画像形成装置
【課題】軽量化とコストダウン及び組付性の向上を図ることができるとともに、部品の破損を防ぐことができる画像形成装置を提供すること。
【解決手段】画像形成装置本体に着脱可能に取り付けられ、用紙を搬送する複数のローラに回転動力を伝達するギヤ列をピン4を介してハウジング2に回転可能に支持して構成されるドライブユニットを備えた画像形成装置において、前記ハウジング2を樹脂ハウジングで構成するとともに、該樹脂ハウジング2に形成されたボス5の周囲に溝8を形成して該ボス5の一部に薄肉円筒部5aを形成し、該薄肉円筒部5aの内周に抜け止めリブ7を全周に亘って突設し、前記ピン4を前記ボス5のピン挿通孔6に差し込み、該ピン4の外周に形成された係合溝4bに前記ボス5の薄肉円筒部5aに突設された抜け止めリブ7を係合させることによってピン4を樹脂ハウジング2に固定する。
【解決手段】画像形成装置本体に着脱可能に取り付けられ、用紙を搬送する複数のローラに回転動力を伝達するギヤ列をピン4を介してハウジング2に回転可能に支持して構成されるドライブユニットを備えた画像形成装置において、前記ハウジング2を樹脂ハウジングで構成するとともに、該樹脂ハウジング2に形成されたボス5の周囲に溝8を形成して該ボス5の一部に薄肉円筒部5aを形成し、該薄肉円筒部5aの内周に抜け止めリブ7を全周に亘って突設し、前記ピン4を前記ボス5のピン挿通孔6に差し込み、該ピン4の外周に形成された係合溝4bに前記ボス5の薄肉円筒部5aに突設された抜け止めリブ7を係合させることによってピン4を樹脂ハウジング2に固定する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、用紙等の記録材を搬送する複数のローラに回転動力を伝達するギヤ列を樹脂ハウジングに回転可能に支持して構成されるドライブユニットを備えた画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式を採用する複写機やプリンタ等の画像形成装置においては、用紙等の記録材は複数の搬送ローラによって本体内の搬送経路に沿って搬送され、その過程で画像が形成されるが、複数の搬送ローラは、駆動源である電動モータからギヤ列を経て伝達される回転動力によって回転駆動される。
【0003】
ところで、駆動源である電動モータ、該電動モータの回転動力を搬送ローラに伝達するギヤ列、該ギヤ列による動力伝達を断接する電磁クラッチ等をまとめてハウジングに収容してドライブユニットとしてユニット化し、このドライブユニットを本体の側部に着脱可能に取り付ける構成を採用した画像形成装置が提案されている。
【0004】
斯かるドライブユニットに設けられるギヤ列を構成する各ギヤは、ハウジングとは別体のピンによって支持されているが、ピンは板金製のハウジングにかしめによって取り付けられていた。或は、図11に示すように、ハウジングにボス105を形成し、このボス105の中心に貫設されたピン挿通孔106の内周に複数(図示例では3つ)の抜け止め用の突起107を突設し、不図示のピンをボス105のピン挿通孔106に差し込み、該ピンの外周に形成された係合溝にボス105のピン挿通孔106の内周に突設された突起107を係合させることによってピンのハウジングからの抜けを防ぐ構成が採用されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−205964号公報
【特許文献2】特開平7−160172号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来のようにドライブユニットのハウジングを板金製とし、各ギヤを支持するピンを金属製とするとドライブユニットが高重量化するとともに、金属ピンのハウジングへのかしめ工程を要するためにコストアップを招くという問題があった。
【0007】
又、図11に示すように、ハウジングのボス105に貫設されたピン挿通孔106の内周に複数の突起107を突設し、これらの突起107を不図示のピンの外周に形成された係合溝に係合させることによってピンのハウジングからの抜けを防ぐ構成では、ピンをボス105のピン挿通孔106に差し込む際に突起107が折損してハウジング内に入り込んでしまう可能性があった。
【0008】
