以外の特定のデバイスを制御するデバイスドライバであるXXXデバイスドライバ36と、USBインターフェイス45またはネットワークインターフェイス46を介したデータの送受信を制御するデータ送受信部37と、ディスプレイ41に表示するためのデータを生成する表示データ生成部38と、USBインターフェイス45またはネットワークインターフェイス46を介して受信した印刷データを処理する印刷データ処理部39という複数の機能を備えている。
【0034】
次に、画像形成システム10の動作について説明する。
【0035】
MFP20は、通常状態である場合、利用者からの操作が所定の時間無かったなど、所定の条件が満たされたとき、通常状態から省エネ状態に移行する。
【0036】
図5は、省エネ状態である場合にイベントが発生したときのMFP20の動作のフローチャートである。
【0037】
MFP20は、省エネ状態である場合にイベントが発生したとき、図5に示す処理を開始する。図5に示すように、コントローラー30の順番決定手段31は、発生したイベントの種類に応じた機能別優先度情報の優先度に基づいて順番を決定する(S101)。
【0038】
次いで、コントローラー30の機能起動手段32は、S101において決定された順番で複数の機能の起動を開始する(S102)。
【0039】
次いで、コントローラー30は、新たなイベントが発生したか否かを判断する(S103)。
【0040】
新たなイベントが発生したとS103において判断されると、順番決定手段31は、再びS101の処理を実行する。
【0041】
一方、新たなイベントが発生していないとS103において判断されると、コントローラー30は、全ての機能の起動が終了したか否かを判断する(S104)。
【0042】
全ての機能の起動が終了していないとS104において判断されると、コントローラー30は、再びS103の処理を実行する。
【0043】
一方、全ての機能の起動が終了したとS104において判断されると、コントローラー30は、図5に示す処理を終了する。
【0044】
<例1>
例えば、省エネ状態である場合に「USBからデータを受信した」というイベントが発生したときのコントローラー30の動作について説明する。
【0045】
発生したイベントが「USBからデータを受信した」というイベントである場合、図3に示す機能別優先度情報によれば、複数の機能に対する起動の順番の優先度は、「USBデバイスドライバ」が90、「Ethernetデバイスドライバ」が40、「パネルデバイスドライバ」が60、「XXXデバイスドライバ」が40、「データ送受信部」が80、「表示データ生成部」が50、「印刷データ処理部」が70である。したがって、順番決定手段31は、これらの優先度が大きい順番、すなわち、図6に示す「USBデバイスドライバ」、「データ送受信部」、「印刷データ処理部」、「パネルデバイスドライバ」、「表示データ生成部」、「Ethernetデバイスドライバ」、「XXXデバイスドライバ」という順番を決定する(S101)。なお、「Ethernetデバイスドライバ」および「XXXデバイスドライバ」は、優先度がともに40で同一であるので、何れの順番が先であっても良い。
【0046】
次いで、機能起動手段32は、S101において決定された順番で複数の機能の起動を開始する(S102)。
【0047】
したがって、コントローラー30は、省エネ状態である場合に「USBからデータを受信した」というイベントが発生したとき、USBに関連する機能である「USBデバイスドライバ」、「データ送受信部」および「印刷データ処理部」を最優先で起動した後、ディスプレイ41に“処理中”などと表示するためにディスプレイ41に関連する機能である「パネルデバイスドライバ」および「表示データ生成部」を起動する。直ぐに使用されない機能である「Ethernetデバイスドライバ」および「XXXデバイスドライバ」は、最後に起動される。
【0048】
<例2>
例えば、省エネ状態である場合に「USBからデータを受信した」および「パネルに操作があった」という複数のイベントが発生したときのコントローラー30の動作について説明する。
【0049】
発生したイベントが「USBからデータを受信した」というイベントである場合、図3に示す機能別優先度情報によれば、複数の機能に対する起動の順番の優先度は、「USBデバイスドライバ」が90、「Ethernetデバイスドライバ」が40、「パネルデバイスドライバ」が60、「XXXデバイスドライバ」が40、「データ送受信部」が80、「表示データ生成部」が50、「印刷データ処理部」が70である。また、発生したイベントが「パネルに操作があった」というイベントである場合、図3に示す機能別優先度情報によれば、複数の機能に対する起動の順番の優先度は、「USBデバイスドライバ」が70、「Ethernetデバイスドライバ」が60、「パネルデバイスドライバ」が120、「XXXデバイスドライバ」が50、「データ送受信部」が40、「表示データ生成部」が115、「印刷データ処理部」が40である。したがって、順番決定手段31は、これらの優先度を機能毎に合計し、合計した優先度が大きい順番を決定する(S101)。ここで、合計した優先度は、「USBデバイスドライバ」が160、「Ethernetデバイスドライバ」が100、「パネルデバイスドライバ」が180、「XXXデバイスドライバ」が90、「データ送受信部」が120、「表示データ生成部」が165、「印刷データ処理部」が110である。したがって、順番決定手段31は、これらの優先度が大きい順番、すなわち、図7に示す「パネルデバイスドライバ」、「表示データ生成部」、「USBデバイスドライバ」、「データ送受信部」、「印刷データ処理部」、「Ethernetデバイスドライバ」、「XXXデバイスドライバ」という順番を決定する。
