説明

画像形成装置

【課題】従来の画像形成装置よりも印刷物の放置を有効に防止することを課題とする。
【解決手段】ジョブ管理部117が印刷ジョブを受け付けたとき、その印刷ジョブを印刷待ちキューに登録する前に、規定時間以内に印刷制御部118が印刷ジョブに係る印刷処理を実行できる即時実行可能状態か否かを判断し、即時実行可能状態でないと判断したとき、当該印刷ジョブを入力したユーザーに対し、その印刷ジョブを無効とするか否かの問合せを行い、その回答を受け付けるまでは印刷ジョブを印刷待ちキューに登録せず、印刷ジョブを有効とする旨の回答を受け付けたときは当該印刷ジョブを印刷待ちキューに登録し、印刷ジョブを無効にする旨の回答を受け付けたときは当該印刷ジョブを印刷待ちキューに記憶しない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成処理によって画像が形成された印刷物を貯留する印刷物貯留手段を備えた複写機、プリンタ、複合機などの画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、ネットワーク上に画像形成装置を接続して、そのネットワークに接続された複数のホスト(パーソナルコンピュータ等)で当該画像形成装置を利用することが一般的に行われている。この場合、複数のユーザーによって単一の画像形成装置が利用されることから、印刷物を出力したユーザーが画像形成装置から印刷物を取り忘れて放置されると、様々な不具合が発生する。例えば、印刷物を放置したユーザーとは別のユーザーが印刷物を取りに行ったときに、当該別のユーザーは自分が出力した印刷物と放置された印刷物とを仕分ける作業を強いられるといった不具合が生じる場合がある。また、放置された印刷物が機密情報を含むものであると、これを他人が入手して機密情報が漏洩するおそれがあるという不具合も生じ得る。したがって、画像形成装置に印刷物が放置されるのを防止できる有効な方法が望まれている。
【0003】
印刷物の放置は、主に、次のような状況において発生しやすい。
近年の画像形成装置は、複数の印刷ジョブ(印刷要求)を受信してスプールあるいは保管しておき、それらの印刷ジョブに基づく印刷処理を順次実行するものが一般的となっている。このような画像形成装置では、多数の印刷ジョブを保持する状況になると、後の方で受信した印刷ジョブに基づく印刷処理が実行されるまでの待機時間はかなり長いものとなる。また、画像形成装置において印刷エラーが生じた場合、印刷処理が中断されるので、この場合も印刷ジョブに基づく印刷処理の待機時間が長くなる。ユーザーは、通常、ホストから自分が印刷要求を出した直後に画像形成装置へ取りに行く場合が多いが、待機時間が長い場合、画像形成装置へ取りに行ったユーザーはすぐに自分が出力した印刷物を受け取ることができない。そのため、その印刷物が出力されるまでの時間を有効活用するために、その待機時間中に別の作業を行うユーザーが多く、この場合、別の作業を行っている間に印刷物を取りに行くことを忘れてしまい、印刷物が画像形成装置に放置されやすい。
【0004】
特許文献1には、印刷物を放置しているユーザーに対して警告・通知を行うことにより、印刷物が放置されるのを防止する画像形成装置が開示されている。この画像形成装置によれば、その警告や通知を受けたユーザーに対して、印刷物を取りに行くことを促すことができるので、印刷物の放置が抑制される。
また、特許文献2には、ホストのプリンタドライバが画像形成装置と双方向通信を行い、画像形成装置のステータス・ジョブ進捗状況を表示する画像形成装置が開示されている。この画像形成装置によれば、そのステータス・ジョブ進捗状況を確認したユーザーに対し、印刷ジョブをキャンセルしたり印刷物を取りに行ったりすることを促すことが可能となり、印刷物の放置が抑制可能である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に開示の画像形成装置では、すでに印刷物を出力した後に警告や通知を行うので、ユーザーがその警告や通知に気付かなかった場合には、印刷物が放置されてしまい、印刷物の放置を有効に防止できない場合がある。
また、上記特許文献2に開示の画像形成装置では、すでに印刷ジョブが画像形成装置に登録された後に、ステータス・ジョブ進捗状況をユーザーが確認するものである。そのため、ユーザーがステータス・ジョブ進捗状況を確認しなかった場合には、そのまま印刷ジョブが登録されたまま忘れられ、その印刷ジョブによっていずれ出力されることになる印刷物は放置されてしまう。よって、上記特許文献2に開示の画像形成装置でも、印刷物の放置を有効に防止できない場合がある。
【0006】
本発明は、以上の背景に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、従来の画像形成装置よりも印刷物の放置を有効に防止し得る新たな画像形成装置を提供することである。
【0007】
なお、特許文献3には、ホスト側でユーザーID等を入力して親展印刷要求を送信した後、ユーザーが画像形成装置の前でユーザーID等を入力する親展印刷操作を行うことにより、その画像形成装置によって親展印刷要求に係る出力用紙が印刷されるという親展印刷機能を備えた印刷システムが開示されている。この印刷システムでは、ホストからの新たな親展印刷要求に対し、同一ユーザーについての古い親展印刷要求がプリントサーバ内にすでに制限数以上登録されている場合、当該新たな親展印刷要求を拒否する。この画像形成装置は、機密性の高い印刷データを含む場合が多い親展印刷要求がプリントサーバ内に長時間格納されたままの状態になると、そこから機密性の高い印刷データが漏洩するおそれが高くなるという課題を解決するために、制限数以上の親展印刷要求がプリントサーバ内に格納されないようにしたものである。この特許文献3には、出力された印刷物の放置という本願の課題については何ら言及されていない。