説明

画像形成装置

【課題】記録用シートを並行に搬送してそれぞれに画像形成できる画像形成装置において、手前側シート搬送経路で搬送されるシートだけでなく、奥側シート搬送経路で搬送されるシートについても、取り出し易いように手前側へシフトさせつつ排出可能とする。
【解決手段】記録用のシートをシート供給部2から供給して画像形成部1に通すことで該シートに画像を形成し、排出トレイTへ排出できる画像形成装置100であり、手前側及び奥側の並行なシート搬送経路31,32のそれぞれに沿ってシート供給部2から排出トレイTへ向けシートを搬送することができ、奥側シート搬送経路32で搬送されるシートS2を手前側シート搬送経路で搬送されるシートS1を積載するための排出トレイTにおける手前側シート積載部t1の方へシフト排出できるシート排出装置7を含んでいる画像形成装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は記録用のシートをシート供給部から供給して画像形成部に通すことで該シートに画像を形成し、排出トレイへ排出できる複写機、プリンタ、ファクシミリ機、これらのうち2以上を組み合わせた複合機等の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の画像形成装置としてシート供給部からシート排出トレイへ向け並行に延びる複数のシート搬送経路を備え、各シート搬送経路を使って記録用シートを搬送し、各シート搬送経路に沿って搬送されるシートに画像形成部で画像形成し、画像形成されたシートをシート排出トレイへ排出する画像形成装置が知られている。
【0003】
具体例を挙げると、シート供給部からシート排出トレイへ向け並行に延びる二つのシート搬送経路を備え、これら二つのシート搬送経路を使って小サイズの記録用シート(例えばA5、A6、B6等のサイズのシート)を2枚同時並行に、又はシート搬送方向を横切る方向においては並ばないようにシート搬送方向において位置をずらして交互に搬送し、各シートに画像形成部で画像形成し、画像形成された各シートをシート排出トレイへ排出する画像形成装置が知られている。
【0004】
このような画像形成装置では、シート排出トレイは各シート搬送経路に対応するシート積載部を提供する。このようなシート搬送経路に対応するシート積載部は、通常シート搬送方向を横切る方向に並んでいる。
【0005】
このように複数の並行なシート搬送経路及びそれらシート搬送経路に対応する複数のシート積載部を提供するシート排出トレイを有する画像形成装置では、画像形成装置の、ユーザが臨む側(一般的には操作パネルのある側であることが多い)を手前側、それとは反対側を奥側とすると、奥側のシート積載部に排出されるシートは手前側のシート積載部に排出されるシートに隣り合って並ぶので、画像形成装置の手前側に位置するユーザにとって取り出し難いことが多々ある。
【0006】
特にシート積載部を提供している排出トレイの上方に画像読取装置が設けられている画像形成装置では、手前側に位置するユーザにとっては画像読取装置が邪魔になって奥側シート積載部に排出されるシートは取り出し難いうえ、見難い。
【0007】
この点、特開平10−104899号公報には、シート供給部からシート排出トレイへ向け並行に延びる複数のシート搬送経路を備え、各シート搬送経路を使って記録用シートを搬送し、各シート搬送経路に沿って搬送されるシートに画像形成部で画像形成し、画像形成されたシートを排出する画像形成装置において、各シート搬送経路を使って画像形成されたシートをソータの異なった段のビンに排出することで、シートの取り出し時に他のシートが邪魔にならないようにすることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平10−104899号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特開平10−104899号公報に記載の画像形成装置では、ソータを採用するため画像形成装置が大型化し、高価になる。
【0010】
そこで本発明は、記録用のシートをシート供給部から供給して画像形成部に通すことで該シートに画像を形成し、排出トレイへ排出できる画像形成装置であり、前記シート供給部から前記排出トレイへ向け並行に延びる複数のシート搬送経路を備え、前記各シート搬送経路を使って記録用のシートを搬送し、該各シート搬送経路に沿って搬送されるシートに前記画像形成部で画像形成し、画像形成された該シートを前記排出トレイへ排出できる画像形成装置であって、画像形成装置の大型化を招くことなく、前記画像形成されたシートを容易に取り出せるように前記排出トレイに排出させることができる画像形成装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は前記課題を解決するため、