本発明は上記問題に鑑みてなされたもので、その目的とする処は、ドライブユニットの軽量化とコストダウン及び組付性の向上を図ることができるとともに、部品の破損を防ぐことができる画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明は、画像形成装置本体に着脱可能に取り付けられ、用紙を搬送する複数のローラに回転動力を伝達するギヤ列をピンを介してハウジングに回転可能に支持して構成されるドライブユニットを備えた画像形成装置において、前記ハウジングを樹脂ハウジングで構成するとともに、該樹脂ハウジングに形成されたボスの周囲に溝を形成して該ボスの一部に薄肉円筒部を形成し、該薄肉円筒部の内周に抜け止めリブを全周に亘って突設し、前記ピンを前記ボスのピン挿通孔に差し込み、該ピンの外周に形成された係合溝に前記ボスの薄肉円筒部に突設された抜け止めリブを係合させることによってピンを樹脂ハウジングに固定するドライブユニットを備えたことを特徴とする。
【0010】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記ドライブユニットの前記ピンを樹脂ピンとしたことを特徴とする。
【0011】
請求項3記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記ドライブユニットの前記ピンをこれに掛かる負荷の大きさに応じて樹脂ピン又は金属ピンとしたことを特徴とする。
【0012】
請求項4記載の発明は、請求項1〜3の何れかに記載の発明において、前記ドライブユニットの前記ピンの半固定側端部を画像形成装置本体側で支持することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1記載の発明によれば、ドライブユニットのハウジングを軽量な樹脂ハウジングとしたため、該ドライブユニット及びこれを備えた画像形成装置の軽量化とコストダウンを図ることができる。又、ドライブユニットのピンを従来のかしめ方式に代えて差し込み方式によって樹脂ハウジングに固定するようにしたため、従来のかしめ工程が不要となり、ドライブユニットの組付性が高められるとともに、組付工数の削減によってドライブユニット及びこれを備えた画像形成装置のコストダウンが図られる。そして、ドライブユニットにおいては、樹脂ハウジングに形成されたボスの周囲に溝を形成して該ボスの一部に弾性変形し易い薄肉円筒部を形成し、該薄肉円筒部の内周に抜け止めリブを全周に亘って突設したため、ピンをボスのピン挿通孔に差し込んで固定する際にボスの薄肉円筒部が容易に変形する。このため、ピンは薄肉円筒部の内周に突設された抜け止めリブを容易に乗り越えることができ、該ピンの外周に形成された係合溝に抜け止めリブが係合することによってピンを樹脂ハウジングに確実に固定することができる。この場合、抜け止めリブはボスの薄肉円筒部の内周に全周に亘って突設されているため、ピンが抜け止めリブを乗り越えるときに該リブの全体に応力が均一に作用し、リブには過大な応力が局部的に作用することがない。従って、リブの破損が防がれ、その破片が樹脂ハウジング内に入り込むという不具合の発生が防がれる。
【0014】
請求項2記載の発明によれば、ドライブユニットのピンも軽量な樹脂ピンとしたため、該ドライブユニット及びこれを備えた画像形成装置の更なる軽量化が図られる。
【0015】
請求項3記載の発明によれば、ドライブユニットのピンに作用する負荷に応じて樹脂ピン又は金属ピンを選択することができ、大きな負荷が作用するピンには強度の高い金属ピンを使用し、大きな負荷が作用しないピンには軽量な樹脂ピンを使用することによって耐久性の向上と軽量化を実現することができる。
【0016】
請求項4記載の発明によれば、ドライブユニットにおいてピンの反固定側側部を画像形成装置本体側で支持するようにしたため、該ピンが両持ちによって確実に支持され、これに支持されるギヤの倒れ等が確実に防がれる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係る画像形成装置のドライブユニットと画像形成装置本体の斜視図である。
【図2】本発明に係る画像形成装置のドライブユニットの斜視図である。
【図3】本発明に係る画像形成装置のドライブユニットの斜視図である。
【図4】ドライブユニットにおいてピンを取り付ける前の樹脂ハウジングの部分斜視図である。
【図5】ドライブユニットにおいてピンを取り付けた後の樹脂ハウジングの部分斜視図である。
【図6】本発明に係る画像形成装置に備えられたドライブユニットの樹脂ハウジングに形成されたボスの表面側斜視図である。
【図7】本発明に係る画像形成装置に備えられたドライブユニットの樹脂ハウジングに形成されたボスの裏面側斜視図である。
【図8】ドライブユニットのピンの斜視図である。
【図9】ドライブユニットにおいてピンを取り付ける前の樹脂ハウジングのボス部断面図である。
【図10】ドライブユニットにおいてピンを取り付けた後の樹脂ハウジングのボス部断面図である。