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、印刷要求を受け付ける印刷要求受付手段と、該印刷要求受付手段が受け付けた印刷要求を複数記憶可能な印刷要求記憶手段と、該印刷要求記憶手段に記憶されている複数の印刷要求を順次読み出して、読み出した印刷要求に従って画像形成処理を実行する画像形成処理手段と、該画像形成処理手段による画像形成処理によって画像が形成された印刷物を貯留する印刷物貯留手段とを有する画像形成装置において、上記印刷要求受付手段が印刷要求を受け付けたとき、所定の判断条件に基づいて、規定時間以内に上記画像形成処理手段が該印刷要求に係る画像形成処理を実行できる早期実行可能状態か否かを判断する早期実行判断手段と、上記早期実行判断手段が早期実行可能状態でないと判断したとき、上記印刷要求受付手段が受け付けた印刷要求を入力したユーザーに対し、該印刷要求を無効とするか否かの問合せを行う印刷要求問合手段と、該印刷要求問合手段が行った問合せに対する回答を受け付ける印刷要求回答受付手段と、上記印刷要求回答受付手段が上記回答を受け付けるまでは上記印刷要求に係る画像形成処理の実行を禁止し、該印刷要求回答受付手段が印刷要求を有効とする旨の回答を受け付けたときは該印刷要求に係る画像形成処理の実行を許可し、該印刷要求回答受付手段が印刷要求を無効にする旨の回答を受け付けたときは該印刷要求を破棄する処理を行う印刷要求処理手段とを有することを特徴とするものである。
また、請求項2の発明は、請求項1の画像形成装置において、上記印刷要求問合手段は、上記問合せを行う際、該問合せを行うユーザーに対して、上記規定時間以内に画像形成処理を実行できない理由を示す理由情報を報知することを特徴とするものである。
また、請求項3の発明は、請求項1又は2の画像形成装置において、上記印刷要求回答受付手段が印刷要求を無効にする旨の回答を受け付けた後、早期実行可能状態になったときに、該回答に対応するユーザーに対し、早期実行可能状態になったことを示す早期実行可能通知を報知する早期実行可能通知報知手段を有することを特徴とするものである。
また、請求項4の発明は、請求項3の画像形成装置において、上記早期実行可能通知報知手段は、上記ユーザーのメールアドレス宛に早期実行可能状態になった旨のメッセージを含む電子メールを送信することにより、該ユーザーに対して早期実行可能通知を報知することを特徴とするものである。
また、請求項5の発明は、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の画像形成装置において、上記所定の判断条件は、上記画像形成処理手段が画像形成処理を中断している中断状態であるときに早期実行可能状態でないと判断する条件を含むことを特徴とするものである。
また、請求項6の発明は、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の画像形成装置において、上記印刷要求受付手段が印刷要求を受け付けた時に上記印刷要求記憶手段に記憶されている全印刷要求の内容から、該全印刷要求に係る画像形成処理を完了するまでに要する印刷時間を推定する印刷時間推定手段を有し、上記所定の判断条件は、上記印刷時間推定手段が推定した印刷時間が所定の規定印刷時間以上であるときに早期実行可能状態でないと判断する条件を含むことを特徴とするものである。
また、請求項7の発明は、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の画像形成装置において、上記所定の判断条件は、上記印刷要求受付手段が印刷要求を受け付けた時に上記印刷要求記憶手段に記憶されている印刷要求の数が所定の規定数以上であるときに早期実行可能状態でないと判断する条件を含むことを特徴とするものである。
また、請求項8の発明は、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の画像形成装置において、上記所定の判断条件は、上記印刷要求受付手段が印刷要求を受け付けた時に上記印刷要求記憶手段に記憶されている全印刷要求に係る印刷枚数が所定の規定印刷枚数以上であるときに早期実行可能状態でないと判断する条件を含むことを特徴とするものである。
【0009】
本発明においては、印刷要求を受け付けたとき、早期実行可能状態であるか否かを判断し、早期実行可能状態でないと判断された場合にはユーザーに対して当該印刷要求を有効とするか否かの問合せを行う。この問合せを受けたユーザーは、例えば、今回の印刷要求を有効として印刷物が出力されるのを待つか、それとも、今回の印刷要求を無効にして後でもう一度印刷要求を出し直すか等を判断して、その問合せに対する回答を考えることになる。このとき、ユーザーが今回の印刷要求を無効にする旨の回答をした場合、その印刷要求は破棄され、その印刷要求に係る印刷物が出力されることはない。よって、印刷物の放置が発生することはない。一方、ユーザーが今回の印刷要求を有効にする旨の回答をした場合には、その印刷要求に係る画像形成処理が許可されるので、ユーザーは、少なくとも上記規定時間以上は、その印刷要求に係る印刷物が出力されるのを待つことになる。この場合でも、ユーザーは、印刷要求を有効とするか否かの問合せを受けたことで、少なくとも上記規定時間以上は待たされることにあることを承知して、印刷要求を有効とする回答を行うことになるので、画像形成装置から印刷物が出力されたかどうかを注意する意識が高まり、印刷物の放置がされにくくなることが期待できる。
また、本発明においては、上記問合せに対するユーザーの回答を受け付けるまでは、印刷要求に係る画像形成処理の実行が禁止され、その画像形成処理が実行されることはない。したがって、その問合せにユーザーが気付かなかった場合や、その問合せに対する回答をし忘れたような場合でも、その印刷要求に係る印刷物が出力されることはない。したがって、このような場合であっても、印刷物が放置されることはない。すなわち、印刷物の放置を防止するための警告や通知などをユーザーに知らせる従来の画像形成装置では、これにユーザーが気付かなかった場合には印刷物の放置が発生するところ、本発明によれば、ユーザーが当該問合せに気付かなかった場合でも印刷物の放置が発生することがない。