記録用のシートをシート供給部から供給して画像形成部に通すことで該シートに画像を形成し、排出トレイへ排出できる画像形成装置であり、
複数の並行なシート搬送経路のそれぞれに沿って前記シート供給部から前記排出トレイへ向けシートを搬送することができるシート搬送装置を含んでおり、
前記シート搬送装置は前記複数のシート搬送経路のうち予め定めた奥側シート搬送経路で搬送されるシートを予め定めた手前側シート搬送経路で搬送されるシートを積載するための前記排出トレイにおける手前側シート積載部の方へシフト排出できるシフト排出装置を含んでいる画像形成装置を提供する。
【0012】
ここで「手前側」とは画像形成装置の、画像形成されて排出トレイに排出されたシートをユーザが見たり、取り出したりし易い側である。これに対し「奥側」とは前記「手前側」とは反対側であり、前記「手前側」と比べると、排出トレイに排出されたシートをユーザが見たり、取り出したりし難い側である。それとは限定されないが、画像形成装置使用のためにユーザが位置して臨む画像形成装置の側であることが多く、操作パネルのある側が「手前側」と言えることが多い。
【0013】
本発明に係る画像形成装置によると、前記シート搬送装置によって各シート搬送経路に沿って記録用のシートを搬送し、該各シート搬送経路に沿って搬送されるシートに前記画像形成部で画像形成し、画像形成された該シートを前記排出トレイに排出できる。
【0014】
画像形成されたシートの排出トレイへの排出にあたっては、前記シフト排出装置により、予め定めた前記奥側シート搬送経路で搬送されるシートを前記排出トレイの手前側シート積載部の方へシフト排出できる。
【0015】
シフト排出されることなく排出トレイに排出されるとするとユーザにとって取り出し難くなる奥側シート搬送経路に沿って搬送されるシートを、このようにシフト排出装置によって手前側シート積載部の方へシフト排出できるので、排出トレイに排出されるシートは取り出し易く、また視認し易い。
【0016】
前記シート搬送経路の数は任意であるが、代表例として手前側及び奥側の二つのシート搬送経路が設けられている場合を挙げることができる。
また、前記排出トレイへシートを排出する排出口は一つでもよいが、複数設けられていてもよい。例えば第1及び第2の二つの排出口が設けられる場合を挙げることができる。これら第1及び第2の二つの排出口は例えば上下に(例えば第1排出口の上方に第2排出口が位置するように)配置されていてもよい。
【0017】
前記シート搬送装置はシート搬送方向において前記第1排出口及び前記第2排出口の上流側に配置されたシート搬送方向切り替えガイド装置と、前記シートを前記第1排出口から前記手前側シート積載部へ排出するための第1排出装置と、前記シフト排出装置を含んでおり、前記シフト排出装置は前記シートを前記第2排出口から前記手前側シート積載部の方へシフトさせつつ排出できる装置である場合を例示できる。
【0018】
この場合、前記シート搬送方向切り替えガイド装置は、前記手前側シート搬送経路で搬送されるシートを前記第1排出口へ導くことができる第1ガイド部及び前記奥側シート搬送経路で搬送されるシートを前記第2排出口へ導くことができる第2ガイド部を含んでいる場合を例示できる。
【0019】
また、本発明に係る画像形成装置はシートの両面に画像形成できる例えば次のようなものであってもよい。
すなわち、記録用シートの両面に画像形成するための両面画像形成用のシート循環搬送路をさらに有し、前記シート搬送方向切り替えガイド装置の前記第1ガイド部は前記手前側シート搬送経路で搬送されるシートを前記第1排出口又は前記第2排出口へ導くことができ、前記第2ガイド部は前記奥側シート搬送経路で搬送されるシートを前記第1排出口又は前記第2排出口へ導くことができ、前記第2排出口に臨む前記シフト排出装置は該第2排出口から前記シートを一部排出搬送し、その後該シートを前記シート循環搬送路へ反転搬送することもできる装置であり、前記シート循環搬送路は該反転搬送されたシートを前記画像形成部の入り口へ再供給でき、前記シート搬送方向切り替えガイド装置は、前記画像形成部から到来する片面だけに画像形成された両面画像形成対象のシートを前記シフト排出装置へ案内するガイド装置を兼ねる画像形成装置である。
【0020】
いずれにしても、前記シフト排出装置としては、回転軸を互いに並行にして配置された回転可能な第1ローラ部材と、該第1ローラ部材に対向配置された定位置で回転可能な第2ローラ部材と、前記第1ローラ部材を前記第2ローラ部材と平行に往復動させる往復駆動装置を含んでおり、前記第1及び第2のローラ部材を回転させ、該両ローラ部材のニップで前記シートを挟着しつつ前記第2ローラ部材に対して前記第1ローラ部材を前記手前側シート積載部側へ移動させることで前記シートを該手前側シート積載部の方へシフトさせつつ排出できる装置を例示できる。