【図11】従来のドライブユニットのボス形状を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0019】
図1は本発明に係る画像形成装置のドライブユニットと画像形成装置本体の斜視図、図2及び図3はドライブユニットの斜視図である。
【0020】
本発明に係る画像形成装置は、図1に示すように、本体フレーム100に対して着脱可能に組み付けられ他ドライブユニットを1を備えており、該ドライブユニット1によって画像形成装置本体内に配された不図示のピックアップローラ、フィードローラ、リタードローラ、搬送ローラ、レジストローラ対、搬送ローラ対、排紙ローラ対等の各種ローラが回転駆動される。
【0021】
而して、ドライブユニット1は、図2及び図3に示すように、本体側ユニット1Aと反本体側ユニット1Bに2分割されており、図2に示すように、本体側ユニット1Aの本体フレーム100に対向する面(図2の手前側の面)には複数のギヤGが回転可能に支持され、これらは各種ローラに動力を伝達するギヤ列を構成している。尚、図示しないが、同様に反本体側ユニット1Bの本体側ユニット1Aに対向する面にも複数のギヤが回転可能に支持され、これらは各種ローラに動力を伝達するギヤ列を構成している。
【0022】
而して、反本体側ユニット1Bに突設された不図示の位置決めボスを本体側ユニット1Aに形成された不図示の位置決め孔に嵌合させ、両ユニット1A,1Bを位置決めして接合することによって図示のドライブユニット1が組み立てられ、このドライブユニット1は前述のように画像形成装置の本体フレーム100に対して着脱可能に組み付けられる。
【0023】
ここで、ドライブユニット1の本体側ユニット1Aと反本体側ユニット1Bは、樹脂ハウジング2,3をそれぞれ備えており、これらの樹脂ハウジング2,3は、ABS樹脂やPOM(ポリアセタール)等の熱可塑性樹脂による射出成形によって製造される。この射出成形においては、熱可塑性樹脂を加熱筒内で溶融させ、溶融した樹脂を複数のゲートから金型内のキャビティに所定の圧力で射出することが行われる。
【0024】
ところで、図2に示すように、例えば本体側ユニット1Aに設けられた複数のギヤGは、樹脂ハウジング2に取り付けられたピン4によって回転可能に支持されているが、各ピン4は、従来のかしめ方式に代えて差し込み方式によって樹脂ハウジング2に取り付けられている。以下、ピン4の樹脂ハウジング2への固定構造を図4〜図10に基づいて説明する。
【0025】
図4はピンを取り付ける前の樹脂ハウジングの部分斜視図、図5はピンを取り付けた後の樹脂ハウジングの部分斜視図、図6は樹脂ハウジングに形成されたボスの表面側斜視図、図7は同ボスの裏面側斜視図、図8はピンの斜視図、図9はピンを取り付ける前の樹脂ハウジングのボス部断面図、図10はピンを取り付けた後の樹脂ハウジングのボス部断面図である。
【0026】
図4に示すように、本体側ユニット1Aの樹脂ハウジング2のギヤGが配置される複数箇所には、図8に示すピン4を挿入固定するためのボス5が形成されている。ここで、各ボス5の表面側(本体フレーム100側)は、図6に示すように、樹脂ハウジング2の表面からリング状に突出しており、その中心にはピン4が挿入されるための切欠円状のピン挿通孔6が形成されている。即ち、ピン挿通孔6の内周の一部には平坦面6aが形成され、ピン挿通孔6は切欠円状を成している。そして、このピン挿通孔6の平坦面6aを除く内周面には抜け止めリブ7が全周に亘って一体に突設されている。
【0027】
又、図7及び図9に示すように、樹脂ハウジング2の裏面側(反本体フレーム100側)のボス5の周囲には溝8が形成されており、ボス5の裏面側に面する部位は表面側に対して薄肉である薄肉円筒部5aを形成しており、その内部にピン挿通孔6が貫設されている。このため、ボス5の薄肉円筒部5aは弾性変形し易く、この部分に前記抜け止めリブ7が形成されている。
【0028】
他方、図8に示すように、ピン4の軸方向両端、即ち、先端側にはギヤ抜け止め用の係合溝4aが形成され、反対側の基端側にはピン抜け止め用の係合溝4bとDカット4cが形成されている。
【0029】
而して、ピン4は次の要領で樹脂ハウジング2のボス5に挿入固定される。即ち、ピン4を基端側を先にして樹脂ハウジング2のボス5に形成されたピン挿通孔6に表面側から差し込む。このとき、ピン4の基端側に形成されたDカット4cとボス5のピン挿通孔6に形成された平坦面6aとを一致させ、両者が嵌合することによってピン4の回り止めがなされる。
【0030】