【発明の効果】
【0010】
以上、本発明によれば、印刷物の放置を防止するための警告や通知などをユーザーに知らせる従来の画像形成装置よりも印刷物の放置を有効に防止することができるという優れた効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】実施形態における印刷システムの全体構成について説明するブロック図である。
【図2】同印刷システムを構成する画像形成装置の制御系について説明するブロック図である。
【図3】ホストから受信する印刷ジョブに対する処理の流れを示すフローチャートである。
【図4】状態制御部が実行する即時性判断処理の設定画面の一例を示す説明図である。
【図5】状態制御部が実行する即時性判断処理の別の設定画面の一例を示す説明図である。
【図6】印刷ジョブの送信元ホストに送信される問合せの内容の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について、1台の画像形成装置100と複数のホストA〜Dとがネットワークを介して接続された印刷システムを例に挙げて説明する。
図1は、本実施形態における印刷システムの全体構成について説明するブロック図である。
本実施形態に係る印刷システムを構成するホストA〜Dは、異なるユーザーによって操作されるパーソナルコンピュータである。このパーソナルコンピュータがローカルエリアネットワーク(LAN)などの通信ネットワークを介して画像形成装置100に接続されている。
【0013】
図2は、画像形成装置100の制御系について説明するブロック図である。
この画像形成装置100は、電子写真方式の画像形成装置でもインクジェット方式の画像形成装置でもその他の方式でもよく、公知の方式を広く採用できる。この画像形成装置100の制御系は、コントローラ110と、画像形成エンジン120とに大別できる。
【0014】
コントローラ110は、各ホストA〜Dと画像形成装置100との仲介となるホストインターフェース(I/F)111と、システム全体の制御などを行うCPU112と、CPU112が実行するプログラムやコントロールパネルの画面イメージなどを記憶しているHDD113と、画像処理ワークなどに使用するRAM114と、コントロールパネルを用いて外部の操作を受け付ける操作部115と、画像形成装置100の状態を制御する状態制御部116と、ホストA〜Dから送られてきた印刷ジョブ(印刷要求)を管理するジョブ管理部117と、印刷処理(画像形成処理)を制御する印刷制御部118と、コントローラ110が画像形成エンジン120を制御する際に仲介となるエンジンI/F119とから構成される。
【0015】
図3は、ホストA〜Dから受信する印刷ジョブに対する処理の流れを示すフローチャートである。
画像形成装置100が、通信ネットワークを介してホストA〜Dから送られてくる印刷ジョブをホストインターフェース(I/F)111で受信すると(S1)、受信したジョブは印刷要求受付手段としてのジョブ管理部117へ送られて、そこで管理される。本実施形態においては、印刷ジョブを受信すると、状態制御部116が、早期実行判断手段として機能し、現在の画像形成装置の状態や保持している印刷ジョブ数などを確認し、受信した印刷ジョブに係る印刷処理を規定時間以内に実行できる早期実行可能状態か否かを判断する(S2)。本実施形態では、この規定時間を比較的短時間に設定しているので、この判断処理を印刷即時性判断処理といい、早期実行可能状態を即時実行可能状態ということにする。なお、この規定時間は、いわゆる印刷処理が完了するまでの待ち時間に相当するものであり、適宜設定される。また、状態制御部116は、ジョブの全体ではなく、ジョブの一部(先頭)部分を受信した時点で早期実行可能状態か否かを判断しても良い。
【0016】
更に、本実施形態の印刷即時性判断処理では、印刷ジョブを受信した状態制御部116は、現在の画像形成装置の状態や保持している印刷ジョブ数などを確認し、受信した印刷ジョブに係る印刷処理を完了するまでに印刷処理の中断が発生することがないかどうか、すなわち、受信した印刷ジョブに係る印刷処理を中断なく完了できるか否かも判断する(S2)。
【0017】
そして、印刷即時性判断処理において印刷処理を即座に実行できる即時実行可能状態であり、かつ、今回の印刷ジョブに係る印刷処理を中断なく完了できると判断された場合(S2のYes)、ジョブ管理部117は、印刷要求処理手段として機能し、ジョブ管理部117内の印刷待ちキュー(印刷要求記憶手段)における印刷待ちキューに、受信した印刷ジョブを登録する(S3)。その後、画像形成処理手段としての印刷制御部118は、印刷待ちキューに登録してある印刷ジョブに従って、画像形成エンジン120を制御して印刷処理を順次実行する(S4)。
【0018】
一方、印刷即時性判断処理において印刷処理を即座に実行できない、すなわち、即時実行可能状態でないと判断された場合、又は、今回の印刷ジョブに係る印刷処理を中断なく完了できないと判断された場合(S2のNo)、状態制御部116は、印刷要求問合手段として機能し、ホストI/F111を介して、当該印刷ジョブの送信元のホスト(ここではホストAとする。)に対して印刷要求を無効とするか否かの問合せを送信する(S5)。この問合せを受信したホストAは、その表示部の画面上に受信した問合せの内容を表示させ、ユーザーに印刷実行の有無を問い合わせる(問合せの詳細については後述する)。この問合せにより、印刷ジョブを指示したホストAのユーザーは、例えば、今回の印刷ジョブを有効とし、指示した印刷の実行を継続して印刷物が出力されるのを待つ、若しくは、途中で印刷が中断される可能性が高くても印刷を実行させるか、それとも、今回の印刷ジョブを無効にし、指示した印刷の実行を止めて後でもう一度印刷実行をし直すかを判断することになる。
【0019】
