説明

画像形成装置

【課題】
駆動源を大型化することなく、連続して搬送するシートの間を狭くして搬送することができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】
画像形成部4よりもシート搬送方向の上流側に配置され、画像形成動作とタイミングを合わせてシートを画像形成部に搬送するレジストローラ18と、レジストローラ18よりもシート搬送方向上流側の複数箇所にシートを停止させる停止位置を設定し、停止位置で搬送されるシートを一旦停止させた後、所定のタイミングでレジストローラ18へ向けて搬送する制御を行う制御部23と、を有し、制御部23は、連続してシートを搬送する場合に、第1の停止位置でシートを停止させている間に、次に搬送されてくるシートを前記第1の停止位置よりもシート搬送方向の上流において前記搬送路に設定された第2の停止位置まで搬送させて停止させるように前記搬送手段を制御するように制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートを連続して搬送して画像形成するときのシートのスループットを、駆動源を大型化することなく向上させることができる画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複写機、プリンタ、ファクシミリ、或いはこれらの複合機等の画像形成装置では、多数枚のシートを積載してこれを1枚ずつ分離給送可能なシート給送装置をオプションとして取り付け可能としているものがある。
【0003】
このようなシート給送装置は、図5に示すように、多数枚のシートをシート積載部に積載し、これを給送ローラ100や分離ローラ101によって最上部のシートから1枚ずつ分離給送する。そして給送されたシートをそれぞれローラ対で構成された搬送ローラ102,103,104,105により画像形成装置本体へ送り込み、画像形成部106において画像形成する。
【0004】
このとき、画像形成装置本体では、連続して搬送されるシートを一旦停止させた後、所定のタイミングで画像形成部へ向けて搬送することでシート相互の間隔(紙間)を調整するプレレジストレイション動作(以下「プレレジスト動作」という)を行う。このために、シートパスセンサ107によるシート先端の検知タイミングに基づいて搬送ローラ105の回転を一旦停止させる。これにより、搬送ローラ105で挟持搬送中のシートの先端を搬送路上の所定位置で停止させ、所定時間経過後に再び搬送ローラ105の回転を開始する制御を行う。
【0005】
大容量のシートを積載するシート給送装置では、シート先端が正規の積載位置にあるシートばかりではない。すなわち、分離ローラ101によって大容量デッキに戻され、シート先端が給送ローラ100の近傍にあるなどのシートや、給送ローラ100の近傍にあるシートなどについても給送する。このため、給送開始時におけるシート先端位置にはばらつきがあり、このばらつきを画像形成部の直前にあるレジストレイションローラ(以下、レジストローラという)108の手前で無くす必要がある(最大想定時間ばらつきTT)。
【0006】
具体的には、図6に示すように、シート先端がシートパスセンサ107に検知された後の搬送路上の所定位置Aに来るタイミングで、搬送ローラ105を一旦停止させて、シート先端の停止位置を確定させる。そして、レジストローラ108にシート先端が到着すると予想される時間B(B=(レジストローラ108までの距離C)/(レジストローラ108に到達するまでの搬送ローラ105のシート搬送速度β))を算出する。そして、搬送ローラ105を再スタートさせる制御を行っていた。
【0007】
このとき、最大想定時間ばらつきTTを十分吸収できるだけの所定時間TR(TT<TR)経過後に搬送ローラ105を再スタートさせる制御を行っているのでばらつきがキャンセルされる。
【0008】
その後、シートは、レジストレイション前ローラ(以下、レジスト前ローラという)109を経由して、停止中のレジストローラ108に到達し、画像形成タイミングに合わせてレジストローラ108が一定プロセス速度αで回転を開始することで、画像形成部に送り込まれ、トナー画像が転写される。
【0009】
ここで、複数枚のシートを連続して搬送するとき、2枚目以降のシートについての給送を開始するタイミングとしては、前のシートが搬送ローラ105を再スタートした時から一定時間経過後に開始される。これは、シートを所定のタイミングで画像形成部へ搬送するために、搬送されるシートを一旦停止させる位置(以下「プレレジスト位置」という)Aにおいて、前のシートの後端に、次のシートの先端がぶつからないようにするためである。
【0010】
このように、従来の複写機では、シート給送部でのシート先端位置のばらつきを、上述のようなプレレジストレイション動作(以下、プレレジスト動作という)を行うことで除去して、シート先端位置を確定させ、安定してレジストローラ18に送るようにしていた。