【0021】
前記シフト排出装置の他の例として次のものも挙げることができる。
すなわち、回転軸を互いに並行にして配置された回転可能な第1及び第2のローラ部材を含んでおり、前記第1のローラ部材は前記手前側シート積載部から遠い方の端部外径が該手前側シート積載部に近い方の端部外径より大きい頭截円錐形状のローラを含んでおり、前記第2のローラ部材は前記第1ローラ部材の前記頭截円錐形状のローラに対して接触離隔可能な外径均一なローラを含んでおり、前記第1ローラ部材の前記頭截円錐形状のローラに前記第2ローラ部材の前記外径均一なローラを接触させて形成されるニップで前記シートを挟着しつつ搬送することで該シートを前記手前側シート積載部側の方へ斜めにシフトさせつつ排出できる装置である。
【0022】
またいずれにしても、前記シフト排出装置は、前記の予め定めた手前側シート搬送経路で搬送されて前記手前側シート積載部に排出載置されるシートに少なくとも一部が重なるようにシートを排出するものとすることができる。
【0023】
前記画像形成部としては、電子写真方式により前記シートにトナー画像を形成する画像形成部である場合を例示できるが、インクジェット方式等の他のタイプの画像形成部でもよい。電子写真方式の画像形成部を採用する場合、前記シート上のトナー画像を該シートに定着させる定着装置を該画像形成部に含める。
【発明の効果】
【0024】
以上説明したように本発明によると、記録用のシートをシート供給部から供給して画像形成部に通すことで該シートに画像を形成し、排出トレイへ排出できる画像形成装置であり、前記シート供給部から前記排出トレイへ向け並行に延びる複数のシート搬送経路を備え、前記各シート搬送経路を使って記録用のシートを搬送し、該各シート搬送経路に沿って搬送されるシートに前記画像形成部で画像形成し、画像形成された該シートを前記排出トレイへ排出できる画像形成装置であって、画像形成装置の大型化を招くことなく、前記画像形成されたシートを容易に取り出せるように前記排出トレイに排出させることができる画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明に係る画像形成装置の1例の構成を概略的に示す図である。
【図2】図1の画像形成装置におけるシート搬送経路及びシート搬送態様等を示す図である。
【図3】シート排出装置例を示す図である。
【図4】図1の画像形成装置の制御回路の概略を示すブロック図である。
【図5】本発明に係る画像形成装置の他の例の構成を概略的に示す図である。
【図6】図5の画像形成装置におけるシート搬送経路及びシート搬送態様等を示す図である。
【図7】シート搬送方向切り替えガイド装置を示す図である。
【図8】シート排出装置の他の例を示す図であり、図(A)はシートを手前側、奥側へシフトさせることなく排出トレイへ排出する場合のシート排出装置を示す図であり、図(B)は奥側シートを手前側へシフトさせつつ手前側シート積載部へ排出する場合のシート排出装置を示す図である。
【図9】図5の画像形成装置の制御回路の概略を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面を参照して本発明に係る画像形成装置の例について説明する。
図1は画像形成装置の1例の構成の概略を示している。図1の画像形成装置100は複写機、プリンタ、ファクシミリ機等の機能を有する複合機である。
【0027】
図1に示す画像形成装置100は、プリンタ部10に画像読取装置IRを搭載したものであり、画像形成装置100の動作を制御する制御部Cont(図4も参照)も含んでいる。画像形成装置各部の動作は制御部Contの指示のもとになされる。
【0028】
画像読取装置IRはそれ自体既に知られているもので、原稿画像を読み取り、読み取った画像情報を原稿複写やファクシミリ送信等に供することができる。
画像形成枚数の設定、片面画像形成か両面画像形成かの選択等を行なう操作パネルPAがこの画像読取装置IRの手前に架設されている。
【0029】
プリンタ部10は、画像形成部1、画像形成部下方の記録用シート(記録用紙等)の供給部2、シート搬送経路31,32、画像読み取り装置IR下方のシート排出トレイT等を有している。排出トレイTの奥には画像読取装置IRへ立ち上がる壁体Wがある。壁体Wは各種部品を収容するボックスを兼ねる壁体である。
【0030】
画像形成部1はベルト駆動部11D(図4参照)により回転駆動され駆動ローラd1と対向ローDラd2に巻き掛けられて図中反時計方向CCWに回転駆動可能の中間転写ベルト11を含んでいる。ベルト11に沿ってベルト走行方向にイエロー画像形成ユニットY、マゼンタ画像形成ユニットM、シアン画像形成ユニットC及びブラック画像形成ユニットKがこの順序で配置されている。