ユーザーがホストAの操作部を操作して今回の印刷ジョブを有効とする旨の回答を指示すると(S6のNo)、その回答は、通信ネットワークを介して、ホストI/F111から、印刷要求回答受付手段としての状態制御部116に受け付けられる。状態制御部116は、この回答を受け付けると、その旨をジョブ管理部117に通知し、ジョブ管理部117内の印刷待ちキュー(印刷要求記憶手段)における印刷待ちキューに、今回の印刷ジョブを登録させる(S3)。よって、その後、状態制御部116が確認した現在の画像形成装置の状態や保持している印刷ジョブ数などに応じた印刷待ち時間を経た後、今回の印刷ジョブによる印刷処理が実行されて(S4)、その印刷物が画像形成装置100の図示しない排紙トレイ(印刷物貯留手段)に排紙される。
【0020】
一方、ユーザーがホストAの操作部を操作して今回の印刷ジョブを無効とする旨の回答を指示すると(S6のYes)、その回答は、通信ネットワークを介して、ホストI/F111から状態制御部116に受け付けられる。状態制御部116は、この回答を受け付けると、その旨をジョブ管理部117に通知し、今回の印刷ジョブを破棄させる(S7)。これにより、今回の印刷ジョブによる印刷処理が実行されることがないので、その印刷物が待ち時間中に忘れられて放置されてしまう事態が発生することはない。
【0021】
また、本実施形態において、今回の印刷ジョブを無効とする旨の回答を受け付けた状態制御部116は、通知要否問合手段として機能し、ホストI/F111を介して、ホストAに対し、即時実行可能状態になったことを示す印刷即時性保証通知(早期実行可能通知)が必要か否かの問合せを送信する(S8)。この問合せを受信したホストAは、その表示部の画面上に受信した問合せの内容を表示させ、ユーザーに通知の要否を問い合わせる。この問合せを受けたユーザーは、その要否を判断し、ホストAの操作部を操作して回答を指示する。このとき、通知を不要とする旨の回答を指示すると(S9のNo)、その回答は、通信ネットワークを介して、ホストI/F111から、通知要否回答受付手段としての状態制御部116に受け付けられる。状態制御部116は、この回答を受け付けると、そのまま処理を終了する。
【0022】
一方、ユーザーが通知を不要とする旨の回答を指示した場合(S9のYes)、その回答は、通信ネットワークを介してホストI/F111から状態制御部116に受け付けられる。この場合、状態制御部116は、現在の画像形成装置の状態や保持している印刷ジョブ数などを確認し、印刷即時性判断処理において印刷処理を即座に実行できる即時実行可能状態になったか否か、及び/又は、当該印刷ジョブに係る印刷処理を中断なく完了できるようになったか否かを判断する(S10)。即時実行可能状態になっていないと判断した場合又は印刷処理を中断なく完了できるようになっていない場合(S10のNo)、一定時間経過後に(S11)、再び、状態制御部116は即時実行可能状態になったか否か、及び/又は、当該印刷ジョブに係る印刷処理を中断なく完了できるようになったか否かを判断する(S10)。そして、即時実行可能状態になり、かつ、当該印刷ジョブに係る印刷処理を中断なく完了できるようになったと判断された場合(S10のYes)、状態制御部116は、早期実行可能通知報知手段として機能し、ホストI/F111を介して、ホストAに対し、即時実行可能状態になったことを示す印刷即時性保証通知を送信する(S12)。この通知を受けたホストAのユーザーは、現在、印刷ジョブを指示すれば、印刷待ち無く、かつ、印刷が中断されるおそれも少なく、すぐに印刷物を受け取ることができることを把握することができる。よって、この通知を受けて印刷ジョブを指示すれば、画像形成装置100の排紙トレイに印刷物がすぐに出力されるので、ユーザーに放置されることなく受け取られ、印刷物の放置が発生する可能性は低い。
【0023】
なお、印刷即時性保証通知時に、ホストAのユーザーがその通知を確認し、印刷ジョブが送信された場合、画像形成装置100側では、図3のフローチャートのS1の処理が行われる。これは、ユーザーが前回投入したジョブ(即時性判断が行われたジョブ)とは異なる印刷条件(別の用紙サイズ、別の印刷色(モノクロ/カラー)など)のジョブを投入した場合も考慮する必要があるためである。前回と同じジョブの場合は即時印刷が行われる可能性が高い。
【0024】
また、印刷ジョブの破棄(S7)の際、通知要求のユーザー問合せ(S8)で、通知が必要(S9のYes)であれば、印刷ジョブの印刷条件のみを画像形成装置側に保持しておき、即時印刷実行可能(S10)の判断(例えば、当該ジョブの印刷条件がモノクロの場合、カラートナーが無い場合でも印刷即時実行可能と判断)に利用してもよい。また、印刷即時性保証通知(S12)をホストAに送信する場合、或る一定期間(CT)、上記ホストAからのジョブ送信を待ち、そのジョブは、同期間に他のホストから送信されるジョブ等よりも優先して印刷(若しくは排他印刷・割込印刷)しても良い。
【0025】
また、上記一定期間CTは、ホストAのユーザーが通知を確認してもジョブを送信しない場合、または、ユーザーがメール等で送信された印刷即時性保証通知をすぐに確認できない場合等を考慮して、予め画像形成装置側のコントロールパネル等で適宜(例えば5分など)設定される。また、一定期間CT経過後に、ユーザの連絡先を破棄する。
【0026】
また、当該ジョブの印刷条件を、画像形成装置側で保持しない場合(ユーザーの連絡先のみ保持されている場合)、印刷即時性保証通知は、当該画像形成装置が印刷可能となった状態を通知するが、ホストA側で一旦投入したジョブの情報(印刷条件)を保持しておき、ホストAから上記ジョブと同じ印刷条件である旨のフラグを印刷ジョブと共に送信してもよい。この場合、画像形成装置側ではホストAからの印刷で且つ前回即時印刷できなかったジョブであると判別し、優先して印刷する。別のホストからのジョブであっても、ユーザー情報(例えば、前回画像形成装置で保持した連絡先)を印刷ジョブと共に送信すると、前回即時印刷できなかったジョブであると判断して、優先して印刷する。
【0027】