【0011】
また、プレレジスト動作により搬送路中でシートを一旦停止させた場合でも、前のシートに追いつけるようにする必要がある。このために、画像形成部でのシート搬送速度(レジストローラ108のプロセス速度α)よりも、シート給送部からレジストローラ108までの搬送路中での搬送速度βの方が速い設定となっていた(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2002−29649
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、従来の画像形成装置では、画像形成の生産性を上げようとするとプレレジスト位置でのシート間が最も狭くなり、これを避けようと、図7のシート搬送ダイアグラムに示すように、シート搬送速度βを上げる必要がある。
【0014】
そのためには、各搬送ローラを駆動する駆動モータを大型化しなければならず、また各搬送ローラを支える摺動部も高速回転に耐えるものが必要となり、コストアップにつながっていた。
【0015】
本発明は上記点に鑑みてなされたものであり、その目的は、ローラ等を駆動する駆動源を大型化することなく、連続画像形成のために連続して搬送するシートの間を狭くして搬送することができる画像形成装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記課題を解決するための本発明は、シートを給送するシート給送手段と、前記シート給送手段により給送されたシートに画像を形成する画像形成部と、前記シート給送手段と前記画像形成部との間に配置されるシートの搬送路と、前記搬送路に設けられ、シートを搬送する搬送手段と、前記画像形成部よりもシート搬送方向の上流において前記搬送路に配置され、前記画像形成部の画像形成動作とタイミングを合わせてシートを前記画像形成部に搬送するレジストレイション手段と、前記レジストレイション手段よりもシート搬送方向の上流において前記搬送路に設定され、前記搬送手段により搬送されてくるシートを停止させる第1の停止位置と、前記第1の停止位置よりもシート搬送方向の上流において前記搬送路に設定され、前記搬送手段により搬送されてくるシートを停止させる第2の停止位置と、前記搬送手段を制御して、前記第1及び第2の停止位置で、搬送されてくるシートを一旦停止させた後、搬送を開始する制御を行う制御部と、を有し、前記制御部は、連続してシートを搬送する場合に、前記第1の停止位置でシートを停止させている間に、次に搬送されてくるシートを前記第2の停止位置まで搬送させて停止させるように前記搬送手段を制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明にあっては、第1の停止位置で搬送されてくるシートを停止させているときに、シートパスにおけるシート搬送方向の上流に設定された第2の停止位置で次に搬送されてくるシートを停止させるため、次のシートを早いタイミングで送り出すことができる。このため、シート間隔を狭く確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施形態のデジタル複合複写機の概略構成図である。
【図2】B5サイズシート搬送のダイアグラムである。
【図3】A4サイズシート搬送のダイアグラムである。
【図4】A3サイズシート搬送のダイアグラムである。
【図5】従来例のシート搬送構成の説明図である。
【図6】従来のシート搬送のダイアグラムである。
【図7】従来のシート搬送のダイアグラムである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
次に本発明の実施形態に係る画像形成装置について、複写機に適用した場合の例を用いて説明する。
【0020】
[画像形成装置の全体構成]
まず、本実施形態に係る画像形成装置の全体構成について、図1を参照して画像形成動作とともに説明する。図1に示す画像形成装置は、シートに画像を形成するための画像形成装置本体Aに、オプションとしてのシート給送装置Bが装着されている。シート給送装置Bは画像形成装置本体Aにシートを搬送する大容量のシートデッキである。
【0021】
(画像形成装置本体)
画像形成装置本体Aは、電子写真方式によりシートにトナー像を形成する複写機として構成されている。装置本体の上部には原稿自動送り装置1が配置され、これによって原稿を読取装置2に搬送して原稿記載情報を光学的に読み取るとともに、デジタル信号に変換して露光部3に伝送する。前記読み取り情報に基づいて画像形成部4においてシートに画像を形成する。
【0022】