上述のようにピン4をボス5のピン挿通孔6に差し込むと、該ピン4はボス5のピン挿通孔6の内周に突設された抜け止めリブ7を乗り越えるが、前述のように樹脂ハウジング2の裏面側(反本体フレーム100側)のボス5の周囲には溝8が形成されており(図7参照)、ボス5の裏面側に面する部位は表面側に対して薄肉の薄肉円筒部5aを形成しているため、ボス5の薄肉円筒部5aは他の部位に比較して弾性変形し易い。そして、この弾性変形し易い薄肉円筒部5aに抜け止めリブ7が突設されているため、ピン4は抜け止めリブ7を容易に乗り越え、その基端部の外周に形成された係合溝4bに抜け止めリブ7が容易に係合してピン4がボス5(樹脂ハウジング2)に固定され、そのボス5からの抜けが確実に防がれる(図5及び図10参照)。
【0031】
而して、上記要領によってピン4が樹脂ハウジング2のボス5に挿入固定されると、このピン4にギヤGが挿通されて該ギヤGがピン4によって回転可能に支持され、該ギヤGの中心に貫設された不図示の円孔の内周に突設された不図示の突起がピン4の先端部外周に形成された係合溝4a(図8参照)に係合することによってギヤGのピン4からの抜けが防がれる。尚、ピン4の先端部(反固定側端部)は本体フレーム100によって支持されるため、該ピン4は両持ちによって確実に支持され、これに支持されるギヤGの倒れ等が確実に防がれる。
【0032】
以上において、本実施の形態では、ドライブユニット1のハウジングとして軽量な樹脂ハウジング2,3を用いたため、ドライブユニット1の軽量化とコストダウンが図られる。
【0033】
又、ピン4を従来のかしめ方式に代えて差し込み方式によって樹脂ハウジング2に固定するようにしたため、従来のかしめ工程が不要となり、ドライブユニット1の組付性が高められるとともに、組付工数の削減によってコストダウンが図られる。
【0034】
そして、樹脂ハウジング2に形成されたボス5の周囲に溝8を形成して該ボス5の一部に弾性変形が容易な薄肉円筒部5aを形成し、該薄肉円筒部5aの内周に抜け止めリブ7を全周に亘って突設したため、ピン4をボス5のピン挿通孔6に差し込んで固定する際にボス5の薄肉円筒部5aが容易に変形する。このため、ピン4は、薄肉円筒部5aの内周に突設された抜け止めリブ7を容易に乗り越えることができ、該ピン4の外周に形成された係合溝4bに抜け止めリブ7が係合することによってピン4を樹脂ハウジング2に確実に固定することができる。この場合、抜け止めリブ7はボス2の薄肉円筒部5aのピン挿通孔6の内周に全周に亘って突設されているため、ピン4が抜け止めリブ7を乗り越えるときに該リブ7の全体に応力が均一に作用し、リブ7には過大な応力が局部的に作用することがない。従って、リブ7の破損が防がれ、その破片が樹脂ハウジング2内に入り込むという不具合の発生が防がれる。
【0035】
尚、本実施の形態では、ピン4も軽量な樹脂ピンとしたため、ドライブユニット1の更なる軽量化が図られるが、ピン4に作用する負荷に応じて樹脂ピン又は金属ピンを選択しても良い。例えば、大きな負荷が作用するピン4には強度の高い金属ピンを使用し、大きな負荷が作用しないピン4には軽量な樹脂ピンを使用することによって耐久性の向上と軽量化を実現することができる。
【符号の説明】
【0036】
1 ドライブユニット
1A 本体側ユニット
1B 反本体側ユニット
2,3 樹脂ハウジング
4 ピン
4a ギヤ抜け止め用の係合溝
4b ピン抜け止め用の係合溝
4c ピンのDカット
5 ボス
5a ボスの薄肉円筒部
6 ピン挿通孔
6a ピン挿通孔の平坦面
7 抜け止めリブ
8 溝
100 本体フレーム
G ギヤ
【技術分野】
【0001】
本発明は、用紙等の記録材を搬送する複数のローラに回転動力を伝達するギヤ列を樹脂ハウジングに回転可能に支持して構成されるドライブユニットを備えた画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式を採用する複写機やプリンタ等の画像形成装置においては、用紙等の記録材は複数の搬送ローラによって本体内の搬送経路に沿って搬送され、その過程で画像が形成されるが、複数の搬送ローラは、駆動源である電動モータからギヤ列を経て伝達される回転動力によって回転駆動される。
【0003】
ところで、駆動源である電動モータ、該電動モータの回転動力を搬送ローラに伝達するギヤ列、該ギヤ列による動力伝達を断接する電磁クラッチ等をまとめてハウジングに収容してドライブユニットとしてユニット化し、このドライブユニットを本体の側部に着脱可能に取り付ける構成を採用した画像形成装置が提案されている。
【0004】