なお、画像形成装置側に保持されたユーザー情報(連絡先)は、具体的な実施の態様に応じて、印刷即時性保証通知をユーザに送信した時点、前回即時印刷できなかったジョブであると判別されたジョブが入力された時点、上記一定期間CT経過後の何れかで破棄されるように設定される。
【0028】
図4は、状態制御部116が実行する即時性判断処理の設定画面の一例を示す説明図である。
状態制御部116は、上述したように、即時性判断処理において、現在の画像形成装置の状態や保持している印刷ジョブ数などを確認して、印刷処理を即座に実行できる状態(即時実行可能状態)か否かを判断する。
【0029】
この即時性判断処理における即時実行可能状態か否かの判断条件として、本実施形態では、トナーエンド、ペーパーエンド、ジャム、故障などが原因で印刷制御部118が印刷処理を中断している中断状態であるとき(この状態を「エラー」という。)に、即時実行可能状態でないと判断するという条件を含めることができる。このようなエラーの状態は、所定のリカバリ作業を行わないと印刷処理を再開できないので、通常は即時実行可能状態でないと判断される。この判断条件は、コントロールパネルに表示されている図4に示す設定画面上でユーザーが「エラー」のチェックボックスをON/OFFして画面右下の「決定」ボタンを押下することで、これを即時性判断処理の判断条件に含ませるか否かを設定できる。
【0030】
また、本実施形態では、即時性判断処理における即時実行可能状態か否かの判断条件として、画像形成装置100の印刷待ちキューに登録されている印刷ジョブの内容からおおよその印刷時間を推定し、推定した印刷時間が規定印刷時間以上であるときに即時実行可能状態でないと判断するという条件を含めることができる。この判断条件も、コントロールパネルに表示されている図4に示す設定画面上でユーザーが「印刷時間」のチェックボックスをON/OFFして画面右下の「決定」ボタンを押下することで、これを即時性判断処理の判断条件に含ませるか否かを設定できる。また、この設定画面上で、ユーザーは上記規定印刷時間を独自に設定することができる。
【0031】
また、本実施形態では、即時性判断処理における即時実行可能状態か否かの判断条件として、画像形成装置100の印刷待ちキューに登録されている印刷ジョブ数が規定数以上であるときに即時実行可能状態でないと判断するという条件を含めることができる。この判断条件も、コントロールパネルに表示されている図4に示す設定画面上でユーザーが「印刷要求数」のチェックボックスをON/OFFして画面右下の「決定」ボタンを押下することで、これを即時性判断処理の判断条件に含ませるか否かを設定できる。また、この設定画面上で、ユーザーは上記規定数を独自に設定することができる。
【0032】
また、本実施形態では、即時性判断処理における即時実行可能状態か否かの判断条件として、画像形成装置100の印刷待ちキューに登録されている印刷ジョブから部数とページ数を取得して印刷ページの総数を導出し、この印刷ページ総数が規定印刷枚数以上であるときに即時実行可能状態でないと判断するという条件を含めることができる。この判断条件も、コントロールパネルに表示されている図4に示す設定画面上でユーザーが「印刷ページ数」のチェックボックスをON/OFFして画面右下の「決定」ボタンを押下することで、これを即時性判断処理の判断条件に含ませるか否かを設定できる。また、この設定画面上で、ユーザーは上記規定印刷枚数を独自に設定することができる。
【0033】
図5は、状態制御部116が実行する即時性判断処理の別の設定画面の一例を示す説明図である。
状態制御部116は、即時性判断処理において、上述したように、現在の画像形成装置の状態や保持している印刷ジョブ数などを確認して、受信した印刷ジョブに係る印刷処理を中断なく完了できるか否かを判断する。
【0034】
この即時性判断処理において印刷処理を中断なく完了できるか否かの判断条件として、本実施形態では、現在のトナー残量と、印刷待ちキューに登録されている印刷ジョブ及び今回の印刷ジョブに係る印刷処理において消費される予想トナー量とを比較して、これらの印刷処理の途中でトナーエンドが発生すると判定したときに、印刷処理を中断なく完了できないと判断するという条件を含めることができる。この判断条件は、コントロールパネルに表示されている図5に示す設定画面上でユーザーが「トナー残量」のチェックボックスをON/OFFして画面右下の「決定」ボタンを押下することで、これを、印刷処理を中断なく完了できるか否かの判断条件に含ませるか否かを設定できる。
【0035】
また、本実施形態では、即時性判断処理において印刷処理を中断なく完了できるか否かの判断条件として、現在の用紙残量と、印刷待ちキューに登録されている印刷ジョブ及び今回の印刷ジョブに係る印刷処理において印刷される印刷枚数とを比較して、これらの印刷処理の途中でペーパーエンドが発生すると判定したときに、印刷処理を中断なく完了できないと判断するという条件を含めることができる。この判断条件は、コントロールパネルに表示されている図5に示す設定画面上でユーザーが「用紙残量」のチェックボックスをON/OFFして画面右下の「決定」ボタンを押下することで、これを、印刷処理を中断なく完了できるか否かの判断条件に含ませるか否かを設定できる。
【0036】
また、本実施形態では、即時性判断処理において印刷処理を中断なく完了できるか否かの判断条件として、故障予測処理によって予測される故障発生時期が、印刷待ちキューに登録されている印刷ジョブ及び今回の印刷ジョブに係る印刷処理において印刷される印刷処理の途中で到来するすると判定したときに、印刷処理を中断なく完了できないと判断するという条件を含めることができる。この判断条件は、コントロールパネルに表示されている図5に示す設定画面上でユーザーが「故障予測」のチェックボックスをON/OFFして画面右下の「決定」ボタンを押下することで、これを、印刷処理を中断なく完了できるか否かの判断条件に含ませるか否かを設定できる。
【0037】