画像形成部4は感光ドラム5が回転可能に設けられており、その周囲に感光ドラム5を帯電する帯電器6、静電潜像をトナー現像する現像器7、感光ドラム上のトナー像をシートに転写する転写バイアスを印加する転写帯電器8、トナー像転写後の感光ドラム5に残留したトナーを除去するクリーニング部9が配置されている。画像形成に際しては、感光ドラム5が回転し、帯電器6により一様に帯電された感光ドラム5に前記露光部3から画像情報に応じたレーザ光を照射して走査することで静電潜像を形成する。この静電潜像を現像器7によってトナー現像して可視像化する。
【0023】
上記画像形成と同期してシートが画像形成部に搬送される。画像形成装置本体Aの下部にはシート給送部としてデッキ10,11やシートカセット12,13が装着されており、これらにシートが装填されている。そして、画像形成に際しては選択されたデッキ10,11、又はシートカセット12,13から給送ローラ14、分離ローラ15によってシートが1枚ずつ分離給送される。そして給送されたシートは搬送ローラ16、レジスト前ローラ17により、停止しているレジストローラ18へと搬送される。
【0024】
レジストローラ18は、画像形成動作とタイミングを合わせてシートを画像形成部に搬送するレジストレイション手段となるものである。このレジストローラ18にシート先端を突き当て、ループを形成することでシートの斜行を補正した後、前述した画像形成タイミングに合わせてレジストローラ18が回転してシートを画像形成部4に搬送する。
【0025】
そして、転写帯電器8にバイアス印加することで感光ドラム5に形成したトナー像を搬送されたシートに転写し、そのシートを定着器19に搬送して加熱、加圧することでトナー像をシートに定着する。そして、トナー像が定着されたシートを排出ローラ20によって排出トレイ21に排出する。なお、両面印刷する場合には、前記のようにして表面印刷されたシートを反転搬送路22に搬送して再度画像形成部に搬送することで、裏面印刷して排出する。
【0026】
(シート給送装置)
本実施形態の複写機では、画像形成部4へシートを給送するシート給送装置Bが装置本体Aに取り付けてある。このシート給送装置Bは昇降可能な積載台30に多数枚のシートSが積載されている。積載台30は、積載されたシートの最上面が常に一定の高さとなるように昇降する。
【0027】
積載台30に積載されたシートは、最上位のシートから給送ローラ31によって給送され、分離ローラ32によって1枚ずつ分離給送される。画像形成部4へ搬送されるシートの搬送路上の複数箇所であって、レジストローラ18よりもシート搬送方向上流側(以下、単に「上流側」という)に、シート給送手段となるローラ対で構成された搬送ローラが配置されている。本実施形態では、シート搬送方向下流側(以下、単に「下流側」という)から上流側に順に第1搬送ローラ33、第2搬送ローラ34、第3搬送ローラ35、第4搬送ローラ36が配設されている。これら各搬送ローラ33,34,35,36は、所定のタイミングで回転、回転停止することで搬送されるシートを一旦停止させた後、所定のタイミングでレジストローラ18へ向けて搬送するプレレジスト動作を行うものである。すなわち、本実施形態では搬送されるシートがプレレジスト動作するために停止する停止位置が複数箇所に設定されている。
【0028】
また、搬送されるシートの先端及び後端を検知するためのシートパスセンサ37,38,39,40が前記各搬送ローラ33,34,35,36の上流側近傍に配置されている。また、第4搬送ローラ36の下流側近傍にもシートパスセンサ41が配置されている。さらに、レジストローラ18の上流側近傍にもシート先端を検知するためのレジストレイションセンサ(以下、レジストセンサという)42が配置されている。
【0029】
前述した各ローラは、駆動モータ(不図示)の駆動力が伝達されることで回転駆動される。また、各ローラは、前述のシートパスセンサ37,38,39,40,41,42の検出結果に基づいて、制御部23により回転動作が制御されるようになっている。
【0030】
[シート搬送動作]
次に上記シート給送装置Bによりシートを画像形成部4へ給送するときの動作について説明する。
【0031】
前記制御部23は、複数枚のシートを連続して画像形成部4へ搬送するときは、シートのサイズに応じて前記複数の停止位置のうち、連続して同一とならない何れか選択された1つの停止位置から所定のタイミングでレジストローラ18へシートを搬送する。
【0032】
以下、具体的な例を用いて説明する。ここでは、搬送するシートを小サイズ、通常サイズ、大サイズの3種類に分け、それぞれB5サイズ、A4サイズ、A3サイズのシートを送る場合を例示して説明する。
【0033】
(B5サイズの場合)
B5サイズ(長さ182mm)のシートを連続して給送する場合は、図2のダイアグラムのように一旦停止して所定タイミングで搬送する。なお、図2はシートの連続給送時の先端と後端を示すダイアグラムである。
【0034】
シート給送装置Bからのシートの連続給送開始時には、前記駆動モータにより、給送ローラ31、分離ローラ32、第4搬送ローラ36、第3搬送ローラ35、第2搬送ローラ34、第1搬送ローラ33が回転駆動される。このとき、レジスト前ローラ17、レジストローラ18はまだ停止状態にある。