斯かるドライブユニットに設けられるギヤ列を構成する各ギヤは、ハウジングとは別体のピンによって支持されているが、ピンは板金製のハウジングにかしめによって取り付けられていた。或は、図11に示すように、ハウジングにボス105を形成し、このボス105の中心に貫設されたピン挿通孔106の内周に複数(図示例では3つ)の抜け止め用の突起107を突設し、不図示のピンをボス105のピン挿通孔106に差し込み、該ピンの外周に形成された係合溝にボス105のピン挿通孔106の内周に突設された突起107を係合させることによってピンのハウジングからの抜けを防ぐ構成が採用されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−205964号公報
【特許文献2】特開平7−160172号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来のようにドライブユニットのハウジングを板金製とし、各ギヤを支持するピンを金属製とするとドライブユニットが高重量化するとともに、金属ピンのハウジングへのかしめ工程を要するためにコストアップを招くという問題があった。
【0007】
又、図11に示すように、ハウジングのボス105に貫設されたピン挿通孔106の内周に複数の突起107を突設し、これらの突起107を不図示のピンの外周に形成された係合溝に係合させることによってピンのハウジングからの抜けを防ぐ構成では、ピンをボス105のピン挿通孔106に差し込む際に突起107が折損してハウジング内に入り込んでしまう可能性があった。
【0008】
本発明は上記問題に鑑みてなされたもので、その目的とする処は、ドライブユニットの軽量化とコストダウン及び組付性の向上を図ることができるとともに、部品の破損を防ぐことができる画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明は、画像形成装置本体に着脱可能に取り付けられ、用紙を搬送する複数のローラに回転動力を伝達するギヤ列をピンを介してハウジングに回転可能に支持して構成されるドライブユニットを備えた画像形成装置において、前記ハウジングを樹脂ハウジングで構成するとともに、該樹脂ハウジングに形成されたボスの周囲に溝を形成して該ボスの一部に薄肉円筒部を形成し、該薄肉円筒部の内周に抜け止めリブを全周に亘って突設し、前記ピンを前記ボスのピン挿通孔に差し込み、該ピンの外周に形成された係合溝に前記ボスの薄肉円筒部に突設された抜け止めリブを係合させることによってピンを樹脂ハウジングに固定するドライブユニットを備えたことを特徴とする。
【0010】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記ドライブユニットの前記ピンを樹脂ピンとしたことを特徴とする。
【0011】
請求項3記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記ドライブユニットの前記ピンをこれに掛かる負荷の大きさに応じて樹脂ピン又は金属ピンとしたことを特徴とする。
【0012】
請求項4記載の発明は、請求項1〜3の何れかに記載の発明において、前記ドライブユニットの前記ピンの半固定側端部を画像形成装置本体側で支持することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1記載の発明によれば、ドライブユニットのハウジングを軽量な樹脂ハウジングとしたため、該ドライブユニット及びこれを備えた画像形成装置の軽量化とコストダウンを図ることができる。又、ドライブユニットのピンを従来のかしめ方式に代えて差し込み方式によって樹脂ハウジングに固定するようにしたため、従来のかしめ工程が不要となり、ドライブユニットの組付性が高められるとともに、組付工数の削減によってドライブユニット及びこれを備えた画像形成装置のコストダウンが図られる。そして、ドライブユニットにおいては、樹脂ハウジングに形成されたボスの周囲に溝を形成して該ボスの一部に弾性変形し易い薄肉円筒部を形成し、該薄肉円筒部の内周に抜け止めリブを全周に亘って突設したため、ピンをボスのピン挿通孔に差し込んで固定する際にボスの薄肉円筒部が容易に変形する。このため、ピンは薄肉円筒部の内周に突設された抜け止めリブを容易に乗り越えることができ、該ピンの外周に形成された係合溝に抜け止めリブが係合することによってピンを樹脂ハウジングに確実に固定することができる。この場合、抜け止めリブはボスの薄肉円筒部の内周に全周に亘って突設されているため、ピンが抜け止めリブを乗り越えるときに該リブの全体に応力が均一に作用し、リブには過大な応力が局部的に作用することがない。従って、リブの破損が防がれ、その破片が樹脂ハウジング内に入り込むという不具合の発生が防がれる。
【0014】