【0031】
各色担当の画像形成ユニットは、画像読み取り装置IRからの画像情報や、図示省略の外部コンピュータや外部ファクシミリ機等から送信されてくる画像情報に基づいて、電子写真方式により感光体PC上に担当色画像に対応する静電潜像を形成し、該潜像を担当色トナーで現像してトナー像を形成し、これを1次転写電源PW1(図4参照)から1次転写バイアスが印加される1次転写ローラtrでベルト11上に1次転写することができる。
【0032】
画像形成ユニットを用いて画像形成するにあたっては、四つの画像形成ユニットのうちいずれか一つを用いてモノクロトナー像を形成することもできるし、二つ以上の画像形成ユニットを用いてカラー画像を形成することもできる。二つ以上の画像形成ユニットを用いる場合には、それら画像形成ユニットで形成される各色トナー像はベルト11上で重ねられるタイミングでベルト11に1次転写される。
【0033】
画像形成部1はさらに、中間転写ベルト11の回転方向においてブラック画像形成ユニットKの下流側で該ベルトに臨む2次転写ローラ5及びその上方に配置された定着装置FXも含んでいる。
【0034】
前記のようにベルト11上に1次転写されるトナー像は、2次転写電源PW2(図4参照)から2次転写バイアスが印加される2次転写ローラ5により、後述するシート搬送経路に沿って搬送されて来る記録用シートSに2次転写され、定着装置FXにより加熱加圧下に該記録用シートに定着される。トナー像が定着されたシートSはシート搬送経路に沿って後述するシート排出装置7へ至り、後述するように循環搬送路9を使って両面画像形成を行なわないのであればそのまま排出トレイTへ排出される。シート搬送経路、シート排出装置7、循環搬送路9用いる両面画像形成については後ほどさらに説明する。
【0035】
図2はプリンタ部10におけるシート搬送経路及びシート搬送態様等を示している。図2に示すようにプリンタ部10はシート供給部2、さらに言えばシート供給部2のシート収容カセット20から画像形成部1を通ってシート排出トレイTの方へ並行に延びる手前側シート搬送経路31及び奥側シート搬送経路32を含んでいる。
【0036】
ここで、また、以後の説明で「手前側」とは画像形成装置100の、画像形成されて排出トレイTに排出されたシートをユーザが見たり、取り出したりし易い側であり、本例では画像形成装置100の使用にあたりユーザが通常位置する、操作パネルPAのある側である。これに対し「奥側」とは前記「手前側」とは反対側であり、前記壁体Wのある側である。
【0037】
シート供給部2はカセット20に臨む供給ローラ装置211、212を含んでいる。
各供給ローラ装置はピックアップローラ221,222でピックアップされる記録用シートを1枚ずつシート搬送経路へ供給できる。本例では、供給ローラ装置211は手前側シート搬送経路31に対応しており、後述する制御部Contの指示のもとに手前側シート搬送経路31にシートを供給できる。
【0038】
供給ローラ装置212は奥前側シート搬送経路32に対応しており、制御部Contの指示のもとに奥側シート搬送経路32にシートを供給できる。本例では、供給ローラ装置211,212は制御部Contの指示のもとに小サイズのA5シートS1、S2を交互に対応するシート搬送径路31、32へ供給できる。
【0039】
なお、供給ローラ装置211、212は、それらのいずれか、或いは双方でA4サイズシートを1枚ずつシート搬送経路31、32へ供給することもできる。
【0040】
シート搬送経路31、32の前記2次転写ローラ5の上流側にレジストローラ対4が配置されている。レジストローラ対4は制御部Contの指示のもとに、供給されてくる記録用シートを一端停止させ、ベルト11上のトナー像が2次転写領域へ到来するタイミングで該シートを2次転写領域へ送り込む。
【0041】
画像形成装置100では、排出トレイTに臨むシート排出口は排出口70の一つであり、排出口70の上流側から該排出口にシート排出装置7が臨んでいる。シート排出装置7は、後述するように、奥側シート搬送経路32で搬送されるシートS2を手前側シート搬送経路31で搬送されるシートS1を積載する排出トレイTにおける手前側シート積載部t1(図2参照)の方へシフト排出できるシフト排出装置を含んでいる。
【0042】
シート供給装置211,212、レジストローラ対4、シート排出装置7等はシート搬送経路31,32に沿ってシート供給部2から排出トレイTへシート搬送するシート搬送装置を構成している。
【0043】