【0035】
そして、まず、積載台30にセットされたシートSを給送ローラ31がフィードローラとリタードローラのローラ対で構成された分離ローラ32へと送る。ここで、シートSは、フィードローラに対向して設けられ、一定のトルクで搬送方向と反対方向に回転する力を付与されるリタードローラによって、最上位のシートのみに分離される。
【0036】
積載されたシートから分離された最上位のシートは、そのままシートパスセンサ37まで搬送され、シートパスセンサ37によってシート先端が検知される(t1)。そして、シートパスセンサ37の下流側近傍に配置された第1搬送ローラ33に送られ、第1搬送ローラ33によって以下のようにプレレジスト動作により搬送される。
【0037】
すなわち、制御部23はシート先端がシートパスセンサ37の下流側の所定位置(プレレジスト位置)Aに到達するタイミングt2で第1搬送ローラ33の回転を一旦停止させる制御を行う。これにより、シート先端の停止位置が確定し、前述した大容量シートデッキからの給送開始時におけるシート先端位置のばらつき(最大想定時間ばらつきTT)が除去される。
【0038】
次に、最大想定ばらつきTTを十分吸収できるだけの所定時間TR(TT<TR)経過後に第1搬送ローラ33が第1の速度βで再び回転を開始する(t3)。このとき、レジスト前ローラ17も第1の速度βで回転することにより、図2に示すように、シートはプレレジスト位置Aからレジストローラ18(レジストセンサ42)までの距離Cを搬送速度βで搬送される。
【0039】
そして、シート先端がレジストローラ18の上流近傍に配置されたレジストセンサ42によって検知されると(t4)、図2に示すように、レジスト前ローラ17は、所定時間経過後に回転が停止される(t5)。その後、レジストローラ18の回転開始時t6の所定時間後(t7)にレジストローラ18と同じプロセス速度αで回転を開始する。
【0040】
この動作により、シートは回転停止中のレジストローラ18のニップ部にシート先端が到達して先端の移動を阻止された状態でレジスト前ローラ17によって搬送されることで、所定のループを形成して斜行が補正される。
【0041】
そして、レジスト前ローラ17が図2のt5のタイミングで停止し、この状態からほとんどすぐに(最大想定時間ばらつきTTよりも十分に短い)、レジストローラ18がt6からプロセス速度αで回転する。このことでシートに形成されたループが無くなり、さらに、レジスト前ローラ17がt7からプロセス速度αで回転することにより、ループがない状態を保持しながらシートが画像形成部に送り込まれることになる。
【0042】
次に、複数枚のシートを連続して給送するときの搬送制御について説明する。シートを連続して給送する場合には、前のシートの後端が分離ローラ32を抜けたところから所定時間後に、次のシートについての給送が開始される。
【0043】
給送された2枚目のシートは第4搬送ローラ36、第3搬送ローラ35を通過して搬送される。制御部23はシートがシートパスセンサ38まできたところでシート先端がシートパスセンサ38の下流側の所定位置(第2のプレレジスト位置)Dに到達するタイミングt8で第2搬送ローラ34の回転を一旦停止させる制御を行う。すなわち、1枚目のシートのプレレジスト位置よりも1つ上流側のプレレジスト位置で停止させる。これにより、シート先端の停止位置が確定し、2枚目のシートの大容量シートデッキからの給送開始時におけるシート先端位置のばらつきが除去される。
【0044】
次に、プロセス速度αで搬送されている前のシートの後端が、レジストローラ18を通過するタイミングt9の後で、かつ、最低シート間余裕Tminを開けた時間t10にレジストローラ18に到達するようにする。そのため、シートがレジストローラ18に到着するのに要する時間E((第2のプレレジスト位置Dからレジストローラ18までの距離F)/シート搬送速度β)を算出する。そして、時間t10より時間Eだけ早いタイミングt11に第2搬送ローラ34を回転させて2枚目のシートをスタートさせる。
【0045】
2枚目のシートは1枚目のシートよりも上流側のプレレジスト位置に停止しているため、1枚目のシートよりも早いタイミングでシート搬送をスタートすることができる。そして、シート搬送速度は、プレレジスト位置からレジストローラ18までのシート搬送速度βが画像形成部で画像形成されているときのシート搬送速度(プロセス速度)αよりも速く設定されている。
【0046】
このため、2枚目のシートを1枚目と同様にプレレジスト位置Aからスタートさせるときに比べ、シート搬送速度βを高めなくても、レジストローラ18の位置での1枚目と2枚目のシート間隔を狭くすることが容易になし得る。
【0047】