【0050】
次いで、機能起動手段32は、S101において決定された順番で複数の機能の起動を開始する(S102)。
【0051】
したがって、コントローラー30は、省エネ状態である場合に「USBからデータを受信した」および「パネルに操作があった」という複数のイベントが発生したとき、ディスプレイ41に関連する機能である「パネルデバイスドライバ」および「表示データ生成部」を最優先で起動した後、USBに関連する機能である「USBデバイスドライバ」、「データ送受信部」および「印刷データ処理部」を起動する。直ぐに使用されない機能である「Ethernetデバイスドライバ」および「XXXデバイスドライバ」は、最後に起動される。
【0052】
<例3>
例えば、省エネ状態である場合に「USBからデータを受信した」というイベントが発生し、USBデバイスドライバ33の機能の起動を開始した後に「パネルに操作があった」というイベントが新たに発生したときのコントローラー30の動作について説明する。
【0053】
まず、発生したイベントが「USBからデータを受信した」というイベントである場合、上述したように、順番決定手段31は、図6に示す「USBデバイスドライバ」、「データ送受信部」、「印刷データ処理部」、「パネルデバイスドライバ」、「表示データ生成部」、「Ethernetデバイスドライバ」、「XXXデバイスドライバ」という順番を決定する(S101)。なお、「Ethernetデバイスドライバ」および「XXXデバイスドライバ」は、優先度がともに40で同一であるので、何れの順番が先であっても良い。そして、機能起動手段32は、S101において決定された順番で複数の機能の起動を開始する(S102)。
【0054】
機能起動手段32がUSBデバイスドライバ33の機能の起動を開始した後に「パネルに操作があった」というイベントが新たに発生した場合、コントローラー30は、新たなイベントが発生したと判断する(S103でYES)。ここで、既に発生したイベントが「USBからデータを受信した」および「パネルに操作があった」という複数のイベントであるので、上述したように、順番決定手段31は、図7に示す「パネルデバイスドライバ」、「表示データ生成部」、「USBデバイスドライバ」、「データ送受信部」、「印刷データ処理部」、「Ethernetデバイスドライバ」、「XXXデバイスドライバ」という順番を新たに決定する(S101)。そして、機能起動手段32は、S101において新たに決定された順番で複数の機能の起動を開始する(S102)。このとき、USBデバイスドライバ33の機能の起動が既に開始されているので、機能起動手段32は、既に起動が開始されているUSBデバイスドライバ33以外の機能の起動を、S101において新たに決定された順番で開始する。つまり、機能起動手段32は、実際には図8に示す順番で複数の機能を起動する。
【0055】
したがって、コントローラー30は、省エネ状態である場合に「USBからデータを受信した」というイベントが発生し、USBデバイスドライバ33の機能の起動を開始した後に「パネルに操作があった」というイベントが新たに発生したとき、USBに関連する機能である「USBデバイスドライバ」を最優先で起動して、ディスプレイ41に関連する機能である「パネルデバイスドライバ」および「表示データ生成部」を起動した後、USBに関連する残りの機能である「データ送受信部」および「印刷データ処理部」を起動する。直ぐに使用されない機能である「Ethernetデバイスドライバ」および「XXXデバイスドライバ」は、最後に起動される。
【0056】
<例4>
例えば、電源が切断されている場合に「電源が投入された」というイベントが発生したときのコントローラー30の動作について説明する。
【0057】
MFP20は、電源が切断されている場合に「電源が投入された」というイベントが発生したとき、省エネ状態である場合にイベントが発生したときと同様に動作する。
【0058】
発生したイベントが「電源が投入された」というイベントである場合、図3に示す機能別優先度情報によれば、複数の機能に対する起動の順番の優先度は、「USBデバイスドライバ」が90、「Ethernetデバイスドライバ」が90、「パネルデバイスドライバ」が90、「XXXデバイスドライバ」が90、「データ送受信部」が50、「表示データ生成部」が50、「印刷データ処理部」が30である。したがって、順番決定手段31は、これらの優先度が大きい順番、すなわち、図9に示す「USBデバイスドライバ」、「Ethernetデバイスドライバ」、「パネルデバイスドライバ」、「XXXデバイスドライバ」、「データ送受信部」、「表示データ生成部」、「印刷データ処理部」という順番を決定する(S101)。なお、「USBデバイスドライバ」、「Ethernetデバイスドライバ」、「パネルデバイスドライバ」および「XXXデバイスドライバ」は、優先度がともに90で同一であるので、何れの順番が先であっても良い。同様に、「データ送受信部」および「表示データ生成部」も、優先度がともに50で同一であるので、何れの順番が先であっても良い。
【0059】
次いで、機能起動手段32は、S101において決定された順番で複数の機能の起動を開始する(S102)。
【0060】
したがって、コントローラー30は、電源が切断されている場合に「電源が投入された」というイベントが発生したとき、最下層の機能である「USBデバイスドライバ」、「Ethernetデバイスドライバ」、「パネルデバイスドライバ」および「XXXデバイスドライバ」を最優先で起動した後、1つ上の層の機能である「データ送受信部」および「表示データ生成部」を起動し、更に1つ上の層の機能である「印刷データ処理部」を最後に起動する。
【0061】