図3はシート排出装置7を示している。排出装置7は、本例では上側の第1ローラ部材71と下側の第2ローラ部材72を含んでいる。上側ローラ部材71はシート搬送方向を横切る方向の軸71sに外径均一なローラ711と羽根付ローラ710を支持させたものである。下側ローラ部材72は軸71sと平行な軸72sに前記上側ローラ部材のローラ711に接触する外径均一なローラ721を支持させたものである。
【0044】
上側ローラ部材71は制御部Contの指示のもとに駆動部D1にて正転逆転可能であり、下側ローラ部材72は定位置にあってこれに従動回転する。また、上側ローラ部材71は、駆動部D2により軸71の長手方向X、Y方向に往復駆動可能である。駆動部D1は上側ローラ部材71がX,Yに動くとき軸71に対しスプライン軸機構により相対的に摺動できる歯車gを介してローラ部材を回転させることができる。
【0045】
排出装置7は制御部Contの指示のもとに次のように画像形成されたシートを排出トレイTへ排出する。すなわち、画像形成部1で所定の画像が形成され、手前側シート搬送経路31で搬送されて来るシートS1については、上側ローラ部材71を往復動させることなく正転させ、上下のローラ711、721のニップでシートS1を挟着しつつ搬送して、排出トレイTの手前側シート積載部t1へ排出する。
【0046】
画像形成部1で所定の画像が形成され、奥側シート搬送経路32で搬送されて来るシートS2については、前記シートS1の後端が上下ローラ711、721のニップを通過後、且つ、シートS2の後端が定着装置FX通過後に上下のローラ711、721のニップでシートS2を挟着しつつ上側ローラ部材71を正転させるとともにX方向へ移動させて、手前側シート積載部t1の方へシフトさせつつ排出する。上側ローラ部材71はその後Y方向へ復帰移動させる。
【0047】
かくして、手前側シート搬送経路31を使って画像形成されるシートS1がユーザにとって視認しやすく、取り出しやすい手前側シート積載部t1へ排出されるだけでなく、奥側シート搬送経路32を使って画像形成されるシートS2も少なくとも一部がシートS1に重なるように手前側シート積載部t1の方へシフト排出されるので、視認しやすく、取り出しやすい。このような利点を得るにあたり画像形成装置100を格別大型化する必要はない。
【0048】
なお、排出装置7は、必要とあれば、奥側シート搬送経路32で到来するシートS2を排出トレイTの奥側シート積載部t2へ排出することもできる。
また、シート供給部2のカセット20に例えばA4サイズシートをセットして、1枚ずつシート搬送経路31、32へ、それらに跨るように供給し、画像形成後、排出装置7を回転だけさせて、シート積載部t1、t2に跨るように排出できる。
【0049】
プリンタ部10は、さらに両面画像形成のための循環搬送路9も含んでいる。
既述のとおり排出装置7は逆転可能である。両面画像形成モードでは、制御部Contの指示のもとに、排出装置7は、両面画像形成対象のシートであって片面だけ画像形成されて到来するシートの一部を正転にて一旦排出トレイTへ排出し、ひき続き逆転にて該シートを循環搬送路9へ反転搬送する。循環搬送路9は反転搬送されたシートを搬送ローラ91にて画像形成部1の入口にあるレジストローラ4へ再供給し、両面画像形成させる。
【0050】
両面画像形成されたシートは排出装置7で排出トレイTへ排出される。このとき、シートが奥側シート搬送経路32を使って画像形成された小サイズシートであれば、トレイTの手前側シート積載部t1の方へ排出される。
【0051】
図5は本発明に係る画像形成装置の他の例を示している。この画像形成装置100’は図1の画像形成装置100において排出トレイTへのシート排出口として下側の第1排出口70と上側の第2排出口80の二つを設け、これに伴ってシート搬送方向切り替えガイド装置6を設けたものである。
【0052】
画像形成装置100’もその動作を制御する制御部Cont’(図9も参照)を含んでいる。画像形成装置各部の動作は制御部Cont’の指示のもとになされる。画像形成装置100’の他の点は画像形成装置100と実質上同じである。図5、図9において画像形成装置100における部品、部分と実質的に同じものは、画像形成装置100と同じ符号を付してある。
【0053】
図6は画像形成装置100’におけるシート搬送経路及びシート搬送態様等を示している。図6に示すように画像形成装置100’もシート搬送経路として手前側及び奥側の二つのシート搬送経路31’、32’を含んでいる。
【0054】
画像形成装置100’では図6に示すように、シート供給部2の供給ローラ装置211,212は制御部Cont’の指示のもとに小サイズのA5シートS1、S2を同時的に並行して対応するシート搬送径路31’、32’へ供給できる。シートS1、S2は画像形成部1でトナー画像が形成され、定着装置FXでトナー画像が定着され、最終的に排出トレイTへ排出される。
【0055】