その後、2枚目のシートは、1枚目と同様に回転停止中のレジストローラ18のニップ部にシート先端が到達して先端の移動を阻止された状態でレジスト前ローラ17によって搬送されることで、所定のループを形成して斜行が補正される。
【0048】
そして、レジスト前ローラ17が図2のタイミングt12で停止して、この状態からほとんどすぐに、レジストローラ18がt13からプロセス速度αで回転することでシートに形成されたループが無くなる。さらに、レジスト前ローラ17がt14からプロセス速度αで回転することにより、ループがない状態を保持しながらシートが画像形成部に送り込まれる。
【0049】
次に3枚目のシートは、2枚目のシートの後端が分離ローラ32を抜けたところから所定時間後に給送が開始される。給送された3枚目のシートは第4搬送ローラ36を通過する。制御部23はシートがシートパスセンサ41まできたところで、シート先端がシートパスセンサ41の下流側の所定位置(第3のプレレジスト位置)Gに到達するタイミングt15で第4搬送ローラ36の回転を一旦停止させる制御を行う。すなわち、第2のプレレジスト位置Dよりも上流側のプレレジスト位置で停止させる。これにより、シート先端の停止位置が確定し、3枚目のシートの大容量シートデッキからの給送開始時におけるシート先端位置のばらつきが除去される。
【0050】
次に、プロセス速度αで搬送されている2枚目のシートの後端が、レジストローラ18を通過するタイミングt16の後でかつ、最低シート間余裕Tminを開けた時間t17にレジストローラ18に到達するようにする。そのため、シートがレジストローラ18に到着するのに要する時間H((第3のプレレジスト位置Gからレジストローラ18までの距離I)/シート搬送速度β)を算出する。そして、時間t17より時間Hだけ早いタイミングt18に第4搬送ローラ36を回転させて3枚目のシートをスタートさせる。
【0051】
この場合も、3枚目のシートを2枚目と同様にプレレジスト位置Dからスタートさせるときに比べ、シート搬送速度βを高めなくても、レジストローラ18の位置での2枚目と3枚目のシート間隔を狭くすることが容易になし得る。
【0052】
その後、3枚目のシートは、1、2枚目と同様に回転停止中のレジストローラ18のニップ部にシート先端が到達して先端の移動を阻止された状態でレジスト前ローラ17によって搬送されることで、所定のループを形成して斜行が補正される。そして、レジスト前ローラ17が図2のt19のタイミングで停止して、この状態からほとんどすぐにレジストローラ18がt20からプロセス速度αで回転することでシートに形成されたループが無くなる。さらに、レジスト前ローラ17がt21からプロセス速度αで回転することにより、ループがない状態を保持しながらシートが画像形成部に送り込まれる。
【0053】
次の4枚目のシートは1枚目と同様に、プレレジスト位置Aで停止する。そのために、前のシートの後端がプレレジスト位置Aを抜ける時間t22から最低シート間余裕Tminだけ空いた時間t23に、先端が到着する(もっとも早く到着した場合)ように給送が開始される。そして、シート先端がシートパスセンサ37の下流側のプレレジスト位置Aに到達するタイミングt23で第1搬送ローラ33の回転を一旦停止させる制御を行う。これにより、シート先端の停止位置が確定し、上述のように大容量シートデッキからの給送開始時におけるシート先端位置のばらつき(最大想定時間ばらつきTT)が除去される。
【0054】
次に、最大想定ばらつきTTを十分吸収できるだけの所定時間TR(TT<TR)経過後に第1搬送ローラ33が第1の速度βで再び回転を開始しt24、レジスト前ローラ17も第1の速度βで回転する。これにより、図2に示すように、シートは、プレレジスト位置Aからレジストローラ18(レジストセンサ42)までの距離Cを搬送速度βで搬送される。
【0055】
1、2、3枚目と同様に回転停止中のレジストローラ18のニップ部にシート先端が到達して先端の移動を阻止された状態でレジスト前ローラ17によって搬送されることで、所定のループを形成して斜行が補正される。そして、レジスト前ローラ17が図2のt25のタイミングで停止して、この状態からほとんどすぐにレジストローラ18がt26からプロセス速度αで回転することでシートに形成されたループが無くなる。さらに、レジスト前ローラ17がt27からプロセス速度αで回転することにより、ループがない状態を保持しながらシートが画像形成部に送り込まれる。
【0056】
5枚目、6枚目はそれぞれ2枚目、3枚目と同じように制御され、以後も3枚ごとに同じ制御になる。
【0057】
上記のように、本実施形態ではプレレジスト位置を複数箇所に配置している。このため、プレレジスト位置がレジストローラ18に最も近い時以外で停止させたときのシート間隔は、プレレジスト位置がレジストローラ18に最も近い場合(プレレジ位置がAしかない場合と同じ)よりも短いシート間隔にできる。そして、搬送ローラ33〜36を駆動するモータの速度を上げないでも生産性を向上させることができる。