請求項2記載の発明によれば、ドライブユニットのピンも軽量な樹脂ピンとしたため、該ドライブユニット及びこれを備えた画像形成装置の更なる軽量化が図られる。
【0015】
請求項3記載の発明によれば、ドライブユニットのピンに作用する負荷に応じて樹脂ピン又は金属ピンを選択することができ、大きな負荷が作用するピンには強度の高い金属ピンを使用し、大きな負荷が作用しないピンには軽量な樹脂ピンを使用することによって耐久性の向上と軽量化を実現することができる。
【0016】
請求項4記載の発明によれば、ドライブユニットにおいてピンの反固定側側部を画像形成装置本体側で支持するようにしたため、該ピンが両持ちによって確実に支持され、これに支持されるギヤの倒れ等が確実に防がれる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係る画像形成装置のドライブユニットと画像形成装置本体の斜視図である。
【図2】本発明に係る画像形成装置のドライブユニットの斜視図である。
【図3】本発明に係る画像形成装置のドライブユニットの斜視図である。
【図4】ドライブユニットにおいてピンを取り付ける前の樹脂ハウジングの部分斜視図である。
【図5】ドライブユニットにおいてピンを取り付けた後の樹脂ハウジングの部分斜視図である。
【図6】本発明に係る画像形成装置に備えられたドライブユニットの樹脂ハウジングに形成されたボスの表面側斜視図である。
【図7】本発明に係る画像形成装置に備えられたドライブユニットの樹脂ハウジングに形成されたボスの裏面側斜視図である。
【図8】ドライブユニットのピンの斜視図である。
【図9】ドライブユニットにおいてピンを取り付ける前の樹脂ハウジングのボス部断面図である。
【図10】ドライブユニットにおいてピンを取り付けた後の樹脂ハウジングのボス部断面図である。
【図11】従来のドライブユニットのボス形状を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0019】
図1は本発明に係る画像形成装置のドライブユニットと画像形成装置本体の斜視図、図2及び図3はドライブユニットの斜視図である。
【0020】
本発明に係る画像形成装置は、図1に示すように、本体フレーム100に対して着脱可能に組み付けられ他ドライブユニットを1を備えており、該ドライブユニット1によって画像形成装置本体内に配された不図示のピックアップローラ、フィードローラ、リタードローラ、搬送ローラ、レジストローラ対、搬送ローラ対、排紙ローラ対等の各種ローラが回転駆動される。
【0021】
而して、ドライブユニット1は、図2及び図3に示すように、本体側ユニット1Aと反本体側ユニット1Bに2分割されており、図2に示すように、本体側ユニット1Aの本体フレーム100に対向する面(図2の手前側の面)には複数のギヤGが回転可能に支持され、これらは各種ローラに動力を伝達するギヤ列を構成している。尚、図示しないが、同様に反本体側ユニット1Bの本体側ユニット1Aに対向する面にも複数のギヤが回転可能に支持され、これらは各種ローラに動力を伝達するギヤ列を構成している。
【0022】
而して、反本体側ユニット1Bに突設された不図示の位置決めボスを本体側ユニット1Aに形成された不図示の位置決め孔に嵌合させ、両ユニット1A,1Bを位置決めして接合することによって図示のドライブユニット1が組み立てられ、このドライブユニット1は前述のように画像形成装置の本体フレーム100に対して着脱可能に組み付けられる。
【0023】
ここで、ドライブユニット1の本体側ユニット1Aと反本体側ユニット1Bは、樹脂ハウジング2,3をそれぞれ備えており、これらの樹脂ハウジング2,3は、ABS樹脂やPOM(ポリアセタール)等の熱可塑性樹脂による射出成形によって製造される。この射出成形においては、熱可塑性樹脂を加熱筒内で溶融させ、溶融した樹脂を複数のゲートから金型内のキャビティに所定の圧力で射出することが行われる。
【0024】
ところで、図2に示すように、例えば本体側ユニット1Aに設けられた複数のギヤGは、樹脂ハウジング2に取り付けられたピン4によって回転可能に支持されているが、各ピン4は、従来のかしめ方式に代えて差し込み方式によって樹脂ハウジング2に取り付けられている。以下、ピン4の樹脂ハウジング2への固定構造を図4〜図10に基づいて説明する。
【0025】
図4はピンを取り付ける前の樹脂ハウジングの部分斜視図、図5はピンを取り付けた後の樹脂ハウジングの部分斜視図、図6は樹脂ハウジングに形成されたボスの表面側斜視図、図7は同ボスの裏面側斜視図、図8はピンの斜視図、図9はピンを取り付ける前の樹脂ハウジングのボス部断面図、図10はピンを取り付けた後の樹脂ハウジングのボス部断面図である。
【0026】