なお、供給ローラ装置211、212は、それらのいずれか、或いは双方でA4サイズシートを1枚ずつシート搬送経路31’、32’へ供給することもできる。
【0056】
画像形成装置100’ではシート搬送方向において第1排出口70及び第2排出口80の上流側且つ定着装置FXの下流側にシート搬送方向切り替えガイド装置6が設けられている。シート搬送方向切り替えガイド装置6は図6、図7に示すようにシートは搬送方向を横切る方向に隣合わせて配置された手前側の板状の第1ガイド部61と奥側の板状の第2ガイド部62を含んでいる。
【0057】
ガイド部61は図示省略の部材に回動可能に支持された軸61sに支持されており、制御部Cont’の指示のもとに軸61sを回す駆動部RD1により、手前側シート搬送経路31’で搬送されて来るA5サイズシートS1を第1排出口70へ導く姿勢を取ることができる。図7(C)はこのときのガイド部61の姿勢を示している。
【0058】
ガイド部62は図示省略の部材に回動可能に支持された軸62sに支持されており、制御部Cont’の指示のもとに軸62sを回す駆動部RD2により、奥側シート搬送経路32’で搬送されて来るA5サイズシートS2を第2排出口80へ導く姿勢を取ることができる。図7(C)はこのときのガイド部62の姿勢を示している。
【0059】
また、ガイド部61,62は、制御部Cont’の指示のもとに、シート搬送経路31’、32’を使って1枚ずつ搬送されて来るA4サイズシートを片面画像形成モード時は第1排出口70へ向け案内することもできる。図7(A)はこのときのガイド部61,62の姿勢を示している。また、ガイド部61,62は、制御部Cont’の指示のもとに、シート搬送経路31’、32’を使って1枚ずつ搬送されて来るA4サイズシート或いはシート搬送経路31’、32’のいずれか使って搬送されて来るA5サイズシートを両面画像形成モードにおいて循環搬送路9へ反転搬送するときには、該シートを後述する反転搬送可能な排出装置8へ向け案内することもできる。図7(B)はこのときのガイド部61,62の姿勢を示している。
【0060】
第1排出口70には上流側からシート排出装置7’が臨んでいる。排出装置7’は図3に示す排出装置7において上側ローラ部材71をX,Y方向に往復動させる機構を省略したものであり、到来するシートをX方向にシフトさせることなくそのまま第1排出口70から排出トレイTへ排出する。
【0061】
第2排出口80には上流側からシート排出装置8が臨んでいる。シート排出装置8は図3に示す排出装置7と実質状同構造作用のシート排出装置であり、シフト排出装置を包含している。奥側シート搬送経路32’で搬送されて来るシートS2は制御部Cont’の指示によりガイド部62が図7(C)の姿勢におかれることで排出装置8へ到来し、排出装置8によって排出トレイTの手前側シート積載部t1の方へシフトされつつ排出される。このとき、シートS2はシート搬送経路長の差により先にシート積載部t1に排出されているシートS1に少なくとも一部が重なるように排出される。
【0062】
画像形成装置100’においても、シート供給装置211,212、レジストローラ対4、シート排出装置7’、8等はシート搬送経路31’,32’に沿ってシート供給部2から排出トレイTへ向けシートを搬送するシート搬送装置を構成している。
【0063】
画像形成装置100’によると、手前側シート搬送経路31’を使って画像形成されるシートS1がユーザにとって視認しやすく、取り出しやすい手前側シート積載部t1へ排出されるだけでなく、奥側シート搬送経路32’を使って画像形成されるシートS2も手前側シート積載部t1の方へシフト排出されるので、視認しやすく、取り出しやすい。このような利点を得るにあたり画像形成装置100を格別大型化する必要はない。
【0064】
なお、排出装置8は、必要とあれば、奥側シート搬送経路32’で到来するシートS2を排出トレイTの奥側シート積載部t2へ排出することもできる。
また、シート供給部2のカセット20に例えばA4サイズシートをセットして、1枚ずつシート搬送経路31’、32’へ、それらに跨るように供給し、画像形成後、排出装置7’でシート積載部t1、t2に跨るように排出できる。
【0065】
両面画像形成モードでは、制御部Cont’の指示のもとに、排出装置8は、両面画像形成対象のシートであって片面だけ画像形成されて到来するシートの一部を正転にて一旦排出トレイTへ排出し、ひき続き逆転にて該シートを循環搬送路9へ反転搬送する。循環搬送路9は反転搬送されたシートを搬送ローラ91にて画像形成部1の入口にあるレジストローラ対4へ再供給し、両面画像形成させる。両面画像形成されたシートは排出装置7’又は排出装置8で排出トレイTへ排出される。このとき、シートが奥側シート搬送経路32’を使って画像形成された小サイズシートであれば、トレイTの手前側シート積載部t1へ向け排出される。