【0058】
そして、本実施形態ではプレレジスト位置がシート搬送方向上流側に変更していくときのレジストローラ18でのシート間隔が、シート搬送方向下流側に変更していくときのシート間隔よりも、短くなるように、プレレジスト位置からのシート搬送タイミングを設定している。
【0059】
(A4サイズの場合)
次にA4サイズ(長さ210mm)の場合について、図3を参照して説明する。
【0060】
まず、1枚目はB5サイズと同じように給送する。
【0061】
次に2枚目のシートは、前のシートの後端が分離ローラ32を抜けたところから所定時間後に、次のシートについての給送が開始される。給送された2枚目のシートは第4搬送ローラ36を通過する。制御部23は、シートがシートパスセンサ39まできたところで、シート先端がシートパスセンサ39の下流側の所定位置(第4のプレレジスト位置)Jに到達するタイミングt28で第3搬送ローラ35の回転を一旦停止させる制御を行う。これにより、シート先端の停止位置が確定し、2枚目のシートの大容量シートデッキからの給送開始時におけるシート先端位置のばらつきが除去される。
【0062】
次に、プロセス速度αで搬送されている前のシートの後端が、レジストローラ18を通過するタイミングt29の後でかつ、最低シート間余裕Tminを開けた時間t30にレジストローラ18に到達するようにする。そのために、シートがレジストローラ18に到着するのに要する時間K((第4プレレジスト位置Jからレジストローラ18までの距離L/シート搬送速度β)を算出する。そして、時間t30より時間Kだけ早いタイミングt31に2枚目のシートをスタートさせる。
【0063】
前述したように、2枚目のシートは1枚目のシートよりも上流側のプレレジスト位置に停止しているため、1枚目のシートよりも早いタイミングでシート搬送をスタートすることができる。このため、2枚目のシートを1枚目と同様にプレレジスト位置Aからスタートさせるときに比べ、シート搬送速度βを高めなくても、レジストローラ18の位置での1枚目と2枚目のシート間隔を狭くすることが容易になし得る。
【0064】
その後、2枚目のシートは、1枚目と同様に回転停止中のレジストローラ18のニップ部にシート先端が到達して先端の移動を阻止された状態でレジスト前ローラ17によって搬送されることで、所定のループを形成して斜行が補正される。
【0065】
そして、レジスト前ローラ17が図3のt32のタイミングで停止して、この状態からほとんどすぐにレジストローラ18がt33からプロセス速度αで回転することでシートに形成されたループが無くなる。さらに、レジスト前ローラ17がt34からプロセス速度αで回転することにより、ループがない状態を保持しながらシートが画像形成部に送り込まれる。
【0066】
次に3枚目のシートは、プレレジスト位置Aで停止する。そのために、前のシートの後端がプレレジスト位置Aを抜ける時間t35から最低シート間余裕Tminだけ空いた時間t36に、先端が到着する(もっとも早く到着した場合)ように給送が開始される。
【0067】
そして、シート先端がシートパスセンサ37の下流側のプレレジスト位置Aに到達するタイミングt36で第1搬送ローラ33の回転を一旦停止させる制御を行う。これにより、シート先端の停止位置が確定し、上述のように大容量シートデッキからの給送開始時におけるシート先端位置のばらつき(最大想定時間ばらつきTT)が除去される。
【0068】
次に、最大想定ばらつきTTを十分吸収できるだけの所定時間TR(TT<TR)経過後に第1搬送ローラ33が第1の速度βで再び回転を開始しt37、レジスト前ローラ17も第1の速度βで回転する。これにより、図2に示すように、シートは、プレレジスト位置Aからレジストローラ18(レジストセンサ42)までの距離Cを搬送速度βで搬送される。
【0069】
1、2枚目と同様に回転停止中のレジストローラ18のニップ部にシート先端が到達して先端の移動を阻止された状態でレジスト前ローラ17によって搬送されることで、所定のループを形成して斜行が補正される。そして、レジスト前ローラ17が図3のt38のタイミングで停止して、この状態からほとんどすぐにレジストローラ18がt39からプロセス速度αで回転することでシートに形成されたループが無くなる。さらに、レジスト前ローラ17がt40からプロセス速度αで回転することにより、ループがない状態を保持しながらシートが画像形成部に送り込まれる。
【0070】
4枚目、は2枚目と同じように制御され、以後も2枚ごとに同じ制御になる。
【0071】
上記のように、A4サイズのシートの場合もプレレジスト位置がレジストローラ18に最も近い時以外で停止させたときは、プレレジスト位置がレジストローラ18に最も近い場合(プレレジ位置がAしかない場合と同じ)よりも短いシート間隔にできる。そして、搬送ローラ33〜36を駆動するモータの速度を上げないでも生産性を向上させることができる。