本実施形態では、印刷処理を中断なく完了できるか否かの判断を行うために、画像形成装置100内に、受信した印刷ジョブのページ数、トナー残量、1ページあたりのトナー使用量、用紙残量、ユニットの寿命、ユニットの使用率などの情報を取得するための手段が搭載されている。受信した印刷ジョブのページ数は、例えば、印刷ジョブのヘッダ情報にページ数情報を含めることで認識することができる。また、トナー残量は、例えば、トナーの積載量とセンサーの検知結果から算出することができる。また、1ページあたりのトナー使用量は、例えば、1ページあたりの平均使用量をパラメータとして保持しておく。印刷ジョブの内容から画像面積率の情報を導出し、その画像面積率の情報から1ページあたりのトナー使用量を算出することも可能である。また、用紙残量は、例えば画像形成装置100の給紙トレイの積載枚数とセンサーの検知結果から算出することができる。ユニットの寿命は、例えば、寿命を迎えることになる累積画像形成枚数などのカウント値を用いることができる。また、ユニットの使用率は、現在までの累積画像形成枚数のカウント値を用いることができる。
【0038】
図5に示す設定画面において「トナー残量」のチェックボックスがONされると、上述したトナー残量と1ページあたりのトナー使用量とから、あと何ページ印刷可能かを判定し、受信したジョブのページ数がその判定結果より少ない場合には印刷処理を中断なく完了できると判断し、受信したジョブのページ数がその判定結果以上である場合には印刷処理を中断なく完了できないと判断する。
また、図5に示す設定画面において「用紙残量」のチェックボックスがONされると、上述した用紙残量から、あと何ページ印刷可能かを判定し、受信したジョブのページ数がその判定結果より少ない場合には印刷処理を中断なく完了できると判断し、受信したジョブのページ数がその判定結果以上である場合には印刷処理を中断なく完了できないと判断する。
また、図5に示す設定画面において「故障予測」のチェックボックスがONされると、ユニットの寿命とユニットの使用率とから、あと何ページ印刷可能かを判定し、受信したジョブのページ数がその判定結果より少ない場合には印刷処理を中断なく完了できると判断し、受信したジョブのページ数がその判定結果以上である場合には印刷処理を中断なく完了できないと判断する。
【0039】
図6は、印刷即時性判断処理において即時実行可能状態でないと判断されたとき又は印刷処理を中断なく完了できないと判断されたときに、当該印刷ジョブの送信元ホストAに送信される問合せの内容(ホストAの表示部に表示される画面)の一例を示す説明図である。
図6に示す画面例では、印刷要求を無効とするか否かの問合せと(S5)、印刷即時性保証通知の要否の問合せ(S8)とを、一画面で行う例である。「印刷処理を実行しますか?」という第1の問合せは、印刷要求を無効とするか否かの問合せに相当し、「印刷処理の即時性を確認できた場合、そのことを連絡しますか?」という第2の問合せは、印刷即時性保証通知の要否の問合せに相当する。
なお、ここでは、これらの2つの問合せを一度の問合せ処理で実現する例について説明するが、図3に示したフローチャートのようにこれらの問合せを個別に処理してもよい。
【0040】
上記の問合せにあたって、印刷処理を即時に実行することができない理由が画像形成装置100のエラーである場合、画像形成装置100は、そのエラー情報も併せてユーザーに提供することが望ましい。このエラーの理由の一例としては、「用紙なし」、「トナーなし」、「ジャム発生」、「ユニットの寿命」、「ユニットの故障」等が挙げられる。これらの状態は、ユーザーによって、エラー解消できる場合とできない場合とがある。ユーザーは、即時印刷ができない理由が画像形成装置100のエラーであり、そのエラー情報を確認して当該エラーを解除できないと判断した場合には、上記の問合せに対し、印刷処理を実行しない旨の回答をする。また、万一、そのエラーを解除できると考えたユーザーがジョブを送信した後にそのエラーを解除できなかった場合を想定し、そのエラー解除を試みているユーザーに対し、あらためて画像形成装置のコントロールパネル等を介して印刷処理を実行するかどうかを確認してもよい。
【0041】
図6に示す画面がホストAの表示部に表示されると、ユーザーは、今回の印刷ジョブを有効とするときは、第1の問合せに対して「はい」をチェックして、画面右下の「決定」ボタンを押す。すると、このユーザーによる指示内容が回答として画像形成装置100へ送信される。
【0042】
一方、ユーザーは、今回の印刷ジョブを無効とするときは、第1の問合せに対して「いいえ」をチェックして、第2の問合せに対する回答へ移る。この第2の問合せにおいて、ユーザーは、印刷即時性保証通知を要するときは、第2の問合せに対して「はい」をチェックして、その通知先として「連絡先」の欄に電子メールアドレスを記入し、「決定」ボタンを押下する。すると、第1の問合せ及び第2の問合せに対する2つの回答並びに連絡先の電子メールアドレスが画像形成装置100へ送信される。その結果、状態制御部116が印刷即時性保証通知を送信する際(S12)、その電子メールアドレス宛に、印刷即時性保証通知の内容が電子メールで送信される。一方、印刷即時性保証通知を不要とするときは、第2の問合せに対して「いいえ」をチェックして、画面右下の「決定」ボタンを押す。すると、第1の問合せ及び第2の問合せに対する2つの回答が画像形成装置100へ送信される。
【0043】