【0066】
図8は排出口80に臨むシート排出装置の他の例を示している。この排出装置7”は回転軸を互いに平行にして配置された回転可能な上側の第1ローラ部材71’及び下側の第2ローラ部材72’を含んでいる。
【0067】
第1ローラ部材71’はその回転軸71sに図3の排出装置7における上側ローラ部材71が有しているローラ711と同じローラ711を設けるとともにシート搬送経路32’に対応する軸部分に頭截円錐形状ローラ712も設けたものである。頭截円錐形状ローラ712は手前側シート積載部t1から遠い方の端部外径が該手前側シート積載部t1に近い方の端部外径より大きいローラである。第1ローラ部材71’は駆動部RDにて正転逆転可能である。
【0068】
下側ローラ部材72’は二つのローラ部材R1,R2を含んでいる。一方のローラ部材R1は回転軸7210に図3の排出装置7における下側ローラ部材72が有しているローラ721と同じローラ721を設けたものである。このローラ部材R1は駆動部LD1にてそのローラ721が上側ローラ711に対し接触離隔可能である。接触時、ローラ721はローラ711に従動回転する。
【0069】
他方のローラ部材R2は回転軸7220にローラ部材R1のローラ721と同じローラ722を設けたものである。このローラ部材R2は駆動部LD2にてそのローラ722が上側の頭截円錐形状ローラ712に対し接触離隔可能である。接触時、ローラ722はローラ712に従動回転する。
【0070】
この排出装置7”によると、図8(A)に示すように、駆動部LD1で下側ローラ部材R1のローラ721を上側ローラ部材71’のローラ711に接触させて上側ローラ部材71’を駆動部RDで回転させることで、シートをまっすぐな方向に対してシフトさせることなく搬送でき、両面画像形成モードにおけるシートの正転搬送及び反転搬送等に供することができる。
【0071】
また、図8(B)に示すように、駆動部LD2で下側ローラ部材R2のローラ722を上側ローラ部材71’の頭截円錐形状ローラ712に接触させて上側ローラ部材71’を駆動部RDで回転させることで、シート搬送経路32’で搬送されて来る小サイズシートS2を排出トレイTの手前側シート積載部t1の方へシフトさせつつ排出できる。
【0072】
以上説明した画像形成装置100,100’はタンデム型のカラー画像形成装置であったが、本発明は他のタイプ(例えば所謂4サイクル型)のカラー画像形成装置にも適用でき、また、モノクロ画像形成装置にも適用できる。また、前記画像形成部1は電子写真方式の画像形成部であったが、他のタイプ、例えばインク方式等の画像形成部でもよい。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明は記録用シートを並行に搬送してそれぞれに画像形成できる画像形成装置であって、手前側シート搬送経路で搬送されるシートだけでなく、奥側シート搬送経路で搬送されるシートについても、取り出し易いように手前側へシフトさせつつ排出できる画像形成装置をすることに利用できる。
【符号の説明】
【0074】
100、100’ 画像形成装置
IR 画像読取装置
10 プリンタ部
1 画像形成部
11 中間転写ベルト
Y,M,C,K 画像形成ユニット
2 シート供給部
20 シート収容カセット
211、212 シート供給ローラ装置
31,31’ 手前側シート搬送経路
32,32’ 奥側シート搬送経路
4 レジストローラ対
5 2次転写ローラ
FX 定着装置
6 シート搬送方向切り替え装置
61 第1ガイド部
62 第2ガイド部
70、80 シート排出口
7、7” シフト排出装置を含むシート排出装置
7’ シート排出装置
71、71’ 上側の第1ローラ部材
71s 回転軸
711 外径均一ローラ
710 羽根付ローラ
712 頭截円錐形状ローラ712
72、72’ 下側の第2ローラ部材
R1,R2 下側のローラ部材
72s、7210、7220 回転軸
721、722 外径均一ローラ
T 排出トレイ
t1 手前側シート積載部
t2 奥側シート積載部の
9 シート循環搬送路


【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録用のシートをシート供給部から供給して画像形成部に通すことで該シートに画像を形成し、排出トレイへ排出できる画像形成装置であり、
複数の並行なシート搬送経路のそれぞれに沿って前記シート供給部から前記排出トレイへ向けシートを搬送することができるシート搬送装置を含んでおり、