【0072】
(A3サイズの場合)
次にA3(420mm)の場合について、図4を参照して説明する。
【0073】
まず、1枚目はB5、A4と同じように給送する。
【0074】
次に2枚目のシートは、前のシートの後端が分離ローラ32を抜けたところから所定時間後に、次のシートについての給送が開始される。2枚目のシートは第4搬送ローラ36を通過する。そして、制御部23はシートがシートパスセンサ41まできたところで、シート先端がシートパスセンサ41の下流側の所定位置(第3のプレレジスト位置)Gに到達するタイミングt41で第4搬送ローラ36の回転を一旦停止させる制御を行う。これにより、シート先端の停止位置が確定し、2枚目のシートの大容量シートデッキからの給送開始時におけるシート先端位置のばらつきが除去される。
【0075】
次に、プロセス速度αで搬送されている1枚目のシートの後端が、レジストローラ18を通過するタイミングt42の後でかつ、最低シート間余裕Tminを開けた時間t43にレジストローラ18に到達するようにする。そのためにシートがレジストローラ18に到着するのに要する時間H((第3のプレレジスト位置Gからレジストローラ18までの距離I)/シート搬送速度β)を算出する。そして、時間t43より時間Hだけ早いタイミングt44に3枚目のシートをスタートさせる。
【0076】
このとき、2枚目のシートは1枚目のシートよりも早いタイミングでプレレジスト位置からスタートすることができる。このため、2枚目のシートを1枚目と同様にプレレジスト位置Aからスタートさせるときに比べ、レジストローラ18の位置での1枚目と2枚目のシート間隔を狭くすることが容易になし得る。
【0077】
その後、2枚目のシートは、1枚目と同様に回転停止中のレジストローラ18のニップ部にシート先端が到達して先端の移動を阻止された状態でレジスト前ローラ17によって搬送されることで、所定のループを形成して斜行が補正される。そして、レジスト前ローラ17が図4のt45のタイミングで停止して、この状態からほとんどすぐにレジストローラ18がt46からプロセス速度αで回転することでシートに形成されたループが無くなる。さらに、レジスト前ローラ17がt47からプロセス速度αで回転することにより、ループがない状態を保持しながらシートが画像形成部に送り込まれる。
【0078】
次に3枚目のシートは、プレレジスト位置Aで停止する。そのために、前のシートの後端がプレレジスト位置Aを抜ける時間t48から最低シート間余裕Tminだけ空いた時間t49に、先端が到着する(もっとも早く到着した場合)ように給送が開始される。そして、シート先端がシートパスセンサ37の下流側のプレレジスト位置Aに到達するタイミングt49で第1搬送ローラ33の回転を一旦停止させる制御を行う。これにより、シート先端の停止位置が確定し、上述のように大容量シートデッキからの給送開始時におけるシート先端位置のばらつき(最大想定時間ばらつきTT)が除去される。
【0079】
次に、最大想定ばらつきTTを十分吸収できるだけの所定時間TR(TT<TR)経過後に第1搬送ローラ33が第1の速度βで再び回転を開始しt50、レジスト前ローラ17も第1の速度βで回転する。これにより、図2に示すように、シートは、プレレジスト位置Aからレジストローラ18(レジストセンサ42)までの距離Cを搬送速度βで搬送される。
【0080】
1、2枚目と同様に回転停止中のレジストローラ18のニップ部にシート先端が到達して先端の移動を阻止された状態でレジスト前ローラ17によって搬送されることで、所定のループを形成して斜行が補正される。
【0081】
そして、レジスト前ローラ17が図4のt51のタイミングで停止して、この状態からほとんどすぐにレジストローラ18がt52からプロセス速度αで回転することでシートに形成されたループが無くなる。さらに、レジスト前ローラ17がt53からプロセス速度αで回転することにより、ループがない状態を保持しながらシートが画像形成部に送り込まれる。
【0082】
4枚目、は2枚目と同じように制御され、以後も2枚ごとに同じ制御になる。
【0083】
上記のように、A3サイズのシートの場合もプレレジスト位置がレジストローラ18に最も近い時以外で停止させたときは、プレレジスト位置がレジストローラ18に最も近い場合(プレレジ位置がAしかない場合と同じ)よりも短いシート間隔にできる。
【0084】
なお、前述した実施形態では、シートを画像形成装置本体Aと別体のシート給送装置Bから画像形成部へ給送する例を示した。しかし、画像形成装置本体内に設けたデッキ等から画像形成部へシートを給送する場合も、プレレジスト位置を複数配置することで、同様の効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0085】
A …画像形成装置本体
B …シート給送装置
4 …画像形成部
5 …感光ドラム