以上に説明したように、MFP20は、複数の種類のイベントが発生した場合に、発生した全てのイベントの種類に応じた機能別優先度情報の優先度を機能毎に合計し、合計した優先度に基づいて複数の機能の起動の順番を決定する。したがって、MFP20は、複数の種類のイベントが発生した場合に、発生した全てのイベントの種類に応じた適切な順番で複数の機能を起動することができる。
【0062】
なお、MFP20は、発生した複数のイベントの種類に応じた機能別優先度情報を都度計算するのではなく、発生した複数のイベントの種類に応じた機能別優先度情報を全てのパターンについて予め記憶していても良い。しかしながら、MFP20は、発生した複数のイベントの種類に応じた機能別優先度情報を都度計算するようになっている場合、発生した複数のイベントの種類に応じた機能別優先度情報を全てのパターンについて予め記憶している構成と比較して、機能別優先度情報を記憶するための膨大な記憶容量が不要である。
【0063】
また、MFP20は、省エネ状態から通常状態に復帰する場合に、優先的に起動されることを利用者が希望する機能を優先的に起動することができる。
【0064】
また、MFP20は、機能起動手段32が1つ以上の機能の起動を開始した後にイベントが新たに発生した場合に、既に発生した全てのイベントの種類に応じて複数の機能の起動の順番を新たに決定するので、複数の機能のうち一部の機能の起動を開始した後であっても、複数の機能の起動の順番を適切な順番に変更することができる。
【0065】
なお、不揮発性記憶装置47に記憶されている機能別優先度情報は、例えば操作部42、ホストPC80の操作部、ホストPC90の操作部などを介して、利用者によって変更可能であっても良い。
【0066】
MFP20の外部の装置は、本実施の形態においてホストPCであるが、ホストPC以外の装置であっても良い。
【0067】
本発明の画像形成装置は、本実施の形態においてMFPであるが、コピー機、プリンターなど、MFP以外の画像形成装置であっても良い。
【符号の説明】
【0068】
20 MFP(画像形成装置)
31 順番決定手段
32 機能起動手段
33 USBデバイスドライバ(機能)
34 Ethernetデバイスドライバ(機能)
35 パネルデバイスドライバ(機能)
36 XXXデバイスドライバ(機能)
37 データ送受信部(機能)
38 表示データ生成部(機能)
39 印刷データ処理部(機能)
47 不揮発性記憶装置(機能別優先度記憶部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
イベントが発生したときに複数の機能を起動する画像形成装置であって、
前記複数の機能のそれぞれに対して起動の順番の優先度が対応付けられた情報である機能別優先度情報を前記イベントの種類毎に記憶する機能別優先度記憶部と、前記イベントが発生した場合に、発生した前記イベントの種類に応じた前記機能別優先度情報の前記優先度に基づいて前記順番を決定する順番決定手段と、前記順番決定手段によって決定された前記順番で前記複数の機能を起動する機能起動手段とを備えており、
前記順番決定手段は、複数の種類の前記イベントが発生した場合に、発生した全ての前記イベントの種類に応じた前記機能別優先度情報の前記優先度を前記機能毎に合計し、合計した前記優先度に基づいて前記順番を決定することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記順番決定手段は、前記機能起動手段が1つ以上の前記機能の起動を開始した後に前記イベントが新たに発生した場合に、既に発生した全ての前記イベントの種類に応じた前記機能別優先度情報の前記優先度を前記機能毎に合計し、合計した前記優先度に基づいて前記順番を新たに決定し、
前記機能起動手段は、前記順番決定手段が前記順番を新たに決定した場合に、前記順番決定手段によって新たに決定された前記順番で前記複数の機能を起動することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記画像形成装置は、通常状態と、前記通常状態よりエネルギーの消費が少ない省エネ状態との少なくとも2つの状態を有しており、前記省エネ状態である場合に前記イベントが発生したときに前記複数の機能を起動することによって前記通常状態に復帰する装置であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
複数の機能のそれぞれに対して起動の順番の優先度が対応付けられた情報である機能別優先度情報をイベントの種類毎に記憶する機能別優先度記憶部を備えており、前記イベントが発生したときに前記複数の機能を起動する画像形成装置を、前記イベントが発生した場合に、発生した前記イベントの種類に応じた前記機能別優先度情報の前記優先度に基づいて前記順番を決定する順番決定手段、および、前記順番決定手段によって決定された前記順番で前記複数の機能を起動する機能起動手段として機能させ、
前記順番決定手段は、複数の種類の前記イベントが発生した場合に、発生した全ての前記イベントの種類に応じた前記機能別優先度情報の前記優先度を前記機能毎に合計し、合計した前記優先度に基づいて前記順番を決定することを特徴とする画像形成装置用プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−159586(P2012−159586A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−17847(P2011−17847)
【出願日】平成23年1月31日(2011.1.31)
【出願人】(000006150)京セラドキュメントソリューションズ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】