図4に示すように、本体側ユニット1Aの樹脂ハウジング2のギヤGが配置される複数箇所には、図8に示すピン4を挿入固定するためのボス5が形成されている。ここで、各ボス5の表面側(本体フレーム100側)は、図6に示すように、樹脂ハウジング2の表面からリング状に突出しており、その中心にはピン4が挿入されるための切欠円状のピン挿通孔6が形成されている。即ち、ピン挿通孔6の内周の一部には平坦面6aが形成され、ピン挿通孔6は切欠円状を成している。そして、このピン挿通孔6の平坦面6aを除く内周面には抜け止めリブ7が全周に亘って一体に突設されている。
【0027】
又、図7及び図9に示すように、樹脂ハウジング2の裏面側(反本体フレーム100側)のボス5の周囲には溝8が形成されており、ボス5の裏面側に面する部位は表面側に対して薄肉である薄肉円筒部5aを形成しており、その内部にピン挿通孔6が貫設されている。このため、ボス5の薄肉円筒部5aは弾性変形し易く、この部分に前記抜け止めリブ7が形成されている。
【0028】
他方、図8に示すように、ピン4の軸方向両端、即ち、先端側にはギヤ抜け止め用の係合溝4aが形成され、反対側の基端側にはピン抜け止め用の係合溝4bとDカット4cが形成されている。
【0029】
而して、ピン4は次の要領で樹脂ハウジング2のボス5に挿入固定される。即ち、ピン4を基端側を先にして樹脂ハウジング2のボス5に形成されたピン挿通孔6に表面側から差し込む。このとき、ピン4の基端側に形成されたDカット4cとボス5のピン挿通孔6に形成された平坦面6aとを一致させ、両者が嵌合することによってピン4の回り止めがなされる。
【0030】
上述のようにピン4をボス5のピン挿通孔6に差し込むと、該ピン4はボス5のピン挿通孔6の内周に突設された抜け止めリブ7を乗り越えるが、前述のように樹脂ハウジング2の裏面側(反本体フレーム100側)のボス5の周囲には溝8が形成されており(図7参照)、ボス5の裏面側に面する部位は表面側に対して薄肉の薄肉円筒部5aを形成しているため、ボス5の薄肉円筒部5aは他の部位に比較して弾性変形し易い。そして、この弾性変形し易い薄肉円筒部5aに抜け止めリブ7が突設されているため、ピン4は抜け止めリブ7を容易に乗り越え、その基端部の外周に形成された係合溝4bに抜け止めリブ7が容易に係合してピン4がボス5(樹脂ハウジング2)に固定され、そのボス5からの抜けが確実に防がれる(図5及び図10参照)。
【0031】
而して、上記要領によってピン4が樹脂ハウジング2のボス5に挿入固定されると、このピン4にギヤGが挿通されて該ギヤGがピン4によって回転可能に支持され、該ギヤGの中心に貫設された不図示の円孔の内周に突設された不図示の突起がピン4の先端部外周に形成された係合溝4a(図8参照)に係合することによってギヤGのピン4からの抜けが防がれる。尚、ピン4の先端部(反固定側端部)は本体フレーム100によって支持されるため、該ピン4は両持ちによって確実に支持され、これに支持されるギヤGの倒れ等が確実に防がれる。
【0032】
以上において、本実施の形態では、ドライブユニット1のハウジングとして軽量な樹脂ハウジング2,3を用いたため、ドライブユニット1の軽量化とコストダウンが図られる。
【0033】
又、ピン4を従来のかしめ方式に代えて差し込み方式によって樹脂ハウジング2に固定するようにしたため、従来のかしめ工程が不要となり、ドライブユニット1の組付性が高められるとともに、組付工数の削減によってコストダウンが図られる。
【0034】
そして、樹脂ハウジング2に形成されたボス5の周囲に溝8を形成して該ボス5の一部に弾性変形が容易な薄肉円筒部5aを形成し、該薄肉円筒部5aの内周に抜け止めリブ7を全周に亘って突設したため、ピン4をボス5のピン挿通孔6に差し込んで固定する際にボス5の薄肉円筒部5aが容易に変形する。このため、ピン4は、薄肉円筒部5aの内周に突設された抜け止めリブ7を容易に乗り越えることができ、該ピン4の外周に形成された係合溝4bに抜け止めリブ7が係合することによってピン4を樹脂ハウジング2に確実に固定することができる。この場合、抜け止めリブ7はボス2の薄肉円筒部5aのピン挿通孔6の内周に全周に亘って突設されているため、ピン4が抜け止めリブ7を乗り越えるときに該リブ7の全体に応力が均一に作用し、リブ7には過大な応力が局部的に作用することがない。従って、リブ7の破損が防がれ、その破片が樹脂ハウジング2内に入り込むという不具合の発生が防がれる。
【0035】
尚、本実施の形態では、ピン4も軽量な樹脂ピンとしたため、ドライブユニット1の更なる軽量化が図られるが、ピン4に作用する負荷に応じて樹脂ピン又は金属ピンを選択しても良い。例えば、大きな負荷が作用するピン4には強度の高い金属ピンを使用し、大きな負荷が作用しないピン4には軽量な樹脂ピンを使用することによって耐久性の向上と軽量化を実現することができる。