14 …給送ローラ
17 …レジスト前ローラ
18 …レジストローラ
23 …制御部
30 …積載台
31 …給送ローラ
32 …分離ローラ
33 …第1搬送ローラ
34 …第2搬送ローラ
35 …第3搬送ローラ
36 …第4搬送ローラ
37,38,39,40,41 …シートパスセンサ
42 …レジストセンサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートを給送するシート給送手段と、
前記シート給送手段により給送されたシートに画像を形成する画像形成部と、
前記シート給送手段と前記画像形成部との間に配置されるシートの搬送路と、
前記搬送路に設けられ、シートを搬送する搬送手段と、
前記画像形成部よりもシート搬送方向の上流において前記搬送路に配置され、前記画像形成部の画像形成動作とタイミングを合わせてシートを前記画像形成部に搬送するレジストレイション手段と、
前記レジストレイション手段よりもシート搬送方向の上流において前記搬送路に設定され、前記搬送手段により搬送されてくるシートを停止させる第1の停止位置と、
前記第1の停止位置よりもシート搬送方向の上流において前記搬送路に設定され、前記搬送手段により搬送されてくるシートを停止させる第2の停止位置と、
前記搬送手段を制御して、前記第1及び第2の停止位置で、搬送されてくるシートを一旦停止させた後、搬送を開始する制御を行う制御手段と、を有し、
前記制御手段は、連続してシートを搬送する場合に、前記第1の停止位置でシートを停止させている間に、次に搬送されてくるシートを前記第2の停止位置まで搬送させて停止させるように前記搬送手段を制御することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記シート給送手段でのシートの先端位置のばらつきによるシートの搬送時の最大想定ばらつき時間よりも長い所定時間で、前記第1及び第2の停止位置においてシートを停止するように前記搬送手段を制御することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記第1の停止位置で停止しているシートの搬送を開始した後に前記第2の停止位置で停止しているシートの搬送を開始するように前記搬送手段を制御することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記第2の停止位置よりものシート搬送方向の上流において前記搬送手段により搬送されてくるシートを停止させる第3の停止位置が前記搬送路に設定され、前記制御手段は、前記第2の停止位置でシートを停止させている間に、次に搬送されてくるシートを前記第3の停止位置まで搬送させて停止させるように前記搬送手段を制御することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記シート給送手段でのシートの先端位置のばらつきによるシートの搬送時の最大想定ばらつき時間よりも長い所定時間で、前記第1乃至第3の停止位置においてシートを停止するように前記搬送手段を制御することを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記制御手段は、前記第1の停止位置で停止しているシートの搬送を開始した後に前記第2の停止位置で停止しているシートの搬送を開始し、前記第2の停止位置で停止しているシートの搬送を開始した後に前記第3の停止位置で停止しているシートの搬送を開始するように前記搬送手段を制御することを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記制御手段は、前記レジストレイション手段を、前記画像形成部でのシートへの画像形成のプロセス速度でシートを搬送させるように制御し、前記搬送手段を、前記プロセス速度よりも速い速度でシートを搬送するように制御することを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記搬送路にシートを検知するセンサを配置し、前記センサの検知に基づいて前記制御手段は、前記搬送手段によるシートの搬送及び停止を制御することを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−246149(P2012−246149A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−206495(P2012−206495)
【出願日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【分割の表示】特願2008−149465(P2008−149465)の分割
【原出願日】平成20年6月6日(2008.6.6)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】