以上、本実施形態に係る画像形成装置100は、印刷要求を受け付ける印刷要求受付手段としてのジョブ管理部117と、ジョブ管理部117が受け付けた印刷要求を複数記憶可能な印刷要求記憶手段としての印刷待ちキュー(印刷待ちキュー)と、その印刷待ちキューに登録されている複数の印刷ジョブ(印刷要求)を順次読み出して、読み出した印刷ジョブに従って印刷処理(画像形成処理)を実行する画像形成処理手段としての印刷制御部118と、印刷制御部118による印刷処理によって画像が形成された印刷物を貯留する印刷物貯留手段としての排紙トレイとを有する画像形成装置である。この画像形成装置100は、ジョブ管理部117が印刷ジョブを受け付けたとき、所定の判断条件に基づいて、規定時間以内に印刷制御部118が印刷ジョブに係る印刷処理を実行できる即時実行可能状態(早期実行可能状態)か否かを判断する早期実行判断手段、即時実行可能状態でないと判断したとき、ジョブ管理部117が受け付けた印刷ジョブを入力したユーザーに対し、当該印刷ジョブを無効とするか否かの問合せを行う印刷ジョブ問合手段、及び、その問合せに対する回答を受け付ける印刷ジョブ回答受付手段として機能する状態制御部116と、状態制御部116がこの回答を受け付けるまでは印刷ジョブを印刷待ちキューに登録しないことにより当該印刷ジョブに係る画像形成処理の実行を禁止し、状態制御部116が印刷ジョブを有効とする旨の回答を受け付けたときは当該印刷ジョブを印刷待ちキューに登録して当該印刷ジョブに係る画像形成処理の実行を許可し、印刷ジョブを無効にする旨の回答を受け付けたときは当該印刷ジョブを印刷待ちキューに記憶せずに破棄する画像形成処理手段としてのジョブ管理部117とを有している。この画像形成装置100によれば、印刷物の放置を有効に防止することができる。
なお、本実施形態では、画像形成処理の実行を禁止する方法として、印刷ジョブを印刷待ちキューに登録しないという方法を採用しているが、印刷ジョブを印刷待ちキューに登録したまま当該印刷ジョブに係る画像形成処理の実行を禁止するような他の方法であってもよい。
また、本実施形態において、状態制御部116は、上記問合せを行う際、その問合せを行うユーザーに対して、即座に印刷処理を実行できない理由を示す理由情報を報知するようにしてもよい。問合せを受けたユーザーが今回の印刷ジョブを無効にするか否かを判断する際、今回の印刷ジョブに係る印刷物が出力されるまでの待ち時間を実際の待ち時間よりも短く見積もってしまうと、予定しているよりも長い時間、自分の印刷物が出力されるのを待つことになる。この場合、従来の画像形成装置と同様、その待ち時間中に別の作業を行っているうちに印刷物を取りに行くことを忘れてしまい、印刷物が画像形成装置に放置される結果を招くおそれがある。上記問合せを行う際に、即座に印刷処理を実行できない理由を示す理由情報をユーザーに報知すれば、ユーザーは、その理由情報の内容から、今回の印刷ジョブに係る印刷物が出力されるまでの待ち時間を、その理由情報がない場合よりも高い精度で推定することが可能となる。よって、ユーザーが見積もった待ち時間よりも長い待ち時間が発生することに起因した印刷物の放置が抑制される。
また、本実施形態において、状態制御部116は、印刷ジョブを無効にする旨の回答を受け付けた後、即時実行可能状態になったときに、当該回答に対応するユーザーに対し、即時実行可能状態になったことを示す印刷即時性保証通知(早期実行可能通知)を報知する早期実行可能通知報知手段として機能する。よって、このように、印刷ジョブを無効としたユーザーに対し、後で即時実行可能状態になったことを知らせることで、ユーザーは、即座に(少ない待ち時間で)印刷できる時期に、無効とした印刷ジョブを再度実行して印刷処理を行うことができる。特に、再度印刷ジョブを実行するまでに他の印刷ジョブが登録されていなければ、この通知を受けた時期にユーザーが再度印刷ジョブを実行することで、印刷ジョブを有効とする旨の回答をして印刷処理を待つ場合とほとんど同時期に、印刷物を得ることができる。
なお、本実施形態において、状態制御部116は、印刷ジョブを無効にする旨の回答を受け付けたときに、印刷ジョブを入力したユーザーに対し、即時実行可能状態になったことを示す印刷即時性保証通知が必要か否かの問合せを行う通知要否問合手段、その問合せに対する回答を受け付ける通知要否回答受付手段、及び、即時実行可能状態になったとき、印刷即時性保証通知を必要としない旨の回答を受け付けたユーザーに対しては印刷即時性保証通知を報知せず、印刷即時性保証通知を必要とする旨の回答を受け付けたユーザーに対しては印刷即時性保証通知を報知する早期実行可能通知報知手段として機能する。よって、通知を不要としたユーザーには、印刷即時性保証通知が報知されないので、ユーザーの利便性が向上する。
また、本実施形態においては、ユーザーのメールアドレス宛に即時実行可能状態になった旨のメッセージを含む電子メールを送信することにより、当該ユーザーに対して印刷即時性保証通知を報知する。一般に、電子メールを高い頻度で確認するユーザーが多いので、印刷即時性保証通知をより確実かつ早期にユーザーに対して報知することが可能となる。
また、本実施形態において、即時性判断条件は、印刷制御部118が印刷処理を中断している中断状態(エラー)であるときに即時実行可能状態でないと判断する条件を含んでいる。このような状態は、所定のリカバリ作業を行わないと印刷処理を再開できないので、いつ印刷処理を完了できるかが不透明であり、印刷物が放置される可能性が高い状態である。よって、これを即時性判断の条件に含ませることで、印刷物が放置される可能性を有効に下げることができる。
また、本実施形態において、ジョブ管理部117が印刷ジョブを受け付けた時に印刷待ちキューに記憶されている全印刷ジョブの内容から、全印刷ジョブに係る印刷処理を完了するまでに要する印刷時間を推定し、即時性判断条件には、推定した印刷時間が所定の規定印刷時間以上であるときに即時実行可能状態でないと判断する条件を含ませる。このような状態は、当該印刷ジョブに係る印刷物の出力が完了するまでに当該規定印刷時間以上は待ち時間がかかってしまうので、その待ち時間中に印刷物が出力されることを忘れてしまい、印刷物が放置される可能性が高い。よって、これを即時性判断の条件に含ませることで、印刷物が放置される可能性を有効に下げることができる。
また、本実施形態において、即時性判断条件には、ジョブ管理部117が印刷ジョブを受け付けた時に印刷待ちキューに記憶されている印刷ジョブの数が所定の規定数以上であるときに即時実行可能状態でないと判断する条件が含まれている。このような状態は、当該印刷ジョブに係る印刷物の出力が完了するまでに当該規定数の印刷ジョブに係る印刷処理を実行するのに要する時間分の待ち時間が発生するので、その待ち時間中に印刷物が出力されることを忘れてしまい、印刷物が放置される可能性が高い。よって、これを即時性判断の条件に含ませることで、印刷物が放置される可能性を有効に下げることができる。