【符号の説明】
【0036】
1 ドライブユニット
1A 本体側ユニット
1B 反本体側ユニット
2,3 樹脂ハウジング
4 ピン
4a ギヤ抜け止め用の係合溝
4b ピン抜け止め用の係合溝
4c ピンのDカット
5 ボス
5a ボスの薄肉円筒部
6 ピン挿通孔
6a ピン挿通孔の平坦面
7 抜け止めリブ
8 溝
100 本体フレーム
G ギヤ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置本体に着脱可能に取り付けられ、用紙を搬送する複数のローラに回転動力を伝達するギヤ列をピンを介してハウジングに回転可能に支持して構成されるドライブユニットを備えた画像形成装置において、
前記ハウジングを樹脂ハウジングで構成するとともに、該樹脂ハウジングに形成されたボスの周囲に溝を形成して該ボスの一部に薄肉円筒部を形成し、該薄肉円筒部の内周に抜け止めリブを全周に亘って突設し、前記ピンを前記ボスのピン挿通孔に差し込み、該ピンの外周に形成された係合溝に前記ボスの薄肉円筒部に突設された抜け止めリブを係合させることによってピンを樹脂ハウジングに固定するドライブユニットを備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記ドライブユニットの前記ピンを樹脂ピンとしたことを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記ドライブユニットの前記ピンをこれに掛かる負荷の大きさに応じて樹脂ピン又は金属ピンとしたことを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記ドライブユニットの前記ピンの半固定側端部を画像形成装置本体側で支持することを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の画像形成装置。
【請求項1】
画像形成装置本体に着脱可能に取り付けられ、用紙を搬送する複数のローラに回転動力を伝達するギヤ列をピンを介してハウジングに回転可能に支持して構成されるドライブユニットを備えた画像形成装置において、
前記ハウジングを樹脂ハウジングで構成するとともに、該樹脂ハウジングに形成されたボスの周囲に溝を形成して該ボスの一部に薄肉円筒部を形成し、該薄肉円筒部の内周に抜け止めリブを全周に亘って突設し、前記ピンを前記ボスのピン挿通孔に差し込み、該ピンの外周に形成された係合溝に前記ボスの薄肉円筒部に突設された抜け止めリブを係合させることによってピンを樹脂ハウジングに固定するドライブユニットを備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記ドライブユニットの前記ピンを樹脂ピンとしたことを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記ドライブユニットの前記ピンをこれに掛かる負荷の大きさに応じて樹脂ピン又は金属ピンとしたことを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記ドライブユニットの前記ピンの半固定側端部を画像形成装置本体側で支持することを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−230418(P2012−230418A)
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−166449(P2012−166449)
【出願日】平成24年7月27日(2012.7.27)
【分割の表示】特願2008−158713(P2008−158713)の分割
【原出願日】平成20年6月18日(2008.6.18)
【出願人】(000006150)京セラドキュメントソリューションズ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年7月27日(2012.7.27)
【分割の表示】特願2008−158713(P2008−158713)の分割
【原出願日】平成20年6月18日(2008.6.18)
【出願人】(000006150)京セラドキュメントソリューションズ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】
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