前記シート搬送装置は前記複数のシート搬送経路のうち予め定めた奥側シート搬送経路で搬送されるシートを予め定めた手前側シート搬送経路で搬送されるシートを積載するための前記排出トレイにおける手前側シート積載部の方へシフト排出できるシフト排出装置を含んでいることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記シート搬送経路としての手前側及び奥側の二つのシート搬送経路と、
前記排出トレイへ前記シートを排出するための第1排出口及び第2排出口を含んでおり、
前記シート搬送装置はシート搬送方向において前記第1排出口及び前記第2排出口の上流側に配置されたシート搬送方向切り替えガイド装置と、前記シートを前記第1排出口から前記手前側シート積載部へ排出できる第1排出装置と、前記シフト排出装置を含んでおり、
前記シフト排出装置は前記シートを前記第2排出口から前記手前側シート積載部の方へシフトさせつつ排出できる装置であり、
前記シート搬送方向切り替えガイド装置は、前記手前側シート搬送経路で搬送されるシートを前記第1排出口へ導くことができる第1ガイド部及び前記奥側シート搬送経路で搬送されるシートを前記第2排出口へ導くことができる第2ガイド部を含んでいる請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記記録用シートの両面に画像形成するための両面画像形成用のシート循環搬送路をさらに有しており、前記シート搬送方向切り替えガイド装置の前記第1ガイド部は前記手前側シート搬送経路で搬送されるシートを前記第1排出口又は前記第2排出口へ導くことができ、前記第2ガイド部は前記奥側シート搬送経路で搬送されるシートを前記第1排出口又は前記第2排出口へ導くことができ、前記第2排出口に臨む前記シフト排出装置は該第2排出口から前記シートを一部排出搬送し、その後該シートを前記シート循環搬送路へ反転搬送することもできる装置であり、前記シート循環搬送路は該反転搬送されたシートを前記画像形成部の入り口へ再供給でき、前記シート搬送方向切り替えガイド装置は、前記画像形成部から到来する片面だけに画像形成された両面画像形成対象のシートを前記シフト排出装置へ案内するガイド装置を兼ねている請求項2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記シフト排出装置は、回転軸を互いに並行にして配置された回転可能な第1ローラ部材と、該第1ローラ部材に対向配置された定位置で回転可能な第2ローラ部材と、前記第1ローラ部材を前記第2ローラ部材と平行に往復動させる往復駆動装置を含んでおり、前記第1及び第2のローラ部材を回転させ、該両ローラ部材のニップで前記シートを挟着しつつ前記第2ローラ部材に対して前記第1ローラ部材を前記手前側シート積載部側へ移動させることで前記シートを該手前側シート積載部の方へシフトさせつつ排出できる装置である請求項1、2又は3記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記シフト排出装置は、回転軸を互いに並行にして配置された回転可能な第1及び第2のローラ部材を含んでおり、前記第1のローラ部材は前記手前側シート積載部から遠い方の端部外径が該手前側シート積載部に近い方の端部外径より大きい頭截円錐形状のローラを含んでおり、前記第2のローラ部材は前記第1ローラ部材の前記頭截円錐形状のローラに対して接触離隔可能な外径均一なローラを含んでおり、前記第1ローラ部材の前記頭截円錐形状のローラに前記第2ローラ部材の前記外径均一なローラを接触させて形成されるニップで前記シートを挟着しつつ搬送することで該シートを前記手前側シート積載部側の方へ斜めにシフトさせつつ排出できる装置である請求項1、2又は3記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記シフト排出装置は、前記の予め定めた手前側シート搬送経路で搬送されて前記手前側シート積載部に排出載置されるシートに少なくとも一部が重なるようにシートを排出する請求項1から5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記画像形成部は電子写真方式により前記シートにトナー画像を形成する画像形成部であり、前記シート上のトナー画像を該シートに定着させる定着装置を含んでいる請求項1から6のいずれか1項に記載の画像形成装置


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−197133(P2012−197133A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−60997(P2011−60997)
【出願日】平成23年3月18日(2011.3.18)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】