また、本実施形態において、即時性判断条件には、ジョブ管理部117が印刷ジョブを受け付けた時に印刷待ちキューに記憶されている全印刷ジョブに係る印刷枚数が所定の規定印刷枚数以上であるときに即時実行可能状態でないと判断する条件が含まれる。このような状態は、当該印刷ジョブに係る印刷物の出力が完了するまでに当該規定印刷枚数の印刷に要する時間分の待ち時間が発生するので、その待ち時間中に印刷物が出力されることを忘れてしまい、印刷物が放置される可能性が高い。よって、これを即時性判断の条件に含ませることで、印刷物が放置される可能性を有効に下げることができる。
【符号の説明】
【0044】
100 画像形成装置
110 コントローラ
111 ホストI/F
112 CPU
113 HDD
114 RAM
115 操作部
116 状態制御部
117 ジョブ管理部
118 印刷制御部
119 エンジンI/F
120 画像形成エンジン
【先行技術文献】
【特許文献】
【0045】
【特許文献1】特開2008−260162号公報
【特許文献2】特開平8−305520号公報
【特許文献3】特開2003−131854号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷要求を受け付ける印刷要求受付手段と、
該印刷要求受付手段が受け付けた印刷要求を複数記憶可能な印刷要求記憶手段と、
該印刷要求記憶手段に記憶されている複数の印刷要求を順次読み出して、読み出した印刷要求に従って画像形成処理を実行する画像形成処理手段と、
該画像形成処理手段による画像形成処理によって画像が形成された印刷物を貯留する印刷物貯留手段とを有する画像形成装置において、
上記印刷要求受付手段が印刷要求を受け付けたとき、所定の判断条件に基づいて、規定時間以内に上記画像形成処理手段が該印刷要求に係る画像形成処理を実行できる早期実行可能状態か否かを判断する早期実行判断手段と、
上記早期実行判断手段が早期実行可能状態でないと判断したとき、上記印刷要求受付手段が受け付けた印刷要求を入力したユーザーに対し、該印刷要求を無効とするか否かの問合せを行う印刷要求問合手段と、
該印刷要求問合手段が行った問合せに対する回答を受け付ける印刷要求回答受付手段と、
上記印刷要求回答受付手段が上記回答を受け付けるまでは上記印刷要求に係る画像形成処理の実行を禁止し、該印刷要求回答受付手段が印刷要求を有効とする旨の回答を受け付けたときは該印刷要求に係る画像形成処理の実行を許可し、該印刷要求回答受付手段が印刷要求を無効にする旨の回答を受け付けたときは該印刷要求を破棄する処理を行う印刷要求処理手段とを有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1の画像形成装置において、
上記印刷要求問合手段は、上記問合せを行う際、該問合せを行うユーザーに対して、上記規定時間以内に画像形成処理を実行できない理由を示す理由情報を報知することを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1又は2の画像形成装置において、
上記印刷要求回答受付手段が印刷要求を無効にする旨の回答を受け付けた後、早期実行可能状態になったときに、該回答に対応するユーザーに対し、早期実行可能状態になったことを示す早期実行可能通知を報知する早期実行可能通知報知手段を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項3の画像形成装置において、
上記早期実行可能通知報知手段は、上記ユーザーのメールアドレス宛に早期実行可能状態になった旨のメッセージを含む電子メールを送信することにより、該ユーザーに対して早期実行可能通知を報知することを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の画像形成装置において、
上記所定の判断条件は、上記画像形成処理手段が画像形成処理を中断している中断状態であるときに早期実行可能状態でないと判断する条件を含むことを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の画像形成装置において、
上記印刷要求受付手段が印刷要求を受け付けた時に上記印刷要求記憶手段に記憶されている全印刷要求の内容から、該全印刷要求に係る画像形成処理を完了するまでに要する印刷時間を推定する印刷時間推定手段を有し、
上記所定の判断条件は、上記印刷時間推定手段が推定した印刷時間が所定の規定印刷時間以上であるときに早期実行可能状態でないと判断する条件を含むことを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の画像形成装置において、
上記所定の判断条件は、上記印刷要求受付手段が印刷要求を受け付けた時に上記印刷要求記憶手段に記憶されている印刷要求の数が所定の規定数以上であるときに早期実行可能状態でないと判断する条件を含むことを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか1項に記載の画像形成装置において、
上記所定の判断条件は、上記印刷要求受付手段が印刷要求を受け付けた時に上記印刷要求記憶手段に記憶されている全印刷要求に係る印刷枚数が所定の規定印刷枚数以上であるときに早期実行可能状態でないと判断する条件を含むことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−210798(P2012−210798A)
【公開日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−86956(P2011−86956)
【出願日】平成23年4月11日(2011.4.11)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】